説明

圧延材の誘導ガイド

【課題】 的確な誘導を行って製品精度の向上と精度の均一化を行う。
【解決手段】 ベース1上に移動可能に設けてあるガイドボックス2にはガイドローラー5を取り付けている一対のローラーホルダー7を開閉可能に設け、ガイドローラー5の位置を上記ガイドボックスを介して圧延ロールR1,R2に対して進退可能に調整するための前後位置調整機構8を設け、ガイドローラー5の位置を上記ガイドボックスを介して上下方向に調整するための上下位置調整機構9を設け、上記両ガイドローラー5の芯間を調整するための芯間調整機構を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧延材のサイズ変更に対応することができる圧延材の誘導ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、圧延材の誘導ガイドとして、実開昭62−123308号公報に記載の平鋼圧延機の案内装置を提案した。
当該案内装置は、公報第1図〜第3図に示すようにガイドボックス内に支点ピンを中心として揺動可能に軸支し且つガイドローラを垂直に軸支している上下一対の上部ローラホルダ及び下部ローラホルダと、上部ローラホルダ及び下部ローラホルダの内側に固定してあって一つの筒体を形成するエントリーガイドのガイド部材と、上記上部ローラホルダを上下動させ、孔形の高さを調整して圧延材の縦寸法の変化に対応するための上下調整ねじを備えている縦寸法調整手段と、上記孔形の幅を圧延材の厚さに対応するための偏心軸及び回転伝達機構を備えている厚さ調整手段を設けているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−123308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記案内装置は、平鋼を柾圧延(平鋼を縦長方向に圧延するもの)する場合に対応した技術であり、圧延機の下ロールを固定させた状態で上ロールを上下方向に移動して圧延材のサイズ変更を行う場合には有効な技術である。
しかしながら、平鋼の柾圧延を除く他の圧延材のサイズ変更においては、上記下ロール固定で上ロールを上下方向に移動させてサイズ変更を行う場合には、以下のような解決すべき課題があって、サイズ変更に十分対応可能にすることができないために、上記案内装置の改良をする必要があった。
第1の課題は、ガイドローラとエントリーガイドの上下方向の中心を、圧延サイズ変更後のパスラインに合わせて中心振り分けで位置を調整することができないことである。
この課題を具体的に説明すると、圧延サイズを順次変更して多品種少量生産を行う場合、頻繁に上ロールの上下方向の位置を変更して、圧延サイズ変更をしなくてはならないから、上部ローラホルダを上下動させるのみでは、上ロールの上下位置変更に対応して圧延材が常にガイドローラの中心を通過するように位置調整をするには限界があった。また、アップループ圧延又はダウンループ圧延する場合、圧延材に上下方向の振れが発生することが多く、圧延材がガイドローラの中間部分を通過するように初期設定を的確なものにするには上部ローラホルダを上下動させるのみでは、十分ではない。
第2の課題は、圧延サイズの変更に伴う上ロールが下記のように移動する場合、この移動に十分対応することができない。すなわち、
上ロールを上方向に移動する場合には、パスラインが上方向に移動するから、ガイドローラを上方向と前方向に移動させる必要があるが、上部ローラホルダを上下動させる縦寸法調整手段だけでは上記変更に対応することができない。
また、上ロールを下方向に移動する場合には、上ロールがガイドローラに衝突することを回避するために、ガイドローラを下方向と後ろ方向に移動させる必要があるが、上記縦寸法調整手段だけでは下方移動に十分に対応することができない。
この発明の目的は、圧延サイズの変更に十分対応できるようにして、圧延材の的確な誘導を行って製品精度の向上と精度の均一化を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る圧延材の誘導ガイドの第1の特徴は、ベース上に移動可能に設けてあるガイドボックスと、上記ガイドボックスに開閉可能に設けてある一対のローラーホルダーと、一対のローラーホルダーの先端部側にローラーピンを回転中心として取り付けてあるガイドローラーと、上記ガイドローラーの位置を上記ガイドボックスを介して圧延ロールに対して進退可能に調整するための前後位置調整機構と、上記ガイドローラーの位置を上記ガイドボックスを介して上下方向に調整するための上下位置調整機構と、上記両ガイドローラーの芯間を調整するための芯間調整機構とを具備していることにある。
この発明に係る圧延材の誘導ガイドの第2の特徴は、上記第1の特徴を備えていると共に、上記ガイドボックスの本体が外ボックス部と、この外ボックス部内に上下動可能に配置してある内ボックス部とを組み合わせて形成されており、上記ローラーホルダーが上記内ボックス部に支持されており、上記前後位置調整機構がベースに水平に設けてある水平調整軸と、この水平調整軸にねじ結合してあって上記ガイドボックスに接続しているスライドブラケットと、上記水平調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えており、上記上下位置調整機構が上記ガイドボックスの内ボックス部に設けてあるねじ軸受け部と、上記ねじ軸受け部にねじ結合している縦調整軸と、上記縦調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えており、上記芯間調整機構が各ローラーホルダーに設けてあるスライドブラケットと、各スライドブラケットにねじ結合している芯間調整軸と、上記芯間調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えていることにある。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、前後位置調整機構、上下位置調整機構及び芯間調整機構によってガイドローラーの位置を多方向から調整可能となるから、サイズ変更に十分対応することができ、圧延材を圧延ロールに的確に誘導することができ、このために、圧延材特に平鋼の製品精度の向上と精度の均一化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す正面図であって、主要部分を断面にして示す図である。
【図2】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す正面図である。
【図3】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す背面図である。
【図4】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す平面図である。
【図5】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す側面図である。
【図6】この発明に係る圧延材の誘導ガイドを示す一部切欠側面図であって、上下位置調整機構を示す図である。
【図7】この発明に係る圧延材の誘導ガイドの底部を示す底面図である。
【図8】この発明に係る圧延材の誘導ガイドにおける芯間調整機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1〜図5に示す圧延材の誘導ガイドは、ベース1、このベース上に配置してあるガイドボックス2、このガイドボックスに設けてあって、先端部にローラーピン6を回転中心としてガイドローラー5を取り付けてある一対のローラーホルダー7、上記ガイドボックスを通じてガイドローラー5の位置を圧延ラインに沿って前後に調整するための前後位置調整機構8、上記ガイドボックスを通じてガイドローラー5の位置を上下方向に調整するための上下位置調整機構9及び上記ガイドローラーの芯間を調整するための芯間調整機構10(図8)とを備えている。
【0009】
図1〜図5において、ガイドボックス2は角形筒状の外ボックス部3と内ボックス部4とを組合せて本体を形成しているものである。外ボックス部3内には内ボックス部4を上下動可能に配置してある。内ボックス部4は、その両側面に上下動を円滑にするために上下方向に長い対の案内突部4aを形成してある。両側の各案内突部4aは、図2及び図6に示すように外ボックス部3の両側面に開けてある案内溝3a内に上下動可能に嵌め込まれている。内ボックス部4は、外ボックス部3に対して固定装置によって固定され、そのガタ付きを防止している。
固定装置は、図1及び図4に示す例によれば、クランプ11、クランプボルト12及び係合溝13からなる。クランプ11は正面台形状に形成され、外ボックス部3上に図4上下方向に間隔を置いて配置されかつ起立されているクランプボルト12の先端部(図1下端部)に接続されている。各クランプボルト12は外ボックス部3にねじ込まれており、先端部が内ボックス部4側に突出され、突出端とクランプ11とが連結されている。クランプ11は、内ボックス部4上に形成されている係合溝13に係止されている。
このため、クランプ11はクランプボルト12の回し操作によって、係合溝13に係止又は係止解除がされ、内ボックス部4が外ボックス部3に固定又は固定解除がされる。
【0010】
ガイドローラー5の位置を前後方向に調整するための前後位置調整機構8について、図1、図2、図6及び図7を参照して説明する。
前後位置調整機構8は水平調整軸14、歯車15,18、駆動軸を兼用している操作軸16及びスライドブラケット17を備えている。
図1に示すように、水平調整軸14は、ベース1内に軸受け部1aによって回転自在に水平状態に支持され、その後端部(右端部)には歯車15を取り付けてある。
また、水平調整軸14と交差する方向(図7上下方向)に操作軸16を配置してある。操作軸16の先端部には歯車15と噛み合っている歯車18を取り付けてあり、後端部はベース1の外方に突出されている。
さらに、水平調整軸14は、ベース1に開けられている収納凹部1b内に移動可能であるスライドブラケット17を貫通している。水平調整軸14の雄ねじ部はスライドブラケット17の雌ねじ部にねじ込まれている。スライドブラケット17は、図1に示すように、ガイドボックス2の外ボックス部3の底部に取り付けてある移動体3bに接続されている。
このため、前後位置調整機構8では、操作軸16を回転駆動させると、その回転力が歯車18,15を通じて水平調整軸14に伝えられるから、水平調整軸の回転に伴ってスライドブラケット17は図1左右方向(前後方向)に移動し、この移動により外ボックス部3の移動体3bを介してガイドボックス2の位置が圧延ラインに沿って前後方向に移動することになる。ガイドボックス2の前後移動に伴ってローラーホルダー7を通じてガイドローラー5が圧延ロール(上ロールR1及び下ロールR2)に対して前後移動(接近又は後退)することになる。
図2、図6及び図7に示すように、外ボックス部3の移動体3bの両側(図6左右両側)は、その外側を対向配置してあるクランプ60によって挟まれた状態でベース1に保持されている。移動体3bの保持は、クランプボルト61の回転によって操作を通じてベース1に固定又は固定解除がされる。
【0011】
ガイドボックス2を通じてガイドローラー5の位置を上下方向に調整するための上下位置調整機構9について図1、図2及び図4〜図6を参照して説明する。
上下位置調整機構9はねじ軸受け部19,20、案内軸21,22、縦調整軸23,24、伝達歯車25,26、伝達軸27,28、伝達歯車29,30,31,32、駆動歯車33,34及び駆動軸を兼用している操作軸35を備えている。
図1及び図6に示すように、ガイドボックス2の内ボックス部4の両側内部には対の筒状のねじ軸受け部19,20を上下方向に埋め込んである。ねじ軸受け部19,20内には外ボックス部3の底部から起立しているボルトからなる案内軸21,22を挿入してある。そして縦調整軸23,24は外ボックス部3の上部に貫通状態に取り付けられており、先端部に雄ねじ部を形成してある。縦調整軸23,24の雄ねじ部は接続部材を介して案内軸21,22の先端部と接続されていると共に、ねじ軸受け部19,20の雌ねじ部にねじ込まれている。縦調整軸23,24の上端部には伝達歯車25,26を取り付けてある。
図2、図4及び図6に示すように、ガイドボックス2の外ボックス部3上方には、同一軸線上に位置している対の伝達軸27,28を図4左右両側に対向的に配置し、軸受け部36,37によって支持している。伝達軸27,28は互いに反対方向に回転する。対の伝達軸27,28の両端部には伝達歯車29,30及び伝達歯車31,32を取り付けてある。外側の伝達歯車29,31は縦調整軸23,24の伝達歯車25,26と噛み合っている。内側の伝達歯車30,32は駆動軸を兼用している操作軸35に取り付けてある駆動歯車33,34と噛み合っている。操作軸35はガイドボックス2の外ボックス部3上に設けてある軸受け部38,39に水平に軸受けされている。
このため、上下位置調整機構9では、操作軸35を回転駆動させると、その回転力が駆動歯車33,34と噛み合っている内側の伝達歯車30,32、伝達軸27,28、外側の伝達歯車29,31及び伝達歯車25,26を通じて縦調整軸23,24に伝えられるから、縦調整軸の回転に伴ってねじ軸受け部19,20を介して内ボックス部4は図1上下方向に移動し、この移動によりローラーホルダー7を通じてガイドローラー5の位置が上下方向に移動することになる。
【0012】
ガイドローラー5の芯間を調整するための芯間調整機構10について図1〜図5及び図8を参照して説明する。
ガイドボックス2の内ボックス部4内には、図8左右両側にローラーホルダー7を開閉可能に配置してある。両ローラーホルダー7の上端面の前側(図1左側)にスライドブラケット40,41を突出し、両スライドブラケットは互いに図8左右に対向的に設けられている。両ローラーホルダー7の下端面の前側(図1左側)にスライドブラケット42,43を突出し、これらのスライドブラケットは互いに図8左右に対向的に設けられている。両ローラーホルダー7の下端面の後側(図1右側)にもスライドブラケット42,43と同様のスライドブラケット(図1ではスライドブラケット44のみ図示)を突出し、これらのスライドブラケットは互いに図8左右に対向的に設けられている。
図1及び図8において、両ローラーホルダー7の上方の前側及び下方の前後両側に水平状態に芯間調整軸45,46,47を設けてある。上方の芯間調整軸45は内ボックス部4に設けてある軸受け部4bに回転自在に軸受けされている。
下方の芯間調整軸46,47は内ボックス部4に設けてある軸受け部(前側に位置している軸受け部4cのみ図示)に回転自在に軸受けされている。上下の各芯間調整軸45,46,47の両側には雄ねじ部(図8では上方の芯間調整軸45に対応している雄ねじ部45a1,45a2、下方の芯間調整軸46に対応している雄ねじ部46a1,46a2のみ図示)をそれぞれ形成してある。上方の芯間調整軸45の互いに逆ねじ関係にある雄ねじ部45a1,45a2はスライドブラケット40,41の雌ねじ部に噛み合い、そして下方前側の芯間調整軸46の互いに逆ねじ関係にある雄ねじ部46a1,46a2はスライドブラケット42,43の雌ねじ部に噛み合い、さらに下方後側の芯間調整軸47の互いに逆ねじ関係にある雄ねじ部はスライドブラケット44の雌ねじ部に噛み合っている。
また、図3及び図8において、上方の芯間調整軸45の片側には伝達歯車48を、下方前側の芯間調整軸46の両端には伝達歯車49,50をそれぞれ取り付けてある。下方後側の芯間調整軸47の両端には伝達歯車(図3では片側の伝達歯車52のみ図示)をそれぞれ取り付けてある。また、図2及び図8に示すように、ガイドボックス2の内ボックス部4の一側面(図8左側面)に軸受け部53を設けてある。軸受け部53には伝達軸54を回転自在に軸受けしてある。伝達軸54の上下両端に伝達歯車55,56を取り付けてある。伝達歯車55,56はそれぞれ前側(図2左側)の上下の各芯間調整軸45,46の一端側の伝達歯車48,49と噛み合っている。図3及び図8に示すように、ガイドボックス2の外ボックス部3の片側の底部には芯間調整軸46,47と交差する方向に水平状態に駆動軸である操作軸57を設けてある。操作軸57には駆動歯車58,59を取り付けてある。一方の駆動歯車58は下方前側の芯間調整軸46の伝達歯車50と、また他方の駆動歯車59は下方後側の芯間調整軸47の伝達歯車52とそれぞれ噛み合っている。
このため、芯間調整機構10では、操作軸57を回転駆動させると、その回転力が、駆動歯車58,59に噛み合っている伝達歯車50,52を経て下方の前後両側の芯間調整軸46,47に伝えられて回転し(図3)、また伝達歯車49,56、伝達軸54、伝達歯車55及び伝達歯車48を経て上方の芯間調整軸45に伝えられるから(図8)、上下両方の芯間調整軸45,46,47が同期回転し(図1)、これらの回転に伴ってスライドブラケット40,41,42,43,44を介して図8左右のローラーホルダー7が互いに対向方向に接近又は離反し(開閉し)、このような移動による位置調整が行われ、その結果としてガイドローラー5の芯間の調整が行われる。
図1において、符号「51」はエントリーガイドである。
【0013】
次に、この発明の圧延材の誘導ガイドの使用方法について説明する。
圧延材に対して最適な誘導を図るために、多方向(上下、前後、左右)のガイドローラー5の位置調整を行う。すなわち、
ガイドローラー5の上下の位置調整を行う場合には次の方法を用いる。
すなわち、図1、図4及び図6に示すように、操作軸35を回転駆動させて、その回転力を内外両側の伝達歯車30,32,29,31、伝達歯車25,26及び伝達軸27,28を通じて縦調整軸23,24に伝えると、縦調整軸の回転が伴ってねじ軸受け部19,20を介して内ボックス部4は図1上下方向に移動し、この移動によりローラーホルダー7及びガイドローラー5の位置が上下方向に移動され、位置調整がされる。操作軸35の回転量を調整しながら、ガイドローラー5の最適な位置調整を行う。
ガイドローラー5の前後の位置調整を行う場合には次の方法を用いる。
すなわち、図1、図6及び図7に示すように、操作軸16を回転駆動させて、水平調整軸14を回転させると、スライドブラケット17を介してガイドボックス2が図1左右方向(前後方向)に移動し、この移動によりガイドボックスの位置が前後方向に移動することになり、圧延ロール(上ロールR1及び下ロールR2)に対するガイドローラーの前後方向の位置調整がされる。操作軸16の回転量を調整しながら、ガイドローラー5の最適な位置調整を行う。ガイドローラー5の前方移動の場合にはガイドローラー5を圧延ロールR1,R2の直近まで近付け、後方移動の場合にはガイドローラーを圧延ロールから所定距離後退させる。
ガイドローラー5の左右移動である芯間の位置調整を行う場合には次の方法を用いる。
すなわち、図2、図5及び図8に示すように、操作軸57を回転駆動させて、下方及び上方の各芯間調整軸45,46,47を同期回転させると、これらの回転に伴ってスライドブラケット40,41及び雄ねじ部45a1,45a2、スライドブラケット42,43及び雄ねじ部46a1,46a2並びにスライドブラケット44を介してローラーホルダー7が互いに対向方向に接近移動又は離反移動し、この移動によってガイドローラー5の芯間が調整される。操作軸57の回転量を調整しながら、ガイドローラー5の最適な芯間調整を行う。
【0014】
ガイドローラー5の具体的な芯間調整について説明する。
下ロールR2を固定し、上ロールR1を上下方向に移動し、必要とする圧延材寸法に合わせて上下ロールにおけるロール隙を調整することにより、圧延サイズ変更をする場合には、圧延材がガイドローラー5の中心部分を通過するようにする。
圧延ロール(上ロールR1及び下ロールR2)におけるロール隙の調整に伴ってパスラインは上下方向に移動するから、この移動に対応して操作軸57によるガイドローラー5の芯間調整をする他に、ガイドローラーを上下方向の一方向又は上下方向かつ前後方向の2方向に位置調整をする。
例えば上ロールR1を上方向に移動した場合には、ロール隙に応じて操作軸35の回転量を調整しながら、ローラーホルダー7の位置を上方向に移動させて、ガイドローラー5の上方への位置調整をする。
その後、操作軸57の回転量を調整しながら、ローラーホルダー7を互いに対向方向に接近移動又は離反移動させ、この移動によってガイドローラー5の最適な芯間調整を行う。
また、上ロールR1の上下方向の移動に伴うロール隙の広狭の変化によって、ガイドローラー5の上下移動による位置調整及び左右移動による芯間調整だけでは、最終的に位置調整が不十分であれば、ガイドローラーの前後の位置調整を必要とする。
圧延サイズの変更後に、例えばロール隙が広くなった場合にガイドローラー5の上方移動による位置調整の他に、ガイドローラーを圧延ロールR1,R2に接近させる必要があるときには、ガイドローラーの前方への位置調整をしなくてはならない。この前方移動は、操作軸16の回転量を調整しながら、ガイドボックス2を圧延ロールR1,R2に向けて前進させ、ガイドローラーを圧延ロールの直近まで近付け、ガイドローラーの最適な位置調整を行う。
反対に、上ロールR1の下方向の移動に伴ってロール隙が狭くなる場合にパスラインが下方向に移動するから、ガイドローラー5の下方移動によって位置調整を必要とするときには、ガイドローラーを圧延ロールR1,R2から離す必要があるので、ガイドローラーの後方への位置調整をする。
【0015】
図示する圧延材の誘導ガイドによれば、ローラーホルダー7及びガイドローラー5の位置を多方向に調整可能であるから、換言すれば、前後位置調整機構8によってガイドボックス2を通じてガイドローラー5の位置を圧延ラインに沿って前後に調整することができ、そして上下位置調整機構9によって上記ガイドボックス2を通じてガイドローラー5の位置を上下方向に調整することができ、さらに芯間調整機構10によって上記ガイドローラー5の芯間を調整することができるから、圧延材のサイズ変更に十分対応することができ、圧延材の最適な誘導を可能にする。特に、前後位置調整機構8を設けていることにより、ローラーホルダー7とガイドローラー5を圧延ロールR1,R2の直近まで近づけることができ、反対に必要な距離だけ後退させることができるから最適な誘導ができ、この結果、平鋼などの圧延材の製品精度の向上と精度の均一化が図られる。
【0016】
操作軸35から縦調整軸23,24への駆動力の伝達手段は図1及び図4に示すものに限られない。操作軸16,35,57はモータに接続して、遠隔操作可能にするものであっても良い。
【符号の説明】
【0017】
R1 上ロール(圧延ロール)
R2 下ロール(圧延ロール)
1 ベース
2 ガイドボックス
3 外ボックス部
3b 移動体
4 内ボックス部
5 ガイドローラー
6 ローラーピン
7 ローラーホルダー
8 ガイドローラーの前後位置調整機構
9 ガイドローラーの上下位置調整機構
10 ガイドローラーの芯間調整機構
14 水平調整軸
15 歯車(伝達手段)
16 操作軸
17 スライドブラケット
18 歯車(伝達手段)
19,20 ねじ軸受け部
21,22 案内軸
23,24 縦調整軸
25,26 伝達歯車(伝達手段)
27,28 伝達軸(伝達手段)
29,30,31,32 伝達歯車(伝達手段)
33,34 駆動歯車
35 操作軸
40,41,42,43,44 スライドブラケット
45,46,47 芯間調整軸
45a1,45a2 雄ねじ部(伝達手段)
46a1,46a2 雄ねじ部(伝達手段)
49,50 伝達歯車(伝達手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース上に移動可能に設けてあるガイドボックスと、上記ガイドボックスに開閉可能に設けてある一対のローラーホルダーと、一対のローラーホルダーの先端部側にローラーピンを回転中心として取り付けてあるガイドローラーと、上記ガイドローラーの位置を上記ガイドボックスを介して圧延ロールに対して進退可能に調整するための前後位置調整機構と、上記ガイドローラーの位置を上記ガイドボックスを介して上下方向に調整するための上下位置調整機構と、上記両ガイドローラーの芯間を調整するための芯間調整機構とを具備していることを特徴とする圧延材の誘導ガイド。
【請求項2】
ガイドボックスの本体が外ボックス部と、この外ボックス部内に上下動可能に配置してある内ボックス部とを組み合わせて形成されており、
ローラーホルダーが上記内ボックス部に支持されており、
前後位置調整機構は、ベースに水平に設けてある水平調整軸と、この水平調整軸にねじ結合してあって上記ガイドボックスに接続しているスライドブラケットと、上記水平調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えており、
上下位置調整機構は、上記ガイドボックスの内ボックス部に設けてあるねじ軸受け部と、上記ねじ軸受け部にねじ結合している縦調整軸と、上記縦調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えており、
芯間調整機構は、各ローラーホルダーに設けてあるスライドブラケットと、各スライドブラケットにねじ結合している芯間調整軸と、上記芯間調整軸に駆動力を伝達する伝達手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の圧延材の誘導ガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−161467(P2011−161467A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25031(P2010−25031)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000182476)寿産業株式会社 (47)