説明

圧力変化を利用する動物細胞への物質導入

【課題】動物細胞に圧力変化で細胞内導入物質を導入するに際し、高耐圧の容器を必要とせず、低い圧力にて簡便に物質の導入を行う方法および装置を提供する。
【解決手段】細胞内導入物質が動物細胞の近傍に存在する状態で、該細胞を大気圧から0.04〜0.40MPaGの範囲内の圧力まで0.5MPa/s以上の速度で加圧し次いで該範囲内の圧力に保持する加圧工程および、その後該細胞を減圧する減圧工程からなる操作を3〜500回繰り返すことで、細胞内導入物質を細胞に導入する。さらに、前記方法に使用する、加圧用バルブと減圧用バルブを有する耐圧容器を備える装置からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力変化による物質の動物細胞への導入のための方法に関するもので、特に、細胞とDNAやRNAのような導入物質を共存状態で、圧力を変化させることで物質を細胞内に導入する方法およびそのための装置に関する。DNA、RNAおよびタンパク質を変性させず効率よく細胞内に導入できる方法およびそのための装置は、医療、農業等に関連した研究、応用分野で大変有用な技術的手段となる。
【背景技術】
【0002】
動物細胞内に蛋白質や遺伝子を導入することは細胞の機能解析や商業的な物質生産技術のための基盤技術として重要である。動物細胞は通常、細菌等の微生物、植物と異なり膜構造が脆弱であるため、非常に繊細な取り扱いが必要となる。遺伝子のような物質の細胞内への導入の代表的な方法としてウイルスを使用する方法や試薬を使用する方法が提案されているが、ウイルスはバイオハザードや使用場所に制限があり、試薬では細胞毒性やそれ自身の細胞への影響が大きいため、機能解析の際には異なる方法が求められている。
【0003】
細胞内に細胞内導入物質を取り込ませる方法としてよく知られているものにエレクトロポレーションがある(例えば、非特許文献1参照)。この方法は遺伝子と細胞の懸濁した溶液に高電圧をパルス状にかけ、溶液中に含まれる遺伝子を細胞内に取り込ませる方法である。この方法は適用範囲が広く遺伝子導入効率が高い方法であるが、遺伝子の導入効率と細胞の致死率との間に比例関係があるため、細胞の致死と無関係に導入することができない。すなわち、パルス条件が不適切であると細胞内に目的とする物質が導入され難いだけではなく、細胞が死んでしまう欠点がある。また、トーイングといわれる溶液内への放電を防ぐため、細胞懸濁溶液の伝導度を下げなければならない。そのため遠心分離等を用いて細胞を分離し洗浄する操作が必要であり、またその操作の際に細胞が死んでいく可能性がある。
【0004】
また、細胞内へ物質を入れる方法としてパーティクルガンがある(例えば、特許文献1参照)。この方法は遺伝子を付着させた金、タングステンのような微粒子を細胞に打ち込む方法である。細胞内導入物質を微粒子に担持させ全体の質量を増加させることによって、高いエネルギーで細胞に衝突させ細胞膜を通過させる。この方法は微粒子が当たった細胞に対してする導入効率は高いとされているが、多くの細胞がある場合、微粒子が均一に当たる訳ではなく全体としての導入効率は上がりにくい欠点がある。この方法は遺伝子を微粒子等に付着させる操作が必要である他、担体微粒子や圧力開放のための破裂板等の消耗品が高価である欠点がある。さらに、微粒子を打ち込むためプラズマ爆発や火薬、ボンベガスを使用する必要があり、装置が大掛かりになる欠点がある。また、ガスの勢いで細胞が飛散する危険がある。さらに、パーティクルが細胞内に残存するため細胞へのダメージが生じやすく、繰り返し打ち込むとパーティクルが細胞内に蓄積する欠点もある。特に遺伝子治療のような場面では、細胞内に微粒子が残存蓄積することは細胞致死の可能性が高まる点で好ましくない。
【0005】
細胞に対して圧力変化により、物質を導入する方法が提案されている(特許文献2、特許文献3)。この方法は細胞に接する液体を加圧した状態から減圧することで発生する気泡により物質の導入を行っている。この方法は残留する成分もなく、簡便である利点がある。しかし、加圧する圧力は2MPa以上と高く、耐圧容器は高価なものになってしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4945050号明細書
【特許文献2】特表2005−300064
【特許文献3】国際公開第01/05994号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E. Neumann, M. Schaefer-Ridder, Y. Wang, P. H. Hofschneider, EMBO J. 1982, 1, 841-845.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、動物細胞に圧力変化で細胞内導入物質を導入するに際し、高耐圧の耐圧容器を必要とせず、低い圧力にて簡便に物質の導入を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、圧力変化を利用し動物細胞に細胞内導入物質を導入できる方法について検討したところ、低い圧力で導入が可能であるため高価な高耐圧の容器も必要がなく、動物細胞に対して適した方法を見出し、以下の(1)〜(5)に示す本発明を完成させるに至った。
(1)細胞内導入物質が動物細胞の近傍に存在する状態で、該細胞を大気圧から0.04〜0.40MPaGの範囲内の圧力まで0.5MPa/s以上の速度で加圧し次いで該範囲内の圧力に保持する加圧工程および、続いて該細胞を減圧する減圧工程からなる工程を3〜500回繰り返す、細胞内導入物質を細胞に導入する方法。
(2)前記加圧工程が0.06〜120秒である、(1)に記載の方法。
(3)前記動物細胞が容器に付着している、(1)または(2)に記載の方法。
(4)加圧用バルブと減圧用バルブを有する耐圧容器を備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法に使用する装置。
(5)加圧用バルブと減圧用バルブが電磁バルブであり、該加圧用バルブが開となると同時に該減圧用バルブが閉となり、該加圧用バルブが閉となると同時に該減圧用バルブが開となるよう、該加圧用バルブと該減圧用バルブを開閉する手段を有する、(4)に記載の装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法を使用することで、高耐圧の容器が必要でなく、簡便に動物細胞に細胞内導入物質を導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例において導入処理に使用した装置
【図2】実施例5における蛍光顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明は、動物細胞において細胞内導入物質、例えば遺伝子を細胞内に導入するための方法に関する。すなわち、動物細胞の近傍に細胞内導入物質が存在する状態で、該動物細胞を加圧する工程、およびその後減圧する工程からなる工程を繰り返すこと(以下導入処理と言う)により、該動物細胞に該細胞内導入物質を導入する。
【0014】
本発明の対象となる細胞は動物細胞である。本発明における動物細胞の定義は5界説に基づく動物界に属する生物と原生動物に属する生物、またはそれら由来の細胞を対象とする。動物界に属する生物は真核細胞からなる多細胞生物で、光合成能力がなく従属栄養である。海綿動物、腔腸動物、へん形動物、袋形動物、環形動物、軟体動物、節足動物、毛がく動物、棘皮動物、原索動物、脊椎動物がこれに属する。また、原生動物は原生生物界に属する真核細胞からなる単細胞生物で、従属栄養である。本発明で使用する動物細胞は培養細胞だけではなく組織、臓器、生体であってもかまわない。また、卵、精子等の生殖細胞を対象にすることも当然可能である。
【0015】
培養細胞を使用する場合、培地中に浮遊した状態または容器に付着した状態で細胞内導入物質の導入に供することができるが、細胞に圧力による歪みを効率良く生じさせるのには導入処理の際に動物細胞が容器に付着していることが好ましい。培養動物細胞では付着性細胞はそのままの形態で使用でき、浮遊性細胞の場合、付着性を生じさせるコーティング処理された容器を使用して細胞を容器に付着させることが好ましい。
【0016】
本発明における細胞内導入物質としては、DNAやRNAまたはそれらの類似化合物や誘導体等の核酸塩基類が挙げられる。これらはプラスミド、ファージ、ウイルス、ウイロイド、オリゴDNA、オリゴRNA、またはマイクロRNA等の形態で提供される。塩基配列の大きさは特に制限がない。塩基は二本鎖、一本鎖どちらでもかまわない。また、主鎖の異なる核酸類似物や人工塩基をつけた核酸でも構わない。また、遺伝子以外の酵素、アミロイド、プリオンといったタンパク質や、ペプチドを細胞内に導入する際にも使用できる。なお、糖、脂質、農薬、抗菌剤、金属イオン、蛍光標識試薬、または同位体標識試薬等の比較的低分子の物質を細胞内に導入する際にも当然ながら使用できる。
【0017】
本発明の方法では、導入処理を行う際に、前記の細胞内導入物質を動物細胞の近傍に存在させる。方法としては、細胞内導入物質を単独の固体もしくは液体の状態で、または溶液もしくは懸濁液として、動物細胞の入っている容器に添加すればよい。
【0018】
前記の細胞内導入物質は単独で導入可能であるが、これと併用として一般的に細胞内への遺伝子等導入試薬として使用されるリポソーム、カチオン性ポリマー、カルシウム塩を共存させて使用してもよい。これらの遺伝子等導入試薬は固体もしくは溶液、懸濁状態で提供されるが、前記の細胞内導入物質と同様の方法で動物細胞の近傍に存在させればよい。
【0019】
動物細胞の近傍に細胞内導入物質が存在する状態で、該動物細胞を加圧する加圧工程およびその後減圧する減圧工程からなる工程を繰り返す導入処理により、該動物細胞に該細胞内導入物質を導入する。
【0020】
まず、前記動物細胞を加圧する(加圧工程)。
【0021】
加圧工程開始と同時に加圧を開始する。加圧開始時の圧力は通常、大気圧である。圧力は、0.04〜0.4MPaGの範囲内の圧力まで上昇させなければならず、0.05〜0.2MPaGの範囲内の圧力まで上昇させることがより好ましい。圧力上昇の速度としては、0.5MPa/s以上が好ましく、より好ましくは2MPa/s以上である。つまり、加圧に要する時間、すなわち加圧工程を開始してから前記の範囲内の圧力に到達するまでの時間は、0.04MPaGまでは0.08秒以下が好ましい。
【0022】
前記の範囲内の圧力に到達した後、加圧工程の終了まで圧力を前記の範囲内に保持しなければならない。保持する圧力は、加圧終了時の圧力のまま一定とすることが好ましいが、前記の範囲内であれば変動してもよい。
【0023】
加圧工程の時間としては0.06〜120秒が好ましく、0.15〜15秒がより好ましく、0.6〜2秒がさらに好ましい。
【0024】
続いて前記動物細胞を減圧する(減圧工程)。減圧工程開始と同時に減圧を開始する。減圧は通常大気圧まで行う。減圧工程の時間は、0.05秒〜480秒が好ましく、0.15〜60秒がより好ましく、0.5〜10秒がより好ましい。減圧工程を前記時間とすることで、十分に減圧を行うことができ、また、導入処理が短時間となり細胞に障害を与える可能性が少ない。
【0025】
繰り返しの間隔(加圧工程開始から次の加圧工程開始までの時間)は、600秒以下が好ましく、より好ましくは0.5〜60秒であり、さらに好ましくは1.5〜10秒である。繰り返しの間隔が600秒以内であれば、導入処理が短時間となり細胞に障害を与える可能性が少ない。繰り返しの回数(前記の工程を行う回数)は、3〜500回とし、好ましくは20〜100回とする。3回未満では導入が行われず、500回を超えても導入の効率は上昇せず、逆に細胞膜に一過性ではない穴が生じ細胞死につながる破裂に至ってしまう危険がある。
【0026】
導入処理を行う際の動物細胞の温度は、通常は37℃まで以下の一定の温度で行われる。より好ましくは5〜30℃、さらに好ましくは15〜30℃の様な室温で行うことが好ましい。
【0027】
導入処理において圧力を制御する方法は特に制限されないが、耐圧容器を備えた装置を用い、該装置の耐圧容器内に、細胞内導入物質を近傍に存在させた状態の動物細胞を設置し、気体を耐圧容器内に導入することで加圧する方法を用いることが望ましい。
【0028】
前記動物細胞を耐圧容器に設置するには、動物細胞をシャーレ等の容器に入れ、該容器を耐圧容器内に設置すればよい。
【0029】
耐圧容器は、加圧および減圧を行うためのバルブを備える。加圧および減圧を高速に行うことができるように、バルブは、加圧用と減圧用が独立していることまたは三方バルブであることが望ましく、加圧用と減圧用が独立していることが特に好ましい。
なお、減圧用バルブのみを備える耐圧容器でも加圧と減圧の両方を行うことは可能であるが、圧力変化の速度は遅く使用できない。
【0030】
加圧用バルブにはガスボンベ、ポンプなどを接続し、そこから気体を供給して加圧する。ガスボンベは圧力調節器を介して接続する。減圧用バルブの接続先は、大気圧とすればよい。
【0031】
バルブは電磁バルブ、ガス駆動バルブが好ましく、より好ましくは電磁バルブである。加圧工程では加圧用バルブを開き、減圧用バルブを閉じる。減圧工程では加圧用バルブを閉じ、減圧用バルブを開く。二つのバルブを同時に開閉させることで、加圧と減圧を高速に行うことができ、またバルブの制御を単純化することができるためが好ましい。これらのバルブを制御する手段としては、スイッチ等により手動で制御するものでもよいが、タイマーやコンピュータを接続して制御する手段が好ましい。
【0032】
耐圧容器には、必要に応じて圧力計を設置してもよい。
【0033】
耐圧容器の内部の体積は、加圧を高速に行うために、小さいことが好ましく、細胞の入っている容器を設置することができる最小限の形状および寸法とすることがより好ましい。本発明における導入処理は圧力が低いため、耐圧容器の材質としては、金属、ガラスおよび樹脂などが使用可能である。
【0034】
加圧に使用される気体は、特に一つの気体に限定されない。適切な気体は、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、メタン、並びにヘリウム、ネオン及びアルゴンといった希ガスなど広範囲の気体が挙げられる。これらの気体は単独で用いてもよいし、混合して用いることもできる。また、細胞を乾燥から保護するために、気体に水分が含まれていることが好ましい。
【0035】
本発明の方法では、圧力を変化させることにより細胞膜が膜の歪みを引き起こすことで膜に一過性の穴が生じて、細胞に物質の導入ができると考えられる。圧力が上昇する時間が長いと細胞の膜にかかる圧力は全体としては均一になり、歪みが小さくなるために物質の導入ができない。短時間で圧力が上昇することで、細胞表面の場所による差が生じ、物質が導入される。低い圧力の変化を利用するため、泡の発生の影響よりも前記の変化が重要であると考えている。
【0036】
本発明の方法を使用することで、高価な高耐圧の耐圧容器を用いなくても、低い圧力で動物細胞に物質を導入することができる。また、動物細胞に障害を与える可能性も低い。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示す。
【0038】
[実施例1]
*実験装置
導入処理に使用した装置の構造を図1に示す。シャーレ1はガラス製耐圧容器2に入っている。樹脂製ふた3はねじ込み式である。このふた3には加圧用バルブ4と減圧用バルブ5と電気式圧力計6が接続している。圧力調整器つきガスボンベ7からのガスが加圧用バルブ4を通して耐圧容器に入るようになっている。加圧用バルブ4と減圧用バルブ5はいずれも電磁バルブであり、加圧用バルブ4は電圧印加時に開、減圧用バルブ5は電圧印加時に閉になるようになっていて電圧印加の有無で同時に制御できる。
【0039】
シャーレは直径2cm高さ2cmで耐圧容器はシャーレが設置可能な最小限の形状および寸法になっていて、内部の体積は12mlである。
【0040】
*導入例
4.0×10cells/dish の濃度でチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)をシャーレに加え、2日間 37℃、二酸化炭素 5%で牛胎児血清10%入りアルファMEM培地で培養した。
【0041】
培養液を除去した後、燐酸バッファー 1mlで洗浄した。緑色蛍光蛋白(GFP)をコードしたプラスミド溶液50μg/mlを50μl加え、5分間置いた。
【0042】
その後、シャーレを前記の装置に設置し、アルゴンガスを使用して導入処理を行った。
【0043】
まず、加圧用バルブ4を開とすると同時に減圧用バルブ5を閉として(加圧工程開始)、加圧を行った。加圧工程開始から0.1MPaGまでの達するまでの時間は0.05秒であり、その後圧力は0.1MPaGに保持された。さらにその後、加圧用バルブ4を閉とすると同時に減圧用バルブ5を開(減圧工程開始)とし、大気圧まで減圧した。加圧工程の時間は1秒とした。
【0044】
前記の加圧工程と減圧工程からなる工程を30回繰り返した。繰り返しの間隔は4秒とした。
【0045】
導入処理終了後、前記の装置からシャーレを取り出し、シャーレに培地 2mlを添加し、一晩培養した。蛍光顕微鏡下にて観察、GFP陽性細胞数をカウントした。4058個の細胞が蛍光を発しており、遺伝子が導入されていた。
【0046】
[実施例2から8]
実施例1と同様の条件で、添加するプラスミド溶液の量、繰り返し回数、繰り返しの間隔を変化させて遺伝子導入細胞数を計測した。繰り返しの間隔の変更は、減圧工程の時間を変更することにより行った。その結果を表1に示す。
【表1】

【0047】
実施例5の蛍光顕微鏡写真を図2に示す。蛍光を発する細胞が観察された。
【0048】
[実施例9から14]
実施例1と同様の条件で、加圧工程の時間、繰り返しの間隔を変化させて遺伝子導入細胞数を計測した。
【表2】

【0049】
[比較例1]
導入処理における繰り返し回数を1回のみとした以外は、実施例1と同様の実験を行った。その結果、遺伝子導入された細胞数は30個以下であった。
【0050】
[比較例2]
実験装置の耐圧容器内部の体積を2Lにし、減圧バルブのみ電磁バルブにして加圧バルブは開放で圧力制御した。加圧終了時の圧力は0.13MPaG、減圧後の圧力を大気圧ではなく0.01MPaGとした他は実施例1と同様の実験を行った。加圧工程開始後、0.13MPaGまで0.3秒を要した。その結果、遺伝子導入された細胞は30個以下であった。
【符号の説明】
【0051】
1 シャーレ
2 ガラス製耐圧容器
3 樹脂製ふた
4 加圧用電磁バルブ
5 減圧用電磁バルブ
6 電気式圧力計
7 圧力調整器付きガスボンベ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内導入物質が動物細胞の近傍に存在する状態で、該細胞を大気圧から0.04〜0.40MPaGの範囲内の圧力まで0.5MPa/s以上の速度で加圧し次いで該範囲内の圧力に保持する加圧工程および、続いて該細胞を減圧する減圧工程からなる工程を3〜500回繰り返す、細胞内導入物質を細胞に導入する方法。
【請求項2】
前記加圧工程が0.06〜120秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動物細胞が容器に付着している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
加圧用バルブと減圧用バルブを有する耐圧容器を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法に使用する装置。
【請求項5】
加圧用バルブと減圧用バルブが電磁バルブであり、該加圧用バルブが開となると同時に該減圧用バルブが閉となり、該加圧用バルブが閉となると同時に該減圧用バルブが開となるよう、該加圧用バルブと該減圧用バルブを開閉する手段を有する、請求項4に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−67176(P2011−67176A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223046(P2009−223046)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】