説明

地下物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法およびこの方法を実施する装置

【目的】 物体の確実な分類と、隙間のない計画通りに正確な三次元位置測定が行え、更に得られた知識を実際に遅れなしに、既存のデジタル化された地図系に移せ、所望の形式で保管できる、地下物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法とその装置を提供する。
【構成】 高精度指向装置PVを備えた移動測定系MSが精密方位板と光学基準体ONK1 〜ONKn と関連して地下物体の位置を連続的に、正確に、しかも三次元的に測定し、指向装置PV,光学基準体ONKおよび支持車両TFKの座標系の相対位置を連続的に高精度で検出し、同時に地球物理的なセンサGSで検出した地下物体の精密な位置を図示し、地上や地下の物体のデータを演算処理と記憶のため、遅れなしに中央電算機に入力し、適当なフォーマットにしてデジタル地図系に送って表示する

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、地球物理的なデータの捕捉、評価および分析を行うため、光学測定系、光学基準体および地球物理的なセンサを備え、地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法、およびこの方法を実施する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】このような方法により、例えば地表レーダーのようなセンサ系から出力される障害物、導管、マンホール等に関するデータを地盤の表面領域で確実に、しかもくまなく把握し、地図にする。これは、特に人口集中地域で給排水導管や他の地下物体を新しく企画するのに重要である。目下のところ、この課題は大体時間的にも位置的にも別々の多数の区分で実行される。先ず、探知すべき領域を決め、次にこの領域の地球物理的なデータを、主に地上レーダーで把握する。その場合、地表近くの地層をサンプリングし、最後に収集されたデータを評価して解釈する。市内の領域では技術的な理由により測定系MSの座標を決めるGPS法の使用は全く不可能であるから、この課題は伝統的な方法で、つまり時間をかけて、ただ時折解決されている。解釈が困難な場合には補助測量が必ず必要となる。最後に、求めた物体の地図を作成する。従来の技術によるこの方法は、単に時間がかかりコストがかかるだけでなく、非常に誤りを含んでいる。
【0003】The Oil and Gas Journal, Nov. 8, l1971, pp. 81, 82, 83の "Geophysics is here to stay" により、多数の地球センサと衛星航行を備えた船により海底を地球物理的に調査する方法が知られている。
【0004】米国特許第 4 686 474号明細書により、大気から地球物理的なデータを収集する方法が知られている。この場合、位置の測定は機内固有な衛星航行系によって行われる。
【0005】光学的な方位測定により位置を確認する方法は、例えばドイツ特許第 43 12 599 A1 号明細書により知られている。従来の技術の上記刊行物の全ては、三次元位置測定を遅れなしに既存のデジタル地図系に移せない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】それ故、この発明の課題は、物体の確実な分類と、隙間のない計画通りに正確な三次元位置測定が行え、更に得られた知識を実際に遅れなしに、既存のデジタル化された地図系に移せ、所望の形式で保管する冒頭の述べた種類の方法、およびこの方法を実施する装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明により、地球物理的なデータの捕捉、評価および分析を行うため、光学測定系、光学基準体および地球物理的なセンサを備え、地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法にあって、高精度指向装置PVを備えた移動測定系MSが精密方位板と光学基準体ONK1 〜ONKn と関連して地下物体の位置を連続的に、正確に、しかも三次元的に測定し、指向装置PV,光学基準体ONKおよび支持車両TFKの座標系の相対位置を連続的に高精度で検出し、同時に地球物理的なセンサGSで検出した地下物体の精密な位置を図示し、地上や地下の物体のデータを演算処理と記憶のため、遅れなしに中央電算機に入力し、適当なフォーマットにしてデジタル地図系に送って表示することによって解決されている。
【0008】更に、上記の課題は、この発明により、地球物理的なデータの捕捉、評価および分析を行うため、光学測定系、光学基準体および地球物理的なセンサを備え、地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する装置にあって、支持車両TFZの上に、ズーム光学系を有する撮像カメラVKと高精度指向板で構成され、光学基準体ONKを指向する指向装置PVが配設され、前記撮像カメラが中央電算機と系の制御ユニットに接続し、個々のあるいは互いに関連した地球物理的なセンサGSを系に合わせて装備し、CADの地図、地図にした物体および推奨する探索路と測定系の状態を表示するモニターが組み込まれていることによって解決されている。
【0009】この発明による他の有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して好適実施例に関しこの発明をより詳しく説明する。図1の可動系の例に関して、この発明を説明する。この可動測定系には種々の地球物理学的なセンサと一つの高精度の指向装置PVが装備されている。この指向装置は、実質上組み込まれた精密方位板を有するマスト照準器とビデオカメラで構成されている。測定系MSと指向装置PVは一定の方法で相互に関連している。その場合、指向装置PVは、例えば約 1μrad の角度分解能となるように設計されている。特定に構成された三次元光学基準体ONKに指向されている。この基準体の幾何学構造は正確に知られている。この種の光学基準体は、例えば本出願人により既に周知に成っていて、地図作成上正確に測定される地点の上に装着され、所定の座標系に関して正確に指向される。指向装置PV,光学基準体ONKおよび支持車両TFZの座標系の相対位置は、連続的に高精度で測定される。ビデオカメラVKには可変焦点距離の光学系が設けてあり、結像倍率は何時も高い精度で検出され、最適にされ、画像処理ユニットに入力される。更に、作業工程のどの時点でも、少なくとも一つの光学基準体ONKが指向装置の視界内にあり、この基準体が画像処理の支援個所として働くことが保証される。光学基準体に加えて、検出可能な三次元静止物体が指向装置の視界内にあれば、周知の画像評価アルゴリズムによりこの物体も他の光学支援個所として使用でき、この支援個所も同じように系の記憶器に入力される。ビデオカメラVKの結像データ、このカメラの移動測定系MSに対する方位は、光学基準体ONKの幾何学設定と同じように既知であるので、画像データから測定系MSの正確な位置座標が求まる。上に説明した方法は多方面にわたり、地上物体の地図作成にも適する。
【0011】図1に示す移動測定系MSの機能構成群は、既に説明したように、例えば所謂マスト照準器として形成され、ズーム光学系と高精度角度変換器を備えたビデオカメラVKで構成されている。支持車両TFKには、系を制御するユニット(図示せず)を有する中央電算機があり、モニターを有する操作コンソールはCAD図面、位置を測定された物体、および提案する探査距離や系の状態を表示するために使用される。更に、測定系MSには個々にあるいは連携して、例えば地上レーダー、電気4重極測定装置等を配設されているセンサがある。
【0012】CAD図面は局在し分類される物体を記入する方位の基礎として使用される。画像処理と目標追跡は測定系MSの座標を与え、指向装置の使用を最適にする。最終的に、局在し分類される物体のCAD地図作成が行われる。
【0013】図2に示す移動測定系は前記構造モジュールと測定開始時点のそれ等の機能を具体的に示す。光学基準体ONK1 〜ONK4 は、測定のどの時点でも少なくとも一つの基準体ONKと目視が確保されるように地上に静止配置されている。配置すべき基準体の数は土地等に依存することが判る。第一に、基準体ONK1 の座標と方位を正確に測定する。組み込まれた撮像カメラVKを有するマスト照準器を基準体ONK1 に向け、光学結像が利用可能な画像規格の大部分(例えば 70 %)となるように調整される。こうして、この方法の高い測定精度が得られる。基準体ONKを、例えばピラミッドで構成できることが判る。結像特性に関して利用できるデータ、撮像カメラVK,基準体ONK1 の座標の正確な知識、基準体ONK1 の幾何学配置と基準体ONK1 の方位により、移動測定系MSにとって立地座標の正確な測定および基準体ONK1 に対する正確な方位の測定が得られる。 これ等のスタート条件の代わりに、最初に移動測定系MSの立地位置と方位板の方向を正確に測定する。基準体ONK1 の方向と座標はこの場合測定する必要がない。導管の網目を探査する場合に測定系に対してスータト点として容易に検知できる状況の領域、例えばマンホールを選ぶ。ここでは、少なくとも若干の導管のタイプと位置が検知でき、従って所望のデータの把握が容易になり、測定系の学習性が非常に支援される。
【0014】利用できるデジタル化された環境地図により、移動測定系MSに対して最適な移動パターンが予め与えられる。このパターンは制御コンソールのモニターを介して測定系MSの操作員に表示される。他の実施例では、移動測定系MSの一部自動化された移動が行われる。この測定系が移動すると、基準体ONK1 までの距離やこの基準体に対する指向角度も変わる。撮像カメラVKの結像特性や基準体ONK1 の幾何学寸法を正確に検出するので、これ等の変化から画像処理アルゴリズムにより、既に述べたように、移動測定系MSの運動経過が高精度で連続的に計算される。局所的な事情に合わせて、指向装置PVの撮像カメラVKは、必要な場合、異なった位置にある光学基準体に指向する。新たな指向は、移動測定系MSの状態で、手動または、記憶された予備探知に保護された、自動的に行われる。
【0015】同時に、支持車両TKFが前進するため、地球物理的なセンサGSが連続的に導管、通路および他の物体の基本を連続的に検知する。これ等のデータは検出され、評価され、モニター上で地図技術的に対応され、記憶される。このようにして得られた結果は関連する測定に応じてデジタル記憶媒体に記録され、デジタル画像処理の通常の方法で更に処理される。しかし、物体を確実に分類したり、正確な位置決めするための測定結果が個々の場合に不十分であれば、系の電算機が操作コンソールを介して、例えば付加的な探査動作、測定感度の上昇、サンプリング期間を可変する等の他の処置を与える。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法で、物体の確実な分類と、隙間のない計画通りに正確な三次元位置測定が行え、更に得られた知識を実際に遅れなしに、既存のデジタル化された地図系に移せ、所望の形式で保管でいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用領域での全体の測定系の模式図である。
【図2】一つの可動測定系内での構造モジュールを有する系の個別機能のブロック回路図である。
【符号の説明】
MS 移動測定系
TFZ 支持車両
ONK1 〜ONK n 光学基準体
PV 指向装置
VK 撮像カメラ
GS 地球物理的なセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 地球物理的なデータの捕捉、評価および分析を行うため、光学測定系、光学基準体および地球物理的なセンサを備え、地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する方法において、高精度指向装置(PV)を備えた移動測定系(MS)が精密方位板と光学基準体(ONK1 〜ONKn )と関連して地下物体の位置を連続的に、正確に、しかも三次元的に測定し、指向装置(PV),光学基準体(ONK)および支持車両(TFK)の座標系の相対位置を連続的に高精度で検出し、同時に地球物理的なセンサ(GS)で検出した地下物体の精密な位置を図示し、地上や地下の物体のデータを演算処理と記憶のため、遅れなしに中央電算機に入力し、適当なフォーマットにしてデジタル地図系に送って表示することを特徴とする方法。
【請求項2】 指向装置(PV)の可変結像比率は何時の時点でも高精度で検出され、最適化され、そして画像処理ユニットに伝送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 測定過程の何時の時点でも、少なくとも一つの基準体(ONK)が指向装置(PV)の視界内にあり、測定系にモニター上で目視できる最適化された運動パターンが予め与えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 支持車両の前進と同時に局在化され分類された地下物体が正確な縮尺でCAD地図に記入され、モニター上に表示されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】 地球物理的なデータの捕捉、評価および分析を行うため、光学測定系、光学基準体および地球物理的なセンサを備え、地下の物体の位置を画像処理の助けにより把握して地図を作成する装置において、支持車両(TFZ)の上に、ズーム光学系を有する撮像カメラ(VK)と高精度指向板で構成され、光学基準体(ONK)を指向する指向装置(PV)が配設され、前記撮像カメラが中央電算機と系の制御ユニットに接続し、個々のあるいは互いに関連した地球物理的なセンサ(GS)を系に合わせて装備し、CADの地図、地図にした物体および推奨する探索路と測定系の状態を表示するモニターが組み込まれていることを特徴とする装置。
【請求項6】 前記指向装置は約 1μrad の角度分解能に設計され、組み込み撮像カメラを備えたマスト照準器として形成されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】 撮像カメラ(VK)は可変焦点距離の光学系を備えたビデオカメラであることを特徴とする請求項5または6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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