土壌浄化工法
【課題】比熱が高い地盤(含水率が高い土壌)や粘性土地盤(透気性の低い土壌)においても有害物質を十分に除去することが出来る土壌染浄化工法の提供。
【解決手段】汚染された領域を隔壁部材(1)で仕切り、当該仕切られた領域に複数の掘削孔(2)を削孔し、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削し、仕切られた領域の地下水を汲み上げ、地表面に非透過性の布状部材(4)を敷設し、土壌を加熱し、土壌(G)から遊離した汚染物質を地表面と前記布状部材(4)との間の空間を介して回収する。
【解決手段】汚染された領域を隔壁部材(1)で仕切り、当該仕切られた領域に複数の掘削孔(2)を削孔し、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削し、仕切られた領域の地下水を汲み上げ、地表面に非透過性の布状部材(4)を敷設し、土壌を加熱し、土壌(G)から遊離した汚染物質を地表面と前記布状部材(4)との間の空間を介して回収する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば揮発性化合物(VOC)等の汚染物質により汚染された土壌を浄化する土壌浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
係る汚染土壌の浄化技術については、従来から種々提案されている。
ここで、浄化するべき土壌が砂地盤であれば、汚染物質の除去は比較的容易である。これに対して、土壌が粘土等の粘性土層で構成されている場合には、土粒子が水と共に汚染物質を包含してしまうため、汚染物質のみを除去することが困難である。
すなわち、粘土等の粘性土層では、粘性土層を構成する土粒子間に包含された汚染物質が当該土粒子から浸出して分離されなければ除去することが出来ないので、汚染物質を土粒子から分離して除去することが困難であった。
【0003】
その他の従来技術としては、吸引井戸と加熱井戸とを掘削して土壌中から有害な揮発性化合物(VOC)を除去する技術が存在する(特許文献1参照)。
しかし、この技術においては、比熱が高い地盤(含水率が高い土壌)や粘性土地盤では熱が十分に伝達されないので、有害物質の除去が十分に行われない。
【特許文献1】特許第3658936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、比熱が高い地盤(含水率が高い土壌)や粘性土地盤(透気性の低い土壌)においても有害物質を十分に除去することが出来る土壌染浄化工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)に鉛直方向の複数の掘削孔(2)を削孔する工程(図2)と、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)と、複数の掘削孔(2)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)と、地表面(Gf)に非透過性の布状部材(シート4)を敷設する工程(図4)と、前記掘削孔(2)に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程(図5)と、土壌(G)から遊離した汚染物質を地表面(Gf)と前記布状部材(4)との間の空間(E)を介して回収する工程(2次回収工程;図5)、とを含むことを特徴としている(請求項1:図2〜図5)。
【0006】
また、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)に鉛直方向の複数の掘削孔(2)を削孔する工程(図2)と、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)と、複数の掘削孔(2)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)と、前記掘削孔(2)に(挿入された加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに)加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程(図6)と、該掘削孔(2)に(挿入された加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに)吸引装置(例えばブロワ7)を(送気管6を介して)連通して土壌(G)から遊離した汚染物質を回収する工程(2次回収工程;図7)、とを含むことを特徴としている(請求項2:図2、図3、図6、図7)。
【0007】
本発明の実施に際して、地下水が存在する場合は、複数の掘削孔(2)を削孔する前記工程(図2)に先立って、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)を隔壁部材(例えばシートパイル1)で仕切る工程(図1)を実行することが好ましい。
【0008】
また、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(Gp)に水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図9)と、複数の掘削孔(22)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)と、土壌(Gp)から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程(2次回収工程;図11)、とを含むことを特徴としている(請求項3:図8〜図11)。
【0009】
係る本発明の実施に際して、水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)に先立って、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)を隔壁部材(例えばシートパイル1)で仕切る工程(図1)を実行することが好ましい。
【0010】
ここで、土壌加熱用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)を実施した後に、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程を実施しても良い。
或いは、土壌加熱用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程と、土壌(Gp)から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程とを、同時に実施しても良い。
【0011】
或いは、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)を(複数)掘削する工程(図12)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させ、以って、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の液体や蒸気等)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程(図16)を含み、該加熱用流体循環工程(図16)では、(加熱用流体により加熱されて)土壌から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引することを特徴としている(請求項4:図12〜図22)。
【0012】
本発明において、前記加熱用流体循環工程(図5、図10、図16)において、加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱した後に、加熱用流体の循環を停止してから、土壌(Gp)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することが出来る。
或いは、加熱用流体を循環させつつ、加熱用流体と共に(土壌Gpから遊離した)汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することも出来る。
【0013】
また、本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめている箇所(流体流路23)は、複数の異なる深度に形成されても良いし(図15、図19、図20)、所定の深度にのみ形成されていても良い(図21、図22)。
【0014】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で土壌を切削する際に、流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)と共に噴射し、係る流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)で切削した流域に残存せしめて、流体の経路を確保することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述する構成を具備する本発明によれば、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)を有しているので(請求項1、請求項2)、係る工程により、例えばVOCのような汚染物質を包含している粘性土層が切削されて、汚染物質を粘性土層から浸出させるので、粘性土層であっても、砂地盤の場合と同様に汚染物質を容易に除去することが出来る。
これに加えて本発明によれば、前記掘削孔(2)に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程(図5)を備えている(請求項1)か、或いは、前記掘削孔(2)に加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程(図6)を備えている(請求項2)ので、当該工程により付加される熱エネルギーにより、粘性土層から浸出した汚染物質が分離して、移動可能となり、地上側へ排出することが可能となる。
【0016】
ここで本発明は、複数の掘削孔(2)を介して仕切られた前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)を有している(請求項1、請求項2)ので、本発明が施工される領域が、含水率が高く比熱の高い粘性土壌であっても、当該地下水を汲み上げる工程(図3)によって予め地下水が汲み上げられ、含水率が低減されることから透気性が向上し、且つ、比熱が低減されているので、当該土壌が加熱された場合に昇温し易くされている。そのため、粘性土壌内に閉じ込められた汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)は、容易に、粘性土層外に排出されるのである。
【0017】
そして、粘性土層から分離して地上側に移動した汚染物質(例えば、VOC)は、地上側に放出されても前記布状部材(4:請求項1)により拡散することが防止され、地表面と前記布状部材(4)との間の空間(E)に一時的に貯留される。そして、回収する工程(2次回収工程;図10、図11)によって効率良く回収されるのである。
或いは、掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)を多数配置して、隣接する掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)の間隔(ピッチ)を小さくすることにより、前記布状部材(4)を地表面に敷設しなくても、掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)を介して(請求項2)、粘性土層から遊離した汚染物質(VOC等)を、大気に拡散すること無く回収することが出来る。
【0018】
或いは、本発明において、水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図9)とを実施する場合(請求項3)も、(請求項1、請求項2と)同様に、粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が当該粘性土層から浸出し易くなる。これに加えて、加熱用流体循環用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)によって粘性土層が容易に加熱されるので、VOCの様な汚染物質が粘性土層から分離して、当該土壌から効率的に除去されるのである。
その際に、複数の掘削孔(22)を介して仕切られた領域の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程)により、切削された粘性土層の含水率が低減されることから透気性が向上し、且つ、比熱が低減されるので、土壌(Gp)を加熱する工程(図10)において、粘性土層が効率的に加熱される。
【0019】
粘性土層からより分離・移動した汚染物質は、土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程(2次回収工程;図10、図11)により、確実に回収され、処理施設等で処理することが可能となる。
【0020】
仮に、粘性土層からより分離・移動した汚染物質(VOC)が、土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収されずに地上側に放出されても、前記布状部材(4)を敷設しておけば、当該布状部材(4)により、汚染物質(VOC)は地表面と前記布状部材(4)との間の空間(E)に貯留され、大気中へ拡散してしまうことは無い。従って、上述した様な回収する工程(2次回収工程;図10、図11)を実行することによって、効率良く回収される。
【0021】
或いは本発明によれば、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)を(複数)掘削する工程(図12)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外側に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させている(請求項4)ので、高圧流体ジェット(3)で切削された領域により、その(一部)重複した領域を介して、隣接する掘削孔同士を連通せしめることが出来る。換言すれば、高圧流体ジェット(3)で切削された領域によって、流体流路(23)を形成することが出来る。
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で切削することにより、汚染されている領域、例えば粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が粘性土層から浸出し易くなる。
【0022】
これに加えて本発明では、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめることが出来るので、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の液体や蒸気等)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱すること(加熱用流体循環工程:図16)が可能となる。そして、加熱用流体を循環させることにより、高圧流体ジェット(3)で切削された領域、或いはその近傍の領域に存在する汚染物質(例えばVOC)が加熱されて、土壌から分離し移動し易くなる。
【0023】
土壌から分離し移動した汚染物質(VOC等)は、加熱用流体と共に、或いは、加熱用流体を循環させた後に、(加熱用流体により加熱されて)土壌(例えば粘性土層)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引される。
ここで、上述した(切削された領域によって形成された)流体流路(23)を、複数の異なる深度に形成すれば、汚染領域が鉛直方向に広い範囲に亘っている場合であっても、汚染物質を確実に除去することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図5を参照して第1実施形態を説明する。ここで、第1実施形態は、鉛直井(鉛直方向に削孔されたボーリング孔)で加熱する実施形態である。
【0025】
第1工程「仕切り工程」においては、図1に示すように、土壌Gにおける汚染領域(汚染土壌)Gpを、隔壁部材であるシートパイル1によって、(例えば長方形状に)仕切る。
図示の例では、汚染領域(汚染土壌)Gpは、鉛直方向下方の粘性土層Gpbと、鉛直方向上方の粘性土以外の土壌から成る層(例えば、砂層)Gpaから構成されている(図2参照)。
なお、地下水脈が存在しない場合や、地下水レベルが汚染領域(汚染土壌)Gpよりも遥かに下方である場合等においては、第1工程「仕切り工程」を省略することが可能である。
【0026】
第2工程「切削工程」では、図2に示すように、前記(長方形状に)仕切られた領域(汚染土壌、又は汚染領域)Gpに、地表面Gfから、公知の掘削機によって複数箇所に、鉛直方向へ掘削孔(ボーリング孔)2を掘削する。
そして、その掘削孔2に図示しない噴射装置を挿入し、噴射装置を回転及び上下方向に移動させながら噴射装置から高圧流体ジェット(例えば高圧水ジェット)3を噴射させる。
図2では、鉛直方向位置が異なる多数の高圧流体ジェット3が同時に描かれているが、これは、例えば、図示しない噴射装置を鉛直方向へ移動した場合の高圧流体ジェット3の軌跡を同時に示したものである。
【0027】
粘性土層Gpbでは、例えば揮発性化合物VOCの様な汚染物質が土粒子により包含されており、係る汚染物質を土粒子から分離して除去することが困難な状態となっている。これに対して、粘性土層Gpbを高圧流体ジェット3で切削すれば、汚染物質(例えば揮発性化合物VOC)が粘性土から浸出するので、施工対象領域からの除去が促進される。すなわち、高圧流体ジェット3を使って粘性土層Gpbを切削することにより、従来技術では除去し難かった粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質が粘性土層Gpbから浸出するため、除去し易い状態となるのである。そして、後述する様に、粘性土層Gpbから浸出した汚染物質は、当該土壌を加熱することにより、容易に土壌から分離、移動するのである。
【0028】
換言すれば、従来技術では汚染物質(例えばVOC)が除去出来ない地層(粘性土層Gpb)であっても、高圧流体ジェット3で土壌(汚染土壌)Gpを切削し、撹拌し、後述する様に加熱することによって、粘性土層から揮発性の化合物VOCの様な汚染物質を分離し、除去することが可能となる。
なお、高圧流体ジェット3を、(たとえば、高圧蒸気等により)噴射前に十分に加熱した状態にしておけば、VOCの除去を更に効果的に行うことが出来る。
【0029】
後述するように(図3の第3工程における説明参照)、汚染物質の除去のためには、汚染土壌Gp中に含まれる水の量を出来る限り少なくして、比熱を減少することが望ましい。従って、高圧流体ジェット3で汚染土壌Gpを切削する場合も、使用する水量、すなわち汚染土壌Gp中に混入されてしまう水量は出来る限り少なくすることが望ましい。
従って、図2の工程において、土壌を切削する高圧流体ジェットとして、超高圧で径が小さなジェット3を使用することが望まれる。超高圧ジェット3は、噴流の径が極めて小さいので、噴流の水量が少なく、土壌を細分化するのに適しており、且つ、水が多量に土壌へ浸入しないからである。
【0030】
図2における第2工程「切削工程」に際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧流体ジェットと共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧流体ジェットで切削した流域に残存すれば、流体経路が確保できる。そして、係る流体経路を介して、加熱流体を汚染土壌中に供給し、或いは、汚染物質を吸引用のパイプ2H(図5参照)まで移動させることが出来るからである。
【0031】
図3の第3工程は、「1次回収工程」と呼ばれ、この第3工程では、既に形成されている掘削孔2(図2)に挿入された吸引用パイプ2Dを介して、地下水を汲み上げる。
ここで、図示の簡略化のため、図3ではパイプ2Dのみを示し、掘削孔2の表示を省略している。なお、図示の実施形態ではパイプ2Dは掘削孔2に挿入されるが、掘削孔2とは別の箇所を掘削して、吸引用パイプ2Dを挿入しても良い。
【0032】
地下水を汲み上げることによって、図3のラインLwで示される地下水の分布レベルは降下する。そして、地下水を組み上げることにより、地下水中の汚染物質が除去出来る。
汲み上げられた地下水は、図示しない吸引手段によって、各パイプ2D毎に吸引(矢印Y1)され、図示しない搬送手段によって水処理設備(例えば曝気処理設備等)に送られる(矢印Y2)。
なお、地下水を組み上げる際に、地上の建造物における不等沈下の防止を考慮する必要がある。
【0033】
ここで、汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)の除去するに際しては、後述する様に加熱を行うが、加熱に際しては加熱される土壌(汚染物質が存在する土壌)における比熱が問題となる。
水を多く含む土壌は比熱が大きく、熱伝達が良好ではないため、加熱を行うには不利である。これに対して、水の含有率が少ない土壌は比熱が小さいため、熱伝達が良好であり、加熱を行うには有利である。また、水の含有率が少ない土壌は透気性が良好であるため、ガス化したVOCを回収容易としている。
すなわち、汚染物質(VOC)の除去のためには土壌中に含まれる水の量或いは含水率を、出来る限り少なくしたい。そのため、1次回収において、地下水を出来る限り回収して、施工領域における含水率を低減し、以って、加熱の際における熱伝達を良好にせしめて、土壌の昇温速度を速め、VOCを土壌から分離し易くして、汚染物質(VOC)の除去を促進させているのである。
【0034】
図4の第4工程「地表面被覆工程」では、非透水性シート4を地表面Gfに被せる。地表面Gfと非透水性シート4との間には、図5の第5工程「加熱工程兼2次回収工程」に示すように、実際には隙間Eを確保している。なお、図5では係る隙間Eを誇張して表現している。
【0035】
図4において、掘削孔2(図2参照:図4では図示せず)に挿入されるパイプは符号2Hで示されている。後述する様に、図5の工程を実施する際に、パイプ2Hは加熱流体が保有する熱を切削・撹拌された土壌へ良好に伝達するため、熱伝導性が良好な材質製であることが要求される。それと共に、VOC等の汚染物質を効率的に吸引できる様に、鉛直方向の広範囲に亘って多孔状或いはメッシュ状に構成されていることが望ましい。そのため、1次回収(図3)で用いられた吸引用パイプ2Dとは、別のパイプが用いられることが予想されるので、図4では加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプの符号を「2H」で示している。勿論、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hとして、1次回収(図3)で用いられた吸引用パイプ2Dを、そのまま使用することも可能である。
【0036】
図5において、非透水性シート4の一部には開口部4oが形成されており、その開口部4oには吸引装置、例えばブロワ7、を介装した送気管6の一端が接続されている。そして、その送気管6の他端は処理設備8に接続されている。
【0037】
図5では明確に示されていないが、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hは、地上側の流体加熱装置5に接続されている。より詳細には、流体加熱装置5は加熱流体循環ライン51が連通しており、該ライン51は掘削孔2(図2参照:図5では図示せず)或いはパイプ2Hの内部の全長に亙って配置されている。
そして、加熱流体循環ライン51を流れる加熱流体の熱量により、掘削孔2及びその近傍の領域を加熱するのである。
【0038】
上述した様に構成された第1実施形態では、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに連通する加熱流体循環ライン51を流れる加熱流体の熱量により、パイプ2H(或いは掘削孔2)の周囲の土壌が加熱されて昇温する。ここで、汚染物質であるVOCは、図2で示す切削工程において粘性土から浸出した状態となっているので、汚染土壌Gpが加熱され昇温されることにより、当該土壌Gpから分離し遊離する。
分離したVOCは地表面Gfに到達し、地表面Gfと非透水性シート4との間の隙間Eに貯留される。そして、隙間Eに溜まったVOCは、ブロワ7で吸引され、送気管6を介して処理設備内8に送り込まれ、当該処理設備8で処理されて無害化する。
【0039】
すなわち、汚染領域(汚染土壌)Gpが、含水率が高く比熱の高い粘性土層Gpbであっても、第2工程「切削工程」で切削され、さらに図5の工程で加熱されることにより粘土層からVOCが浸出し、図5の工程で加熱されるので、容易に粘性土壌から分離して、地上側まで移動する。
【0040】
ここで、第3工程(地下水を汲み上げる工程、図3)によって予め地下水が汲み上げられるので、当該土壌は図5の工程で加熱された際に加熱され易く、昇温し易いので、粘性土壌から浸出した汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)は、容易に分離し、地上側へ移動する。
地上側へ移動した汚染物質(VOC)は、2次回収工程(図5)によって効率良く地上に回収出来る。
【0041】
図6及び図7は、上述した第1実施形態の変形例を示している。
図1〜図5の第1実施形態では、地表面Gfに非透水性シート4を敷設し、地表面Gfと非透水性シート4との間の隙間EにVOC等の汚染物質を貯留し、隙間Eに溜まったVOCをブロワ7で吸引して処理設備8に送っている。
これに対して、図6及び図7の変形例では、係る非透水性シート4を敷設していない。
【0042】
掘削孔2(図3)或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hの本数が多数あり、隣接する掘削孔2或いはパイプ2H間の距離(ピッチ)が十分に短ければ、地表面Gfを非透水性シート4で覆わなくても、VOCが地表面から大気に拡散することを防止可能である。
図6及び図7の変形例は、その様な場合、すなわち地表面Gfを非透水性シート4で覆わない場合について説明している。
【0043】
図6及び図7の変形例では、図3で示す1次回収が終了した後に、地表面Gfを非透水性シート4で覆うこと無く、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに加熱流体HLを供給する。
上述した通り、パイプ2Hは熱伝導性が良好な材質製であり且つ鉛直方向の広範囲に亘って多孔状或いはメッシュ状に構成されているので、加熱流体或いはその保有する熱量は、図6中矢印Hで示す様に、汚染土壌中に効率的に供給される。その結果、図2の切削工程で汚染土壌から浸出したVOCが加熱され、土壌から分離して移動する。
【0044】
そして、図7で示す様に、パイプ2Hの各々を送気管6を介してブロワ7に接続し、ブロワ7によって吸引すれば、パイプ2Hには負圧が作用する。汚染土壌から分離したVOCは、係る負圧により(汚染土壌に供給された加熱流体と共に)パイプ2Hに吸引され、送気管6を介して処理設備内8に送り込まれ、当該処理設備8で処理されて無害化する。
ここで、加熱されたVOCがパイプ2Hに吸引されず、地表面Gfから大気中に拡散してしまうことは、パイプ2Hの本数或いは掘削孔2の本数を多くして、隣接するパイプ2H或いは掘削孔2のピッチを小さくすることにより、十分に防止される。
【0045】
図6及び図7の変形例のその他の構成及び作用効果は、図1〜図5の第1実施形態と同様である。
【0046】
次に、図8〜図11を参照して第2実施形態を説明する。
図1〜図7の第1実施形態では、高圧流体ジェット3を使って粘性土層Gpbを切り刻み、粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質を遊離させて除去するために、鉛直方向に延びるボーリング孔2を掘削して高圧流体ジェット3を噴射(図2参照)する実施形態であった。
しかし、例えば汚染土壌Gpの地上部に既に建築物が存在している場合等は、第1実施形態の様に垂直のボーリング孔を掘削することが出来ない。
【0047】
第2実施形態では、そのように、垂直なボーリング孔が削孔出来ない場合を想定しており、汚染土壌Gpを水平方向に切削することにより、汚染物質(例えばVOC)を除去する実施形態である。
施工概要は、施工領域(汚染土壌)Gpの上方における領域Gpaに汚染物質回収用の水平孔(横孔)21を掘削し、当該領域Gpaの下方であって、例えば粘性土層Gpbに、土壌切削用且つ加熱用の水平孔(横孔)22を掘削する。
【0048】
以下、施工順に第2実施形態を説明する。
先ず、第1実施形態同様、図1で示す第1工程(仕切り工程)を実施する。
そして、図8の第2工程「削孔工程」を行う。
【0049】
第2工程(削孔工程)では、可撓性のロッドを用いて比較的小径な掘削孔を削孔する技術(いわゆる「曲がりボーリング」の技術)等を適用して、高圧流体ジェットを用いて、水平方向へ延在するボーリング孔、すなわち汚染物質であるVOC回収用ボーリング孔21と、土壌切削用ボーリング孔22とを削孔する。
ここで、VOC回収用ボーリング孔21の位置としては、粘性土以外の土壌を選択するのが好ましい。そして、切削用ボーリング孔22の位置としては、粘性土層Gpb全体を切削することが可能となる様に、粘性土層Gpbの鉛直方向中央の領域に形成するのが好ましい。
【0050】
次に、図9の第3工程「土壌切削工程」を行う。
第3工程では、第2工程で削孔された切削用ボーリング孔22に、例えば、図示しない土壌掘削用噴射装置を挿入して、その噴射装置から、高圧流体ジェット3を噴射しつつ、周囲の粘性土層Gpbを含む汚染土壌Gpを切削する。
図示では、多数の高圧流体ジェット3が同時に噴射されている様に描かれているが、これは、図示しない噴射装置を、左右に移動した場合の噴射ジェット3の軌跡を描いたものである。
【0051】
図8の削孔工程及び図9の土壌切削工程では、高圧流体ジェット噴射時に、噴流に粒体を混ぜてやることが可能である。粒体は、水その他の流体を透過する性質があるもの(流体透過性が高いもの)、例えば粒径が揃ったものを選択し、流体透過性が高い領域を確保(加熱用流体やVOCの通り道の確保)するためである。
粘土層Gpbは高圧流体ジェット3により単に切削したのみでは、切削されたボーリング孔21、22や、切削された流域が、土壌の崩落等により閉塞してしまう恐れが存在する。そして、切削された粘性土層Gpbが塞がると、当該粘性土層Gpbにおける加熱流体やVOCの移動を疎外してしまう恐れがある。それに対して、流体透過性が高い粒体を高圧流体ジェット噴流3に混ぜてやれば、切削されたボーリング孔や領域において、加熱用流体や汚染物質VOCの通り道が確保出来るのである。
【0052】
次に、第4工程(1次回収工程「地下水汲み上げ工程」で第1実施系地の図3と同内容)、及び第5工程(「地表面被覆工程」で第1実施形態の図4と同内容)を実施する。
第4工程及び第5工程については、図3、図4で前述したのと同じである。
即ち、VOCの除去は加熱によって行われ、加熱される土壌における比熱が問題となる。そのため、1次回収で地下水を除去することにより、加熱されるべき土壌における含水率が低減することから透気性が向上し、且つ、比熱を低下するので、当該土壌における熱伝達を良好ならしめるのである。
なお、第4工程(1次回収工程「地下水汲み上げ工程」)では、地上の建造物の不等沈下の防止を考慮する必要がある。
【0053】
次に、図10の第6工程「2次回収工程:汚染物質回収工程」を実施する。
第6工程では、切削用ボーリング孔22に加熱流体供給源16に接続された加熱流体用チューブ9を通し、加熱流体供給源16から加熱流体用チューブ9に加熱用流体を流す。
加熱流体供給源16から加熱流体用チューブ9に加熱用流体を流すことにより、加熱用流体が保有する熱量が周辺土壌(汚染土壌)Gpに伝達される。その結果、周辺の汚染土壌Gpを昇温し、VOCを汚染土壌Gpから分離或いは遊離させる。
【0054】
汚染土壌Gpから分離或いは遊離したVOCは、地上側へ浮遊して、回収用ボーリング孔21に到達する。回収用ボーリング孔21は、地上側の図示しない吸引装置(例えば、吸引ポンプ)により吸引されており、回収用ボーリング孔21に到達したVOCは、加熱流体処理設備(図10では図示せず)に送られ、無害化される。
【0055】
尚、工程としては記述していないが、第2実施形態においても、地表面Gfは非透過性シート4で覆われている。そして、図5で示すのと同様に、シート4に開口部を形成し、図5で示すのと同様に、当該開口部が処理施設まで連通しているのが好ましい。
回収用ボーリング孔21で回収されなかったVOCが地表面Gfから拡散すること無く、収集、処理される様にするためである。また、地表面Gfを非透過性シート4で覆えば、後述する様に吸引井2BからVOC及び加熱流体を回収する際に、地表から空気が侵入して吸引井2Bに吸引されてしまうことを防止することが出来る。
【0056】
図11は、図10で示す回収用ボーリング孔を介して回収した汚染物質VOCを、図示しない処理設備に送る態様の一例を示した図である。
図11の例では、複数階に形成した回収用ボーリング孔21が吸収井210に連通しており、回収用ボーリング孔21で回収した汚染物質VOCを、その吸収井210から図示しない吸引装置を介して図示しない処理設備へ送る様に構成されている。
【0057】
次に、図12〜図20を参照して第3実施形態を説明する。
先ず、第1実施形態と同様に、図1で示す様な第1工程(仕切り工程)を実施する。
図12に示す第2工程では、汚染土壌Gpに到達する様な複数(図12では3本のみ図示)の鉛直方向のボーリング孔、或いは井戸(第3実施形態において、鉛直方向の孔を「井戸」と記載する)2A、2B、2Bを削孔する。
図19を参照して後述するが、中央の1本は、加熱用流体が供給される井戸2Aである。左右の2本は加熱用流体及びVOCを回収(吸引)する井戸2Bである。
【0058】
図13(縦断面図)及び図14(図13に対応する平面図)は何れも第3工程「流体流路形成工程」を示している。
図13、図14の第3工程「流体流路形成工程」では、例えば、井戸2A、2B、2Bに噴射装置11を挿入し、噴射装置11から鉛直方向について極めて狭い範囲のみで回転しつつ高圧流体(例えば高圧水)を噴射して、汚染土壌Gpを切削しつつ、鉛直方向に移動する。
【0059】
図14で示す様に、高圧流体により切削された領域(図14において符号JAA、JAB1、JAB2で示す)は、その一部が必ず重複するようにせしめる。
高圧流体で切削された領域は、流体が移動し易い状態となるので、図14で示す様に汚染土壌Gpを切削することによって、図14中、太い破線で示す部分が流体が流れやすい状態となる。換言すれば、図14において、太い破線で示す部分に、流体流路23が形成される。そして、形成された流体流路23を経由することによって、鉛直の井戸2Aと2B間で流体(例えば空気)が流過することが可能となる。
【0060】
ここで、時間の経過とともに、切削した部分(図14の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が上下の粘性土により潰れてしまう恐れが存在する。切削した部分が潰れてしまうと、流体が流過出来なくなってしまうため、流体の経路を確保する必要性が生じる。
図13、図14で示す第3工程、すなわち高圧流体ジェット3で土壌を切削して流体流路を形成する工程「流体流路形成工程」に際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧流体ジェットと共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧流体ジェットで切削した流域に残存すれば、流体の経路が確保できるからである。
【0061】
図13、図14で示す第3工程「流体流路形成工程」により、井戸2A、2B間で流体流路23(1段目の流体流路23)が形成されたのであれば、次に、深度を変えて、当該第3工程(鉛直方向について薄い範囲だけ高圧流体ジェット3を噴射して地盤を多段に切削する、すなわち、隣接する井戸と井戸の間で流体流路23を形成する工程)を繰り返す。
その結果の模式図が図15で示されている。
図15の状態では、隣接する井戸2A、2B同士が、深度の異なる複数の流体流路23で連通し、その内の井戸2Aには後述する加熱流体供給管24を挿入し、他の井戸2Bには後述する流体吸引管25を挿入した状態が示されている。そして、係る状態が、図16で説明する第4工程「鉛直管挿入工程」が施工可能な状態である。
【0062】
図16の第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2A内に、加熱流体供給管24を挿入し、加熱流体供給管24を地上側の加熱流体供給源16に接続している。
加熱流体供給源16から加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体は、加熱流体供給管24、水平の流体流路23を流れる際に、加熱流体供給管24の周囲及び流体流路23の周囲の汚染土壌Gpを昇温し、汚染土壌Gpに含まれる汚染物質VOCを遊離させる。汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から取り込まれる。
【0063】
第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2B内に、流体流路23で吸収したVOCを地上側に吸引するための吸引管25を挿入する。吸引管25は地上側で、例えば図示しない吸引ポンプに接続される。
後述する様に、図示しない吸引ポンプで吸引管25に負圧を作用させることにより、汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から吸引されるのである。
【0064】
図16の1本の井戸2Bの断面を更に詳細に示したのが図17である。
図17の井戸2Bにおいて、井戸2Bの内壁と吸引管25との間には隙間が生じる。井戸2Bの開口部において係る隙間を放置しておけば、回収しようとする汚染物質である揮発性化合物VOCが、当該隙間及び開口部を介して、大気中に拡散してしまう恐れがある。
これに対して、井戸2Bの開口部から所定の深さまでは、例えば、ベントナイトやグラウト材を充填して、井戸2Bの内壁と吸引管25との間の隙間をシール14とする。
【0065】
尚、当該シール14の下方には、通気性の良い砂15を充填して、施工途中の吸引管24のガタツキを抑制すると共に、施工終了時に吸引管24を撤去する際における吸引管24の引抜きを容易にしている。
【0066】
ここで、土壌における通気性が良好な場合には、後述する様に吸引管24で負圧を作用させた際に、土壌中に存在するVOCを吸引せずに、通気性が良好な土壌を解して大気が吸引管24に吸引されてしまう恐れがある。その様な現象における大気の流れを、図18では矢印Sで示している。
図18の第5工程「地表被覆工程」では、地表面Gfから大気が土壌Gを浸透して、吸引管25の下端から吸引管25内に混入してしまう現象(矢印Sで示す)を防止するために、地表面Gfに非透過性のシート4を敷くのである。
【0067】
また、汚染土壌Gpの通気性が良いと、加熱されて土壌から遊離したVOCが地表面GFから大気中に拡散してしまう恐れがある。その様な大気中へのVOC拡散防止のためにも、シート4を敷いて、地表を被覆するのである。
なお、汚染土壌Gpの大半が粘性土層Gpbで形成されている場合には、矢印Sで示す空気の流れが生じる可能性が低く、大気が汚染土壌Gpに浸透する可能性も低いので、シート4を省くことが出来る。
【0068】
図19は第6工程である「加熱及び吸収工程」の内の加熱の状態を示している。図19において、加熱流体供給管24の上流側に設けた加熱流体供給源16から、加熱用流体(流体の流れを矢印Fで示す)を井戸2Aに挿入した加熱流体供給管24内に供給する。
加熱流体供給管24に供給された高温の加熱用流体Fは、加熱流体供給管24、流体流路23を経由して、吸引管25で吸引される間に、流体が保有する熱量Hを、加熱流体供給管24や流体流路23周辺の土壌に伝達され、また、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入される。
【0069】
前述したように、吸引管25は図示しない吸引手段(例えば吸引ポンプ)に接続されており、その吸引手段によって、加熱用流体を地上に吸引している。
汚染土壌Gpに熱量Hが投入される結果、汚染土壌Gpから揮発性化合物VOCが遊離する。
【0070】
図示の例では、加熱流体供給源16で予め高温になった加熱流体を加熱流体供給管24に供給している。
或いは、加熱流体供給管24に加熱手段(例えばニクロム線等)を設け、加熱流体供給源16側から水或いは空気を加熱流体供給管24内に供給し、加熱流体供給管24内でニクロム線に通電することによって、供給された水或いは空気を加熱する。そして、加熱されて高温になった加熱流体を、流体流路23、吸引管25に流過させても良い。
【0071】
図20は、第6工程「加熱及び吸収工程」における汚染物質吸収の状態を示している。
図20の第6工程では、図19で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOCを流体流路23に吸収して取り込み(図19では、VOCの流れを矢印Vで示す)、その取り込んだVOCを、流体流路23、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込むのである。
流体流路23、吸引管25内の矢印F2は、VOCと混合した加熱流体の流れの向きを示している。
【0072】
第6工程「加熱及び吸収工程」(図19、図20)では、基本的には、熱流体を供給しながら、VOCを吸引する。しかし、熱流体を供給して汚染土壌Gpを加熱した後に、熱流体の供給を一旦停止して、熱流体を供給した井戸2Aを閉塞して、VOCを吸引しても良い。
【0073】
図12〜図20の第3実施形態では、隣接する井戸2Bは複数本(複数層)の流体流路23で連通している。しかし、単一(単層)の流体流路(図21の符号231)で隣接する井戸(2Bに挿通した吸引管25)に連通しても良い。
【0074】
図21、図22は、その様な場合、すなわち第3実施形態の変形例を示している。
図21は、第3実施形態の図19と対応する図である。
図21において、加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体Fは、流体流路231を経由して、吸引管25で吸引される。その間に、加熱流体Fが保有する熱量Hを、加熱流体供給管24、流体流路231、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入する。
【0075】
また図22は、第3実施形態の図20と対応する図である。
図22において、図21で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOC(VOCの流れを矢印Vで示す)を、流体流路231を介して吸引し、吸引されたVOCを、流体流路231、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込んでいる。
【0076】
図21、図22の変形例のその他の構成及び作用効果については、第3実施形態と同様であり、以降の説明を省略する。
【0077】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態の第1工程を説明する工程図。
【図2】第1実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図3】第1実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図4】第1実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図5】第1実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図6】第1実施形態の変形例における加熱する工程を説明する図。
【図7】第1実施形態の変形例における汚染物質の吸引工程を説明する図。
【図8】本発明の第2実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図9】第2実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図10】第2実施形態の第6工程を説明する工程図。
【図11】図10に対応する別の第6工程を説明する工程図。
【図12】本発明の第3実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図13】第3実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図14】図13に対応する平面図。
【図15】第3実施形態において、第4工程「鉛直管挿入工程」の施工可能な状態を示す図。
【図16】第3実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図17】図16の部分詳細図。
【図18】第3実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図19】第3実施形態の第6工程の加熱工程を説明する工程図。
【図20】第3実施形態の第6工程の吸収工程を説明する工程図。
【図21】第3実施形態の変形例で、加熱工程を説明する工程図。
【図22】第3実施形態の変形例で、吸収工程を説明する工程図。
【符号の説明】
【0079】
1・・・シートパイル
2・・・鉛直掘削孔/鉛直ボーリング孔
3・・・高圧流体ジェット
4・・・布状部材/シート
5・・・流体加熱装置
6・・・送気管
7・・・吸引装置/ブロワ
8・・・処理設備
9・・・加熱流体用チューブ
11・・・モニタ
14・・・シール
15・・・通気性の良い砂
16・・・加熱流体供給源
21・・・VOC回収用ボーリング孔
22・・・切削用ボーリング孔
23・・・流体流路
24・・・加熱流体供給管
25・・・吸引管
G・・・土壌
Gp・・・汚染土壌
Gpb・・・粘性土層
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば揮発性化合物(VOC)等の汚染物質により汚染された土壌を浄化する土壌浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
係る汚染土壌の浄化技術については、従来から種々提案されている。
ここで、浄化するべき土壌が砂地盤であれば、汚染物質の除去は比較的容易である。これに対して、土壌が粘土等の粘性土層で構成されている場合には、土粒子が水と共に汚染物質を包含してしまうため、汚染物質のみを除去することが困難である。
すなわち、粘土等の粘性土層では、粘性土層を構成する土粒子間に包含された汚染物質が当該土粒子から浸出して分離されなければ除去することが出来ないので、汚染物質を土粒子から分離して除去することが困難であった。
【0003】
その他の従来技術としては、吸引井戸と加熱井戸とを掘削して土壌中から有害な揮発性化合物(VOC)を除去する技術が存在する(特許文献1参照)。
しかし、この技術においては、比熱が高い地盤(含水率が高い土壌)や粘性土地盤では熱が十分に伝達されないので、有害物質の除去が十分に行われない。
【特許文献1】特許第3658936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、比熱が高い地盤(含水率が高い土壌)や粘性土地盤(透気性の低い土壌)においても有害物質を十分に除去することが出来る土壌染浄化工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)に鉛直方向の複数の掘削孔(2)を削孔する工程(図2)と、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)と、複数の掘削孔(2)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)と、地表面(Gf)に非透過性の布状部材(シート4)を敷設する工程(図4)と、前記掘削孔(2)に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程(図5)と、土壌(G)から遊離した汚染物質を地表面(Gf)と前記布状部材(4)との間の空間(E)を介して回収する工程(2次回収工程;図5)、とを含むことを特徴としている(請求項1:図2〜図5)。
【0006】
また、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)に鉛直方向の複数の掘削孔(2)を削孔する工程(図2)と、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)と、複数の掘削孔(2)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)と、前記掘削孔(2)に(挿入された加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに)加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程(図6)と、該掘削孔(2)に(挿入された加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに)吸引装置(例えばブロワ7)を(送気管6を介して)連通して土壌(G)から遊離した汚染物質を回収する工程(2次回収工程;図7)、とを含むことを特徴としている(請求項2:図2、図3、図6、図7)。
【0007】
本発明の実施に際して、地下水が存在する場合は、複数の掘削孔(2)を削孔する前記工程(図2)に先立って、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)を隔壁部材(例えばシートパイル1)で仕切る工程(図1)を実行することが好ましい。
【0008】
また、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域(Gp)に水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図9)と、複数の掘削孔(22)を介して前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)と、土壌(Gp)から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程(2次回収工程;図11)、とを含むことを特徴としている(請求項3:図8〜図11)。
【0009】
係る本発明の実施に際して、水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)に先立って、土壌が汚染された領域(汚染土壌Gp)を隔壁部材(例えばシートパイル1)で仕切る工程(図1)を実行することが好ましい。
【0010】
ここで、土壌加熱用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)を実施した後に、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程を実施しても良い。
或いは、土壌加熱用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程と、土壌(Gp)から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程とを、同時に実施しても良い。
【0011】
或いは、本発明の土壌浄化工法は、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)を(複数)掘削する工程(図12)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させ、以って、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の液体や蒸気等)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程(図16)を含み、該加熱用流体循環工程(図16)では、(加熱用流体により加熱されて)土壌から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引することを特徴としている(請求項4:図12〜図22)。
【0012】
本発明において、前記加熱用流体循環工程(図5、図10、図16)において、加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱した後に、加熱用流体の循環を停止してから、土壌(Gp)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することが出来る。
或いは、加熱用流体を循環させつつ、加熱用流体と共に(土壌Gpから遊離した)汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2、21、23及び/又は、空間E)を介して回収することも出来る。
【0013】
また、本発明において、高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して隣接する掘削孔同士を連通せしめている箇所(流体流路23)は、複数の異なる深度に形成されても良いし(図15、図19、図20)、所定の深度にのみ形成されていても良い(図21、図22)。
【0014】
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で土壌を切削する際に、流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)と共に噴射し、係る流体透過性が良好な粒体(多孔質の粒子やビーズ等)を高圧流体ジェット(3)で切削した流域に残存せしめて、流体の経路を確保することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述する構成を具備する本発明によれば、当該掘削孔(2)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図2)を有しているので(請求項1、請求項2)、係る工程により、例えばVOCのような汚染物質を包含している粘性土層が切削されて、汚染物質を粘性土層から浸出させるので、粘性土層であっても、砂地盤の場合と同様に汚染物質を容易に除去することが出来る。
これに加えて本発明によれば、前記掘削孔(2)に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程(図5)を備えている(請求項1)か、或いは、前記掘削孔(2)に加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程(図6)を備えている(請求項2)ので、当該工程により付加される熱エネルギーにより、粘性土層から浸出した汚染物質が分離して、移動可能となり、地上側へ排出することが可能となる。
【0016】
ここで本発明は、複数の掘削孔(2)を介して仕切られた前記領域(土壌が汚染された領域汚染土壌Gp:前記切削する工程を実施した領域)の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程;図3)を有している(請求項1、請求項2)ので、本発明が施工される領域が、含水率が高く比熱の高い粘性土壌であっても、当該地下水を汲み上げる工程(図3)によって予め地下水が汲み上げられ、含水率が低減されることから透気性が向上し、且つ、比熱が低減されているので、当該土壌が加熱された場合に昇温し易くされている。そのため、粘性土壌内に閉じ込められた汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)は、容易に、粘性土層外に排出されるのである。
【0017】
そして、粘性土層から分離して地上側に移動した汚染物質(例えば、VOC)は、地上側に放出されても前記布状部材(4:請求項1)により拡散することが防止され、地表面と前記布状部材(4)との間の空間(E)に一時的に貯留される。そして、回収する工程(2次回収工程;図10、図11)によって効率良く回収されるのである。
或いは、掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)を多数配置して、隣接する掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)の間隔(ピッチ)を小さくすることにより、前記布状部材(4)を地表面に敷設しなくても、掘削孔(2:或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2H)を介して(請求項2)、粘性土層から遊離した汚染物質(VOC等)を、大気に拡散すること無く回収することが出来る。
【0018】
或いは、本発明において、水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(22)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を掘削する工程(図8)と、加熱用流体循環用の掘削孔(22)を中心に半径方向外方に高圧流体ジェット(3)を噴射して汚染物質(例えば、VOC)を包含する土壌の領域(Gp)を切削する工程(図9)とを実施する場合(請求項3)も、(請求項1、請求項2と)同様に、粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が当該粘性土層から浸出し易くなる。これに加えて、加熱用流体循環用の掘削孔(22)に加熱用流体を循環させて土壌(Gp)を加熱する工程(図10)によって粘性土層が容易に加熱されるので、VOCの様な汚染物質が粘性土層から分離して、当該土壌から効率的に除去されるのである。
その際に、複数の掘削孔(22)を介して仕切られた領域の地下水を汲み上げる工程(1次回収工程)により、切削された粘性土層の含水率が低減されることから透気性が向上し、且つ、比熱が低減されるので、土壌(Gp)を加熱する工程(図10)において、粘性土層が効率的に加熱される。
【0019】
粘性土層からより分離・移動した汚染物質は、土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収する工程(2次回収工程;図10、図11)により、確実に回収され、処理施設等で処理することが可能となる。
【0020】
仮に、粘性土層からより分離・移動した汚染物質(VOC)が、土壌汚染物質回収用の掘削孔(21)を介して回収されずに地上側に放出されても、前記布状部材(4)を敷設しておけば、当該布状部材(4)により、汚染物質(VOC)は地表面と前記布状部材(4)との間の空間(E)に貯留され、大気中へ拡散してしまうことは無い。従って、上述した様な回収する工程(2次回収工程;図10、図11)を実行することによって、効率良く回収される。
【0021】
或いは本発明によれば、土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔(2A)及び土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)を(複数)掘削する工程(図12)と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外側に高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)とを含み、当該高圧流体ジェット(3)を噴射する工程(図13、図14)では、隣接する掘削孔(2A、2B)から噴射された高圧流体ジェット(3)で切削された領域が(一部)重複させている(請求項4)ので、高圧流体ジェット(3)で切削された領域により、その(一部)重複した領域を介して、隣接する掘削孔同士を連通せしめることが出来る。換言すれば、高圧流体ジェット(3)で切削された領域によって、流体流路(23)を形成することが出来る。
これに加えて、高圧流体ジェット(3)で切削することにより、汚染されている領域、例えば粘性土層が切削されてVOCの様な汚染物質が粘性土層から浸出し易くなる。
【0022】
これに加えて本発明では、隣接する掘削孔(2A、2B)同士を高圧流体ジェット(3)で切削された領域を介して連通せしめることが出来るので、加熱用流体循環用の掘削孔(2A)から加熱用流体(例えば、高温の液体や蒸気等)を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から吸引し以って土壌を加熱すること(加熱用流体循環工程:図16)が可能となる。そして、加熱用流体を循環させることにより、高圧流体ジェット(3)で切削された領域、或いはその近傍の領域に存在する汚染物質(例えばVOC)が加熱されて、土壌から分離し移動し易くなる。
【0023】
土壌から分離し移動した汚染物質(VOC等)は、加熱用流体と共に、或いは、加熱用流体を循環させた後に、(加熱用流体により加熱されて)土壌(例えば粘性土層)から遊離した汚染物質(VOC)を土壌汚染物質回収用の掘削孔(2B)から地上側へ吸引される。
ここで、上述した(切削された領域によって形成された)流体流路(23)を、複数の異なる深度に形成すれば、汚染領域が鉛直方向に広い範囲に亘っている場合であっても、汚染物質を確実に除去することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図5を参照して第1実施形態を説明する。ここで、第1実施形態は、鉛直井(鉛直方向に削孔されたボーリング孔)で加熱する実施形態である。
【0025】
第1工程「仕切り工程」においては、図1に示すように、土壌Gにおける汚染領域(汚染土壌)Gpを、隔壁部材であるシートパイル1によって、(例えば長方形状に)仕切る。
図示の例では、汚染領域(汚染土壌)Gpは、鉛直方向下方の粘性土層Gpbと、鉛直方向上方の粘性土以外の土壌から成る層(例えば、砂層)Gpaから構成されている(図2参照)。
なお、地下水脈が存在しない場合や、地下水レベルが汚染領域(汚染土壌)Gpよりも遥かに下方である場合等においては、第1工程「仕切り工程」を省略することが可能である。
【0026】
第2工程「切削工程」では、図2に示すように、前記(長方形状に)仕切られた領域(汚染土壌、又は汚染領域)Gpに、地表面Gfから、公知の掘削機によって複数箇所に、鉛直方向へ掘削孔(ボーリング孔)2を掘削する。
そして、その掘削孔2に図示しない噴射装置を挿入し、噴射装置を回転及び上下方向に移動させながら噴射装置から高圧流体ジェット(例えば高圧水ジェット)3を噴射させる。
図2では、鉛直方向位置が異なる多数の高圧流体ジェット3が同時に描かれているが、これは、例えば、図示しない噴射装置を鉛直方向へ移動した場合の高圧流体ジェット3の軌跡を同時に示したものである。
【0027】
粘性土層Gpbでは、例えば揮発性化合物VOCの様な汚染物質が土粒子により包含されており、係る汚染物質を土粒子から分離して除去することが困難な状態となっている。これに対して、粘性土層Gpbを高圧流体ジェット3で切削すれば、汚染物質(例えば揮発性化合物VOC)が粘性土から浸出するので、施工対象領域からの除去が促進される。すなわち、高圧流体ジェット3を使って粘性土層Gpbを切削することにより、従来技術では除去し難かった粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質が粘性土層Gpbから浸出するため、除去し易い状態となるのである。そして、後述する様に、粘性土層Gpbから浸出した汚染物質は、当該土壌を加熱することにより、容易に土壌から分離、移動するのである。
【0028】
換言すれば、従来技術では汚染物質(例えばVOC)が除去出来ない地層(粘性土層Gpb)であっても、高圧流体ジェット3で土壌(汚染土壌)Gpを切削し、撹拌し、後述する様に加熱することによって、粘性土層から揮発性の化合物VOCの様な汚染物質を分離し、除去することが可能となる。
なお、高圧流体ジェット3を、(たとえば、高圧蒸気等により)噴射前に十分に加熱した状態にしておけば、VOCの除去を更に効果的に行うことが出来る。
【0029】
後述するように(図3の第3工程における説明参照)、汚染物質の除去のためには、汚染土壌Gp中に含まれる水の量を出来る限り少なくして、比熱を減少することが望ましい。従って、高圧流体ジェット3で汚染土壌Gpを切削する場合も、使用する水量、すなわち汚染土壌Gp中に混入されてしまう水量は出来る限り少なくすることが望ましい。
従って、図2の工程において、土壌を切削する高圧流体ジェットとして、超高圧で径が小さなジェット3を使用することが望まれる。超高圧ジェット3は、噴流の径が極めて小さいので、噴流の水量が少なく、土壌を細分化するのに適しており、且つ、水が多量に土壌へ浸入しないからである。
【0030】
図2における第2工程「切削工程」に際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧流体ジェットと共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧流体ジェットで切削した流域に残存すれば、流体経路が確保できる。そして、係る流体経路を介して、加熱流体を汚染土壌中に供給し、或いは、汚染物質を吸引用のパイプ2H(図5参照)まで移動させることが出来るからである。
【0031】
図3の第3工程は、「1次回収工程」と呼ばれ、この第3工程では、既に形成されている掘削孔2(図2)に挿入された吸引用パイプ2Dを介して、地下水を汲み上げる。
ここで、図示の簡略化のため、図3ではパイプ2Dのみを示し、掘削孔2の表示を省略している。なお、図示の実施形態ではパイプ2Dは掘削孔2に挿入されるが、掘削孔2とは別の箇所を掘削して、吸引用パイプ2Dを挿入しても良い。
【0032】
地下水を汲み上げることによって、図3のラインLwで示される地下水の分布レベルは降下する。そして、地下水を組み上げることにより、地下水中の汚染物質が除去出来る。
汲み上げられた地下水は、図示しない吸引手段によって、各パイプ2D毎に吸引(矢印Y1)され、図示しない搬送手段によって水処理設備(例えば曝気処理設備等)に送られる(矢印Y2)。
なお、地下水を組み上げる際に、地上の建造物における不等沈下の防止を考慮する必要がある。
【0033】
ここで、汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)の除去するに際しては、後述する様に加熱を行うが、加熱に際しては加熱される土壌(汚染物質が存在する土壌)における比熱が問題となる。
水を多く含む土壌は比熱が大きく、熱伝達が良好ではないため、加熱を行うには不利である。これに対して、水の含有率が少ない土壌は比熱が小さいため、熱伝達が良好であり、加熱を行うには有利である。また、水の含有率が少ない土壌は透気性が良好であるため、ガス化したVOCを回収容易としている。
すなわち、汚染物質(VOC)の除去のためには土壌中に含まれる水の量或いは含水率を、出来る限り少なくしたい。そのため、1次回収において、地下水を出来る限り回収して、施工領域における含水率を低減し、以って、加熱の際における熱伝達を良好にせしめて、土壌の昇温速度を速め、VOCを土壌から分離し易くして、汚染物質(VOC)の除去を促進させているのである。
【0034】
図4の第4工程「地表面被覆工程」では、非透水性シート4を地表面Gfに被せる。地表面Gfと非透水性シート4との間には、図5の第5工程「加熱工程兼2次回収工程」に示すように、実際には隙間Eを確保している。なお、図5では係る隙間Eを誇張して表現している。
【0035】
図4において、掘削孔2(図2参照:図4では図示せず)に挿入されるパイプは符号2Hで示されている。後述する様に、図5の工程を実施する際に、パイプ2Hは加熱流体が保有する熱を切削・撹拌された土壌へ良好に伝達するため、熱伝導性が良好な材質製であることが要求される。それと共に、VOC等の汚染物質を効率的に吸引できる様に、鉛直方向の広範囲に亘って多孔状或いはメッシュ状に構成されていることが望ましい。そのため、1次回収(図3)で用いられた吸引用パイプ2Dとは、別のパイプが用いられることが予想されるので、図4では加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプの符号を「2H」で示している。勿論、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hとして、1次回収(図3)で用いられた吸引用パイプ2Dを、そのまま使用することも可能である。
【0036】
図5において、非透水性シート4の一部には開口部4oが形成されており、その開口部4oには吸引装置、例えばブロワ7、を介装した送気管6の一端が接続されている。そして、その送気管6の他端は処理設備8に接続されている。
【0037】
図5では明確に示されていないが、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hは、地上側の流体加熱装置5に接続されている。より詳細には、流体加熱装置5は加熱流体循環ライン51が連通しており、該ライン51は掘削孔2(図2参照:図5では図示せず)或いはパイプ2Hの内部の全長に亙って配置されている。
そして、加熱流体循環ライン51を流れる加熱流体の熱量により、掘削孔2及びその近傍の領域を加熱するのである。
【0038】
上述した様に構成された第1実施形態では、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに連通する加熱流体循環ライン51を流れる加熱流体の熱量により、パイプ2H(或いは掘削孔2)の周囲の土壌が加熱されて昇温する。ここで、汚染物質であるVOCは、図2で示す切削工程において粘性土から浸出した状態となっているので、汚染土壌Gpが加熱され昇温されることにより、当該土壌Gpから分離し遊離する。
分離したVOCは地表面Gfに到達し、地表面Gfと非透水性シート4との間の隙間Eに貯留される。そして、隙間Eに溜まったVOCは、ブロワ7で吸引され、送気管6を介して処理設備内8に送り込まれ、当該処理設備8で処理されて無害化する。
【0039】
すなわち、汚染領域(汚染土壌)Gpが、含水率が高く比熱の高い粘性土層Gpbであっても、第2工程「切削工程」で切削され、さらに図5の工程で加熱されることにより粘土層からVOCが浸出し、図5の工程で加熱されるので、容易に粘性土壌から分離して、地上側まで移動する。
【0040】
ここで、第3工程(地下水を汲み上げる工程、図3)によって予め地下水が汲み上げられるので、当該土壌は図5の工程で加熱された際に加熱され易く、昇温し易いので、粘性土壌から浸出した汚染物質(例えば、揮発性化合物VOC)は、容易に分離し、地上側へ移動する。
地上側へ移動した汚染物質(VOC)は、2次回収工程(図5)によって効率良く地上に回収出来る。
【0041】
図6及び図7は、上述した第1実施形態の変形例を示している。
図1〜図5の第1実施形態では、地表面Gfに非透水性シート4を敷設し、地表面Gfと非透水性シート4との間の隙間EにVOC等の汚染物質を貯留し、隙間Eに溜まったVOCをブロワ7で吸引して処理設備8に送っている。
これに対して、図6及び図7の変形例では、係る非透水性シート4を敷設していない。
【0042】
掘削孔2(図3)或いは加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hの本数が多数あり、隣接する掘削孔2或いはパイプ2H間の距離(ピッチ)が十分に短ければ、地表面Gfを非透水性シート4で覆わなくても、VOCが地表面から大気に拡散することを防止可能である。
図6及び図7の変形例は、その様な場合、すなわち地表面Gfを非透水性シート4で覆わない場合について説明している。
【0043】
図6及び図7の変形例では、図3で示す1次回収が終了した後に、地表面Gfを非透水性シート4で覆うこと無く、加熱流体供給及び汚染物質吸引用のパイプ2Hに加熱流体HLを供給する。
上述した通り、パイプ2Hは熱伝導性が良好な材質製であり且つ鉛直方向の広範囲に亘って多孔状或いはメッシュ状に構成されているので、加熱流体或いはその保有する熱量は、図6中矢印Hで示す様に、汚染土壌中に効率的に供給される。その結果、図2の切削工程で汚染土壌から浸出したVOCが加熱され、土壌から分離して移動する。
【0044】
そして、図7で示す様に、パイプ2Hの各々を送気管6を介してブロワ7に接続し、ブロワ7によって吸引すれば、パイプ2Hには負圧が作用する。汚染土壌から分離したVOCは、係る負圧により(汚染土壌に供給された加熱流体と共に)パイプ2Hに吸引され、送気管6を介して処理設備内8に送り込まれ、当該処理設備8で処理されて無害化する。
ここで、加熱されたVOCがパイプ2Hに吸引されず、地表面Gfから大気中に拡散してしまうことは、パイプ2Hの本数或いは掘削孔2の本数を多くして、隣接するパイプ2H或いは掘削孔2のピッチを小さくすることにより、十分に防止される。
【0045】
図6及び図7の変形例のその他の構成及び作用効果は、図1〜図5の第1実施形態と同様である。
【0046】
次に、図8〜図11を参照して第2実施形態を説明する。
図1〜図7の第1実施形態では、高圧流体ジェット3を使って粘性土層Gpbを切り刻み、粘性土層Gpbに染み込んだ汚染物質を遊離させて除去するために、鉛直方向に延びるボーリング孔2を掘削して高圧流体ジェット3を噴射(図2参照)する実施形態であった。
しかし、例えば汚染土壌Gpの地上部に既に建築物が存在している場合等は、第1実施形態の様に垂直のボーリング孔を掘削することが出来ない。
【0047】
第2実施形態では、そのように、垂直なボーリング孔が削孔出来ない場合を想定しており、汚染土壌Gpを水平方向に切削することにより、汚染物質(例えばVOC)を除去する実施形態である。
施工概要は、施工領域(汚染土壌)Gpの上方における領域Gpaに汚染物質回収用の水平孔(横孔)21を掘削し、当該領域Gpaの下方であって、例えば粘性土層Gpbに、土壌切削用且つ加熱用の水平孔(横孔)22を掘削する。
【0048】
以下、施工順に第2実施形態を説明する。
先ず、第1実施形態同様、図1で示す第1工程(仕切り工程)を実施する。
そして、図8の第2工程「削孔工程」を行う。
【0049】
第2工程(削孔工程)では、可撓性のロッドを用いて比較的小径な掘削孔を削孔する技術(いわゆる「曲がりボーリング」の技術)等を適用して、高圧流体ジェットを用いて、水平方向へ延在するボーリング孔、すなわち汚染物質であるVOC回収用ボーリング孔21と、土壌切削用ボーリング孔22とを削孔する。
ここで、VOC回収用ボーリング孔21の位置としては、粘性土以外の土壌を選択するのが好ましい。そして、切削用ボーリング孔22の位置としては、粘性土層Gpb全体を切削することが可能となる様に、粘性土層Gpbの鉛直方向中央の領域に形成するのが好ましい。
【0050】
次に、図9の第3工程「土壌切削工程」を行う。
第3工程では、第2工程で削孔された切削用ボーリング孔22に、例えば、図示しない土壌掘削用噴射装置を挿入して、その噴射装置から、高圧流体ジェット3を噴射しつつ、周囲の粘性土層Gpbを含む汚染土壌Gpを切削する。
図示では、多数の高圧流体ジェット3が同時に噴射されている様に描かれているが、これは、図示しない噴射装置を、左右に移動した場合の噴射ジェット3の軌跡を描いたものである。
【0051】
図8の削孔工程及び図9の土壌切削工程では、高圧流体ジェット噴射時に、噴流に粒体を混ぜてやることが可能である。粒体は、水その他の流体を透過する性質があるもの(流体透過性が高いもの)、例えば粒径が揃ったものを選択し、流体透過性が高い領域を確保(加熱用流体やVOCの通り道の確保)するためである。
粘土層Gpbは高圧流体ジェット3により単に切削したのみでは、切削されたボーリング孔21、22や、切削された流域が、土壌の崩落等により閉塞してしまう恐れが存在する。そして、切削された粘性土層Gpbが塞がると、当該粘性土層Gpbにおける加熱流体やVOCの移動を疎外してしまう恐れがある。それに対して、流体透過性が高い粒体を高圧流体ジェット噴流3に混ぜてやれば、切削されたボーリング孔や領域において、加熱用流体や汚染物質VOCの通り道が確保出来るのである。
【0052】
次に、第4工程(1次回収工程「地下水汲み上げ工程」で第1実施系地の図3と同内容)、及び第5工程(「地表面被覆工程」で第1実施形態の図4と同内容)を実施する。
第4工程及び第5工程については、図3、図4で前述したのと同じである。
即ち、VOCの除去は加熱によって行われ、加熱される土壌における比熱が問題となる。そのため、1次回収で地下水を除去することにより、加熱されるべき土壌における含水率が低減することから透気性が向上し、且つ、比熱を低下するので、当該土壌における熱伝達を良好ならしめるのである。
なお、第4工程(1次回収工程「地下水汲み上げ工程」)では、地上の建造物の不等沈下の防止を考慮する必要がある。
【0053】
次に、図10の第6工程「2次回収工程:汚染物質回収工程」を実施する。
第6工程では、切削用ボーリング孔22に加熱流体供給源16に接続された加熱流体用チューブ9を通し、加熱流体供給源16から加熱流体用チューブ9に加熱用流体を流す。
加熱流体供給源16から加熱流体用チューブ9に加熱用流体を流すことにより、加熱用流体が保有する熱量が周辺土壌(汚染土壌)Gpに伝達される。その結果、周辺の汚染土壌Gpを昇温し、VOCを汚染土壌Gpから分離或いは遊離させる。
【0054】
汚染土壌Gpから分離或いは遊離したVOCは、地上側へ浮遊して、回収用ボーリング孔21に到達する。回収用ボーリング孔21は、地上側の図示しない吸引装置(例えば、吸引ポンプ)により吸引されており、回収用ボーリング孔21に到達したVOCは、加熱流体処理設備(図10では図示せず)に送られ、無害化される。
【0055】
尚、工程としては記述していないが、第2実施形態においても、地表面Gfは非透過性シート4で覆われている。そして、図5で示すのと同様に、シート4に開口部を形成し、図5で示すのと同様に、当該開口部が処理施設まで連通しているのが好ましい。
回収用ボーリング孔21で回収されなかったVOCが地表面Gfから拡散すること無く、収集、処理される様にするためである。また、地表面Gfを非透過性シート4で覆えば、後述する様に吸引井2BからVOC及び加熱流体を回収する際に、地表から空気が侵入して吸引井2Bに吸引されてしまうことを防止することが出来る。
【0056】
図11は、図10で示す回収用ボーリング孔を介して回収した汚染物質VOCを、図示しない処理設備に送る態様の一例を示した図である。
図11の例では、複数階に形成した回収用ボーリング孔21が吸収井210に連通しており、回収用ボーリング孔21で回収した汚染物質VOCを、その吸収井210から図示しない吸引装置を介して図示しない処理設備へ送る様に構成されている。
【0057】
次に、図12〜図20を参照して第3実施形態を説明する。
先ず、第1実施形態と同様に、図1で示す様な第1工程(仕切り工程)を実施する。
図12に示す第2工程では、汚染土壌Gpに到達する様な複数(図12では3本のみ図示)の鉛直方向のボーリング孔、或いは井戸(第3実施形態において、鉛直方向の孔を「井戸」と記載する)2A、2B、2Bを削孔する。
図19を参照して後述するが、中央の1本は、加熱用流体が供給される井戸2Aである。左右の2本は加熱用流体及びVOCを回収(吸引)する井戸2Bである。
【0058】
図13(縦断面図)及び図14(図13に対応する平面図)は何れも第3工程「流体流路形成工程」を示している。
図13、図14の第3工程「流体流路形成工程」では、例えば、井戸2A、2B、2Bに噴射装置11を挿入し、噴射装置11から鉛直方向について極めて狭い範囲のみで回転しつつ高圧流体(例えば高圧水)を噴射して、汚染土壌Gpを切削しつつ、鉛直方向に移動する。
【0059】
図14で示す様に、高圧流体により切削された領域(図14において符号JAA、JAB1、JAB2で示す)は、その一部が必ず重複するようにせしめる。
高圧流体で切削された領域は、流体が移動し易い状態となるので、図14で示す様に汚染土壌Gpを切削することによって、図14中、太い破線で示す部分が流体が流れやすい状態となる。換言すれば、図14において、太い破線で示す部分に、流体流路23が形成される。そして、形成された流体流路23を経由することによって、鉛直の井戸2Aと2B間で流体(例えば空気)が流過することが可能となる。
【0060】
ここで、時間の経過とともに、切削した部分(図14の円形部分及び隣接する円形部分の重なり合った部分)が上下の粘性土により潰れてしまう恐れが存在する。切削した部分が潰れてしまうと、流体が流過出来なくなってしまうため、流体の経路を確保する必要性が生じる。
図13、図14で示す第3工程、すなわち高圧流体ジェット3で土壌を切削して流体流路を形成する工程「流体流路形成工程」に際して、図示しない多孔質の粒子や、図示しないビーズの様に、流体透過性が良好な粒体を高圧流体ジェットと共に噴射することが好ましい。係る流体透過性が良好な粒体が高圧流体ジェットで切削した流域に残存すれば、流体の経路が確保できるからである。
【0061】
図13、図14で示す第3工程「流体流路形成工程」により、井戸2A、2B間で流体流路23(1段目の流体流路23)が形成されたのであれば、次に、深度を変えて、当該第3工程(鉛直方向について薄い範囲だけ高圧流体ジェット3を噴射して地盤を多段に切削する、すなわち、隣接する井戸と井戸の間で流体流路23を形成する工程)を繰り返す。
その結果の模式図が図15で示されている。
図15の状態では、隣接する井戸2A、2B同士が、深度の異なる複数の流体流路23で連通し、その内の井戸2Aには後述する加熱流体供給管24を挿入し、他の井戸2Bには後述する流体吸引管25を挿入した状態が示されている。そして、係る状態が、図16で説明する第4工程「鉛直管挿入工程」が施工可能な状態である。
【0062】
図16の第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2A内に、加熱流体供給管24を挿入し、加熱流体供給管24を地上側の加熱流体供給源16に接続している。
加熱流体供給源16から加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体は、加熱流体供給管24、水平の流体流路23を流れる際に、加熱流体供給管24の周囲及び流体流路23の周囲の汚染土壌Gpを昇温し、汚染土壌Gpに含まれる汚染物質VOCを遊離させる。汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から取り込まれる。
【0063】
第4工程「鉛直管挿入工程」では、井戸2B内に、流体流路23で吸収したVOCを地上側に吸引するための吸引管25を挿入する。吸引管25は地上側で、例えば図示しない吸引ポンプに接続される。
後述する様に、図示しない吸引ポンプで吸引管25に負圧を作用させることにより、汚染土壌Gpから遊離したVOCは、流体流路23から吸引されるのである。
【0064】
図16の1本の井戸2Bの断面を更に詳細に示したのが図17である。
図17の井戸2Bにおいて、井戸2Bの内壁と吸引管25との間には隙間が生じる。井戸2Bの開口部において係る隙間を放置しておけば、回収しようとする汚染物質である揮発性化合物VOCが、当該隙間及び開口部を介して、大気中に拡散してしまう恐れがある。
これに対して、井戸2Bの開口部から所定の深さまでは、例えば、ベントナイトやグラウト材を充填して、井戸2Bの内壁と吸引管25との間の隙間をシール14とする。
【0065】
尚、当該シール14の下方には、通気性の良い砂15を充填して、施工途中の吸引管24のガタツキを抑制すると共に、施工終了時に吸引管24を撤去する際における吸引管24の引抜きを容易にしている。
【0066】
ここで、土壌における通気性が良好な場合には、後述する様に吸引管24で負圧を作用させた際に、土壌中に存在するVOCを吸引せずに、通気性が良好な土壌を解して大気が吸引管24に吸引されてしまう恐れがある。その様な現象における大気の流れを、図18では矢印Sで示している。
図18の第5工程「地表被覆工程」では、地表面Gfから大気が土壌Gを浸透して、吸引管25の下端から吸引管25内に混入してしまう現象(矢印Sで示す)を防止するために、地表面Gfに非透過性のシート4を敷くのである。
【0067】
また、汚染土壌Gpの通気性が良いと、加熱されて土壌から遊離したVOCが地表面GFから大気中に拡散してしまう恐れがある。その様な大気中へのVOC拡散防止のためにも、シート4を敷いて、地表を被覆するのである。
なお、汚染土壌Gpの大半が粘性土層Gpbで形成されている場合には、矢印Sで示す空気の流れが生じる可能性が低く、大気が汚染土壌Gpに浸透する可能性も低いので、シート4を省くことが出来る。
【0068】
図19は第6工程である「加熱及び吸収工程」の内の加熱の状態を示している。図19において、加熱流体供給管24の上流側に設けた加熱流体供給源16から、加熱用流体(流体の流れを矢印Fで示す)を井戸2Aに挿入した加熱流体供給管24内に供給する。
加熱流体供給管24に供給された高温の加熱用流体Fは、加熱流体供給管24、流体流路23を経由して、吸引管25で吸引される間に、流体が保有する熱量Hを、加熱流体供給管24や流体流路23周辺の土壌に伝達され、また、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入される。
【0069】
前述したように、吸引管25は図示しない吸引手段(例えば吸引ポンプ)に接続されており、その吸引手段によって、加熱用流体を地上に吸引している。
汚染土壌Gpに熱量Hが投入される結果、汚染土壌Gpから揮発性化合物VOCが遊離する。
【0070】
図示の例では、加熱流体供給源16で予め高温になった加熱流体を加熱流体供給管24に供給している。
或いは、加熱流体供給管24に加熱手段(例えばニクロム線等)を設け、加熱流体供給源16側から水或いは空気を加熱流体供給管24内に供給し、加熱流体供給管24内でニクロム線に通電することによって、供給された水或いは空気を加熱する。そして、加熱されて高温になった加熱流体を、流体流路23、吸引管25に流過させても良い。
【0071】
図20は、第6工程「加熱及び吸収工程」における汚染物質吸収の状態を示している。
図20の第6工程では、図19で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOCを流体流路23に吸収して取り込み(図19では、VOCの流れを矢印Vで示す)、その取り込んだVOCを、流体流路23、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込むのである。
流体流路23、吸引管25内の矢印F2は、VOCと混合した加熱流体の流れの向きを示している。
【0072】
第6工程「加熱及び吸収工程」(図19、図20)では、基本的には、熱流体を供給しながら、VOCを吸引する。しかし、熱流体を供給して汚染土壌Gpを加熱した後に、熱流体の供給を一旦停止して、熱流体を供給した井戸2Aを閉塞して、VOCを吸引しても良い。
【0073】
図12〜図20の第3実施形態では、隣接する井戸2Bは複数本(複数層)の流体流路23で連通している。しかし、単一(単層)の流体流路(図21の符号231)で隣接する井戸(2Bに挿通した吸引管25)に連通しても良い。
【0074】
図21、図22は、その様な場合、すなわち第3実施形態の変形例を示している。
図21は、第3実施形態の図19と対応する図である。
図21において、加熱流体供給管24に供給された高温の加熱流体Fは、流体流路231を経由して、吸引管25で吸引される。その間に、加熱流体Fが保有する熱量Hを、加熱流体供給管24、流体流路231、吸引管25の管壁を介して汚染土壌Gpに投入する。
【0075】
また図22は、第3実施形態の図20と対応する図である。
図22において、図21で示す加熱工程によって汚染土壌Gpから遊離したVOC(VOCの流れを矢印Vで示す)を、流体流路231を介して吸引し、吸引されたVOCを、流体流路231、吸引管25を経由して地上側の図示しない処理設備に送り込んでいる。
【0076】
図21、図22の変形例のその他の構成及び作用効果については、第3実施形態と同様であり、以降の説明を省略する。
【0077】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態の第1工程を説明する工程図。
【図2】第1実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図3】第1実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図4】第1実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図5】第1実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図6】第1実施形態の変形例における加熱する工程を説明する図。
【図7】第1実施形態の変形例における汚染物質の吸引工程を説明する図。
【図8】本発明の第2実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図9】第2実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図10】第2実施形態の第6工程を説明する工程図。
【図11】図10に対応する別の第6工程を説明する工程図。
【図12】本発明の第3実施形態の第2工程を説明する工程図。
【図13】第3実施形態の第3工程を説明する工程図。
【図14】図13に対応する平面図。
【図15】第3実施形態において、第4工程「鉛直管挿入工程」の施工可能な状態を示す図。
【図16】第3実施形態の第4工程を説明する工程図。
【図17】図16の部分詳細図。
【図18】第3実施形態の第5工程を説明する工程図。
【図19】第3実施形態の第6工程の加熱工程を説明する工程図。
【図20】第3実施形態の第6工程の吸収工程を説明する工程図。
【図21】第3実施形態の変形例で、加熱工程を説明する工程図。
【図22】第3実施形態の変形例で、吸収工程を説明する工程図。
【符号の説明】
【0079】
1・・・シートパイル
2・・・鉛直掘削孔/鉛直ボーリング孔
3・・・高圧流体ジェット
4・・・布状部材/シート
5・・・流体加熱装置
6・・・送気管
7・・・吸引装置/ブロワ
8・・・処理設備
9・・・加熱流体用チューブ
11・・・モニタ
14・・・シール
15・・・通気性の良い砂
16・・・加熱流体供給源
21・・・VOC回収用ボーリング孔
22・・・切削用ボーリング孔
23・・・流体流路
24・・・加熱流体供給管
25・・・吸引管
G・・・土壌
Gp・・・汚染土壌
Gpb・・・粘性土層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌が汚染された領域に鉛直方向の複数の掘削孔を削孔する工程と、当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、地表面に非透過性の布状部材を敷設する工程と、前記掘削孔に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程と、土壌から遊離した汚染物質を地表面と前記布状部材との間の空間を介して回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項2】
土壌が汚染された領域に鉛直方向の複数の掘削孔を削孔する工程と、当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、前記掘削孔に加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程と、該掘削孔に吸引装置を連通して土壌から遊離した汚染物質を回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項3】
土壌が汚染された領域に水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、加熱用流体循環用の掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、加熱用流体循環用の掘削孔に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程と、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔を介して回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項4】
土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射する工程とを含み、当該高圧流体ジェットを噴射する工程では、隣接する掘削孔から噴射された高圧流体ジェットで切削された領域を重複させ、以って、隣接する掘削孔同士を高圧流体ジェットで切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程を含み、該加熱用流体循環工程では、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔から地上側へ吸引することを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項1】
土壌が汚染された領域に鉛直方向の複数の掘削孔を削孔する工程と、当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、地表面に非透過性の布状部材を敷設する工程と、前記掘削孔に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程と、土壌から遊離した汚染物質を地表面と前記布状部材との間の空間を介して回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項2】
土壌が汚染された領域に鉛直方向の複数の掘削孔を削孔する工程と、当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、前記掘削孔に加熱用流体を供給して土壌を加熱する工程と、該掘削孔に吸引装置を連通して土壌から遊離した汚染物質を回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項3】
土壌が汚染された領域に水平方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、加熱用流体循環用の掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射して汚染物質を包含する土壌の領域を切削する工程と、複数の掘削孔を介して前記領域の地下水を汲み上げる工程と、加熱用流体循環用の掘削孔に加熱用流体を循環させて土壌を加熱する工程と、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔を介して回収する工程、とを含むことを特徴とする土壌浄化工法。
【請求項4】
土壌が汚染された領域に鉛直方向へ延在する加熱用流体循環用の掘削孔及び土壌汚染物質回収用の掘削孔を掘削する工程と、所定深度で当該掘削孔を中心に半径方向外方に高圧流体ジェットを噴射する工程とを含み、当該高圧流体ジェットを噴射する工程では、隣接する掘削孔から噴射された高圧流体ジェットで切削された領域を重複させ、以って、隣接する掘削孔同士を高圧流体ジェットで切削された領域を介して連通せしめ、加熱用流体循環用の掘削孔から加熱用流体を供給し土壌汚染物質回収用の掘削孔から吸引し以って土壌を加熱する加熱用流体循環工程を含み、該加熱用流体循環工程では、土壌から遊離した汚染物質を土壌汚染物質回収用の掘削孔から地上側へ吸引することを特徴とする土壌浄化工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−152198(P2007−152198A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349298(P2005−349298)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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