説明

圧縮及び/又は膨張装置内の伝熱を最適化する方法及び装置

空気等のガスの圧縮及び/又は膨張に使用される装置又はシステム内の伝熱を最適化するシステム、方法、及び装置が、本明細書に記載される。例えば、空気圧縮・膨脹エネルギー貯蔵システム内の伝熱を最適化するシステム、方法、及び装置が、本明細書に記載される。圧縮及び/又は膨脹装置は、伝熱要素の様々な実施形態のうちの1つ又は複数を含むことができ、伝熱要素は、空気等のガスの圧縮及び/又は膨脹に使用されるシリンダ又は圧力容器の内部に配置することができる。そのような装置は、液圧及び/又は空気圧アクチュエータを含み、シリンダ又は圧力容器内で流体(例えば、液体又はガス)を移動させることができる。伝熱要素を使用して、圧縮及び/又は膨脹プロセス中に生成された熱エネルギーを除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、「液圧作動システムの効率を最適化するシステム及び方法(System and Methods for Optimizing Efficiency of a Hydraulically Actuated System)」という名称の2009年12月24日に出願された米国仮特許出願第61/290,107号の優先権及び利益を主張するものであり、この仮特許出願を参照により本明細書に援用する。
【0002】
背景
[0002]本発明は、一般的には、空気等のガスの圧縮及び/又は膨張を行うシステム、装置、及び方法に関し、特に、ガスの圧縮及び/又は膨張中の伝熱を最適化するシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]空気等のガスの圧縮及び/又は膨張並びに/或いは水等の液体の加圧及び/又は汲み上げに使用されるいくつかの既知の装置、方法、及びシステムは、例えば、圧縮空気エネルギー貯蔵システム内で使用することができる。圧縮空気装置及びシステムによっては、液圧アクチュエータを使用して、圧力容器内で空気を移動又は圧縮することができる。例えば、アクチュエータは、液体が圧力容器内で空気を圧縮するように、圧力容器内で液体を移動させることができる。
【0004】
[0004]ガスの圧縮及び/又は膨張並びに/或いは液体の加圧及び/又は汲み上げに使用されるそのような既知の装置及びシステムは、例えば、圧縮又は膨張プロセス中にガスの温度を変更させることができる。例えば、ガスの圧縮は、熱エネルギーを潜在的な形態から感知可能な形態に変換し、それにより、ガスの温度を増大させることができる。様々な伝熱機構を使用して、圧縮プロセス中、圧縮されているガスから熱エネルギーを除去することができる。既知の装置及びシステムによっては、圧力容器内で圧縮中のガスの熱エネルギーは、ガスの圧縮に使用される液体に伝導させることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、圧縮及び/又は膨張プロセス中、ガスの圧縮及び/又は膨張に使用されるそのような装置及びシステム内でガスと液体との間での伝熱に使用される伝熱装置及び方法を改良し、且つ/又は最適化する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
[0006]空気等のガスの圧縮及び/又は膨張に使用される装置又はシステム内の伝熱を最適化するシステム、方法、及び装置が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、圧縮空気装置及び/又はシステムは、圧力容器内のガスの圧縮に使用することができる液圧アクチュエータ等のアクチュエータを含むことができる。アクチュエータは作動して、液体がシリンダ又は圧力容器内でガスを圧縮するように、圧力容器内で液体を移動させることができる。そのような圧縮/膨張装置又はシステムでは、圧縮及び/又は膨張プロセス中、熱を、空気の圧縮に使用される液体に伝導させることができる。圧縮機及び/又は膨張機プロセスは、圧縮及び/又は膨張プロセス中、ガスと液体との間での熱エネルギーの伝導に使用することができる伝熱要素を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態による圧縮及び/又は膨張システムの概略図である。
【図2A】実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図2B】図2Aの線2B−2Bに沿った図2Aの圧縮及び/又は膨張装置の断面図である。
【図3A】別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図3B】図3Aの線3B−3Bに沿った図3Aの圧縮及び/又は膨張装置の断面図である。
【図4A】別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図4B】図4Aの線4B−4Bに沿った図4Aの圧縮及び/又は膨張装置の断面図である。
【図5A】第1の構成で示される、別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図5B】第2の構成で示される、図5Aの圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面側面図である。
【図6A】第1の構成で示される、別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図6B】第2の構成で示される、図6Aの圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面側面図である。
【図7A】第1の構成で示される、別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図7B】第2の構成で示される、図7Aの圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面側面図である。
【図8】別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図9】別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図10A】第1の構成で示される、別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図10B】第2の構成で示される、図10Aの圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面側面図である。
【図11A】第1の構成で示される、別の実施形態による圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面図である。
【図11B】第2の構成で示される、図11Aの圧縮及び/又は膨張装置の一部の部分的に断面で示される側面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
[0026]空気等のガスの圧縮及び/又は膨張並びに/或いは水等の液体の加圧及び/又は汲み上げに使用されるシステム、方法、及び装置が、本明細書に記載される。そのような装置及びシステムは、例えば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システム内で使用することができる。圧縮及び/又は膨張装置及びシステムによっては、液圧アクチュエータを使用して、圧力容器内でガスを移動又は圧縮することができる。例えば、アクチュエータは、液体が圧力容器内でガスを圧縮するように、圧力容器内で液体を移動させることができる。そのような圧縮装置及びシステムは、それぞれが「圧縮及び/又は膨張装置(Compressor and/or Expander Device)」という名称の米国特許出願第12/785,086号、米国特許出願第12/785,093号、及び米国特許出願第12/785,100号(まとめて「圧縮及び/又は膨脹装置出願」と呼ばれる)に記載されており、これらの特許出願は参照により本明細書に援用される。圧縮及び/又は膨脹装置出願は、複数の段階の圧縮及び/又は膨脹を含むことができるCAESシステムを記載している。ガスを膨脹させ、且つ/又は圧縮する装置及びシステムの他の例が、Aborn等に付与された「液圧作動システムの効率を最適化するシステム及び方法(System and Methods for Optimizing efficiency of a Hydraulically Actuated System)」という名称の米国仮特許出願第61/290,107号(「Aborn出願」)に記載されており、この仮特許出願の開示を参照により本明細書に援用する。
【0009】
[0027]圧縮及び/又は膨脹装置及びシステムによっては、ピストンをシリンダ又は圧力容器内に移動可能に配置して作動させ、シリンダ又は圧力容器内の空気を圧縮することができる。そのような装置は、単一の方向に移動する場合にガスを圧縮するように構成された単動式ピストン又は両方向で移動する場合にガスを圧縮するように構成された複動式ピストンを含むことができる。そのような圧縮空気装置の例は、Ingersoll等に付与された「回転ピストンシールを有する圧縮及び/又は膨脹装置(Compressor and/or Expander Device with Rolling Piston Seal)」という名称の米国特許出願第61/420,505号に記載されており、この特許出願の開示を参照により本明細書に援用する。
【0010】
[0028]いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置及びシステムは、圧縮機のみとして使用するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の圧縮装置は、天然ガスパイプラインの圧縮機、天然ガス貯蔵圧縮機、又はガスの圧縮を必要とする他の任意の産業用途の圧縮機として使用することができる。別の例では、本明細書に記載の圧縮装置は、二酸化炭素の圧縮に使用することができる。例えば、二酸化炭素は、石油増進回収に使用されるプロセス又は炭素隔離に使用されるプロセスで圧縮することができる。
【0011】
[0029]いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置及びシステムは、膨張装置のみとして使用されるように構成することができる。例えば、本明細書に記載の膨張装置は発電に使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の膨張装置は、天然ガス伝送・分配システムに使用することができる。例えば、高圧(例えば、500psi)伝送システムと低圧(例えば、50psi)分配システムとの交点で、エネルギーを解放することができ、そこで、圧力は高圧から低圧に下げられる。本明細書に記載の膨張装置は、圧力低下を使用して発電することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の膨脹装置は、エネルギーを高圧規制から低圧規制に抑制する他のガスシステムで使用することができる。
【0012】
[0030]いくつかの実施形態では、本明細書に記載の圧縮及び/又は膨張装置は、空気分離ユニットに使用することができる。一用途例では、空気分離器において、圧縮及び/又は膨張装置をガス液化プロセスに使用することができる。例えば、空気を液化するまで圧縮することができ、空気の様々な成分を沸点の違いに基づいて分離することができる。別の用途例では、圧縮及び/又は膨張装置は、製鋼所内の同じ場所に配置された空気分離器内で使用することでき、製鋼所では、空気のその他の成分から分離された酸素が、溶鉱炉に加えられて、燃焼温度を増大させる。
【0013】
[0031]圧縮及び/又は膨張システムは、異なる様々な構成を有することができ、圧縮/膨張装置内のガス(例えば、空気)を圧縮/膨張させるために使用される1つ又は複数のアクチュエータを含むことができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、1つ又は複数のポンプシステム、例えば、システム内の様々な送水ポンプと圧力容器との間で1つ又は複数の流体を移動させるために使用することができる1つ又は複数の液圧ポンプ及び/又は空気圧ポンプ等を含むことができる。本明細書で使用される場合、「流体」は液体、ガス、蒸気、懸濁、エアロゾル、又はこれらの任意の組み合わせを意味することができる。上で参照により援用される圧縮及び/又は膨脹装置出願は、本明細書に記載のシステム及び方法を利用することができる様々なエネルギー圧縮・膨脹システムを記載している。
【0014】
[0032]本明細書に記載のように、空気等のガスの圧縮及び/又は膨脹並びに/或いは水等の液体の加圧及び/又は汲み上げに使用される装置及びシステムは、例えば、圧縮プロセス中、熱の解放及び/又は吸収を行うことができる。本明細書に記載の装置及びシステムは、圧縮プロセス中に除熱する1つ又は複数の伝熱機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素を、例えば、本明細書に援用される圧縮及び/又は膨脹装置出願並びに/或いはIngersoll出願に記載のように使用することができる。CAESシステムでの膨脹プロセス中、圧縮空気が貯蔵構造から解放され、圧縮/膨脹システムを通して膨脹する場合、源からの熱を空気に加えて、膨脹プロセス中に生じる力を増大させることができる。いくつかの実施形態では、熱源は比較的低温(例えば、例えば、約10℃〜約50℃)であることができる。
【0015】
[0033]いくつかの実施形態では、伝熱要素を圧縮/膨脹装置の圧力容器の内部に位置決めして、ガスと直接又は間接的に接触する圧力容器内の表面積量を増大させることができ、これは伝熱を向上させる。伝熱要素は、最大距離1/8インチ及び他の距離等の熱が伝熱要素に達するために空気中を移動しなければならない距離を最小化するように構成し得る。伝熱要素は、圧力容器の外側構造並びに全体的な形状及びサイズを、圧力制限及び/又は輸送サイズ制限等の他の考慮事項に向けて最適化させることが可能でありながら、圧縮中の空気と、膨張中の空気との両方に伝熱面積の増大を提供することができる(空気/液体界面面積又は空気/伝熱要素界面を通して)。いくつかの実施形態では、伝熱要素は、圧縮中のガスから解放された熱を吸収して保持し、それから後の時間に熱をガス又は液体に解放する熱コンデンサであることができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素は、圧縮中のガスから熱を吸収し、次に、圧力容器外部への伝熱に役立つ伝熱装置であることができる。
【0016】
[0034]いくつかの実施形態では、圧縮中、圧縮/膨脹装置の1つ又は複数の圧力容器内に存在する液体を介して、熱エネルギーをガスから除去して、圧縮中のガスを比較的一定の温度に保つことができる。熱エネルギーは、ガスから液体に、且つ/又は圧縮及び/又は膨脹装置から圧力容器内に配置された伝熱要素に伝えることができる。ガスが圧縮/膨脹装置に提供された後、熱エネルギーはガスから除去され、すなわち、ガスは、圧縮される際、伝熱要素がない場合よりも低温に保たれ、これは、ガスの温度を比較的一定の状態を保つ程度まで行い得る。ガスの温度は、例えば、圧縮空気貯蔵構造又は続く圧縮段階に排出されるまで、例えば、約5℃、10℃、20℃、30℃、又は所望であり得る他の温度に保つことができる。貯蔵構造に貯蔵されたガスは、貯蔵構造が自然により高い(又はより低い)温度である場合、伝導及び/又は対流による伝熱を通して自然に加熱(又は冷却)され得る。例えば、場合によっては、貯蔵構造は、圧縮ガスの貯蔵に使用される、岩塩ドームに作られた岩塩空洞等の地下構造であり得る。いくつかの実施形態では、伝熱要素は、ガスの温度が比較的一定にならないように、一定の代わりに比較的小量、例えば、5℃、10℃、20℃、30℃増大するように設計することができる。
【0017】
[0035]上述したように、膨脹プロセス中、熱をガスに追加し得る。例えば、熱は、多段階圧縮/膨脹システムの段階のうちのいくつか又はすべてで熱をガスに追加して、全体の膨脹プロセス中、ガス温度を約35℃又は他の温度等の略一定の温度に保つことができる。膨脹中のガスの全体的な温度変化は、かなりの伝熱表面、例えば、伝熱要素で一定に制限し得る。
【0018】
[0036]上述したように、熱は、圧力容器内の液体(例えば、水)により圧縮され且つ/又は膨張するガスから伝えることができ、且つ/又はそのようなガスに伝えることができる。ガス/液体界面又はガス/熱要素界面が、圧縮及び/又は膨張プロセス中に圧力容器内で移動し得、且つ/又は形状を変更させ得る。この移動及び/又は形状変更は、圧縮/膨張装置に伝熱面を提供し得、伝熱面は、圧縮及び/又は膨脹が行われる圧力容器の内部面積の形状変化に対応することができる。いくつかの実施形態では、液体により、圧縮後に圧力容器内に残っている空気容量を略なくすか、又は完全になくす(すなわち、隙間容積なし)ことができる。
【0019】
[0037]液体(水等)は、ガス(空気等)と比較して相対的に高い熱容量を有することができ、したがって、ガスから液体への熱エネルギーの伝導は、ガス温度の大幅な上昇を回避するが、液体温度の増大はわずかしか受けない。これにより、大きな温度変化からシステムを緩衝することができる。言い換えれば、この関係により、大きな温度変化に耐性を有するシステムが作られる。ガスと液体との間又は容器自体の構成要素間で伝導する熱は、1つ又は複数のプロセスを通して圧力容器から、又は圧力容器に移動し得る。いくつかの実施形態では、熱は圧縮液自体の物質移動を使用して圧力容器内外に移動することができる。他の実施形態では、熱は、圧力容器から圧縮液を除去せずに、圧縮液の内外に伝熱する熱交換方法を使用して、熱を圧力容器の内外に移動させることができる。そのような熱交換は、圧縮液、圧力容器の構成要素、伝熱要素、又はそれらの任意の組み合わせとの熱的接触であることができる。さらに、熱交換器は、物質移動を使用して、熱を圧力容器内外に移動することもできる。この伝熱の達成に使用可能な熱交換器の一種は、上で参照により援用される圧縮及び/又は膨脹装置出願及びAborn出願に記載されるヒートパイプである。したがって、圧力容器内の液体は、圧縮されたガスから(又は膨脹しガスへ)の伝熱に使用することができ、外部環境に(又は外部環境から)伝熱する熱交換器と組み合わせで機能することもできる。
【0020】
[0038]いくつかの実施形態では、圧力容器内の圧縮されたガス(空気等)から伝熱して、圧縮プロセスの効率を増大させることができる。熱は、ガスから液体に、且つ/又はガスから圧力容器内の伝熱要素に、且つ/又は圧縮液から伝えることができる。圧縮中のある量のガスからの伝熱量は、ガスからの伝熱率及び伝熱が行われる時間、すなわち、ガス圧縮が行われるサイクル時間に依存する。したがって、システムにより達成可能な所与の伝熱率の場合、システムの動作が遅いほど(すなわち、圧縮サイクル時間が長いほど)、圧縮サイクルを等温圧縮に近づけることができる。しかし、圧縮サイクル時間が遅いことは、ガス体積及び/又は質量流量が低いことにも相関する。CAESシステムの状況では、これは、低力としても等しく知られるエネルギー貯蔵率が低いことに等しい。逆に、ガス膨脹プロセスでは、システムの動作が遅いほど、膨脹ガスに伝導される熱エネルギーは大きく(所与の伝熱率の場合)、膨脹サイクルを等温膨脹に近づける近づけることができ、これは、抽出/変換されるエネルギーに対して空気質量のより効率的な消費に対応し得る。しかし、CAESシステムの状況では、結果として生成される低膨脹ガス流量は、低電力生成と同等であり得る。
【0021】
[0039]圧縮及び/又は膨張中に熱を渡す媒質として液体(例えば、水)を使用することにより(ガスと液体との接触を通して直接又は中間材料を通して間接的に)、増大した伝熱率での連続した冷却又は加熱が可能であり、熱を圧力容器内且つ/又は外に移動し得るメカニズムを提供し得る。すなわち、圧縮中、液体は、圧縮中のガスから熱を受け取り、ガスが圧縮中の間及びガスを後で圧縮するために圧力容器で受け取っている間の両方で、この熱を圧力容器から外部環境に連続して渡すことができる。同様に、圧縮/膨張装置が膨張モードで動作中の場合、膨張中及び膨張空気が圧力容器から渡される際の両方で、熱の追加を行い得る。
【0022】
[0040]いくつかの実施形態では、伝熱要素を圧力容器内に提供することができ、伝熱要素は、圧縮ガスから液体への伝熱を効率的に仲介するのに十分なガス/液体橋渡し及び十分な熱容量を提供することができる。伝熱要素は、様々な異なる構成、形状、サイズ、構造等であることができ、空気の圧縮中及び/又は圧縮サイクルの行程の終わりで、空気の単位容量又は単位質量当たりで比較的大きな表面積を提供する。伝熱要素は、空気と比較して相対的に高い容積比熱を提供する異なる様々な材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。密度、体積、及び比熱並びにこれらのパラメータが単位容量当たりでいかに挙動するかの複合効果が、特定の伝熱要素の吸収性能に寄与し得る。例えば、水及び様々な金属の両方は、特に大気空気密度で空気と比較して相対的に高い容積比熱を提供する。したがって、金属又は水が、圧縮中の空気から熱を吸収する場合、空気及び/又は水の温度上昇はごくわずかである。
【0023】
[0041]例えば、空気、水、及びステンレス鋼(使用可能な一金属例)の質量比熱値は以下であり得る。
空気:1,005J/kg−K;
水:4,183J/kg−K;及び
ステンレス鋼:502J/kg−K
【0024】
[0042]特定の材料の比熱は他の要因、例えば、材料の温度等に依存し得るため、上記値は、空気、水、及びステンレス鋼の質量比熱値の単なる一例である。単位容積当たりの材料の吸熱性能は、材料の密度及び材料の質量比熱の両方の要因である。材料の密度も材料の温度に依存し得る。空気、水、及びステンレス鋼の可能な材料密度の例は以下である。
空気:1.2kg/m(海面気圧、20℃);
水:998kg/m;及び
ステンレス鋼:8,027kg/m
【0025】
[0043]質量比熱と密度とを組み合わせることにより、空気、水、及びステンレス鋼の単位容積当たりの吸熱性能(熱容量と呼ぶこともできる)を以下のように特定することができる。
空気:1,005J/kg−K×1.2kg/m=1,206J/m−K(海面気圧、20℃);
水:4,183×998kg/m=4,174,634J/m−K;及び
ステンレス鋼:502J/kg−K×8,027kg/m=4,029,554J/m−K
【0026】
[0044]上記例では、空気は水及びステンレス鋼の両方に対して相対的に小さな容積比熱を有する。空気と金属との界面の高い吸熱性能は、空気と水との直接の吸収機構よりも程度の高い、金属を中間吸収機構(空気と水との間の)として使用する圧縮/膨脹装置を提供することができる。
【0027】
[0045]空気、水、及びステンレス鋼の密度及び比熱値は他の要因、例えば、材料の温度、圧力、及び等級等に応じて可変であるため、上述した吸熱性能(例えば、熱容量)の計算が単なる一例であることを理解されたい。例えば、空気の密度、ひいてはその熱容量は、圧力に伴っておおよそ線形的に縮小拡大するため(所与の温度で)、上記値は、10バールの圧力では10倍になり、100バールの圧力では100倍になる。同様に、空気の密度及び比熱は温度に伴っておおよそ線形的にではあるが、逆に縮小拡大する(所与の圧力で)。したがって、586K(313℃)の空気の密度及び比熱の値は、293K(20℃)での値の約半分である。しかし、本明細書に記載の圧縮/膨脹装置により生成することができる空気圧の範囲の上限であっても、空気の熱容量は、水又はステンレス鋼よりも1桁又は2桁低い。さらに、他の材料、例えば、タングステン及びチタン等を伝熱要素に使用することもできる。タングステンは、例えば、密度19,300kg/mと、比熱132J/kg−Kを有し、単位容積当たりの吸熱性能2,548,000J/m−Kを提供することができる。チタンは、例えば、密度4,510kg/mと、比熱520J/kg−Kとを有し、単位容積当たりの吸熱性能(又は熱容量)2,345,200J/m−Kを提供することができる。ステンレス鋼と同様に、密度及び比熱は、例えば、材料の温度、圧力、及び特定の等級に応じて可変である。
【0028】
[0046]金属の伝熱要素を使用する実施形態では、金属により吸収される熱は、システム内の液体(例えば、水)に伝導させることができ、液体は、上述したように、熱交換器(例えば、ヒートパイプ又は他の機構)等の他の方法により圧力容器外に移すことができる。
【0029】
[0047]図1は、実施形態による圧縮及び/又は膨脹装置(本明細書では、「圧縮/膨脹装置」とも呼ばれる)の一部を概略的に示す。圧縮/膨脹装置100は、作業チャンバ140を有する1つ又は複数の圧力容器120(本明細書では「シリンダ」とも呼ばれる)と、作業チャンバ140の容積及び/又はガスが占有し得る作業チャンバ140の容積の部分を変更する(低減してガスを圧縮し、増大してガスを膨脹させる)ことができるアクチュエータ122と、作業チャンバ140内に配置される1つ又は複数の伝熱要素124とを含むことができる。圧縮/膨脹装置100は、例えば、作業チャンバ140内で空気等のガスを圧縮又は膨脹させるために使用することができる。圧縮/膨脹装置100は、例えば、CAESシステムに使用することができる。
【0030】
[0048]圧力容器120は、作業チャンバ140と流通する1つ又は複数のガス入口/出口導管130を含むことができる。任意選択的に、圧力容器120は、作業チャンバ140と流通する1つ又は複数の液体入口/出口導管128を含むことができる。作業チャンバ140は、圧縮及び/又は膨脹サイクル中の様々な時間期間に、入口/出口導管130を介して作業チャンバ140内外に連通可能なある量のガス(例えば、空気)を含むことができ、任意選択的に、入口/出口導管128を介して作業チャンバ140内外に連通可能なある量の液体(例えば、水)を含むこともできる。圧縮/膨脹装置100は、入口/出口導管128、130及び/又は圧力容器120に結合された複数の弁(図1に示されず)を含むこともできる。弁は、作業チャンバ140との流通を動作可能に開閉するように構成することができる。そのような弁の使用例は、上で参照により援用される圧縮及び/又は膨脹装置出願により詳細に説明されている。
【0031】
[0049]アクチュエータ122は、作業チャンバ140の容積及び/又はガスが占有し得る作業チャンバの容積の部分を選択的に変更する任意の適した機構であることができる。例えば、作業チャンバ140は、シリンダと、シリンダ内で往復運動するように配置されたピストン(図1に示されず)の面とにより画定することができる。一方向でのピストンの移動は、作業チャンバ140の容積を低減し、したがって、作業チャンバ140に含まれるガスを圧縮し、その一方で、逆方向へのピストンの移動は、作業チャンバ140の容積を増大させ、したがって、作業チャンバ140に含まれるガスを膨脹させる。したがって、アクチュエータは、ピストンと、例えば、上で参照により援用されるAborn出願に記載の液圧アクチュエータ等の空気圧又は液圧アクチュエータ等の、シリンダ内のピストンを移動させるのに適した装置とであることができる。
【0032】
[0050]いくつかの実施形態では、作業チャンバは、固定容積、すなわち、固定された境界を有するチャンバにより画定される容積を有することができ、ガスが占有し得る作業チャンバ140の容積の部分は、作業チャンバ140内に液体を導入するか、又は作業チャンバ140から液体を除去することにより変更することができる。したがって、作業チャンバ140は、液体容量を含む第1の部分と、ガスを含むことができる第2の部分とを有する容積を有し、第2の部分の容積は、作業チャンバ140の全体容積から第1の部分の容積(液体の容量)を差し引いたものである。そのような実施形態では、アクチュエータ122は、液体入口/出口導管128を介して作業チャンバ140内外に液体を移動させることができる液圧アクチュエータ等の、作業チャンバ内に液体を導入し、又は作業チャンバから液体を除去するのに適した任意の装置であることができる。そのような実施形態では、アクチュエータ122は送水ポンプ(図示せず)を含むことができ、送水ポンプは、筐体(図示せず)内に配置され、1つ又は複数の液圧ポンプ(図示せず)により駆動して、作業チャンバ140内外に液体の容積を移動させることができる液圧駆動ピストン(図示せず)を駆動する。そのような液圧アクチュエータの例は、上で参照により援用される圧縮及び/又は膨脹装置出願に説明されている。
【0033】
[0051]いくつかの実施形態では、作業チャンバは、上述した技術を組み合わせるように構成することができる。すなわち、作業チャンバは、例えば、上述したシリンダ及びピストンを使用して可変容積を有することができ、ガスが占有し得る可変容積の部分は、作業チャンバ内に液体を導入し、又は作業チャンバから液体を除去することにより変更することができる。別の実施形態では、圧縮サイクルの全部又は一部を通して、一定容量の液体を可変容積作業チャンバ内に維持することができる。
【0034】
[0052]伝熱要素124は、異なる様々な構成、形状、サイズ、構造等であることができ、ガスの圧縮中又は膨脹中、単位容積又は単位質量当たりで、作業チャンバ140内でガス(例えば、空気)と接触し得る比較的広い表面積を提供する。いくつかの実施形態では、作業チャンバ140内で横方向及び縦方向において高い熱伝導性を提供可能な材料で形成することができる伝熱要素124を含むことが望ましいことがある。伝熱要素124は、異なる様々な材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。例えば、伝熱要素124は、耐腐食性を有し、いくつかの金属材料よりも軽量であり、安価な金属(例えば、ステンレス鋼)、金属ワイヤ、混成ワイヤ、炭素織物、ナノ材料、及び複合材料(例えば、炭素高分子化合物)で形成することができる。
【0035】
[0053]伝熱要素124は、作業チャンバ140内の様々な位置に配置して、圧力容器120内の伝熱を最適化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、作業チャンバ140内の、圧縮サイクルの終わり近くでガス(例えば、空気)により占有される部分の作業チャンバ140の端部付近の作業チャンバ140内に配置することができる。ガスが圧縮サイクル中に圧縮されると、ガスに対して行われる仕事により、熱エネルギーがガスに加えられる。この熱エネルギーは、連続して伝熱要素124に伝導される(主に、放射、伝熱ではなくむしろ伝導及び/又は対流により)。この伝導は、伝熱要素124なしの場合よりも低い値にガス温度を保ち、伝熱要素124の温度上昇はわずかである。
【0036】
[0054]上述したように、いくつかの実施形態では、作業チャンバ140は液体を含むことができ、且つ/又はアクチュエータ122を使用して、水等の液体を作業チャンバ内外に移動させて、作業チャンバ140内の空気等のガスを液体で圧縮することにより、ガスの含有に利用できる作業チャンバ140の部分を変更することができる。そのような実施形態では、作業チャンバ140に液体が充填される率及び伝熱要素124の伝熱性に応じて、ガス及び伝熱要素124は、熱平衡に相対的に近いか、又は遠く、したがって、圧縮サイクルのいくつか又はすべてで、作業チャンバ140内の液体を伝熱要素124に接触させて、伝熱要素124が圧縮ガスから受け取った熱エネルギーを伝熱要素124から受け取ることができる。任意選択的に、圧縮サイクルの終わりで、作業チャンバ140内に残っている任意の加圧ガスを作業チャンバ140から解放し、圧縮プロセスの次のステップ若しくは段階又は貯蔵設備に伝導させることができる。次に、液体を作業チャンバ140内に移動させ、作業チャンバにより多くの液体を導入し、且つ/又は作業チャンバの容積を低減することにより(例えば、ピストンを移動させることで)、圧縮後に作業チャンバ140から解放されたガスで占有されていた容積(この時点では、この容積は低圧のガスで満たされている)を実質的に充填することができる。次に、伝熱要素124に蓄えられた熱エネルギーを作業チャンバ140内の水に伝導させることができる(ここでも、伝導及び/又は対流伝導により)。
【0037】
[0055]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、液体が作業チャンバ140の容積のますます大きな部分を充填し、作業チャンバ140内の空気を圧縮するにつれて、空気及び水が伝熱要素124を通って、伝熱要素124に沿って、且つ/又は伝熱要素124を横切って流れることができるように、作業チャンバ140の相当な部分内に配置することができる。そのような実施形態では、伝熱要素124は、圧縮サイクルの開始から空気及び水の両方に接触することができ、サイクルが進むにつれて徐々に、空気への露出が少なくなり、水への露出が大きくなる。
【0038】
[0056]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、伝熱要素内で空間的変化する密度を有することができ、それにより、伝熱を調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、上述したように、圧力容器120の相当な部分内に配置することができ、伝熱要素124の下から上に変化する密度を有することができる。例えば、伝熱要素124の密度は、空気が圧縮サイクルの開始から圧縮サイクルの終了に向けて移動するにつれて増大することができる。換言すれば、伝熱要素124の密度は、空気が圧縮サイクルの開始時に配置される場所よりも、空気が圧縮サイクルの終了近くで配置される場所のほうが高い。密度は、伝熱要素の組成を変更することにより(すなわち、異なる密度の材料を使用して)、且つ/又は単位容積当たりの伝熱材料量を変更することにより(例えば、ロッド、管、フィラメント等の伝熱要素の離散構成要素を詰める密度を上げることにより)変更することができる。
【0039】
[0057]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、圧縮される作業チャンバ140内のガス量を最大化するように設計することができる。したがって、任意の所与のサイズの圧力容器120で圧縮可能なガス質量を増大することで、その装置の出力密度が増大する。伝熱要素124の密度(例えば、単位容積当たりの伝熱材料量)が増大するにつれて、作業チャンバ140内の圧縮すべきガスの質量に利用できる残留容積は低減する。伝熱要素124の密度増大は、圧縮中のガスから伝熱要素124への熱エネルギーの伝導を向上させるが、各圧縮サイクルで圧縮中のガスの容量は低減する。言い換えれば、伝熱要素124が占める作業チャンバ140の容積はそのまま、任意の所与の圧力容器120で圧縮可能なガスの質量を低減する。さらに、伝熱要素124のサイズ低減は、資本設備費を低減するとともに(例えば、材料を節約することにより)、操業費を低減する(例えば、アクチュエータで移動する機器の全体重量を低減することができる。したがって、いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、伝熱要素124が占める作業チャンバ140の容積を最小化して、作業チャンバ140内のガス圧縮容積を最大化しながら、伝熱要素124が、ガスの圧縮により生成される熱エネルギーの除去に十分な表面積を有するように設計することができる。いくつかの実施形態では、複数の伝導要素124は、作業チャンバ140の所与の部分内の伝熱要素124の密度を、圧縮/膨脹サイクル全体を通して変更して、伝熱面を最大化し、伝熱要素容積124を最小化することができるように、互いに対して移動可能であり得る。
【0040】
[0058]いくつかの実施形態では、作業チャンバ140に、入口導管128及び出口導管130のそれぞれを介して、又は他の導管(図示せず)を介して作業チャンバ140と連通することができる液体(例えば、水)を部分的に充填することができる。圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成される熱エネルギーをガスから伝熱要素124に、そして次に液体に伝導させることができる。次に、加熱された液体容量は、出口導管130又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して圧力容器120から排出することができる。伝熱要素124に関して上述したように、作業チャンバ140の部分を占める液体の容量は、圧縮すべきガスの質量に利用できる作業チャンバ140の残留容積を低減する。換言すれば、作業チャンバ140内の液体は、ガスの圧縮により生成される熱エネルギーを圧力容器120から除去できるようにする(すなわち、まず伝熱要素124を冷まして、熱エネルギーを液体に移し、次に、加熱された液体を圧力容器120から排出することにより)機構を提供するが、液体及び伝熱要素は両方とも、作業チャンバ140の部分を占有し、それにより、圧縮できるガスの質量を低減する。いくつかの実施形態では、作業チャンバ140内の伝熱要素及び液体容量は、圧縮される作業チャンバ140内のガス量を最大化しながら、圧縮プロセス中に生成される十分な熱エネルギー量を除去するように設計することができる。例えば、ガスを含む作業チャンバの部分に配置された伝熱要素124の密度を、圧縮サイクル全体を通して変更することができるように、互いに対して移動可能な複数の伝熱要素124を有することにより、伝熱要素124を冷ますための液体の量を低減することができる。
【0041】
[0059]いくつかの実施形態では、2つ以上の伝熱要素124を使用することができる。例えば、そのような実施形態では、同じ種類の2つ以上の伝熱要素124を使用することができ、又は異なる種類若しくは構成の伝熱要素124の組み合わせを使用することができる。さらに、所与の圧縮/膨脹装置100内で、同じ又は異なる組み合わせの伝熱要素124のうちの1つ又は複数を、そのシステムの作業チャンバ140のうちの1つ又は複数内で使用することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の伝熱要素124は、伝熱要素の密度が圧力容器120内で変わるように、作業チャンバ140内に位置決めすることができる。
【0042】
[0060]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、互いに同心に配置された複数の管状部材を含むことができる。同心管状部材は、圧縮サイクル中、空気が作業チャンバ140を通って移動する際、同心管状部材により作られる環状空間を通って流れることができるように、作業チャンバ140の内部に垂直の向き(すなわち、作業チャンバ140内に含まれる液体の表面に略垂直な向き)で配置することができる。いくつかの実施形態では、同心管状部材は、長さに沿って変化する直径を有し得る。例えば、同心管状部材は、テーパ形、砂時計形、又は何らかの他の適した形状を有することができる。
【0043】
[0061]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、束で配置され、作業チャンバ140内で垂直の向きを有する複数の細長部材(中実及び/又は管状であり得る)を含むことができる。圧縮サイクル中、空気は、圧力容器120を通って流れる際、細長部材の間又はその中を通って(例えば、管状細長部材の場合)流れることができる。いくつかの実施形態では、管状細長部材及び/又は中実細長部材は、長さに沿って変化する直径を有し得る。例えば、管状部材又は細長部材は、テーパ形、砂時計形、又は何らかの他の適した形状を有することができる。いくつかの実施形態では、細長部材の束を、細長部材の間隔に関して最適化することができ、間隔は、例えば、細長部材の長さ又は高さに沿って可変である。
【0044】
[0062]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、碁盤目状の金属プレート又は金属プレートの積層を含むことができる。プレートは、例えば、平坦又は湾曲した多孔性プレート又はメッシュスクリーンであることができる。いくつかの実施形態では、プレートは互いに摺動することができ、それにより、行程が進むにつれて空気の単位容量当たりの伝熱表面積を変更することができる。碁盤目状のプレートに基づく伝熱要素124のそのような実施形態は、より小型又はよりコンパクトな圧力容器120の実施に有価値であり得る。例えば、伝熱要素124が配置されたガス容量を低減する圧縮行程中、伝熱要素124は、碁盤目状のパックにより、体積的にコンパクトな形態あり得る。このパッキングは、圧縮行程と共に行われるように設計し得る。膨張行程中、伝熱要素124はパッキングをほどき、それにより、膨脹行程と共に体積的に膨脹し得る。プレートは、作業チャンバ140の移動する境界、例えば、ピストン面との係合により、且つ/又は作業チャンバ140内に含まれる液体により(例えば、プレートが浮揚性の場合)、且つ/又はアクチュエータにより移動又は変位させ得る。
【0045】
[0063]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は1つ又は複数の金属コイルを含むことができる。例えば、伝熱要素124は、積み重なったコイル、円錐形螺旋コイル、又はSlinky(登録商標)と同様の可撓性ヘリカルコイルの形態の構造を含むことができる。そのような実施形態は、コイル上の様々な位置間の相対移動により、伝熱要素124がサイクル(例えば、圧縮又は膨脹サイクル)を通して軸方向寸法を拡大又は縮小し、作業チャンバ140の対応する寸法の変更(例えば、作業チャンバ140の一端部を境界付けるピストンの移動に伴う)に対応しながら、より小さな囲い込み容積内で剛性設計と同じ伝熱表面積を提供することができるという点で、上述した碁盤目状のプレートの実施形態と同様の効果を有することができる。
【0046】
[0064]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、モップ又はスポンジと同様に液体を吸収可能な1つ又は複数の織物要素並びに/或いは1つ又は複数の繊維要素及び/又は構造を含むことができる。そのような伝熱要素124は、例えば、液体が作業チャンバ内に含まれる(例えば、ガスによる占有に利用できる作業チャンバ140の容積の部分を、作業チャンバ140に液体を導入し、又は作業チャンバ140から液体を除去することにより変更可能な)実施形態で使用することができる。伝熱要素は、長さに沿って液体を吸い取り、作業チャンバ内の空気と接触させることができ、且つ/又は液体との直接接触で濡れると、例えば、膜又は液滴の形態で表面に液体を保持することができる。伝熱要素124のそのような実施形態では、伝熱要素上の液体は、織物及び/又は繊維要素への伝熱できるに役立つことができるガスと液体との界面を提供する。
【0047】
[0065]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、繊維形態の材料の三次元網構造を実施することができる。そのような繊維は、空気と液体との間の熱エネルギーの素早い流れに有利に役立つ空気/液体ジオメトリを生成し得る空間的に分散したパターンで、液体又は液滴を保持し得る。繊維は、繊維構造の液体接着挙動を強化する表面処理及び/又は表面コーティング(例えば、親水性材料の)を含むこともできる。いくつかのそのような実施形態では、三次元繊維網が、液体と空気の界面(すなわち、液面)のみではなく、作業チャンバ140内のすべて又は略すべての位置で空気を処理液に密に接触させることができる。このようにして、伝熱は、空気から処理液(例えば、水)に直接行うことができる。
【0048】
[0066]いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、圧縮サイクル中、作業チャンバ140内の固定位置に略留まるという点で、静止式であり得る。いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、圧縮及び/又は膨脹サイクル中に作業チャンバ140内で移動可能であるという点で、可動式又は動的であり得る。いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、作業チャンバ140内でつぶれ、膨脹することができる。例えば、上述した積み重なった金属コイル又は積み重なった碁盤目状のプレートは、作業チャンバ140内でつぶれ、膨脹するように構成することができる。ピストンを使用して、作業チャンバ140の容積を変更する圧縮・膨脹装置を含むいくつかの実施形態では、伝熱要素124は、ピストンの行程と共に、例えば、ピストン面との係合により移動することができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、長手方向及び/又は垂直方向に移動(例えば、つぶれ、膨脹)することが可能である。いくつかの実施形態では、伝熱要素124は、半径方向に移動(例えば、つぶれ、膨脹)することが可能である。
【0049】
[0067]そして、ガスから伝熱要素124に伝導した熱エネルギーは、任意の適した手段により圧力容器120から伝導することができ、ヒートパイプ、循環流体等を含み、熱エネルギーを放散させ、他のプロセスに使用し、且つ/又は圧縮/膨脹装置で将来使用する(例えば、膨脹サイクルで)ために貯蔵することができる場所へ。追加又は代替として、ガスから伝熱要素124に伝導した熱エネルギーは、伝熱要素124から、作業チャンバ140内に含まれる流体に伝導させることができる。次に、熱エネルギーは、流体から圧力容器外部に伝導させることができる。同様の技法を使用して、圧力容器外部から伝熱要素124に伝導させ、例えば、膨脹サイクル中に、そこから作業チャンバ内のガスに伝導させることができる。
【0050】
[0068]図2A及び図2Bは、別の実施形態による圧縮/膨脹装置を示す。圧縮/膨脹装置200は、圧力容器220と、圧力容器内に含まれた作業チャンバ240と、圧力容器220に結合されたアクチュエータ222と、作業チャンバ240内部に配置された伝熱要素224とを含む。圧縮/膨脹装置200は、例えば、圧力容器220内の空気等のガスの圧縮並びに/或いは水等の液体の加圧及び/又は汲み上げに使用することができる。圧縮/膨脹装置200は、圧縮空気貯蔵システム等の圧縮・膨脹システムで使用することもできる。
【0051】
[0069]圧縮/膨脹装置200は、作業チャンバ240にそれぞれ流通し、液体を作業チャンバ240及びアクチュエータ222のそれぞれと連通させるように構成された入口導管228(「入口」とも呼ばれる)及び出口導管230(「出口」とも呼ばれる)も含む。圧縮/膨脹装置200は、それぞれが作業チャンバ240と流通する入口導管232及び出口導管234も含む。入口232はガス(例えば、空気)を作業チャンバ240内に導入するように構成され、出口234はガスを圧力容器220から除去するように構成される。圧縮/膨脹装置200は、上述したように、入口228、232及び出口230、234並びに/或いは圧力容器220に結合された複数の弁236を含むこともできる。弁は、作業チャンバ240との流通を動作可能に開閉するように構成することができる。
【0052】
[0070]アクチュエータ122に関して上述したように、アクチュエータ222は、例えば、入口228及び出口230のそれぞれを介して作業チャンバ240内外に液体を移動させる空気圧又は液圧アクチュエータであることができる。例えば、アクチュエータ222は、筐体(図示せず)内に配置された液圧駆動ピストン(図示せず)を駆動する送水ポンプ(図示せず)を含むことができ、1つ又は複数の液圧ポンプ(図示せず)を用いて駆動されて、作業チャンバ240の内外に液体を移動させることができる。例えば、液体容量は、作業チャンバ240内にある量のガスを含むことができる作業チャンバ240の容積が低減され、それにより、ガスを圧縮するように、入口228を介して作業チャンバ240内に移動することができ、ガスは出口234を介して作業チャンバ240から排出することができる。圧縮ガスが圧力容器220を出た後、ある量のガスが入口232を介して作業チャンバ240内に導入される際、出口230を介して液体を作業チャンバ240から移動させることができる。このプロセスを交互に繰り返して、液体及びガスを圧力容器内外に汲み上げることができる。
【0053】
[0071]上述したように、熱エネルギーは、圧縮サイクル中、作業チャンバ240内に含まれるガスの圧縮により生成される。この熱エネルギーのうちのいくらかは、圧縮プロセス中、作業チャンバ240内に導入された液体にガスから伝導させることができる。この熱エネルギーのうちのいくらかは、ガスから伝熱要素224に伝導することもできる。
【0054】
[0072]この実施形態では、伝熱要素224は、束に配置され、作業チャンバ240内で垂直に延びる複数の細長部材238を含む。細長部材238は一緒に、ストラップ又はバンド250を用いて結合することができ、ストラップ又はバンド250は、例えば、圧力容器220の壁にボルトで留められたブラケット又はクランプ等の適した結合機構252を用いて圧力容器220の壁に結合される。液体が入口228を介して作業チャンバ240内に流入する際、液体は、細長部材232の間を流れ、圧縮空気が出口234を出るまで、作業チャンバ240内に配置されたガス(例えば、空気)を圧縮することができる。したがって、圧縮サイクル中に生成される熱エネルギーは、ガスから液体及び/又は伝熱要素224の細長部材238に伝導させることができる。
【0055】
[0073]代替の実施形態では、細長部材238の束を、異なる結合方法を使用して圧力容器に結合することもでき、且つ/又は図2A及び図2Bに示される位置とは異なる位置に結合することもできる。いくつかの実施形態では、細長部材238は、作業チャンバ240の下面及び/又は作業チャンバ240の上面に延びるような長さを有することができる。さらに、細長部材238は、上記例では中実として示されるが、伝熱要素224が代替として、管状の(例えば、内管を有する)細長部材を含み得ることを理解されたい。そのような代替の実施形態では、空気及び液体は、細長部材の間を流れるとともに、細長部材の内管を通って流れることができる。
【0056】
[0074]図3A及び図3Bは、別の実施形態による圧縮/膨脹装置を示す。圧縮/膨脹装置300は、圧力容器320と、圧力容器320に結合されたアクチュエータ322と、圧力容器320の作業チャンバ340内に配置された伝熱要素324とを含む。
【0057】
[0075]圧縮/膨脹装置300は、作業チャンバ340にそれぞれ流通し、液体を作業チャンバ340及びアクチュエータ322のそれぞれと連通させるように構成された入口導管328及び出口導管330も含む。圧縮/膨脹装置300は、それぞれが作業チャンバ340と流通する入口導管332及び出口導管334も含む。入口332はガス(例えば、空気)を圧力容器320内に導入するように構成され、出口334はガスを圧力容器320から除去するように構成される。圧縮/膨脹装置300は、上述したように、入口328、332及び出口330、334並びに/或いは圧力容器320に結合された複数の弁336を含むこともできる。
【0058】
[0076]アクチュエータ322は、構造的にも機能的にも、アクチュエータ222と同じ又は同様であることができ、作動して、入口328及び出口330のそれぞれを介して液体を作業チャンバ340の内外に移動させることができる。
【0059】
[0077]伝熱要素324を使用して、上述したように、圧縮サイクル中、作業チャンバ340内の空気から熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素324は、三次元網又はメッシュ構造を含む。上述したように、そのような伝熱要素324は、空間的に分散したパターンで液体又は液滴を保持して、空気と液体との間での熱エネルギーの素早い流れに役立ち得る空気/液体ジオメトリを生成することができる。さらに、必ずしもではないが、この実施形態では、液体が作業チャンバ340に追加される際、伝熱要素324の密度は、液面の移動方向において変化する。例えば、この実施形態では、伝熱要素324は4つの部分342、344、346、348を含み、各部分は、作業チャンバ340の単位容積当たりで異なる密度、すなわち、異なる容積の繊維又はフィラメントを有する。圧縮サイクルの開始に近い部分342は最低密度を有し、圧縮サイクルの終了に近い部分348は最高密度を有する。部分342から部分348への密度の増大は、液面が上昇する際、ガスに露出される伝熱要素の軸方向長さの低減を補償するのに役立つ−単位長さ当たりの表面積が大きいほど、伝熱要素324の低密度部分よりも大きな熱を空気から伝熱要素324に伝導させることができる。
【0060】
[0078]図4A及び図4Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置400は、圧力容器420と、圧力容器420に結合されたアクチュエータ422とを含む。圧力容器420及びアクチュエータ422のそれぞれは、構造的にも機能的にも、圧力容器220及び320並びにアクチュエータ222及び322と同じ又は同様であることができるため、この実施形態を参照して詳述しない。圧縮/膨脹装置400は、圧力容器420の作業チャンバ440内に配置された伝熱要素424も含む。前の実施形態と同様に、圧縮/膨脹装置400は、圧力容器420内の空気等のガスの圧縮並びに/或いは水等の液体の加圧及び/又は汲み上げに使用することができる。圧縮/膨脹装置400は、圧縮空気エネルギー貯蔵システム等の圧縮・膨脹システムで使用することもできる。
【0061】
[0079]この実施形態では、伝熱要素424は、互いに同心に配置された複数の管状部材438を含む。同心管状部材438は、例えば、1つ又は複数の締め具450を用いて圧力容器420の壁に結合することができる。同心管状部材438は、ガス及び/又は液体が圧縮サイクル中に圧力容器420を通って移動する際、同心管状部材438により作られた環状空間を通って流れることができるように、垂直の向きで作業チャンバ440の内部に配置される。いくつかの実施形態では、同心管状部材438は、長さに沿って変化する直径を有し得る。例えば、代替の実施形態では、圧縮/膨脹装置400は、テーパ形の同心管状部材438を含むことができる。いくつかの実施形態では、管状部材438は変化する長さを有することができ、例えば、管状部材438によっては、作業チャンバ440の全長に延びるものもあれば、作業チャンバ440の上から下に途中までしか延びないものもある。これにより、液面が上昇するにつれて増大する、液面よりも上にある伝熱要素424の部分(すなわち、ガスに接する)の単位長さ当たりの合計表面積がもたらされる−すなわち、伝熱要素424の密度は下端部よりも上端部で高い。
【0062】
[0080]図5A及び図5Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置500は、圧力容器520と、圧力容器520に結合されたアクチュエータ522とを含む。圧縮/膨脹装置500は、圧力容器520の作業チャンバ540内に配置された伝熱要素524も含む。
【0063】
[0081]圧縮/膨脹装置500は、圧力容器520の作業チャンバ540にそれぞれ流通し、液体を作業チャンバ540及びアクチュエータ522のそれぞれと連通させるように構成された入口導管528(「入口」とも呼ばれる)及び出口導管530も含む。圧縮/膨脹装置500は、それぞれが圧力容器520の作業チャンバ540と流通する入口導管532及び出口導管534も含む。入口532はガス(例えば、空気)を作業チャンバ540内に導入するように構成され、出口534はガスを作業チャンバ540から除去するように構成される。圧縮/膨脹装置500は、上述したように、入口528、532及び出口530、534並びに/或いは圧力容器520に結合された複数の弁536を含むこともできる。
【0064】
[0082]アクチュエータ522は、構造的にも機能的にも、例えば、アクチュエータ222と同じ又は同様であることができ、作動して、入口528及び出口530のそれぞれを介して作業チャンバ540の内外に液体を移動させることができる。
【0065】
[0083]前の実施形態と同様に、伝熱要素524を使用して、圧縮中の空気に直接接触する作業チャンバ540内の表面積量の増大を提供することにより、作業チャンバ540内の空気から熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素524は、一緒に積み重ねられて結合された複数の金属プレート538(「プレート」とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態では、正の浮力を有するプレート538を一緒に結合することができ、それにより、液体が圧力容器520内を流れてガスを圧縮する際、液体が力をプレート538に及ぼして、プレート538を図5Bに示されるより小さな全高に高密度化することができる。他の実施形態では、行程が進むにつれて、ピストンがプレート538をつぶすように、正の浮力なしのプレート538を、作業チャンバ540内にピストンを有する装置500内に組み込むことができる。例えば、プレート538は、窓のブラインドと同様の1つ又は複数の帯525に一緒に結合することができる。帯525は、プレート538を圧力容器520の内壁に結合するために使用することもできる。伝熱要素524は、圧力容器520の作業チャンバ540内で特定の長さ又は高さを有するものとして示されるが、伝熱要素524が圧力容器520内で任意の長さであり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、例えば、伝熱要素524は、圧力容器540の作業チャンバ540の長さ又は高さに略沿って延びる長さ又は高さを有することできる。
【0066】
[0084]使用に際して、圧縮装置500内で空気等のガスを圧縮するには、第1の圧力を有するガス容量を、入口528を通して圧力容器520の作業チャンバ540に導入することができる。アクチュエータ522を作動させて、入口528を介して液体容量を圧力容器520に汲み入れることができる。液体が圧力容器520の作業チャンバ540内を矢印A(図5Bに示される)の方向に流れると、液体は、圧力容器520内のガスを圧縮し、圧縮ガスを圧力容器520から出口530に強制又は変位させることができる。したがって、作業チャンバ540を出て行く圧縮ガスは、作業チャンバ540に入るガスよりも高い圧力を有する。矢印Aの方向での液体の表面として、伝熱要素524のプレート538は、互いにつぶれて、図5Bに示されるように、圧縮サイクルの終了時に高密度化された積層を形成する。圧縮サイクル中、処理中に生成された熱エネルギーは、前の実施形態に関して上述したように、ガスから伝熱要素524に伝導させることができる。伝熱要素524は、圧縮サイクル中につぶれると、より高密度化するため、圧縮サイクルが進むにつれて、より大きな熱を伝熱要素524に伝導させることができる。言い換えれば、伝熱要素524の全表面積が、圧縮サイクルの終了時及びサイクルの開始時に伝熱に利用可能である(すなわち、液面よりも上にあり、したがって、空気に接触する)。
【0067】
[0085]図6A及び図6Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置600は、作業チャンバ640を有する圧力容器620と、作業チャンバ640内に配置された伝熱要素624と、圧力容器620内で移動可能であり、作業チャンバ640の容積を変更するピストン654とを含む。ピストン654は、ピストンロッド656を介して適したアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。アクチュエータは、例えば、上述したように、液圧又は空気圧アクチュエータであることができ、電気モータを含むことができる。
【0068】
[0001]圧縮/膨脹装置600は、作業チャンバ640にそれぞれ流通する入口導管628及び出口導管630も含む。入口628は、ガス(例えば、空気)源に結合することができ、ガスを作業チャンバ640に連通させることができる。出口630は、ガスを作業チャンバ640から別の場所に連通させるように構成することができる。弁636を入口628及び出口630に結合することができ、弁636は、前の実施形態に関して上述したように、圧力容器620との流通を開閉するように動作することができる。
【0069】
[0086]前の実施形態と同様に、伝熱要素624を使用して、圧縮中のガスに直接接触する圧力容器620内の表面積量の増大を提供することにより、圧力容器620内のガスから熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素624は、つぶすことが可能なコイル部材(概略的に示される)を含む。ピストン654は、圧縮サイクル中に移動するにつれて、力を伝熱要素624に対して及ぼして、図6Bに示されるように、伝熱要素624をより小さな全高につぶす、又は高密度化することができる。
【0070】
[0087]いくつかの実施形態では、伝熱要素624は、伝熱要素624がそのままピストン654と共に動くように、ピストン654に結合することができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素624は圧力容器620に結合することができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素624は、ピストン654及び圧力容器620の両方に結合することができる。
【0071】
[0088]使用に際して、圧縮/膨脹装置600内で空気等のガスを圧縮するには、第1の圧力を有するある量のガスを、入口628を通して作業チャンバ640に導入することができる。ピストン654を作動させて、ピストン654を図6Aに示される第1の位置から図6Bに示される第2の位置に移動させることができる。ピストン654は、矢印A(図6Bに示される)の方向に移動するにつれて、作業チャンバ640内のガスを圧縮する。次に、出口630を介して圧縮ガスを作業チャンバ640から放出することができる。ピストン654が矢印Aの方向に移動するにつれて、伝熱要素624(つぶれることが可能なコイル部材)がつぶれ、実効密度を増大させる。伝熱要素624の密度は、ピストン554の圧縮行程の終了時に最大である。言い換えれば、圧縮サイクル全体を通して、伝熱要素624の全表面積が空気に露出する。
【0072】
[0089]いくつかの実施形態では、作業チャンバ640に液体(例えば、水)を部分的に充填することができ、液体は、入口導管628及び出口導管630のそれぞれを介して、又は他の導管(図示せず)を介して作業チャンバ640と連通することができる。圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成された熱エネルギーは、前の実施形態に関して上述したように、ガスから伝熱要素624に、そして液体に伝導させることができる。次に、出口導管630又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して、加熱された液体容量を圧力容器620から排出することができる。
【0073】
[0090]いくつかの実施形態では、作業チャンバは、上述された技法を組み合わせるように構成することができる。すなわち、作業チャンバは、例えば、上述したシリンダ及びピストンを使用して可変容積を有することができ、ガスが占有し得る可変容積の部分は、作業チャンバに液体を導入し、又は作業チャンバから液体を除去することにより変更することができる。例えば、第1の圧力を有するある量のガスを、入口628を通して作業チャンバ640に導入することができる。ピストン654を作動させて、ピストン654を図6Aに示される第1の位置から図6Bに示される第2の位置に移動させることができる。ピストン654は、矢印A(図6Bに示される)の方向に移動するにつれて、作業チャンバ640内のガスを圧縮する。圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成された熱エネルギーは、ガスから伝熱要素624に伝導させることができる。圧縮サイクルの開始前及び/又は圧縮サイクルの任意の時点で、入口導管628又は別個の液体入口導管(図示せず)を介して液体を作業チャンバ640に導入して、伝熱要素624を冷まし、それにより、前の実施形態に関して上述したように、熱エネルギーを液体に伝導させることができる。次に、出口導管630又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して加熱された液体容量を圧力容器620から排出することができる。
【0074】
[0091]図7A及び図7Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置700は、作業チャンバ740を有する圧力容器720と、作業チャンバ740内に配置された伝熱要素724と、圧力容器720内で移動可能であり、作業チャンバ740の容積を変更するピストン754とを含む。ピストン754は、ピストンロッド756を介して適したアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。アクチュエータは、例えば、上述したように、液圧又は空気圧アクチュエータであることができ、電気モータを含むことができる。
【0075】
[0092]圧縮/膨脹装置700は、作業チャンバ740にそれぞれ流通する入口導管728及び出口導管730も含む。入口728は、ガス(例えば、空気)源に結合することができ、ガスを作業チャンバ740に連通させることができる。出口730は、ガスを作業チャンバ740から別の場所に連通させるように構成することができる。弁736を入口728及び出口730に結合することができ、弁736は、前の実施形態に関して上述したように、圧力容器720との流通を開閉するように動作することができる。
【0076】
[0093]前の実施形態と同様に、伝熱要素724を使用して、圧縮中のガスに直接接触する圧力容器720内の表面積量の増大を提供することにより、圧力容器720内のガスから熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素724は、2列の垂直フィンを含み、第2の列は第1の列からずらされている。ピストン754は、圧縮サイクル中に矢印Aの方向に移動するにつれて、第2の列の垂直フィンを、圧力容器720に取り付けられた第1の列の垂直フィンに向けて移動させる。フィンは、図7Bに示されるように、フィンが圧縮行程の終了時に交互に配置され、それにより、伝熱要素724の実効密度を増大するように、ずらされる。伝熱要素724の密度は、ピストン754の圧縮行程の終了時に最大である。
【0077】
[0093]いくつかの実施形態では、作業チャンバ740に液体(例えば、水)を部分的に充填することができ、液体は、入口導管728及び出口導管730のそれぞれを介して、又は他の導管(図示せず)を介して作業チャンバ740と連通することができる。圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成された熱エネルギーは、前の実施形態に関して上述したように、ガスから伝熱要素724に、そして液体に伝導させることができる。次に、出口導管730又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して、加熱された液体容量を圧力容器720から排出することができる。
【0078】
[0094]図8は、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置800は、作業チャンバ840を有する圧力容器820と、作業チャンバ840内に配置された伝熱要素824と、アクチュエータ822と、作業チャンバと流通する入口及び出口導管828、830とを含む。圧縮/膨脹装置は、アクチュエータ822により駆動されるピストン(図示せず)を含むこともできる。作業チャンバ内に含まれたガスは、液体を作業チャンバに導入して、ガスを含むために利用できる作業チャンバの容積の部分を低減することにより、且つ/又はピストンを作業チャンバの上端部に向けて駆動することで、作業チャンバの容積を低減することにより、圧縮することができる。代替として、作業チャンバ内の圧縮ガスが作業チャンバから液体を放出して、ガスを含むために利用できる作業チャンバの容積の部分を増大させ、且つ/又はピストンを下方に促して、ガスを膨脹させることができる。圧力容器820、アクチュエータ822、入口導管828、及び出口導管830等はそれぞれ、構造的にも機能的にも、他の実施形態における圧力容器、アクチュエータ、及び導管と同じ又は同様であることができるため、この実施形態を参照してこれ以上は詳述しない。
【0079】
[0095]この実施形態では、伝熱要素824は、作業チャンバ840の上部に配置された多孔性容器831内に含まれる多くの離散した金属片(例えば、シェービング、ディスク、チップ、及び/又は他の形状)829の形態である。金属片は、例えば、ステンレス鋼又は空気と比較して高い容積比熱を提供する他の材料から形成することができる。伝熱要素824の金属片構成は、圧縮ガスが多孔性容器831を通って流れる際に接触する単位容積当たりで高い表面積を提供し、したがって、伝熱を増大させる。代替として、離散した個片で形成する代わりに、伝熱要素はより一体的な構造又は相互接続された構造として形成することができ、ウール又はメッシュ等の所望の位置に伝熱要素を保持する容器が必要なくてもよい。この実施形態では、伝熱要素824は、ガスが伝熱要素824を通過する際に最大温度又は最大温度近くである終了時を含め、圧縮サイクルのすべて又は大半を通してガスに露出されるが、液体には接触しないように、作業チャンバ840の一端部付近(すなわち、圧縮サイクルの終わり近くでガスにより占有される部分)に配置される。したがって、ガスが圧縮サイクル中に圧縮され、空気に対する機械的な仕事が熱エネルギーをガスに追加する際、熱エネルギーは連続して伝熱要素824に伝導する(放射、伝熱ではなくむしろ主に伝導及び/又は対流により)。これは、伝熱要素824がない場合よりもガス温度を低値に保ち、伝熱要素の温度を徐々に増大させる。圧縮サイクルの終了時、加圧ガスを圧力容器820からシステム800内の次の構成要素に解放することができる。次に、より多くの液体を作業チャンバ840に導入して、伝熱要素824が占有する容積を略充填することができる。次に、伝熱要素824に蓄えられていた熱エネルギーを作業チャンバ840内の液体に伝導させることができる(ここでも、伝導及び/又は対流伝導により)。次に、熱エネルギーを任意の適した機構により圧力容器から移し得る。
【0080】
[0096]図9は、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置900は、作業チャンバ940を有する圧力容器920と、作業チャンバ940内に配置された伝熱要素924と、アクチュエータ922と、作業チャンバと流通する入口及び出口導管928、930とを含む。圧縮/膨脹装置は、アクチュエータ922により駆動されるピストン(図示せず)を含むこともできる。圧力容器920、アクチュエータ922、入口導管928、及び出口導管930等はそれぞれ、構造的にも機能的にも、他の実施形態における圧力容器、アクチュエータ、及び導管と同じ又は同様であることができるため、この実施形態を参照してこれ以上は詳述しない。
【0081】
[0097]この実施形態では、伝熱要素924は、液体が作業チャンバ940内のガスを圧縮する際、ガス及び液体が伝熱要素924を通って流れることができるように、作業チャンバ940の相当な部分内に配置することができる。伝熱要素924は、例えば、容器内に保持された離散した個片であってもよく(上述したように)、或いは作業チャンバ940内でのガス及び/又は液体の流れを著しく妨害しないように十分な多孔性を有するのと同時に、ガスと接触する広い表面積を提供するメッシュ又はウール等のより一体的な構造であってもよい。この実施形態では、伝熱要素924は、圧縮サイクルの開始からガス及び液体の両方に接触し、サイクルが進むにつれて、ガスへの露出は徐々に少なくなり、液体への露出は徐々に多くなる。
【0082】
[0098]伝熱要素824及び924は代替として、上述したように機能する性質を維持しながら、他の形状及び構成を有してもよいことを理解されたい。例えば、伝熱要素は、ガスと接触する単位容積当たりで高い表面積を提供する金属ウール構成(例えば、スチールウール又はスクラビーパッド)又は他の形状及び構成であることができる。いくつかの実施形態では、伝熱要素924に関して説明した金属メッシュ構成は、装置800に関して説明したように、作業チャンバの上部のみに配置することができる。同様に、伝熱要素824に関して説明した金属片は、伝熱要素924と同様に、作業チャンバのより広い部分を占めるより大きな容器内に配置することができる。
【0083】
[0099]さらに、他の実施形態では、伝熱要素は、圧力容器内の図8及び図9に示される位置とは異なる位置に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の伝熱要素を使用することができる。そのような実施形態では、2つ以上の同じ種類の伝熱要素を使用することができ、又は異なる構成の組み合わせを使用することができる。さらに、所与の圧縮・膨脹システム内で、伝熱要素の同じ又は異なる組み合わせのうちの1つ又は複数を、そのシステムの圧力容器のうちの1つ又は複数内で使用することができる。
【0084】
[00100]図10A及び図10Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置1000は、作業チャンバ1040を有する圧力容器1020と、作業チャンバ1040内に配置された伝熱要素1024と、圧力容器1020内で移動可能であり、作業チャンバ1040の容積を変更するピストン1054とを含む。ピストン1054は、ピストンロッド1056を介して適したアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。アクチュエータは、例えば、上述したように、液圧又は空気圧アクチュエータであることができ、電気モータを含むことができる。
【0085】
[00101]圧縮/膨脹装置1000は、作業チャンバ1040にそれぞれ流通する入口導管1028及び出口導管1030も含む。入口1028は、ガス(例えば、空気)源に結合することができ、ガスを作業チャンバ1040に連通させることができる。出口1030は、ガスを作業チャンバ1040から別の場所に連通させるように構成することができる。弁1036を入口1028及び出口1030に結合することができ、弁1036は、前の実施形態に関して上述したように、圧力容器1020との流通を開閉するように動作することができる。
【0086】
[00101]前の実施形態と同様に、伝熱要素1024を使用して、圧縮中のガスに直接接触する圧力容器1020内の表面積量の増大を提供することにより、圧力容器1020内のガスから熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素1024は、圧力容器1020に取り付けられた複数の垂直フィンを含む。他の実施形態では、複数の垂直フィンはピストン1054に取り付けることができる。ピストン1054が圧縮サイクル中に矢印Aの方向に移動し、ピストン1054が作業チャンバ1040内のガスを圧縮して、熱をガスから伝熱要素1024に伝導させる際、ガスは伝熱要素1024を通って流れることができる。
【0087】
[00102]いくつかの実施形態では、作業チャンバ1040に液体(例えば、水)を部分的に充填することができ、液体は、入口導管1028及び出口導管1030のそれぞれを介して、又は他の導管(図示せず)を介して作業チャンバ1040と連通することができる。圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成された熱エネルギーは、伝熱要素1024を通って流れる際、ガスから伝熱要素1024に、そして液体に伝導させることができる。次に、出口導管1030又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して、加熱された液体容量を圧力容器1020から排出することができる。
【0088】
[00103]図11A及び図11Bは、圧縮/膨脹装置の別の実施形態を示す。圧縮/膨脹装置1100は、作業チャンバ1140を有する圧力容器1120と、作業チャンバ1140内に配置された伝熱要素1124と、圧力容器1120内で移動可能であり、作業チャンバ1140の容積を変更するピストン1154とを含む。ピストン1154は、ピストンロッド1156を介して適したアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。アクチュエータは、例えば、上述したように、液圧又は空気圧アクチュエータであることができ、電気モータを含むことができる。
【0089】
[0004]圧縮/膨脹装置1100は、作業チャンバ1140にそれぞれ流通する入口導管1128及び出口導管1130も含む。入口1128は、ガス(例えば、空気)源に結合することができ、ガスを作業チャンバ1140に連通させることができる。出口1130は、ガスを作業チャンバ1140から別の場所に連通させるように構成することができる。弁1136を入口1128及び出口1130に結合することができ、弁1136は、前の実施形態に関して上述したように、圧力容器1120との流通を開閉するように動作することができる。
【0090】
[00104]前の実施形態と同様に、伝熱要素1124を使用して、圧縮中のガスに直接接触する圧力容器1120内の表面積量の増大を提供することにより、圧力容器1120内のガスから熱エネルギーを除去することができる。この実施形態では、伝熱要素1124は、圧力容器1120及びピストン1154の両方に取り付けられた複数の垂直フィンを含む。ピストン1154は、圧縮サイクル中に矢印Aの方向に移動する際、ピストン1154に取り付けられた垂直ピンを、圧力容器1120に取り付けられた垂直フィンに向けて移動させる。圧力容器1120に取り付けられたフィンは、圧縮行程の終了時、フィンが図11Bに示されたように交互に配置され、それにより、伝熱要素1124の実効密度を増大するように、ピストン1154に取り付けられたフィンからずらされる。伝熱要素1124の密度は、ピストン1154の圧縮行程の終了時に最大である。
【0091】
[00105]いくつかの実施形態では、作業チャンバ1140に液体(例えば、水)を部分的に充填することができ、液体は、入口導管1128及び出口導管1130のそれぞれを介して、又は他の導管(図示せず)を介して作業チャンバ1140と連通することができる。2セットのフィンの交互配置により、圧縮サイクルの終了時に伝熱要素1124を冷ますために必要な液体容量が低減する。例えば、作業チャンバ1140内の液体容量は、圧縮行程の終了時に完全に交互配置されたフィンセットの間隔を占有するのに十分な液体のみがあるように、低減することができる。本明細書に上述されたように、作業チャンバ内の液体は、圧縮又は膨脹可能なガス量の低減を表す。したがって、伝熱要素及び液体が占める容積を低減して、装置の力密度を増大させることが有利である。いくつかの実施形態では、伝熱要素1124は、作業チャンバ1140内の液体容量を、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%低減できるように構成することができる。
【0092】
[00106]圧縮サイクル中、圧縮プロセス中に生成された熱エネルギーは、前の実施形態に関して上述したように、ガスから伝熱要素1124に、そして液体に伝導させることができる。次に、出口導管1130又は別個の液体排出導管(図示せず)を介して、加熱された液体容量を圧力容器1120から排出することができる。
【0093】
[00107]本発明の様々な実施形態を上述したが、実施形態が単なる例として提示され、限定として提示されていないことを理解されたい。上述した方法及びステップが、特定の順で生じる特定の事象を示す場合、特定のステップの順を変更してもよく、そのような変更が本発明の変形によることを、本開示を利用する当業者なら認識しよう。さらに、特定のステップは、可能な場合、並列プロセスで同時に実行してもよく、上述したように逐次実行してもよい。実施形態は、具体的に図示され説明されたが、形態及び詳細に様々な変更を行い得ることが理解されよう。
【0094】
[00108]例えば、様々な実施形態は、特定の特徴及び/又は構成要素の組み合わせを有するものとして説明されたが、本明細書において説明された任意の実施形態からの任意の特徴及び/又は構成要素の任意の組み合わせ又は下位組み合わせを有する他の実施形態も可能である。例えば、伝熱要素の特定の実施形態が、圧縮/膨脹装置の特定の実施形態に関して示され説明されたが、伝熱要素の様々な実施形態が、本明細書において説明された任意の圧縮及び/又は膨脹装置の実施形態並びに本明細書において説明されていない圧縮及び/又は膨脹装置の他の実施形態で使用可能なことを理解されたい。
【0095】
[00109]さらに、圧縮及び/又は膨脹装置のいくつかの実施形態は、圧力容器内の特定の位置に配置された伝熱要素を含むが、伝熱要素を示され説明される位置とは異なる位置に配置してもよいことを理解されたい。圧縮及び/又は膨脹装置の様々な構成要素の特定の構成も変更可能である。例えば、様々な構成要素のサイズ及び特定の形状は、本明細書において説明された機能をなお提供しながら、示される実施形態から異なってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に可変容積作業チャンバを有するとともに、ガス導管を有する圧力容器であって、前記ガス導管を通してガスを前記作業チャンバ内に導入し、前記作業チャンバから排出することができる、圧力容器と、
前記作業チャンバ内に配置された伝熱要素と、
を備え、
前記圧力容器は、前記作業チャンバの容積を低減し、熱エネルギーを前記圧縮ガスから前記伝熱要素に伝導させて、前記圧縮ガスの温度を低減することにより、前記ガス導管を介して前記作業チャンバに導入されたガスを圧縮するように動作可能である、装置。
【請求項2】
前記伝熱要素は、前記圧縮ガスから受け取った熱エネルギーを前記作業チャンバの外部に伝導させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧力容器は、シリンダと、前記シリンダ内で往復運動するように取り付けられたピストンとを含み、前記作業チャンバは、前記シリンダ及び前記ピストンにより境界付けられる容積により画定され、前記作業チャンバの容積は、前記シリンダ内の前記ピストンを移動させることにより少なくとも部分的に変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
液体導管をさらに含み、前記液体導管を通して、液体を前記作業チャンバに導入し、液体を前記作業チャンバから排出することができ、前記作業チャンバの容積は、液体を前記作業チャンバに導入し、又は液体を前記作業チャンバから排出することにより少なくとも部分的に変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記圧力容器は、前記圧縮ガスから前記伝熱要素に伝導した熱エネルギーを、前記伝熱要素から前記作業チャンバ内に含まれる液体に伝導させるようにさらに動作可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記圧力容器は、前記作業チャンバの容積を増大させ、熱エネルギーを前記伝熱要素から前記膨脹ガスに伝導させ、膨脹ガスの温度を増大することにより、前記ガス導管を介して前記作業チャンバ内に導入されたガスを膨脹させるようにさらに動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
容積を有する作業チャンバを画定する圧力容器内のガスを圧縮する方法であって、前記圧力容器はガス導管を有し、前記ガス導管を通して、ガスを前記作業チャンバに導入し、液体を前記作業チャンバから排出することができ、前記圧力容器は液体導管を有し、前記液体導管を通して、液体を前記作業チャンバに導入し、液体を前記作業チャンバから排出することができ、前記圧力容器は、前記作業チャンバ内に配置される伝熱要素を有し、前記方法は、
ある量のガスを前記作業チャンバに導入すること、
前記作業チャンバの容積を低減し、前記ガスの圧力を増大させ、前記ガスの温度を前記伝熱要素の温度を超える温度まで増大させ、前記圧縮により生成された熱エネルギーを前記ガスから前記伝熱要素に伝導させること、
前記液体導管を介して液体を前記作業チャンバに導入すること、及び
前記液体を、熱エネルギーが前記ガスから伝導した前記伝熱要素の部分に接触させて、前記熱エネルギーを前記伝熱要素から前記液体に伝導させること
を含む、方法。
【請求項8】
前記作業チャンバの容積を低減することは、少なくとも部分的に、液体を前記作業チャンバに導入することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記作業チャンバから前記液体の少なくとも部分を排出して、前記伝熱要素から前記液体に伝導した熱エネルギーの少なくとも部分を除去することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ガス導管を介して前記作業チャンバから圧縮ガスを引き出すこと、及び
前記作業チャンバの容積をさらに低減して、前記液体を、追加の熱エネルギーが前記ガスから伝導した前記伝熱要素の別の部分に接触させ、追加の熱エネルギーを前記伝熱要素の前記別の部分から前記液体に伝導させること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ガス導管を介して第2の量のガスを前記作業チャンバに導入すること、
前記作業チャンバの容積を増大させて、前記ガスの圧力を低減し、前記ガスの温度を前記伝熱要素の温度を下回る温度まで低減させ、熱エネルギーを前記伝熱要素から前記ガスに伝導させること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記伝熱要素は、細長い管状要素を含み、前記作業チャンバの容積を低減することは、前記細長い管状部材の内部に液体を流すことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記伝熱要素は、液体により変位可能な部分を含み、前記液体を導入することは、前記伝熱要素の前記部分を変位させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記伝熱要素は、液体を吸収して保持し、ガスと液体との界面を提供して、前記ガスと前記液体との間で熱エネルギーを伝導させるように構成された複数の繊維要素を含み、前記液体を導入することは、前記ガスと液体との界面を介して熱エネルギーを前記ガスから前記繊維要素に伝導させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
ガスを含むことができる作業チャンバを内部に有するとともに、1つ又は複数のガス導管を有する圧力容器であって、前記ガス導管を通してガスを前記作業チャンバ内に導入し、前記作業チャンバから排出することができ、前記圧力容器は、1つ又は複数の液体導管を有し、前記液体導管を通して、液体を前記作業チャンバに導入し、液体を前記作業チャンバから排出することができる、圧力容器と、
前記作業チャンバ内に配置される伝熱要素と、
を備え、
前記作業チャンバは容積を有し、液体が前記作業チャンバ内に含まれている場合、前記容積の第1の部分は液体で占められ、第2の部分はガスによる占有に利用することができ、
前記圧力容器は、前記1つ又は複数の液体導管を通して、液体を前記作業チャンバに導入し、又は液体を前記作業チャンバから引き出すことにより、前記第1の部分の容積を変更するように動作可能であり、
前記圧力容器は、前記作業チャンバの前記第2の部分の容積を低減して、内部に含まれたガスを圧縮し、熱エネルギーを前記圧縮ガスから前記伝熱要素に伝導させ、前記作業チャンバの前記第1の部分内の液体を前記伝熱要素に接触させ、前記液体に、前記圧縮ガスから伝導した熱エネルギーを前記伝熱要素に伝導させるように動作可能である、装置。
【請求項16】
前記圧力容器は、シリンダと、前記シリンダ内で往復運動するように取り付けられたピストンとを含み、前記作業チャンバは、前記シリンダ及び前記ピストンにより画定され、前記圧力容器は、少なくとも部分的に、前記シリンダ内でピストンを移動させることにより、前記作業チャンバの前記第2の部分の容積を低減するように動作可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記圧力容器は、少なくとも部分的に、前記1つ又は複数の液体導管を通して液体を前記作業チャンに導入することにより、前記作業チャンバの前記第2の部分の容積を低減するように動作可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記伝熱要素は複数の細長部材を含み、前記細長部材は、前記作業チャンバ内に含まれる液体の表面に略垂直な方向に延びる前記部材の長軸に向けられる、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記伝熱要素は、互いに同心に配置される複数の管状部材を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記伝熱要素は、前記作業チャンバに導入される液体により前記圧力容器に対して移動可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記伝熱要素は積み重なったプレートを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記積み重なったプレートの各プレートは、前記積み重なったプレートを、第1の軸方向広がりを有する第1の構成と、前記第1の軸方向広がりよりも小さな第2の軸方向広がりを有する第2の構成との間で移動可能であるように、互いに対して移動可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記伝熱要素は複数の碁盤目状のプレートを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記伝熱要素は複数のリングを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項25】
前記伝熱要素は複数のコイルを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記伝熱要素は複数のメッシュスクリーンを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記伝熱要素は複数の多孔性プレートを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項28】
作業チャンバを画定する圧力容器であって、前記作業チャンバ内にガス及び液体を含むことができ、液体を前記作業チャンバに導入し、又は液体を前記作業チャンバから引き出すことにより、前記作業チャンバ内でガスを圧縮又は膨脹させることができる、圧力容器と、
前記圧力容器内に配置される複数の繊維要素であって、前記複数の繊維要素のそれぞれは、液体を吸収して保持し、ガスと液体との界面を提供して、前記ガスと前記液体との間で熱エネルギーを伝導させるように構成される、複数の繊維要素と、
を備える、装置。
【請求項29】
前記複数の繊維要素は、前記液体を前記圧力容器から引き出した後、液滴を保持するように構成され、前記液滴は、前記圧力容器の前記作業チャンバ内への続く液体の導入により前記ガスが圧縮される際、前記ガスから前記液滴に熱エネルギーを伝導させるガスと液体との界面を提供する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記複数の繊維要素は三次元網構造に構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記複数の繊維要素は、前記作業チャンバに導入される液体により移動可能である、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記複数の繊維要素のうちの少なくとも部分は、親水性材料を成分とするコーティングを含む、請求項28に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2013−515945(P2013−515945A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546235(P2012−546235)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/062016
【国際公開番号】WO2011/079271
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511282737)ジェネラル コンプレッション インコーポレイテッド (3)