説明

土壌の浄化方法および装置

【課題】外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることができる安価な土壌の浄化方法および装置を提供する。
【解決手段】重金属含有土壌を浄化する方法であって、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出工程S1と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程S2と、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出工程S3と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程S4とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砒素などの有害重金属を含有する土壌の浄化方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2010年4月に施行された改正土壌汚染対策法では、自然的原因により砒素、鉛、ふっ素等の有害重金属が含まれる土壌(以下、自然由来重金属含有土壌という。)についても通常の汚染土壌と同様に規制対象に含まれることとなった。
【0003】
この自然由来重金属含有土壌は、含有量の測定方法のひとつである全量分析による含有量値が土壌含有量基準を大きく下回り、また、土壌溶出基準値のおおむね1〜3倍程度で存在している。例えば、砒素の土壌溶出量基準は0.01mg/L、土壌含有量基準は150mg/kgであるが、図4に示すように、この砒素を含有する土壌については、全国的に基準超過の地点が多いと推察される。
【0004】
一般に、砒素は鉄やアルミニウムなどの水酸化物や粘土粒子に吸着されやすい性質があり、その吸着量はpHに大きく依存する。酸化物となる砒素は、アルカリ性領域で表面はマイナスイオンに帯電されることから、砒素は反発して溶出する。また、酸性が強くなると、鉄の酸化物・水酸化物自体が溶解することから、砒素も離れて溶出する。
【0005】
砒素などを含有する土壌を浄化する従来の方法としては、図5の方法が知られている。図5に示すように、この方法では、特定有害物質が遍在している細粒子分(シルト、粘土)と粗粒子分(礫、砂)とを分級し、分級後の細粒子分を濃縮汚染土として外部搬出処理し、粗粒子分を洗浄処理後、現地埋め戻しなどに再利用するといった処理を行う。この従来の方法は、細粒子分を主体とした土壌の場合には、外部搬出処理をする量が多くなり、また、プラント機器構成が複雑となり高コストになるといった問題がある。
【0006】
また、この他の従来の方法としては、酸やアルカリを含む洗浄液を用いて重金属等の汚染成分を溶脱する方法(例えば、特許文献1および2参照)や、酸化マグネシウムを含有させた砒素汚染土壌を所定温度に加熱して処理する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−119950号公報
【特許文献2】特開2002−86128号公報
【特許文献3】特開2006−281054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の自然由来重金属含有土壌は、首都圏湾岸部、大阪湾岸部などに広範に存在することから、大型公共工事や建築根切り工事で大量に発生する。自然由来といえども、基準を超過する土壌が不用意に再利用、処分されることは適当ではなく、適切に取り扱う必要がある。しかしながら、公共事業を中心にその発生量が膨大であることから、通常の汚染土壌に対するようなコストはかけられない。このため、特に自然由来重金属含有土壌の中でも基準超過の事例が多い砒素などを含む土壌に関して、従来の方法よりも外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにできる安価な浄化処理技術の開発が強く望まれていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることができる安価な土壌の浄化方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る土壌の浄化方法は、重金属含有土壌を浄化する方法であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄工程と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄工程を順不同で行うものであり、前記アルカリ洗浄工程が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出工程と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなり、前記酸洗浄工程が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出工程と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る土壌の浄化方法は、上述した請求項1において、前記土壌に含有される重金属が砒素であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る土壌の浄化装置は、重金属含有土壌を浄化する装置であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄手段と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄手段とを備え、前記アルカリ洗浄手段が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出手段と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなり、前記酸洗浄手段が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出手段と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る土壌の浄化装置は、上述した請求項3において、前記土壌に含有される重金属が砒素であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る土壌の浄化方法によれば、重金属含有土壌を浄化する方法であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄工程と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄工程を順不同で行うものであり、前記アルカリ洗浄工程が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出工程と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなり、前記酸洗浄工程が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出工程と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなる。アルカリ洗浄工程と酸洗浄工程とにより、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる重金属の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。したがって、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る土壌の浄化装置によれば、重金属含有土壌を浄化する装置であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄手段と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄手段とを備え、前記アルカリ洗浄手段が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出手段と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなり、前記酸洗浄手段が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出手段と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなる。アルカリ洗浄手段と酸洗浄手段とにより、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる重金属の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。したがって、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係る土壌の浄化方法の実施例を示す概略フロー図である。
【図2】図2は、本発明に係る土壌の浄化装置の実施例を示すプラントフロー図である。
【図3】図3は、本発明による土壌の浄化処理の実験結果を示す図である。
【図4】図4は、日本全国の砒素の濃度分布を例示する図である。
【図5】図5は、従来の土壌洗浄処理方法の浄化メカニズムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る土壌の浄化方法および装置の実施の形態を、砒素含有土壌を例にとり図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
[土壌の浄化方法]
図1に示すように、本発明に係る土壌の浄化方法は、砒素含有土壌(重金属含有土壌)を浄化する方法であって、アルカリ抽出工程S1と、水洗いおよび脱水工程S2と、酸抽出工程S3と、水洗いおよび脱水工程S4とからなる。
【0019】
アルカリ洗浄工程(アルカリ抽出工程S1、水洗いおよび脱水工程S2)と、酸洗浄工程(酸抽出工程S3、水洗いおよび脱水工程S4)は順不同で行うことができ、図1に示す順序(S1→S2→S3→S4)で行ってもよいし、逆の順序(S3→S4→S1→S2)で行ってもよい。
【0020】
アルカリ抽出工程S1では、土壌にNaOHとその他の薬剤(アルカリ)を添加し、自然界には存在しないアルカリ性領域の土壌にする。そして、土壌に吸着されている砒素(重金属)を強制脱着させ、この砒素を抽出液中に溶出させる。
【0021】
水洗いおよび脱水工程S2では、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより砒素を除去し、脱水処理する。
【0022】
酸抽出工程S3では、土壌にHSOなどの酸を添加し、土壌に吸着されている砒素を強制脱着させ、この砒素を抽出液中に溶出させる。
【0023】
水洗いおよび脱水工程S4では、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより砒素を除去し、脱水処理する。
【0024】
上記の工程S1〜S4によって土壌中の砒素を強制的に水に溶出させ、残渣側に砒素の含有量を集中させる。こうすることで、洗浄土側の砒素の含有量値を減少させ、結果的に洗浄土からの砒素の溶出量値を低下させることができる。
【0025】
このため、本発明に係る土壌の浄化方法によれば、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる砒素の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。このため、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできる。
【0026】
[土壌の浄化装置]
次に、本発明に係る土壌の浄化装置10について説明する。
図2に示すように、本発明に係る土壌の浄化装置10は、砒素含有土壌(重金属含有土壌)を浄化する装置であって、土壌をアルカリで洗浄して砒素(重金属)を溶出させるアルカリ洗浄手段20と、土壌を酸で洗浄して砒素を溶出させる酸洗浄手段30とを備える。アルカリ洗浄手段20は、アルカリ抽出手段22と水洗いおよび脱水手段24とからなり、酸洗浄手段30は、酸抽出手段32と水洗いおよび脱水手段34とからなる。
【0027】
アルカリ抽出手段22は、土壌にNaOHとその他の薬剤(アルカリ)を添加し、自然界には存在しないアルカリ性領域の土壌にし、土壌に吸着されている砒素を強制脱着させ、この砒素を抽出液中に溶出させるものである。
【0028】
水洗いおよび脱水手段24は、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより砒素を除去し、脱水処理するものである。
【0029】
酸抽出手段32は、土壌にHSOなどの酸を添加し、土壌に吸着されている砒素を強制脱着させ、この砒素を抽出液中に溶出させるものである。
【0030】
水洗いおよび脱水手段34は、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより砒素を除去し、脱水処理するものである。
【0031】
上記構成の動作の一例について図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、土壌2を分級機40に投入して乾式分級し、例えば粒径40mm未満の土壌分にNaOHを添加した後、アルカリ抽出手段22にてアルカリ抽出する。そして、アルカリ抽出後の土壌に対して水洗いおよび脱水手段24により水洗いおよび脱水処理を行う。一方、粒径40mm以上の土壌分については、ここでは砒素の溶出量、含有量が基準値以下であるとして、アルカリ洗浄および酸洗浄等の処理を経ずに洗浄土として取り扱う。
【0032】
次に、水洗いおよび脱水手段24による処理済みの土壌にHSOを添加した後、酸抽出手段32にて酸抽出する。そして、酸抽出後の土壌に対して水洗いおよび脱水手段34にて水洗いおよび脱水処理を行う。このようにして処理された土壌分が洗浄土として得られる。この洗浄土には砒素等の有害物質は殆ど含まれていない。
【0033】
一方、水洗いおよび脱水手段24の際に生じる泥水(アルカリ)は濁水・砒素処理手段42にて濁水処理および砒素処理されて弱アルカリ性の清水と泥水に分けられる。また、水洗いおよび脱水手段34の際に生じる泥水(酸)は濁水・砒素処理手段44にて濁水処理および砒素処理されて弱酸性の清水と泥水に分けられる。各泥水は脱水手段46にて脱水処理されて、汚染水と濃縮残渣に分けられる。濃縮残渣には砒素等の有害物質と濁水処理時の凝集剤等が含まれており、濃縮残渣は外部搬出処理される。
【0034】
このように、土壌中の砒素を強制的に水に溶出させ、残渣側に砒素の含有量を集中させる。こうすることで、洗浄土側の砒素の含有量値を減少させ、結果的に洗浄土からの砒素の溶出量値を低下させることができる。
【0035】
このため、本発明に係る土壌の浄化装置によれば、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる砒素の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。このため、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできる。
【0036】
[実験結果]
次に、本発明の効果を検証するために行った実験結果について説明する。なお、この実験では、元土をアルカリ抽出後に粗粒子と微細粒子とに分級し、粗粒子に対して酸抽出を行っている。
【0037】
図3に示すように、砒素の溶出量が0.032mg/L、全含有量が10.0mg/kgである元土に対してアルカリ抽出処理を行うと、全含有量は6.6mg/kgに低下した。この処理土を分級して粗粒子を水洗いすると、溶出量は0.013mg/Lに、全含有量は6.0mg/kgに低下した。次いで、酸抽出処理を行うと、溶出量は0.002mg/Lに、全含有量は4.9mg/kgにさらに低下した。一方、分級後の微細粒子については全含有量36.2mg/kgであった。なお、粗粒子の洗浄土は現地でリサイクル利用され、微細粒子は水処理されて外部搬出処理される。このように、残渣(微細粒子)側に砒素の含有量を集中させることにより、洗浄土(粗粒子)側の砒素の含有量値を減少させ、結果的に洗浄土(粗粒子)からの砒素の溶出量値を低下させることができる。
【0038】
次に、本発明により得られる効果について説明する。
本発明によれば、プラント機器構成をシンプルにすることができ、本発明者の試算によれば、図5に示すような従来の土壌洗浄処理方法と比較して、30%程度のコストダウンが見込める。また、従来の土壌洗浄処理方法では細粒子分を濃縮汚染土として外部搬出処理してきたが、本発明ではこの細粒子分を再利用することができる。つまり、細粒子分に対してもアルカリ洗浄と酸洗浄を行うことで、その外部搬出処理量を大幅に減らすことができる。外部搬出処理量を大幅に減らすことは、外部搬出車両を大幅に減らすことに繋がり、搬送コスト等の低減を図ることができると同時に、近隣公害対策および循環型社会実現への貢献ともなる。また、外部搬出処理量は、本発明者の試算によれば土壌全体の5%程度と小さくなる見込みであり、土質による影響も小さいと考えられる。
【0039】
また、本発明の浄化装置(プラント)が占めるスペースは、図5に示すような従来の土壌洗浄処理方法によるプラントと比較して、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としない分だけ省スペースになる。また、浄化処理に使用する水量は、本発明者の試算によれば、従来の土壌洗浄処理工法と比較してこれまでの3分の1程度になると見込まれる。
【0040】
なお、上記の実施の形態においては、自然由来重金属含有土壌の中でも基準超過の事例が多い砒素含有土壌を例にとり説明したが、本発明はこの土壌に限るものではなく、自然由来で土壌中に存在する可能性のあるカドミウム、六価クロム、鉛、砒素、ふっ素、ほう素等の自然由来重金属含有土壌・岩石の浄化処理に対しても適用可能である。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る土壌の浄化方法によれば、重金属含有土壌を浄化する方法であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄工程と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄工程を順不同で行うものであり、前記アルカリ洗浄工程が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出工程と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなり、前記酸洗浄工程が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出工程と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなる。アルカリ洗浄工程と酸洗浄工程とにより、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる重金属の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。したがって、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできる。
【0042】
また、本発明に係る土壌の浄化装置によれば、重金属含有土壌を浄化する装置であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄手段と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄手段とを備え、前記アルカリ洗浄手段が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出手段と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなり、前記酸洗浄手段が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出手段と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなる。アルカリ洗浄手段と酸洗浄手段とにより、従来、濃縮汚染土として外部搬出処理をしてきた細粒子分に含まれる重金属の含有量値を減らすことができる。また、土壌を細粒子分と粗粒子分とに分級するための設備を必要としないのでプラントの簡素化が図られる。したがって、外部搬出処理量を減らせると同時に、プラント機器構成をシンプルにすることできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る土壌の浄化方法および装置は、砒素などの有害重金属を含有する自然由来重金属含有土壌の浄化処理に有用であり、特に、土壌浄化処理の際に発生する外部搬出処理量を減らすのに適している。
【符号の説明】
【0044】
10 土壌の浄化装置
20 アルカリ洗浄手段
22 アルカリ抽出手段
24 水洗いおよび脱水手段
30 酸洗浄手段
32 酸抽出手段
34 水洗いおよび脱水手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属含有土壌を浄化する方法であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄工程と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄工程を順不同で行うものであり、
前記アルカリ洗浄工程が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出工程と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなり、
前記酸洗浄工程が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出工程と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水工程とからなることを特徴とする土壌の浄化方法。
【請求項2】
前記土壌に含有される重金属が砒素であることを特徴とする請求項1に記載の土壌の浄化方法。
【請求項3】
重金属含有土壌を浄化する装置であって、前記土壌をアルカリで洗浄して重金属を溶出させるアルカリ洗浄手段と、前記土壌を酸で洗浄して重金属を溶出させる酸洗浄手段とを備え、
前記アルカリ洗浄手段が、土壌にアルカリを添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させるアルカリ抽出手段と、土壌間隙に残留するアルカリ抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなり、
前記酸洗浄手段が、土壌に酸を添加し、土壌に吸着されている重金属を脱着させ、この重金属を抽出液中に溶出させる酸抽出手段と、土壌間隙に残留する酸抽出液を水洗いすることにより重金属を除去し、脱水処理する水洗いおよび脱水手段とからなることを特徴とする土壌の浄化装置。
【請求項4】
前記土壌に含有される重金属が砒素であることを特徴とする請求項3に記載の土壌の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−110803(P2012−110803A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259958(P2010−259958)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】