圧接コネクタの防水構造
【課題】 組立て作業性が良く、生産性の向上及びコストの低減を図ることが可能な圧接コネクタの防水構造の提供。
【解決手段】 端子収容室33が複数並設されたケース本体27と、ケース本体27に一体的に設けられ被覆電線Wを水密状態で貫通する電線挿通孔41が複数形成された弾性防水部29とを備えたケース23を、コネクタハウジング25の開口部43から挿入し、開口部43に弾性防水部29を水密状態で嵌着する構成としたので、電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分を所定の長さに調節しておけば、圧接接続の際にさらに位置決めする必要がなく、また、弾性防水部29をケース本体27に一体的に設けたので、弾性防水部29を開口部43の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子31と被覆電線Wとの圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【解決手段】 端子収容室33が複数並設されたケース本体27と、ケース本体27に一体的に設けられ被覆電線Wを水密状態で貫通する電線挿通孔41が複数形成された弾性防水部29とを備えたケース23を、コネクタハウジング25の開口部43から挿入し、開口部43に弾性防水部29を水密状態で嵌着する構成としたので、電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分を所定の長さに調節しておけば、圧接接続の際にさらに位置決めする必要がなく、また、弾性防水部29をケース本体27に一体的に設けたので、弾性防水部29を開口部43の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子31と被覆電線Wとの圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤハーネスなどの接続に使用される圧接コネクタの防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図13及び図14は、従来のこの種の圧接コネクタの防水構造を示す斜視図である(実開平4−49480号公報参照)。
【0003】図13に示すように、圧接コネクタ1は、圧接端子3を並列に収容したコネクタケース5と、電線シール孔7を並列に貫設した板体状の単数の一括ゴム栓9と、コネクタケース5に覆着するコネクタカバー11とを備え、一括ゴム栓9の電線シール孔7は、圧接端子3に圧接接続する被覆電線Wを個別に挿通して圧着シールする。被覆電線Wと圧接接続した圧接コネクタ1は、図14に示すように、一面開口他面密閉の箱型の収納ケース13に収納され、一括ゴム栓9の外周が収納ケース13の開口部15周縁に嵌着される。
【0004】係る構造によれば、圧接端子3と被覆電線Wとの圧接部分を含むコネクタ主要部が一面開口型の収納ケース13に収納され、その収納ケース13の開口部15が一括ゴム栓9によって水密状となるので、コネクタ主要部を十分に防水することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、係る従来の防水構造では、一括ゴム栓9の電線シール孔7に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節し、さらに、被覆電線Wを圧接端子3に圧接接続する際に、収納ケース13の深さに合せて両者の位置決めを行う必要がある。
【0006】また、圧接端子3に被覆電線Wを圧接接続した後は、被覆電線Wを介して一括ゴム栓9が収納ケース13に支持された状態となり、係る状態の一括ゴム栓9を収納ケース13の開口部15に覆着させるため、一括ゴム栓9を押圧する際に圧接端子3と被覆電線Wとの圧接部分に負荷がかかり、両者の導通状態を損ねてしまう恐れがあり、一括ゴム栓9を覆着する作業を慎重に行う必要がある。
【0007】このため、圧接コネクタ1の組立て作業が煩雑となり、生産性の低下やコストの上昇が否めなかった。
【0008】本発明は、上記事情を考慮し、組立て作業性が良好であり、生産性の向上及びコストの低減を図ることが可能な圧接コネクタの防水構造の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、被覆電線が圧接接続される複数の圧接端子を収容する端子収容室が複数並設されたケース本体と、該ケース本体の一端側に一体的に設けられ前記被覆電線を水密状態で貫通する複数の電線挿通孔が前記各端子収容室の一端側に形成された弾性防水部とを備えたケースの他端側を、コネクタハウジングの開口部から挿入し、該コネクタハウジング内に前記ケース本体を収容すると共に、前記コネクタハウジングの開口部に前記弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着したことを特徴とするものである。
【0010】請求項1に記載の発明では、圧接コネクタを組立てる場合、まず、ケース本体の各端子収容室にそれぞれ圧接端子を収容し、弾性防水部の各電線挿通孔に被覆電線を挿通する。これにより、被覆電線は電線挿通孔を水密状態で貫通した状態となる。
【0011】次に、挿通した被覆電線を押圧し、圧接端子に被覆電線を圧接接続した後、ケースの他端側をコネクタハウジングの開口部に挿入し、ケース本体をコネクタハウジング内に収容すると共に、開口部に弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着させる。
【0012】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1は本実施の形態に係る圧接コネクタの防水構造を示す分解斜視図、図2はケースと圧接端子を示す斜視図、図3はケースに圧接端子を収容した状態を示す斜視図、図4は弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通した状態を示す斜視図、図5は被覆電線を圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図、図6はケースとコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【0014】図1に示す圧接コネクタ21は雄型コネクタであり、ケース23とコネクタハウジング25とを備えている。ケース23は、硬質樹脂材からなるケース本体27と、ゴム材からなる弾性防水部29とから構成されている。
【0015】図2及び図3に示すように、ケース本体27には、複数の圧接端子31を収容する端子収容室33が上下に複数並設されている。この圧接端子31は雄型端子であり、被覆電線W(図1参照)の被覆部を加締める加締め片35と、被覆電線Wが圧接接続されるスロット37と、相手端子と接続される雄接続部39とを有している。
【0016】弾性防水部29は、略楕円板体状に形成され、ケース本体27の一端側に一体的に設けられている。弾性防水部29をケース本体27と一体的に設ける方法としては、まずケース本体27を射出成形により形成した後、金型内にケース本体27を装着して弾性防水部29を射出成形する方法や、ケース本体27と弾性防水部29とを別体に成形し、両者を接着する方法等が用いられる。図4及び図5に示すように、弾性防水部29には、被覆電線Wを水密状態で貫通する複数の電線挿通孔41が上下二段に並設されている。各電線挿通孔41は、ケース本体27の各端子収容室33の一端側に、端子収容室33ほぼ同高さ形成されており、電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは、上方又は下方に曲折して圧接端子31に載置された後(図4参照)、圧接端子31に圧接接続される(図5参照)。
【0017】図6に示すように、雄型のコネクタハウジング25には、一端側に開口部43を有するケース収容部45が設けられ、開口部43は、弾性防水部29の周縁が水密状態で嵌着されるように略楕円状に形成されている。開口部43には圧接端子31の雄接続部39が突出したケース23の他端側が挿入され、これにより、ケース収容部45にケース本体27が収容されると共に、開口部43に弾性防水部29の周縁が水密状態で嵌着される。
【0018】そして、係る雄型の圧接コネクタ21は、雌型の圧接コネクタ47と嵌合して導通接続する。
【0019】図7及び図8は、雌型の圧接コネクタのコネクタハウジングに収容されるケースと雌型の圧接端子とを示す斜視図であり、同図に示すように、雌型の圧接コネクタ47の場合、雄型の場合と同様の形状を有するケース23を使用し、このケース23の端子収容室33に、前記雄型の圧接端子31に代えて雌型の圧接端子51を収容する。雌型の圧接端子51は、被覆電線Wの被覆部を加締める加締め片53と、被覆電線Wが圧接接続されるスロット55と、雄型の圧接端子31の雄接続部39が挿入接続される雌接続部57とを有している。電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは、図4と同様に、上方又は下方に曲折して圧接端子51に載置された後、圧接端子51に圧接接続される(図8参照)。
【0020】なお、電線挿通孔41と端子収容室33とを同高さに設けず、図9〜図12に示すように、電線挿通孔41を端子収容室33の上方又は下方にずらして設けることもできる。この場合、電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは曲折させる必要がなく直線状とすることができるので(図11参照)、被覆電線Wの挿通作業を容易に行うことができる。また、図1〜図5に示す雄型の圧接コネクタ21の場合についても同様である。
【0021】次に、作用を説明する。図9〜図12は、雌型の圧接コネクタ47の組立て工程の概略を示す断面図である。
【0022】雌型の圧接コネクタ47を組立てる場合、まず図9に示すように、ケース本体27の各端子収容室33にそれぞれ雌型の圧接端子51を上下方向から収容する。収容された圧接端子51は、図10に示すように、ケース本体27に設けられた端子係合部59と係合し、端子収容室33からの離脱が阻止される。
【0023】次に、弾性防水部29の各電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通し、図11に示すように、被覆電線Wの先端部を圧接端子51の加締め片53及びスロット55の上方又は下方に位置させる。これにより、被覆電線Wは電線挿通孔41を水密状態で貫通した状態となる。
【0024】次に、図12に示すように、挿通した被覆電線Wを圧接加締め治具61によっれ上下方向から押圧し、加締め片53を加締めて圧接端子51を被覆電線Wに機械的に固着させると共に、スロット55に被覆電線Wを圧接接続し両者を導通させる。
【0025】そして、ケース23を、コネクタハウジング49の開口部63に、圧接端子51の雌接続部57が露出した他端側から挿入し、ケース本体27をケース収容部65に収容すると共に、開口部63に弾性防水部29の周縁を水密状態で嵌着させる。収容されたケース本体27は、コネクタハウジング49に設けられたケース係合部67と係合し、ケース収容部65からの離脱が阻止された状態となり、雌型の圧接コネクタ47が組上がる。係る状態において、被覆電線Wと電線挿通孔41との間、及び開口部63と弾性防水部29との間は、共に水密状態となるので、圧接端子51と被覆電線Wとの圧接部分を含むコネクタ主要部が十分に防水される。
【0026】このように、本実施の形態によれば、弾性防水部29の電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節し、被覆電線Wの先端部が圧接端子51の加締め片53及びスロット55の上方又は下方に位置させておけば、電線挿通孔41によって被覆電線Wの先端部が係る所定位置に保持され、圧接接続の際に、被覆電線Wを圧接端子51に対してさらに位置決めする必要がない。
【0027】また、弾性防水部29はケース本体27に一体的に設けられてるので、圧接端子51に被覆電線Wを圧接接続した後、弾性防水部29をコネクタハウジング49の開口部63に覆着させるため弾性防水部29を開口部63の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子51と被覆電線Wとの圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【0028】従って、圧接コネクタ47の組立て作業を容易に行うことができ、生産性の向上及びコストの低減を図ることができる。
【0029】なお、雄型の圧接コネクタ21の場合も、雌型と同様の工程に従って組立てられ、雌型と同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節しておけば、圧接接続の際に、被覆電線を圧接端子に対してさらに位置決めする必要がなく、また、弾性防水部はケース本体に一体的に設けられてるので、圧接端子に被覆電線を圧接接続した後、弾性防水部をコネクタハウジングの開口部に覆着させるため弾性防水部を開口部の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子と被覆電線との圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【0031】従って、圧接コネクタの組立て作業を容易に行うことができ、生産性の向上及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る圧接コネクタの防水構造を示す分解斜視図である。
【図2】ケースと圧接端子を示す斜視図である。
【図3】ケースに圧接端子を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通した状態を示す斜視図である。
【図5】被覆電線を圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図である。
【図6】ケースとコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【図7】雌型の圧接コネクタのコネクタハウジングに収容されるケースと雌型の圧接端子とを示す斜視図である。
【図8】被覆電線を雌型の圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図である。
【図9】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図10】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図11】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図12】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図13】従来例を示す分解斜視図である。
【図14】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
21 圧接コネクタ(雄型)
23 ケース
25 コネクタハウジング(雄型)
27 ケース本体
29 弾性防水部
31 圧接端子(雄型)
33 端子収容室
41 電線挿通孔
43 開口部
47 圧接コネクタ(雌型)
49 コネクタハウジング(雌型)
51 圧接端子(雌型)
W 被覆電線
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤハーネスなどの接続に使用される圧接コネクタの防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図13及び図14は、従来のこの種の圧接コネクタの防水構造を示す斜視図である(実開平4−49480号公報参照)。
【0003】図13に示すように、圧接コネクタ1は、圧接端子3を並列に収容したコネクタケース5と、電線シール孔7を並列に貫設した板体状の単数の一括ゴム栓9と、コネクタケース5に覆着するコネクタカバー11とを備え、一括ゴム栓9の電線シール孔7は、圧接端子3に圧接接続する被覆電線Wを個別に挿通して圧着シールする。被覆電線Wと圧接接続した圧接コネクタ1は、図14に示すように、一面開口他面密閉の箱型の収納ケース13に収納され、一括ゴム栓9の外周が収納ケース13の開口部15周縁に嵌着される。
【0004】係る構造によれば、圧接端子3と被覆電線Wとの圧接部分を含むコネクタ主要部が一面開口型の収納ケース13に収納され、その収納ケース13の開口部15が一括ゴム栓9によって水密状となるので、コネクタ主要部を十分に防水することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、係る従来の防水構造では、一括ゴム栓9の電線シール孔7に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節し、さらに、被覆電線Wを圧接端子3に圧接接続する際に、収納ケース13の深さに合せて両者の位置決めを行う必要がある。
【0006】また、圧接端子3に被覆電線Wを圧接接続した後は、被覆電線Wを介して一括ゴム栓9が収納ケース13に支持された状態となり、係る状態の一括ゴム栓9を収納ケース13の開口部15に覆着させるため、一括ゴム栓9を押圧する際に圧接端子3と被覆電線Wとの圧接部分に負荷がかかり、両者の導通状態を損ねてしまう恐れがあり、一括ゴム栓9を覆着する作業を慎重に行う必要がある。
【0007】このため、圧接コネクタ1の組立て作業が煩雑となり、生産性の低下やコストの上昇が否めなかった。
【0008】本発明は、上記事情を考慮し、組立て作業性が良好であり、生産性の向上及びコストの低減を図ることが可能な圧接コネクタの防水構造の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、被覆電線が圧接接続される複数の圧接端子を収容する端子収容室が複数並設されたケース本体と、該ケース本体の一端側に一体的に設けられ前記被覆電線を水密状態で貫通する複数の電線挿通孔が前記各端子収容室の一端側に形成された弾性防水部とを備えたケースの他端側を、コネクタハウジングの開口部から挿入し、該コネクタハウジング内に前記ケース本体を収容すると共に、前記コネクタハウジングの開口部に前記弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着したことを特徴とするものである。
【0010】請求項1に記載の発明では、圧接コネクタを組立てる場合、まず、ケース本体の各端子収容室にそれぞれ圧接端子を収容し、弾性防水部の各電線挿通孔に被覆電線を挿通する。これにより、被覆電線は電線挿通孔を水密状態で貫通した状態となる。
【0011】次に、挿通した被覆電線を押圧し、圧接端子に被覆電線を圧接接続した後、ケースの他端側をコネクタハウジングの開口部に挿入し、ケース本体をコネクタハウジング内に収容すると共に、開口部に弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着させる。
【0012】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】図1は本実施の形態に係る圧接コネクタの防水構造を示す分解斜視図、図2はケースと圧接端子を示す斜視図、図3はケースに圧接端子を収容した状態を示す斜視図、図4は弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通した状態を示す斜視図、図5は被覆電線を圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図、図6はケースとコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【0014】図1に示す圧接コネクタ21は雄型コネクタであり、ケース23とコネクタハウジング25とを備えている。ケース23は、硬質樹脂材からなるケース本体27と、ゴム材からなる弾性防水部29とから構成されている。
【0015】図2及び図3に示すように、ケース本体27には、複数の圧接端子31を収容する端子収容室33が上下に複数並設されている。この圧接端子31は雄型端子であり、被覆電線W(図1参照)の被覆部を加締める加締め片35と、被覆電線Wが圧接接続されるスロット37と、相手端子と接続される雄接続部39とを有している。
【0016】弾性防水部29は、略楕円板体状に形成され、ケース本体27の一端側に一体的に設けられている。弾性防水部29をケース本体27と一体的に設ける方法としては、まずケース本体27を射出成形により形成した後、金型内にケース本体27を装着して弾性防水部29を射出成形する方法や、ケース本体27と弾性防水部29とを別体に成形し、両者を接着する方法等が用いられる。図4及び図5に示すように、弾性防水部29には、被覆電線Wを水密状態で貫通する複数の電線挿通孔41が上下二段に並設されている。各電線挿通孔41は、ケース本体27の各端子収容室33の一端側に、端子収容室33ほぼ同高さ形成されており、電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは、上方又は下方に曲折して圧接端子31に載置された後(図4参照)、圧接端子31に圧接接続される(図5参照)。
【0017】図6に示すように、雄型のコネクタハウジング25には、一端側に開口部43を有するケース収容部45が設けられ、開口部43は、弾性防水部29の周縁が水密状態で嵌着されるように略楕円状に形成されている。開口部43には圧接端子31の雄接続部39が突出したケース23の他端側が挿入され、これにより、ケース収容部45にケース本体27が収容されると共に、開口部43に弾性防水部29の周縁が水密状態で嵌着される。
【0018】そして、係る雄型の圧接コネクタ21は、雌型の圧接コネクタ47と嵌合して導通接続する。
【0019】図7及び図8は、雌型の圧接コネクタのコネクタハウジングに収容されるケースと雌型の圧接端子とを示す斜視図であり、同図に示すように、雌型の圧接コネクタ47の場合、雄型の場合と同様の形状を有するケース23を使用し、このケース23の端子収容室33に、前記雄型の圧接端子31に代えて雌型の圧接端子51を収容する。雌型の圧接端子51は、被覆電線Wの被覆部を加締める加締め片53と、被覆電線Wが圧接接続されるスロット55と、雄型の圧接端子31の雄接続部39が挿入接続される雌接続部57とを有している。電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは、図4と同様に、上方又は下方に曲折して圧接端子51に載置された後、圧接端子51に圧接接続される(図8参照)。
【0020】なお、電線挿通孔41と端子収容室33とを同高さに設けず、図9〜図12に示すように、電線挿通孔41を端子収容室33の上方又は下方にずらして設けることもできる。この場合、電線挿通孔41を挿通した被覆電線Wは曲折させる必要がなく直線状とすることができるので(図11参照)、被覆電線Wの挿通作業を容易に行うことができる。また、図1〜図5に示す雄型の圧接コネクタ21の場合についても同様である。
【0021】次に、作用を説明する。図9〜図12は、雌型の圧接コネクタ47の組立て工程の概略を示す断面図である。
【0022】雌型の圧接コネクタ47を組立てる場合、まず図9に示すように、ケース本体27の各端子収容室33にそれぞれ雌型の圧接端子51を上下方向から収容する。収容された圧接端子51は、図10に示すように、ケース本体27に設けられた端子係合部59と係合し、端子収容室33からの離脱が阻止される。
【0023】次に、弾性防水部29の各電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通し、図11に示すように、被覆電線Wの先端部を圧接端子51の加締め片53及びスロット55の上方又は下方に位置させる。これにより、被覆電線Wは電線挿通孔41を水密状態で貫通した状態となる。
【0024】次に、図12に示すように、挿通した被覆電線Wを圧接加締め治具61によっれ上下方向から押圧し、加締め片53を加締めて圧接端子51を被覆電線Wに機械的に固着させると共に、スロット55に被覆電線Wを圧接接続し両者を導通させる。
【0025】そして、ケース23を、コネクタハウジング49の開口部63に、圧接端子51の雌接続部57が露出した他端側から挿入し、ケース本体27をケース収容部65に収容すると共に、開口部63に弾性防水部29の周縁を水密状態で嵌着させる。収容されたケース本体27は、コネクタハウジング49に設けられたケース係合部67と係合し、ケース収容部65からの離脱が阻止された状態となり、雌型の圧接コネクタ47が組上がる。係る状態において、被覆電線Wと電線挿通孔41との間、及び開口部63と弾性防水部29との間は、共に水密状態となるので、圧接端子51と被覆電線Wとの圧接部分を含むコネクタ主要部が十分に防水される。
【0026】このように、本実施の形態によれば、弾性防水部29の電線挿通孔41に被覆電線Wを挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節し、被覆電線Wの先端部が圧接端子51の加締め片53及びスロット55の上方又は下方に位置させておけば、電線挿通孔41によって被覆電線Wの先端部が係る所定位置に保持され、圧接接続の際に、被覆電線Wを圧接端子51に対してさらに位置決めする必要がない。
【0027】また、弾性防水部29はケース本体27に一体的に設けられてるので、圧接端子51に被覆電線Wを圧接接続した後、弾性防水部29をコネクタハウジング49の開口部63に覆着させるため弾性防水部29を開口部63の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子51と被覆電線Wとの圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【0028】従って、圧接コネクタ47の組立て作業を容易に行うことができ、生産性の向上及びコストの低減を図ることができる。
【0029】なお、雄型の圧接コネクタ21の場合も、雌型と同様の工程に従って組立てられ、雌型と同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通させる際に、その突出分が所定の長さとなるように調節しておけば、圧接接続の際に、被覆電線を圧接端子に対してさらに位置決めする必要がなく、また、弾性防水部はケース本体に一体的に設けられてるので、圧接端子に被覆電線を圧接接続した後、弾性防水部をコネクタハウジングの開口部に覆着させるため弾性防水部を開口部の内側へ強く押圧しても、係る押圧力が圧接端子と被覆電線との圧接部分に作用し難く、両者の導通状態を損ねてしまうことがない。
【0031】従って、圧接コネクタの組立て作業を容易に行うことができ、生産性の向上及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る圧接コネクタの防水構造を示す分解斜視図である。
【図2】ケースと圧接端子を示す斜視図である。
【図3】ケースに圧接端子を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】弾性防水部の電線挿通孔に被覆電線を挿通した状態を示す斜視図である。
【図5】被覆電線を圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図である。
【図6】ケースとコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【図7】雌型の圧接コネクタのコネクタハウジングに収容されるケースと雌型の圧接端子とを示す斜視図である。
【図8】被覆電線を雌型の圧接端子に圧接接続した状態を示す斜視図である。
【図9】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図10】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図11】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図12】雌型の圧接コネクタの組立て工程の概略を示す断面図である。
【図13】従来例を示す分解斜視図である。
【図14】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
21 圧接コネクタ(雄型)
23 ケース
25 コネクタハウジング(雄型)
27 ケース本体
29 弾性防水部
31 圧接端子(雄型)
33 端子収容室
41 電線挿通孔
43 開口部
47 圧接コネクタ(雌型)
49 コネクタハウジング(雌型)
51 圧接端子(雌型)
W 被覆電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被覆電線が圧接接続される複数の圧接端子を収容する端子収容室が複数並設されたケース本体と、該ケース本体の一端側に一体的に設けられ前記被覆電線を水密状態で貫通する複数の電線挿通孔が前記各端子収容室の一端側に形成された弾性防水部とを備えたケースの他端側を、コネクタハウジングの開口部から挿入し、該コネクタハウジング内に前記ケース本体を収容すると共に、前記コネクタハウジングの開口部に前記弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着したことを特徴とする圧接コネクタの防水構造。
【請求項1】 被覆電線が圧接接続される複数の圧接端子を収容する端子収容室が複数並設されたケース本体と、該ケース本体の一端側に一体的に設けられ前記被覆電線を水密状態で貫通する複数の電線挿通孔が前記各端子収容室の一端側に形成された弾性防水部とを備えたケースの他端側を、コネクタハウジングの開口部から挿入し、該コネクタハウジング内に前記ケース本体を収容すると共に、前記コネクタハウジングの開口部に前記弾性防水部の周縁を水密状態で嵌着したことを特徴とする圧接コネクタの防水構造。
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開平9−92384
【公開日】平成9年(1997)4月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−246126
【出願日】平成7年(1995)9月25日
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【公開日】平成9年(1997)4月4日
【国際特許分類】
【出願日】平成7年(1995)9月25日
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
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