説明

圧送式水洗トイレ装置

【課題】 汚物を粉砕・排出するのに必要な水量を精度良く供給することにより、給水量不足により汚物を完全に粉砕・排出できずに故障に至ることを防ぐとともに、必要以上の水を給水しないことにより節水を可能とする。
【解決手段】 本発明では、特に水量センサと水位センサにより圧送タンク内に溜める水の量を最適に制御する圧送式水洗トイレ装置で、最初にたまり水の必要量を便器に入れ、後に貯留槽に追加で所定量を供給するが、これは従来の便器の洗浄水量に比べて半分程度に抑えている。また、できるだけ節水して便器洗浄を行うために、たまり水もより少なくして、さらに貯留槽に追加する水量も少なくするために、排出物の量を考慮して貯留槽が圧送できる標準水位を決めて、それに合わせて貯留槽の水量が足りない場合、貯留槽に水を追加するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋に設置されて、屎尿・雑排水を圧送排水する圧送式水洗トイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、介護用水洗トイレには洗浄水を溜める水タンクが必要であり、そのために従来の介護用水洗トイレにあっては大径な水タンクを設け、これに多量の水を溜めていたり、便器に洗浄水を給水するために給水管を開閉する電磁弁と、この給水が一定時間で停止するタイマー手段を備えてなる水洗便器(例えば、特許文献1参照。)などがあったが節水に関しては考慮されてなかった。
【0003】
また、便器から排出された汚物を、破砕機により細かく破砕したうえで貯留槽へ送り、更に貯留槽内の汚水を圧送ポンプにより、排水管を通して排水マスなどの外系へ排出するようにしたものが提案されていたが、これも同様に節水についての考慮はされていなかった(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3076664号
【0005】
【特許文献2】特開平5−311716号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、貯留槽の喫水面に付着した汚れを、貯留槽内部の水によって取り除くことができる圧送式トイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、便器と、前記便器のボウルにを供給する給水配管と、前記便器の排出口を通じて接続され、前記排出口から排出された及び汚物を内部に貯留する貯留槽と、前記貯留槽の内部に設けられ、回転して前記汚物を粉砕するカッターと、前記貯留槽の内部へ水を供給する貯留槽用給水配管と、前記貯留槽の内部及び汚物を前記貯留槽の外部へ圧送する圧送手段と、前記カッターおよび前記圧送手段を制御する制御手段と、を備える圧送式水洗トイレ装置において、前記制御手段は、前記便器の水及び汚物が前記貯留槽の内部に排出されると、前記カッターおよび前記圧送手段の1回目の駆動を開始させ、前記貯留槽の内部の水及び汚物を外部へ圧送した後に、前記貯留槽の内部に給水して前記カッターおよび前記圧送手段の2回目の駆動を開始させるものであって、前記2回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動の開始時の前記貯留槽の内部の水位を、前記1回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動時よりも高くすることを特徴とする。
【0008】
これにより、カッターおよび圧送手段の1回目の駆動で貯留槽の喫水面に付着した汚れを、2回目の駆動で貯留槽内部の水によって取り除くことができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧送式水洗トイレ装置において、前記排出口を開閉するフラップ弁を備えるとともに、下水との縁を切るための封水を前記貯留槽の内部に貯留するよう構成され、前記制御手段は、前記封水の水位を前記排出口の下端より低くし、前記1回目および2回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動の開始時に、前記排出口を閉じて前記貯留槽の内部の水位を前記排出口の下端より高くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、貯留槽の喫水面に付着した汚れを、貯留槽内部の水によって取り除くことができる圧送式トイレ装置を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係わる圧送式水洗トイレ装置の第一実施例を表す構成図であり、便器1と、便器1の排出口2を通じて接続され汚水や汚物を貯留する貯留槽3と、便器1と貯留槽3との間を開閉するためのフラップ弁9と、便器1に水を供給する給水配管5aと、給水配管5aの途中に配設され給水配管5aから給水される水を便器1および貯留槽3に供給する給水弁5と、貯留槽3の中に溜まった汚物を粉砕し、汚水とともに貯留槽3の外に圧送するモータ(ポンプ)4と、貯留槽3の中に溜まった水の水位を検出する水位センサ7と、これらを制御する制御装置8から構成されている。
【0013】
また、貯留槽3の内部は、便器1の排出口2から排出された汚物やトイレットペーパーなどが溜められる粉砕室4aと、粉砕室4a内には汚物やトイレットペーパーなどを粉砕するカッター4bと、カッター4bと同一回転軸上の下部にはさらにインペラ4cが設けられており、このカッター4bとインペラ4cが同一回転軸上にとりつけられたモータ4により回転制御され、汚水や粉砕された汚物やトイレットペーパーなどを配水管4dを通じて外部へ排出されるようになっている。さらに貯留槽3には空洞管7aが一方の端は貯留槽3の外部に出て、もう一方の端は貯留槽3の内部に入るように取り付けられており、貯留槽3から外部に出た空洞管7aの一方の端に貯留槽3内の水位を検出する水位センサ7が取り付けられている。そして、貯留槽3の内側の空洞管7aの開口下端部7bが水没すると、空洞管7a内の空気は、開口下端部7bと水面と水位センサ7とによって気密状態となり、この空洞管7a内の空気を介して水位センサ7が水圧を感知することで、貯留槽3内の水位を検出するようになっている。
【0014】
図2は、本発明の別の実施形態に係わる圧送式水洗トイレ装置の第二実施例を表す構成図で、便器1と、便器1の排出口2を通じて接続され汚水や汚物を貯留する貯留槽3と、便器1と貯留槽3との間を開閉するためのフラップ弁9と、便器1に水を供給する給水配管5aと、給水配管5aから給水される水の通水・止水を切り替える給水弁5と、給水弁5から供給された水を給水配管5aを通じで便器1に供給するか貯留槽用給水配管5bを通じで貯留槽3に供給するかを切り替える切替弁5cと、給水配管5aの途中に配設され、洗浄水の流量を検出する流量センサ6と、貯留槽3の中に溜まった汚物を粉砕し、汚水とともに貯留槽3の外に圧送するモータ(ポンプ)4と、貯留槽3の中に溜まった水の水位を検出する水位センサ7と、これらを制御する制御装置8から構成されている。
【0015】
また、貯留槽3の内部は、便器1の排出口2から排出された汚物やトイレットペーパなどが溜められる粉砕室4aと、粉砕室4a内には汚物やトイレットペーパーなどを粉砕するカッター4bと、カッター4bと同一回転軸上の下部にはさらにインペラ4cが設けられており、このカッター4bとインペラ4cが同一回転軸上にとりつけられたモータ4により回転制御され、汚水や粉砕された汚物やトイレットペーパーなどを配水管4dを通じて外部へ排出されるようになっている。さらに貯留槽3には空洞管7aが一方の端は貯留槽3の外部に出て、もう一方の端は貯留槽3の内部に入るように取り付けられており、貯留槽3から外部に出た空洞管7aの一方の端に貯留槽3内の水位を検出する水位センサ7が取り付けられている。そして、貯留槽3の内側の空洞管7aの開口下端部7bが水没すると、空洞管7a内の空気は、開口下端部7bと水面と水位センサ7とによって気密状態となり、この空洞管7a内の空気を介して水位センサ7が水圧を感知することで、貯留槽3内の水位を検出するようになっている。
【0016】
次に制御装置8の構成について、図3のブロック図を用いて説明する。
便器1もしくは貯留槽3への給水、止水を制御する給水弁5を制御する給水弁制御部15と、給水弁5により供給される水を便器1へ流すか、貯留槽3に流すかを切り替える切替弁5cを制御する流路切替部16と、便器1の使用時には便器1に水をためるために排出口2を閉し、また用便後に便器1にためられた水および汚物やトイレットペーパーなどを貯留槽3に排出するために排出口3を開するフラップ弁9を制御する排水制御部17と、貯留槽3に排出された汚水および汚物やトイレットペーパーなどを粉砕、圧送するためのモータ4を制御するモータ駆動部14と、これらを制御する制御部(CPU)10と、便器1や貯留槽3へ供給する水の水量を検出する水量センサ6から出力されるパルス信号を制御部10に伝達する水量検出部12と、貯留槽3内の水位を検出する水位センサ7から出力された信号を制御部10に伝達する水位検出部13とから構成されている。
【0017】
また制御部(CPU)10内には、後述する水ため処理ルーチン、汚物排出処理ルーチン、目標給水量演算ルーチン、閉後給水量記憶ルーチンの各制御ルーチンが記憶されている。
【0018】
以上の構成において、本発明の圧送式水洗トイレ装置の動作についてフローチャートにより説明する。図4は便器使用前の水ため動作シーケンスを表すフローチャートで、まず使用者がスイッチ操作により便器1に水をためようとしたり、あるいは人体センサにより人が便器1に座ったことを検知すると、制御部10は流路切替部16により切替弁5cを便器側に切り替えてから(S101)、給水弁制御部15により給水弁5を開駆動し、便器1への給水を行う(S102)。そして給水配管5a中に設けられた水量センサ6より検出されたパルス信号を水量検出部12を介して制御部10が受け取り、パルス数をカウントすることで便器1へ供給された流量を演算し、給水弁5を開してからトータル1.4リットルから後述する処理により学習している閉後水量を差し引いた水量以上となったら(S103)、制御部10は給水弁制御部15により給水弁5を閉駆動する(S104)。そして、制御部10は後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S105)。その後、流路切替部16により切替弁5cを貯留槽3側に切り替える(S106)。このようにして制御部10により便器使用前の便器1へのたまり水の供給動作が行われる。
【0019】
次に用便後の動作シーケンスついて図5の汚物排出処理を表すフローチャートにより説明する。まず使用者がスイッチ操作により汚物を流そうとしたり、あるいは人体センサにより人が便器1から離れたことを検知すると、制御部10は流路切替部16により切替弁5cを便器側に切り替えてから、給水制御部15により給水弁5を開駆動し便器1の洗浄を開始する(S201)。また同時に、モータ駆動部14によりモータ4を駆動し(S202)、貯留槽3内に溜まっている水の排水を開始し、貯留槽3内の水が空洞管7aの開口下端部7b付近まで排水され、水位20mm未満を検出すると(S203)、モータ駆動部14によりモータ4の駆動を停止し排水を終了する(S204)。そうして、貯留槽3内にたまっていた水を排水しながら便器1の洗浄を行い、水量センサ6により検出されたパルス信号を水量検出部12を介して制御部10が受け取り、パルス数をカウントすることで便器1へ供給された流量を演算し、給水弁5を開してからのトータルの給水量が1.2Lから後述する処理により学習している閉後水量を差し引いた水量以上となったら(S205)、給水制御部15により給水弁5を閉駆動する(S206)。さらに、制御部10は後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S207)。そして、制御部10は流路切替部16により切替弁5cを貯留槽側に切り替え(S208)、便器1の洗浄を終了する。
【0020】
その後、制御部10は排水制御部17によりフラップ弁9を開駆動し、便器1内に溜まっている水および汚物を貯留槽3に排出し、その後フラップ弁9を閉駆動し、便器1と貯留槽3との間を遮断する(S209)。このように、便器1と貯留槽3とをフラップ弁9で遮断しているのは、排泄時に便器1の汚れを防ぐためには便器1にある程度のたまり水が必要であるが、仮に便器1と貯留槽3とが遮断されていない場合、便器1に溜めた水と同じ水位の水が予め貯留槽3側にも溜まってしまい、大量の水を必要となるため、使用水量を少しでも少なくするためであり、更には、汚物が便器1から貯留槽3に排出する際に、便器1に水があり、貯留槽3に水がない状態にしておくことにより、汚物をスムーズに流し出すことができるようにするためである。
【0021】
ここで制御部10は、水位センサ7により検出された信号を水位検出部13を介して0.5秒間隔で読み込み、最近の4回分の検出データの移動平均により現在の貯留槽3内の水位を演算し現在水位をチェックする(S210)。この時点で給水弁5の開駆動により便器1に給水した水は、最初のたまり水1.4リットルと二度目の給水1.2リットルの合計2.6リットルになっているが、この水量では貯留槽3の水位は80mmには満たないようになっており、汚物による水位の上昇分が非常に大きい場合でも、水位が80mmより大きく上昇しないようになっている。これは、初めから多めの水を給水しておき、汚物等によりさらに大幅に水位が上昇して、必要以上の水位になり水を無駄に使ってしまうことを防ぐためと、最悪の場合、便器1や貯留槽3から水が溢れたり、あるいは水が多すぎることにより、ポンプの負荷が大きくなり故障の原因となったりすることを防ぐためである。
【0022】
そこで、通常の場合この時点での貯留槽3内の水位は80mm未満であるため(S210:No)後述する目標給水量演算処理にて、水位が80mmになるために必要な給水量を目標給水量として演算し(S211)、給水弁制御部15により給水弁5を開駆動し、貯留槽3への給水を開始する(S212)。そして、目標給水量を更新してからの給水量が目標給水量以上となったか否かをチェックし(S213)、目標給水量未満であれば(S213:No)再度目標給水量演算処理を実施し(S211)、給水弁5の開を継続し(S212)、貯留槽3への給水を継続する。このようにして随時目標給水量を更新しながら、水量センサ6により検出された給水量が目標給水量以上となるまで貯留槽3への給水を継続し、制御部10は目標給水量以上となったら(S213:Yes)給水弁制御部15により給水弁5を閉駆動し(S214)、そして後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S215)。
【0023】
このようにして貯留槽3内の水位が80mmとなるまで給水するか、もしくは便器1から貯留槽3への排水が終了し貯留槽3への給水が完全に停止した時点で貯留槽3内の水位が80mm以上となっていた場合(S210:Yes)、汚物やトイレットペーパーなどを完全に粉砕・排出するのに十分な水量が貯留槽3内に溜まっているため、引き続いて図6に示す汚物排出処理2の動作に移行する。
【0024】
まず、制御部10は流路切替部16により切替弁5cを便器側に切り替えてから、給水制御部15により給水弁5を開駆動し便器1の洗浄を再度開始する(S216)。また同時に、モータ駆動部14によりモータ4を駆動し(S217)モータ4の回転軸に取り付けられた、カッター4bにより汚物やトイレットペーパーが粉砕され、インペラ4cにより圧送され配水管4dを通して外部に排出される。そして、貯留槽3内の水や粉砕された汚物などが空洞管7aの開口下端部7b付近まで排水され、水位センサ7が水位20mm未満を検出すると(S218)、モータ駆動部14によりモータ4の駆動を停止し排水を終了する(S219)。そうして、貯留槽3内にたまっていた水および汚物やトイレットペーパーなどを排水しながら便器1の洗浄を行い、水量センサ6により検出されたパルス信号を水量検出部12を介して制御部10が受け取り、パルス数をカウントすることで便器1へ供給された流量を演算し、給水弁5を開してからのトータルの給水量が2.5Lから後述する処理により学習している閉後水量を差し引いた水量以上となったら(S220)、給水制御部15により給水弁5を閉駆動する(S221)。さらに、制御部10は後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S222)。そして、制御部10は流路切替部16により切替弁5cを貯留槽側に切り替え(S223)、便器1の洗浄を終了する。
【0025】
その後、制御部10は排水制御部17によりフラップ弁9を開駆動し、便器1内に溜まっている水および汚物を貯留槽3に排出し、その後フラップ弁9を閉駆動し、便器1と貯留槽3との間を遮断する(S224)。そして制御部10は、水位センサ7により検出された信号を水位検出部13を介して0.5秒間隔で読み込み、最近の4回分の検出データの移動平均により現在の貯留槽3内の水位を演算し現在水位をチェックする(S225)。この時点で給水弁5の開駆動により便器1に給水した水は、2.5リットルになっているが、この水量では貯留槽3の水位は100mmには満たないようになっており、汚物による水位の上昇分が非常に大きい場合でも、水位が100mmより大きく上昇しないようになっている。これは、初めから多めの水を給水しておき、汚物等によりさらに大幅に水位が上昇して、必要以上の水位になり水を無駄に使ってしまうことを防ぐためと、最悪の場合、便器1や貯留槽3から水が溢れたり、あるいは水が多すぎることにより、ポンプの負荷が大きくなり故障の原因となったりすることを防ぐためである。また、今回の貯留槽3の水位が100mmと1回目のモータ(ポンプ)4駆動開始時の水位80mmより高く設定されているのは、1回目は水に汚物が多量に含まれており、貯留槽3の喫水面に汚れが付着してしまうため、2回目の給水はその喫水面より水位を高くすることで、貯留槽3の喫水面の汚れを取り除くためである。
【0026】
そこで、通常の場合この時点での貯留槽3内の水位は100mm未満であるため(S225:No)後述する目標給水量演算処理にて、水位が100mmになるために必要な給水量を目標給水量として演算し(S226)、給水弁制御部15により給水弁5を開駆動し、貯留槽3への給水を開始する(S227)。そして、目標給水量を更新してからの給水量が目標給水量以上となったか否かをチェックし(S228)、目標給水量未満であれば(S228:No)再度目標給水量演算処理を実施し(S226)、給水弁5の開を継続し(S227)、貯留槽3への給水を継続する。このようにして随時目標給水量を更新しながら、水量センサ6により検出された給水量が目標給水量以上となるまで貯留槽3への給水を継続し、制御部10は目標給水量以上となったら(S228:Yes)給水弁制御部15により給水弁5を閉駆動し(S229)、そして後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S230)。
【0027】
このようにして貯留槽3内の水位が100mmとなるまで給水するか、もしくは便器1から貯留槽3への排水が終了し貯留槽3への給水が完全に停止した時点で貯留槽3内の水位が100mm以上となっていた場合(S225:Yes)、制御部10はモータ駆動部14によりモータ4の駆動を開始し(S231)、モータ4の回転軸に取り付けられた、カッター4bにより汚物やトイレットペーパーが粉砕され、インペラ4cにより圧送され配水管4dを通して外部に排出される。そして、貯留槽3内の水や粉砕された汚物などが空洞管7aの開口下端部7b付近まで排水され、水位センサ7が水位20mm未満を検出すると(S232)、モータ駆動部14によりモータ4の駆動を停止し排水を終了する(S233)。
【0028】
その後、配水管4dを通して外部の下水と貯留槽3とが通じているため、貯留槽3内に水をためることで、臭気や動物等が室内に入ってくることを防ぐため、制御部10は切替弁5cを貯留槽側としたままで再び給水弁制御部15により給水弁5を開駆動し、貯留槽3に水を給水する(S234)。そして水量センサ6により検出されたパルス信号を水量検出部12を介して制御部10が受け取り、パルス数をカウントすることで貯留槽3へ供給された流量を演算し、給水弁5を開してからのトータルの給水量が1.7Lから後述する処理により学習している閉後水量を差し引いた水量以上となったら(S235)、給水制御部15により給水弁5を閉駆動し、貯留槽3への水ためを終了する(S236)。そして後述する閉後給水量記憶処理にて給水弁5を閉駆動してから、給水が完全に停止されるまでの給水量を学習する(S237)。
【0029】
次に目標給水量演算処理について図7のフローチャートを用いて説明する。図5および図6で説明した汚物排出処理中、便器1から貯留槽3への排水が終了した時点で貯留槽3内の水位が100mm未満であった場合(S209〜S210)、不足している水位に相当する水を貯留槽3へ給水するため、まず目標給水量演算待ちタイマが0かどうかをチェックするが(S301)、最初にこの処理ルーチンを実行するときはこのタイマは0であるため(S301:Yes)、次の演算タイミングを計るため目標給水量演算待ちタイマを0.5秒にセットしタイマをスタートさせる(S302)。そして、目標とする水位80mm(もしくは100mm)と現時点の水位との差を水位差として記憶する(S303)。次に貯留槽3の現在水位部分の面積と、先ほど記憶した水位差とから、水位を80mm(もしくは100mm)にするために必要な水量を演算し不足水量として記憶する(S304)。そしてこの不足水量から、後述する閉後給水量記憶処理にて求められた閉後給水量を差し引き、目標水量を演算する(S305)。
【0030】
このようにしてこの処理ルーチンを終了し、汚物排出処理ルーチンに戻り貯留槽3への給水が開始され、今演算された目標水量に水量センサ6により検出された水量が達していなければ、再度図7の目標給水量演算処理が行われるが、目標水量が更新されてから0.5秒以内であれば、目標給水量演算待ちタイマは0とはなっていないため(S301:No)何も処理をせずに終了し、汚物排出処理ルーチンへ戻る。そして前回目標水量が更新されてから0.5秒経過した後、再度この処理ルーチンが実行されると(S301:Yes)、目標とする水位80mm(もしくは100mm)と現時点の水位との差、貯留槽3の面積および給水弁5を閉駆動してから実際に給水が停止するまでの水量の学習値から、目標水量が演算され(S303〜S305)、この動作の繰り返しにより、貯留槽3の水位を80mm(もしくは100mm)にするための目標水量が0.5秒周期で更新される。ここで、0.5秒周期で目標水量を更新するようにしたのは、現在水位の演算が、水位センサ7により検出された信号を水位検出部13を介して0.5秒間隔で読み込み、最近の4回分の検出データの移動平均により現在の貯留槽3内の水位を演算しており、0.5秒周期で更新されるからである。
【0031】
このようにして、汚物やトイレットペーパーなどを確実に粉砕・排出するために必要な貯留槽3内の水位80mm(もしくは100mm)になるまで、水量センサ6の検出流量に基づいて給水を行うことで、水位センサ7の検出値により現在水位が更新されるまでの遅れ時間により、80mm(もしくは100mm)以上になっても給水を継続し、必要以上に貯留槽3に水をためることを防ぐことができる。
【0032】
次に、給水弁5を閉駆動してから実際に水が止まるまでの漏れの量を学習する、閉後給水量記憶処理について図8のフローチャートにより説明する。図4や図5、図6で説明した水ため処理や汚物排出処理の中で、制御部10は給水弁制御部15により給水弁5を閉駆動した後、都度この処理が実行される。まず、最近3回の給水弁5を閉駆動した後に給水された水量を順次、閉後水量2を閉後水量3へ、閉後水量1を閉後水量2へ、閉後水量0を閉後水量1へ代入する(S401)。そして水量センサ6から出力されるパルスがなくなり、瞬間流量が0となるまでウェイトし(S402)、給水弁5を開して給水を開始してから現時点までのトータルの給水量から、給水弁5を開して給水を開始してから給水弁5を閉駆動した時点までのトータルの給水量を差し引き、給水弁5を閉駆動してから実際に水が止まるまでの漏れ量を演算し、閉後水量0として記憶する(S403)。そして、最新の閉後水量0と過去3回の閉後水量0〜3の平均を求め、次回の給水時に給水弁5を閉駆動するときの、漏れ量の予測値として閉後水量を演算する(S404)。
【0033】
このようにして、過去4回の給水弁5を閉駆動してから、実際に水量センサ6の検出流量が0になるまでの間に給水された水量の移動平均により、次に給水する際に給水弁5を閉駆動してから完全に給水が停止するまでの間の給水量を予測し、その予測量分だけ早く給水を停止することにより、便器1をへのたまり水の供給や、用便後の洗浄や、汚物やトイレットペーパーを粉砕・排出するための貯留槽3への給水を、必要量確実に給水することが可能となるとともに、必要以上の水を給水することがなくなり節水することが可能となる。
【0034】
以上のフローチャートに従って制御された場合の、圧送式水洗トイレ装置の動作の具体例について図9のタイミングチャートおよび、図10の装置内の水位変化の図を用いて説明する。
【0035】
まず、誰も使用していないときは図10(a)のように便器1には水が溜められておらず、貯留槽3には既に50mmの水が溜まっているため、水位センサ7からは50mmに相当する信号が出力されている。そして使用者が用便前にスイッチを操作すると便器1へのたまり水の供給が開始される。まず、切替弁5cが便器1側に切り替えられ、そして給水弁5が開駆動され、便器1への給水が開始されるが、このとき貯留槽3には既に50mmの水が溜まっているため、水位センサ7からは50mmに相当する信号が出力されている。そして便器1への給水が開始されると水量センサ6から給水量に応じたパルス信号が送られ、給水開始からそのパルス数を積算し、給水量が1.4リットルになる前に(1.4リットルから給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら)、給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に1.4リットルの水が便器1に給水され、たまり水の供給が完了する。そしてたまり水の供給が完了すると、切替弁5cは貯留槽3側へ切り替えられる。また、このとき貯留槽3に対しては給水も排水もされていないため水位センサ7の信号は最初の50mmから変化はない。したがってこのとき装置内に溜まっている水の状態は図10(b)のように、便器1には1.4リットルの水が溜まっており、貯留槽3には50mmの水が溜まった状態になっている。
【0036】
次に用便後、使用者がスイッチを操作すると汚物の排出が開始される。まず、切替弁5cが便器1側に切り替えられ、そして給水弁5が開駆動され、便器1への給水が開始される。また、このとき貯留槽3に封水のために溜められた水を排出するため、モータ(ポンプ)4が駆動される。そして、便器1への給水と、貯留槽3の排水を行いながら、水位センサ7の信号が水位20mm相当になると、モータ(ポンプ)4の駆動が停止されるが、モータ(ポンプ)4が惰性で回転している間は貯留槽3の中の水が排水されるため、水位センサ7の信号は20mm相当よりも更に低下し、空洞管7aの開口下端部7b以下まで水が排出されると、水位センサ7にかかる圧力は大気と同じとなり水位センサ7の信号は一定となる。その後も便器1への給水が継続されるが、給水開始から水量センサ6により検出された積算流量が、1.2リットルになる前に(1.2リットルから給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら)、給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に1.2リットルの水が便器1に給水され、便器1の洗浄が完了する。そして便器1の洗浄が完了すると、切替弁5cは貯留槽3側へ切り替えられる。そしてこのときの装置内に溜まっている水の状態は図10(c)のように、便器1には2.6リットルの水が溜まっており、貯留槽3内にはほとんど水がない状態になっている。
【0037】
その後、フラップ弁9が開閉されると、便器1内の汚水および汚物が貯留槽3の方へ排出されるため、水位センサ7が検出する信号は水位80mm前後相当まで上昇する。そして、水位センサ7の検出信号が80mmに不足している場合、その不足している水位から必要な給水量(目標給水量)を演算し、給水弁5が開駆動され貯留槽3への給水が開始される。そして、貯留槽3への給水を行いながら、逐次その時点の不足水量から必要な給水量(目標給水量)を演算し、目標給水量が更新されてから水量センサ6により検出された積算流量が、目標給水量から給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら、給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に貯留槽3内の水位が80mmになるまで給水され、装置内に溜まっている水の状態は図10(d)のように、便器1には水がなく、貯留槽3には80mmの水が溜まった状態になっている。
【0038】
その後、切替弁5cが便器1側に切り替えられ、そして給水弁5が開駆動され、便器1への給水が開始される。また、このときモータ(ポンプ)4が駆動され貯留槽3内の汚物を粉砕するとともに、外部に圧送・排出されると、貯留槽3内の水位が徐々に低下するため水位センサ7が検出する信号も徐々に小さくなり、水位センサ7の信号が水位20mm相当になると、モータ(ポンプ)4の駆動が停止されるが、モータ(ポンプ)4が惰性で回転している間は貯留槽3の中の水が排水されるため、水位センサ7の信号は20mm相当よりも更に低下し、空洞管7aの開口下端部7b以下まで水が排出されると、水位センサ7にかかる圧力は大気と同じとなり水位センサ7の信号は一定となる。その後も便器1への給水が継続されるが、給水開始から水量センサ6により検出された積算流量が、2.5リットルになる前に(2.5リットルから給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら)、給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に2.5リットルの水が便器1に給水され、便器1の洗浄が完了する。そして便器1の洗浄が完了すると、切替弁5cは貯留槽3側へ切り替えられる。そしてこのときの装置内に溜まっている水の状態は図10(e)のように、便器1側にに2.5リットル相当の水が溜まっており、貯留槽3内にはほとんど水がない状態になっている。
【0039】
その後、フラップ弁9が開閉されると、便器1内の汚水および汚物が貯留槽3の方へ排出されるため、水位センサ7が検出する信号は水位100mmよりやや低い位置相当まで上昇する。そして、水位センサ7の検出信号が100mmに不足している場合、その不足している水位から必要な給水量(目標給水量)を演算し、給水弁5が開駆動され貯留槽3への給水が開始される。そして、貯留槽3への給水を行いながら、逐次その時点の不足水量から必要な給水量(目標給水量)を演算し、目標給水量が更新されてから水量センサ6により検出された積算流量が、目標給水量から給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら、給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に貯留槽3内の水位が100mmになるまで給水され、装置内に溜まっている水の状態は図10(f)のように、便器1には水がなく、貯留槽3に100mmの水が溜まった状態になっている。
【0040】
その後、モータ(ポンプ)4が駆動され貯留槽3内の汚物を粉砕するとともに、外部に圧送・排出されると、貯留槽3内の水位が徐々に低下するため水位センサ7が検出する信号も徐々に小さくなり、水位センサ7の信号が水位20mm相当になると、モータ(ポンプ)4の駆動が停止されるが、モータ(ポンプ)4が惰性で回転している間は貯留槽3の中の水が排水されるため、水位センサ7の信号は20mm相当よりも更に低下し、空洞管7aの開口下端部7b以下まで水が排出されると、水位センサ7にかかる圧力は大気と同じとなり水位センサ7の信号は一定となり、このときの装置内に溜まっている水の状態は図10(g)のように、便器1には水が全くなく、貯留槽3内にもほぼ水が無くなっている状態になる。
【0041】
最後に、下水との縁切りのための封水を貯留槽3に溜めるため、給水弁5が開駆動され、貯留槽3への給水が開始される。このとき水量センサ6からの信号に加え、水位センサ7の検出信号も給水量に応じて変化している。そして、給水開始から水量センサ6により検出された積算流量が、1.7リットルから給水弁5閉駆動後の漏れ量ほ引いた水量になったら給水弁5が閉駆動される。そして給水弁5が閉駆動された後も、給水弁5が完全に止水するまでの間少量の水が漏れるため、最終的に1.7リットルの水が貯留槽3に給水され、封水が溜められ、汚物の排出動作が完了する。そして一連の動作が完了した時点での装置内の水位の状態は図10(h)のように便器1側にな何もなく、貯留槽3側に50mmの水が溜まっている。
【0042】
このようにして、圧送式水洗トイレ装置は制御されることで、汚物を粉砕・排出するのに必要な水量を精度良く供給することにより、給水量不足により汚物を完全に粉砕・排出できずに故障に至ることを防ぐとともに、必要以上の水を給水しないことにより節水することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の圧送式水洗トイレ装置の第一実施例を表す構成図。
【図2】本発明の圧送式水洗トイレ装置の第二実施例を表す構成図。
【図3】本発明の制御装置の構成を表すブロック図。
【図4】本発明の便器使用前の水ため動作の内容を表すフローチャート。
【図5】本発明の汚物排出処理の内容を表すフローチャート。
【図6】本発明の汚物排出処理2の内容を表すフローチャート。
【図7】本発明の目標水量演算処理の内容を表すフローチャート。
【図8】本発明の閉後給水量記憶処理の内容を表すフローチャート。
【図9】本発明の圧送式水洗トイレ装置の動作タイミングを表すタイミングチャート。
【図10】本発明の装置内の水位変化の図。
【符号の説明】
【0044】
1…便器
2…排出口
3…貯留槽
4…モータ
4a…粉砕室
4b…カッター
4c…インペラ
4d…配水管
5…給水弁
5a…給水配管
5b…貯留槽用給水配管
5c…切替弁
6…流量センサ
7…水位センサ
7a…空洞管
7b…空洞管の開口下端部
8…制御装置
9…フラップ弁
10…制御部(CPU)
12…水量検出部
13…水位検出部
14…モータ駆動部
15…給水弁制御部
16…流路切替部
17…排水制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、前記便器のボウルにを供給する給水配管と、
前記便器の排出口を通じて接続され、前記排出口から排出された及び汚物を内部に貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の内部に設けられ、回転して前記汚物を粉砕するカッターと、
前記貯留槽の内部へ水を供給する貯留槽用給水配管と、
前記貯留槽の内部及び汚物を前記貯留槽の外部へ圧送する圧送手段と、
前記カッターおよび前記圧送手段を制御する制御手段と、
を備える圧送式水洗トイレ装置において、
前記制御手段は、前記便器の水及び汚物が前記貯留槽の内部に排出されると、前記カッターおよび前記圧送手段の1回目の駆動を開始させ、前記貯留槽の内部の水及び汚物を外部へ圧送した後に、前記貯留槽の内部に給水して前記カッターおよび前記圧送手段の2回目の駆動を開始させるものであって、前記2回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動の開始時の前記貯留槽の内部の水位を、前記1回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動時よりも高くすることを特徴とする圧送式水洗トイレ装置。
【請求項2】
前記排出口を開閉するフラップ弁を備えるとともに、下水との縁を切るための封水を前記貯留槽の内部に貯留するよう構成され、
前記制御手段は、前記封水の水位を前記排出口の下端より低くし、前記1回目および2回目の前記カッターおよび前記圧送手段の駆動の開始時に、前記排出口を閉じて前記貯留槽の内部の水位を前記排出口の下端より高くすることを特徴とする請求項1記載の圧送式水洗トイレ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−46979(P2009−46979A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308028(P2008−308028)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【分割の表示】特願2005−149247(P2005−149247)の分割
【原出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】