説明

圧迫衣服および製造方法

本発明は、着用者の下半身部分を含む身体部分を纏うための圧迫衣服(10)に関する。圧迫衣服は、伸縮性材料の第2のパネル(14)に対して第1の縫い目(16)により接合される伸縮性材料の第1のパネル(12)を有する。第2のパネル(14)の伸縮性材料は、第1のパネル(12)の伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有する。使用時、伸縮性材料の第1のパネル(12)は、第2のパネル(14)よりも大きい更に強力な筋肉群を支持するようになっている。第2のパネル(14)は第2の縫い目(18)によって第3のパネルまたは第1のパネル(12)に接合される。第2のパネル(14)は使用時に着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧迫衣服および製造方法に関する。特に、本発明は、上半身衣服および下半身衣服を含む圧迫衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の圧迫衣服は、一般に、身体にぴったりとフィットするように形成されるが、活動中にどの程度まで筋肉の体積および質量が増大するのかに関して考慮していない。そのような従来技術の圧迫衣服は、この状況では非静的なあるいは逆の勾配になる可能性がある。静的圧迫衣服を着用する人が活動に伴って筋肉質量を増大させると、圧迫衣服が筋肉の近傍で更にきつくなる可能性があり、それにより、(圧迫衣服の)体積が3〜5%増大する可能性がある。これにより、静的圧迫衣服の効果が変化し、望ましくない効果がもたらされる可能性があり、望ましくなく引き締まったりあるいは誤った場所で大きな圧縮がなされたりする可能性がある。また、これにより、血行が妨げられ、リンパ排液が減少する可能性がある。
従来技術の圧迫衣服は、活動中に生じる収縮の度合の違いを考慮に入れていないため幾つかの筋肉群に大きな偏心荷重を与える。
また、少なくとも好ましい実施形態において、負傷問題を軽減しあるいは回避するために、特定の領域での過剰な圧力の作用を考慮に入れることができる圧迫衣服を提供する必要性もある。
【0003】
1つの例として、最も一般的なランニング負傷の中の1つは、時として「ランナーの膝」として知られる腸脛靭帯炎(ITBFS)である。腸脛靭帯は、筋膜として知られる脚を包む側部または外側の軟組織の厚くなった部分である。腸脛靭帯は腰から膝の外側まで延びている。腸脛靭帯の上部に挿入する筋肉が、大腿筋膜張筋、ならびに、大臀筋および中殿筋の一部である。負傷は、通常、膝の外側の痛みあるいは炎症として現れる。
腸脛靭帯は様々な理由により引き締まる場合があり、痛みが脚の側部の下側に伴う場合がある。腸脛靭帯が膝関節の外側を横断する大腿領域で摩擦が引き起こされる場合がある。
圧迫衣服によって与えられる過剰な圧力が腰および膝関節にわたる腸脛靭帯の摩擦を引き起こし、それにより、ITBFSをもたらすあるいはITBFSを増大させる場合があることが分かってきた。このタイプの負傷は、特にジャンピングおよびランニングのスポーツ中の腰および膝の繰り返しの屈曲により起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、少なくとも幾つかの実施形態において、ITBFSによる負傷の可能性を減らすことができるおよび/または腸脛靭帯、臀筋、アキレス腱、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)、および、肩甲骨を含む重要な領域および筋肉群に対して集中的な支持および圧縮を与えることができる圧迫衣服を提供することによって従来技術の圧迫衣服を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様において、本発明は、身体部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、第2のパネルの伸縮性材料は、第1のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有し、使用時、伸縮性材料の第1のパネルは、第2のパネルよりも大きい更に強力な筋肉群を支持するようになっている圧迫衣服を提供する。
身体部分は、腕、脚、胴体上部、胴体下部、または、これらの組合せであってもよい。例えば、本発明の圧迫衣服は、単一衣服としてのあるいはスーツとして着用されるようになっている衣服の組合せをなす、ショーツ、長いタイツまたはトップを構成してもよい。
本発明の圧迫衣服は、2つ以上の異なるエラストマー材料から形成されてもよい。
本発明の圧迫衣服を形成する材料は、多種多様な織物または異なる織物から選択されてもよい。しかしながら、本発明の圧迫衣服は、しばしば40〜60あるいは最大で500デニール材料のナイロンまたはポリエステルまたは同様の伸縮材料と組み合わされる、エラスタンまたは同様の伸縮材料の織物のパネルから形成されるのが好ましい。織物は特定の伸びおよび回復を有することが好ましい。織物の縦(warp)に沿う伸びが120%および225%の間であり、その回復のための数(number for recovery)が5%および40%の間であることが一般に好ましい。
本発明の第1の態様によれば、第2のパネルの伸縮性材料は、第1のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有する。第2のパネルの特性が任意の所望の方法で達成されてもよい。例えば、第2のパネルは、第1のパネルの材料と比べて低いデニールを有しあるいは大きい弾力性を有する材料から形成されてもよい。
本発明の圧迫衣服の第1のパネルは、5mmHgおよび25mmHgの間の圧縮値をもたらすことができるのが好ましい。本発明の圧迫衣服は治療のために使用され得ることも想定され、その場合は、圧縮レベルは更に大きくてもよく、例えば最大で40mmHgである。本発明の圧迫衣服の殆どの実施形態において、圧縮は、活動的なウエアにおいては最小で5mmHgの、25mmHg未満の低いグレードであり、活動的でないあるいはスポーツでない使用においては最小で8mmHgの、30mmHg未満の低いグレードである。
【0006】
第1および/または第2のパネルの材料は、使用時にそれが身体からの水分を引き込むように「ウィッキング(wicking)」作用を有することが好ましい。そのような材料は知られている。
本発明の第1の態様におけるパネルは任意の適した形状をなしてもよい。
本発明の第1の態様は、筋肉構造の配置のパターンを表わすように圧迫衣服にパネルを設けるという概念に基づいている。この概念は、大きい強力な筋肉群が最も筋繊維を有するがそれらの収縮度合が小さいことを考慮に入れる。これらの筋肉群の例は、臀部(大臀筋)、大腿四頭筋(大腿部の前部に位置する大腿四頭筋)、ハム(大腿部の背部に位置するハムストリング筋)、ふくらはぎ(下脚の背部に位置する)、トラップ(胴の上側背部に位置する僧帽筋)、ラット(広背筋、胴の中間側の背部)および、腹直筋(前腹部)である。好ましい実施形態では、第1のパネルがそのような筋肉群の筋腹部を完全に覆う。この方法では、筋腹部の血管の締めつけが減少され、そしてより多くの血液供給を伴う筋肉群上にわたって更に効果的な圧縮が行なわれると考えられる。
より大きな収縮度合を有しかつ通常は更に長い腱を有する筋肉群の例はアキレス腱である。このアキレス腱は、活動中に増大する偏心荷重に晒され得る(伸びる)。本発明の第1の態様の第2のパネルはこのタイプの筋肉群を支持でき、該パネルは良好な回復を伴って最小の力で伸びることができる
【0007】
縫い目は、エラストマー材料のパネルを接合する平縫いされた縫い目であることが好ましい。しかしながら、縫い目はこれに限定されない。例えば、縫い目は、圧迫衣服の周囲領域よりも厚さの大きいラインまたは隆線であってもよい。したがって、縫い目は、接着、縫い合わせ、または、任意の他の手段によって形成されてもよい。
縫い合わせは、4本針または6本針プロセスを使用する平縫いであることが好ましい。
特に、本発明の圧迫衣服の第1のパネルの場合、縫い目または縫い目線は、筋肉の原点または挿入点のいずれかに追従するとともに、血液供給が低い骨ばっている隆起または筋膜線に沿って進行することが好ましい。上半身衣服を提供する一実施形態では、縫い目が外腹斜筋(外側腹部)の線維方向に追従することが好ましい。これにより、圧迫衣服のパネルは、投げる動作および走る動作中に、横断面またはねじれ、体幹機能の動きを助けることができる。
本発明の上半身衣服の適した実施形態が本発明に係る下半身衣服の適した実施形態と共に着用される場合には、動的な動作中に勾配圧縮を伴う同時機能メカニズムがもたらされよう。
【0008】
第2の態様において、本発明は、着用者の下半身部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して第1の縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを含み、第2のパネルが第2の縫い目によって第3のパネルまたは第1のパネルに接合され、第2のパネルが使用時に着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置するようになっている、圧迫衣服を提供する。
1つの実施形態において、第2のパネルは、使用時に着用者の大腿筋膜張筋から腸脛靭帯に沿って膝へ向けてほぼ延びるようになっている。
本発明の第1および第2の態様が組み合わされ、また、使用時に膝上にわたって位置するようになっている更に弾力性が高い第4のパネルに対して第2のパネルが接合されることが特に好ましい。特に、第2のパネルが第1および第3のパネルよりも大きい弾力性を有しかつ第4のパネルが更に大きい弾力性を有する場合、本発明の第2の態様の下半身衣服は、腸脛靭帯および大腿筋膜張筋上にわたる過剰な圧力を減らすと同時に、所望の度合の膝屈曲を許容するように形成できる。
【0009】
第3の態様において、本発明は、着用者の下肢である身体部分を纏うための圧迫衣服であって、使用時に少なくとも部分的に着用者の下腿三頭筋を分割するようになっている縫い目により伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有する圧迫衣服を提供する。
好ましくは、本発明の第3の態様において、縫い目は、アキレスパネルの上部を筋腱連結部に取り付けている側部及び内側腓腹筋を分割する。
本発明の第3の態様は、ランニング動作およびジャンピング動作では下肢のふくらはぎの筋肉が力強く収縮することが求められるという概念に基づいている。所定時間にわたる過度の収縮中にふくらはぎの筋肉が疲れてくるあるいは機能的に弱い場合には、ランニング中に1本の脚を地面に着地させるなどの伸張性収縮により、これらの筋肉が裂ける可能性がある。本発明の第3の態様は、実質的に、腓腹筋腹部の個々の特定の支持および圧縮を許容できるデュアルパネルシステムを与えることができる。これは、下腿三頭筋部位の局部的な疲れを減らすとともに、ふくらはぎの筋肉の負傷を制限する。
【0010】
本発明の第3の態様の1つの実施形態において、圧迫衣服は、長いソックスまたはストッキングの形状をなす。
特に好ましい実施形態では、本発明の第1、第2、および、第3の態様が組み合わされ、それにより、3つの全ての態様の特徴を有するロングタイツまたはショートタイツなどの下半身圧迫衣服がもたらされる。この特に好ましい実施形態において、圧迫衣服は、本発明の第1の態様に係る第2のパネルを表わすアキレスパネルを含む。
当業者であれば分かるように、本発明の圧迫衣服は、適した態様において、ウエストおよび大腿部の後側部パネルにおいて圧縮性織物と高伸縮性/回復織物との組合せを利用できる。これは、斜紋筋、大臀筋、腸脛靭帯、および、大腿筋膜張筋の相補的機能メカニズムをもたらすのに役立つ。
圧迫衣服が下半身衣服であることに関する好ましい実施形態において、ウエストバンドは、それが圧迫衣服の後部に弾性挿入体を含む必要がないようになっている選択された伸縮および回復特性を有する伸縮性材料のパネルから形成されるのが好ましい。この実施形態では、圧迫衣服の前部に弾性挿入体を有することが随意的である。言うまでもなく、これは、弾性挿入体がウエストを取り囲むか、または、弾性挿入体がウエストバンドの一部だけに含まれて、弾性挿入体が圧迫衣服の前部ではなく背部で使用される従来技術の構成と異なる。本発明の下半身衣服に関して説明したタイプの構成は、垂直安定性を与えることができる。
前述したウエストバンドの実施形態は、本発明の第4の態様を表わすが、本発明の第1、第2、および、第3の態様のいずれかあるいは全てと組み合わせて使用されるのが好ましい。
【0011】
第5の態様において、本発明は、着用者の上半身部分を纏うための圧迫衣服であって、縫い目によって伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、縫い目は、使用時に着用者の外腹斜筋の線維方向に沿って位置するようになっている、圧迫衣服を提供する。
1つの好ましい実施形態において、本発明の第5の態様の上半身圧迫衣服は、第1および第2のパネルを接合して、圧迫衣服の前部で着用者の横隔膜領域よりも上側に位置する縫い目を有する。圧迫衣服の後部で、縫い目は、着用者の胴の下部に対する更に大きい柔軟性を許容しつつ肩甲骨筋に対して圧縮を与えるように上方湾曲状態に形成されることが更に好ましい。
伸縮およびねじれを許容するために着用者の背骨の領域で上半身衣服の後部に弾力性が更に高い第3のパネルが挿入されることが特に好ましい。
随意的に、本発明の圧迫衣服は、その態様のいずれかにおいて、通気を助けあるいは体温を分散させる目的で1つ以上のメッシュ挿入体を含んでもよい。例えば下半身衣服の場合には、メッシュ挿入体が上背におけるウエストバンドの下側に位置するように設けられてもよい。第2のメッシュ挿入体が股領域に存在してもよいことが更なる選択肢である。
例えば上半身衣服の場合には、メッシュ挿入体が脇の下領域または襟足または任意の他の望ましい位置に設けられてもよい。
【0012】
また、本発明は、本発明の任意の態様の圧迫衣服を製造する方法も提供し、該方法は、伸縮性材料の第1のパネルと伸縮性材料の第2のパネルとを設けるステップと、第1のパネルを縫い目によって第2のパネルに接合するステップとを含む。
当業者であれば明らかなように、本発明の第1の態様に関する前述した好ましい実施形態の多くが本発明の他の態様にも適用できる。
本発明の理解に役立つように、ここで、添付図面における特定の非限定的な実施形態を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1、第2、第3、および、第4の態様に係る下半身圧迫衣服の第1の実施形態の正面図を示している。
【図2】図1の実施形態の側面図を示している。
【図3】図1および図2の実施形態の背面図を示している。
【図4】本発明の第1および第5の態様を示す上半身圧迫衣服の第1の実施形態の正面図を示している。
【図5】図4の実施形態の側面図である。
【図6】図4および図5の実施形態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に図1〜図3を参照すると、着用者のほぼウエストラインから着用者の足首までの下胴である身体部分を纏うため、圧迫衣服10がロングタイツの形態をなす下半身衣服として示されている。
ロングタイツ10は、伸縮性材料からなる第1のパネル12Aおよび12Bと、伸縮性材料からなる第2のパネル14とを有する。第1のパネル12Aは第2の縫い目18によって第2のパネル14に接合される。第1のパネル12Bは第1の縫い目16によって第2のパネル14に接合される。効果的に、第1のパネル12が2つの部分12Aおよび12Bへ分割され、パネル12Aは、図1に示されるように着用者の大腿部の前部を覆い、また、パネル12Bは、図3に示されるように着用者の大腿部の後部を覆い、この場合、パネル12Aおよび12Bを接合する縫い目(図示せず)が着用者の内側大腿部に沿って延びる。
第1のパネル12Aおよび12Bは、伸ばすために第2のパネル14よりも大きい力を必要とし、したがって、第2のパネル14よりも弾力性が低い。
第1のパネル12Bは、20に位置する着用者の大臀筋と、24に位置するハムストリング筋とを支持するようになっている。第1のパネル12Aは、22に位置する大腿四頭筋を支持するようになっている。
【0015】
図1および図2から分かるように、第2の縫い目18は、それが膝部位26よりも上側の着用者の上脚を横断し、そのため、膝の屈曲を妨げないように位置する。
また、図2から分かるように、第2のパネル14は、着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置しており、それにより、第3の縫い目28において膝部位26よりも上側で終端する。
この実施形態では、膝部位26が更なるパネル30によって覆われる。このパネルは、第2のパネル14と同様の弾力性を有する材料であってもよいが、膝の屈曲を妨げないように第2のパネル14よりも弾力性がかなり大きい材料から形成されるのが好ましい。
圧迫衣服10の下脚では、縫い目16が下脚の後部へ巻回するように連続されており、それにより、縫い目16の少なくとも一部が32で下脚の下腿三頭筋を分割するようになっている。縫い目34も同様に着用者の内側大腿部の部位から延びて32で縫い目16と合流する。なお、縫い目16および34は、それらが32で合流する場合、着用者の下脚のふくらはぎの筋肉36および38を効果的に分割する。
この実施形態において、パネル40は、脛骨の骨ばっている隆起に沿って位置する縫い目34および縫い目42(図1参照)によって境界付けられている。
パネル44は、縫い目42、縫い目16の延在部、および、下側縫い目46により、膝パネル30に対して境界付けられている。パネル40および44は第1のパネル12Aおよび12Bと同じ材料から形成されるのが好ましい。
図3に示されるように、更なるパネル48が、縫い目16および34の延在部間に形成されており、着用者のアキレス腱を支持する。パネル48は、第2のパネル14の材料または膝パネル30の材料などの弾力性の高い材料から形成されるのが好ましい。
図1に示されるように、ロングタイツ10は、2つの第1のパネル12Aに対して縫い目52および54により接合される股パネル50を有する。股パネル50は、第1のパネル12Aと同じ弾力性あるいは異なる弾力性を有してもよい。
股パネル50は縫い目58によって上側パネル56に接合される。先と同様に、パネル56は、周囲のパネルと比べて同じ弾力性または異なる弾力性を有してもよい。
【0016】
図3から分かるように、縫い目60は、パネル12B同士を接合して、大臀筋位置20間で延びている。パネル62が縫い目60の上側でかつ胴回り64の下側に位置する。必要に応じて、パネル62は、通気を助けるためにメッシュパネルからなってもよくあるいはメッシュパネルを含んでもよい。更なるメッシュパネルが股パネル50にあるいは着用者の股の付近に位置する他の場所に含まれてもよい。
図1〜図3のそれぞれから分かるように、胴回り64は、圧迫衣服10が着用者のウエストで平らに座るように縫い目66により形成される。
この実施形態において、胴回り64は、縫い目68および70間の胴回り64の前部内を除いて、別個の弾性挿入体を有さない。
圧迫衣服10は、対応するそれぞれのパネルを設けて、意図される着用者にとって望ましい形状を与えるようにこれらのパネルを対応するそれぞれの縫い目により接合することにより製造される。
【0017】
図1〜図3はロングタイツの形態をなす圧迫衣服10を示しているが、本発明の第1および第2の態様が膝部位26よりも上側で断ち切られるショートタイツバージョンで具現化されてもよいことが分かる。
ここで、図4〜図6を参照すると、圧迫衣服80が、この実施形態では長袖82および84を有する上半身衣服の形態をなして示されている。しかしながら、長袖82および84が含まれずあるいは更に短い袖の形態をなして存在することも本発明の範囲内に入るのが分かる。
圧迫衣服80は、縫い目90によって第2のパネル88に接合される第1のパネル86を有する。縫い目90は、活動中に着用者のねじれ運動の手助けをするために、92に位置する着用者の外腹斜筋の線維方向に追従するようになっている。第1のパネル86は、第2のパネル88よりも弾力性が低い材料から形成される。これは、横隔膜領域94上にわたって大きな弾力性を許容しつつ、着用者の胴の上部に対して圧縮を与える。
【0018】
図5から分かるように、縫い目90は、96で広背筋の下端に沿って延びるようになっている。
図6から分かるように、縫い目90は、肩甲骨筋を支持するために上半身衣服80の背部で再び立ち上がっている。
図示の実施形態においては、図6から分かるように、上半身衣服80は、更なるパネル102によって分離されるパネル98および100を有する。パネル98および100は、パネル86と同じ、比較的弾力性が低い材料から形成される。しかしながら、パネル102は、パネル88のそれと同じあるいは異なる弾力性の更に弾力性が高い材料から形成される。パネル102の目的は、パネル98および100にわたって圧縮を依然として与えつつ、活動中に着用者の背中の適切な動きを許容することである。
図示の実施形態では、腕の筋肉の固定を助けるために更なる縫い目104が設けられる。
サイド縫い目106は、上半身衣服80の成形を助けるために設けられる。随意的に、サイド縫い目106により、サイドパネル108および110がパネル86ならびにパネル98および100などの他のパネルと比べて異なる弾力性を有することができるようにしてもよい。
ロングタイツ10と同様に、上半身衣服80は、通気を助けるためにメッシュ挿入体を有してもよい。これらのメッシュは、例えば、首パネル112または脇の下パネル114で使用されてもよい。
前述した実施形態で言及された全ての縫い目は、4本針フラットロック縫いを使用して形成されており、筋肉群を固定して圧縮を助ける役目を果たしてもよい。
当業者であれば分かるように、本発明の思想または範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される実施形態に対して多くの改良および変形がなされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、圧迫衣服が着用者の身体の特定の領域の過剰圧力の影響を考慮に入れることにより負傷の問題を軽減しあるいは回避することができるという点において産業上利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、前記第1のパネルの伸縮性材料が、前記第2のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有し、使用時、伸縮性材料の前記第1のパネルが、前記第2のパネルよりも大きい更に強力な筋肉群を支持するようになっている、圧迫衣服。
【請求項2】
前記身体部分が腕、脚、胴体上部、胴体下部、または、これらの組合せである請求項1に記載の圧迫衣服。
【請求項3】
単一衣服としてのあるいはスーツとして着用されるようになっている衣服の組合せをなす、ショーツ、長いタイツまたはトップを構成する請求項1または2に記載の圧迫衣服。
【請求項4】
2つ以上の異なるエラストマー材料から形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項5】
エラスタンまたは同様の伸縮材料の織物からなる複数のパネルから形成される請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧迫衣服。
【請求項6】
前記パネルが、40〜60あるいは最大で500デニール材料のナイロンまたはポリエステルまたは同様の伸縮材料と組み合わされる請求項5に記載の圧迫衣服。
【請求項7】
織物の各パネルの縦(warp)に沿う伸びが120%および225%の間であり、その回復のための数が5%および40%の間である請求項6に記載の圧迫衣服。
【請求項8】
前記第2のパネルが、前記第1のパネルの材料と比べて低いデニールまたは大きい弾力性を有する材料から形成される請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項9】
前記第1のパネルが、5mmHgおよび25mmHgの間の圧縮値をもたらすことができる請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項10】
治療目的で最大40mmHgの圧縮レベルをもたらすことができる請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項11】
活動的なウエアにおいては最小で5mmHgである25mmHg未満の圧縮レベルを有し、活動的でないあるいはスポーツでない使用においては最小で8mmHgである30mmHg未満の圧縮レベルを有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項12】
前記第1およびまたは第2のパネルの材料が、使用時にそれが身体からの水分を引き込むように「ウィッキング」作用を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項13】
前記パネルが筋肉構造の配置パターンである請求項1〜12のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項14】
前記第1のパネルが、以下の筋肉群、すなわち、臀部(大臀筋)、大腿四頭筋(大腿部の前部に位置する大腿四頭筋)、ハム(大腿部の背部に位置するハムストリング筋)、ふくらはぎ(下脚の背部に位置する)、トラップ(胴の上側背部に位置する僧帽筋)、ラット(広背筋、胴の中間側の背部)および、腹直筋(前腹部)を完全に覆う請求項1〜13のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項15】
前記第2のパネルが、収縮度合が更に大きくて長い腱を有する筋肉群を支持することができ、それにより、良好な回復を伴って最小の力で伸びることができる請求項1〜14のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項16】
前記縫い目が、エラストマー材料のパネルを接合する平縫いされた縫い目である請求項1〜15のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項17】
前記縫い目が、前記圧迫衣服の周囲領域よりも大きい厚さのラインまたは隆線であり、接着、縫い合わせ、または、任意の他の手段によって形成される請求項1〜15のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項18】
前記縫い合わせが4本針または6本針プロセスを使用する平縫いである請求項16または17に記載の圧迫衣服。
【請求項19】
前記縫い目または縫い目線が、筋肉の原点または挿入点のいずれかに追従するとともに、血液供給が低い骨ばっている隆起または筋膜線に沿って進行する請求項1〜18のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項20】
前記圧迫衣服が上半身衣服である場合には、前記縫い目が外腹斜筋(外側腹部)の線維方向に追従する請求項1〜19のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項21】
上半身衣服が下半身衣服と共に使用される場合には、動的な動作中に勾配圧縮を伴うように同時機能メカニズムがもたらされる請求項1〜20のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項22】
着用者の下半身部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して第1の縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを含み、前記第2のパネルが第2の縫い目によって第3のパネルまたは前記第1のパネルに接合され、前記第2のパネルが使用時に着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置するようになっている、圧迫衣服。
【請求項23】
前記第2のパネルが、使用時に前記着用者の大腿筋膜張筋から前記腸脛靭帯に沿って膝へ向けてほぼ延びるようになっている請求項22に記載の圧迫衣服。
【請求項24】
着用者の下半身部分を纏うための圧迫衣服であって、伸縮性材料の第2のパネルに対して第1の縫い目により接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、前記第2のパネルの伸縮性材料が、前記第1のパネルの伸縮性材料と比べて高い伸びおよび回復特性を有し、使用時、伸縮性材料の前記第1のパネルが、前記第2のパネルよりも大きい更に強力な筋肉群を支持するようになっており、前記第2のパネルが第2の縫い目によって第3のパネルまたは前記第1のパネルに接合され、前記第2のパネルが使用時に前記着用者の腸脛靭帯の実質的部分に沿って位置するようになっており、
前記第2のパネルが更に弾力性の大きい第4のパネルにも接合され、前記第4のパネルが使用時に膝上にわたって位置するようになっている、圧迫衣服。
【請求項25】
前記第2のパネルが前記第1および第3のパネルよりも大きい弾力性を有しかつ第4のパネルが更に大きい弾力性を有する場合、前記下半身衣服が、前記腸脛靭帯および大腿筋膜張筋上にわたる過剰な圧力を減らすと同時に、所望の度合の膝屈曲を許容するようになっている請求項24に記載の複合圧迫衣服。
【請求項26】
着用者の下肢である身体部分を纏うための圧迫衣服であって、使用時に少なくとも部分的に前記着用者の下腿三頭筋を分割するようになっている縫い目により伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有する圧迫衣服。
【請求項27】
前記縫い目が、アキレスパネルの上部を筋腱連結部に取り付ける側部の内側腓腹筋を分割する請求項26に記載の圧迫衣服。
【請求項28】
腓腹筋腹部の個々の特定の支持および圧縮を許容できるデュアルパネルシステムを与えるようになっている請求項27に記載の圧迫衣服。
【請求項29】
長いソックスまたはストッキングの形状をなす請求項26〜29のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項30】
本発明の第1の態様に係る第2のパネルを表わすアキレスパネルを含む、請求項1、22、または、24のいずれか1項に記載の下半身圧迫衣服。
【請求項31】
ウエストおよび大腿部の後側部パネルにおいて圧縮性織物と高伸縮性/回復織物との組合せを利用できる請求項1、22、24、または、26のいずれか一項に記載の圧迫衣服。
【請求項32】
ウエストバンドを含む下半身部分を纏うための圧迫衣服であって、前記ウエストバンドが、それが前記圧迫衣服の後部に弾性挿入体を含む必要がないようになっている選択された伸縮および回復特性を有する伸縮性材料のパネルから形成される、圧迫衣服。
【請求項33】
前記圧迫衣服の前部に弾性挿入体を更に含む請求項32に記載の圧迫衣服。
【請求項34】
ウエストバンドを含み、前記ウエストバンドが、それが前記圧迫衣服の後部に弾性挿入体を含む必要がないようになっている選択された伸縮および回復特性を有する伸縮性材料のパネルから形成される、請求項1、22、または、24のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項35】
着用者の上半身部分を纏うための圧迫衣服であって、縫い目によって伸縮性材料の第2のパネルに対して接合される伸縮性材料の第1のパネルを有し、前記縫い目が、使用時に前記着用者の外腹斜筋の線維方向に沿って位置するようになっている、圧迫衣服。
【請求項36】
前記第1および第2のパネルを接合する前記縫い目が、前記圧迫衣服の前部でそれが着用者の横隔膜領域よりも上側にあるように配置される請求項35に記載の圧迫衣服。
【請求項37】
前記圧迫衣服の後部で、前記縫い目が、着用者の胴の下部に対する更に大きい柔軟性を許容しつつ肩甲骨筋に対して圧縮を与えるように上方湾曲状態に形成される請求項35または36に記載の圧迫衣服。
【請求項38】
伸縮およびねじれを許容するために着用者の背骨の領域で前記上半身衣服の後部に弾力性が更に高い第3のパネルが挿入される請求項36または37に記載の圧迫衣服。
【請求項39】
通気を助けあるいは体温を分散させる目的で1つ以上のメッシュ挿入体を含む請求項1〜38のいずれか1項に記載の圧迫衣服。
【請求項40】
下半身衣服の場合には、前記メッシュ挿入体が上背におけるウエストバンドの下側に位置する請求項39に記載の圧迫衣服。
【請求項41】
第2のメッシュ挿入体が股領域に存在する請求項39または40に記載の圧迫衣服。
【請求項42】
上半身衣服の場合には、前記メッシュ挿入体が脇の下領域または襟足または任意の他の望ましい位置に設けられる請求項41に記載の圧迫衣服。
【請求項43】
伸縮性材料の第1のパネルと伸縮性材料の第2のパネルとを設けるステップと、前記第1のパネルを縫い目によって前記第2のパネルに接合するステップとを含む、圧迫衣服を製造する方法。
【請求項44】
添付図面のうちのいずれか1つを参照して本明細書中に記載されたのと実質的に同様の圧迫衣服。
【請求項45】
添付図面のうちのいずれか1つを参照して本明細書中に記載されたのと実質的に同様の圧迫衣服の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527542(P2012−527542A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511099(P2012−511099)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000611
【国際公開番号】WO2010/132950
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(509308207)スキンズ・インターナショナル・トレーディング・アー・ゲー (1)
【Fターム(参考)】