説明

圧延装置

【課題】トルクリミッタの損傷を抑制できる圧延装置を提供すること。
【解決手段】最も上流側の圧延機以外の圧延機のうちで、ある一つの圧延機の演算部63が、被圧延部材の厚さが予め定められた値以下であって、トルクリミッタでの動力の遮断が必要であると判断した場合、制御部61からの信号を受けた送信部66が、その圧延機よりも一つ上流側に位置する圧延機のワイヤレス受信機に、その一つ上流側に位置する電磁弁を開状態にする信号を無線により出力する。このようにして、その圧延機よりも一つ上流側に位置する圧延機のトルクリミッタで動力の遮断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクリミッタを有する圧延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧延装置としては、被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、上記各圧延機は、上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置とを有し、少なくとも一つの圧延機が、実開平4−121538号公報(特許文献1)に記載のトルクリミッタを有しているものがある。
【0003】
また、上記トルクリミッタは、軸部材と、筒部材とを備え、上記筒部材は、環状の油圧拡張室と、油解放通路とを有し、油解放通路の一端は、上記油圧拡張室に開口する一方、上記油解放通路の他端部は、密封されている。上記油圧拡張室および上記油解放通路は、密封室を構成している。この密封室内に、油圧拡張用の油を充填して、筒部材の内周面を縮径して、筒部材の内周面と軸部材の外周面とを摩擦結合している。
【0004】
上記トルクリミッタは、上記軸部材に対して筒部材が相対回転した際、上記油解放通路の上記他端部が破壊されて、油圧拡張室内の油が放出されるようになっている。このようにして、筒部材と軸部材との摩擦係合を解いて、筒部材と軸部材との動力の伝達を遮断するようになっている。
【0005】
上記圧延装置では、トルクリミッタの軸部材に対して筒部材が相対回転しなければ駆動装置の回転動力が、ロールに伝達するのを遮断できない、言い換えれば、筒部材に対する軸部材のすべりが発生しなければ、動力の遮断を行うことができないから、トルクリミッタに損傷が発生するのを避けがたい。
【特許文献1】実開平4−121538号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、トルクリミッタが損傷しにくくて、寿命が長い圧延装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の圧延装置は、
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機と、
上記遮断部付圧延機に上記被圧延部材の移動方向の下流側に隣接して位置する下流隣接圧延機と
を含み、
上記遮断部付圧延機および上記下流隣接圧延機の夫々は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴としている。
【0008】
尚、上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知するとは、センサで第1ロールと第2ロールで挟持されている被圧延部材の一部(以下挟持部という)を検出する場合は勿論のこと、センサで被圧延部材において上記挟持部以外の部分を検出することにより、上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する場合も含むものとする。
【0009】
本発明によれば、上記下流隣接圧延機の検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、制御部からの信号を受けた遮断部付圧延機の流体放出部が、流体拡張室内の流体を外部に排出し、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する。したがって、この場合において、遮断部付圧延機および遮断部付圧延機の下流側に位置するトルクリミッタの損傷を防止できる。
【0010】
また、本発明によれば、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受けた場合のみに、制御部からの信号を受けた流体放出部が、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断するから、例えば、全部の圧延機が検知部を有している場合に、被圧延部材の切断を生じた部分よりも下流側の圧延機において、次々に油圧拡張用の油の放出が行われることがない。したがって、被圧延部材の切断を生じた部分よりも下流側の圧延機において、油圧拡張室に油を再充填する必要がないから、圧延装置を迅速に再起動することができる。
【0011】
また、一実施形態では、
上記下流隣接圧延機は、その下流隣接圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記下流隣接圧延機の駆動軸から上記下流隣接圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記下流隣接圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力する。
【0012】
上記実施形態によれば、上記下流隣接圧延機のトルクリミッタの損傷を防止することができる。
【0013】
また、一実施形態では、
上記複数の圧延機は、上記動力遮断圧延機よりも上記被圧延部材の移動方向の上流側に位置する一以上の上流側圧延機を含み、
上記各上流側圧延機は、その上流側圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記各上流側圧延機の駆動軸から上記各上流側圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、全ての上記上流側圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力する。
【0014】
上記実施形態によれば、上記上流側圧延機のトルクリミッタの損傷を防止することができる。
【0015】
また、一実施形態では、
上記複数の圧延機は、上記下流隣接圧延機より上記下流側に位置する一以上の下流側圧延機を含み、
上記各下流側圧延機は、その下流側圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記各下流側圧延機の駆動軸から上記各下流側圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、全ての上記下流側圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力する。
【0016】
上記実施形態によれば、上記下流側圧延機のトルクリミッタの損傷を防止することができる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記複数の圧延機の夫々は、
上記第1ロールの軸方向の一端部を第1軸受を介して支持する第1チョックと、
上記第1ロールの軸方向の他端部を第2軸受を介して支持する第2チョックと、
上記第2ロールの軸方向の一端部を第3軸受を介して支持する第3チョックと、
上記第2ロールの軸方向の他端部を第4軸受を介して支持する第4チョックと
を有し、
上記第1軸受乃至第4軸受のうちの少なくとも一つは、転がり軸受であり、
上記検知部は、上記第1チョック乃至第4チョックのうちの一つに配置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記検知部が、被圧延部材の有無または厚さによって存在位置が敏感に変動する、圧延ロールを軸受を介して支持するチョックに配置されているから、上記検知部で被圧延部材の有無または厚さを精度良く測定できる。したがって、遮断部付圧延機の動力を適切な時期に遮断することができる。
【0019】
また、一実施形態では、
上記制御部は、演算部と、無線送信部とを有し、
上記遮断部付圧延機の上記流体放出部は、電磁弁または電動弁であり、
上記検知部は、上記演算部に信号を出力するようになっており、
上記演算部は、上記検知部からの信号と、予め定められた信号とに基づいて、上記電磁弁または上記電動弁を開状態にする信号を、上記無線送信部を通じて上記電子弁または上記電動弁に出力する。
【0020】
上記実施形態によれば、上記流体放出部に正確かつ確実に信号を出力することができる。
【0021】
また、本発明の圧延装置は、
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機と、
上記遮断部付圧延機に上記被圧延部材の移動方向の下流側に隣接して位置する下流隣接圧延機と
を含み、
上記下流隣接圧延機は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記遮断部付圧延機の上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴としている。
【0022】
全ての圧延機が検知部を有している場合において、いずれか一つの検知部が、被圧延部材が存在しないことを検知するか、または、被圧延部材の厚さが予め定められた厚さ以下になったら、その検知部を有する圧延機の一つ上流側の圧延機のトルクリミッタで動力伝達を遮断するようにしても良い。この場合、更に、圧延装置の操業を停止するようにすると好ましい。尚、この場合、一つの検知部の検知のみで、トルクリミッタでの動力の遮断が判断されることは言うまでもない。
【0023】
また、本発明の圧延装置は、
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機を含み、
上記遮断部付圧延機は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴としている。
【0024】
全ての圧延機が検知部を有している場合において、いずれか一つの検知部が、被圧延部材が存在しないことを検知するか、または、被圧延部材の厚さが予め定められた厚さ以下になったら、その検知部を有するトルクリミッタで動力伝達を遮断しても良い。この場合、更に、圧延装置の操業を停止するようにすると好ましい。尚、この場合、一つの検知部の検知のみで、トルクリミッタでの動力の遮断が判断されることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0025】
本発明の圧延装置によれば、従来の構成と比較して、トルクリミッタの損傷を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態の圧延装置において複数の圧延機11の配置構成を示す模式図である。
【0028】
図1に示すように、この圧延装置は、複数の圧延機11を、被圧延部材16の移動方向Xに互いに間隔をおいて配置している。各圧延機11は、第1ロール12および第2ロール13と、バックアップロール14および15とを備える。各圧延機11は、第1ロール12と第2ロール13とで被圧延部材16を挟圧して、被圧延部材16を圧延するようになっている。また、上記バックアップロール14は、第1ロール12をバックアップし、バックアップロール15は、第2ロール13をバックアップしている。上記バックアップロール14および15は、被圧延部材16からの荷重を、第1ロール12および第2ロール13を介して受けることにより、第1ロール12および第2ロール13の所定外の位置の変動を防止する役割を果たしている。
【0029】
図2は、上記各圧延機11の他の構成の一部を示す模式図である。
【0030】
図2に示すように、各圧延機11は、駆動装置としての原動機20、カップリング21、減速機22、トルクリミッタ23、駆動軸24およびスタンド25を有する。各圧延機11は、原動機20で生成した回転動力を、カップリング21を介して減速機22に入力して、減速機22で、その入力した回転動力の回転速度を適正な回転速度に減速するようになっている。
【0031】
また、上記減速機22の出力は、トルクリミッタ23を介して駆動軸24に伝達するようになっている。また、上記駆動軸24に伝達された回転動力は、ロールスタンド25を介して、第1および第2ロール12,13(図1参照)のロールチョックに伝達して、第1および第2ロール12,13を回転駆動するようになっている。
【0032】
図3は、各圧延機11における上記第1ロール12および第2ロール13周辺の部分を示す模式図である。尚、図3において、16は、被圧延部材を指す。
【0033】
上記第1ロール12は、ロール本体30、第1ロールチョック34、第2ロールチョック35、第1複列円筒ころ軸受32および第2複列円筒ころ軸受33を有する。上記第1複列円筒ころ軸受32は、ロール本体30の軸方向の一端部を、第1ロールチョック34に対して回転自在に支持する一方、第2複列円筒ころ軸受33は、ロール本体30の軸方向の他端部を、第2ロールチョック35に対して回転自在に支持している。
【0034】
また、上記第2ロール13は、ロール本体40、第1ロールチョック44、第2ロールチョック45、第1複列円筒ころ軸受42および第2複列円筒ころ軸受43を有する。上記第1複列円筒ころ軸受42は、ロール本体40の軸方向の一端部を、第1ロールチョック44に対して回転自在に支持する一方、第2複列円筒ころ軸受43は、ロール本体40の軸方向の他端部を、第2ロールチョック45に対して回転自在に支持している。
【0035】
上記各圧延機11は、上記ロールスタンド25(以下、第1ロールスタンド25という)と、第1ロールスタンド25と同一の機構で、原動機からの回転動力が伝達される第2ロールスタンド27とを有する。上記第1ロールスタンド25は、第1ロール12の第1チョック34と、第2ロール13の第1チョック44とを支持している。また、上記第2ロールスタンド27は、第1ロール12の第2チョック35と、第2ロール13の第2チョック45とを支持している。
【0036】
このようにして、上記原動機20(図2参照)の回転動力を、第1および第2ロールスタンド25,27を介して第1および第2ロール12,13に伝達するようになっている。
【0037】
図4は、上記トルクリミッタ23(図2参照)の構造の模式図である。
【0038】
上記トルクリミッタ23は、筒部材50、軸部材51、流体放出部の一例としての電磁弁54、および、無線受信部としてのワイヤレス受信機55を有し、筒部材50は、内部に環状の油圧拡張室52および油通路53を有する。上記油圧拡張室52は、流体拡張室を構成している。上記油通路53の一端は、油圧拡張室52に開口している一方、油通路53の他端は、電磁弁54につながっている。上記油圧拡張室52および油通路53内には、油圧拡張用の油が封入されている。上記電磁弁54が閉鎖位置に存在しているとき、上記油圧拡張室52および油通路53は、密封室を構成している。
【0039】
このトルクリミッタ23は、油圧拡張室52に充填された油で、油圧拡張室52の径方向の寸法を拡張することにより、筒部材50の円筒内周面57を縮径して、円筒内周面57を、軸部材51の円筒外周面58に押し付けて、筒部材50と、軸部材51とを摩擦結合するようになっている。
【0040】
上記筒部材50および軸部材51の一方は、駆動軸24(図2参照)に連結される一方、筒部材50および軸部材51の一方は、減速機22(図2参照)に連結されている。
【0041】
このトルクリミッタ23は、上記ワイヤレス受信機55が、後述の送信部から電磁弁54を開くことを示す信号を受けると、電磁弁54が開状態になって、油通路53の油圧拡張室52側とは反対側の開口を、外部に連通するようになっている。このようにして、上記筒部材50の軸部材51に対する押圧力をなくして、筒部材50と軸部材51との間の動力の伝達を遮断するようになっている。
【0042】
図5は、上記トルクリミッタ23(図4参照)の動力の遮断の制御の流れを示すフローチャートである。
【0043】
上記各圧延機11は、検知部の一例としての歪みゲージ60、制御部61および送信部66を有し、制御部61は、メモリ62および演算部63を有する。上記制御部61は、マイクロコンピュータで構成されている。
【0044】
図3を参照して、上記歪みゲージ60は、第1ロール12における第2複列円筒ころ軸受33と第2チョック35との間に位置すると共に、第2ロール13における第2複列円筒ころ軸受43と第2チョック45との間に配置されている。
【0045】
上記第1ロール12と第2ロール13との間を通過する被圧延部材16の厚さが変化すると、それに基づいて各ロールチョック34,35,44,45の位置が変動する。すると、上記第1ロール12および第2ロール13の夫々において、第2複列円筒ころ軸受33,43と第2チョック35,45との間に配置されている歪みゲージ60内に加わる歪みが変動して、歪みゲージ60の抵抗が変動する。この実施形態では、上記被圧延部材16の厚さを、歪みゲージ60の抵抗値に基づいて測定するようになっている。
【0046】
再度、図5を参照して、上記被圧延部材16(図1参照)の流れの最も上流側の圧延機11以外の圧延機11(図1参照)の制御部61は、歪みゲージ60からの信号を受けると、制御部61の演算部63が、歪みゲージ60から出力された値と、メモリ62に記憶されている閾値とを比較する。そして、この比較に基づいて、演算部63で、被圧延部材16の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したか否かを判断し、トルクリミッタ23(図2参照)での動力の遮断の要否を判断する。
【0047】
詳しくは、被圧延部材16が、上流側に位置する圧延機11である遮断部付圧延機と、遮断部付圧延機の一つ下流側に位置する圧延機11である下流隣接圧延機との間で切れそうになる、或いは、切れてしまうことを検知する。ここで、上記被圧延部材16が切れてしまうと、切れた下流側(進行方向前方側)の被圧延部材16は、下流隣接圧延機を通過するが、切れた上流側(進行方向後方側)の被圧延部材16は、下流隣接圧延機にぶつかり、遮断部付圧延機と下流隣接圧延機との間に滞留する。この際、遮断部付圧延機が上流側の被圧延部材16を滞留している部分に押し込もうと過大な負荷を加えることを抑制し、トルクリミッタ23が損傷することを抑制したい。
【0048】
このため、遮断部付圧延機の検知部で、遮断部付圧延機の第1ロール12と第2ロール13との間に被圧延部材16が存在することを検知し、下流隣接圧延機の検知部で、下流隣接圧延機の第1ロール12と第2ロール13との間に被圧延部材16があって、かつ、下流隣接圧延機で検知された被圧延部材16の厚さが予め定められた値より大きい状態である正常な状態から、遮断部付圧延機の検知部で、遮断部付圧延機の第1ロール12と第2ロール13との間に被圧延部材16が存在することを検知したにも係わらず、下流隣接圧延機の検知部で、下流隣接圧延機の第1ロール12と第2ロール13との間に被圧延部材16がないか、被圧延部材16があっても下流隣接圧延機で検知された被圧延部材16の厚さが、予め定められた値以下の異常な状態に変化した際に、遮断部付圧延機の動力を遮断するのである。
【0049】
このように、最も上流側の圧延機11以外の圧延機11のうちで、ある一つの圧延機11の演算部63が、被圧延部材16の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化して、トルクリミッタ23(図2参照)での動力の遮断が必要であると判断した場合、上記制御部61からの信号を受けた送信部66が、その圧延機11よりも一つ上流側に位置する圧延機11のワイヤレス受信機55(図4参照)に、その一つ上流側に位置する電磁弁54を開状態にする信号を無線により出力する。すると、電磁弁の近傍に設置された電池(図示せず)から電力が供給されて、電磁弁54が開状態になるようになっている。
【0050】
上記演算部63が、トルクリミッタ23(図2参照)での動力の遮断が必要であると判断するための値の変化を検知した圧延機11は、下流隣接圧延機を構成し、上記一つ上流側に位置する圧延機11は、遮断部付圧延機を構成している。
【0051】
上記実施形態の圧延装置によれば、下流隣接圧延機の歪みゲージ60から被圧延部材16の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したことを表す信号を受けた場合、制御部からの信号を受けた遮断部付圧延機の電磁弁54が、駆動軸24から第1および第2ロール12,13への回転動力の伝達を遮断する。したがって、この場合において、遮断部付圧延機および遮断部付圧延機の下流側に位置するトルクリミッタの損傷を防止できる。
【0052】
また、上記実施形態の圧延装置によれば、上記遮断部付圧延機の歪みゲージ60から被圧延部材16が検知されたことを示す信号を受けた場合のみに、上記下流隣接圧延機の歪みゲージ60から被圧延部材16の厚さが予め定められた厚さ以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したことを表す信号を受けると制御部61からの信号を受けた遮断部付圧延機の電磁弁54が、駆動軸24から第1および第2ロール12,13への回転動力の伝達を遮断するから、被圧延部材16の切断を生じた部分よりも下流側の圧延機において、次々に油圧拡張用の油の放出が行われることがない。というのは、被圧延部材16の切断を生じた部分よりも下流側の圧延機においては、一つ上流の圧延機11が、必ず被圧延部材16が存在しないという判断をするからである。したがって、被圧延部材16の切断を生じた部分よりも下流側の圧延機において、油圧拡張室に油を再充填する必要がないから、圧延装置を迅速に再起動することができる。
【0053】
また、上記実施形態の圧延装置によれば、歪みゲージ60が、被圧延部材16の有無または厚さによって存在位置が敏感に変動する、圧延ロール12,13を軸受33,43を介して支持するチョック35,45に配置されているから、検知部である歪みゲージ60で被圧延部材16の有無または厚さを精度良く測定できる。したがって、遮断部付圧延機の動力を適切な時期に遮断することができる。
【0054】
尚、上記実施形態の圧延装置では、最も上流側の圧延機11以外の圧延機11のうちで、ある一つの圧延機11の演算部63が、被圧延部材16の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化して、トルクリミッタ23での動力の遮断が必要であると判断した場合、その一つ上流の圧延機のトルクリミッタ23で動力の遮断を行うようにした。
【0055】
しかしながら、この発明では、最も上流側の圧延機以外の圧延機のうちで、ある一つの圧延機の演算部が、被圧延部材の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化して、トルクリミッタでの動力の遮断が必要であると判断した場合、そのある一つの圧延機のトルクリミッタで動力の遮断を行うようにしても良い。
【0056】
また、この発明では、最も上流側の圧延機以外の圧延機のうちで、ある一つの圧延機の演算部が、被圧延部材の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化して、トルクリミッタでの動力の遮断が必要であると判断した場合、そのある一つの圧延機よりも2以上上流に位置する全ての圧延機(これは、上流側圧延機を構成する)のトルクリミッタで動力の遮断を行うようにしても良い。
【0057】
また、この発明では、最も上流側の圧延機以外の圧延機のうちで、ある一つの圧延機の演算部が、被圧延部材の厚さが予め定められた値以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化して、トルクリミッタでの動力の遮断が必要であると判断した場合、そのある一つの圧延機よりも下流に位置する全ての圧延機(これは、下流側圧延機を構成する)のトルクリミッタで動力の遮断を行うようにしても良い。
【0058】
また、上記実施形態の圧延装置では、遮断部付圧延機が、被圧延部材16の存在を検知している状態で、遮断部付圧延機よりも一つ下流の下流隣接圧延機が、被圧延部材16の厚さが予め定められた厚さ以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したと判断した場合に、遮断部付圧延機のトルクリミッタで、動力を遮断した。
【0059】
しかしながら、この発明では、最も上流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機に下流隣接圧延機が含まれる場合や、最も下流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が、被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機に下流隣接圧延機が含まれる場合を除いて、遮断部付圧延機が、被圧延部材の存在を検知しているかいなかに拘わらず、遮断部付圧延機よりも一つ下流の下流隣接圧延機が、被圧延部材16の厚さが予め定められた厚さ以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したと判断した場合に、遮断部付圧延機のトルクリミッタで、動力を遮断するようにしても良い。
【0060】
また、この発明では、最も上流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機に遮断部付圧延機が含まれる場合や、最も下流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機に遮断部付圧延機が含まれる場合を除いて、遮断部付圧延機が、被圧延部材の厚さが予め定められた厚さ以下(被圧延部材16の厚さがない場合も含む)に変化したと判断した場合に、遮断部付圧延機のトルクリミッタで、動力を遮断するようにしても良い。
【0061】
このように、全ての圧延機が検知部を有している場合において、いずれか一つの検知部が、最も上流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が、被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機にこのいずれか一つの検知部が含まれる場合や、最も下流側の圧延機を含む連続した複数の圧延機の検知部が、被圧延部材が存在しないことを検知している時に、この連続した複数の圧延機にこのいずれか一つの検知部が含まれる場合を除いて、被圧延部材が存在しないことを検知するか、または、被圧延部材の厚さが予め定められた厚さ以下になったら、その検知部を有するトルクリミッタで動力伝達を遮断するか、または、その検知部を有する圧延機の一つ上流側の圧延機のトルクリミッタで動力伝達を遮断するようにし、かつ、圧延装置の操業を停止するようにすることもできる。尚、この場合、一つの検知部の検知のみで、トルクリミッタでの動力の遮断が判断されることは言うまでもない。
【0062】
また、上記実施形態の圧延装置では、検知部である歪みゲージ60が、被圧延部材16の厚さが、予め定められた厚さ以下である場合に、トルクリミッタ23で、動力の遮断を行うようにしたが、この発明では、検知部が、被圧延部材が存在しないと判断した場合に、トルクリミッタで、動力の遮断を行うようにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態の圧延装置では、トルクリミッタ23の液圧拡張室が、油圧拡張室52で、液圧拡張室に封入されるのが油であったが、この発明では、液圧拡張室に封入されるのは、水等、油以外の流体であっても良い。
【0064】
また、上記実施形態の圧延装置では、流体放出部が、電磁弁であったが、この発明では、流体放出部は、電動弁や、電機信号を受けた切断機がシャーバブルの端部を切断する機構等であっても良く、電動で液圧拡張室を外部に解放するアクチュエータであれば良い。
【0065】
また、上記実施形態の圧延装置では、検知部が、歪みゲージであったが、この発明では、検知部は、光学センサや、超音波センサ等であっても良く、入射波と反射波との関係により、被圧延部材の有無または厚さの値を検出する構成であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態の圧延装置では、歪みゲージ60からの信号を、無線で電磁弁54の方に送信したが、この発明では、検知部からの信号を、有線で流体放出部の方に送っても良い。
【0067】
また、上記実施形態の圧延装置では、電池を用いて電磁弁に電力を供給するようにしたが、この発明では、スリップリングを用いて流体放出部に電力を供給するようにしても良い。
【0068】
また、上記実施形態の圧延装置では、検知部である歪みゲージ60を、ロールチョック35,45に設置したが、この発明では、検知部を、軸受や、スタンドや、ロールに対して静止している任意の部分に、設置しても良い。
【0069】
また、上記実施形態の圧延装置では、制御部61が、各圧延機11に一つずつ存在していたが、この発明では、制御部は、一つしか存在しなくても良い。そして、全ての検知部からの信号が、その唯一の制御部に送られるようになっていても良い。
【0070】
また、上記実施形態の圧延装置では、検知部である歪みゲージを、全ての圧延機11に設置したが、この発明では、検知部を、一以上の特定の圧延機のみに設置し、検知部を有さない圧延機が存在していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態の圧延装置において複数の圧延機の配置構成を示す模式図である。
【図2】各圧延機の構成の一部を示す模式図である。
【図3】各圧延機における第1ロールおよび第2ロール周辺の部分を示す模式図である。
【図4】トルクリミッタの構造の模式図である。
【図5】トルクリミッタの動力の遮断の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
11 圧延機
12 第1ロール
13 第2ロール
16 被圧延部材
23 トルクリミッタ
24 駆動軸
25 第1ロールスタンド
27 第2ロールスタンド
32 第1複列円筒ころ軸受
33 第2複列円筒ころ軸受
34 第1ロールの第1チョック
35 第1ロールの第2チョック
42 第1複列円筒ころ軸受
43 第2複列円筒ころ軸受
44 第2ロールの第1チョック
45 第2ロールの第2チョック
54 電磁弁
55 ワイヤレス受信機
60 歪みゲージ
61 制御部
62 メモリ
63 演算部
66 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機と、
上記遮断部付圧延機に上記被圧延部材の移動方向の下流側に隣接して位置する下流隣接圧延機と
を含み、
上記遮断部付圧延機および上記下流隣接圧延機の夫々は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴とする圧延装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧延装置において、
上記下流隣接圧延機は、その下流隣接圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記下流隣接圧延機の駆動軸から上記下流隣接圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記下流隣接圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力することを特徴とする圧延装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧延装置において、
上記複数の圧延機は、上記動力遮断圧延機よりも上記被圧延部材の移動方向の上流側に位置する一以上の上流側圧延機を含み、
上記各上流側圧延機は、その上流側圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記各上流側圧延機の駆動軸から上記各上流側圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、全ての上記上流側圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力することを特徴とする圧延装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の圧延装置において、
上記複数の圧延機は、上記下流隣接圧延機より上記下流側に位置する一以上の下流側圧延機を含み、
上記各下流側圧延機は、その下流側圧延機の駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号によって、流体拡張室内の流体を外部に排出することにより上記各下流側圧延機の駆動軸から上記各下流側圧延機の第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有し、
上記制御部は、上記遮断部付圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されたことを示す信号を受け、かつ、上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、全ての上記下流側圧延機の上記トルクリミッタの上記流体放出部に、流体を外部に放出する信号を出力することを特徴とする圧延装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の圧延装置において、
上記複数の圧延機の夫々は、
上記第1ロールの軸方向の一端部を第1軸受を介して支持する第1チョックと、
上記第1ロールの軸方向の他端部を第2軸受を介して支持する第2チョックと、
上記第2ロールの軸方向の一端部を第3軸受を介して支持する第3チョックと、
上記第2ロールの軸方向の他端部を第4軸受を介して支持する第4チョックと
を有し、
上記第1軸受乃至第4軸受のうちの少なくとも一つは、転がり軸受であり、
上記検知部は、上記第1チョック乃至第4チョックのうちの一つに配置されていることを特徴とする圧延装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の圧延装置において、
上記制御部は、演算部と、無線送信部とを有し、
上記遮断部付圧延機の上記流体放出部は、電磁弁または電動弁であり、
上記検知部は、上記演算部に信号を出力するようになっており、
上記演算部は、上記検知部からの信号と、予め定められた信号とに基づいて、上記電磁弁または上記電動弁を開状態にする信号を、上記無線送信部を通じて上記電子弁または上記電動弁に出力することを特徴とする圧延装置。
【請求項7】
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機と、
上記遮断部付圧延機に上記被圧延部材の移動方向の下流側に隣接して位置する下流隣接圧延機と
を含み、
上記下流隣接圧延機は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記下流隣接圧延機の上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記遮断部付圧延機の上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴とする圧延装置。
【請求項8】
被圧延部材の移動方向に間隔をおいて配置される複数の圧延機を備え、
上記各圧延機は、
上記被圧延部材を挟圧する第1ロールおよび第2ロールと、
上記第1ロールに駆動軸を介して回転力を付与する駆動装置と
を有し、
上記複数の圧延機は、
上記駆動軸に接続されると共に、電気的な指令信号に基づいて流体拡張室内の流体を外部に排出することにより、上記駆動軸から上記第1ロールへの回転動力の伝達を遮断する流体放出部を有するトルクリミッタを有する遮断部付圧延機を含み、
上記遮断部付圧延機は、
上記第1ロールと上記第2ロールとの間を通過する上記被圧延部材の有無または厚さを検知する検知部を有し、
上記検知部から上記被圧延部材が検知されなかったことを表す信号を受けるか、または、上記被圧延部材の厚さがあらかじめ定められた厚さ以下になったことを表す信号を受けた場合、上記流体放出部に上記流体を外部に放出することを表す信号を出力する制御部を備えることを特徴とする圧延装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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