圧力機器の評価装置及び評価方法
【課題】圧力機器に対し試験用流体を脈動状態で作用させて耐久性を評価するものにおいて、脈動の圧力振幅や圧力変化率を任意に設定でき、その脈動を高精度で発生させる。
【解決手段】試験用流体Lは圧力調整器5により所定の高圧に調整され、供給経路13を通して加減圧ユニット7に供給される。加減圧ユニット7は、評価対象となる圧力センサ6がセットされる圧力室16を有する圧力室ボデー17に、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19を一体的に備える。各機構は制御装置10により制御される。加圧用制御バルブ18のオン時には、高圧の流体Lが出口ポートから吐出され、入口側オリフィスプレート32を通して整流室33に流れ込み、整流された上で圧力室16に供給される。減圧用制御バルブ19、19のオン時には、圧力室16内の流体Lが、出口側オリフィスプレート37を通して排出される。
【解決手段】試験用流体Lは圧力調整器5により所定の高圧に調整され、供給経路13を通して加減圧ユニット7に供給される。加減圧ユニット7は、評価対象となる圧力センサ6がセットされる圧力室16を有する圧力室ボデー17に、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19を一体的に備える。各機構は制御装置10により制御される。加圧用制御バルブ18のオン時には、高圧の流体Lが出口ポートから吐出され、入口側オリフィスプレート32を通して整流室33に流れ込み、整流された上で圧力室16に供給される。減圧用制御バルブ19、19のオン時には、圧力室16内の流体Lが、出口側オリフィスプレート37を通して排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、圧力室内に試験用流体を脈動状態で供給することにより、圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力機器、例えば自動車に組込まれる油圧装置用の圧力センサ(半導体圧力センサ)においては、評価対象となる圧力センサの圧力検知部に対し、例えば作動油等の流体を、圧力を周期的に変化させながら印加し、例えば何回の圧力脈動に耐え得るかといった耐久性(寿命)の試験が行われる。この種の評価装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この評価装置は、油圧ポンプから出力される圧力媒体にキャビテーションを発生させることにより、大きな圧力振幅及び圧力変化率の圧力脈動を圧力センサに作用させる。そして、圧力センサに作用する圧力波形を統計処理して正規分布化することにより、圧力センサの寿命を評価するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような評価装置にあっては、評価対象に対する、使用環境や要求される性能に応じた試験を行うために、評価用の試験用流体の脈動の圧力振幅や圧力変化率を任意に設定でき、且つ、高精度に圧力を発生できることが望まれる。しかしながら、特許文献1のものでは、キャビテーションによって圧力の変動を発生させるものであるため、所望の圧力振幅や圧力変化率を得ることはできず、高精度の試験を行うことについては不十分であった。尚、この場合、試験用流体の脈動を得る場合、圧力振幅や圧力変化率を広い範囲で設定(調整)できることが要望されるのである。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力機器に対し、試験用流体を脈動状態で作用させて耐久性を評価するものにおいて、脈動の圧力振幅や圧力変化率を任意に設定することが可能で、しかも、その脈動を高精度で発生させることができる圧力機器の評価装置及び評価方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の圧力機器の評価装置は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価するものにおいて、前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、この設定手段に設定に応じて、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備するところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0007】
また、本発明の圧力機器の評価方法は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価するものにおいて、前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、前記設定手段の設定に応じて、前記圧力調整器を制御すると共に、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングを制御することにより、前記圧力室内に試験用流体を、設定された圧力脈動の振幅及び変化率で圧力が周期的に変動する脈動状態で供給するところに特徴を有する(請求項7の発明)。
【0008】
本発明によれば、供給経路を通って圧力室内に供給される試験用流体が、圧力が周期的に変動する脈動状態で、評価対象となる圧力機器に作用することによって耐久性の評価が行なわれる。このとき、加圧用制御バルブが開放されると共に、減圧用制御バルブが閉塞されることにより、圧力室内の流体圧力は上昇し、加圧用制御バルブが閉塞されると共に、減圧用制御バルブが開放されることにより、圧力室内の流体圧力が下降する。また、その際に圧力室内に供給される試験用流体の圧力ひいては流速を、圧力調整器によって調整することができる。
【0009】
従って、制御装置により、加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングが制御されることによって、圧力室内に供給される試験用流体の圧力脈動の振幅を自在に調整することができ、設定手段において設定された振幅を得ることができる。また、圧力室内に供給される流体の流速を変化させることによって圧力室内における圧力の単位時間当りの上昇度合即ち変化率を調整することができるので、制御装置により圧力調整器を制御することにより、設定手段において設定された圧力の変化率を得ることができる。
【0010】
本発明の圧力機器の評価装置においては、前記圧力室を有する圧力室ボデーに対し、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを、一体的に組付けてユニット化するように構成することにより(請求項2の発明)、各部をつなぐ管路の長さを短く済ませるなど、構成の簡単化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の圧力機器の評価装置においては、前記加圧用制御バルブの出口部からつながる前記圧力室の入口部に、円錐状凹部を形成すると共に、該円錐状凹部と前記加圧用制御バルブの出口部との間に、オリフィス穴を有した入口側オリフィスプレートを配設し、それら入口側オリフィスプレートと円錐状凹部との間に、前記加圧用制御バルブの出口部から前記オリフィス穴を通して流れる試験用流体を整流する整流室を設ける構成とすることができる(請求項3の発明)。これによれば、整流室における流体の整流作用によって、圧力室内の圧力の変動を安定化することができ、圧力脈動の変化率(及び振幅)の制御をより一層高い精度で行うことができる。
【0012】
更にこのとき、前記入口側オリフィスプレートを、前記オリフィス穴の大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つを選択して付替え可能に取付ける構成とすることができる(請求項4の発明)。整流室を設けることによる作用、効果に加えて、入口側オリフィスプレートの選択によるオリフィス穴の大きさの変更によって、圧力室内に供給される流体の流速を変化させることができるので、圧力脈動の変化率の調整(設定)可能な範囲を、より一層広げることができる。
【0013】
本発明の圧力機器の評価装置においては、前記減圧用制御バルブから前記排出経路への出口部に、オリフィス穴を有する出口側オリフィスプレートを交換可能に設けることができうる(請求項5の発明)。これによれば、出口側オリフィスプレートのオリフィス穴の大きさを変化させることによって、圧力室内の圧力を下降させる際の圧力脈動の変化率(及び振幅)の調整(設定)の範囲を、より広げることが可能となる。
【0014】
前記圧力室の出口部から、前記排出経路につながる複数の出口経路を設け、前記減圧用制御バルブを、前記各出口経路を夫々開閉するように複数設ける構成としても良い(請求項6の発明)。これによれば、圧力室内の流体を排出する際の出口経路を選択的に使用することが可能となり、圧力を下降させる際の圧力脈動の変化率(及び振幅)の調整(設定)の範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、評価装置のシステム全体構成を示す図
【図2】加減圧ユニットの縦断正面図
【図3】加減圧ユニットの縦断右側面図
【図4】整流室部分の拡大縦断正面図
【図5】右側の出口側オリフィスプレート部分を、バルブ閉状態(a)及びバルブ開状態(b)で示す拡大縦断正面図
【図6】加減圧ユニットの斜視図
【図7】制御装置が実行する評価試験の処理手順を示すフローチャート
【図8】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その1)
【図9】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その2)
【図10】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、供給圧力の変動パターン(c)、圧力脈動のパターン(d)の例を示す図(その3)
【図11】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その4)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施例では、圧力機器として、車両に設けられる油圧装置(例えば、ABS装置、パワーステアリング、オートマチックトランスミッション、アクティブサスペンション等)の圧力検知用の圧力センサ(半導体圧力センサ)を評価対象とし、その耐久性(寿命)を評価する場合を具体例としている。
【0017】
図1は、本実施例に係る評価装置1の全体のシステム構成を示している。この図1において、太線は、試験用流体L(例えば作動油)の流れる経路(配管)を示し、点線は、制御装置と各機構との間での、通電や信号の通信のための電気的な経路(配線)を示している。この評価装置1は、流体Lが貯留される貯留タンク2、ポンプ3、蓄圧タンク4、圧力調整器5、評価対象となる圧力センサ6がセットされる加減圧ユニット7、冷却器8、加熱器9、それらをループ状に接続する各配管、各機構を制御する制御装置10等を備えて構成される。
【0018】
前記貯留タンク2内の流体Lは、前記ポンプ3の駆動により、第1の配管11を通して前記蓄圧タンク4に圧送される。蓄圧タンク4内の流体Lは、圧力調整器5により所定の圧力(高圧)に調整されるようになっており、このとき蓄圧タンク4内の圧力が第1の圧力計12によって検出される。蓄圧タンク4内の流体Lは、供給経路13を通して加減圧ユニット7に供給される。この加減圧ユニット7については、後述する。
【0019】
そして、前記加減圧ユニット7から排出される流体Lは、排出経路14を通して前記貯留タンク2に戻されるようになっている。このとき、排出経路14内の液体の温度が、温度検出器15によって検出され、この検出温度に基づいて、前記冷却器8及び加熱器9により、所定の温度に調整されるようになっている。
【0020】
ここで、前記加減圧ユニット7について、図2〜図6も参照して述べる。図2及び図3は、加減圧ユニット7の全体の断面構成を示しており、図6は加減圧ユニット7の外観構成を示している。また、図4、図5は、夫々、図2のA部、B部を拡大して示している。図2、図6に示すように、この加減圧ユニット7は、圧力室16を有する圧力室ボデー17に、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19を一体的に組付けて構成される。本実施例では、前記減圧用制御バルブ19は、複数個、例えば図で左右に位置して2個が設けられる。
【0021】
前記圧力室ボデー17は、図6に示すように、全体として矩形ブロック状をなし、その上面に、上方に突出する円筒状の上部接続部20を一体に有していると共に、左右の側壁部には、円筒状の側部接続部21、21を一体に有している。図2、図3に示すように、前記圧力室16は、前記左右の側部接続部21、21の中心部同士をつなぐように、左右に延びる断面円形の空洞部と、その左右方向の空洞部に対して十字状に交差して前後方向に延びる断面円形の空洞部とから構成されている。図1にも示すように、前記上部接続部20に、前記加圧用制御バルブ18が組付けられ、前記各側部接続部21、21に夫々前記減圧用制御バルブ19、19が組付けられる。
【0022】
図2〜図4に示すように、前記上部接続部20の底部には、下方に緩やかに窄まるような円錐状凹部20aが形成されており、その底部から下方に向けて延びる入口通路17aが形成されている。この入口通路17aの下端部が、前記圧力室16の中央の交差部分につながっている。従って、前記円錐状凹部20a及びそこからつながる入口通路17a部分が、圧力室16の入口部とされる。
【0023】
また、圧力室ボデー17内には、図2に示すように、前記各側部接続部21、21の奥部下部から夫々下方に延びて、排出通路17b、17bが形成されており、それら2本の排出通路17b、17bが圧力室ボデー17内で一つにつながって、図3にも示す底部の排出口17cに連続している。この排出口17cに、前記排出経路14の端部が接続される。
【0024】
前記圧力室ボデー17の前面部には、図3及び図6に示すように、前記圧力室16のうち前後方向に延びる部分の前端部に接続された状態で、該圧力室16内の圧力を検出する第2の圧力計22が取付けられている。そして、図3に示すように、圧力室ボデー17の後面部には、圧力室16のうち前後方向に延びる部分の前端部に接続された状態で、評価対象となる圧力センサ6が、配管継手23を介して着脱可能にセットされるようになっている。後述するように、圧力室16内には、試験用流体Lが、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給され、その圧力脈動が、圧力センサ6の受圧部に作用することにより、耐久性の試験が行われる。
【0025】
前記加圧用制御バルブ18は、図2及び図3に示すように、バルブボデー24の上端部に、円筒蓋状のバルブカバー25を連結して構成される。バルブボデー24内の下部には、流体Lが導入される高圧室26が設けられ、バルブボデー24の側壁部(図で左側)には、前記高圧室26につながる入口ポート27が設けられている。この入口ポート27に、前記供給経路13が接続され、もって高圧室26内に高圧の流体Lが供給されるようになっている。
【0026】
これと共に、図4にも示すように、バルブボデー24には、前記高圧室26から下方に向けて延びる出口ポート28が設けられている。このとき、バルブボデー24の下端部の外形は、円錐状に尖った形態とされ、前記出口ポート28は、その下端部の中心部で開口している。この出口ポート28の高圧室26側の開口部の周囲部が、シート部26aとされている。
【0027】
そして、バルブボデー24には、前記高圧室26から上方に延びて貫通孔24aが設けられ、この貫通孔24a内に、スプールニードル29が液密状態で上下方向に摺動可能に設けられている。スプールニードル29の先端部は前記シート部26aに密着して出口ポート28を塞ぐような尖った形状をなし、その上端部と前記バルブカバー25との間に、スプリング30が設けられている。これと共に、前記バルブカバー25内には、スプールニードル29を上下方向に進退移動させるための駆動機構としてのソレノイド31が設けられている。
【0028】
これにて、通常時、つまりソレノイド31の断電時(バルブのオフ時)には、スプールニードル29は、スプリング30のばね力により下方に付勢され、シート部26aに密着して出口ポート28を塞いでいる。これに対し、ソレノイド31が通電励磁(バルブがオン)されると、スプールニードル29は、ソレノイド31の吸引力によってスプリング30のばね力に抗して上昇し、シート部26aから離間して出口ポート28を開放させるようになっている。これにより、高圧室26内の高圧の流体Lが出口ポート28から吐出される。
【0029】
このように構成された加圧用制御バルブ18は、その先端(下端)部を、前記圧力室ボデー17の上部接続部20内に上方から差込んだ形態で取付けられる。このとき、本実施例では、図4に示すように、上部接続部20の上端内周壁と、加圧用制御バルブ18の下端部外壁の間に挟まれるようにして、入口側オリフィスプレート32が介在される。この入口側オリフィスプレート32は、中央部に下方に凸となるドーム状(半球状)部分を有し、そのドーム状部分に1個又は複数個(図では2個)のオリフィス穴32aが形成されている。
【0030】
これにて、入口側オリフィスプレート32と、上部接続部20の円錐状凹部20aとの間に、オリフィス穴32aを通して流れる流体Lを整流する整流室33が形成される。このとき、オリフィス穴32aは、上下方向に見た場合、整流室33に対し流体Lを放射方向に吐出させる、或いは、放射方向に対してどちらか(右回り又は左回り)にやや傾きをもって旋回流を形成するように吐出させるように形成されている。
【0031】
この構成により、図4に矢印で示すように、加圧用制御バルブ18の出口ポート28から吐出された流体Lは、入口側オリフィスプレート32のオリフィス穴32aを通して整流室33に流れ込み、整流された上で入口通路17a部を通って圧力室16に供給される。尚、図示はしないが、入口側オリフィスプレート32は、前記オリフィス穴32aの数や大きさの異なる複数種類のものが用意されており、それらのうち何れか1つが、選択的に取付けられるようになっている。
【0032】
次に、前記減圧用制御バルブ19、19は、圧力室ボデー17(側部接続部21)に対し、図2で左右対称的に設けられており、図5に示すように、そのうち右側の減圧用制御バルブ19を代表させて説明する。図2、図5に示すように、減圧用制御バルブ19は、バルブボデー34、アーマチャバルブ35、バルブカバー36、出口側オリフィスプレート37、スプリング38、駆動機構としてのソレノイド39を備えている。
【0033】
前記バルブボデー34は、側部接続部21の内周壁に密に嵌まり込む円筒ブロック状をなし、側部接続部21の奥壁部との間に出口側オリフィスプレート37を挟んだ状態で設けられる。このバルブボデー34は、中心部に図で左右方向に貫通する貫通孔34aを有すると共に、圧力室ボデー17(出口側オリフィスプレート37)側の面の中央部分に位置して円形凹部34bが形成されている。更に、この円形凹部34bから延びて、前記圧力室ボデー17の排出通路17bの上端部に連通するように、排出経路34cが形成されている。
【0034】
前記出口側オリフィスプレート37は、前記バルブボデー34よりも径小な円板状をなし、その中心部にオリフィス穴37aを有している。このオリフィス穴37aは、例えば、側部接続部21側が径大、バルブボデー34側が径小となるように構成されている。このオリフィス穴37aによって、前記圧力室16のうち左右方向に延びる部分の側部接続部21の中心で開口する端部と、前記バルブボデー34の円形凹部34bとが連通される。尚、この出口側オリフィスプレート37についても、オリフィス穴37aの径の異なる複数種類が用意され、そのうちいずれかが選択的に(交換可能に)取付けられている。
【0035】
前記アーマチャバルブ35は、前記バルブボデー34の貫通孔34aに、液密状態で摺動(進退移動)可能に設けられている。アーマチャバルブ35の先端部は、前記出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aを開閉するように設けられている。前記バルブカバー36は、円筒蓋状をなし、前記側部接続部21の開口端部を塞ぐように設けられている。このとき、アーマチャバルブ35の後端部とバルブカバー36との間に設けられたスプリング38により、アーマチャバルブ35がオリフィス穴37aを塞ぐ方向に付勢されている。前記バルブカバー36内には、アーマチャバルブ35を進退移動させるための駆動機構としてのソレノイド39が設けられている。
【0036】
これにて、通常時、つまりソレノイド39の断電時(バルブのオフ時)には、図5(a)に示すように、アーマチャバルブ35がスプリング38のばね力により、出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aを塞いでいる。これに対し、ソレノイド39が通電励磁(バルブがオン)されると、図5(b)に示すように、アーマチャバルブ35は、ソレノイド39の吸引力によってスプリング38のばね力にばね力に抗して移動し、出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aから離間するようになっている。これにより、圧力室16内の流体Lが、オリフィス穴37a、円形凹部34b、排出流路34cを順に通り、排出通路17bから排出されるようになる。
【0037】
さて、図1に示すように、前記制御装置10は、コンピュータを含んで構成され、前記第1の圧力計12、第2の圧力計22、温度検出器15からの信号が入力される。そして、制御装置10は、前記ポンプ3、圧力調整器5、加圧用制御バルブ18のソレノイド31、2個の減圧用制御バルブ19のソレノイド39、冷却器8、加熱器9を制御する。また、制御装置10には、操作パネル40が接続されている。詳しくは後述するが、ユーザ(オペレータ)による操作パネル40の操作によって、圧力室16に供給する試験用流体Lの圧力脈動の振幅や変化率等(波形のパターン)を設定する設定信号が入力されるようになっている。従って、この操作パネル40が設定手段として機能する。
【0038】
詳しくは次の作用説明にて述べるように、制御装置10は、そのソフトウエア的構成(評価プログラムの実行)によって、評価対象となる圧力センサ6(圧力機器)に対する評価試験(本実施例に係る評価方法)を実行する。このとき、圧力室16内に試験用流体Lを、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより圧力センサ6の耐久性を評価する。図8(c)等には、圧力脈動のパターンを例示しており、周期をTとして振幅aの圧力脈動が繰返される。尚、本実施例では、振幅aとして、例えば1MPa〜30MPaの範囲で設定可能とされる。また、周期Tは、例えば1msec程度とされる。
【0039】
制御装置10は、上記操作パネル40からの設定に基づき、目的とする圧力脈動の波形(パターン)を得るために、圧力調整器5による流体Lの供給圧力の調整や、加圧用制御バルブ18、減圧用制御バルブ19のオン(開)、オフ(閉)のタイミングを制御する。また、本実施例では、上記したように、入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37は、夫々複数種類が用意されており、必要とする圧力脈動のパターンに応じて、最も適した大きさ(並びに個数)のオリフィス穴32a、37aを有するものが選択的に取付けられる。
【0040】
次に、上記構成の作用について、図7〜図11も参照して述べる。図7のフローチャートは、圧力センサ6の評価試験を行う際に、制御装置10が実行する処理手順を示している。評価試験を行うにあたっては、ユーザ(オペレータ)は、上記のように、操作パネル40を操作し、ステップS1にて、圧力振幅を設定すると共に、ステップS2にて、変化率を設定する。また、評価対象となる圧力センサ6を、配管継手23を介して加減圧ユニット7の圧力室16にセットする。必要な入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37を、加減圧ユニット7に取付けておくことは勿論である。
【0041】
ステップS3にて、ユーザ(オペレータ)に指示操作により試験が開始されると、ステップS4では、第2の圧力計22による圧力室16の圧力検出が行なわれる。ステップS5では、第2の圧力計22による圧力室16の検出圧力が0(P0)であるかどうかが判断され、0である場合に(Yes)、ステップS6に進む。
【0042】
尚、この時点では、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19は全て閉塞状態にあるが、圧力室16の検出圧力が0でない場合には、減圧用制御バルブ19、19を開放させることにより、圧力室16の圧力を低下させることができる。また、これも図7には示されていないが、貯留タンク2内の試験用流体Lがポンプ3の駆動により、蓄圧タンク6に圧送され、第1の圧力計12の検出に基づき、圧力調整器5により、蓄圧タンク6内の流体Lが圧力脈動のパターンを得るために必要な所定の高圧に調整される。
【0043】
ステップS6では、ソレノイド31がオンされ、加圧用制御バルブ18が開放される。すると、上記のように、供給経路13を通って入口ポート27から高圧室26に供給される高圧の流体Lが、出口ポート28から吐出され、図4に示したように、その流体Lが入口側オリフィスプレート32のオリフィス穴32aを通して整流室33に流れ込み、整流されながら入口通路17a部を通って圧力室16に供給される。これにより、圧力室16内の圧力が、所定の速度(変化率)で上昇するようになり、評価対象の圧力センサ6(受圧部)にその圧力が作用する。
【0044】
次のステップS7では、第2の圧力計22により検出される圧力室16内の圧力が、設定された圧力(圧力振幅)まで上昇したかどうかが判断される。圧力室16の圧力が設定値まで上昇すると(ステップS7にてYes)、ステップS8にて、加圧用制御バルブ18が閉塞(ソレノイド31がオフ)され、圧力室16への高圧の流体Lの供給が停止される。これと共に、ステップS9では、ソレノイド39、39がオンされ、減圧用制御バルブ19、19が開放される。
【0045】
これにて、図5(b)に示したように、圧力室16内の流体Lが、オリフィス穴37a、円形凹部34b、排出流路34cを順に通り、排出通路17b更には排水口17cを通って、排水経路13に排出されるようになる。圧力室16内の流体Lの排出により、圧力室16内の圧力は所定の速度(変化率)で下降するようになる。尚、排出された流体Lは、排水経路13を通って貯留タンク2に戻される。このとき、流体Lが必要以上の高温になっている場合もあり、その際には、温度検出器15の検出に基づき、冷却器8(低温の場合には加熱器9)によって所定の温度範囲に維持される。
【0046】
ステップS10では、第2の圧力計22により検出に基づき、圧力室16内の圧力が、設定圧力(例えば0)まで低下したかどうかが判断される。圧力室16内の圧力が設定圧力まで低下した場合には(ステップS10にてYes)、ステップS11にて、減圧用制御バルブ19、19が閉塞され、ステップS12にて、サイクルカウント(圧力脈動の繰返し回数を1ずつ増やす)がなされる。
【0047】
次のステップS13では、圧力センサ6が故障したかどうか、或いは、カウント数が所定回数(例えば10万回等の設定値)に至ったかどうかが判断される。圧力センサ6が故障しておらず、またカウント数が所定回数未満の場合には(ステップS13にてNo)、ステップS6からの処理が繰り返される。圧力センサ6が故障した、或いはカウント数が所定回数に至った場合には(ステップS13にてYes)、ステップS14にて試験終了となる。これにて、評価対象となる圧力センサ6の耐久性(寿命)を判断することができるのである。
【0048】
ここで、図8〜図11は、圧力室16に供給される(評価対象に作用させる)試験用流体Lの圧力脈動の4種類のパターン(時間経過に伴う圧力変動)を、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19の開閉(オン、オフ)のパターンと共に例示している。これらは、便宜上、周期をT(時刻t0〜時刻t5)に一定に揃えている。これら例示したもの以外にも、圧力脈動の様々なパターンを得ることができる。
【0049】
この場合、加圧用制御バルブ18をオンすれば、圧力室16内の圧力は上昇し、減圧用制御バルブ19、19をオンすれば、圧力室16内の圧力は下降する。圧力が上昇する際の変化率(傾き)は、圧力調整器5によって調整される流体Lの供給圧力及び、入口側オリフィスプレート32の種類(オリフィス穴32aの数及び大きさ)によって決まってくる。また、圧力が下降する際の変化率(傾き)は、出口側オリフィスプレート37の種類(オリフィス穴37aの大きさ)及び減圧用制御バルブ19を1個使うか2個使うかによって決まってくる。
【0050】
図8の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t4〜t5(t0)の間で開放(オン)している(b)。これにより、圧力脈動のパターンは、図8(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P0(=0)で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P2(振幅a)に至り、時刻t3からt4の間その圧力P2が維持され、時刻t4からt5(t0)まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P0に戻るといった台形波のパターンとなり、このパターンの圧力脈動が繰返される。
【0051】
図9の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3.5の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t3〜t5(t0)の間で開放(オン)している(b)。つまり、加圧用制御バルブ18のオン時間と減圧用制御バルブ19のオン開始時刻とが、一部オーバーラップしている。これにより、圧力脈動のパターンは、図9(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P0(=0)で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P3に至り、時刻t3からt4まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P0に戻り、時刻t4からt5(t0)まで、圧力P0が維持されるといった三角波(のこぎり波)のパターンとなる。ここでは、圧力の上昇、下降の変化率は、共に図8の例より大きくなっている。
【0052】
図10の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3.5の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t3.5から次の周期の時刻t1の間で開放(オン)している(b)。そして、それら加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19のオン、オフ制御に加えて、圧力調整器5に関して、流体Lの供給圧力を、圧力P10とP13との間の振幅で、周期をTとした正弦波状に変化させる制御を行っている(c)。この場合、時刻t3.5に頂点(最高圧力P13)が現れ、時刻t1に最下点(最低圧力P10)が現れる波形とされる。これにより、圧力脈動のパターンは、図10(d)のように、供給経路13を供給される流体Lの圧力変動と同様に、時刻t3.5に頂点(最高圧力P3)が現れ、時刻t1に最下点(最低圧力P0)が現れるような、正弦波状のパターンとなる。
【0053】
図11の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t4〜t4.5の間で開放(オン)している(b)。つまり、減圧用制御バルブ19、19のオン時間を図8の例よりも小さくしている。これにより、圧力脈動のパターンは、図11(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P1で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P3に至り、時刻t3からt4の間その圧力P3が維持され、時刻t4からt5(t0)まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P1に戻るといった台形波のパターンとなる。この場合、減圧用制御バルブ19、19のオン時間が短いため、圧力室16内の圧力がP1までしか低下せず、圧力P1〜P3の間で脈動する。
【0054】
このように本実施例の評価装置1及び評価方法によれば、制御装置10により、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19の開閉タイミングが制御されることによって、圧力室16内に供給される試験用流体Lの圧力脈動の振幅を自在に調整することができ、設定された振幅を得ることができる。また、圧力室16内に供給される流体Lの流速を変化させることによって圧力室16内における圧力の単位時間当りの上昇度合即ち変化率を調整することができるので、制御装置10により圧力調整器5を制御することにより、設定された圧力の変化率を得ることができる。
【0055】
この場合、本実施例によれば、キャビテーションを用いて圧力脈動を発生させるようにした特許文献1の技術と異なり、圧力センサ6等の評価対象に対する、使用環境や要求される性能に応じた試験を行うために、評価用の試験用流体Lの圧力脈動の振幅や変化率を任意に設定でき、しかも所望の圧力振幅や圧力変化率を高精度で得ることができる。このとき、加圧用制御バルブ18の出口部と圧力室16の入口部との間に、流体Lを整流する整流室33を設けたことにより、圧力室16内の圧力の変動を安定化することができ、圧力脈動の変化率(及び振幅)の制御をより一層高精度で行うことができる。
【0056】
また、特に本実施例では、入口側オリフィスプレート32を、オリフィス穴32aの大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つを選択して付替え可能とし、また、減圧用制御バルブ19を2個設ける構成とすると共に、出口側オリフィスプレート37についても、オリフィス穴37aの大きさの異なるものを付替え可能としたので、圧力脈動の圧力変化率の調整(設定)可能な範囲を、より一層広げることができる。
【0057】
更に、本実施例では、圧力室16を有する圧力室ボデー17に対し、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19を、一体的に組付けてユニット化し、加減圧ユニット7として構成したことにより、各部をつなぐ管路の長さを短く済ませるなど、構成の簡単化(コンパクト化)を図ることができるといったメリットも得ることができる。
【0058】
尚、上記実施例では、加減圧ユニット7に、整流室33を設け、入口側オリフィスプレート32を交換可能に構成したが、整流室33(入口側オリフィスプレート32)は必要に応じて設ければ良く、或いは1種類の入口側オリフィスプレート32を固定的に設けることもできる。出口側オリフィスプレート37についても、同様に、必要に応じて設ければ良い。このとき、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19,19に電磁弁を採用し、制御装置によりPWM制御する構成とすることもできる。これによれば、入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37を用いることなく、圧力室16内の圧力の上昇速度、下降速度を自在に可変することができる。
【0059】
また、上記実施例では、油圧検出用の圧力センサ6を例としてあげたが、車両用の圧力センサとして、燃料噴射装置用、エンジンのコモンレール用などの評価対象とすることも可能である。さらに、圧力センサ6以外にも、車両に設けられる圧力機器(油圧装置や空気圧装置)としては、ポンプ、モータ、シリンダ、各種バルブ、圧力スイッチなども、評価対象とすることができる。
【0060】
その他、上記実施例では、圧力室ボデー17、加圧用制御バルブ18、減圧用制御バルブ19,19を一体化した加減圧ユニット7を設けるようにしたが、圧力室を有する圧力室ボデーの構成、加圧用制御バルブや減圧用制御バルブの駆動機構等の構造、それらの個数や配置などについても様々な変更が可能である等、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0061】
図面中、1は評価装置、5は圧力調整器、6は圧力センサ(圧力機器)、7は加減圧ユニット、10は制御装置、13は供給経路、14は排出経路、16は圧力室、17は圧力室ボデー、18は加圧用制御バルブ、19は減圧用制御バルブ、20aは円錐状凹部、22は第2の圧力計、32は入口側オリフィスプレート、32aはオリフィス穴、33は整流室、37は出口側オリフィスプレート、37aはオリフィス穴、40は操作パネル(設定手段)、Lは試験用流体を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、圧力室内に試験用流体を脈動状態で供給することにより、圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力機器、例えば自動車に組込まれる油圧装置用の圧力センサ(半導体圧力センサ)においては、評価対象となる圧力センサの圧力検知部に対し、例えば作動油等の流体を、圧力を周期的に変化させながら印加し、例えば何回の圧力脈動に耐え得るかといった耐久性(寿命)の試験が行われる。この種の評価装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この評価装置は、油圧ポンプから出力される圧力媒体にキャビテーションを発生させることにより、大きな圧力振幅及び圧力変化率の圧力脈動を圧力センサに作用させる。そして、圧力センサに作用する圧力波形を統計処理して正規分布化することにより、圧力センサの寿命を評価するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような評価装置にあっては、評価対象に対する、使用環境や要求される性能に応じた試験を行うために、評価用の試験用流体の脈動の圧力振幅や圧力変化率を任意に設定でき、且つ、高精度に圧力を発生できることが望まれる。しかしながら、特許文献1のものでは、キャビテーションによって圧力の変動を発生させるものであるため、所望の圧力振幅や圧力変化率を得ることはできず、高精度の試験を行うことについては不十分であった。尚、この場合、試験用流体の脈動を得る場合、圧力振幅や圧力変化率を広い範囲で設定(調整)できることが要望されるのである。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、圧力機器に対し、試験用流体を脈動状態で作用させて耐久性を評価するものにおいて、脈動の圧力振幅や圧力変化率を任意に設定することが可能で、しかも、その脈動を高精度で発生させることができる圧力機器の評価装置及び評価方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の圧力機器の評価装置は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価するものにおいて、前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、この設定手段に設定に応じて、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備するところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0007】
また、本発明の圧力機器の評価方法は、評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価するものにおいて、前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備し、前記制御装置は、前記設定手段の設定に応じて、前記圧力調整器を制御すると共に、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングを制御することにより、前記圧力室内に試験用流体を、設定された圧力脈動の振幅及び変化率で圧力が周期的に変動する脈動状態で供給するところに特徴を有する(請求項7の発明)。
【0008】
本発明によれば、供給経路を通って圧力室内に供給される試験用流体が、圧力が周期的に変動する脈動状態で、評価対象となる圧力機器に作用することによって耐久性の評価が行なわれる。このとき、加圧用制御バルブが開放されると共に、減圧用制御バルブが閉塞されることにより、圧力室内の流体圧力は上昇し、加圧用制御バルブが閉塞されると共に、減圧用制御バルブが開放されることにより、圧力室内の流体圧力が下降する。また、その際に圧力室内に供給される試験用流体の圧力ひいては流速を、圧力調整器によって調整することができる。
【0009】
従って、制御装置により、加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングが制御されることによって、圧力室内に供給される試験用流体の圧力脈動の振幅を自在に調整することができ、設定手段において設定された振幅を得ることができる。また、圧力室内に供給される流体の流速を変化させることによって圧力室内における圧力の単位時間当りの上昇度合即ち変化率を調整することができるので、制御装置により圧力調整器を制御することにより、設定手段において設定された圧力の変化率を得ることができる。
【0010】
本発明の圧力機器の評価装置においては、前記圧力室を有する圧力室ボデーに対し、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを、一体的に組付けてユニット化するように構成することにより(請求項2の発明)、各部をつなぐ管路の長さを短く済ませるなど、構成の簡単化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の圧力機器の評価装置においては、前記加圧用制御バルブの出口部からつながる前記圧力室の入口部に、円錐状凹部を形成すると共に、該円錐状凹部と前記加圧用制御バルブの出口部との間に、オリフィス穴を有した入口側オリフィスプレートを配設し、それら入口側オリフィスプレートと円錐状凹部との間に、前記加圧用制御バルブの出口部から前記オリフィス穴を通して流れる試験用流体を整流する整流室を設ける構成とすることができる(請求項3の発明)。これによれば、整流室における流体の整流作用によって、圧力室内の圧力の変動を安定化することができ、圧力脈動の変化率(及び振幅)の制御をより一層高い精度で行うことができる。
【0012】
更にこのとき、前記入口側オリフィスプレートを、前記オリフィス穴の大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つを選択して付替え可能に取付ける構成とすることができる(請求項4の発明)。整流室を設けることによる作用、効果に加えて、入口側オリフィスプレートの選択によるオリフィス穴の大きさの変更によって、圧力室内に供給される流体の流速を変化させることができるので、圧力脈動の変化率の調整(設定)可能な範囲を、より一層広げることができる。
【0013】
本発明の圧力機器の評価装置においては、前記減圧用制御バルブから前記排出経路への出口部に、オリフィス穴を有する出口側オリフィスプレートを交換可能に設けることができうる(請求項5の発明)。これによれば、出口側オリフィスプレートのオリフィス穴の大きさを変化させることによって、圧力室内の圧力を下降させる際の圧力脈動の変化率(及び振幅)の調整(設定)の範囲を、より広げることが可能となる。
【0014】
前記圧力室の出口部から、前記排出経路につながる複数の出口経路を設け、前記減圧用制御バルブを、前記各出口経路を夫々開閉するように複数設ける構成としても良い(請求項6の発明)。これによれば、圧力室内の流体を排出する際の出口経路を選択的に使用することが可能となり、圧力を下降させる際の圧力脈動の変化率(及び振幅)の調整(設定)の範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、評価装置のシステム全体構成を示す図
【図2】加減圧ユニットの縦断正面図
【図3】加減圧ユニットの縦断右側面図
【図4】整流室部分の拡大縦断正面図
【図5】右側の出口側オリフィスプレート部分を、バルブ閉状態(a)及びバルブ開状態(b)で示す拡大縦断正面図
【図6】加減圧ユニットの斜視図
【図7】制御装置が実行する評価試験の処理手順を示すフローチャート
【図8】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その1)
【図9】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その2)
【図10】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、供給圧力の変動パターン(c)、圧力脈動のパターン(d)の例を示す図(その3)
【図11】加圧用制御バルブ(a)及び減圧用制御バルブ(b)の開閉パターン、並びに、圧力脈動のパターン(c)の例を示す図(その4)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施例では、圧力機器として、車両に設けられる油圧装置(例えば、ABS装置、パワーステアリング、オートマチックトランスミッション、アクティブサスペンション等)の圧力検知用の圧力センサ(半導体圧力センサ)を評価対象とし、その耐久性(寿命)を評価する場合を具体例としている。
【0017】
図1は、本実施例に係る評価装置1の全体のシステム構成を示している。この図1において、太線は、試験用流体L(例えば作動油)の流れる経路(配管)を示し、点線は、制御装置と各機構との間での、通電や信号の通信のための電気的な経路(配線)を示している。この評価装置1は、流体Lが貯留される貯留タンク2、ポンプ3、蓄圧タンク4、圧力調整器5、評価対象となる圧力センサ6がセットされる加減圧ユニット7、冷却器8、加熱器9、それらをループ状に接続する各配管、各機構を制御する制御装置10等を備えて構成される。
【0018】
前記貯留タンク2内の流体Lは、前記ポンプ3の駆動により、第1の配管11を通して前記蓄圧タンク4に圧送される。蓄圧タンク4内の流体Lは、圧力調整器5により所定の圧力(高圧)に調整されるようになっており、このとき蓄圧タンク4内の圧力が第1の圧力計12によって検出される。蓄圧タンク4内の流体Lは、供給経路13を通して加減圧ユニット7に供給される。この加減圧ユニット7については、後述する。
【0019】
そして、前記加減圧ユニット7から排出される流体Lは、排出経路14を通して前記貯留タンク2に戻されるようになっている。このとき、排出経路14内の液体の温度が、温度検出器15によって検出され、この検出温度に基づいて、前記冷却器8及び加熱器9により、所定の温度に調整されるようになっている。
【0020】
ここで、前記加減圧ユニット7について、図2〜図6も参照して述べる。図2及び図3は、加減圧ユニット7の全体の断面構成を示しており、図6は加減圧ユニット7の外観構成を示している。また、図4、図5は、夫々、図2のA部、B部を拡大して示している。図2、図6に示すように、この加減圧ユニット7は、圧力室16を有する圧力室ボデー17に、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19を一体的に組付けて構成される。本実施例では、前記減圧用制御バルブ19は、複数個、例えば図で左右に位置して2個が設けられる。
【0021】
前記圧力室ボデー17は、図6に示すように、全体として矩形ブロック状をなし、その上面に、上方に突出する円筒状の上部接続部20を一体に有していると共に、左右の側壁部には、円筒状の側部接続部21、21を一体に有している。図2、図3に示すように、前記圧力室16は、前記左右の側部接続部21、21の中心部同士をつなぐように、左右に延びる断面円形の空洞部と、その左右方向の空洞部に対して十字状に交差して前後方向に延びる断面円形の空洞部とから構成されている。図1にも示すように、前記上部接続部20に、前記加圧用制御バルブ18が組付けられ、前記各側部接続部21、21に夫々前記減圧用制御バルブ19、19が組付けられる。
【0022】
図2〜図4に示すように、前記上部接続部20の底部には、下方に緩やかに窄まるような円錐状凹部20aが形成されており、その底部から下方に向けて延びる入口通路17aが形成されている。この入口通路17aの下端部が、前記圧力室16の中央の交差部分につながっている。従って、前記円錐状凹部20a及びそこからつながる入口通路17a部分が、圧力室16の入口部とされる。
【0023】
また、圧力室ボデー17内には、図2に示すように、前記各側部接続部21、21の奥部下部から夫々下方に延びて、排出通路17b、17bが形成されており、それら2本の排出通路17b、17bが圧力室ボデー17内で一つにつながって、図3にも示す底部の排出口17cに連続している。この排出口17cに、前記排出経路14の端部が接続される。
【0024】
前記圧力室ボデー17の前面部には、図3及び図6に示すように、前記圧力室16のうち前後方向に延びる部分の前端部に接続された状態で、該圧力室16内の圧力を検出する第2の圧力計22が取付けられている。そして、図3に示すように、圧力室ボデー17の後面部には、圧力室16のうち前後方向に延びる部分の前端部に接続された状態で、評価対象となる圧力センサ6が、配管継手23を介して着脱可能にセットされるようになっている。後述するように、圧力室16内には、試験用流体Lが、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給され、その圧力脈動が、圧力センサ6の受圧部に作用することにより、耐久性の試験が行われる。
【0025】
前記加圧用制御バルブ18は、図2及び図3に示すように、バルブボデー24の上端部に、円筒蓋状のバルブカバー25を連結して構成される。バルブボデー24内の下部には、流体Lが導入される高圧室26が設けられ、バルブボデー24の側壁部(図で左側)には、前記高圧室26につながる入口ポート27が設けられている。この入口ポート27に、前記供給経路13が接続され、もって高圧室26内に高圧の流体Lが供給されるようになっている。
【0026】
これと共に、図4にも示すように、バルブボデー24には、前記高圧室26から下方に向けて延びる出口ポート28が設けられている。このとき、バルブボデー24の下端部の外形は、円錐状に尖った形態とされ、前記出口ポート28は、その下端部の中心部で開口している。この出口ポート28の高圧室26側の開口部の周囲部が、シート部26aとされている。
【0027】
そして、バルブボデー24には、前記高圧室26から上方に延びて貫通孔24aが設けられ、この貫通孔24a内に、スプールニードル29が液密状態で上下方向に摺動可能に設けられている。スプールニードル29の先端部は前記シート部26aに密着して出口ポート28を塞ぐような尖った形状をなし、その上端部と前記バルブカバー25との間に、スプリング30が設けられている。これと共に、前記バルブカバー25内には、スプールニードル29を上下方向に進退移動させるための駆動機構としてのソレノイド31が設けられている。
【0028】
これにて、通常時、つまりソレノイド31の断電時(バルブのオフ時)には、スプールニードル29は、スプリング30のばね力により下方に付勢され、シート部26aに密着して出口ポート28を塞いでいる。これに対し、ソレノイド31が通電励磁(バルブがオン)されると、スプールニードル29は、ソレノイド31の吸引力によってスプリング30のばね力に抗して上昇し、シート部26aから離間して出口ポート28を開放させるようになっている。これにより、高圧室26内の高圧の流体Lが出口ポート28から吐出される。
【0029】
このように構成された加圧用制御バルブ18は、その先端(下端)部を、前記圧力室ボデー17の上部接続部20内に上方から差込んだ形態で取付けられる。このとき、本実施例では、図4に示すように、上部接続部20の上端内周壁と、加圧用制御バルブ18の下端部外壁の間に挟まれるようにして、入口側オリフィスプレート32が介在される。この入口側オリフィスプレート32は、中央部に下方に凸となるドーム状(半球状)部分を有し、そのドーム状部分に1個又は複数個(図では2個)のオリフィス穴32aが形成されている。
【0030】
これにて、入口側オリフィスプレート32と、上部接続部20の円錐状凹部20aとの間に、オリフィス穴32aを通して流れる流体Lを整流する整流室33が形成される。このとき、オリフィス穴32aは、上下方向に見た場合、整流室33に対し流体Lを放射方向に吐出させる、或いは、放射方向に対してどちらか(右回り又は左回り)にやや傾きをもって旋回流を形成するように吐出させるように形成されている。
【0031】
この構成により、図4に矢印で示すように、加圧用制御バルブ18の出口ポート28から吐出された流体Lは、入口側オリフィスプレート32のオリフィス穴32aを通して整流室33に流れ込み、整流された上で入口通路17a部を通って圧力室16に供給される。尚、図示はしないが、入口側オリフィスプレート32は、前記オリフィス穴32aの数や大きさの異なる複数種類のものが用意されており、それらのうち何れか1つが、選択的に取付けられるようになっている。
【0032】
次に、前記減圧用制御バルブ19、19は、圧力室ボデー17(側部接続部21)に対し、図2で左右対称的に設けられており、図5に示すように、そのうち右側の減圧用制御バルブ19を代表させて説明する。図2、図5に示すように、減圧用制御バルブ19は、バルブボデー34、アーマチャバルブ35、バルブカバー36、出口側オリフィスプレート37、スプリング38、駆動機構としてのソレノイド39を備えている。
【0033】
前記バルブボデー34は、側部接続部21の内周壁に密に嵌まり込む円筒ブロック状をなし、側部接続部21の奥壁部との間に出口側オリフィスプレート37を挟んだ状態で設けられる。このバルブボデー34は、中心部に図で左右方向に貫通する貫通孔34aを有すると共に、圧力室ボデー17(出口側オリフィスプレート37)側の面の中央部分に位置して円形凹部34bが形成されている。更に、この円形凹部34bから延びて、前記圧力室ボデー17の排出通路17bの上端部に連通するように、排出経路34cが形成されている。
【0034】
前記出口側オリフィスプレート37は、前記バルブボデー34よりも径小な円板状をなし、その中心部にオリフィス穴37aを有している。このオリフィス穴37aは、例えば、側部接続部21側が径大、バルブボデー34側が径小となるように構成されている。このオリフィス穴37aによって、前記圧力室16のうち左右方向に延びる部分の側部接続部21の中心で開口する端部と、前記バルブボデー34の円形凹部34bとが連通される。尚、この出口側オリフィスプレート37についても、オリフィス穴37aの径の異なる複数種類が用意され、そのうちいずれかが選択的に(交換可能に)取付けられている。
【0035】
前記アーマチャバルブ35は、前記バルブボデー34の貫通孔34aに、液密状態で摺動(進退移動)可能に設けられている。アーマチャバルブ35の先端部は、前記出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aを開閉するように設けられている。前記バルブカバー36は、円筒蓋状をなし、前記側部接続部21の開口端部を塞ぐように設けられている。このとき、アーマチャバルブ35の後端部とバルブカバー36との間に設けられたスプリング38により、アーマチャバルブ35がオリフィス穴37aを塞ぐ方向に付勢されている。前記バルブカバー36内には、アーマチャバルブ35を進退移動させるための駆動機構としてのソレノイド39が設けられている。
【0036】
これにて、通常時、つまりソレノイド39の断電時(バルブのオフ時)には、図5(a)に示すように、アーマチャバルブ35がスプリング38のばね力により、出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aを塞いでいる。これに対し、ソレノイド39が通電励磁(バルブがオン)されると、図5(b)に示すように、アーマチャバルブ35は、ソレノイド39の吸引力によってスプリング38のばね力にばね力に抗して移動し、出口側オリフィスプレート37のオリフィス穴37aから離間するようになっている。これにより、圧力室16内の流体Lが、オリフィス穴37a、円形凹部34b、排出流路34cを順に通り、排出通路17bから排出されるようになる。
【0037】
さて、図1に示すように、前記制御装置10は、コンピュータを含んで構成され、前記第1の圧力計12、第2の圧力計22、温度検出器15からの信号が入力される。そして、制御装置10は、前記ポンプ3、圧力調整器5、加圧用制御バルブ18のソレノイド31、2個の減圧用制御バルブ19のソレノイド39、冷却器8、加熱器9を制御する。また、制御装置10には、操作パネル40が接続されている。詳しくは後述するが、ユーザ(オペレータ)による操作パネル40の操作によって、圧力室16に供給する試験用流体Lの圧力脈動の振幅や変化率等(波形のパターン)を設定する設定信号が入力されるようになっている。従って、この操作パネル40が設定手段として機能する。
【0038】
詳しくは次の作用説明にて述べるように、制御装置10は、そのソフトウエア的構成(評価プログラムの実行)によって、評価対象となる圧力センサ6(圧力機器)に対する評価試験(本実施例に係る評価方法)を実行する。このとき、圧力室16内に試験用流体Lを、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより圧力センサ6の耐久性を評価する。図8(c)等には、圧力脈動のパターンを例示しており、周期をTとして振幅aの圧力脈動が繰返される。尚、本実施例では、振幅aとして、例えば1MPa〜30MPaの範囲で設定可能とされる。また、周期Tは、例えば1msec程度とされる。
【0039】
制御装置10は、上記操作パネル40からの設定に基づき、目的とする圧力脈動の波形(パターン)を得るために、圧力調整器5による流体Lの供給圧力の調整や、加圧用制御バルブ18、減圧用制御バルブ19のオン(開)、オフ(閉)のタイミングを制御する。また、本実施例では、上記したように、入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37は、夫々複数種類が用意されており、必要とする圧力脈動のパターンに応じて、最も適した大きさ(並びに個数)のオリフィス穴32a、37aを有するものが選択的に取付けられる。
【0040】
次に、上記構成の作用について、図7〜図11も参照して述べる。図7のフローチャートは、圧力センサ6の評価試験を行う際に、制御装置10が実行する処理手順を示している。評価試験を行うにあたっては、ユーザ(オペレータ)は、上記のように、操作パネル40を操作し、ステップS1にて、圧力振幅を設定すると共に、ステップS2にて、変化率を設定する。また、評価対象となる圧力センサ6を、配管継手23を介して加減圧ユニット7の圧力室16にセットする。必要な入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37を、加減圧ユニット7に取付けておくことは勿論である。
【0041】
ステップS3にて、ユーザ(オペレータ)に指示操作により試験が開始されると、ステップS4では、第2の圧力計22による圧力室16の圧力検出が行なわれる。ステップS5では、第2の圧力計22による圧力室16の検出圧力が0(P0)であるかどうかが判断され、0である場合に(Yes)、ステップS6に進む。
【0042】
尚、この時点では、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19は全て閉塞状態にあるが、圧力室16の検出圧力が0でない場合には、減圧用制御バルブ19、19を開放させることにより、圧力室16の圧力を低下させることができる。また、これも図7には示されていないが、貯留タンク2内の試験用流体Lがポンプ3の駆動により、蓄圧タンク6に圧送され、第1の圧力計12の検出に基づき、圧力調整器5により、蓄圧タンク6内の流体Lが圧力脈動のパターンを得るために必要な所定の高圧に調整される。
【0043】
ステップS6では、ソレノイド31がオンされ、加圧用制御バルブ18が開放される。すると、上記のように、供給経路13を通って入口ポート27から高圧室26に供給される高圧の流体Lが、出口ポート28から吐出され、図4に示したように、その流体Lが入口側オリフィスプレート32のオリフィス穴32aを通して整流室33に流れ込み、整流されながら入口通路17a部を通って圧力室16に供給される。これにより、圧力室16内の圧力が、所定の速度(変化率)で上昇するようになり、評価対象の圧力センサ6(受圧部)にその圧力が作用する。
【0044】
次のステップS7では、第2の圧力計22により検出される圧力室16内の圧力が、設定された圧力(圧力振幅)まで上昇したかどうかが判断される。圧力室16の圧力が設定値まで上昇すると(ステップS7にてYes)、ステップS8にて、加圧用制御バルブ18が閉塞(ソレノイド31がオフ)され、圧力室16への高圧の流体Lの供給が停止される。これと共に、ステップS9では、ソレノイド39、39がオンされ、減圧用制御バルブ19、19が開放される。
【0045】
これにて、図5(b)に示したように、圧力室16内の流体Lが、オリフィス穴37a、円形凹部34b、排出流路34cを順に通り、排出通路17b更には排水口17cを通って、排水経路13に排出されるようになる。圧力室16内の流体Lの排出により、圧力室16内の圧力は所定の速度(変化率)で下降するようになる。尚、排出された流体Lは、排水経路13を通って貯留タンク2に戻される。このとき、流体Lが必要以上の高温になっている場合もあり、その際には、温度検出器15の検出に基づき、冷却器8(低温の場合には加熱器9)によって所定の温度範囲に維持される。
【0046】
ステップS10では、第2の圧力計22により検出に基づき、圧力室16内の圧力が、設定圧力(例えば0)まで低下したかどうかが判断される。圧力室16内の圧力が設定圧力まで低下した場合には(ステップS10にてYes)、ステップS11にて、減圧用制御バルブ19、19が閉塞され、ステップS12にて、サイクルカウント(圧力脈動の繰返し回数を1ずつ増やす)がなされる。
【0047】
次のステップS13では、圧力センサ6が故障したかどうか、或いは、カウント数が所定回数(例えば10万回等の設定値)に至ったかどうかが判断される。圧力センサ6が故障しておらず、またカウント数が所定回数未満の場合には(ステップS13にてNo)、ステップS6からの処理が繰り返される。圧力センサ6が故障した、或いはカウント数が所定回数に至った場合には(ステップS13にてYes)、ステップS14にて試験終了となる。これにて、評価対象となる圧力センサ6の耐久性(寿命)を判断することができるのである。
【0048】
ここで、図8〜図11は、圧力室16に供給される(評価対象に作用させる)試験用流体Lの圧力脈動の4種類のパターン(時間経過に伴う圧力変動)を、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19の開閉(オン、オフ)のパターンと共に例示している。これらは、便宜上、周期をT(時刻t0〜時刻t5)に一定に揃えている。これら例示したもの以外にも、圧力脈動の様々なパターンを得ることができる。
【0049】
この場合、加圧用制御バルブ18をオンすれば、圧力室16内の圧力は上昇し、減圧用制御バルブ19、19をオンすれば、圧力室16内の圧力は下降する。圧力が上昇する際の変化率(傾き)は、圧力調整器5によって調整される流体Lの供給圧力及び、入口側オリフィスプレート32の種類(オリフィス穴32aの数及び大きさ)によって決まってくる。また、圧力が下降する際の変化率(傾き)は、出口側オリフィスプレート37の種類(オリフィス穴37aの大きさ)及び減圧用制御バルブ19を1個使うか2個使うかによって決まってくる。
【0050】
図8の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t4〜t5(t0)の間で開放(オン)している(b)。これにより、圧力脈動のパターンは、図8(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P0(=0)で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P2(振幅a)に至り、時刻t3からt4の間その圧力P2が維持され、時刻t4からt5(t0)まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P0に戻るといった台形波のパターンとなり、このパターンの圧力脈動が繰返される。
【0051】
図9の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3.5の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t3〜t5(t0)の間で開放(オン)している(b)。つまり、加圧用制御バルブ18のオン時間と減圧用制御バルブ19のオン開始時刻とが、一部オーバーラップしている。これにより、圧力脈動のパターンは、図9(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P0(=0)で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P3に至り、時刻t3からt4まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P0に戻り、時刻t4からt5(t0)まで、圧力P0が維持されるといった三角波(のこぎり波)のパターンとなる。ここでは、圧力の上昇、下降の変化率は、共に図8の例より大きくなっている。
【0052】
図10の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3.5の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t3.5から次の周期の時刻t1の間で開放(オン)している(b)。そして、それら加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19のオン、オフ制御に加えて、圧力調整器5に関して、流体Lの供給圧力を、圧力P10とP13との間の振幅で、周期をTとした正弦波状に変化させる制御を行っている(c)。この場合、時刻t3.5に頂点(最高圧力P13)が現れ、時刻t1に最下点(最低圧力P10)が現れる波形とされる。これにより、圧力脈動のパターンは、図10(d)のように、供給経路13を供給される流体Lの圧力変動と同様に、時刻t3.5に頂点(最高圧力P3)が現れ、時刻t1に最下点(最低圧力P0)が現れるような、正弦波状のパターンとなる。
【0053】
図11の例では、周期Tのうち、加圧用制御バルブ18を、時刻t1〜t3の間で開放(オン)し(a)、減圧用制御バルブ19、19を、時刻t4〜t4.5の間で開放(オン)している(b)。つまり、減圧用制御バルブ19、19のオン時間を図8の例よりも小さくしている。これにより、圧力脈動のパターンは、図11(c)のように、時刻t0〜t1の間が圧力P1で、時刻t1からt3まで、圧力が一定の変化率(傾き)で上昇して圧力P3に至り、時刻t3からt4の間その圧力P3が維持され、時刻t4からt5(t0)まで、圧力が一定の変化率(傾き)で下降して圧力P1に戻るといった台形波のパターンとなる。この場合、減圧用制御バルブ19、19のオン時間が短いため、圧力室16内の圧力がP1までしか低下せず、圧力P1〜P3の間で脈動する。
【0054】
このように本実施例の評価装置1及び評価方法によれば、制御装置10により、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19の開閉タイミングが制御されることによって、圧力室16内に供給される試験用流体Lの圧力脈動の振幅を自在に調整することができ、設定された振幅を得ることができる。また、圧力室16内に供給される流体Lの流速を変化させることによって圧力室16内における圧力の単位時間当りの上昇度合即ち変化率を調整することができるので、制御装置10により圧力調整器5を制御することにより、設定された圧力の変化率を得ることができる。
【0055】
この場合、本実施例によれば、キャビテーションを用いて圧力脈動を発生させるようにした特許文献1の技術と異なり、圧力センサ6等の評価対象に対する、使用環境や要求される性能に応じた試験を行うために、評価用の試験用流体Lの圧力脈動の振幅や変化率を任意に設定でき、しかも所望の圧力振幅や圧力変化率を高精度で得ることができる。このとき、加圧用制御バルブ18の出口部と圧力室16の入口部との間に、流体Lを整流する整流室33を設けたことにより、圧力室16内の圧力の変動を安定化することができ、圧力脈動の変化率(及び振幅)の制御をより一層高精度で行うことができる。
【0056】
また、特に本実施例では、入口側オリフィスプレート32を、オリフィス穴32aの大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つを選択して付替え可能とし、また、減圧用制御バルブ19を2個設ける構成とすると共に、出口側オリフィスプレート37についても、オリフィス穴37aの大きさの異なるものを付替え可能としたので、圧力脈動の圧力変化率の調整(設定)可能な範囲を、より一層広げることができる。
【0057】
更に、本実施例では、圧力室16を有する圧力室ボデー17に対し、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19、19を、一体的に組付けてユニット化し、加減圧ユニット7として構成したことにより、各部をつなぐ管路の長さを短く済ませるなど、構成の簡単化(コンパクト化)を図ることができるといったメリットも得ることができる。
【0058】
尚、上記実施例では、加減圧ユニット7に、整流室33を設け、入口側オリフィスプレート32を交換可能に構成したが、整流室33(入口側オリフィスプレート32)は必要に応じて設ければ良く、或いは1種類の入口側オリフィスプレート32を固定的に設けることもできる。出口側オリフィスプレート37についても、同様に、必要に応じて設ければ良い。このとき、加圧用制御バルブ18及び減圧用制御バルブ19,19に電磁弁を採用し、制御装置によりPWM制御する構成とすることもできる。これによれば、入口側オリフィスプレート32及び出口側オリフィスプレート37を用いることなく、圧力室16内の圧力の上昇速度、下降速度を自在に可変することができる。
【0059】
また、上記実施例では、油圧検出用の圧力センサ6を例としてあげたが、車両用の圧力センサとして、燃料噴射装置用、エンジンのコモンレール用などの評価対象とすることも可能である。さらに、圧力センサ6以外にも、車両に設けられる圧力機器(油圧装置や空気圧装置)としては、ポンプ、モータ、シリンダ、各種バルブ、圧力スイッチなども、評価対象とすることができる。
【0060】
その他、上記実施例では、圧力室ボデー17、加圧用制御バルブ18、減圧用制御バルブ19,19を一体化した加減圧ユニット7を設けるようにしたが、圧力室を有する圧力室ボデーの構成、加圧用制御バルブや減圧用制御バルブの駆動機構等の構造、それらの個数や配置などについても様々な変更が可能である等、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0061】
図面中、1は評価装置、5は圧力調整器、6は圧力センサ(圧力機器)、7は加減圧ユニット、10は制御装置、13は供給経路、14は排出経路、16は圧力室、17は圧力室ボデー、18は加圧用制御バルブ、19は減圧用制御バルブ、20aは円錐状凹部、22は第2の圧力計、32は入口側オリフィスプレート、32aはオリフィス穴、33は整流室、37は出口側オリフィスプレート、37aはオリフィス穴、40は操作パネル(設定手段)、Lは試験用流体を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価装置において、
前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、
この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、
前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、
前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、
前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、
この設定手段に設定に応じて、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置と
を具備することを特徴とする圧力機器の評価装置。
【請求項2】
前記圧力室を有する圧力室ボデーに対し、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブが、一体的に組付けられてユニット化されていることを特徴とする請求項1記載の圧力機器の評価装置。
【請求項3】
前記加圧用制御バルブの出口部からつながる前記圧力室の入口部には、円錐状凹部が形成されていると共に、該円錐状凹部と前記加圧用制御バルブの出口部との間には、オリフィス穴を有した入口側オリフィスプレートが配設されており、それら入口側オリフィスプレートと円錐状凹部との間に、前記加圧用制御バルブの出口部から前記オリフィス穴を通して流れる試験用流体を整流する整流室が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力機器の評価装置。
【請求項4】
前記入口側オリフィスプレートは、前記オリフィス穴の大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つが選択されて付替え可能に取付けられることを特徴とする請求項3記載の圧力機器の評価装置。
【請求項5】
前記減圧用制御バルブから前記排出経路への出口部に、オリフィス穴を有する出口側オリフィスプレートが交換可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧力機器の評価装置。
【請求項6】
前記圧力室の出口部から、前記排出経路につながる複数の出口経路が設けられており、前記減圧用制御バルブは、前記各出口経路を夫々開閉するように複数が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の圧力機器の評価装置。
【請求項7】
評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価方法において、
前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、
この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、
前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、
前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、
前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、
前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備し、
前記制御装置は、前記設定手段の設定に応じて、前記圧力調整器を制御すると共に、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングを制御することにより、前記圧力室内に試験用流体を、設定された圧力脈動の振幅及び変化率で圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することを特徴とする圧力機器の評価方法。
【請求項1】
評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を、圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価装置において、
前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、
この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、
前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、
前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、
前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、
この設定手段に設定に応じて、前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置と
を具備することを特徴とする圧力機器の評価装置。
【請求項2】
前記圧力室を有する圧力室ボデーに対し、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブが、一体的に組付けられてユニット化されていることを特徴とする請求項1記載の圧力機器の評価装置。
【請求項3】
前記加圧用制御バルブの出口部からつながる前記圧力室の入口部には、円錐状凹部が形成されていると共に、該円錐状凹部と前記加圧用制御バルブの出口部との間には、オリフィス穴を有した入口側オリフィスプレートが配設されており、それら入口側オリフィスプレートと円錐状凹部との間に、前記加圧用制御バルブの出口部から前記オリフィス穴を通して流れる試験用流体を整流する整流室が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力機器の評価装置。
【請求項4】
前記入口側オリフィスプレートは、前記オリフィス穴の大きさ又は個数の異なる複数種類のもののなかから何れか1つが選択されて付替え可能に取付けられることを特徴とする請求項3記載の圧力機器の評価装置。
【請求項5】
前記減圧用制御バルブから前記排出経路への出口部に、オリフィス穴を有する出口側オリフィスプレートが交換可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧力機器の評価装置。
【請求項6】
前記圧力室の出口部から、前記排出経路につながる複数の出口経路が設けられており、前記減圧用制御バルブは、前記各出口経路を夫々開閉するように複数が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の圧力機器の評価装置。
【請求項7】
評価対象となる圧力機器を圧力室に接続し、前記圧力室内に試験用流体を供給することにより、前記圧力機器の耐久性を評価する圧力機器の評価方法において、
前記圧力室に向けて高圧の試験用流体を供給するための供給経路と、
この供給経路を流れる試験用流体の圧力を調整する圧力調整器と、
前記供給経路から前記圧力室に対する試験用流体の供給を制御する加圧用制御バルブと、
前記圧力室内の試験用流体の排出経路への排出を制御する減圧用制御バルブと、
前記圧力室に供給する試験用流体の圧力脈動の振幅及び変化率を設定するための設定手段と、
前記圧力調整器並びに加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブを制御する制御装置とを具備し、
前記制御装置は、前記設定手段の設定に応じて、前記圧力調整器を制御すると共に、前記加圧用制御バルブ及び減圧用制御バルブの開閉タイミングを制御することにより、前記圧力室内に試験用流体を、設定された圧力脈動の振幅及び変化率で圧力が周期的に変動する脈動状態で供給することを特徴とする圧力機器の評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225684(P2012−225684A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91339(P2011−91339)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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