説明

圧電トランス高圧電源回路

【課題】 圧電素子を基板に自動実装する際に圧電素子の焦電効果により発生する過電圧によって生じる圧電素子の駆動素子の破壊を防止する。
【解決手段】 圧電トランス高圧電源回路において、圧電素子を実装する際の温度上昇による圧電素子の焦電効果によって発生する電荷を放電する放電用素子を、圧電素子の一次側端子間に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電トランスを用いる高圧電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来から知られている電子写真方式の画像形成装置において、像担持体としての感光体に画像を形成して記録紙を当接させて画像の転写を行う方式を採用している。この場合、記録紙に画像を転写するための転写部材には金属の軸にローラ状の導電性ゴムを巻きつけた転写ローラを用い、感光体の回転速度(プロセススピードともいう)に合わせ回転駆動させている。そして、転写部材に印加する電圧としては直流電圧(直流バイアスともいう)を用いている。
【0003】
しかし、このような転写ローラを用いて良好に画像を転写するためには、一般的には3kV以上の高電圧(必要となる電流値は数μA)を転写ローラに印加する必要があった。前述したような画像形成(画像の転写)に必要とされる高電圧を生成するために、従来は巻線式の電磁トランスを使用していた。
【0004】
電磁トランスは、銅線,ボビン,磁芯で構成されており、前述のような仕様の画像形成装置に用いる場合は、出力電流値が数μA程度という微小な電流値にするために、回路の各部に於いて漏れ電流をできるだけ小さくしなければならなかった。そのため、電磁トランスの巻線をモールド等により絶縁する必要が有った。また、供給電力に比例して大きなトランスを必要としたため、供給電力が大きくなれば回路を含む高電圧電源装置が大型化する傾向にあり、装置の小型化や軽量化のための妨げとなっていた。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するために、薄型で軽量の高出力の圧電トランスを用いて高電圧を発生させることが提案されている(例えば特許文献1参照))。特許文献1には、セラミックを素材とした圧電素子を用いて圧電トランスを構成して高電圧を発生する回路が開示されている。これにより、電磁トランス以上の効率で高電圧を生成することが可能となり、しかも、電源回路の一次側と二次側の電極間の距離を大きくすることが可能となる。そして、電磁トランスのように特別に絶縁のためにモールド加工する必要もないので、高圧電源装置を小型化・軽量化することができる。
【0006】
次に、図6を用いて、圧電トランスを用いた高圧電源装置の動作について説明する。
【0007】
まず、オペアンプ109の反転入力端子(−端子)に抵抗114を介して不図示のコントローラから出力されたアナログ信号である高圧出力制御信号(以降Vcontという)が入力される。一方、オペアンプ109の非反転入力端子(+端子)には出力電圧(以降Voutという)を抵抗105、106、107によって分圧した電圧が、保護用抵抗108を介して入力される。オペアンプ109は反転入力端子(−端子)に入力されるVcontの電圧値と、Voutを抵抗105、106、107によって分圧した分圧電圧が同じになるように出力端子から電圧を出力する。オペアンプ109の出力端子は電圧制御発振器(VCO)110に接続される。電圧制御発振器(VCO)110はオペアンプ109の出力電圧に応じた周波数でトランジスタ111をスイッチングさせ圧電トランス101の一次側に電圧を供給する。圧電トランス101は一次側に供給された駆動周波数に応じて振動し、2次側に圧電トランス101のサイズに応じた昇圧比で増幅した交流電圧を発生させる。発生した交流電圧はダイオード102、103及び高圧コンデンサ104によって正電圧に整流平滑され負荷(例えば不図示の転写ローラ)に供給される。
【0008】
ここで、圧電トランスの特性(駆動周波数と出力電圧との関係)は一般的に図9に示すような共振周波数f0において、出力電圧が最大となるような裾広がりな形状をしている。この特性に基づいて駆動周波数を調整して出力電圧の制御が可能である。共振周波数f0よりも高い駆動周波数で出力電圧の制御を行う場合、例えば、駆動周波数を高い方から低い方へ変化させることで圧電トランスの出力電圧を増加させることが可能となる。逆に、共振周波数f0よりも低い駆動周波数で出力電圧の制御を行う場合、例えば、駆動周波数を低い方から高い方へ変化させることで出力電圧を増加させることができる。なお、入力電圧波形は図10に示すような電圧波形を入力する構成を採用している。
【0009】
一般的に、圧電素子はその製造過程において、圧電素子に一次側電極と二次側電極とを設け、各電極に高電圧を印加すると共に、熱を加えるための分極工程がある。この分極工程で印加する電圧の極性に応じて、分極方向が決まり圧電素子の特性が付与される。
【0010】
さらに、圧電素子は、急激な温度変化に伴い、圧電素子表面に電荷が発生する焦電効果という現象を有する。圧電素子の焦電効果により発生する電圧は、圧電素子の一次側電極の極性に応じて、正の電圧と負の電圧が生じる。
【特許文献1】特開平11−206113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
圧電素子を基板に実装する際には、前述の圧電素子の特性に留意する必要がある。つまり、圧電素子に急激な温度変化を与えないよう留意する必要がある。従来は、圧電素子を人が一つ一つ基板に半田付けするように実装し、急激な温度変化が無いように留意していた。しかし、高圧電源装置には圧電素子は複数個実装される場合もあり、人手による半田実装の工程は時間を要するのに加えて実装のミスが発生することも想定される。したがって、実装精度の低下や生産性の低下が懸念される。
【0012】
また、実装精度の低下や生産性の低下をなくすために、圧電素子を人手による実装ではなく自動実装(例えば、フロー実装による半田付け)しようとすると次のような問題が生じる。
【0013】
圧電素子の基板への自動実装する際に、半田の噴流による急激な温度変化によって圧電素子に前述の焦電効果が生じる。これにより、圧電素子の一次側端子間に過電圧が発生し基板パターンを介して放電することになる。
【0014】
図7に圧電素子の基板への自動実装の際における圧電素子の温度変化と、圧電素子の焦電効果によって一次端子間に発生する電圧を示す。図7に示すように、基板実装の際の予備加熱により徐々に圧電素子の温度が上昇すると共に、焦電効果により圧電素子の一次側端子間に電圧が発生する。この電圧は、温度上昇に追従して上昇する。そして、半田の一次噴流に突入する際に、温度が急上昇することで圧電素子の一次端子間に過電圧が発生する。また、一次噴流の半田槽を介して、一次側端子間が短絡されることで電圧が0Vになる。次の二次噴流も同様で、噴流突入の際に温度が急上昇し圧電トランスの一次側端子間に過電圧が発生する。そして、半田槽を介して一次側端子間が短絡され、電圧が0Vになる。このような焦電効果によって発生する過電圧によって圧電素子を駆動するための部品が破壊される可能性がある。
【0015】
図8(a)に示すように、基板の搬送方向と圧電素子の長手方向とが平行になるように配置されていると、一次側端子1,2(入力側)と二次側端子3(出力側)の間で、半田実装される時間差が大きくなる。そして、半田槽を介して端子間を短絡する間隔が大きくなるので、焦電効果により発生する電圧も高くなり、その高電圧が基板パターンを介して放電される。
【0016】
また、図8(b)に示すように、基板の搬送方向と圧電素子の短手方向と平行に配置することにより、圧電トランスの全ての端子がほぼ同時に半田実装される。この場合、半田槽を介して端子間を短絡する間隔が短くなり、焦電効果により発生する電圧も低くなるが、基板パターンを介して放電され電圧が駆動回路素子に印加する。
【0017】
図6に示すように、圧電素子101の焦電効果により正の電圧が発生する端子にスイッチング素子111であるバイポーラトランジスタのコレクタ端子が接続されている。そして、圧電素子101の負の電圧が発生する側にスイッチング素子111のエミッタ端子が接続されている。このような場合、スイッチング素子111のベース−コレクタ間が半田噴流によって短絡された状態で、圧電素子101の焦電効果による一次側端子とランド間での放電が発生した時に、コレクタ端子に正の過電圧が印加される。そして、短絡しているベースの電位を押し上げ、ベース−エミッタ間の電位差が保護ダイオードの降伏電圧を超えてしまいスイッチング素子111の破壊が起きる問題が生じる。
【0018】
また、この問題はスイッチング素子111が電界効果トランジスタであっても同様に発生する。
【0019】
本発明は、上記のように、圧電素子を基板に自動実装する際の問題点を解決するためになされたものである。
【0020】
本発明は、圧電素子を基板に自動実装可能とした圧電トランス高圧電源回路及び圧電トランス高圧電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するための、本発明の圧電トランス高圧電源回路は、圧電素子と、前記圧電素子の一次側を駆動するスイッチング素子と、前記圧電素子を前記スイッチング素子で駆動して該圧電素子の二次側端子から発生される出力を整流して高電圧を得る圧電トランス高圧電源回路において、前記圧電素子を実装する際の温度上昇による該圧電素子の焦電効果によって発生する電荷を放電する放電用素子を、前記圧電素子の一次側端子間に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、圧電素子を基板に自動実装する際に、圧電素子の焦電効果により発生する過電圧に対して、圧電素子の駆動用の素子の破壊を防止することができる。これにより、圧電素子の基板への自動実装を可能とし、実装精度の向上および生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。但し、本実施形態はあくまで例示であり、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
【0025】
図3は、本実施形態の一適用装置である画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【0026】
図3において、401はカラーレーザプリンタ、402は記録紙32を収納するデッキ、403はデッキ402内の記録紙32の有無を検知するデッキ紙有無センサ、404はデッキ402から記録紙32を繰り出すピックアップローラである。405は前記ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送するデッキ給紙ローラ、406は前記デッキ給紙ローラ405と対をなし記録紙32の重送を防止するためのリタードローラである。そして、デッキ給紙ローラ405の下流には記録紙32を同期搬送するレジストローラ対407、前記レジストローラ対407への記録紙32の搬送状態を検知するセンサ408が配設されている。
【0027】
またレジストローラ対407の下流には、静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBという)409が配設されている。前記ETB409上には後述する4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBk)分のプロセスカートリッジ410Y、410M、410C、410Bkと、スキャナユニット420Y、420M、420C、420Bkからなる画像形成部によって形成された画像が、転写ローラ430Y、430M、430C、430Bkによって順次重ね合わされてカラー画像が形成される。形成されたカラー画像は、記録紙32上に転写され、記録紙32は下流に搬送される。下流には記録紙32上に転写されたトナー像を熱定着するために内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434対、定着ローラ433からの記録紙32を搬送するための、定着排紙ローラ対435、定着部からの搬送状態を検知する定着排紙センサ436が配設されている。
【0028】
また、前記各スキャナユニット420は、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光するレーザユニット421、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査するためのポリゴンミラー422とスキャナモータ423、結像レンズ群424より構成されている。そして、前記各プロセスカートリッジ410には公知の電子写真プロセスに必要な感光ドラム305、帯電ローラ303と現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、レーザプリンタ401本体に対して着脱可能に構成されている。さらに、前記ビデオコントローラ440は、パーソナルコンピュータ等の外部装置441から送出される画像データを受け取るとこの画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
【0029】
また、201はカラーレーザプリンタ401の制御部であるDCコントローラである。DCコントローラ201は、RAM207a、207b、タイマ207cデジタル入出力ポート207b、D/Aポート207eを備えたMPU(マイクロコンピュータ)207を有している。また、その他の各種入出力制御回路(不図示)等で構成される。
【0030】
202は高圧電源(圧電トランスを用いた高圧電源装置)であり、各プロセスカートリッジ410に対応した帯電電圧出力用の高圧電源(不図示)と、現像電圧出力用の高圧電源(不図示)とを有する。さらに高圧電源202は、各転写ローラ430に高電圧を出力可能な圧電トランスを使用した転写電圧出力用の高圧電源とで構成されている。
【0031】
なお、画像形成装置として、カラーレーザプリンタ画像形成装置を例に説明した。しかしながら、高電圧を用いる画像形成装置であればモノクロレーザプリンタやその他の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0032】
次に、本実施形態の圧電トランス高圧電源装置の回路構成について、圧電素子および駆動回路素子の実装位置関係および構成の詳細について図1、図2、図8を用いて説明する。
【0033】
また、本実施形態で説明する圧電トランスは、図8に示すように、圧電素子の一次側端子(入力部)1ピン及び2ピンと二次側端子(出力部)3ピンから構成される三端子の圧電トランスとする。
【0034】
圧電素子を基板に自動実装するために、高圧電源回路基板を半田槽に搬送する際に、図8(b)に示すように基板の搬送方向に圧電素子の短手方向を配置する事で、半田槽を介して端子間を短絡する間隔を短くして焦電効果により発生する電圧も低くする。
【0035】
さらに、圧電素子からの放電が発生する時点で放電された電荷の経路を確保する為、圧電素子及び駆動回路素子の実装位置関係を以下のようにする。
【0036】
自動実装する際に、第一に駆動用スイッチング素子以外の回路素子が半田付けされる。次に駆動用スイッチング素子が半田付けされる。最後に圧電素子の順に半田付けされる。このような素子の配置とする。
【0037】
そして、図1に示すように、スイッチング素子111は、バイポーラトランジスタ111である。圧電素子101の焦電効果の際に正の電圧が発生する一次側端子にダイオード119のアノードを接続し、かつ前記スイッチング素子111のエミッタ端子を接続する。さらに、圧電素子101の負の電圧が発生する一次側端子に前記ダイオード119のカソードを接続し、かつ前記スイッチング素子111のコレクタ端子を接続する。
【0038】
このように構成とすることにより、圧電素子を実装するために基板を半田槽に搬送する際に、圧電素子の焦電効果による放電発生時に前記ダイオード119が動作する。そして、放電による電荷の経路を、圧電素子101の一次側端子からダイオード119を介して、圧電素子101の一次側端子への放電経路を形成する。つまりダイオード119が焦電効果によって生じる電圧を放電用素子として機能する。これにより、圧電素子101の駆動用スイッチング素子111の破壊を防止することが出来る。
【0039】
本実施形態ではダイオード119をスイッチング素子111のエミッタ−コレクタ間に対して、並列に接続されるようにして内蔵するボディダイオードとしても良い。
【0040】
また、図2に示すように、圧圧素子101の焦電効果の際に正の電荷が発生する一次側端子に定電圧素子であるツェナーダイオード120のアノードを接続する。さらに、圧電素子101の負の電荷が発生する一次側端子にツェナーダイオード120のカソードを接続する。この構成でも同様の効果を得られる。
【0041】
さらに、本実施形態ではスイッチング素子にバイポーラトランジスタを用いたが、電界効果トランジスタを用いる場合も同様の効果を得られる。
【0042】
本実施形態では三端子の圧電トランスを用いたが、三端子以外の圧電トランスを用いる場合でも適用可能である。
【0043】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。ただし、第1実施形態と重複する内容の説明は省略する。
【0044】
第1実施形態との相違点は、図4に示すようにスイッチング素子111がバイポーラトランジスタである点である。圧電素子101の一次側端子間へツェナーダイオード120、121二つを反対方向に直列に接続する。
【0045】
以上の構成で圧電素子を自動実装するために、高圧電源回路基板を半田槽に搬送する際、圧電素子101の焦電効果による放電発生時にツェナーダイオード121、120が動作する。そして、放電による電荷の経路を圧電素子101の一次側端子からツェナ−ダイオード121、120を介して、圧電素子101の一次側端子への放電経路が形成される。これにより、圧電素子101の駆動用スイッチング素子破壊を防止することが出来る。
【0046】
本実施形態の効果としては、分極の向きによる焦電効果の発生電圧の極性に影響を受けることがない。また、通常動作時に圧電素子101への入力電圧に対して影響を与えないように、図10に示すような電圧波形の入力電圧(フライバック電圧ともいう)よりツェナー電圧の方が高いツェナーダイオードを使用することが前提となる。
【0047】
本実施形態ではスイッチング素子にバイポーラトランジスタを用いたけれども、電界効果トランジスタを用いる場合も同様の効果を得られる。
【0048】
本実施形態では三端子の圧電トランスを用いたが、三端子以外の圧電トランスを用いる場合でも適用可能である。
【0049】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施例を図1、図2、図4及び図5に基づいて説明する。
ただし、上記の実施形態1,2と重複する内容の説明は省略する。
【0050】
本実施形態では、図1、図2及び図4に示す圧電素子を用いた高圧電源回路基板を半田槽に搬送する際に、図5(a)に示すように圧電素子の駆動用スイッチング素子の端子を短絡する機能を有するパターン配線を用いる。このスイッチング素子はバイポーラトランジスタであり、半田槽には最初にエミッタ端子から入り、次にコレクタ端子、最後にベース端子の順番で半田実装される。この場合に、エミッタ端子のパターン配線のレジストを被せないパターン配線にする。これにより、エミッタ端子付近の半田噴流状態に影響されず、かつ半田槽をエミッタ端子が通過後でも、エミッタ端子と同電位の前記パターン配線と半田槽を介してエミッタ端子−コレクタ端子間、エミッタ端子−ベース端子間、さらにエミッタ端子−ベース端子−コレクタ端子間が短絡することが出来る。
【0051】
これにより、ベース端子−コレクタ端子間だけが半田によって短絡することが無くなり、圧電トランスの焦電効果による一次側端子とランド間の放電発生時に、コレクタ端子に過電圧が印加されても、ベース端子−エミッタ端子間の保護ダイオードの降伏電圧を超える事が無い。このため、スイッチング素子の破壊を防止することが出来る。
【0052】
さらに、図5(b)に示すように、バイポーラトランジスタが半田槽にベース端子から入り、コレクタ端子、エミッタ端子の順番に半田実装される際にも、同様にエミッタの配線レジストを被せないパターン配線にする事で、図5(a)と同様の効果を得ることが出来る。
【0053】
もしくは図5(c)に示すように、基板の搬送方向に対してバイポーラトランジスタ各端子がほぼ同時に半田実装される配置の場合でも、半田噴流状態に影響されないので、同様の効果を得ることが出来る。
【0054】
本実施形態ではスイッチング素子にバイポーラトランジスタを用いたけれども、電界効果トランジスタを用いる場合も同様である。電界効果トランジスタを用いる場合には、電界効果トランジスタのソース端子とゲート端子間を短絡するか、ソース端子−ドレイン端子間を短絡すればよい。
【0055】
本実施形態では三端子の圧電トランスを用いたが、三端子以外の圧電トランスを用いる場合でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧電トランス高圧電源の回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る圧電トランス高圧電源の回路図である。
【図3】本発明に係るカラーレーザプリンタの構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る圧電トランス高圧電源の回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る、圧電トランスとスイッチング素子の位置関係及びパターン配線を示す図である。
【図6】従来の圧電トランス高圧電源の回路図である。
【図7】基板を自動実装する際の圧電素子の端子温度と焦電効果による圧電素子の一次端子間の発生電圧を示す図である。
【図8】圧電トランスの実装方向を示す図である。
【図9】圧電トランスの周波数特性を表す図である。
【図10】圧電トランスの一次側への入力電圧波形を表す図である。
【符号の説明】
【0057】
101 圧電トランス
111 バイポーラトランジスタ
119 ダイオード
201 DCコントローラ
401 カラーレーザプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、前記圧電素子の一次側を駆動するスイッチング素子と、前記圧電素子を前記スイッチング素子で駆動して該圧電素子の二次側端子から発生される出力を整流して高電圧を出力する圧電トランス高圧電源回路において、
前記圧電素子を実装する際の温度上昇による該圧電素子の焦電効果によって発生する電荷を放電する放電用素子を、前記圧電素子の一次側端子間に接続することを特徴とする圧電トランス高圧電源回路。
【請求項2】
前記放電用素子はダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項3】
前記放電用素子は、前記スイッチング素子に内蔵されるダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項4】
前記放電用素子は定電圧素子を含み、該定電圧素子はツェナーダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項5】
前記放電用素子は定電圧素子を含み、該定電圧素子は、前記圧電素子の一次側端子間にツェナーダイオード二つを反対方向に直列に接続して構成されることを特徴とする請求項1に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項6】
前記スイッチング素子の端子を短絡する機能を有するパターン配線を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項7】
前記パターン配線は、レジストを被せないパターン配線を用いることを特徴とする請求項6に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、電界効果トランジスタであって、当該電界効果トランジスタのソース端子とゲート端子間を短絡することを特徴とする請求項7に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項9】
前記スイッチング素子は、電界効果トランジスタであって、該電界効果トランジスタのソース端子−ドレイン端子間を短絡することを特徴とする請求項7に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項10】
前記スイッチング素子は、バイポーラトランジスタであって、該バイポーラトランジスタのエミッタ端子−ベース端子間を短絡することを特徴とする請求項7に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項11】
前記スイッチング素子は、バイポーラトランジスタであって、該バイポーラトランジスタのエミッタ端子−コレクタ端子間を短絡することを特徴とする請求項7に記載の圧電トランス高圧電源回路。
【請求項12】
前記圧電素子を基板に実装する際は、前記スイッチング素子および前記スイッチング素子に接続される回路素子の実装位置よりも半田槽への基板の搬送方向に対して、前記圧電素子が後に位置することを特徴とする請求項1乃至11に記載の圧電トランス高圧電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−153293(P2009−153293A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328715(P2007−328715)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】