説明

圧着ハガキ及びその製造方法

【課題】新規な圧着ハガキを提供する。
【解決手段】郵便ハガキとして使用する圧着ハガキの製造方法は、縦方向に第1及び第2のシートが連続し、且つ横方向に第2及び第3のシートが連続するL字形の用紙を用意し、第1シートと第2のシートの間を山折りし、第2シートと第3のシートの間を谷折りし、第1シートと第2のシートの間を右端部に沿って糊付けし、第1シートと第2のシートの間並びに第2シートと第3のシートの間を、UVニスを用いて圧着し、上端部、左端部及び下端部に沿って断裁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着ハガキ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイレクトメール(DM)広告の利用は、非常な勢いで増加している。例えば、情報紙面同士が圧着されたシークレット葉書(圧着ハガキ)は、その典型例である。その理由は、2つ折り、3つ折りの紙面構成による情報エリアが大きく、情報の機密性に優れ、配送先での開封率が高く、配送コスト面では官製ハガキと等価である等が挙げられる。
【0003】
従来、DM用圧着ハガキは、フィルムや糊によって情報紙面を貼り合わせていた。その主流であったフィルムラミネートは、圧着面の光沢は極めて良好であるが、印刷紙面にフィルムをラミネートする工程は生産性に劣る。更に、DM利用後の廃棄時には、印刷用紙とフィルムを分別できず、紙の再利用等に関して省資源の面で、焼却するには環境保護の面で問題がある。
【0004】
糊を使用した圧着ハガキは、フィルムラミネート法よりは生産性が高く、廃棄時には可燃物として処理が可能である。しかし、圧着面の印刷に光沢を出す点で非常に劣り、魅力的なDMを作成することが出来ない。
【0005】
これに対して、紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着ハガキは、生産性に優れ、フィルム並みの光沢が得られ、環境にも優しく、今後のDMハガキの主流になると考えられる。
【0006】
他方で、DM利用者は、情報量に関して一層大量の情報を表示できることを望んでいる。ハガキサイズのDMでは、2つ折り、3つ折り、往復ハガキタイプと、紙面数の増加が図られている。
【0007】
ここで、本出願書類では、「紙面」はDMの印刷可能な面をいい、「紙面枚数」は印刷可能な面の枚数をいう。「シート」はDMを構成する用紙をいい、「シート枚数」は、(たとえ、ハガキサイズに切断されてなくても)ハガキサイズ換算の用紙自体の枚数をいう。従って、通常、「シート」の両面に「紙面」があり、「シート枚数」の2倍が「紙面枚数」の関係になる。
【0008】
本発明者等は、以下に説明するような種々の形式の圧着ハガキ及びその製造方法を記載した先行技術文献の存在を知らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、種々の形式の新規な圧着ハガキ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑みて、本発明に係る圧着ハガキの製造方法は、縦方向に第1及び第2のシートが連続し、且つ横方向に第2及び第3のシートが連続するL字形の用紙を用意し、第1シートと第2のシートの間を山折りし、第2シートと第3のシートの間を谷折りし、第1シートと第2のシートの間を右端部に沿って糊付けし、第1シートと第2のシートの間並びに第2シートと第3のシートの間を、UVニスを用いて圧着し、上端部、左端部及び下端部に沿って断裁する、諸工程を含む方法である。
【0011】
更に、本発明に係る圧着ハガキの製造方法は、縦方向に第3、第1及び第2のシートが連続し、且つ横方向に第2及び第4のシートが連続するL字形の用紙を用意し、第1シートと第2のシートの間を山折りし、第1シートと第3のシートの間を山折りし、第2のシートと第4のシートの間を谷折りし、第1シートと第2のシートの間、並びに第2のシートと第3のシートの間を、右端部に沿って夫々糊付けし、第1シートと第2のシートの間並びに第2シートと第3のシートの間を、UVニスを用いて圧着し、上端部、左端部及び下端部に沿って断裁する、諸工程を含む、方法である。
【0012】
更に、上記圧着ハガキの製造方法では、2個の前記L字形の用紙を組み合わせて矩形形状にして、原紙から採取するようにしてもよい。
【0013】
更に、上記圧着ハガキの製造方法では、複数個の前記矩形形状を組み合わせて更に大きなサイズの矩形形状にして、原紙から採取するようにしてもよい。
【0014】
更に、本発明に係る圧着ハガキは、ハガキサイズで3枚のシートから成り、第1のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、第2のシートと第3のシートとは、右端部で折り返されて一体に形成されている。
【0015】
更に、本発明に係る圧着ハガキは、ハガキサイズで4枚のシートから成り、第1のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、第3のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、第2のシートと第4のシートとは、右端部で折り返されて一体に形成され、第4のシートは、返信用のハガキを構成する。
【0016】
更に、上記圧着ハガキでは、第1及び第2のシート間、並びに第2及び第3のシート間は、夫々、UVニスを利用して圧着されていてもよい。
【0017】
更に、上記圧着ハガキでは、第1のシートの左端部の中央付近に切り欠きが形成され、
第2のシートの左端部の中央付近に郵便ハガキ又は往復ハガキの表示があり、該郵便ハガキの表示は、前記切り欠きのエリア内にあってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、種々の形式の新規な圧着ハガキ及びその製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、従来の4紙面タイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図1B】図1Bは、従来の6紙面タイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図1C】図1Cは、従来の往復ハガキタイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図2】図2は、郵便ハガキを説明する図であり、上段は、製本後で密着前の郵便ハガキを示し、中段は、郵便ハガキのシート構造を示し、下段は各紙面の表示内容を示している。
【図3】図3は、往復ハガキを説明する図であり、上段は、製本後で密着前の郵便ハガキを示し、中段は、往復ハガキのシート構造を示し、下段は各紙面に表示されている内容を示している。
【図4】図4は、圧着ハガキの製造方法のフローを示す図である。
【図5】図5の(A)は、郵便ハガキに関する、原紙に対するハガキ用紙の配置を示し、(B)は、その裏面である。
【図6】図6の(A)は、往復ハガキの印刷内容の概要を示し、(B)は、(A)に示す往復ハガキをそのまま透かしてみた裏面を描く図である。
【図7】図7は、この型抜きされた郵便ハガキのハガキ用紙Pを示す図である。
【図8】図8は、この型抜きされた往復ハガキのハガキ用紙Rを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る圧着ハガキ及びその製造方法の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0021】
[圧着ハガキに関する規制]
本発明者等は、圧着ハガキに関して、種々の技術開発を継続して行っている。圧着ハガキを、郵便ハガキ又は往復ハガキとして所定の料金で郵送する場合、日本郵便(郵便事業株式会社)の約款に従った形式にする必要がある。即ち、圧着ハガキは、郵便ハガキ又は往復ハガキに対して添付物が付加された物として取り扱われ、次のように規定されている。
【0022】
1.郵便ハガキに添付することができる物
(1)添付物は、薄い紙又はこれに類する物であること。添付物は、剥離可能な物であることが前提である。
【0023】
(2)添付物は、容易に剥がれないように全面を郵便ハガキ本体に密着させること。添付物が、郵便ハガキ本体からはみ出してはいけない。
【0024】
(3)全体の重量が、6グラムを超えないこと。往復ハガキの場合は、往信部及び返信部が夫々6グラムを超えないこと。
【0025】
(4)往復ハガキの場合、返信部には剥離可能な物を貼り付けることは出来ない。返信部には、返信に必要な事項しか記載できない。
【0026】
2.次のような物は、郵便ハガキとして差し出すことは出来ない。
【0027】
(1)郵便ハガキ本体と添付物との間に、分離して使用する物(例、広告を記載等)を添付した物
(2)料金支払いのための郵便切手以外の郵便切手(記念押印を受けた物を除く。)又はこれに類する物を表面に添付した物
本発明者等は、ここ数年にわたり、これら日本郵便の約款に合致し、且つ、出来るだけ大量の情報が記載できる圧着ハガキの開発を進めてきた。
【0028】
[従来の圧着ハガキ]
本実施形態に係る郵便ハガキ又は往復ハガキを構成する圧着ハガキの理解を容易にするため、最初に、従来の圧着ハガキに関して簡単に説明する。
【0029】
図1A〜図1Cは、従来の圧着ハガキの例を説明する図である。現在、一般に広く使用されている圧着ハガキは、図1Aに示す4紙面タイプ、図1Bに示す6紙面タイプ、及び図1Cに示す往復タイプ等がある。ここで、紙面番号とシート番号とを混在させると煩雑になるので、シート番号をS1,S2,…とし、紙面番号は、シート番号に続けて、表面を添字f、裏面を添字bを付して表示する。即ち、S1fは第1のシートの表面(紙面枚数でカウントすると第1紙面)、S2bは第2シートの裏面(紙面枚数は第4紙面)とする。
【0030】
上段の図1Aに示す4紙面タイプは、2つ折りの郵便ハガキを構成する圧着ハガキであり、通常ハガキの2〜3倍の情報量を掲載することができる。この4紙面タイプの圧着ハガキは、シートS1〜S2から成る。第1シート表面S1fは、宛先表示面であり、第2シート裏面S2bは、裏面であり、情報を記載する代わりに、内部紙面に記載の情報が透けて見えないように地紋(ベタや絵柄)を入れて、機密性を確保している場合が多い。図1Aの右側の2つの展開図は、左側が第1シート表面S1fの宛先表示面及び第2シート裏面S2bの地紋を表示している。
【0031】
展開図の右側紙面は、左側紙面と対応を取るため、左側紙面をそのまま透かしてみた裏面を示す図であることを注意されたい。従って、左側の第2シート裏面S2bと右側第2シート表面S2fが同じ位置に表示され、左側第1シート表面S1fと右側第1シート裏面S1bが同じ位置に表示されている。
【0032】
各紙面に所定事項が印刷された後、山折り線MFに沿って紙折りされ、シートS1とS2の間が密着されて、完成する。
【0033】
中段の図1Bに示す6紙面タイプは、3つ折りの郵便ハガキを構成する圧着ハガキであり、各種通知書等に使用されている。通常ハガキの4〜5倍の情報量が掲載できる。第1シート表面S1fは、宛先表示面であり、第3シート裏面S3bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。各紙面に所定事項が印刷された後、最初に山折り線MFで紙折りされ、次に谷折り線VFで紙折りされる。即ち、この6紙面タイプの郵便ハガキは、蛇腹状態に紙折りされた状態となっている。その後、シートS1とS2の間、並びにシートS2とS3の間が密着されて、完成する。
【0034】
下段の図1Cに示す6紙面タイプは、返信用ハガキ付きの3つ折りの往復ハガキを構成する圧着ハガキである。通常の往復ハガキ(図1Aに示すような4紙面タイプから成る。)の2倍の情報量が掲載できる。第1シート表面S1fは、往信用宛先表示面であり、第2シート裏面S2bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。第3シート表面S3fは、返信用の宛先表示面であり、第3シート裏面S3bは、返信者用の必要事項の記載面である。各紙面に所定事項が印刷された後、最初に第1の山折り線MF1で紙折りされ、次に第2の山折り線MF2で紙折りさる。この往復ハガキは、宛先表示シートS1に対して、右から第2シートS2が、左から第3シートS3が、畳み込まれた状態となっている。その後、シートS1とS2の間のみ密着されて、完成する。返信者は、第3シートS3を折り線に沿って切り取り、返信用ハガキとして使用する。
【0035】
[本実施形態に係る圧着ハガキの構成]
図2及び図3は、本実施形態に係る2種類の圧着ハガキである。
【0036】
郵便ハガキ(図2)
図2は、郵便ハガキ10を説明する図であり、上段は、製本後で密着前の郵便ハガキ10を示し、中段は、郵便ハガキ10のシート構造を示し、下段は各紙面の表示内容を示している。左側の表示内容に対して、右側の表示内容は左側の表示内容をそのまま透かしてみた裏面の内容を示す関係にある。郵便ハガキ10は、シート枚数3シートS1〜S3で、紙面数6紙面(S1f〜S3b)から成る。第1シート表面S1fは、郵便ハガキ10の宛先表示面となる。この第1シート表面S1fには、例えば、郵便番号表示枠が設けられ、郵便切手貼り付け欄に「郵便別納郵便」の表示がある。第1シート表面S1fの左端部は、上下の中央部分に切り欠き12が形成され、第2シート表面S2fの左端部の一部が顔を出すようになっており、第2シート表面S2fの切り欠き12の範囲内に「郵便ハガキ」の表示がある。第1シート裏面S1b〜第3シート裏面S3bは情報面である。なお、第3シート裏面S3bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。
【0037】
郵便ハガキ10のシート構造は、中段に示すように、第2シートS2と第3シートS3が右端部で折り返された一体物となっており、第1シートS1が、第2シートS2に対して糊付けされている。具体的には、第1シート裏面S1bの糊付け部14と第2シート表面S2fの糊付け部16との間で糊付けされている。
【0038】
郵送時には、情報面である第1シート裏面S1b〜第3シート裏面S3bに必要な情報が記載され、第1シートS1と第2シートS2の間、並びに第2シートS2と第3シートS3の間が、所定のUVニスを利用して夫々密着される。
【0039】
この郵便ハガキの特徴は、次の点にある。
【0040】
(1) 図1Bに示す従来の郵便ハガキは、開封時には、ハガキ用紙が蛇腹状態で拡げられた長方形となる。一方、図2に示す郵便ハガキ10は、各シートS1〜S3が全て右側端部で固定されたブックタイプであり、頁めくりのように展開する。郵便ハガキ10は、本出願人の有する製本技術を応用して完成したものである。
【0041】
(2) 図1Bに示す従来の郵便ハガキは、密封時には、長方形の原紙を蛇腹形式に折り畳んだ状態で形成されている。即ち、第2シートS2の右端部で第1シートS1が一体となっており、左端部で第3シートS3が一体になっている。一方、図2に示す郵便ハガキは、第1シートS2と第3シートS3が右側端部で一体であり、第1シートS1は、第2シートS2に右側端部に沿って糊付けされている。
【0042】
(3) 図2に示す郵便ハガキは、第2シート表面S2fの左側端部に沿って「郵便ハガキ」と表示されている。第1シートS1の左側端部に沿った切り欠き12を通して、第2シート表面S2fの「ハガキ本体」の表示が紙面S1fに現れることにより、第2シートS2が「ハガキ本体」と見なされる。「ハガキ本体」である第2シートS2に対して、添付物である第1シートS1が第2シート表面S2f側から全面密着され、また、添付物である第3シートS3が第3シート表面S3b側から全面密着されている。従って、日本郵便の約款に従った形式となり、所定の郵便料金で郵送することが出来る。
【0043】
往復ハガキ(図3)
図3は、往復ハガキ30を説明する図であり、同様に、上段は、製本後で密着前の往復ハガキ30を示し、中段は、往復ハガキ30のシート構造を示し、下段は各紙面に表示されている内容を示している。往復ハガキ30は、シート枚数4シートS1〜S4で、紙面数8紙面(S1f〜S4b)から成る。第1シート表面S1fは、往復ハガキ30の宛先表示面となる。この第1シート表面S1fには、例えば、郵便番号表示枠が設けられ、郵便切手貼り付け欄に「郵便別納郵便」の表示がある。第1シート表面S1fの左端部は、上下の中央部分に切り欠き32があり、第2シート表面S2fの一部が顔を出すようになっており、この第2シート表面S2fの左端部に沿って「往復ハガキ」の表示がある。第1シート裏面S1b〜第3シート裏面S3bは情報面である。なお、第3シート裏面S3bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。
【0044】
更に、第4シート表面S4fは、返信用の宛先表示面であり、上端部に沿って「郵便往復ハガキ」の表示、切手貼付部に料金受取人払及び差出有効期限、返信等の表示がある。第4シート裏面S4fは、返信人が返信に必要な情報を記載する紙面である。
【0045】
往復ハガキ30のシート構造は、中段に示すように、第2シートS2と第4シートS4が右端部で折り返された一体物となっている。第1シートS1が、第2シートS2に対して右端部に沿って糊付けされている。即ち、第1シート裏面S1bの糊付け部34と第2シート表面S2fの糊付け部35の間で糊付けされている。更に、第3シートS3が、第2シートS2と第4シートS4の間に挿入され、第2シートS2に対して右端部に沿って糊付けされている。即ち、第3シート表面S3fの糊付け部36と第2シート裏面S2bの糊受け部(図示不可)の間で糊付けされている。
【0046】
郵送時には、情報面である第1シート裏面S1b〜第3シート裏面S3bに必要な情報が記載され、第1シートS1と第2シートS2の間、並びに第2シートS2と第3シートS3の間が、所定のUVニスで夫々密着されている。第4シートS4は、上述の通り、第2シートS2に右端部で接続されている。
【0047】
この往復ハガキ30の特徴は、次の点にある。
【0048】
(1) 図1Cに示す従来の往復ハガキは、3枚のシートS1〜S3から成る。一方、図3に示す往復ハガキ30は、4枚のシートS1〜S4から成る。
【0049】
(2) 図1Cに示す従来の往復ハガキは、開封時には、第3シートS3を中央部から左側部へ展開し、第2シートS2を中央部から右側部へ展開する。一方、図3に示す往復ハガキ30は、各シートS1〜S4が全て右側端部で固定されたブックタイプに形成されているので、頁めくりのように展開する。
【0050】
(3) 図1Cに示す従来の郵便ハガキは、密封時には、長方形のハガキ用紙の左側部を中央部へ、右側部を中央部へ折りたたんで形成されている。一方、図3に示す往復ハガキ30は、第2シートS2と第4シートS4が右側端部で一体であり、第1シートS1が第2シートS2に右側端部で、第3シートS3が第2シートS2に右側端部で、夫々糊付けされている。
【0051】
(4) 図3に示す往復ハガキ30は、第2シート表面S2fの左側端部に沿って「往復ハガキ」と表示されている。第1シートS1の左側端部に沿った切り欠き32を通して、第2シート表面S2fの「往復ハガキ」の表示が紙面S1fに現れることにより、第2シートS2が「ハガキ本体」となる。「ハガキ本体」である第2シートS2に対して、添付物である第1シートS1が第2シート表面S2f側から全面密着され、また、添付物である第3シートS3が第2シート裏面S2b側から全面密着されている。
【0052】
(5) 更に、図3に示す往復ハガキ30は、第2シートS2が「ハガキ本体」あり、ハガキ本体である第2シートS2と返信用ハガキである第4シートS4とが一体となっている。このハガキ構成は、横方向2倍幅のハガキ用紙を、中央部縦線で山折りした従来の往復ハガキの構成と同じである。従って、日本郵便の約款に従った形式となり、所定の郵便料金で郵送することが出来る。
【0053】
「日本郵便の約款」は、人為的な取り決めである。しかし、人為的な取り決めである一定の条件下で、種々のハガキ構成及びその製造方法を提供することは、新規な技術の提供、技術の豊富化に寄与するものである。
【0054】
[圧着ハガキの製造方法]
図4は、圧着ハガキの製造方法のフローを示す図である。図4を参照しながら、図2の郵便ハガキ10及び図3の往復ハガキ30の製造方法に関して、夫々説明する。
【0055】
ステップS01で、ハガキ用の原紙を用意する。
【0056】
ステップS02で、原紙に、必要事項及び所望の事項が印刷される。印刷内容は、作業用の型抜き線及び最終の断裁線(仕上がり線)又はその目印である。更に、郵便ハガキ10又は往復ハガキ30に必要な内容、例えば、郵便ハガキ10では、郵便ハガキ、郵便番号表示枠、郵便別納郵便等の表示である。往復ハガキ30では、郵便往復ハガキ、往信用、郵便番号表示枠、郵便別納郵便、往信用、料金受取人払、差出有効期限、返信用等の表示がある。情報面には、ハガキ利用者からの依頼の内容、例えば、ハガキ利用者の製品又はサービスの宣伝広告、連絡事項等、返信用の宛先面の住所、会社名等が表示される。
【0057】
図5の(A)は、郵便ハガキ10に関する、原紙18に対するハガキ用紙の配置を示し、(B)は、その裏面である。ハガキ用紙の各シートS1〜S3の位置関係の対応を取るため、(B)は、(A)のシートをそのまま透かしてみた裏面を示す図となっている。原紙サイズ18は、典型的には、郵便ハガキ10では約74cm(横)×約64cm(縦)である。
【0058】
原紙18から、6通分の郵便ハガキ用紙P1〜P6が製造される。ハガキ用紙P1は、表面(A)で見ると、第1シート表面S1f、第2シート裏面S2b及び第3シート表面S3fからなる。図5(A)及び(B)を参照すると、図では詳細は省略されているが、第1シート表面S1fは、宛先表示面である。紙面S1fの左端部は、中央部分に切り欠き12の切断線が表示される。第2シート表面S2fの切断線に沿った中央部に「郵便ハガキ」の表示がされ、完成後に、切り欠き12から顔を出すようになっている。第3シート裏面S3bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。
【0059】
ハガキ用紙P2〜P6は、用紙P1と同様であるので、用紙P2〜P6の各領域の範囲を白抜き矢印で図示し、その詳細は省略する。
【0060】
ハガキ用紙P1は、全体としてL字型形状である。そのため、ハガキ用紙P1とP2を相互に組み合わせることにより、全体が矩形形状となる。更に、ハガキ用紙P1とP2の組み合わせ、ハガキ用紙P3とP4の組み合わせ及びハガキ用紙P5とP6の組み合わせを、夫々隣接して配置することにより全体が矩形形状となり、原紙18を有効に利用できる。即ち、原紙18の余剰部分を最小にすることが出来る。
【0061】
図6の(A)は、往復ハガキ30の印刷内容の概要を示し、(B)は、その(A)の裏面である。ハガキ用紙の各シートS1〜S3の位置関係の対応を取るため、(B)は、(A)に示すシートをそのまま透かしてみた図となっている。原紙サイズ38は、典型的には、往復ハガキ30では約64cm(横)×75cm(縦)である。
【0062】
原紙38から、4通分の郵便ハガキ用紙R1〜R4が製造される。ハガキ用紙R1は、表面(A)で見ると、第1シート表面S1f、第2シート裏面S2b、第3シート裏面S3b及び第4シート表面S4fからなる。図では省略されているが、第1シート表面S1fは、往信用の宛先表示面である。紙面S1fの左端部は、中央部分に切り欠き32の切断線が表示される。第2シート表面S2fの切断線に沿った中央部に「往復ハガキ」の表示がされ、完成後に、切り欠き32から顔を出すようになっている。第3シート裏面S3bは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。第4シート表面S4fは、返信用の宛先表示面であり、第4シート裏面S4bは、返信者の返信情報記載面である。
【0063】
ハガキ用紙R2〜R4は、用紙R1と同様であるので、用紙R2〜R6の各領域の範囲を白抜き矢印で図示し、その詳細は省略する。
【0064】
ハガキ用紙R1は、全体としてL字型形状である。そのため、ハガキ用紙R1とR2を相互に組み合わせることにより、全体が矩形形状となる。更に、ハガキ用紙R1とR2の組み合わせ及びハガキ用紙R3とR4の組み合わせを、夫々隣接して配置することにより、全体が矩形形状となり、原紙38を有効に利用できる。即ち、原紙38の余剰部分を最小にすることが出来る。
【0065】
再び図4を参照すると、ステップS03で、UVニスの塗工及び乾燥が行われる。紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着ハガキは生産性に優れ、美しい光沢が得られ、環境にも優しいため、今後の密着ハガキの主流になると考えられている。
【0066】
図2に示す郵便ハガキ10では、第1シートS1と第2シートS2との間並びに第2シートS2と第3シートS2との間が圧着されるため、第1シート裏面S1b、第2シート表裏両面S2f,S2b及び第3シート表面S3fに、UVニスが塗工される。図3に示す往復ハガキ30では、同様に、第1シートS1と第2シートS2との間並びに第2シートS2と第3シートS2との間が圧着されるため、第1シート裏面S1b、第2シート表裏両面S2f,S2b及び第3シート表面S3fに、UVニスが塗工される。第3シートS3と第4シートS4の間は塗工されない。
【0067】
塗工されたUVニスは、通常の紫外線を利用したUVニス乾燥装置を利用して、乾燥処理される。紫外線発生器の代表例は、水銀ランプである。
【0068】
ステップS04で、作業用型抜き線に沿って型抜きを行い、L字型用紙を作成する。図5に示すように、郵便ハガキ10では、原紙18から型抜きにより、ハガキ用紙P1〜P6が分離される。同時に、第1シートS1に切り欠き12のためのスリット12Sが形成される。
【0069】
図7は、この型抜きされた郵便ハガキ10のハガキ用紙Pを示す図である。上段(A)はハガキ用紙Pの表面を示し、下段(B)はその裏面を示している。(B)は、(A)をそのまま透かしてみた裏面を示す関係にある。図7(A)に示す破線は、紙折り線であり、MFは山折りを示し、VFは谷折りを示す。一点鎖線CDは、後工程における裁断線(仕上がり線)を示し、最終製品の外形線となる。GLは、後工程の接着材塗布の塗布箇所を示す。
【0070】
(A)に示すように、第1シート表面S1fは、宛先表示面であり、型抜き時に切り欠き用スリット12Sが形成されている。第2シート裏面S2b及び第3シート表面S3fは情報面である。(B)に示すように、第2シート表面S2fの裁断線に沿って「郵便ハガキ」の表示があり、完成後に第1シートS1の切り欠き部12を通して顔を出すようになる。第1シート裏面S1b,第2シート表面S2f及び第3シート裏面S3bは、夫々情報面である。しかし、第3シート裏面3Sbは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。
【0071】
図6に示すように、往復ハガキ30では、原紙38から型抜きによりハガキ用紙R1〜R4が形成される。同時に、第1シートS1に切り欠き32のためのスリット32Sが形成される。
【0072】
図8は、この型抜きされた往復ハガキ30のハガキ用紙Rを示す図である。上段(A)はハガキ用紙Rの表面を示し、下段(B)はその裏面を示している。(B)は、(A)をそのまま透かしてみた裏面を示す関係にある。図8(A)に示す破線は、紙折り線であり、MF1,MF2は夫々山折りを示し、VF1,VF2は夫々谷折りを示す。一点鎖線CDは、後工程における裁断線(仕上がり線)を示し、最終製品の外形線となる。GLは、後工程の接着材塗布の塗布箇所を示す。
【0073】
(A)に示すように、第1シート表面S1fは、往信用の宛先表示面であり、型抜き時に切り欠き用スリット32Sが形成されている。(B)に示すように、第2シート表面S2fの裁断線に沿って「往復ハガキ」の表示があり、完成後に第1シートS1の切り欠き部32を通して顔を出すようになる。第1シート裏面S1b、第2シート表面S2f、第2シート裏面S2b、第3シート表面S3f及び第3シート裏面S3bは、夫々情報面である。しかし、第3シート裏面3Sbは、情報面の代わりに、地紋を入れている場合が多い。
【0074】
第4シート表面S4fは、返信用の宛先表示面である。第4シート裏面S4bは、返信用の必要事項の記載面である。
【0075】
再び図4を参照すると、ステップS05で、所定の箇所に接着剤を塗布する。郵便ハガキ10の場合、図7に示す接着剤塗布箇所GLに接着材を塗布し、往復ハガキ30の場合、同様に、図8に示す接着剤塗布箇所GLに接着材を塗布する。この接着材塗布は、本出願人が特許権者である特許第4277937号「接着剤を使用した製本システム」の図8A〜8C及び関連する説明にある接着剤塗布システムを使用する。
【0076】
ステップS06で、用紙の紙折りを行う。郵便ハガキ10の場合、図7(A)を参照すると、最初に山折り箇所MFで山折りし、次に谷折り箇所VFで谷折りする。往復ハガキ30の場合、図8を参照すると、最初に第1の山折り箇所MF1で山折りし、次に第2の山折り箇所MF2で山折りし、更に谷折り箇所VFで谷折りする。この紙折り工程は、前掲特許第4277937号の図1の符号16a〜16c及び図9並びに関連する説明にある自動紙折り機を使用する。
【0077】
ステップS7で、ハガキ10,30の密着シート間の空気の追い出しが行われる。具体的には、郵便ハガキ10,往復ハガキ30を、相互に押し付けられた回転する2本のローラ間に通して、UVニスを塗工したシート間を加圧する。ハガキの綴じ側を先頭にローラ間に送ることで、加圧して圧着面から空気を追出し、シート間のエアボイドの発生を抑制する。同時に、ステップS05の接着剤塗布部の接着を完全なものとし、ステップS06の紙折り部分を加圧している。
【0078】
ステップS08で、所定のハガキサイズに断裁加工される。図7及び図8において、一点鎖線CDで示した断裁線(仕上がり線)に沿って断裁加工される。
【0079】
ステップS09で、マグネトロン及び/又はヒータを利用したUVニスの加熱処理が行われる。
【0080】
ステップS10で、ハガキシート間の圧着を行う。具体的には、郵便ハガキ10,往復ハガキ30を、相互に押し付けられた回転する2本のローラ間に通して、UVニスを塗工したシート間を圧着する。このとき、ローラを加熱して、加熱圧着としてもよい。また、ステップS07で説明したように、ハガキの右端部を先頭にローラ間に送ることで、UVニスを塗工した密着面から空気の追出しを一層確実なものとなる。
【0081】
[代替例その他]
以上、本発明に係る圧着ハガキ及びその製造方法の実施形態に関して説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態に関して、当業者が容易になしえる追加・削除・変更・改良は、本発明に含まれる。
【0082】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0083】
10:郵便ハガキ、 12,32:切り欠き、 14,16:糊付け部、 18,38:原紙、 30:往復ハガキ、
CD:断裁線,仕上がり線、 GL:接着剤塗布箇所、 f:表面、 b:裏面、P,P1〜P6:郵便ハガキの用紙、 R,R1〜R4:往復ハガキの用紙、 S:シート、 S1:第1シート、 S2:第2シート、S3:第3シート、 S4:第4シート、 MF:山折り線、 VF:谷折り線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に第1及び第2のシートが連続し、且つ横方向に第2及び第3のシートが連続するL字形の用紙を用意し、
第1シートと第2のシートの間を山折りし、第2シートと第3のシートの間を谷折りし、
第1シートと第2のシートの間を右端部に沿って糊付けし、
第1シートと第2のシートの間並びに第2シートと第3のシートの間を、UVニスを用いて圧着し、
上端部、左端部及び下端部に沿って断裁する、諸工程を含む、圧着ハガキの製造方法。
【請求項2】
縦方向に第3、第1及び第2のシートが連続し、且つ横方向に第2及び第4のシートが連続するL字形の用紙を用意し、
第1シートと第2のシートの間を山折りし、第1シートと第3のシートの間を山折りし、第2のシートと第4のシートの間を谷折りし、
第1シートと第2のシートの間、並びに第2のシートと第3のシートの間を、右端部に沿って夫々糊付けし、
第1シートと第2のシートの間並びに第2シートと第3のシートの間を、UVニスを用いて圧着し、
上端部、左端部及び下端部に沿って断裁する、諸工程を含む、圧着ハガキの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧着ハガキの製造方法において、
2個の前記L字形の用紙を組み合わせて矩形形状にして、原紙から採取する、圧着ハガキの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の圧着ハガキの製造方法において、
複数個の前記矩形形状を組み合わせて更に大きなサイズの矩形形状にして、原紙から採取する、圧着ハガキの製造方法。
【請求項5】
ハガキサイズで3枚のシートから成り、
第1のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、
第2のシートと第3のシートとは、右端部で折り返されて一体に形成されている、圧着ハガキ。
【請求項6】
ハガキサイズで4枚のシートから成り、
第1のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、
第3のシートは、第2のシートに対して右端部に沿って糊付けされ、
第2のシートと第4のシートとは、右端部で折り返されて一体に形成され、
第4のシートは、返信用のハガキを構成する、圧着ハガキ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の圧着ハガキにおいて、
第1及び第2のシート間、並びに第2及び第3のシート間は、夫々、UVニスを利用して圧着されている、圧着ハガキ。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の圧着ハガキにおいて、
第1のシートの左端部の中央付近に切り欠きが形成され、
第2のシートの左端部の中央付近に郵便ハガキ又は往復ハガキの表示があり、該郵便ハガキの表示は、前記切り欠きのエリア内にある、圧着ハガキ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235483(P2011−235483A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107231(P2010−107231)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(506308286)山陽アーチ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】