説明

圧力スイッチ

【課題】 摺動抵抗の影響を除去する。
【解決手段】 筐体2内に、スイッチ4と、レバー6と、プランジャ18と、コイルばね36とが設けられている。レバー6は作用部6aがスイッチ4に接し、支点部6bによって回転自在に支持されている。支点部6b回りのレバー6の所定方向の回動により、作用部6aがスイッチ4を操作する。レバー6を前記所定方向とは反対方向に回転させる力をコイルばね36が、コイルばね30を介してレバー6に付与している。プランジャ18は、レバー6の力点部6cに一端が接し、他端に供給される流体の圧力による力がコイルばね36の力よりも大きく変化したとき、スライドして、レバー6を前記所定方向に回動させる。コイルばね36は、筐体2の内面と非接触に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧の変化を検出する圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力スイッチとしては、例えば非特許文献1に開示されているようなものがある。非特許文献1の技術によれば、本体の内部にスプリング室を形成し、スプリング室の底壁にピストン孔を設け、このピストン孔にピストンを挿入している。スプリング室の下部に通路が形成され、ここに圧力源から流体が供給される。これによってピストンの先端は、スプリング室内に侵入している。ピストンの先端の周囲には第1のばね受けが形成され、スプリング室の上端に第2のばね受けが設けられている。第1及び第2のばね受けの間にコイルスプリングが配置されている。第2のばね受けの上に円筒状部が配置されている。この円筒状部の両端にはそれぞれフランジが形成され、これらフランジがスプリング室の壁に接触している。また、第1のばね受け部側の筒状体のフランジが、本体内に設けたスイッチにカムを介して接触している。通路に供給される流体の圧力がコイルスプリングの弾性力よりも大きいとき、ピストンが上昇し、第1のばね受けを押し上げ、カムが所定の方向に回転して、スイッチを操作する。
【0003】
【非特許文献1】http://www.sr−engineering.co.JP/seihin/2−3.accessory/SR−ACCESSORY5.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成された圧力スイッチでは、筒状体がスプリング室の壁に接しているので、摺動抵抗が発生し、プランジャに作用する力とばね力との間に摺動抵抗分のずれが発生する。プランジャが上昇するときの動きと、下降するときの動きとでは、摺動抵抗の方向が逆転するので、プランジャに作用する力に大きなずれが生じ、圧力スイッチがオンになるときの圧力と、オフになるときの圧力とが異なる可能性がある。
【0005】
本発明は、摺動抵抗の影響を除去した圧力スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の圧力スイッチは、スイッチと、駆動手段と、プランジャと、弾性手段とを、筐体内に備えている。駆動手段は、支点部、作用部及び力点部を有し、作用部がスイッチに接し、支点部によって回転自在に支持されている。駆動手段の支点部回りの所定方向の回動によって、作用部がスイッチを操作する駆動手段としては、例えばレバーを使用することもできるし、カムを使用することもできる。スイッチの操作は、スイッチの接点をオンにするものでもよいし、オフにするものでもよい。駆動手段を前記所定方向とは反対方向に回転させる力を弾性手段が、駆動手段に付与している。プランジャは、駆動手段の力点部に一端が接し、他端に供給される流体の圧力による力が前記弾性手段の力よりも大きく変化したとき、スライドして、駆動手段を前記所定方向に回動させる。弾性手段は、筐体の内面と非接触に設けられている。
【0007】
このように構成された圧力スイッチでは、流体圧が上昇すると、弾性手段の弾性力に抗して、弾性手段を圧縮しながらプランジャがスライドし、駆動手段が所定方向に回転し、スイッチが操作される。また、流体圧が低下すると、弾性手段の弾性力によって駆動手段及びプランジャが元の位置に復帰する。この動作において、弾性手段が圧縮されたり、元に復帰したりするが、この際、弾性手段は筐体の壁面に非接触であるので、摺動抵抗を生じることがなく、摺動抵抗による動作誤差が生じない。
【0008】
前記プランジャは、前記力点部に点接触することが望ましい。例えば力点部に少なくとも半球状部を設け、これにプランジャを接触させることができる。このように点接触させることによって、プランジャと力点部との間での接触抵抗が少なくなる。
【0009】
前記弾性手段の一端に前記筐体内に固定される第1の弾性手段受け部を設け、前記弾性手段の他端に第2の弾性手段受け部を設け、第2の弾性手段受け部から突部を前記駆動手段側に突出させることができる。この場合、前記駆動手段の力点部は、前記突部が進入する貫通孔を有している。この貫通孔内で前記突部に接触するように接触部が設けられる。前記プランジャは、前記接触部に前記突部と反対側で接触し、前記接触部を前記突部方向にスライド可能である。前記接触部は、前記プランジャの前記突部方向へのスライドによって前記貫通孔に接触した状態で前記突部を第1の弾性体受け部側に前記弾性手段を圧縮しながら移動させる。前記弾性手段の圧縮力が前記プランジャの力よりも大きくなったとき、前記突部の前記プランジャ側への移動に従って前記接触部は前記貫通孔に非接触状態となり、第2の弾性手段受け部と前記力点部との間に設けた別の弾性手段を介して前記弾性手段の圧縮力が前記力点部に加えられる
【0010】
このように構成すると、流体圧の上昇によるプランジャのスライドによって接触部が駆動手段の力点に接触した状態で第2の弾性手段受け部側に移動し、駆動手段が所定方向に回転する。このとき、第2の弾性手段受け部が第1の弾性手段受け部側に移動し、弾性手段を圧縮する。この状態では、別の弾性手段は、殆ど圧縮されていない。流体圧の低下によって弾性手段の圧縮力がプランジャの力よりも大きくなると、第2の弾性手段受け部がプランジャ側に移動する。このとき、接触部は貫通孔に非接触となり、別の弾性手段が駆動手段の力点部に圧縮力を加えて、駆動手段は、所定方向と反対方向に回転する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明による圧力スイッチによれば、摺動抵抗の影響を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態の圧力スイッチは、図1に示すように筐体2を有している。この筐体2内にスイッチ4が配置されている。このスイッチ4は、操作部4aを有し、操作部4aが押されたとき、内部に設けてある接点が閉じるものである。なお、操作部4aが押されたとき、内部の接点が開放されるタイプのスイッチを使用することもできる。
【0013】
操作部4aに駆動手段、例えばレバー6の作用部6aが接触している。レバー6は、概略T字状に構成され、その一方の脚部8がスイッチ4の長さ方向に沿って配置され、その一方の端部付近が作用部6aとされ、操作部4aに接触している。この脚部8の中央よりも幾分他方の端部側によった位置が支点部とされ、この脚部8の厚さ方向(図1の紙面の表裏方向)に設けた軸6bの回りに回転自在とされている。この脚部8の中央部付近から脚部8にほぼ垂直に伸びた脚部10の先端付近が力点部6cとされている。
【0014】
図2に拡大して示すように、力点部6cは、脚部8の長さ方向に対し平行な方向に形成された貫通孔6dを有している。この貫通孔6dにおける作用部6aと反対側に、接触部、例えば鋼球12が配置されている。この配置状態において、鋼球12の一部が作用部6aと反対方向に脚部10から突出している。鋼球12は、脚部8の長さ方向に移動可能であり、貫通孔6dの壁に接触した状態と非接触の状態とのいずれかをとることができる。
【0015】
鋼球12は、作用部6aと反対方向に移動したとき、筐体2に設けた座14に接触する。この座14に連ねてレバー6の脚部8の長さ方向に沿って作用部6aと反対方向に圧力室16が形成されている。この圧力室16内には円筒状のプランジャ18が配置され、その一端が鋼球12に点接触している。プランジャ18は、その長さ方向、即ち脚部8の長さ方向に沿ってスライド可能である。圧力室16内には、その側方にある筐体2の部分に設けたポート20から圧力流体、例えば圧油が供給され、その圧力が上昇すると、その圧力がプランジャ18の他端に印加され、プランジャ18は鋼球12側にスライドする。なお、圧油に代えて圧力が掛けられた空気または水を使用することもできる。
【0016】
鋼球12のプランジャ18と反対側には突部22が設けられている。突部22は、鋼球12の球面と相補な湾曲面を一端部に有し、貫通孔6d内において鋼球12に接触している。また突部22の他端部が第2の弾性体受け部、例えばばね受け24の中央に固定されている。このばね受け24は、レバー6の脚部10と間隔をおいて配置されており、ばね受け部24の鋼球12側には、突部22の周囲にばね座26が形成され、これと対向するようにレバー6の力点部6cにおける突部22の周囲にもばね座28が形成され、これらばね座26、28間に、突部22の周囲を包囲するように別の弾性手段、例えばコイル状の戻しばね30が配置されている。
【0017】
ばね受け24と対向するように鋼球12と反対側には、ばね受け24と間隔をおいて第1の弾性体受け部、例えばばね受け32が配置されている。このばね受け32は、筐体2内にその外部から挿通されたネジ34によって筐体2内に取り付けられており、ネジ34の位置の調整によってばね受け24に対する距離が変更される。これらばね受け24、32の間に弾性手段、例えばコイルばね36が配置されている。従って、コイルばね36の圧縮度をネジ34によって調整することができる。コイルばね36及びばね受け24は、筐体2内において、筐体2の内面とは非接触である。なお、コイルばね36の弾性力は、コイルばね30の弾性力よりも格段に大きい。
【0018】
このように構成された圧力スイッチでは、図1に示す状態において、圧力室16に供給される流体の圧力が上昇し、その圧力によってプランジャ18を押す力が、コイルばね36によって設定される力よりも大きくなったとき、プランジャ18がスライドを開始し、鋼球12がレバー6の貫通孔6dに接触し、プランジャ18のスライドに従って突部22によってコイルばね36を圧縮しながら、レバー6をスイッチ4側に回転させる。これによって、図3に示すように、レバー6の作用部6aによってスイッチ4の操作部4aが押し込まれ、スイッチ4が動作する。作用部6aと支点部の軸6bとの距離と、支点部の軸6bと力点部6cとの距離を適切に設定することによって、操作部4aが操作される感度を高くすることができる。
【0019】
圧力室16に供給される流体の圧力が低下し、コイルばね36によって設定された力がプランジャ18を押す力よりも大きくなると、ばね受け24が圧力室16側に移動し、突部22が鋼球12を押し、鋼球12はレバー6の貫通孔6dから離れる。その後、戻りばね30によってレバー6の力点部6cが圧力室16側に押され、元の位置に復帰する。これによって、スイッチ4の操作部4aを作用部6aによって押した状態が解除され、スイッチ4も元の状態に復帰する。
【0020】
このようなスイッチ4の操作が行われる間、コイルばね36もばね受け24も筐体2の内面とはなんら接触していない。従って、スイッチ4の操作に関し、摺動抵抗の影響を受けることがない。また、プランジャ18は、鋼球12と点接触しているので、接触抵抗が少ない。また、プランジャ18や突部が直接にレバー6を駆動せず、スイッチ4を操作するようにレバー6を回転させる場合には、鋼球12がその周面の一円周上で力点部6cの内面に接触しているだけであり、接触抵抗が非常に小さい。
【0021】
また、レバー6を元の位置に戻すときには、レバー6に突部22の周囲の一円周上で接触している戻しばね30によって元の位置に戻され、そのとき、鋼球12がレバー6と非接触となっているので、支点部の軸6bでの接触抵抗が少ない。例えば、貫通孔6d、鋼球12を設けずに、プランジャ18がレバー6の力点部6cの下端に直接に接触し、突部22が力点部6cの上端に接触している場合、突部22が下降するとき、支点部の軸6bに大きな力がかかるが、上述したように貫通孔6d、鋼球12、突部22、戻しばね30を設けることによって、支点部の軸6bでの接触抵抗を少なくできる。
【0022】
本発明の第2の実施形態の圧力スイッチを図4に示す。この圧力スイッチは、ポート20aが圧力室16の側方ではなく、鋼球12と反対側に圧力室16に連ねて形成されている以外、第1の実施形態の圧力スイッチと同様に構成されている。同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0023】
上記の両実施形態では、鋼球12を使用したが、合成の大きい球状体であれば、他のものを使用することもできるし、プランジャ18の先端を半球状に形成し、鋼球12に代えて円柱状部を使用することもできる。但し、この場合、プランジャ18のスライドによって円柱状体がレバー6の力点部に係合する係合部を円柱状部に設ける。また、上記の両実施形態では、突部22と鋼球12とを別個に形成したが、一体に形成することもできる。上記の実施形態ではレバー6を使用したが、これに代えてカムを使用することもできる。上記の実施形態では、鋼球12の一部を作用部6aと反対方向に脚部10から突出させたが、必ずしも突出させる必要はない。また、スイッチ4としては、非接触式のスイッチを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態の圧力スイッチの作動前の縦断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図1の圧力スイッチの作動後の縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の圧力スイッチの縦断面図である。
【符号の説明】
【0025】
2 筐体
4 スイッチ
6 レバー
6a 作用部
6b 支点部
6c 力点部
18 プランジャ
36 コイルばね(弾性手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、
支点部、作用部及び力点部を有し、前記作用部が前記スイッチに接し、前記支点部によって回転自在に支持され、前記支点部回りの所定方向の回動によって前記作用部が前記スイッチを操作するスイッチ駆動手段と、
このスイッチ駆動手段を前記所定方向とは反対方向に回転させる力を前記レバーに付与している弾性手段と、
前記力点部に一端が接し、他端に供給される流体の圧力による力が前記弾性手段の力よりも大きく変化したとき、スライドして前記スイッチ駆動手段を前記所定方向に回動させるプランジャとを、
筐体内に具備し、前記弾性手段の周面は、前記筐体の内面と非接触である圧力スイッチ。
【請求項2】
請求項1記載の圧力スイッチにおいて、前記プランジャは、前記力点部に点接触している圧力スイッチ。
【請求項3】
請求項1記載の圧力スイッチにおいて、
前記弾性手段の一端に前記筐体内に固定される第1の弾性手段受け部が設けられ、前記弾性手段の他端に第2の弾性手段受け部が設けられ、第2の弾性手段受け部から突部が前記駆動手段側に突出し、
前記駆動手段の力点部は、前記突部が進入する貫通孔を有し、この貫通孔内で前記突部に接触するように接触部が設けられ、前記プランジャは、前記接触部に前記突部と反対側で接触し、前記接触部を前記突部方向にスライド可能であり、前記接触部は、前記プランジャの前記突部方向へのスライドによって前記貫通孔に接触した状態で前記突部を第1の弾性体受け部側に前記弾性手段を圧縮しながら移動させ、
前記弾性手段の圧縮力が前記プランジャの力よりも大きくなったとき、前記突部の前記プランジャ側への移動に従って前記接触部は前記貫通孔に非接触状態となり、第2の弾性手段受け部と前記力点部との間に設けた別の弾性手段を介して前記弾性手段の圧縮力が前記力点部に加えられる圧力スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−20922(P2010−20922A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178010(P2008−178010)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000102452)エスアールエンジニアリング株式会社 (17)
【Fターム(参考)】