説明

地下構造物用筐体

【課題】製造コストを低減し、かつ迅速簡単に設置作業を行なうことができる地下構造物用筐体を提供する。
【解決手段】内周面に雌ネジ部12aを有する外筒体12と、雌ネジ部12aと螺合する雄ネジ部13aを外周面に有して高さ調整可能に外筒体12に装着される内筒体13と、外筒体12に装着された内筒体13を位置決めする位置決め手段とを備え、位置決め手段が、外筒体12の雌ネジ部12aに軸心方向に形成された溝部14aと、内筒体13の周壁に形成された1個のネジ孔に螺着するネジ部を有して径方向に移動可能な押圧部材と、内筒体13の周壁における雄ネジ部13aの位置に形成された少なくとも1個の係合孔14fに着脱可能に係合する位置決め部材14gとを有し、押圧部材を径方向外方へ移動させて外筒体12に押圧させることにより、係合孔14fに係合した位置決め部材14gを溝部14aに当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下構造物用筐体に関し、詳しくは地中に埋設された埋設物(例えば通水管の仕切弁)を地上から操作可能とするための筒状の地下構造物用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
道路下に埋設されている上水管には所定間隔で仕切弁が設けられており、この仕切弁の設置箇所には仕切弁を地上から開閉操作できるように筒状の地下構造物用筐体が道路に埋設されている。この地下構造物用筐体は蓋体を備えており、蓋体が路面と同じ高さとなるように道路に埋設される。
【0003】
この地下構造物用筐体として、特許文献1には、内周面に雌ネジ部を有する外筒体と、雌ネジ部と羅合する雄ネジ部を外周面に有する内筒体と、外筒体に装着された内筒体を位置決めする位置決め手段とを備え、内筒体を回して上下高さを調整し、位置決め手段にて内筒体の高さを固定するものが開示されている。
【0004】
特許文献1の地下構造物用筐体において、位置決め手段は、内筒体の周壁における雄ネジ部の位置に形成された窓部と、周壁内面における各窓部の上下位置に形成された一対の突片と、上下一対の突片に形成した孔に挿通されたボルトと、ボルトに螺合するネジ孔を有する揺動片とを備えた構成であり、内筒体の周壁に等しい中心角度で複数セット(例えば120°で3セット)配置されている。内筒体の位置決めの際には、各揺動片を揺動させて窓部から外筒体側へ突出させ、各ボルトを回して各揺動片を上昇させることにより、各突片と雄ネジ部とで外筒体の雌ネジ部を挟み込むようにしている。
【0005】
また、特許文献1における別の位置決め手段は、内筒体の周壁における雄ネジ部の位置に形成された凹部と、凹部に上下スライド可能に設けられた突片と、凹部の奥壁に形成されたネジ孔に螺合するボルトと、凹部内部に配置されたボルトの先端に枢着された三角形ブロックとを備え、前記突片の内方端は内方へ向かうにつれて上方へ傾斜する傾斜面を有し、三角形ブロックは突片の傾斜面と摺接する摺接面を有している。内筒体の位置決めの際には、ボルトを回して三角形ブロックを突片側に移動させることにより、三角形ブロックの摺接面が突片の傾斜面を押し上げ、それによって突片と雄ネジ部とで外筒体の雌ネジ部を挟み込むようにしている。この位置決め手段も周方向に複数セット配置されている。
【特許文献1】特開2003−129503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の地下構造物用筐体では、(1)多くの構成要素からなる位置決め手段を少なくとも3箇所配置しなければならず、その分製造コストが嵩む、(2)全ての位置決め手段はボルト締めにて突片を固定するため、地震や車等の振動によってボルトが緩んだ場合は突片がフリーとなり、内筒体が回転方向にずれ動いて筐体の高さが変動するおそれがある、(3)位置決め手段は、突片と雄ネジ部にて外筒体の雌ネジ部を挟み込む構成であるため、外筒体に対する内筒体の径方向へのがたつきを抑える働きは十分ではなく、振動によって内筒体ががたつき、それによって内筒体と地面との間に隙間ができるおそれがある、(4)位置決め時には各位置決め手段のボルトを締める必要があるが、狭い内筒体内で工具を用いて作業するため迅速に行なうことができない、(5)位置決め時は作業しずらい態勢を強いられるので作業者の負担となるといった点を改善する余地があった。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みなされたものであり、製造コストを低減し、かつ迅速簡単に設置作業を行なうことができる地下構造物用筐体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明によれば、内周面に雌ネジ部を有する外筒体と、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を外周面に有して高さ調整可能に外筒体に装着される内筒体と、前記外筒体に装着された前記内筒体を位置決めする位置決め手段とを備え、前記位置決め手段が、外筒体の雌ネジ部に軸心方向に形成された溝部と、内筒体の周壁に形成された1個のネジ孔に螺着するネジ部を有して径方向に移動可能な押圧部材と、内筒体の周壁における雄ネジ部の位置に形成された少なくとも1個の係合孔に着脱可能に係合する位置決め部材とを有し、前記押圧部材を径方向外方へ移動させて外筒体に押圧させることにより、前記係合孔に係合した前記位置決め部材を前記溝部に当接させて内筒体の径方向および周方向の移動を規制するように構成された地下構造物用筐体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
(A)位置決め手段は簡素な構成であるため、筐体の製造コストを低減することができる。
(B)位置決め手段は、内筒体の係合孔に係合した位置決めブロックを外筒体の溝部に嵌め込むよう構成されているため、地震や車等の振動によって押圧部材が緩んだとしても、位置決めブロックが溝部から外れることはなく、内筒体が回転方向にずれ動いて筐体の高さが変動するということが無い。
(C)位置決め手段は、押圧部材と位置決めブロックとで外筒体を押圧した状態で内筒体を位置決め支持し、かつ内筒体と外筒体とを同心円状に保持できる構成であるため、外筒体に対する内筒体の径方向へのがたつきを確実に抑えることができる。
(D)位置決め時のボルト締め作業は、1箇所の押圧部材のボルト締めのみで済むため作業を手間取らずに終えることができ、作業者の負担も軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の地下構造物用筐体は、内周面に雌ネジ部を有する外筒体と、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を外周面に有して高さ調整可能に外筒体に装着される内筒体と、前記外筒体に装着された前記内筒体を位置決めする位置決め手段とを備え、前記位置決め手段が、外筒体の雌ネジ部に軸心方向に形成された溝部と、内筒体の周壁に形成された1個のネジ孔に螺着するネジ部を有して径方向に移動可能な押圧部材と、内筒体の周壁における雄ネジ部の位置に形成された少なくとも1個の係合孔に着脱可能に係合する位置決め部材とを有し、前記押圧部材を径方向外方へ移動させて外筒体に押圧させることにより、前記係合孔に係合した前記位置決め部材を前記溝部に当接させて内筒体の径方向および周方向の移動を規制するように構成されたことを特徴とする。
また、本発明は、内筒体の上方開口部を施蓋する着脱可能な蓋体をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の地下構造物用筐体において、位置決め手段は具体的には以下のように構成することができる。
(a)溝部は外筒体に1個配置されると共に、内筒体の係合孔はネジ孔に対向する位置に1個配置され、ネジ孔に螺着した押圧部材にて外筒体を押圧することにより、1個の係合孔に係合した1個の位置決め部材が外筒体の溝部に当接するように構成する。
(b)溝部は外筒体に周方向に略等しい中心角度で2個以上配置されると共に、内筒体の係合孔はネジ孔に対向する位置に1個またはネジ孔を基準として周方向に略等しい中心角度で2個以上配置され、ネジ孔に螺着した押圧部材にて外筒体を押圧することにより、1個または2個以上の係合孔に係合した1個または2個以上の位置決め部材が外筒体の各溝部に当接するように構成する。具体的には、(b1)溝部を外筒体に約180°の対向位置に2個配置すると共に、内筒体の係合孔をネジ孔に対向する位置に1個配置する、(b2)溝部を外筒体に周方向に中心角度約120°の位置に3個配置すると共に、内筒体の係合孔をネジ孔を基準として周方向に中心角度約120°の位置に2個配置する。
【0012】
本発明において、位置決め部材は、係合孔の開口下縁を跨るように落とし込まれて係合し、かつ雄ネジ部よりも径方向外方へ突出する形状に形成されたブロックとすることができる。つまり、位置決め部材が、係合孔に引っ掛かる折曲げ片部と、溝部と当接可能に折曲げ片部に連設された当接片部とを有するU字形状、コの字形状、J字形状、L字形状等のブロックで構成され、係合孔に係合したブロックの当接片部の厚みを雄ネジ部の山部の高さよりも厚くする。
このように位置決め部材を構成すれば、ブロックの係合孔への着脱を容易かつ迅速に行なうことができると共に、押圧部材にて外筒体を押圧する際に反対側に位置する雄ネジ部の山部頂部が雌ネジ部の谷部底面に当るよりも先にブロックの当接片部が外筒体の溝部底面に当接するため、内筒体の軸心を外筒体の軸心にほぼ一致させることができる。なお、当接片部214の溝部14aと当接する外面は、平面でもよいが、溝部14aの底面(外筒体12の周壁内面)に沿うように凸曲面にすることが好ましい。
【0013】
さらに、位置決め手段は、ネジ孔が、内筒体の周壁における雄ネジ部の高さ位置を軸心側へ陥没させた凹部の奥壁に形成され、押圧部材が、ネジ孔に螺着するネジ部を構成するボルト部材と、凹部の内部に突出するボルト部材の先端に取り付けられた当接部材とを有し、当接部材の先端が内筒体の雄ネジ部の山部の位置に配置された構成としてもよい。
このように構成すれば、当接部材を外筒体の雌ネジ部の山部に当らずに谷部底面または溝部底面に確実に当接させ、安定した状態で押圧させることができる。また、内筒体を回して高さ調整する際にも当接部材が外筒体の雌ネジ部に引っ掛かることがなく、スムーズに内筒体を回すことができる。
【0014】
本発明は、位置決め部材を係合孔に係脱可能として内筒体の周壁内面に取り付ける取付手段をさらに備えてもよい。
このようにすれば、位置決め部材が取付手段によって常に内筒体に繋がれている状態となるため、地下構造物用筐体の埋設時に位置決め部材を別途用意する必要がなく、また位置決め部材を係合孔に係合する際に誤って埋設穴に落として紛失することを防止できる。
前記取付手段としては、内筒体の周壁内面における係合孔近傍に取り付けられた軸心方向の連結棒を有する構成とすることができる。この場合、位置決め部材であるブロックの折曲げ片部に挿通孔を有する連結片を連設し、連結片の挿通孔に連結棒を挿通させてブロックを繋いでおけばよい。また、連結棒の代りにチェーンを用いてもよい。
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本発明は実施形態に限定されるものではない。
【0016】
(実施形態1)
図1は本発明の地下構造物用筐体の実施形態1の使用状態を説明する図である。この地下構造物用筐体(以下、筐体と略称する)C1は、所定個数の継ぎ管3a〜3e等と共に、例えば地中に埋設された上水管1の仕切弁2の上方に埋設されるものである。仕切弁2の深さからある程度の高さまでは所定個数の継ぎ管3a〜3e等で高さ調整し、最上位の継ぎ管3aから地面Gまでは本発明の筐体C1が用いられ、蓋体11の上面が地面Gと一致するように筐体C1の高さを調整する。
【0017】
図2は実施形態1の筐体の正面断面図であり、図3は実施形態1の筐体の側断面図であり、図4は実施形態1の筐体の概略底断面図である。
この筐体C1は、前記蓋体11と、内周面にほぼ全高さ範囲で形成された雌ネジ部12aを有すると共に外周面に最上位の前記継ぎ管3aとボルト・ナット結合されるフランジ12bを有する外筒体12と、雌ネジ部12aと螺合する雄ネジ部13aを外周面の下部に有して高さ調整可能に外筒体12に装着される内筒体13と、外筒体12に装着された内筒体13を位置決めする位置決め手段とを備える。
【0018】
外筒体12は、周壁の内径が100〜600mm程度、高さが100〜300mm程度、周壁内周面からの雌ネジ部12aの山部の高さは2〜12mm程度である。内筒体13は、周壁の外径が50〜550mm程度、高さが150〜400mm程度、周壁外周面からの雄ネジ部13aの山部の高さは雌ネジ部12aと同等である。
このような外筒体12に装着された内筒体13を回すことにより、図2および3で示した最長状態と図5に示した最短状態に高さ調整を行うことができ、最長状態での蓋体11の上面と一致する内筒体13の上端面から外筒体12のフランジ12bの下面までの高さL1は200〜350mm程度であり、最短状態での前記高さL2は150〜200mm程度であるため、0〜300mm程度の範囲で高さ調整を行なうことができる。なお、高さ調整して後述の位置決め手段にて内筒体13を位置決めした後は、内筒体13と外筒体1との間の隙間にパッキンリング15が嵌め込まれ、埋設時に土砂が隙間に入り込まないようにされる。
【0019】
以下、主として位置決め手段について説明する。
位置決め手段の一構成要素として、雌ネジ部12aには軸心方向に延びる3本の溝部14a(雌ネジ部12aが形成されない領域)が周方向に中心角度約120°の間隔で形成されている。この溝部14aは雌ネジ部12aの軸心方向のほぼ全範囲にわたって形成されており、周方向の溝幅Wは1〜110mm程度である。
【0020】
また、位置決め手段の一構成要素として、周壁における雄ネジ部13aを有する高さ位置には、雄ネジ部13aが形成されずに内方(軸心側)へ陥没した凹部14bが形成されると共に、この凹部14bの奥壁にネジ孔14cが形成され、このネジ孔14cに押圧部材Pが取り付けられている。
【0021】
押圧部材Pは、ネジ孔14cに螺着するボルト部材14dと、ボルト部材14dと、凹部14bの内部に突出するボルト部材14dの先端に枢着された断面形状コの字形の当接部材14eとを有してなる。当接部材14eの対向する一対の先端部は、内筒体13の雄ネジ部13aの山部の位置に2ピッチの間隔で配置されている。
【0022】
さらに位置決め手段の一構成要素として、図3、4、6および7に示すように、内筒体13には、周壁における雄ネジ部13aを有する高さ位置でかつ前記ネジ孔14cを基準として周方向に中心角度約120°の位置に2個の矩形係合孔14fが形成されると共に、各係合孔14fに断面角J字形の位置決めブロック14gが嵌め込まれる。
この位置決めブロック14gは、係合孔14fの開口下縁に引っ掛かる直角に折れ曲った折曲げ片部114と、折曲げ片部114に連設された当接片部214とからなる。位置決めブロック14gの当接片部214の厚みtは1〜15mm程度であり、雄ネジ部13aの山部の前記高さよりも厚く設定されている。また、当接片部214の幅wは0.5〜100mmであり、前記溝部14aの溝幅Wよりも僅かに(例えば0.5〜10mm程度)小さく設定されている。
なお、図4では外筒体12の雌ネジ部12aと螺合する内筒体13の雄ネジ部を図示省略している。
【0023】
このように構成された筐体C1の高さ調整を行なう際は、内筒体13を概ね所望の高さまで回しながら内筒体13の各係合孔14fの位置を外筒体12の各溝部14aの位置に一致させる。このとき、作業者は係合孔14fから外筒体12の内周面を覗くことができるので、係合孔14fと溝部14aとが一致しているか目視にて容易に確認することができる。
【0024】
その後、各係合孔14fに位置決めブロック14gを嵌め込み、工具を用いて押圧部材Pのボルト部材14dをしっかりと締め付けて当接部材14eを溝部14aの底面(周壁内面)に押し付けることにより、内筒体13が各位置決めブロック14gを外筒体12側へ押圧し、各位置決めブロック14gの当接片部214が溝部14aの底面に押し付けられる。このとき、工具を用いたボルト部材14dの締め付け作業は1箇所で済むため、手間取らずに作業を完了させることができる。
【0025】
外筒体12の雌ネジ部12aと内筒体13の雄ネジ部13aとの螺合状態は若干がたつきを有する程度の余裕がもたれているが、位置決めブロック14gの当接片部214の厚みtは雄ネジ部13a(および雌ネジ部12a)の山部の高さよりも厚いため、雄ネジ部13aの山部頂部が雌ネジ部12aの谷部奥部に当るよりも先に位置決めブロック14gが溝部14aの底面に当る。したがって、図4および7に示すように、内筒体13は、当接部材14eと2つの位置決めブロック14gとの3点で位置決めされ、この位置決め状態では内筒体13の軸心が外筒体12の軸心とほぼ一致している。また、筐体C1の埋設後、地震や車両等による振動で仮にボルト部材14dが緩んでも、各位置決めブロック14gが各溝部14aに嵌め込まれており、位置決めブロック14gが雌ネジ部12aの端部に当り止めするため、振動による内筒体12の回転方向のずれ動きが確実に防止され、筐体C1の高さ変動が生じない。
【0026】
(実施形態2)
図8は本発明の地下構造物用筐体の実施形態2における内筒体の周壁の一部を切り欠いた状態を示す図である。この実施形態2の筐体は、位置決めブロック24gを係合孔14fに係脱可能として内筒体13の周壁内周面に取り付ける取付手段25をさらに備えたものであり、位置決めブロック24gが予め内筒体13に取り付けられたこと以外は、前記実施形態1の構成と同様である。なお、図8において、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付している。
【0027】
以下、実施形態2の実施形態1とは異なる点を主として説明する。
取付手段25は、内筒体13の周壁内面における係合孔14fの上下開口縁近傍に形成された対向する一対の突片25aと、各突片25aに形成された軸心方向の孔に挿通される連結棒としてのボルト25bと、各突片25aの孔を挿通したボルト25bの先端のネジ部に螺着してボルト25aの抜けを防止するナット25cとを備える。一方、位置決めブロック24gは、実施形態1の位置決めブロック14gとほぼ同じものであるが、折曲げ片部に連設された連結片25dをさらに有しており、連結片25dに形成された挿通孔に前記ボルト25aを挿通させることにより軸心方向にスライド自在およびボルト25aの回りを回動自在に取り付けられている。
【0028】
この実施形態2によれば、内筒体13を外筒体に対して回すときには、位置決めブロック24gは内筒体13の内部でボルト25bにて吊り下げられた状態にあり、係合孔14を外筒体の溝部に一致させて内筒体13の位置決めを行なう際に、位置決めブロック24gを持ち上げ回転させて係合孔14fに通し、位置決めブロック24をそのまま落とし込めば係合孔14fの開口下縁に係合する。
このような取付手段25が設けられていることにより、筐体の埋設穴に位置決めブロック24gを落として紛失するようなことが無くなる。また、位置決めブロック24gを別部材として用意する必要もない。
【0029】
(他の実施形態)
前記実施形態1および2では、3つの溝部、2つの係合孔および2個の位置決めブロックを用いる構成を例示したが、1つまたは対向位置に2つの溝部、押圧部材との対向位置に1つの係合孔および1個の位置決めブロックを用いる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の地下構造物用筐体の実施形態1の使用状態を説明する図である。
【図2】実施形態1の筐体の正面断面図である。
【図3】実施形態1の筐体の側断面図である。
【図4】実施形態1の筐体の概略底断面図である。
【図5】実施形態1の筐体の最短状態を示す正面断面図である。
【図6】実施形態1の筐体における内筒体の周壁の一部を切り欠いた状態を示す図である。
【図7】実施形態1の筐体における位置決め状態を示す一部省略の断面図である。
【図8】本発明の地下構造物用筐体の実施形態2における内筒体の周壁の一部を切り欠いた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11 蓋体
12 外筒体
12a 雌ネジ部
13 内筒体
13a 雄ネジ部
14a 溝部
14b 凹部
14c ネジ孔
14d ボルト部材
14e 当接部材
14f 係合孔
14g、24g 位置決めブロック(位置決め部材)
15 パッキンリング
25 取付手段
25b ボルト
25d 連結片
114 折曲げ片部
214 当接片部
P 押圧部材
t 厚み
W 溝幅
w 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に雌ネジ部を有する外筒体と、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を外周面に有して高さ調整可能に外筒体に装着される内筒体と、前記外筒体に装着された前記内筒体を位置決めする位置決め手段とを備え、
前記位置決め手段が、外筒体の雌ネジ部に軸心方向に形成された溝部と、内筒体の周壁に形成された1個のネジ孔に螺着するネジ部を有して径方向に移動可能な押圧部材と、内筒体の周壁における雄ネジ部の位置に形成された少なくとも1個の係合孔に着脱可能に係合する位置決め部材とを有し、前記押圧部材を径方向外方へ移動させて外筒体に押圧させることにより、前記係合孔に係合した前記位置決め部材を前記溝部に当接させて内筒体の径方向および周方向の移動を規制するように構成されたことを特徴とする地下構造物用筐体。
【請求項2】
前記位置決め手段において、前記溝部は1個または周方向に略等しい中心角度で2個以上配置され、前記係合孔は前記ネジ孔に対向する位置に1個またはネジ孔を基準として周方向に略等しい中心角度で2個以上配置され、
ネジ孔に螺着した前記押圧部材にて外筒体を押圧することにより、1個または2個以上の係合孔に係合した1個または2個以上の前記位置決め部材が外筒体の溝部に当接するように構成された請求項1に記載の地下構造物用筐体。
【請求項3】
前記位置決め部材は、係合孔の開口下縁を跨るように落とし込まれて係合し、かつ雄ネジ部よりも径方向外方へ突出する形状に形成されたブロックである請求項1または2に記載の地下構造物用筐体。
【請求項4】
前記位置決め部材を係合孔に係脱可能として内筒体の周壁内面に取り付ける取付手段をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載の地下構造物用筐体。
【請求項5】
前記連結手段が、内筒体の周壁内面における係合孔近傍に取り付けられた軸心方向の連結棒を有し、
前記ブロックが、係合孔に引っ掛かる折曲げ片部と、溝部と当接可能に前記折曲げ片部に連設された当接片部と、前記連結棒を挿通させる挿通孔を有して前記折曲げ片部に連設された連結片とを有する請求項4に記載の地下構造物用筐体。
【請求項6】
前記ネジ孔が、内筒体の周壁における雄ネジ部の高さ位置を軸心側へ陥没させた凹部の奥壁に形成され、
前記押圧部材が、前記ネジ孔に螺着するネジ部を構成するボルト部材と、前記凹部の内部に突出する前記ボルト部材の先端に取り付けられた当接部材とを有し、該当接部材の先端が内筒体の雄ネジ部の山部の位置に配置された請求項1〜5のいずれか1つに記載の地下構造物用筐体。
【請求項7】
前記内筒体の上方開口部を施蓋する着脱可能な蓋体をさらに備えた請求項1〜6のいずれか1つに記載の地下構造物用筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−7757(P2009−7757A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167696(P2007−167696)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(508301777)ミクニプラスチックス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】