説明

圧延機におけるガイドの位置制御装置

【課題】構造が簡単であり製造コストを低減化することができ、電気的位置制御手段が不要であり、その点で製造コストをより低減化することができ、さらに、全体寸法をより小さくすることができる圧延機におけるガイドの位置制御装置を提供する。
【解決手段】圧延材のガイドを圧延ロールの軸方向に移動可能なガイド移動機構と、このガイド移動機構に連結されており、ガイドを単位変位量だけ移動させる単位送り動作を行う定寸送り機構とを備えており、定寸送り機構による単位送り動作が必要回数実施可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機におけるガイドの位置を精度良く制御可能な位置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延材のガイド位置を精度良く制御することは、圧延機の分野において基本的に要求される技術である。例えば、前段の圧延ロールカリバーで圧延された圧延材を後段の圧延ロールカリバーに正確に位置合わせして圧延することが、寸法精度の高い圧延製品を製造するためには必須である。
【0003】
本願出願人は、圧延材を圧延ロールカリバーに正確に芯合わせするためのガイドの位置制御装置を既に提案している(特許文献1)。この特許文献1に記載されているガイドの位置制御装置は、ガイドを取付けたシフトベースをスクリューシャフトに噛合させることにより、このシフトベースをスクリューシャフトの軸心方向に移動可能とし、スクリューシャフトをボール減速機を介して油圧モータによる駆動手段に連結し、この駆動手段を油圧及び電気位置制御手段で遠隔制御することにより、スクリューシャフトの回転方向及び回転量に応じてシフトベースを移動するように構成されている。このような位置制御装置を用いることにより、シフトベースに固着されているガイドを圧延ロールカリバーの位置に正確に位置決めすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−108144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている位置制御装置は、ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要とすることから、構造が非常に複雑となり、その結果、製造コストがかなり高くなるという問題点を有していた。また、シーケンサ等を使用した油圧及び電気位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等の駆動手段を必要とすること並びに工場内における機器取付け工事費用や配線及び配管工事費用を必要とすることからも、製造コストが高くなるという問題点を有していた。さらに、外形寸法が大きくなることから、狭小なスペース内に配置することができないことも、解決すべき課題であった。
【0006】
従って本発明の目的は、構造が簡単であり製造コストを低減化することができる圧延機におけるガイドの位置制御装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、油圧及び電気位置制御手段が不要であり、その点で製造コストをより低減化することができる圧延機におけるガイドの位置制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、全体寸法をより小さくすることができる圧延機におけるガイドの位置制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、圧延材のガイドを圧延ロールの軸方向に移動可能なガイド移動機構と、このガイド移動機構に連結されており、ガイドを単位変位量だけ移動させる単位送り動作を行う定寸送り機構とを備えており、定寸送り機構による単位送り動作が必要回数実施可能に構成されている。
【0010】
ガイド移動機構により、ガイドは、圧延ロールの軸方向に移動する。定寸送り機構とガイド移動機構との動作により、単位送り動作におけるガイドの変位量が所定値に規定される。従って、この定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施することによって、ガイドは圧延ロールの軸方向の所望の位置に精度良く位置決めされる。ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要としないので、構造が非常に簡単となり、製造コストを低減化することができる。また、定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施することにより位置決めしているので、位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等が不要であり、機器取付け工事、配線及び配管工事が不要となるので、その意味でも製造コストを低減化することができる。さらに、外形寸法を大幅に小さくすることもできる。
【0011】
定寸送り機構は、単位変位量だけ変位可能な変位機構と、変位機構とガイド移動機構とを機械的に嵌合及び脱離することが可能な嵌脱機構とを備えており、嵌脱機構によって変位機構とガイド移動機構とを嵌合させた状態で変位機構を単位変位量だけ変位させることによりガイドを単位変位量だけ変位させ、嵌脱機構によって変位機構をガイド移動機構から脱離させた状態で変位機構の変位を初期化するように構成されていることが好ましい。
【0012】
この場合、変位機構は、単位変位量に対応する定寸送り枠を規定する送り枠部材と、送り枠部材の定寸送り枠内に挿入されており、定寸送り枠内で移動可能な可動部材と、可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、可動部材が原点位置から定寸送り枠内を変位することにより単位変位量が設定されることがより好ましい。
【0013】
変位機構とは別個に設けられておりガイド移動機構に連結された油圧駆動源をさらに備えており、嵌脱機構は、変位機構に機械的に連結された第1の嵌合面と、油圧駆動源及びガイド移動機構に機械的に連結されており、第1の嵌合面に対向する第2の嵌合面とを備えており、第1の嵌合面及び第2の嵌合面が嵌脱可能に構成されていることも好ましい。
【0014】
定寸送り機構は、単位送り動作における角度量を規定する定角送り機構であることも好ましい。
【0015】
変位機構の一部を構成する油圧駆動源及び平歯車をさらに備えており、嵌脱機構は、平歯車と、ガイド移動機構に機械的に連結された歯車とを備えており、平歯車と歯車とが噛合又脱離することにより嵌脱可能に構成されていることもより好ましい。
【0016】
定寸送り機構は、単位送り動作における長さ量を規定する定長送り機構であることも好ましい。
【0017】
定寸送り機構は、互いに相対する2方向のいずれの方向においてもガイドの変位量を規定可能に構成されていることも好ましい。
【0018】
ガイドの軸方向への変位量を検出可能な位置検出機構をさらに備えたことも好ましい。
【0019】
さらに、本発明によれば、圧延機におけるガイドの位置制御装置は、圧延材を圧延ロールカリバーへ案内するためのガイドと、ガイドが着脱自在に装着されたスライダブロックと、スライダブロックを圧延ロールの軸方向に移動可能に取付けたサドルとを備えている。サドルは、ガイド移動機構とガイド移動機構に連結された定寸送り機構と、ガイドの軸方向への変位量を検出可能な位置検出機構と、ガイドを固定するためのガイドクランプ機構とを備えている。ガイド移動機構は、スライダブロックを軸方向に移動させるべくスライダブロックに噛合したスライドシャフトを備えている。定寸送り機構は、単位変位量だけ変位可能な変位機構と、変位機構とガイド移動機構とを機械的に嵌合及び脱離することが可能な嵌脱機構とを備えており、嵌脱機構によって変位機構とガイド移動機構とを嵌合させた状態で変位機構を単位変位量だけ変位させることによりガイドを単位変位量に対応する変位量だけ変位させ、嵌脱機構によって変位機構をガイド移動機構から脱離させた状態で変位機構の変位を初期化することにより、単位送り動作における、ガイドの変位量を所定値に規定するように構成されている。位置検出機構は、スライドシャフトの回転角度を検出してガイドの変位量を検出するように構成されている。ガイドクランプ機構は、ガイドの軸方向への変位が完了した際にガイドを軸方向へ移動不能となるように固定可能に構成されている。定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施可能に構成されている。
【0020】
ガイド移動機構により、ガイドは、圧延ロールの軸方向に移動する。定寸送り機構とガイド移動機構との動作により、単位送り動作におけるガイドの変位量が所定値に規定される。従って、この定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施することによって、ガイドは圧延ロールの軸方向の所望の位置に精度良く位置決めされる。ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要としないので、構造が非常に簡単となり、製造コストを低減化することができる。また、定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施することにより位置決めしているので、位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等が不要であり、機器取付け工事、配線及び配管工事が不要となるので、その意味でも製造コストを低減化することができる。さらに、外形寸法を大幅に小さくすることもできる。
【0021】
変位機構は、単位変位量に対応する単位変位角度の定角送り枠を規定する送り枠部材と、送り枠部材の定角送り枠内に定角送り枠と同軸に回転可能に挿入された定角送りレバーを有しており、定角送りレバーが移動する角度範囲で送り枠部材に対して相対的に回動可能な可動部材と、可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、定角送りレバーが原点位置から定角送り枠内を角度変位することにより単位変位量が設定されることが好ましい。
【0022】
この場合、変位機構とは別個に設けられておりガイド移動機構に連結された油圧駆動源をさらに備えており、嵌脱機構は、変位機構に機械的に連結された第1の嵌合面と、油圧駆動源及びガイド移動機構に機械的に連結されており、第1の嵌合面に対向する第2の嵌合面とを備えており、第1の嵌合面及び第2の嵌合面が嵌脱可能に構成されていることがより好ましい。
【0023】
変位機構は、単位変位量に対応する単位変位長さの定長送り枠を規定する送り枠部材と、送り枠部材の定長送り枠内で定長送りピストンにより直線移動可能である可動部材と、可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、定長送りピストンが可動部材を定寸送り枠内において直線変位させることにより単位変位量が設定されることも好ましい。
【0024】
変位機構の一部を構成する油圧駆動源及び平歯車をさらに備えており、嵌脱機構は、平歯車と、ガイド移動機構に機械的に連結された歯車とを備えており、平歯車と歯車とが噛合又脱離することにより嵌脱可能に構成されていることもより好ましい。
【0025】
定寸送り機構は、互いに相対する2方向のいずれの方向においてもガイドの変位量を規定可能に構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要としないので、構造が非常に簡単となり、製造コストを低減化することができる。また、定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施することにより位置決めしているので、位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等が不要であり、機器取付け工事、配線及び配管工事が不要となるので、その意味でも製造コストを低減化することができる。さらに、外形寸法を大幅に小さくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の圧延機におけるガイドの位置制御装置の一実施形態の要部構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の位置制御装置の機械的構成を示す側面図である。
【図3】図1の位置制御装置の機械的構成を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った面を示す矢視図である。
【図5】図3のV−V線に沿った面を示す矢視図である。
【図6】図1の位置制御装置における嵌脱機構の要部構成を示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った面を示す矢視図である。
【図8】図1の位置制御装置の油圧回路の構成を概略的に示す図である。
【図9】図1の位置制御装置の動作を概略的に説明するフローチャートである。
【図10】本発明の圧延機におけるガイドの位置制御装置の他の実施形態の一部の機械的構成を示す側面図である。
【図11】図10の位置制御装置の嵌脱機構が脱離状態となった際の機械的構成を示す側面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った面を示す矢視図である。
【図13】図10の位置制御装置の嵌脱機構が嵌合状態にあり、定寸送り機構が初期状態となった際の一部の機械的構成を示す側面図である。
【図14】図10の位置制御装置の嵌脱機構が嵌合状態にあり、定寸送り機構が単位変位量送り状態となった際の一部の機械的構成を示す側面図である。
【図15】図10の位置制御装置の嵌脱機構が脱離状態にあり、定寸送り機構が初期状態となった際の一部の機械的構成を示す側面図である。
【図16】図10の位置制御装置の動作を概略的に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明の圧延機におけるガイドの位置制御装置の一実施形態の要部構成を概略的に示しており、図2及び図3は図1の位置制御装置の機械的構成を示しており、図4は図3のIV−IV線に沿った面を示しており、図5は図3のV−V線に沿った面を示しており、図6は図1の位置制御装置における嵌脱機構の要部構成を示しており、図7は図6のVII−VII線に沿った面を示している。
【0029】
これらの図において、10は図1の矢印11方向に直線移動可能なスライダブロック、12はこのスライダブロック10に噛合したスライドシャフト、13はスライドシャフト12に同軸に固着されたスライドシャフト用歯車をそれぞれ示している。
【0030】
スライダブロック10には、エントリガイド14a及びガイドローラ14bを備えたガイド14(図2)が着脱可能に装着されている。このガイド14は、図示しない圧延材を圧延ロール15(図2)の所望位置(圧延ロールカリバーの位置)に案内するためのものである。スライダブロック10は内周に雌ねじが形成された貫通穴を有しており、この雌ねじがスライドシャフト12の外周に形成された雄ねじが噛合している。従って、スライドシャフト12が一方向又は逆方向に回転することにより、スライダブロック10は矢印11方向、即ち圧延ロール15の軸方向に直線移動することとなる。
【0031】
ガイド14はガイドベース16を介してスライダブロック10に着脱可能に装着されている。従って、スライダブロック10、ガイドベース16及びガイド14が圧延ロール15の軸方向に直線移動可能となっている。
【0032】
油圧モータ17の図示しない回転軸がスライドシャフト12と平行に配置されており、この回転軸にはスライドシャフト用歯車13に噛合したモータ用歯車18が同軸に固着されている。従って、油圧モータ17が回転することにより、スライドシャフト12が回転し、スライダブロック10が圧延ロール15の軸方向に直線移動する。この油圧モータ17には、後述する定寸送り機構(定角送り機構)19が装着されている。
【0033】
位置検出機構を構成するエンコーダ20の図示しない回転軸が油圧モータ17の回転軸と平行に配置されており、このエンコーダ20の回転軸にはモータ用歯車18に噛合したエンコーダ用歯車21が同軸に固着されている。従って、エンコーダ20は油圧モータ17の回転角度又はスライドシャフト12の回転角度を検出することができ、これによりガイド14の実際の変位量を検出することができる。検出した回転角度又は変位量は図示しない表示装置に表示される。
【0034】
スライダブロック10に噛合したスライドシャフト12及びスライドシャフト用歯車13はガイド移動機構を構成しており、油圧モータ17及びモータ用歯車18は油圧駆動源を構成している。ガイド移動機構、油圧駆動源、定角送り機構19、エンコーダ20及びエンコーダ用歯車21は、サドル22に取付けられており、圧延ロール15の軸方向に移動しないように固定配置されている。
【0035】
このサドル22には、さらに、移動終了後にガイド14を固定するためのガイドクランプ機構23が設けられている。このガイドクランプ機構23は、スライダブロック10、ガイドベース16及びガイド14が、圧延ロール15の軸方向へ変位し終わった際に、ガイドベース16をサドル22に固定し、ガイド14が圧延ロール15の軸方向へ移動不能となるように固定するように構成されている。ガイドクランプ機構23は、圧延ロール15の軸方向に沿って伸長するクランプ部材24と、このクランプ部材24を押圧する2つのクランプバネ25と、この2つのクランプバネ25を押し戻す方向に作動する2つのクランプ用油圧ピストン26とを備えている。クランプ用油圧ピストン26が作動していない状態では、クランプ部材24は2つのクランプバネ25によって図にて下方に押圧される。これにより、クランプ部材24の両側のテーパ面がサドル22及びガイドベース16の側面を押圧固定するので、ガイドベース16の圧延ロール15の軸方向への移動がクランプされる。一方、2つのクランプ用油圧ピストン26が作動した状態では、クランプ部材24が、2つのクランプバネ25の押圧力に抗して図にて上方へ押し上げられるので、ガイドベース16のクランプが解除される。クランプ状態が、クランプ用油圧ピストン26の作動ではなくクランプバネ25のバネ力によって得られる構成であるため、油圧力無しでクランプ状態が確実に維持されることとなる。
【0036】
定角送り機構19は、単位角度だけ変位可能な変位機構27(図6及び図7)と、この変位機構27と油圧モータ17の回転軸28とを、嵌脱用油圧ピストン29及び嵌脱用バネ36によって機械的に嵌合及び脱離することができる嵌脱機構30(図7)とを備えている。
【0037】
本実施形態における変位機構27は、図7に詳細に示されているように、2つの端面31a及び31bで構成される定角送り枠を有する送り枠部材31と、油圧モータ17の回転軸28と同軸に回動するように定角送り枠内に挿入されており、この定角送り枠内で送り枠部材31に対して相対的に角度移動可能な可動部材である定角送りレバー32と、この定角送りレバー32を原点位置に初期化可能な弾性部材である原点復帰用バネ33とを備えている。
【0038】
定角送りレバー32は、原点位置(図7に示す中立位置)から回動して定角送り枠の一方の端面31a又は31bに当接することによってその回動が停止し、これによって単位角度だけ変位するように構成されている。定角送りレバー32は、油圧モータ17から脱離した状態で、原点復帰用バネ33によって押圧されて原点位置に戻される。
【0039】
嵌脱機構30は、図6に詳細に示すように、定角送りレバー32に機械的に連結されており、環状の凹凸表面を有する第1の嵌合面34と、油圧モータ17のモータ用歯車18と一体成形されており、この第1の嵌合面34に同軸で対向しており、環状の凹凸表面を有する第2の嵌合面35と、第1の嵌合面34を第2の嵌合面35の方向(図6にて左方向)へ駆動し、この第1の嵌合面34を第2の嵌合面35に噛合わせて嵌合状態とするための嵌脱用油圧ピストン29と、この嵌脱用油圧ピストン29を押し戻して脱離状態とするための嵌脱用バネ36とを備えている。なお、定角送りレバー32と嵌脱用油圧ピストン29とは、定角送りレバー32の雄スプライン部(図示なし)と嵌脱用油圧ピストン29の雌スプライン部(図示なし)とを嵌合させ、さらにボルト37で固定することにより、互いに同軸に一体的に固着されている。なお、嵌脱用バネが嵌合状態とするために作動し、嵌脱用油圧ピストンがこの嵌脱用バネを押し戻して脱離状態とするために作動するように構成しても良い。
【0040】
図8は本実施形態における位置制御装置の油圧回路の構成を概略的に示している。
【0041】
同図において、80は油圧モータ用電磁切換弁、81は油圧モータ用流量制御弁、82は油圧モータ用圧力制御弁、83は嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁、84は嵌脱油圧ピストン用圧力制御弁、85はクランプ油圧ピストン用電磁切換弁、86はクランプ油圧ピストン用圧力制御弁をそれぞれ示している。これらの弁を適宜制御することにより、油圧モータ17、嵌脱用油圧ピストン29及びクランプ用油圧ピストン26の作動が制御される。
【0042】
次に、本実施形態におけるガイドの位置制御装置の動作を説明する。
【0043】
ガイド14を圧延ロール15に設けてある圧延ロールカリバー(図示なし)の位置に正確に芯合わせするために、圧延材が入るエントリガイド14aとガイドローラ14bとを備えたガイド14をパスラインPL上で、圧延ローラ15の軸方向に移動(以下、横移動と称する)させ正確に位置合わせする動作について、図9に示すフローチャートをも参照して以下詳細に説明する。
【0044】
〔ステップS1〕まず、ガイド14を横移動可能にするために、クランプ油圧ピストン用電磁切換弁85を操作してガイドクランプ機構23の2つのクランプ用油圧ピストン26に油圧力を印加する。これにより、クランプ部材24が2つのクランプバネ25の押圧力に抗して、図5の上方向に駆動され、ガイドベース16のサドル22へのクランプが解除され、ガイドベース16及びスライダブロック10は横移動が可能となる。
【0045】
〔ステップS2〕次いで、油圧モータ17の駆動力を定角送りレバー32に伝達可能とするために、嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁83を操作して嵌脱機構30の嵌脱用油圧ピストン29に油圧力を印加する。これにより、嵌脱用油圧ピストン29が嵌脱用バネ36の押圧力に抗して、図6の左方向に駆動され、第1の嵌合面34と第2の嵌合面35とが同軸の嵌合状態となり、油圧モータ17の駆動力が定角送りレバー32に伝達されることとなる。
【0046】
〔ステップS3〕この状態で、油圧モータ17を一方向に回転させると、定角送りレバー32が原点位置(図7に示す中立位置)から回動して定角送り枠の一方の端面31a又は31bに当接することによってその回動が停止する。これによって、油圧モータ17は単位角度だけ変位する。本実施形態では、単位角度は9°に設定されている。油圧モータ17のモータ用歯車18はスライドシャフト用歯車13に噛合しており、従って、油圧モータ17の単位角度変位はスライドシャフト12の単位角度変位となる。スライドシャフト12の単位角度変位は、スライダブロック10の、従ってガイド14の横移動方向(圧延ロール15の軸方向)の単位長さ変位となる。モータ用歯車18及びスライドシャフト用歯車13の歯数を同一とし、スライドシャフト12の1回転当たりのスライダブロック10のネジ送り量を2mmとすると、定角送りレバー32の単位角度変位に対するガイド14の圧延ロール15の軸方向移動量D(mm)は、D(mm)=2mm×(9°÷360°)=0.05mmとなる。
【0047】
〔ステップS4〕次いで、嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁83を操作して嵌脱機構30の嵌脱用油圧ピストン29に印加される油圧力を除去すると、嵌脱用バネ36の押圧力により、第1の嵌合面34と第2の嵌合面35との嵌合が解除され、これにより、定角送りレバー32は、油圧モータ17から脱離した状態となって、原点復帰用バネ33によって押圧されて原点位置に戻される。
【0048】
〔ステップS5〕次いで、ガイド14の圧延ロール15の軸方向移動量が所望の値となったかどうか判別し、所望の値となっていない場合(NOの場合)は、ステップS2〜S4の処理を繰り返す。このように、ステップS2〜S4の処理を行うことにより、1サイクルの送りがなされて、ガイド14は単位変位長だけ変位する。必要とする変位量が得られるまでこのサイクルを繰り返すことにより、最終的に所望の変位量が得られることとなる。なお、エンコーダ用歯車21がモータ用歯車18に噛合しているため、エンコーダ20は油圧モータ17の回転角度を検出することができ、従ってガイド14の実際の変位量を表示装置に表示することができる。
【0049】
〔ステップS6〕ステップS5において、ガイド14の圧延ロール15の軸方向移動量が所望の値となったと判別した場合(YESの場合)は、クランプ用油圧ピストン26から油圧力を除去し、クランプ部材24を2つのクランプバネ25によって図にて下方に押圧する。これにより、クランプ部材24の両側のテーパ面がサドル22及びガイドベース16の側面を押圧固定するので、ガイドベース16の圧延ロール15の軸方向への移動がクランプされる。
【0050】
以上説明したように本実施形態によれば、定角送り機構19の変位機構27及び嵌脱機構30により、単位角度送り動作におけるガイド14の変位量が所定値に規定される。従って、この定角送り機構19による単位角度送り動作を必要回数実施することによって、ガイド14は圧延ロール15の軸方向の所望の位置に精度良く位置決めされる。このように、本実施形態によれば、ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要としないので、構造が非常に簡単となり、製造コストを低減化することができる。また、定角送り機構19による単位角度送り動作を必要回数実施することにより位置決めしているので、位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等が不要であり、機器取付け工事、配線及び配管工事が不要となるので、その意味でも製造コストを低減化することができる。さらに、外形寸法を大幅に小さくすることもできる。
【0051】
図10は本発明の圧延機におけるガイドの位置制御装置の他の実施形態の一部の機械的構成を示しており、図11は図10の位置制御装置の嵌脱機構が脱離状態となった際の機械的構成を示しており、図12は図11のXII−XII線に沿った面を示しており、図13は図10の位置制御装置の嵌脱機構が嵌合状態にあり、定寸送り機構が初期状態となった際の一部の機械的構成を示しており、図14は図10の位置制御装置の嵌脱機構が嵌合状態にあり、定寸送り機構が単位変位量送り状態となった際の一部の機械的構成を示しており、図15は図10の位置制御装置の嵌脱機構が脱離状態にあり、定寸送り機構が初期状態となった際の一部の機械的構成を示している。
【0052】
本実施形態においては、油圧駆動源として、油圧モータに代えて2つの油圧ピストンが設けられており、定寸送り機構がスライドシャフトに直接的に連結された定長送り機構であることが、図1〜図9の実施形態の場合と異なっており、その他はほぼ同様の構成を有している。従って、本実施形態において、図1〜図9の実施形態と同様の要素については同じ参照番号を用いることにより、詳しい説明を省略する。
【0053】
図10〜図15において、110は図1の矢印11方向と同様の方向(圧延ロールの軸方向)に直線移動可能なスライダブロック、112はこのスライダブロック110に噛合したスライドシャフト、113はスライドシャフト112に同軸に固着されたスライドシャフト用歯車をそれぞれ示している。
【0054】
スライダブロック110には、図1〜図9の実施形態の場合と同様に、ガイド14(図2)が着脱可能に装着されている。このガイド14は、図示しない圧延材を圧延ロール15(図2)の所望位置(圧延ロールカリバーの位置)に案内するためのものである。スライダブロック110は内周に雌ねじが形成された貫通穴を有しており、この雌ねじがスライドシャフト112の外周に形成された雄ねじが噛合している。従って、スライドシャフト112が一方向又は逆方向に回転することにより、スライダブロック110は圧延ロール15の軸方向に直線移動することとなる。
【0055】
ガイド14はガイドベース16を介してスライダブロック110に着脱可能に装着されている。従って、スライダブロック110、ガイドベース16及びガイド14が圧延ロール15の軸方向に直線移動可能となっている。
【0056】
スライドシャフト112には、スライドシャフト用歯車113が同軸に固着されている。後述する油圧ピストンの作動によってスライドシャフト112が回転することにより、スライダブロック110が圧延ロール15の軸方向に直線移動する。なお、本実施形態においては、後述する定寸送り機構(定長送り機構)119はスライドシャフト112に直接的に装着されている。
【0057】
位置検出機構を構成する図示しないエンコーダの回転軸20aには、スライドシャフト用歯車113に噛合したエンコーダ用歯車21が同軸に固着されている。従って、エンコーダはスライドシャフト112の回転角度を検出することができ、これによりガイド14の実際の変位量を検出することができる。検出した回転角度又は変位量は図示しない表示装置に表示される。
【0058】
スライダブロック110に噛合したスライドシャフト112及びスライドシャフト用歯車113はガイド移動機構を構成しており、定長送り平歯車132及び後述する油圧ピストン117a及び117bは油圧駆動源を構成すると共に定長送り機構119の一部を構成している。ガイド移動機構、油圧駆動源、定長送り機構119、エンコーダ及びエンコーダ用歯車21は、サドル22に取付けられており、圧延ロール15の軸方向に移動しないように固定配置されている。
【0059】
このサドル22には、さらに、移動終了後にガイド14を固定するためのガイドクランプ機構23が設けられている。このガイドクランプ機構23の構成及び作用効果は、図1〜図9の実施形態の場合と全く同様である。
【0060】
定長送り機構119は、単位長だけ変位可能な変位機構127と、この変位機構127とスライドシャフト112のスライドシャフト用歯車113とを嵌脱用油圧ピストン129及び嵌脱用バネ136によって機械的に嵌合(噛合)及び脱離することができる嵌脱機構130とを備えている。
【0061】
本実施形態における変位機構127は、図13〜図15に詳細に示されているように、油圧ピストン117a及び117bと、油圧力が印加されていない状態の油圧ピストン117a及び117bの端面131a及び131bで構成される定長送り枠と、この定長送り枠内で直線移動可能な可動部材である定長送り平歯車132と、この定長送り平歯車132を原点位置に初期化可能な弾性部材である原点復帰用バネ133とを備えている。
【0062】
定長送り平歯車132は、スライドシャフト用歯車113と嵌合(噛合)した状態で、原点位置(図10及び図13に示す中立位置)から直線移動し、定長送り枠の一方の端面131a又は131bに当接することによってその移動が停止し、これによって単位長だけ変位するように構成されている。また、定長送り平歯車132は、スライドシャフト用歯車113から脱離した状態で、油圧ピストン117a及び117bに印加されていた油圧量が解除されることにより、原点復帰用バネ133によって押圧されて原点位置に戻される。
【0063】
嵌脱機構130は、図12に詳細に示すように、定長送り平歯車132をスライドシャフト用歯車113の方向(図13にて上方向)へ駆動し、この定長送り平歯車132をスライドシャフト用歯車113に噛合わせて嵌合状態とするための嵌脱用バネ136と、定長送り平歯車132に機械的に連結されており、この嵌脱用油圧ピストン129を押し戻して脱離状態とするための嵌脱用油圧ピストン129とを備えている。なお、嵌脱用バネが脱離状態とするために作動し、嵌脱用油圧ピストンがこの嵌脱用バネを押し戻して嵌合状態とするために作動するように構成しても良い。
【0064】
本実施形態における位置制御装置の油圧回路の構成は、油圧モータ17に代えて2つの油圧ピストン117a及び117bが設けられていることを除いて、図8に示した構成とほぼ同様である。
【0065】
次に、本実施形態におけるガイドの位置制御装置の動作を説明する。
【0066】
ガイド14を圧延ロール15に設けてある圧延ロールカリバー(図示なし)の位置に正確に芯合わせするために、圧延材が入るガイド14をパスライン上で、圧延ローラ15の軸方向に移動(以下、横移動と称する)させ正確に位置合わせする動作について、図16に示すフローチャートをも参照して以下詳細に説明する。
【0067】
〔ステップS11〕まず、ガイド14を横移動可能にするために、クランプ油圧ピストン用電磁切換弁85(図8)を操作してガイドクランプ機構23の2つのクランプ用油圧ピストン26に油圧力を印加する。これにより、クランプ部材24が2つのクランプバネ25の押圧力に抗して、図5の上方向に駆動され、ガイドベース16のサドル22へのクランプが解除され、ガイドベース16及びスライダブロック110は横移動が可能となる。
【0068】
〔ステップS12〕次いで、油圧ピストン117a又は117bの駆動力をスライドシャフト112に伝達可能とするために、嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁83(図8)を操作して嵌脱機構130の嵌脱用油圧ピストン129から油圧力を解除する。これにより、嵌脱用バネ136の押圧力により、上方向に駆動され、定長送り平歯車132がスライドシャフト用歯車113に噛合わされて嵌合状態となる。即ち、図11の状態から図10の状態となる。
【0069】
〔ステップS13〕この状態で、一方の油圧ピストン117a(又は117b)のみ(他方の油圧ピストンは非作動)に油圧力を印加して一方向に移動させると、定長送り平歯車132が原点位置(図13に示す中立位置)から右方向に移動して定角送り枠の一方の端面131b(又は131a)に当接することによってその移動が停止する。定長送り平歯車132はスライドシャフト用歯車113に噛合しており、従って、油圧ピストン117a(又は117b)の単位長変位はスライドシャフト112の単位角度変位となる。スライドシャフト112の単位角度変位は、スライダブロック110の、従ってガイド14の横移動方向(圧延ロール15の軸方向)の単位長さ変位となる。
【0070】
〔ステップS14〕次いで、嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁83(図8)を操作して嵌脱機構130の嵌脱用油圧ピストン129に油圧力を印加すると、嵌脱用バネ136の押圧力に抗して、定長送り平歯車132は下方に駆動され、図15に示すようにスライドシャフト用歯車113との嵌合が解除される。この状態で油圧ピストン117a及び117bに印加されている油圧量を解除することにより、定長送り平歯車132は、原点復帰用バネ133によって押圧されて原点位置に戻される。
【0071】
〔ステップS15〕次いで、ガイド14の圧延ロール15の軸方向移動量が所望の値となったかどうか判別し、所望の値となっていない場合(NOの場合)は、ステップS12〜S14の処理を繰り返す。このように、ステップS12〜S14の処理を行うことにより、1サイクルの送りがなされて、ガイド14は単位変位長だけ変位する。必要とする変位量が得られるまでこのサイクルを繰り返すことにより、最終的に所望の変位量が得られることとなる。なお、エンコーダ用歯車21がスライドシャフト用歯車113に噛合しているため、エンコーダはスライドシャフト112の回転角度を検出することができ、従ってガイド14の実際の変位量を表示装置に表示することができる。
【0072】
〔ステップS16〕ステップS15において、ガイド14の圧延ロール15の軸方向移動量が所望の値となったと判別した場合(YESの場合)は、クランプ用油圧ピストン26から油圧力を除去し、クランプ部材24を2つのクランプバネ25によって図にて下方に押圧する。これにより、クランプ部材24の両側のテーパ面がサドル22及びガイドベース16の側面を押圧固定するので、ガイドベース16の圧延ロール15の軸方向への移動がクランプされる。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、定長送り機構119の変位機構127及び嵌脱機構130により、単位長送り動作におけるガイド14の変位量が所定値に規定される。従って、この定長送り機構119による単位長送り動作を必要回数実施することによって、ガイド14は圧延ロール15の軸方向の所望の位置に精度良く位置決めされる。このように、本実施形態によれば、ボール減速機や位置決め固定部材等の精密位置決め部品を必要としないので、構造が非常に簡単となり、製造コストを低減化することができる。また、定長送り機構119による単位長送り動作を必要回数実施することにより位置決めしているので、位置制御手段、制御盤及びサーボモータ等が不要であり、機器取付け工事、配線及び配管工事が不要となるので、その意味でも製造コストを低減化することができる。さらに、外形寸法を大幅に小さくすることもできる。
【0074】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0075】
10、110 スライダブロック
12、112 スライドシャフト
13、113 スライドシャフト用歯車
14 ガイド
14a エントリガイド
14b ガイドローラ
15 圧延ロール
16 ガイドベース
17 油圧モータ
18 モータ用歯車
19 定角送り機構
20 エンコーダ
20a、28 回転軸
21 エンコーダ用歯車
22 サドル
23 ガイドクランプ機構
24 クランプ部材
25 クランプバネ
26 クランプ用油圧ピストン
27、127 変位機構
29、129 嵌脱用油圧ピストン
30、130 嵌脱機構
31 送り枠部材
31a、31b、131a、131b 端面
32 定角送りレバー
33、133 原点復帰用バネ
34 第1の嵌合面
35 第2の嵌合面
36、136 嵌脱用バネ
37 ボルト
80 油圧モータ用電磁切換弁
81 油圧モータ用流量制御弁
82 油圧モータ用圧力制御弁
83 嵌脱油圧ピストン用電磁切換弁
84 嵌脱油圧ピストン用圧力制御弁
85 クランプ油圧ピストン用電磁切換弁
86 クランプ油圧ピストン用圧力制御弁
117a、117b 油圧ピストン
132 定長送り平歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延材のガイドを圧延ロールの軸方向に移動可能なガイド移動機構と、該ガイド移動機構に連結されており、前記ガイドを単位変位量だけ移動させる単位送り動作を行う定寸送り機構とを備えており、前記定寸送り機構による単位送り動作が必要回数実施可能に構成されていることを特徴とする圧延機におけるガイドの位置制御装置。
【請求項2】
前記定寸送り機構は、単位変位量だけ変位可能な変位機構と、該変位機構と前記ガイド移動機構とを機械的に嵌合及び脱離することが可能な嵌脱機構とを備えており、該嵌脱機構によって前記変位機構と前記ガイド移動機構とを嵌合させた状態で前記変位機構を単位変位量だけ変位させることにより前記ガイドを該単位変位量だけ変位させ、前記嵌脱機構によって前記変位機構を前記ガイド移動機構から脱離させた状態で前記変位機構の前記変位を初期化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位置制御装置。
【請求項3】
前記変位機構は、前記単位変位量に対応する定寸送り枠を規定する送り枠部材と、該送り枠部材の前記定寸送り枠内に挿入されており、該定寸送り枠内で移動可能な可動部材と、該可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、前記可動部材が前記原点位置から前記定寸送り枠内を変位することにより前記単位変位量が設定されることを特徴とする請求項2に記載の位置制御装置。
【請求項4】
前記変位機構とは別個に設けられており前記ガイド移動機構に連結された油圧駆動源をさらに備えており、前記嵌脱機構は、前記変位機構に機械的に連結された第1の嵌合面と、前記油圧駆動源及び前記ガイド移動機構に機械的に連結されており、前記第1の嵌合面に対向する第2の嵌合面とを備えており、前記第1の嵌合面及び前記第2の嵌合面が嵌脱可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の位置制御装置。
【請求項5】
前記定寸送り機構は、単位送り動作における角度量を規定する定角送り機構であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位置制御装置。
【請求項6】
前記変位機構の一部を構成する油圧駆動源及び平歯車をさらに備えており、前記嵌脱機構は、前記平歯車と、前記ガイド移動機構に機械的に連結された歯車とを備えており、前記平歯車と前記歯車とが噛合又脱離することにより嵌脱可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の位置制御装置。
【請求項7】
前記定寸送り機構は、単位送り動作における長さ量を規定する定長送り機構であることを特徴とする請求項1から3、及び6のいずれか1項に記載の位置制御装置。
【請求項8】
前記定寸送り機構は、互いに相対する2方向のいずれの方向においても前記ガイドの変位量を規定可能に構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の位置制御装置。
【請求項9】
前記ガイドの前記軸方向への変位量を検出可能な位置検出機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の位置制御装置。
【請求項10】
圧延材を圧延ロールカリバーへ案内するためのガイドと、該ガイドが着脱自在に装着されたスライダブロックと、該スライダブロックを圧延ロールの軸方向に移動可能に取付けたサドルとを備えた、圧延機におけるガイドの位置制御装置であって、
前記サドルは、ガイド移動機構と、該ガイド移動機構に連結された定寸送り機構と、前記ガイドの前記軸方向への変位量を検出可能な位置検出機構と、前記ガイドを固定するためのガイドクランプ機構とを備えており、
前記ガイド移動機構は、前記スライダブロックを前記軸方向に移動させるべく該スライダブロックに噛合したスライドシャフトを備えており、
前記定寸送り機構は、単位変位量だけ変位可能な変位機構と、該変位機構と前記ガイド移動機構とを機械的に嵌合及び脱離することが可能な嵌脱機構とを備えており、該嵌脱機構によって前記変位機構と前記ガイド移動機構とを嵌合させた状態で前記変位機構を単位変位量だけ変位させることにより前記ガイドを該単位変位量に対応する変位量だけ変位させ、前記嵌脱機構によって前記変位機構を前記ガイド移動機構から脱離させた状態で前記変位機構の前記変位を初期化することにより、単位送り動作における、前記ガイドの変位量を所定値に規定するように構成されており、
前記位置検出機構は、前記スライドシャフトの回転角度を検出して前記ガイドの変位量を検出するように構成されており、
前記ガイドクランプ機構は、前記ガイドの前記軸方向への変位が完了した際に該ガイドを前記軸方向へ移動不能となるように固定可能に構成されており、
前記定寸送り機構による単位送り動作を必要回数実施可能に構成されていることを特徴とする圧延機におけるガイドの位置制御装置。
【請求項11】
前記変位機構は、前記単位変位量に対応する単位変位角度の定角送り枠を規定する送り枠部材と、該送り枠部材の前記定角送り枠内に該定角送り枠と同軸に回転可能に挿入された定角送りレバーを有しており、該定角送りレバーが移動する角度範囲で前記送り枠部材に対して相対的に回動可能な可動部材と、該可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、前記定角送りレバーが前記原点位置から前記定角送り枠内を角度変位することにより前記単位変位量が設定されることを特徴とする請求項10に記載の位置制御装置。
【請求項12】
前記変位機構とは別個に設けられており前記ガイド移動機構に連結された油圧駆動源をさらに備えており、前記嵌脱機構は、前記変位機構に機械的に連結された第1の嵌合面と、前記油圧駆動源及び前記ガイド移動機構に機械的に連結されており、前記第1の嵌合面に対向する第2の嵌合面とを備えており、前記第1の嵌合面及び前記第2の嵌合面が嵌脱可能に構成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の位置制御装置。
【請求項13】
前記変位機構は、前記単位変位量に対応する単位変位長さの定長送り枠を規定する送り枠部材と、該送り枠部材の前記定長送り枠内で定長送りピストンにより直線移動可能である可動部材と、該可動部材を原点位置に初期化可能な弾性部材とを備えており、前記定長送りピストンが前記可動部材を前記定寸送り枠内において直線変位させることにより前記単位変位量が設定されることを特徴とする請求項10に記載の位置制御装置。
【請求項14】
前記変位機構の一部を構成する油圧駆動源及び平歯車をさらに備えており、前記嵌脱機構は、前記平歯車と、前記ガイド移動機構に機械的に連結された歯車とを備えており、前記平歯車と前記歯車とが噛合又脱離することにより嵌脱可能に構成されていることを特徴とする請求項10又は13に記載の位置制御装置。
【請求項15】
前記定寸送り機構は、互いに相対する2方向のいずれの方向においても前記ガイドの変位量を規定可能に構成されていることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の位置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−55912(P2012−55912A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199748(P2010−199748)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000182476)寿産業株式会社 (47)