地図生成装置および地図生成方法
【課題】出力するデフォルメ地図の縦横サイズや縦横比に応じて、特定の対象の視認性が向上するように強調表示を行ったデフォルメ地図を生成する。
【解決手段】記憶部1は、デフォルメ対象データを格納し、表示部2は、デフォルメ対象データおよびデフォルメ地図等を表示する。基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データのノード座標を変更して、最終的なデフォルメ地図を生成する際に基本となる地図を生成する。情報領域設定部4は、デフォルメ地図上に付加する情報である配置対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット等を配置領域情報として設定する。強調対象変形部5は、強調対象設定部51、グルーピング部52、間隔調整部53、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55で構成され、地図全体の中で捉えやすくなるように地図要素(パーツ)を変形する。
【解決手段】記憶部1は、デフォルメ対象データを格納し、表示部2は、デフォルメ対象データおよびデフォルメ地図等を表示する。基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データのノード座標を変更して、最終的なデフォルメ地図を生成する際に基本となる地図を生成する。情報領域設定部4は、デフォルメ地図上に付加する情報である配置対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット等を配置領域情報として設定する。強調対象変形部5は、強調対象設定部51、グルーピング部52、間隔調整部53、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55で構成され、地図全体の中で捉えやすくなるように地図要素(パーツ)を変形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路形状を簡略化表示し、視認性の高いデフォルメ地図を生成する装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地図データが有している詳細な情報の中から必要な情報を抽出し、形状簡略化処理あるいは方向量子化処理などにより視認性を向上させたデフォルメ地図を生成する技術が開示されている。小さな画面サイズに合わせてデフォルメ地図を作成した場合、元の地図データで近接している対象は非常に近接した配置となり、視認性が低下する。
【0003】
この問題点を解決するために特許文献1のナビゲーション装置では、出発地から目的地までの複数の経路を表示する際に、複数の経路が同一の道路を重複して通っている場合に、当該重複部分をずらし、各経路が容易に判別できるように表示している。また、特許文献2の地図型情報表示板では、道路上に設置される地図型情報表示板に表示するデフォルメ地図に関して、路線間が接近して表示されている場合に路線間の幅を最低離間寸法だけ確保したデフォルメ地図を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−113460号公報
【特許文献2】特開2004−361828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に開示された技術では、経路または路線をずらして表示することにより重複部分や近接部分が判別し易くなったとしても、当該ずらして表示した部分が表示画面全体に対して視認し易い大きさで配置されているか否かは考慮されておらず、表示画面サイズに対して小さな占有面積で表示される可能性があり、視認性が低下するという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、デフォルメ地図を表示する画面サイズや出力したいデフォルメ地図の縦横サイズや縦横比に応じて、特定の対象が目立つ、或いは、特定の対象が地図全体の中で捉えやすく(把握・認識しやすく)なるように強調表示可能なデフォルメ地図を生成すること、また、デフォルメ地図の縦横サイズや強調表示する対象、画面内で占める領域等を変えて、複数種類のデフォルメ地図を容易に生成することを目的とする。
基本とするデフォルメ地図の形状特徴(道路の方向等)を保持したまま、地図サイズや強調表示する対象に応じて目立つように強調したデフォルメ地図を生成できる点、また、同一の形状特徴を有したまま、強調表示対象や強調表示属性等を変えたデフォルメ地図を複数種類(或るいは、望む内容のデフォルメ地図になるまで複数回繰り返し)生成できる点が特徴である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図生成装置は、デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶する記憶部と、記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮したデフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定されたデフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性およびグルーピング結果を参照してデフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形する強調対象変形部と、デフォルメ対象およびグルーピングされた線分の変形結果に基づいて、デフォルメ対象およびグルーピングされた線分以外の対象を変形する一般対象変形部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、デフォルメ地図の基本となる基本デフォルメ地図情報の形状特徴(道路の方向など)を保持しつつ、出力したいデフォルメ地図の表示サイズに合せて特定の対象を地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】道路の構成を示す説明図である。
【図4】実施の形態1による地図生成装置の基本デフォルメ地図および情報領域の配置領域情報を示す説明図である。
【図5】実施の形態1による地図生成装置の強調表示の一例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1による地図生成装置のグルーピング処理を示す説明図である。
【図7】実施の形態1による地図生成装置の間隔調整部の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1による地図生成装置の同方向近接パーツ間の間隔の算出を示す説明図である。
【図9】実施の形態1による地図生成装置のグルーピングおよび配置領域設定後の基本デフォルメ地図を示す一例である。
【図10】実施の形態1による地図生成装置の基本デフォルメ地図と変形主対象の変形を示す説明図である。
【図11】実施の形態1による地図生成装置の同方向近接パーツのノード再配置を示す図である。
【図12】実施の形態1による地図生成装置の一般パーツ変形部の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1による地図生成装置の一般パーツのノード再配置を示す図である。
【図14】実施の形態1による地図生成装置のデフォルメ地図に情報領域を配置し、強調表示属性を適用した一例を示す図である。
【図15】実施の形態2による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態2による地図生成装置のデフォルメ地図の再生成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
この地図生成装置10は、記憶部1、表示部2、基本デフォルメ地図生成部3、情報領域設定部4、強調対象変形部5、一般パーツ変形部6および情報設定部7で構成されている。
記憶部1は、デフォルメ対象データ(座標や、ノード・リンクから成るネットワーク構造のデータ等)を格納している。さらに、定義データやパラメータ、処理過程における中間データ、デフォルメ結果のデータ等も記憶する。
【0011】
表示部2は、デフォルメ対象データおよびデフォルメ地図(特定の対象を強調して見やすく表示した地図)等を表示する。基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データのノード座標を変更して、最終的なデフォルメ地図を生成する際に基本となる地図を生成する。情報領域設定部4は、デフォルメ地図上に付加する情報(テキストやアイコン等)である配置対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット(基準点からどの程度離して配置するか)等を配置領域情報として設定する。
【0012】
強調対象変形部5は、デフォルメ対象データのうち強調表示する対象(以下、強調表示対象と表記)を設定し、最終的なデフォルメ地図の縦横サイズや線の太さ等の強調表示属性に基づいて、設定した強調表示対象が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくなるように地図要素(パーツ)を変形する。さらに説明すると、強調対象変形部5は、強調対象設定部51、グルーピング部52、間隔調整部53、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55で構成されている。
【0013】
強調対象設定部51は、デフォルメ対象データから、強調表示対象および強調表示属性(線の太さやマークの種類、大きさ、マーク同士の配置間隔等)を設定する。グルーピング部52は、強調対象設定部51において設定された強調表示対象を構成する各線分の付近に位置する地図要素(パーツ)を探索し、強調表示対象を構成する各線分と同方向、且つ近接して配置されているパーツ同士をグルーピングする。以下、強調表示対象と、当該強調表示対象を構成する各線分と同方向且つ近接して配置され、グルーピング部52によってグルーピングされたパーツとを合せて、同方向近接パーツと表記する。
【0014】
間隔調整部53は、強調表示対象の強調表示属性および情報領域設定部4で設定された配置領域情報に基づいて、最終的なデフォルメ地図の表示サイズの縦方向および横方向に対して必要な間隔を算出し、デフォルメ地図の表示サイズ内に収まるように強調表示対象の間隔を調整する。主対象変形部54は、同方向近接パーツから、強調表示対象をデフォルメ地図の縦横サイズに合せて視認しやすく表示する際に基準とする対象(以下、変形主対象と表記)を設定し、当該変形主対象を最終的なデフォルメ地図の座標系に合せて変形する。同方向近接パーツ変形部55は、グルーピング部52においてグルーピングされた同方向近接パーツを構成する各ノードの移動先座標を算出し、当該同方向近接パーツを変形する。
【0015】
一般パーツ変形部6は、同方向近接パーツグルーピング部52でグルーピングされなかったパーツ(以下、一般パーツと表記)について、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55における変形結果に合わせてノードを再配置する。情報設定部7は、情報領域設定部4が設定した配置領域情報を参照し、最終的なデフォルメ地図上に、テキストやアイコン・マーク等の情報を配置する。
【0016】
次に、実施の形態1による地図生成装置10の動作について説明する。図2は、この発明の実施の形態1による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1からデフォルメ対象データを取得し、基本デフォルメ地図を生成する(ステップST1)。情報領域設定部4は、記憶部1からデフォルメ対象のノード座標やリンクID等の地図情報を取得し、当該配置対象となる地図情報の設定、および設定した地図情報の配置領域情報の設定を行う(ステップST2)。強調対象設定部51は、ステップST1で生成された基本デフォルメ地図に基づいて、強調表示対象および強調表示属性を設定する(ステップST3)。
【0017】
グルーピング部52は、ステップST3で設定された強調表示対象を構成する各線分と同一方向であり、且つ近接するパーツをグルーピングして同方向近接パーツを設定し、グルーピング情報(グルーピングされたパーツのノードIDや座標など)を生成する(ステップST4)。間隔調整部53は、ステップST2で設定された配置領域情報、ステップST3で設定された強調表示属性、ステップST4で生成されたグルーピング情報、および記憶部1からデフォルメ地図の表示サイズを取得し、デフォルメ地図の表示サイズに合せて同方向近接パーツ間の間隔を調整すると共に、配置領域情報を調整する(ステップST5)。
【0018】
主対象変形部54は、ステップST4で設定した同方向近接パーツの中から変形主対象を設定すると共に、記憶部1から取得するデフォルメ地図の表示サイズに合せて設定した変形主対象を構成するノードを変形および移動させて再配置を行う(ステップST6)。同方向近接パーツ変形部55は、ステップST4で生成されたグルーピング情報、ステップST5で調整された配置領域情報およびステップST6での変形主対象の変形結果に基づいて、同方向近接パーツを構成するノードの再配置を行う(ステップST7)。
【0019】
一般パーツ変形部6は、ステップST4で生成されたグルーピング情報を用いて記憶部1に記憶された基本デフォルメ地図から一般パーツを取得し、変形主対象および同方向近接パーツのノード再配置結果に合せて、取得した一般パーツのノード再配置を行い、一般パーツのノード再配置結果をデフォルメ地図として記憶部1に記憶させる(ステップST8)。情報領域設定部4は、ステップST8で生成されたデフォルメ地図を取得し、当該デフォルメ地図上に表示するテキストやアイコン等の情報領域を、ステップST2で設定された配置領域情報において指定された位置およびサイズで配置し、記憶部1に格納する(ステップST9)。表示部2は、記憶部1からステップST9で情報領域が配置されたデフォルメ地図を取得し、ステップST3で設定された強調表示属性を適用して、強調表示対象を強調表示した地図表示を行い(ステップST10)、処理を終了する。
【0020】
続いて、上述した地図生成装置10の各構成の詳細、および図2のフローチャートの各処理動作について、具体例を示しながらより詳細に説明する。なお、以下では、地図生成装置10が道路データを強調表示する場合を例に説明する。
まず、記憶部1が記憶するデータについて説明する。記憶部1は、デフォルメ対象データとして、道路を構成する点(以下、ノードと表記)の座標を記憶している。図3は、道路の構成を示す説明図であり、円で示した地点は道路を構成するノードであり、2つのノードを両端とする線分をエッジと呼ぶ。さらに道路が交差している地点を特に交差点ノードと呼び、当該交差点ノードから別の交差点ノードまでの一連のエッジ列をリンクと呼ぶ。
【0021】
道路を構成するノードの座標データは、例えば一般に普及している地図データにも格納されており、これらを用いることができる。当該地図データは道路を構成する多数の補間点を含んでいるため、直接使用せずに補間点の間引きを行い、形状を簡略化した後の座標列を座標データとして使用してもよい。また、補間点の間引きに限定されず、当該地図データに対して座標変換や座標編集を行った結果を座標データとして使用してもよい。また、一般に普及している地図データを直接使用しない場合でも、ノードの座標を列記したファイルをユーザが手作業などにより作成して記憶部1に格納する構成としてもよい。
【0022】
次に、上述した図2のステップST1で示した基本デフォルメ地図生成部3の詳細について説明する。
基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データを用いて、当該デフォルメ対象データ中の任意の領域あるいは任意の地図要素に対して基本デフォルメ地図を生成する。すなわち、複数のメッシュから成る地図データにおいて、例えばメッシュAの範囲内の全道路に関する基本デフォルメ地図を生成する、あるいはメッシュAの範囲内の指定した道路のみに関する基本デフォルメ地図を生成する。基本デフォルメ地図を生成する範囲としては、カーナビや歩行者ナビの案内図等で提示されるような狭い範囲や、交差道路が少ない範囲に限らない県内全域の主要道路網や、複数県(例えば、関東地方全体)の主要道路網など、広域かつ多数の道路を含む地図範囲を扱うことができる。
【0023】
基本デフォルメ地図生成部3は、地図要素の簡略化処理として例えば形状簡略化やエッジの方向量子化を行う。形状簡略化は、地図データに含まれる多数の補間点を削減して道路形状を簡略化する。この形状簡略化には、再帰的にエッジ列を近似する既知の方法を用いることができる。地図データが多数の補間点を持たず、既に必要なノードのみを保有している場合は、形状簡略化は行わなくてよい。エッジの方向量子化では、道路の方向が特定方向(45度の整数倍や30度の整数倍の方向等)となるように配置される。生成した基本デフォルメ地図の情報(ノードの座標やリンクID、ノードID等の情報)は、記憶部1に格納される。
【0024】
情報領域設定部4は、記憶部1から基本デフォルメ地図の情報であるノード座標およびリンクID等を取得すると、デフォルメ地図上に付加するテキストやアイコン等の情報を配置する対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット等を配置領域情報として設定する。
記憶部1に記憶されたデフォルメ対象データに、属性情報として交差点名称や道路名称等が格納されている場合は、格納されているテキストの文字数と所定のフォントサイズに基づいてテキストの配置領域を決定する。所定のフォントサイズとは、デフォルメ地図に表示する文字のフォントサイズであり、あらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納しておき、当該設定ファイルを読み込んで取得する。また、オフセットについても同様に設定ファイルに記述しておき、当該設定ファイルから読み込み取得する。
【0025】
情報領域設定部4が設定するテキストに関する配置領域情報の一例を図4を参照しながら説明する。図4(a)は基本デフォルメ地図生成部において生成された基本デフォルメ地図を示し、図4(b)は図4(a)におけるノードaにおける配置領域情報を示す図である。デフォルメ対象データにおいて、ノードaの属性情報として交差点名称が格納されている場合、交差点名称「交差点A」を配置対象、ノードaを配置位置の基準点として取得する。さらに図4(b)に示すようにテキスト「交差点A」の配置領域の縦幅th、および横幅twを取得する。また、テキスト「交差点A」をノードaの位置を基準として配置する際のオフセットsx、syを設定する。また、テキスト名称として、道路名称等が格納されている場合も同様である。
【0026】
デフォルメ対象データに格納されているテキスト情報に、使用する必要がないテキスト情報が含まれる場合は、必要とするテキスト情報のみをあらかじめリスト化して記憶部1に格納しておき、記憶部1からリストを読み込んで、必要なテキスト情報に対してのみ、配置領域情報を設定する。また、デフォルメ対象データに格納されているテキスト情報のほかに、デフォルメ地図上の任意の位置にユーザが独自に配置したいテキストがある場合は、そのテキストに対して、テキスト配置領域の縦幅、および横幅を算出し、配置位置の基準点やオフセット等と関連付けて配置領域情報を設定する。
【0027】
なお、ユーザが独自にテキストを配置する場合には、ユーザが配置したいテキスト内容やフォントサイズを記述した設定ファイルを記憶部1に格納しておき、情報領域設定部4が当該ファイルを読み込んで取得するように構成してもよい。また、ユーザとの対話による操作で、テキストやフォント、テキストの領域サイズ、情報の配置位置の基準点およびオフセット等を取得するように構成してもよい。
【0028】
さらにテキスト同様に、アイコンデータについてもアイコンのサイズに応じて必要となる配置領域の縦幅、および横幅を算出し、配置領域情報を設定する。また、アイコンデータが対象データに格納されていない場合でも、ユーザが独自に配置したいアイコンに関するリストをあらかじめ記憶部1に格納しておき、記憶部1から当該リストを読み込んで配置領域を設定することも可能である。設定した配置領域情報は、記憶部1に格納するとともに強調対象変形部5に出力される。
【0029】
次に、強調対象変形部5の詳細な構成について説明する。
強調対象設定部51は、デフォルメ地図において強調表示対象や強調表示属性を設定する。なお以下では、基本デフォルメ地図における特定の道路について、道路の線の幅、線上に配置するマークの種類や大きさ、およびマーク同士の配置間隔などを変更し、強調表示する場合を例に説明する。
【0030】
強調表示対象や強調表示属性の設定は、手動または自動で行う。
始めに、手動で設定する場合について説明する。まず、表示部2に基本デフォルメ地図を表示し、ユーザ入力手段(不図示、例えばマウスやタッチパネルなど)による操作で、線の幅を変えて強調表示した道路を指定する。指定した道路に対して線の幅やマークの種類、マークの大きさ、マーク同士の配置間隔などの強調表示属性をダイアログボックスなどにより入力する。
一方、自動で設定する場合、強調表示したい対象として道路種別や道路番号、リンクID,ノードID等を、線の幅やマークの種類、マークの大きさ、マーク同士の配置間隔などと関連付けてあらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納しておき、当該設定ファイルを記憶部1から読み込むことにより設定する。
【0031】
図5は、強調対象設定部が設定する強調表示設定に基づく強調表示の変化を示す説明図である。図5(a)は、強調表示属性が未設定である場合を示しており、3本の道路X,Y,Z、および当該道路X,Y,Z上のノードx1,x2,y1,y2,z1,z2が存在する。図5(b)から図5(d)は道路X,Y,Zのうち、道路Xと道路Yを強調表示対象と設定し、道路Xおよび道路Yの線の幅、ノードx1,x2,y1,y2のマークの種類、マークの大きさ、およびマーク同士の配置間隔等を種々変化させた場合を示している。
【0032】
図5(b)の表示例では、図5(a)に対して道路Xおよび道路Yの線の幅を太くし、ノードx1,x2とノードy1,y2のマークの大きさを変化させ、ノードx1とノードy1のマークが接するように設定している。図5(c)の表示例では、図5(a)に対して道路Xおよび道路Yの線の幅を太くし、ノードx1,x2のマークの大きさを変化させ、ノードy1,y2のマークの大きさおよび種類を変化させ、ノードx1とノードy1のマークが接するように設定している。図5(d)の表示例は、図5(c)の設定からさらに、ノードx1とノードy1のマークを距離dhだけ離して配置するように設定している。
【0033】
なお、図5(a)から図5(d)に示した表示例は、強調表示属性の内容に応じて表示がどのように異なるかを示したものであり、基本デフォルメ地図に対して道路の線の幅やノードのマークの表示属性の設定を変更する処理は、後段の間隔調整部53において実施される。
強調対象設定部51が設定した強調表示対象および強調表示属性は、記憶部1に格納すると共に、グルーピング部52、主対象変形部54および間隔調整部53に出力される。
【0034】
次に、図6を参照しながら、グルーピング部52の処理について説明する。図6(a)は、グルーピング処理前の表示例を示し、図6(b)はグルーピング処理後の表示例を示す。
図6(a)において、点線で示した道路は強調対象設定部51で設定された強調表示対象であり、グルーピング部52はこれら強調表示対象の道路を構成する各エッジに対して付近に位置するエッジを探索する。探索したエッジから、表示するデフォルメ地図の横方向に対して水平方向となす角度を算出し、強調表示対象である道路上のエッジ方向と同一方向を有するエッジのみをグルーピング対象として抽出する。
【0035】
図6(b)は、図6(a)において点線で示した強調表示対象である道路について、近傍に位置し、且つ同一方向を有するエッジを抽出し、グルーピング処理を行った結果を示している。
ノードoとノードpを両端とするエッジopは、強調表示対象である道路上のエッジfgの近傍に位置し、且つエッジfgと同一方向に伸びるエッジであることから、グルーピング対象として抽出される。同様にエッジtuおよびエッジuvは、強調表示対象である道路上のエッジcdおよびエッジdeの近傍に位置し、且つ同一方向に伸びるエッジであることからグルーピング対象として抽出される。
【0036】
次に、グルーピング処理として、まず強調表示対象である道路のエッジについて、近傍に位置し、且つ同一方向に伸びるエッジ同士を同一のグループに分類する。例えば、図6(b)において、エッジabとエッジfgは近接し、且つ同一方向に伸びるエッジであることから同じグループ1に分類される。一方、エッジijは、エッジfgと同一方向に伸びるが互いに離れて配置されていることから別グループとなるグループ2に分類される。近傍に位置するエッジの探索範囲、すなわちどの範囲内に位置するエッジを同一グループに分類するかは、あらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納させておく。続いて、グルーピング対象として抽出したエッジについて、同様に各グループに分類する。
【0037】
図6(b)は、各エッジをグループ1からグループ6にグルーピングした結果を示している。例えば、グループ2は、エッジqr、エッジij、およびエッジlmは互いに近接し、且つ表示するデフォルメ地図の横方向に対して水平方向に伸びるエッジであることから同一グループとして分類される。同様に、グループ4は、エッジsr、エッジkj、およびエッジnmは互いに近接し、且つ表示するデフォルメ地図の横方向に対して垂直方向に伸びるエッジであることから同一グループとして分類される。グルーピング部52により分類されたグルーピング情報は、記憶部1に格納されると共に間隔調整部53および同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0038】
間隔調整部53は、情報領域設定部4から入力される配置領域情報、強調対象設定部51から入力される強調表示属性、グルーピング部52から入力されるグルーピング情報、および記憶部1に格納された設定ファイルから最終的なデフォルメ地図の表示縦横サイズを取得する。なお、最終的なデフォルメ地図の表示縦横サイズはユーザとの対話操作で入力するように構成してもよい。間隔調整部53は、取得した情報から最終的なデフォルメ地図を表示する際に必要となる道路と道路の間に生じる空間である間隔を算出し、当該間隔を最終的なデフォルメ地図のサイズに収まるように調整する。
【0039】
図7は、実施の形態1による地図生成装置の間隔調整部の動作を示すフローチャートである。
まず、グルーピング情報を参照し、同方向近接パーツ間の間隔を算出する(ステップST11)。次に、ステップST11で算出したすべての同方向近接パーツ間の間隔と、同方向近接パーツ以外の地図要素に設定されている全ての配置領域情報を取得し、すべての同方向近接パーツ間の間隔と全ての配置領域情報の総和である、縦方向DHおよび横方向DWを算出する(ステップST12)。さらに、ステップST2で算出した縦方向DHが表示するデフォルメ地図の縦サイズ未満であり、且つ横方向DWが表示するデフォルメ地図の横サイズ未満であるか否か判定を行う(ステップST13)。
【0040】
ステップST13において、縦方向DHが出力デフォルメ地図の縦サイズ以下でない、あるいは横方向DWが出力デフォルメ地図の横サイズ以下でないと判定された場合(ステップST13;NO)、配置領域情報あるいは強調変形属性を変更し、同方向近接パーツ間の間隔を調整し(ステップST14)、ステップST13の判定処理に戻る。一方、ステップST13において、縦方向DHが出力デフォルメ地図の縦サイズ未満であり、且つ横方向DWが出力デフォルメ地図の横サイズ未満であると判定された場合(ステップST13;Yes)、処理を終了する。
【0041】
次に、上述したステップST11からステップST14の処理を具体例を参照しながら詳細に説明する。
ステップST11では、同方向近接パーツのノードやエッジに交差点名等のテキストやアイコンの配置領域が設定されている場合は、強調表示における線の太さやマークの大きさ・種類等の強調表示属性から定まるパーツ間の間隔とテキスト等の配置に関する配置領域情報の両方を加味して、同方向近接パーツ間の間隔を定める。
【0042】
図8は、間隔調整部による同方向近接パーツ間の間隔の設定を示す説明図である。
図8(a)は、同方向近接パーツX,Y,Zにおいて、交差点名や道路名等のテキストやアイコン等の情報領域が設定されていない場合を示している。この場合、同方向近接パーツXと同方向近接パーツYとの間隔、および同方向近接パーツYと同方向近接パーツZとの間隔は、強調表示属性によって決まり、各々D1およびD2となる。図8(a)に示す例では、ノードを示すマーク同士の配置間隔(x1とy1の間隔およびy1とz1の間隔)を0に設定した場合を示している。
【0043】
一方、図8(b)は、同方向近接パーツZのノードz1に交差点名の情報領域が設定されている場合を示している。また、図8(c)は、図8(b)における領域Aの拡大図である。図8(b)に示すように、情報領域が設定されている場合には、まず配置領域情報について必要となる間隔を算出し、次に、近接パーツ間の必要となる間隔を算出する。情報領域(テキスト:交差点Z)は縦幅th、横幅twであり、当該情報領域を配置する際には基準点z1に対して縦方向にsy、横方向にsxの配置オフセットを設ける。また、情報領域と同方向近接パーツとを最小間隔δ以上離して配置する。
【0044】
図8(b)および図8(c)に示した具体例では、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZとの間に必要となる間隔は、D2´=δ+th+syと算出される。次に、算出されたD2´と、強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔(ここでは、mと設定する)とを比較し、より大きい値を有する間隔を同方向近接パーツ間隔の必要量として設定される。強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔mが、D2´よりも大きい場合には、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZの間隔はmに設定される。一方、強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔mがD2´よりも小さい場合には、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZの間隔はD2´に設定される。このように、グルーピング部52においてグルーピングされた全ての同方向近接パーツについて、パーツ間の間隔を強調表示属性および配置領域情報に基づいて算出する。
【0045】
次に、ステップST12として、ステップST11で算出した全ての同方向近接パーツ間の間隔と、同方向近接パーツ以外の地図要素に設定されている全ての配置領域情報を取得し、これらの総和である縦方向DHおよび横方向DWを算出する。図9を参照しながら具体的に説明する。図9に示した基本デフォルメ地図では、グルーピング部52において、3つの同方向近接パーツX1からX3をグルーピングしたグループX、2つの同方向近接パーツY1,Y2をグルーピングしたグループYが生成され、ノードn1に縦幅th1および横幅tw1のテキスト情報が設定され、ノードn2に縦幅th2および横幅tw2のテキスト情報が設定されている。
【0046】
なお、図9中に「文字A」、「文字B」というシンボルが記載されているが、これはノードn1やノードn2に配置領域情報が設定されていることを明示的に示すためのものであり、基本デフォルメ地図上には当該テキスト情報はまだ配置されていない状態とする。上述したステップST11の処理において同方向近接パーツX1とX2の間隔がD3、同方向近接パーツX2とX3の間隔がD4、同方向近接パーツY1とY2の間隔がD5と算出されたとすると、縦方向の総和であるDHおよび横方向の総和DWは以下の式(1)および式(2)で表わされる。
DH=D3+D4+D5+sy1+sy2+th1+th2 ・・・(1)
DW=sx1+sx2+tw1+tw2 ・・・(2)
【0047】
ステップST13では、同方向近接パーツ間の間隔の総和DHおよびDWがそれぞれ、最終的なデフォルメ地図の表示縦サイズおよび横サイズ以下であるか否か判定を行う。ステップST13において、DHあるいはDWが最終的なデフォルメ地図の縦サイズあるいは横サイズ以下でないと判定された場合には、DHあるいはDWがデフォルメ地図の表示縦サイズあるいは横サイズ以下となるように同方向近接パーツ間の間隔あるいは配置領域情報を調整する。具体的には、以下に示すパラメータについて指定した順位で間隔が小さくなるように値を変更し、調整する。
【0048】
<パラメータ>
・情報を配置する際のオフセット
・テキストやアイコン等を同方向近接パーツと離す間隔
・テキストやアイコンの配置領域サイズやオフセット
・強調表示属性(マークの大きさ等、マーク同士の配置間隔等)
【0049】
上記パラメータに関して、どの順位で、どの程度の変更量で値を変更するかは、あらかじめ設定ファイルに記述しておき、記憶部1に格納しておく。ここで、変更量は、例えば元の値の80%の値に変更するという比率を用いてもよいし、削減する量を直接指定してもよい。変更する際のパラメータの順位や変更量は、設定ファイルから取得する方法以外にも、ダイアログボックス等でユーザが対話的に入力する方法を用いてもよい。また、変更された情報は、記憶部1に格納されている該当する情報の値を変更する。
【0050】
このように、同方向近接パーツ間の間隔の総和DHおよびDWのそれぞれがデフォルメ地図の表示縦サイズおよび横サイズよりも小さくなるまで、ステップST13からステップST14を繰り返す。調整後の同方向近接パーツ間の間隔や配置領域情報は、記憶部1に格納すると共に、同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0051】
次に、主対象変形部54は、強調表示対象を最終的なデフォルメ地図の縦横サイズに合せて見やすく配置する際の基本となる変形主対象を設定し、当該設定した変形主対象についてデフォルメ地図の座標系に合せてノードの再配置を行う。変形主対象の設定は、グルーピング部52において同方向近接パーツが生成された場合には、同方向近接パーツとなった道路のうち、外接矩形の幅が最大となる道路を変形主対象に設定する。一方、同方向近接パーツが存在しない場合には、任意の道路を変形主対象とする。
【0052】
図10の具体例を参照しながら、主対象変形部54の動作を説明する。ここでは、同方向近接パーツが生成された場合を例に説明する。図10(a)は、図6(b)に示したグルーピング結果に基づいた基本デフォルメ地図である。同方向近接パーツに設定された道路は、図6(a)における道路a−b−w−c−d−e、道路f−g−h−N4−N12、道路q−r−s、道路i−j−k、道路l−m−n、道路N11−t−u−vである。道路の単位、すなわちどの部分をひとまとまりの道路と認識するかは、路線番号等の対象データに付与された属性データから特定可能である。これら複数の道路のうち、外接矩形の幅が最大となる道路は、道路a−b−w−c−d−eであることから、道路a−b−w−c−d−eを変形主対象に設定する。
【0053】
次に主対象変形部54は、記憶部1に格納された設定ファイルからデフォルメ地図の表示縦サイズMHおよび横サイズMWを取得し、当該縦サイズMHおよび横サイズMWから定まるデフォルメ地図の矩形領域u1u2u3u4を生成する。矩形領域u1u2u3u4内に収まるように、変形主対象である道路a−b−w−c−d−eを構成する各ノードa、b、w、c、d、eの座標を変換してノードの再配置を行う。具体的には、再配置の基準となるノード(例えば、ノードa)を定め、各ノードa、b、w、c、d、eが矩形領域u1u2u3u4内となるように、且つ各エッジ方向が基本デフォルメ地図のエッジ方向と同一方向となるように、各エッジの長さを水平方向および垂直方向に調整して移動先の座標を算出する。各ノードa、b、w、c、d、eの座標を算出した座標に更新して再配置を行う。
【0054】
図10(a)に示した基本デフォルメ地図のノードを再配置した結果を図10(b)に示す。図10(a)におけるノードa、b、w、c、d、eはそれぞれ、図10(b)におけるノードa´、b´、w´、c´、d´、e´に配置される。このように、変形主対象を変形した結果である再配置後のノードの座標等は記憶部1に格納されると共に、同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0055】
次に、同方向近接パーツ変形部55は、主対象変形部54から入力される変形主対象の変形結果、グルーピング部52から入力される同方向近接パーツに関するノード座標等の情報、および間隔調整部53から入力される調整後の同方向近接パーツ間の間隔や配置領域情報に基づき、同方向近接パーツを構成する各ノードの移動先座標を算出し、ノードの再配置を行う。
図6(b)で示したグループ1からグループ6で示された同方向近接パーツを構成する各ノードを再配置した結果を図11に示している。
まず、同方向近接パーツ変形部55は、変形主対象と同一グループに属する同方向近接パーツを取得し、取得した同方向近接パーツの間隔が間隔調整部53で調整した値となるように各ノードを移動させると共に、主対象変形部54の変形結果に合せてノードの移動先座標を算出する。
【0056】
図11に示すように、図6(b)で示したグループ1において同方向近接パーツfgは、変形主対象に設定された同方向近接パーツabと同一方向、且つ、同方向近接パーツabから垂直方向にD_P1離したノードf´およびノードg´の位置を移動先座標として算出し、ノード座標を更新する。ここで、D_P1は、間隔調整部53で調整した値とする。同様に、グループ1の同方向近接パーツopについて、更新後の同方向近接パーツf´、g´から間隔調整部53で調整したパーツ間隔D_P2離したノードo´およびノードp´の位置を移動先座標として算出し、ノード座標を更新する。
【0057】
一般パーツ変形部6は、同方向近接パーツ変形部55から入力される変形主対象と同方向近接パーツが変更された情報、およびグルーピング部52から入力される同方向近接パーツのグルーピング情報に基づいて、基本デフォルメ地図の中から同方向近接パーツ以外のパーツである一般パーツを取得し、取得した一般パーツのノードを変形主対象および同方向近接パーツの変形結果に合せて再配置する。
【0058】
図12は、実施の形態1による地図生成装置の一般パーツ変形部の動作を示すフローチャートであり、図13に一般パーツ変形部が一般パーツのノード再配置を行った結果を示す。図13(a)は、基本デフォルメ地図を示しており、ノードN1からノードN12は一般パーツのノードを示している。図13(b)は、これらのノードN1からノードN12を、上述した図11で示した同方向近接パーツの変形結果に合せて再配置した結果を示している。
【0059】
一般パーツ変形部6は、一般パーツのノードのうち、同方向近接パーツや変形主対象のノードと交差するノードを算出し(ステップST21)、算出した一般パーツのノードの移動先座標を決定し、配置する(ステップST22)。具体的には、図13(a)に示したノードN1は、基本デフォルメ地図上の同方向近接パーツop上に位置していることから、基本デフォルメ地図のパーツopに対するノードN1の配置比率に基づいて、図13(b)で示したパーツo´p´に対するノードN1の移動先座標を算出し、ノードN1´とする。
【0060】
次に、ステップST22で移動先座標を決定したノード以外のノードについて、一般パーツのエッジ方向が基本デフォルメ地図で示したエッジ方向と同一となるようにエッジの長さを調整してノード再配置を行う(ステップST23)。ステップST23のノード再配置結果は最終的なデフォルメ地図として記憶部1に格納する(ステップST24)。また、生成したデフォルメ地図は情報設定部7にも出力され、処理を終了する。
【0061】
なお、上述したステップST22の処理として、一般ノードの配置位置を基本デフォルメ地図の該当部分と同一の配置比率として算出する方法を示したが、この算出方法に限定されるものではない。例えば、ノードN1の移動先座標として、同一方向のリンクo´−p´上の任意の位置として算出してもよい。
【0062】
情報設定部7は、一般パーツ変形部6から、変形主対象、同方向近接パーツおよび一般パーツが変形されたデフォルメ地図を受け取ると、記憶部1に格納された間隔調整部53が生成した配置領域情報に基づいてテキストやアイコン等の情報領域を所定の位置に、所定のサイズで配置する。情報領域を配置したデフォルメ地図は記憶部1に格納される。表示部2は、記憶部1に格納された情報領域を配置したデフォルメ地図を取得し、記憶部1から取得する間隔調整部53において調整された強調表示属性で強調表示対象を強調したデフォルメ地図を表示する。
【0063】
図14(a)は、図13(b)で示した最終的なデフォルメ地図に情報領域を配置し、さらに強調表示属性を適用した例を示している。図14(a)において情報1から情報4はテキストやアイコン等を示す情報領域である。図14(a)の比較として、図14(b)に基本デフォルメ地図をデフォルメ地図の表示サイズに合せて全体的にスケールを縮小して変形した例を示している。図14(b)に示したスケールのみの変更では、道路の近接関係が維持されたままであることから特定の道路の線を太く強調表示することは困難であり、また特定の領域を視認しやすく構成することが困難である。これに対して図14(a)に示すデフォルメ処理を行った地図表示では、特定の道路を太く強調すると共に、特定の領域が視認し易い表示となっている。
【0064】
以上のように、この実施の形態1によれば、デフォルメ地図の基本となるデフォルメ地図の形状特徴(道路の方向など)を保持しつつ、出力したいデフォルメ地図の表示サイズや縦横比、目立つように強調表示したい対象とその強調表示属性に合わせて、特定の対象が目立ち、地図全体の中で捉えやすく(把握しやすく)なるように強調表示したデフォルメ地図を生成することができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態1では、主対象変形部54の処理動作の説明において同方向近接パーツが存在する場合の動作を示したが、同方向近接パーツが存在しない場合には任意の道路を変形主対象に設定し、デフォルメ地図の表示縦サイズMHおよび横サイズMWに合せて変形主対象を変形する。さらに間隔調整部53では、情報領域設定部4において設定された配置領域情報を用いてデフォルメ地図に必要な間隔を調整する。なお、同方向近接パーツ変形部55では、同方向近接パーツが存在しないことから処理は行われない。
【0066】
また、上述した実施の形態1では、主対象変形部54において、同方向近接パーツのうち外接矩形の幅が最大となる道路を変形主対象とする構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、重要な道路種別や重要な道路が存在する場合に、当該道路情報をあらかじめ設定ファイルに記述しておき、設定ファイルから読み込むことにより変更主対象に設定することができる。また、表示部2に基本デフォルメ地図を表示し、ユーザが任意の対象を変形主対象に指定するように構成してもよい。
【0067】
実施の形態2.
デフォルメ地図は、道路等のデフォルメ方向が変化すると地図表示の雰囲気が大きく変化するため、使い慣れたデフォルメ地図の形状(例えば道路などの方向)を保持しつつ、容易に特定部分が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくする手法が望まれる。しかし、従来の技術では、地図の縦横サイズや視認性を向上させたい道路や領域を変更した場合に、その他の部分の形状(例えば、道路の方向など)が保持されない。そのため、使い慣れた形状のデフォルメ地図において、特定部分が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくさせる場合にはデザイナーがその都度デフォルメ地図を作成する必要があった。
この実施の形態2では、上述した不具合を解消するために、上記実施の形態1の構成に加え、デフォルメ地図と同一の形状特徴を有し、強調表示対象あるいは目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくする対象を変更してデフォルメ地図を繰り返し生成可能な構成を示す。
【0068】
図15は、実施の形態2による地図生成装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2による地図生成装置10は、上記実施の形態1で図1を用いて説明した構成に加え、記憶部1の記憶情報を解除する設定解除部8を有している。なお、以下では、実施の形態1による地図生成装置10の構成要素と同一または相当する部分には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0069】
設定解除部8は、情報設定部7によりデフォルメ地図が生成された旨の通知を受けると、記憶部1に格納されている、情報領域設定部4が設定した配置領域情報、強調対象設定部51が設定した強調対象情報および強調表示属性、グルーピング部52が生成したグルーピング結果、間隔調整部53により調整された配置領域情報、および主対象変形部54が設定した変形主対象を全てリセットする。
【0070】
次に、実施の形態2による地図生成装置10の動作について説明を行う。図16は、実施の形態2の地図生成装置の動作を示すフローチャートであり、上記実施の形態1の地図生成装置と同一のステップには図2で使用した符号と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
ステップST9で情報設定部7によりデフォルメ地図上に情報領域が配置され、デフォルメ地図が生成されると、設定解除部8はデフォルメ地図生成の通知を受け取り、記憶部1に格納されている種々のデータをリセットする(ステップST31)。リセットするデータは、情報領域設定部4により設定された配置領域情報、強調対象設定部51が設定した強調表示対象および強調表示属性、グルーピング部52が生成したグルーピング結果、間隔調整部53が必要となる間隔などを設定した配置領域情報、および主対象変形部54が設定した変形主対象である。
【0071】
その後、フローチャートはステップST1の処理に戻り、実施の形態1の地図生成処理と同様の処理を行う。
なお、ステップST1で生成する基本デフォルメ地図は、直近に生成された最終的なデフォルメ地図、ユーザが任意に選択した地図、あるいは記憶部1にあらかじめ記憶されている基本デフォルメ地図など適宜設定可能である。
【0072】
図17は、実施の形態2による地図生成装置が生成したデフォルメ地図の一例を示す図である。なお、ここでは、上記実施の形態1の図14(a)で示したデフォルメ地図を基本デフォルメ地図に設定し、強調表示対象を変えてデフォルメ地図を再生成した結果を示している。図17に示すデフォルメ地図は、図14(a)で示したデフォルメ地図と比較して、領域Bが地図全体に対して占める割合が大きくなっている。また、同方向近接パーツの線分の太さ、マークの種類、マークの大きさ、同方向近接パーツ間の間隔、および情報領域が異なっている。このように強調表示対象は、図17と図14(a)で異なっているが、図14(a)を基本デフォルメ地図としていることから、道路の方向は同一方向を保持している。
なお、図17では、図14(a)と同一サイズのデフォルメ地図を示しているが、再生成時にデフォルメ地図の表示縦横サイズを変更してもよい(図17における領域B)。
【0073】
以上のように、この実施の形態2によれば、基本として使用する地図と同一の形状特徴を有したまま、デフォルメ地図の縦横サイズや強調表示する対象や領域、強調表示属性の異なるデフォルメ地図を複数種類(或いは、望む内容のデフォルメ地図になるまで複数回繰り返し)、容易に生成することができる。
【0074】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、強調表示対象を変形する基本となる基本デフォルメ地図をあらかじめ生成する基本デフォルメ地図生成部3を備える構成を示したが、当該基本デフォルメ地図生成部3を設けず、CADや手動作などであらかじめ基本デフォルメ地図を作成しておき、ノードおよびリンクのネットワーク構造や座標等を記憶部1に格納するように構成してもよい。ここで、基本デフォルメ地図とは、地図の中で特定の部分の線分が太く強調表示されていないが、市販の電子地図に比べてデフォルメされている地図を示す。
【0075】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、デフォルメ対象データを道路データとして説明したが、デフォルメ対象データは道路データに限定されるものではなく、路線データや上下水道のネットワーク構造データでもよい。
【0076】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、表示部2を備え、情報領域設定部4、強調対象設定部51および間隔調整手段におけるユーザ入力や、強調表示を行ったデフォルメ地図を表示する構成を示したが、強調表示対象などの設定を自動で行い、さらに強調表示したデフォルメ地図の地図表示を行わない場合に、表示部2を除いた構成としてもよい。
【0077】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、強調表示属性として、線の太さやマークの種類、大きさなどを示したが、これらに限定されるものではなく、例えば線の色や影、3D表示などの描画効果などを強調表示属性としてもよい。
【0078】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、テキストやアイコン等の情報領域をデフォルメ地図上に配置する構成を示したが、テキストやアイコン等の付加的な情報をデフォルメ地図上に配置する必要がない場合には、情報領域設定部4および情報設定部7を設けることなく構成することができる。この場合、間隔調整部53では、強調表示属性から定まる同方向近接パーツ間の間隔からデフォルメ地図に必要な間隔の総和を算出し、デフォルメ地図の縦横サイズに合せて間隔を調整する。
【0079】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、デフォルメ地図の表示サイズを定めるパラメータとして縦横サイズを用いる構成を示したが、デフォルメ地図の縦サイズおよび横サイズを直接指定する方法以外にも、デフォルメ地図の縦横比を用いてもよい。
【0080】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 記憶部、2 表示部、3 基本デフォルメ地図生成部、4 情報領域設定部、5 強調対象変形部、6 一般パーツ変形部、7 情報設定部、8 設定解除部、10 地図生成装置、51 強調対象設定部、52 グルーピング部、53 間隔調整部、54 主対象変形部、55 同方向近接パーツ変形部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路形状を簡略化表示し、視認性の高いデフォルメ地図を生成する装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、地図データが有している詳細な情報の中から必要な情報を抽出し、形状簡略化処理あるいは方向量子化処理などにより視認性を向上させたデフォルメ地図を生成する技術が開示されている。小さな画面サイズに合わせてデフォルメ地図を作成した場合、元の地図データで近接している対象は非常に近接した配置となり、視認性が低下する。
【0003】
この問題点を解決するために特許文献1のナビゲーション装置では、出発地から目的地までの複数の経路を表示する際に、複数の経路が同一の道路を重複して通っている場合に、当該重複部分をずらし、各経路が容易に判別できるように表示している。また、特許文献2の地図型情報表示板では、道路上に設置される地図型情報表示板に表示するデフォルメ地図に関して、路線間が接近して表示されている場合に路線間の幅を最低離間寸法だけ確保したデフォルメ地図を作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−113460号公報
【特許文献2】特開2004−361828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に開示された技術では、経路または路線をずらして表示することにより重複部分や近接部分が判別し易くなったとしても、当該ずらして表示した部分が表示画面全体に対して視認し易い大きさで配置されているか否かは考慮されておらず、表示画面サイズに対して小さな占有面積で表示される可能性があり、視認性が低下するという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、デフォルメ地図を表示する画面サイズや出力したいデフォルメ地図の縦横サイズや縦横比に応じて、特定の対象が目立つ、或いは、特定の対象が地図全体の中で捉えやすく(把握・認識しやすく)なるように強調表示可能なデフォルメ地図を生成すること、また、デフォルメ地図の縦横サイズや強調表示する対象、画面内で占める領域等を変えて、複数種類のデフォルメ地図を容易に生成することを目的とする。
基本とするデフォルメ地図の形状特徴(道路の方向等)を保持したまま、地図サイズや強調表示する対象に応じて目立つように強調したデフォルメ地図を生成できる点、また、同一の形状特徴を有したまま、強調表示対象や強調表示属性等を変えたデフォルメ地図を複数種類(或るいは、望む内容のデフォルメ地図になるまで複数回繰り返し)生成できる点が特徴である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図生成装置は、デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶する記憶部と、記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮したデフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定されたデフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性およびグルーピング結果を参照してデフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形する強調対象変形部と、デフォルメ対象およびグルーピングされた線分の変形結果に基づいて、デフォルメ対象およびグルーピングされた線分以外の対象を変形する一般対象変形部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、デフォルメ地図の基本となる基本デフォルメ地図情報の形状特徴(道路の方向など)を保持しつつ、出力したいデフォルメ地図の表示サイズに合せて特定の対象を地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】道路の構成を示す説明図である。
【図4】実施の形態1による地図生成装置の基本デフォルメ地図および情報領域の配置領域情報を示す説明図である。
【図5】実施の形態1による地図生成装置の強調表示の一例を示す説明図である。
【図6】実施の形態1による地図生成装置のグルーピング処理を示す説明図である。
【図7】実施の形態1による地図生成装置の間隔調整部の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1による地図生成装置の同方向近接パーツ間の間隔の算出を示す説明図である。
【図9】実施の形態1による地図生成装置のグルーピングおよび配置領域設定後の基本デフォルメ地図を示す一例である。
【図10】実施の形態1による地図生成装置の基本デフォルメ地図と変形主対象の変形を示す説明図である。
【図11】実施の形態1による地図生成装置の同方向近接パーツのノード再配置を示す図である。
【図12】実施の形態1による地図生成装置の一般パーツ変形部の動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1による地図生成装置の一般パーツのノード再配置を示す図である。
【図14】実施の形態1による地図生成装置のデフォルメ地図に情報領域を配置し、強調表示属性を適用した一例を示す図である。
【図15】実施の形態2による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態2による地図生成装置のデフォルメ地図の再生成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図生成装置の構成を示すブロック図である。
この地図生成装置10は、記憶部1、表示部2、基本デフォルメ地図生成部3、情報領域設定部4、強調対象変形部5、一般パーツ変形部6および情報設定部7で構成されている。
記憶部1は、デフォルメ対象データ(座標や、ノード・リンクから成るネットワーク構造のデータ等)を格納している。さらに、定義データやパラメータ、処理過程における中間データ、デフォルメ結果のデータ等も記憶する。
【0011】
表示部2は、デフォルメ対象データおよびデフォルメ地図(特定の対象を強調して見やすく表示した地図)等を表示する。基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データのノード座標を変更して、最終的なデフォルメ地図を生成する際に基本となる地図を生成する。情報領域設定部4は、デフォルメ地図上に付加する情報(テキストやアイコン等)である配置対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット(基準点からどの程度離して配置するか)等を配置領域情報として設定する。
【0012】
強調対象変形部5は、デフォルメ対象データのうち強調表示する対象(以下、強調表示対象と表記)を設定し、最終的なデフォルメ地図の縦横サイズや線の太さ等の強調表示属性に基づいて、設定した強調表示対象が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくなるように地図要素(パーツ)を変形する。さらに説明すると、強調対象変形部5は、強調対象設定部51、グルーピング部52、間隔調整部53、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55で構成されている。
【0013】
強調対象設定部51は、デフォルメ対象データから、強調表示対象および強調表示属性(線の太さやマークの種類、大きさ、マーク同士の配置間隔等)を設定する。グルーピング部52は、強調対象設定部51において設定された強調表示対象を構成する各線分の付近に位置する地図要素(パーツ)を探索し、強調表示対象を構成する各線分と同方向、且つ近接して配置されているパーツ同士をグルーピングする。以下、強調表示対象と、当該強調表示対象を構成する各線分と同方向且つ近接して配置され、グルーピング部52によってグルーピングされたパーツとを合せて、同方向近接パーツと表記する。
【0014】
間隔調整部53は、強調表示対象の強調表示属性および情報領域設定部4で設定された配置領域情報に基づいて、最終的なデフォルメ地図の表示サイズの縦方向および横方向に対して必要な間隔を算出し、デフォルメ地図の表示サイズ内に収まるように強調表示対象の間隔を調整する。主対象変形部54は、同方向近接パーツから、強調表示対象をデフォルメ地図の縦横サイズに合せて視認しやすく表示する際に基準とする対象(以下、変形主対象と表記)を設定し、当該変形主対象を最終的なデフォルメ地図の座標系に合せて変形する。同方向近接パーツ変形部55は、グルーピング部52においてグルーピングされた同方向近接パーツを構成する各ノードの移動先座標を算出し、当該同方向近接パーツを変形する。
【0015】
一般パーツ変形部6は、同方向近接パーツグルーピング部52でグルーピングされなかったパーツ(以下、一般パーツと表記)について、主対象変形部54および同方向近接パーツ変形部55における変形結果に合わせてノードを再配置する。情報設定部7は、情報領域設定部4が設定した配置領域情報を参照し、最終的なデフォルメ地図上に、テキストやアイコン・マーク等の情報を配置する。
【0016】
次に、実施の形態1による地図生成装置10の動作について説明する。図2は、この発明の実施の形態1による地図生成装置の動作を示すフローチャートである。
基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1からデフォルメ対象データを取得し、基本デフォルメ地図を生成する(ステップST1)。情報領域設定部4は、記憶部1からデフォルメ対象のノード座標やリンクID等の地図情報を取得し、当該配置対象となる地図情報の設定、および設定した地図情報の配置領域情報の設定を行う(ステップST2)。強調対象設定部51は、ステップST1で生成された基本デフォルメ地図に基づいて、強調表示対象および強調表示属性を設定する(ステップST3)。
【0017】
グルーピング部52は、ステップST3で設定された強調表示対象を構成する各線分と同一方向であり、且つ近接するパーツをグルーピングして同方向近接パーツを設定し、グルーピング情報(グルーピングされたパーツのノードIDや座標など)を生成する(ステップST4)。間隔調整部53は、ステップST2で設定された配置領域情報、ステップST3で設定された強調表示属性、ステップST4で生成されたグルーピング情報、および記憶部1からデフォルメ地図の表示サイズを取得し、デフォルメ地図の表示サイズに合せて同方向近接パーツ間の間隔を調整すると共に、配置領域情報を調整する(ステップST5)。
【0018】
主対象変形部54は、ステップST4で設定した同方向近接パーツの中から変形主対象を設定すると共に、記憶部1から取得するデフォルメ地図の表示サイズに合せて設定した変形主対象を構成するノードを変形および移動させて再配置を行う(ステップST6)。同方向近接パーツ変形部55は、ステップST4で生成されたグルーピング情報、ステップST5で調整された配置領域情報およびステップST6での変形主対象の変形結果に基づいて、同方向近接パーツを構成するノードの再配置を行う(ステップST7)。
【0019】
一般パーツ変形部6は、ステップST4で生成されたグルーピング情報を用いて記憶部1に記憶された基本デフォルメ地図から一般パーツを取得し、変形主対象および同方向近接パーツのノード再配置結果に合せて、取得した一般パーツのノード再配置を行い、一般パーツのノード再配置結果をデフォルメ地図として記憶部1に記憶させる(ステップST8)。情報領域設定部4は、ステップST8で生成されたデフォルメ地図を取得し、当該デフォルメ地図上に表示するテキストやアイコン等の情報領域を、ステップST2で設定された配置領域情報において指定された位置およびサイズで配置し、記憶部1に格納する(ステップST9)。表示部2は、記憶部1からステップST9で情報領域が配置されたデフォルメ地図を取得し、ステップST3で設定された強調表示属性を適用して、強調表示対象を強調表示した地図表示を行い(ステップST10)、処理を終了する。
【0020】
続いて、上述した地図生成装置10の各構成の詳細、および図2のフローチャートの各処理動作について、具体例を示しながらより詳細に説明する。なお、以下では、地図生成装置10が道路データを強調表示する場合を例に説明する。
まず、記憶部1が記憶するデータについて説明する。記憶部1は、デフォルメ対象データとして、道路を構成する点(以下、ノードと表記)の座標を記憶している。図3は、道路の構成を示す説明図であり、円で示した地点は道路を構成するノードであり、2つのノードを両端とする線分をエッジと呼ぶ。さらに道路が交差している地点を特に交差点ノードと呼び、当該交差点ノードから別の交差点ノードまでの一連のエッジ列をリンクと呼ぶ。
【0021】
道路を構成するノードの座標データは、例えば一般に普及している地図データにも格納されており、これらを用いることができる。当該地図データは道路を構成する多数の補間点を含んでいるため、直接使用せずに補間点の間引きを行い、形状を簡略化した後の座標列を座標データとして使用してもよい。また、補間点の間引きに限定されず、当該地図データに対して座標変換や座標編集を行った結果を座標データとして使用してもよい。また、一般に普及している地図データを直接使用しない場合でも、ノードの座標を列記したファイルをユーザが手作業などにより作成して記憶部1に格納する構成としてもよい。
【0022】
次に、上述した図2のステップST1で示した基本デフォルメ地図生成部3の詳細について説明する。
基本デフォルメ地図生成部3は、記憶部1に格納されているデフォルメ対象データを用いて、当該デフォルメ対象データ中の任意の領域あるいは任意の地図要素に対して基本デフォルメ地図を生成する。すなわち、複数のメッシュから成る地図データにおいて、例えばメッシュAの範囲内の全道路に関する基本デフォルメ地図を生成する、あるいはメッシュAの範囲内の指定した道路のみに関する基本デフォルメ地図を生成する。基本デフォルメ地図を生成する範囲としては、カーナビや歩行者ナビの案内図等で提示されるような狭い範囲や、交差道路が少ない範囲に限らない県内全域の主要道路網や、複数県(例えば、関東地方全体)の主要道路網など、広域かつ多数の道路を含む地図範囲を扱うことができる。
【0023】
基本デフォルメ地図生成部3は、地図要素の簡略化処理として例えば形状簡略化やエッジの方向量子化を行う。形状簡略化は、地図データに含まれる多数の補間点を削減して道路形状を簡略化する。この形状簡略化には、再帰的にエッジ列を近似する既知の方法を用いることができる。地図データが多数の補間点を持たず、既に必要なノードのみを保有している場合は、形状簡略化は行わなくてよい。エッジの方向量子化では、道路の方向が特定方向(45度の整数倍や30度の整数倍の方向等)となるように配置される。生成した基本デフォルメ地図の情報(ノードの座標やリンクID、ノードID等の情報)は、記憶部1に格納される。
【0024】
情報領域設定部4は、記憶部1から基本デフォルメ地図の情報であるノード座標およびリンクID等を取得すると、デフォルメ地図上に付加するテキストやアイコン等の情報を配置する対象、情報の領域サイズ、情報の配置位置の基準点、オフセット等を配置領域情報として設定する。
記憶部1に記憶されたデフォルメ対象データに、属性情報として交差点名称や道路名称等が格納されている場合は、格納されているテキストの文字数と所定のフォントサイズに基づいてテキストの配置領域を決定する。所定のフォントサイズとは、デフォルメ地図に表示する文字のフォントサイズであり、あらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納しておき、当該設定ファイルを読み込んで取得する。また、オフセットについても同様に設定ファイルに記述しておき、当該設定ファイルから読み込み取得する。
【0025】
情報領域設定部4が設定するテキストに関する配置領域情報の一例を図4を参照しながら説明する。図4(a)は基本デフォルメ地図生成部において生成された基本デフォルメ地図を示し、図4(b)は図4(a)におけるノードaにおける配置領域情報を示す図である。デフォルメ対象データにおいて、ノードaの属性情報として交差点名称が格納されている場合、交差点名称「交差点A」を配置対象、ノードaを配置位置の基準点として取得する。さらに図4(b)に示すようにテキスト「交差点A」の配置領域の縦幅th、および横幅twを取得する。また、テキスト「交差点A」をノードaの位置を基準として配置する際のオフセットsx、syを設定する。また、テキスト名称として、道路名称等が格納されている場合も同様である。
【0026】
デフォルメ対象データに格納されているテキスト情報に、使用する必要がないテキスト情報が含まれる場合は、必要とするテキスト情報のみをあらかじめリスト化して記憶部1に格納しておき、記憶部1からリストを読み込んで、必要なテキスト情報に対してのみ、配置領域情報を設定する。また、デフォルメ対象データに格納されているテキスト情報のほかに、デフォルメ地図上の任意の位置にユーザが独自に配置したいテキストがある場合は、そのテキストに対して、テキスト配置領域の縦幅、および横幅を算出し、配置位置の基準点やオフセット等と関連付けて配置領域情報を設定する。
【0027】
なお、ユーザが独自にテキストを配置する場合には、ユーザが配置したいテキスト内容やフォントサイズを記述した設定ファイルを記憶部1に格納しておき、情報領域設定部4が当該ファイルを読み込んで取得するように構成してもよい。また、ユーザとの対話による操作で、テキストやフォント、テキストの領域サイズ、情報の配置位置の基準点およびオフセット等を取得するように構成してもよい。
【0028】
さらにテキスト同様に、アイコンデータについてもアイコンのサイズに応じて必要となる配置領域の縦幅、および横幅を算出し、配置領域情報を設定する。また、アイコンデータが対象データに格納されていない場合でも、ユーザが独自に配置したいアイコンに関するリストをあらかじめ記憶部1に格納しておき、記憶部1から当該リストを読み込んで配置領域を設定することも可能である。設定した配置領域情報は、記憶部1に格納するとともに強調対象変形部5に出力される。
【0029】
次に、強調対象変形部5の詳細な構成について説明する。
強調対象設定部51は、デフォルメ地図において強調表示対象や強調表示属性を設定する。なお以下では、基本デフォルメ地図における特定の道路について、道路の線の幅、線上に配置するマークの種類や大きさ、およびマーク同士の配置間隔などを変更し、強調表示する場合を例に説明する。
【0030】
強調表示対象や強調表示属性の設定は、手動または自動で行う。
始めに、手動で設定する場合について説明する。まず、表示部2に基本デフォルメ地図を表示し、ユーザ入力手段(不図示、例えばマウスやタッチパネルなど)による操作で、線の幅を変えて強調表示した道路を指定する。指定した道路に対して線の幅やマークの種類、マークの大きさ、マーク同士の配置間隔などの強調表示属性をダイアログボックスなどにより入力する。
一方、自動で設定する場合、強調表示したい対象として道路種別や道路番号、リンクID,ノードID等を、線の幅やマークの種類、マークの大きさ、マーク同士の配置間隔などと関連付けてあらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納しておき、当該設定ファイルを記憶部1から読み込むことにより設定する。
【0031】
図5は、強調対象設定部が設定する強調表示設定に基づく強調表示の変化を示す説明図である。図5(a)は、強調表示属性が未設定である場合を示しており、3本の道路X,Y,Z、および当該道路X,Y,Z上のノードx1,x2,y1,y2,z1,z2が存在する。図5(b)から図5(d)は道路X,Y,Zのうち、道路Xと道路Yを強調表示対象と設定し、道路Xおよび道路Yの線の幅、ノードx1,x2,y1,y2のマークの種類、マークの大きさ、およびマーク同士の配置間隔等を種々変化させた場合を示している。
【0032】
図5(b)の表示例では、図5(a)に対して道路Xおよび道路Yの線の幅を太くし、ノードx1,x2とノードy1,y2のマークの大きさを変化させ、ノードx1とノードy1のマークが接するように設定している。図5(c)の表示例では、図5(a)に対して道路Xおよび道路Yの線の幅を太くし、ノードx1,x2のマークの大きさを変化させ、ノードy1,y2のマークの大きさおよび種類を変化させ、ノードx1とノードy1のマークが接するように設定している。図5(d)の表示例は、図5(c)の設定からさらに、ノードx1とノードy1のマークを距離dhだけ離して配置するように設定している。
【0033】
なお、図5(a)から図5(d)に示した表示例は、強調表示属性の内容に応じて表示がどのように異なるかを示したものであり、基本デフォルメ地図に対して道路の線の幅やノードのマークの表示属性の設定を変更する処理は、後段の間隔調整部53において実施される。
強調対象設定部51が設定した強調表示対象および強調表示属性は、記憶部1に格納すると共に、グルーピング部52、主対象変形部54および間隔調整部53に出力される。
【0034】
次に、図6を参照しながら、グルーピング部52の処理について説明する。図6(a)は、グルーピング処理前の表示例を示し、図6(b)はグルーピング処理後の表示例を示す。
図6(a)において、点線で示した道路は強調対象設定部51で設定された強調表示対象であり、グルーピング部52はこれら強調表示対象の道路を構成する各エッジに対して付近に位置するエッジを探索する。探索したエッジから、表示するデフォルメ地図の横方向に対して水平方向となす角度を算出し、強調表示対象である道路上のエッジ方向と同一方向を有するエッジのみをグルーピング対象として抽出する。
【0035】
図6(b)は、図6(a)において点線で示した強調表示対象である道路について、近傍に位置し、且つ同一方向を有するエッジを抽出し、グルーピング処理を行った結果を示している。
ノードoとノードpを両端とするエッジopは、強調表示対象である道路上のエッジfgの近傍に位置し、且つエッジfgと同一方向に伸びるエッジであることから、グルーピング対象として抽出される。同様にエッジtuおよびエッジuvは、強調表示対象である道路上のエッジcdおよびエッジdeの近傍に位置し、且つ同一方向に伸びるエッジであることからグルーピング対象として抽出される。
【0036】
次に、グルーピング処理として、まず強調表示対象である道路のエッジについて、近傍に位置し、且つ同一方向に伸びるエッジ同士を同一のグループに分類する。例えば、図6(b)において、エッジabとエッジfgは近接し、且つ同一方向に伸びるエッジであることから同じグループ1に分類される。一方、エッジijは、エッジfgと同一方向に伸びるが互いに離れて配置されていることから別グループとなるグループ2に分類される。近傍に位置するエッジの探索範囲、すなわちどの範囲内に位置するエッジを同一グループに分類するかは、あらかじめ設定ファイルに記述して記憶部1に格納させておく。続いて、グルーピング対象として抽出したエッジについて、同様に各グループに分類する。
【0037】
図6(b)は、各エッジをグループ1からグループ6にグルーピングした結果を示している。例えば、グループ2は、エッジqr、エッジij、およびエッジlmは互いに近接し、且つ表示するデフォルメ地図の横方向に対して水平方向に伸びるエッジであることから同一グループとして分類される。同様に、グループ4は、エッジsr、エッジkj、およびエッジnmは互いに近接し、且つ表示するデフォルメ地図の横方向に対して垂直方向に伸びるエッジであることから同一グループとして分類される。グルーピング部52により分類されたグルーピング情報は、記憶部1に格納されると共に間隔調整部53および同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0038】
間隔調整部53は、情報領域設定部4から入力される配置領域情報、強調対象設定部51から入力される強調表示属性、グルーピング部52から入力されるグルーピング情報、および記憶部1に格納された設定ファイルから最終的なデフォルメ地図の表示縦横サイズを取得する。なお、最終的なデフォルメ地図の表示縦横サイズはユーザとの対話操作で入力するように構成してもよい。間隔調整部53は、取得した情報から最終的なデフォルメ地図を表示する際に必要となる道路と道路の間に生じる空間である間隔を算出し、当該間隔を最終的なデフォルメ地図のサイズに収まるように調整する。
【0039】
図7は、実施の形態1による地図生成装置の間隔調整部の動作を示すフローチャートである。
まず、グルーピング情報を参照し、同方向近接パーツ間の間隔を算出する(ステップST11)。次に、ステップST11で算出したすべての同方向近接パーツ間の間隔と、同方向近接パーツ以外の地図要素に設定されている全ての配置領域情報を取得し、すべての同方向近接パーツ間の間隔と全ての配置領域情報の総和である、縦方向DHおよび横方向DWを算出する(ステップST12)。さらに、ステップST2で算出した縦方向DHが表示するデフォルメ地図の縦サイズ未満であり、且つ横方向DWが表示するデフォルメ地図の横サイズ未満であるか否か判定を行う(ステップST13)。
【0040】
ステップST13において、縦方向DHが出力デフォルメ地図の縦サイズ以下でない、あるいは横方向DWが出力デフォルメ地図の横サイズ以下でないと判定された場合(ステップST13;NO)、配置領域情報あるいは強調変形属性を変更し、同方向近接パーツ間の間隔を調整し(ステップST14)、ステップST13の判定処理に戻る。一方、ステップST13において、縦方向DHが出力デフォルメ地図の縦サイズ未満であり、且つ横方向DWが出力デフォルメ地図の横サイズ未満であると判定された場合(ステップST13;Yes)、処理を終了する。
【0041】
次に、上述したステップST11からステップST14の処理を具体例を参照しながら詳細に説明する。
ステップST11では、同方向近接パーツのノードやエッジに交差点名等のテキストやアイコンの配置領域が設定されている場合は、強調表示における線の太さやマークの大きさ・種類等の強調表示属性から定まるパーツ間の間隔とテキスト等の配置に関する配置領域情報の両方を加味して、同方向近接パーツ間の間隔を定める。
【0042】
図8は、間隔調整部による同方向近接パーツ間の間隔の設定を示す説明図である。
図8(a)は、同方向近接パーツX,Y,Zにおいて、交差点名や道路名等のテキストやアイコン等の情報領域が設定されていない場合を示している。この場合、同方向近接パーツXと同方向近接パーツYとの間隔、および同方向近接パーツYと同方向近接パーツZとの間隔は、強調表示属性によって決まり、各々D1およびD2となる。図8(a)に示す例では、ノードを示すマーク同士の配置間隔(x1とy1の間隔およびy1とz1の間隔)を0に設定した場合を示している。
【0043】
一方、図8(b)は、同方向近接パーツZのノードz1に交差点名の情報領域が設定されている場合を示している。また、図8(c)は、図8(b)における領域Aの拡大図である。図8(b)に示すように、情報領域が設定されている場合には、まず配置領域情報について必要となる間隔を算出し、次に、近接パーツ間の必要となる間隔を算出する。情報領域(テキスト:交差点Z)は縦幅th、横幅twであり、当該情報領域を配置する際には基準点z1に対して縦方向にsy、横方向にsxの配置オフセットを設ける。また、情報領域と同方向近接パーツとを最小間隔δ以上離して配置する。
【0044】
図8(b)および図8(c)に示した具体例では、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZとの間に必要となる間隔は、D2´=δ+th+syと算出される。次に、算出されたD2´と、強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔(ここでは、mと設定する)とを比較し、より大きい値を有する間隔を同方向近接パーツ間隔の必要量として設定される。強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔mが、D2´よりも大きい場合には、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZの間隔はmに設定される。一方、強調表示属性で設定されたマーク同士の間隔mがD2´よりも小さい場合には、同方向近接パーツYと同方向近接パーツZの間隔はD2´に設定される。このように、グルーピング部52においてグルーピングされた全ての同方向近接パーツについて、パーツ間の間隔を強調表示属性および配置領域情報に基づいて算出する。
【0045】
次に、ステップST12として、ステップST11で算出した全ての同方向近接パーツ間の間隔と、同方向近接パーツ以外の地図要素に設定されている全ての配置領域情報を取得し、これらの総和である縦方向DHおよび横方向DWを算出する。図9を参照しながら具体的に説明する。図9に示した基本デフォルメ地図では、グルーピング部52において、3つの同方向近接パーツX1からX3をグルーピングしたグループX、2つの同方向近接パーツY1,Y2をグルーピングしたグループYが生成され、ノードn1に縦幅th1および横幅tw1のテキスト情報が設定され、ノードn2に縦幅th2および横幅tw2のテキスト情報が設定されている。
【0046】
なお、図9中に「文字A」、「文字B」というシンボルが記載されているが、これはノードn1やノードn2に配置領域情報が設定されていることを明示的に示すためのものであり、基本デフォルメ地図上には当該テキスト情報はまだ配置されていない状態とする。上述したステップST11の処理において同方向近接パーツX1とX2の間隔がD3、同方向近接パーツX2とX3の間隔がD4、同方向近接パーツY1とY2の間隔がD5と算出されたとすると、縦方向の総和であるDHおよび横方向の総和DWは以下の式(1)および式(2)で表わされる。
DH=D3+D4+D5+sy1+sy2+th1+th2 ・・・(1)
DW=sx1+sx2+tw1+tw2 ・・・(2)
【0047】
ステップST13では、同方向近接パーツ間の間隔の総和DHおよびDWがそれぞれ、最終的なデフォルメ地図の表示縦サイズおよび横サイズ以下であるか否か判定を行う。ステップST13において、DHあるいはDWが最終的なデフォルメ地図の縦サイズあるいは横サイズ以下でないと判定された場合には、DHあるいはDWがデフォルメ地図の表示縦サイズあるいは横サイズ以下となるように同方向近接パーツ間の間隔あるいは配置領域情報を調整する。具体的には、以下に示すパラメータについて指定した順位で間隔が小さくなるように値を変更し、調整する。
【0048】
<パラメータ>
・情報を配置する際のオフセット
・テキストやアイコン等を同方向近接パーツと離す間隔
・テキストやアイコンの配置領域サイズやオフセット
・強調表示属性(マークの大きさ等、マーク同士の配置間隔等)
【0049】
上記パラメータに関して、どの順位で、どの程度の変更量で値を変更するかは、あらかじめ設定ファイルに記述しておき、記憶部1に格納しておく。ここで、変更量は、例えば元の値の80%の値に変更するという比率を用いてもよいし、削減する量を直接指定してもよい。変更する際のパラメータの順位や変更量は、設定ファイルから取得する方法以外にも、ダイアログボックス等でユーザが対話的に入力する方法を用いてもよい。また、変更された情報は、記憶部1に格納されている該当する情報の値を変更する。
【0050】
このように、同方向近接パーツ間の間隔の総和DHおよびDWのそれぞれがデフォルメ地図の表示縦サイズおよび横サイズよりも小さくなるまで、ステップST13からステップST14を繰り返す。調整後の同方向近接パーツ間の間隔や配置領域情報は、記憶部1に格納すると共に、同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0051】
次に、主対象変形部54は、強調表示対象を最終的なデフォルメ地図の縦横サイズに合せて見やすく配置する際の基本となる変形主対象を設定し、当該設定した変形主対象についてデフォルメ地図の座標系に合せてノードの再配置を行う。変形主対象の設定は、グルーピング部52において同方向近接パーツが生成された場合には、同方向近接パーツとなった道路のうち、外接矩形の幅が最大となる道路を変形主対象に設定する。一方、同方向近接パーツが存在しない場合には、任意の道路を変形主対象とする。
【0052】
図10の具体例を参照しながら、主対象変形部54の動作を説明する。ここでは、同方向近接パーツが生成された場合を例に説明する。図10(a)は、図6(b)に示したグルーピング結果に基づいた基本デフォルメ地図である。同方向近接パーツに設定された道路は、図6(a)における道路a−b−w−c−d−e、道路f−g−h−N4−N12、道路q−r−s、道路i−j−k、道路l−m−n、道路N11−t−u−vである。道路の単位、すなわちどの部分をひとまとまりの道路と認識するかは、路線番号等の対象データに付与された属性データから特定可能である。これら複数の道路のうち、外接矩形の幅が最大となる道路は、道路a−b−w−c−d−eであることから、道路a−b−w−c−d−eを変形主対象に設定する。
【0053】
次に主対象変形部54は、記憶部1に格納された設定ファイルからデフォルメ地図の表示縦サイズMHおよび横サイズMWを取得し、当該縦サイズMHおよび横サイズMWから定まるデフォルメ地図の矩形領域u1u2u3u4を生成する。矩形領域u1u2u3u4内に収まるように、変形主対象である道路a−b−w−c−d−eを構成する各ノードa、b、w、c、d、eの座標を変換してノードの再配置を行う。具体的には、再配置の基準となるノード(例えば、ノードa)を定め、各ノードa、b、w、c、d、eが矩形領域u1u2u3u4内となるように、且つ各エッジ方向が基本デフォルメ地図のエッジ方向と同一方向となるように、各エッジの長さを水平方向および垂直方向に調整して移動先の座標を算出する。各ノードa、b、w、c、d、eの座標を算出した座標に更新して再配置を行う。
【0054】
図10(a)に示した基本デフォルメ地図のノードを再配置した結果を図10(b)に示す。図10(a)におけるノードa、b、w、c、d、eはそれぞれ、図10(b)におけるノードa´、b´、w´、c´、d´、e´に配置される。このように、変形主対象を変形した結果である再配置後のノードの座標等は記憶部1に格納されると共に、同方向近接パーツ変形部55に出力される。
【0055】
次に、同方向近接パーツ変形部55は、主対象変形部54から入力される変形主対象の変形結果、グルーピング部52から入力される同方向近接パーツに関するノード座標等の情報、および間隔調整部53から入力される調整後の同方向近接パーツ間の間隔や配置領域情報に基づき、同方向近接パーツを構成する各ノードの移動先座標を算出し、ノードの再配置を行う。
図6(b)で示したグループ1からグループ6で示された同方向近接パーツを構成する各ノードを再配置した結果を図11に示している。
まず、同方向近接パーツ変形部55は、変形主対象と同一グループに属する同方向近接パーツを取得し、取得した同方向近接パーツの間隔が間隔調整部53で調整した値となるように各ノードを移動させると共に、主対象変形部54の変形結果に合せてノードの移動先座標を算出する。
【0056】
図11に示すように、図6(b)で示したグループ1において同方向近接パーツfgは、変形主対象に設定された同方向近接パーツabと同一方向、且つ、同方向近接パーツabから垂直方向にD_P1離したノードf´およびノードg´の位置を移動先座標として算出し、ノード座標を更新する。ここで、D_P1は、間隔調整部53で調整した値とする。同様に、グループ1の同方向近接パーツopについて、更新後の同方向近接パーツf´、g´から間隔調整部53で調整したパーツ間隔D_P2離したノードo´およびノードp´の位置を移動先座標として算出し、ノード座標を更新する。
【0057】
一般パーツ変形部6は、同方向近接パーツ変形部55から入力される変形主対象と同方向近接パーツが変更された情報、およびグルーピング部52から入力される同方向近接パーツのグルーピング情報に基づいて、基本デフォルメ地図の中から同方向近接パーツ以外のパーツである一般パーツを取得し、取得した一般パーツのノードを変形主対象および同方向近接パーツの変形結果に合せて再配置する。
【0058】
図12は、実施の形態1による地図生成装置の一般パーツ変形部の動作を示すフローチャートであり、図13に一般パーツ変形部が一般パーツのノード再配置を行った結果を示す。図13(a)は、基本デフォルメ地図を示しており、ノードN1からノードN12は一般パーツのノードを示している。図13(b)は、これらのノードN1からノードN12を、上述した図11で示した同方向近接パーツの変形結果に合せて再配置した結果を示している。
【0059】
一般パーツ変形部6は、一般パーツのノードのうち、同方向近接パーツや変形主対象のノードと交差するノードを算出し(ステップST21)、算出した一般パーツのノードの移動先座標を決定し、配置する(ステップST22)。具体的には、図13(a)に示したノードN1は、基本デフォルメ地図上の同方向近接パーツop上に位置していることから、基本デフォルメ地図のパーツopに対するノードN1の配置比率に基づいて、図13(b)で示したパーツo´p´に対するノードN1の移動先座標を算出し、ノードN1´とする。
【0060】
次に、ステップST22で移動先座標を決定したノード以外のノードについて、一般パーツのエッジ方向が基本デフォルメ地図で示したエッジ方向と同一となるようにエッジの長さを調整してノード再配置を行う(ステップST23)。ステップST23のノード再配置結果は最終的なデフォルメ地図として記憶部1に格納する(ステップST24)。また、生成したデフォルメ地図は情報設定部7にも出力され、処理を終了する。
【0061】
なお、上述したステップST22の処理として、一般ノードの配置位置を基本デフォルメ地図の該当部分と同一の配置比率として算出する方法を示したが、この算出方法に限定されるものではない。例えば、ノードN1の移動先座標として、同一方向のリンクo´−p´上の任意の位置として算出してもよい。
【0062】
情報設定部7は、一般パーツ変形部6から、変形主対象、同方向近接パーツおよび一般パーツが変形されたデフォルメ地図を受け取ると、記憶部1に格納された間隔調整部53が生成した配置領域情報に基づいてテキストやアイコン等の情報領域を所定の位置に、所定のサイズで配置する。情報領域を配置したデフォルメ地図は記憶部1に格納される。表示部2は、記憶部1に格納された情報領域を配置したデフォルメ地図を取得し、記憶部1から取得する間隔調整部53において調整された強調表示属性で強調表示対象を強調したデフォルメ地図を表示する。
【0063】
図14(a)は、図13(b)で示した最終的なデフォルメ地図に情報領域を配置し、さらに強調表示属性を適用した例を示している。図14(a)において情報1から情報4はテキストやアイコン等を示す情報領域である。図14(a)の比較として、図14(b)に基本デフォルメ地図をデフォルメ地図の表示サイズに合せて全体的にスケールを縮小して変形した例を示している。図14(b)に示したスケールのみの変更では、道路の近接関係が維持されたままであることから特定の道路の線を太く強調表示することは困難であり、また特定の領域を視認しやすく構成することが困難である。これに対して図14(a)に示すデフォルメ処理を行った地図表示では、特定の道路を太く強調すると共に、特定の領域が視認し易い表示となっている。
【0064】
以上のように、この実施の形態1によれば、デフォルメ地図の基本となるデフォルメ地図の形状特徴(道路の方向など)を保持しつつ、出力したいデフォルメ地図の表示サイズや縦横比、目立つように強調表示したい対象とその強調表示属性に合わせて、特定の対象が目立ち、地図全体の中で捉えやすく(把握しやすく)なるように強調表示したデフォルメ地図を生成することができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態1では、主対象変形部54の処理動作の説明において同方向近接パーツが存在する場合の動作を示したが、同方向近接パーツが存在しない場合には任意の道路を変形主対象に設定し、デフォルメ地図の表示縦サイズMHおよび横サイズMWに合せて変形主対象を変形する。さらに間隔調整部53では、情報領域設定部4において設定された配置領域情報を用いてデフォルメ地図に必要な間隔を調整する。なお、同方向近接パーツ変形部55では、同方向近接パーツが存在しないことから処理は行われない。
【0066】
また、上述した実施の形態1では、主対象変形部54において、同方向近接パーツのうち外接矩形の幅が最大となる道路を変形主対象とする構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、重要な道路種別や重要な道路が存在する場合に、当該道路情報をあらかじめ設定ファイルに記述しておき、設定ファイルから読み込むことにより変更主対象に設定することができる。また、表示部2に基本デフォルメ地図を表示し、ユーザが任意の対象を変形主対象に指定するように構成してもよい。
【0067】
実施の形態2.
デフォルメ地図は、道路等のデフォルメ方向が変化すると地図表示の雰囲気が大きく変化するため、使い慣れたデフォルメ地図の形状(例えば道路などの方向)を保持しつつ、容易に特定部分が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくする手法が望まれる。しかし、従来の技術では、地図の縦横サイズや視認性を向上させたい道路や領域を変更した場合に、その他の部分の形状(例えば、道路の方向など)が保持されない。そのため、使い慣れた形状のデフォルメ地図において、特定部分が地図全体に対して目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくさせる場合にはデザイナーがその都度デフォルメ地図を作成する必要があった。
この実施の形態2では、上述した不具合を解消するために、上記実施の形態1の構成に加え、デフォルメ地図と同一の形状特徴を有し、強調表示対象あるいは目立つ(惹き付ける)、或いは、地図全体の中で捉えやすくする対象を変更してデフォルメ地図を繰り返し生成可能な構成を示す。
【0068】
図15は、実施の形態2による地図生成装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2による地図生成装置10は、上記実施の形態1で図1を用いて説明した構成に加え、記憶部1の記憶情報を解除する設定解除部8を有している。なお、以下では、実施の形態1による地図生成装置10の構成要素と同一または相当する部分には実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0069】
設定解除部8は、情報設定部7によりデフォルメ地図が生成された旨の通知を受けると、記憶部1に格納されている、情報領域設定部4が設定した配置領域情報、強調対象設定部51が設定した強調対象情報および強調表示属性、グルーピング部52が生成したグルーピング結果、間隔調整部53により調整された配置領域情報、および主対象変形部54が設定した変形主対象を全てリセットする。
【0070】
次に、実施の形態2による地図生成装置10の動作について説明を行う。図16は、実施の形態2の地図生成装置の動作を示すフローチャートであり、上記実施の形態1の地図生成装置と同一のステップには図2で使用した符号と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
ステップST9で情報設定部7によりデフォルメ地図上に情報領域が配置され、デフォルメ地図が生成されると、設定解除部8はデフォルメ地図生成の通知を受け取り、記憶部1に格納されている種々のデータをリセットする(ステップST31)。リセットするデータは、情報領域設定部4により設定された配置領域情報、強調対象設定部51が設定した強調表示対象および強調表示属性、グルーピング部52が生成したグルーピング結果、間隔調整部53が必要となる間隔などを設定した配置領域情報、および主対象変形部54が設定した変形主対象である。
【0071】
その後、フローチャートはステップST1の処理に戻り、実施の形態1の地図生成処理と同様の処理を行う。
なお、ステップST1で生成する基本デフォルメ地図は、直近に生成された最終的なデフォルメ地図、ユーザが任意に選択した地図、あるいは記憶部1にあらかじめ記憶されている基本デフォルメ地図など適宜設定可能である。
【0072】
図17は、実施の形態2による地図生成装置が生成したデフォルメ地図の一例を示す図である。なお、ここでは、上記実施の形態1の図14(a)で示したデフォルメ地図を基本デフォルメ地図に設定し、強調表示対象を変えてデフォルメ地図を再生成した結果を示している。図17に示すデフォルメ地図は、図14(a)で示したデフォルメ地図と比較して、領域Bが地図全体に対して占める割合が大きくなっている。また、同方向近接パーツの線分の太さ、マークの種類、マークの大きさ、同方向近接パーツ間の間隔、および情報領域が異なっている。このように強調表示対象は、図17と図14(a)で異なっているが、図14(a)を基本デフォルメ地図としていることから、道路の方向は同一方向を保持している。
なお、図17では、図14(a)と同一サイズのデフォルメ地図を示しているが、再生成時にデフォルメ地図の表示縦横サイズを変更してもよい(図17における領域B)。
【0073】
以上のように、この実施の形態2によれば、基本として使用する地図と同一の形状特徴を有したまま、デフォルメ地図の縦横サイズや強調表示する対象や領域、強調表示属性の異なるデフォルメ地図を複数種類(或いは、望む内容のデフォルメ地図になるまで複数回繰り返し)、容易に生成することができる。
【0074】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、強調表示対象を変形する基本となる基本デフォルメ地図をあらかじめ生成する基本デフォルメ地図生成部3を備える構成を示したが、当該基本デフォルメ地図生成部3を設けず、CADや手動作などであらかじめ基本デフォルメ地図を作成しておき、ノードおよびリンクのネットワーク構造や座標等を記憶部1に格納するように構成してもよい。ここで、基本デフォルメ地図とは、地図の中で特定の部分の線分が太く強調表示されていないが、市販の電子地図に比べてデフォルメされている地図を示す。
【0075】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、デフォルメ対象データを道路データとして説明したが、デフォルメ対象データは道路データに限定されるものではなく、路線データや上下水道のネットワーク構造データでもよい。
【0076】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、表示部2を備え、情報領域設定部4、強調対象設定部51および間隔調整手段におけるユーザ入力や、強調表示を行ったデフォルメ地図を表示する構成を示したが、強調表示対象などの設定を自動で行い、さらに強調表示したデフォルメ地図の地図表示を行わない場合に、表示部2を除いた構成としてもよい。
【0077】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、強調表示属性として、線の太さやマークの種類、大きさなどを示したが、これらに限定されるものではなく、例えば線の色や影、3D表示などの描画効果などを強調表示属性としてもよい。
【0078】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、テキストやアイコン等の情報領域をデフォルメ地図上に配置する構成を示したが、テキストやアイコン等の付加的な情報をデフォルメ地図上に配置する必要がない場合には、情報領域設定部4および情報設定部7を設けることなく構成することができる。この場合、間隔調整部53では、強調表示属性から定まる同方向近接パーツ間の間隔からデフォルメ地図に必要な間隔の総和を算出し、デフォルメ地図の縦横サイズに合せて間隔を調整する。
【0079】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、デフォルメ地図の表示サイズを定めるパラメータとして縦横サイズを用いる構成を示したが、デフォルメ地図の縦サイズおよび横サイズを直接指定する方法以外にも、デフォルメ地図の縦横比を用いてもよい。
【0080】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 記憶部、2 表示部、3 基本デフォルメ地図生成部、4 情報領域設定部、5 強調対象変形部、6 一般パーツ変形部、7 情報設定部、8 設定解除部、10 地図生成装置、51 強調対象設定部、52 グルーピング部、53 間隔調整部、54 主対象変形部、55 同方向近接パーツ変形部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する地図生成装置において、
前記デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶する記憶部と、
前記記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、前記デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、前記デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮した前記デフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、前記強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性および前記グルーピング結果を参照して前記デフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形する強調対象変形部と、
前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分の変形結果に基づいて、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分以外の対象を変形する一般対象変形部とを備えたことを特徴とする地図生成装置。
【請求項2】
前記デフォルメ地図上に付加する表示情報を配置する対象、および前記表示情報の領域サイズを配置領域情報として設定する情報領域設定部と、
前記情報領域設定部が設定した配置領域情報を参照し、前記強調対象変形部が調整した前記強調表示属性のパラメータ値を用いて前記表示情報を配置する情報設定部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の地図生成装置。
【請求項3】
前記強調対象変形部は、
前記記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定する強調対象設定部と、
前記デフォルメ対象の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する各線分と同方向に延伸する線分を同方向近接パーツとして取得し、前記デフォルメ対象および前記同方向近接パーツをグルーピングするグルーピング部と、
前記デフォルメ対象の強調表示に必要となる空白領域を算出し、当該算出した空白領域が予め設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以内でない場合には、前記強調表示属性のパラメータ値を調整する間隔調整部と、
前記デフォルメ対象をあらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズに合せて変形する際の基準とする変形基準対象を定め、前記デフォルメ地図の座標系に合せて前記変形基準対象を構成するノードの座標を変更してノードを再配置する強調主対象変形部と、
前記デフォルメ対象の変形結果に合せて、前記間隔調整部で調整されたパラメータ値を用いて前記同方向近接パーツの各線分のノード座標を変更して前記同方向近接パーツを変形する同方向近接パーツ変形部とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図生成装置。
【請求項4】
前記情報領域設定部が設定した配置領域情報、前記強調対象設定部が設定した強調表示属性、前記グルーピング部のグルーピング結果、前記間隔調整部が算出した空白領域に関する情報の値を全て解除する設定解除部を備えたことを特徴とする請求項3記載の地図生成装置。
【請求項5】
詳細な座標情報を有する地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を生成する基本デフォルメ地図生成部を備え、
前記記憶部は、前記地図情報を記憶すると共に、前記基本デフォルメ地図生成部が生成した基本デフォルメ地図を記憶することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の地図生成装置。
【請求項6】
前記デフォルメ対象および前記デフォルメ地図を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の地図生成装置。
【請求項7】
地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する地図生成方法において、
記憶部が、前記デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶するステップと、
強調対象変形部が、前記基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、前記デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、前記デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮した前記デフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、前記強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性および前記グルーピング結果を参照して前記デフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形するステップと、
一般対象変形部が、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分の変形結果に基づいて、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分以外の対象を変形するステップとを備えたことを特徴とする地図生成方法。
【請求項8】
情報領域設定部が、前記デフォルメ地図上に付加する表示情報を配置する対象、および前記表示情報の領域サイズを配置領域情報として設定するステップと、
情報設定部が、前記配置領域情報を参照し、調整した前記強調表示属性のパラメータ値を用いて前記表示情報を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項7記載の地図生成方法。
【請求項9】
強調対象設定部が、前記基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定するステップと、
グルーピング部が、前記デフォルメ対象の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する各線分と同方向に延伸する線分を同方向近接パーツとして取得し、前記デフォルメ対象および前記同方向近接パーツをグルーピングするステップと、
間隔調整部が、前記デフォルメ対象の強調表示に必要となる空白領域を算出し、当該算出した空白領域が予め設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以内でない場合には、前記強調表示属性のパラメータ値を調整するステップと、
強調主対象変形部が、前記デフォルメ対象をあらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズに合せて変形する際の基準とする変形基準対象を定め、前記デフォルメ地図の座標系に合せて前記変形基準対象を構成するノードの座標を変更してノードを再配置するステップと、
同方向近接パーツ変形部が、前記デフォルメ対象の変形結果に合せて、前記調整されたパラメータ値を用いて前記同方向近接パーツの各線分のノード座標を変更して前記同方向近接パーツを変形するステップとを備えたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の地図生成方法。
【請求項10】
設定解除部が、前記配置領域情報、前記強調表示属性、前記グルーピング結果、前記空白領域に関する情報の値を全て解除するステップを備えたことを特徴とする請求項9記載の地図生成方法。
【請求項11】
基本デフォルメ地図生成部が、詳細な座標情報を有する地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を生成するステップと、
前記記憶部が、前記地図情報および前記基本デフォルメ地図を記憶するステップとを備えたことを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれか1項記載の地図生成方法。
【請求項12】
表示部が、前記デフォルメ対象および前記デフォルメ地図を表示するステップを備えたことを特徴とする請求項7から請求項11のうちのいずれか1項記載の地図生成方法。
【請求項1】
地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する地図生成装置において、
前記デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶する記憶部と、
前記記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、前記デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、前記デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮した前記デフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、前記強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性および前記グルーピング結果を参照して前記デフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形する強調対象変形部と、
前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分の変形結果に基づいて、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分以外の対象を変形する一般対象変形部とを備えたことを特徴とする地図生成装置。
【請求項2】
前記デフォルメ地図上に付加する表示情報を配置する対象、および前記表示情報の領域サイズを配置領域情報として設定する情報領域設定部と、
前記情報領域設定部が設定した配置領域情報を参照し、前記強調対象変形部が調整した前記強調表示属性のパラメータ値を用いて前記表示情報を配置する情報設定部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の地図生成装置。
【請求項3】
前記強調対象変形部は、
前記記憶部に格納された基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定する強調対象設定部と、
前記デフォルメ対象の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する各線分と同方向に延伸する線分を同方向近接パーツとして取得し、前記デフォルメ対象および前記同方向近接パーツをグルーピングするグルーピング部と、
前記デフォルメ対象の強調表示に必要となる空白領域を算出し、当該算出した空白領域が予め設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以内でない場合には、前記強調表示属性のパラメータ値を調整する間隔調整部と、
前記デフォルメ対象をあらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズに合せて変形する際の基準とする変形基準対象を定め、前記デフォルメ地図の座標系に合せて前記変形基準対象を構成するノードの座標を変更してノードを再配置する強調主対象変形部と、
前記デフォルメ対象の変形結果に合せて、前記間隔調整部で調整されたパラメータ値を用いて前記同方向近接パーツの各線分のノード座標を変更して前記同方向近接パーツを変形する同方向近接パーツ変形部とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図生成装置。
【請求項4】
前記情報領域設定部が設定した配置領域情報、前記強調対象設定部が設定した強調表示属性、前記グルーピング部のグルーピング結果、前記間隔調整部が算出した空白領域に関する情報の値を全て解除する設定解除部を備えたことを特徴とする請求項3記載の地図生成装置。
【請求項5】
詳細な座標情報を有する地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を生成する基本デフォルメ地図生成部を備え、
前記記憶部は、前記地図情報を記憶すると共に、前記基本デフォルメ地図生成部が生成した基本デフォルメ地図を記憶することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の地図生成装置。
【請求項6】
前記デフォルメ対象および前記デフォルメ地図を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の地図生成装置。
【請求項7】
地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する地図生成方法において、
記憶部が、前記デフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を記憶するステップと、
強調対象変形部が、前記基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定すると共に、当該デフォルメ対象を構成する線分の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する線分と同方向に延伸する線分をグルーピングし、前記デフォルメ対象の数および強調表示に必要となる描画情報である強調表示属性に基づいて、前記デフォルメ地図内に必要となる空白領域サイズを算出し、当該空白領域を考慮した前記デフォルメ地図の領域サイズが、あらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以上となる場合に、前記強調表示属性のパラメータ値を調整し、当該パラメータ値を調整した強調表示属性および前記グルーピング結果を参照して前記デフォルメ対象およびグルーピングされた線分を変形するステップと、
一般対象変形部が、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分の変形結果に基づいて、前記デフォルメ対象および前記グルーピングされた線分以外の対象を変形するステップとを備えたことを特徴とする地図生成方法。
【請求項8】
情報領域設定部が、前記デフォルメ地図上に付加する表示情報を配置する対象、および前記表示情報の領域サイズを配置領域情報として設定するステップと、
情報設定部が、前記配置領域情報を参照し、調整した前記強調表示属性のパラメータ値を用いて前記表示情報を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項7記載の地図生成方法。
【請求項9】
強調対象設定部が、前記基本デフォルメ地図から強調表示する対象をデフォルメ対象として設定するステップと、
グルーピング部が、前記デフォルメ対象の近傍に位置する線分のうち、前記デフォルメ対象を構成する各線分と同方向に延伸する線分を同方向近接パーツとして取得し、前記デフォルメ対象および前記同方向近接パーツをグルーピングするステップと、
間隔調整部が、前記デフォルメ対象の強調表示に必要となる空白領域を算出し、当該算出した空白領域が予め設定された前記デフォルメ地図の領域サイズ以内でない場合には、前記強調表示属性のパラメータ値を調整するステップと、
強調主対象変形部が、前記デフォルメ対象をあらかじめ設定された前記デフォルメ地図の領域サイズに合せて変形する際の基準とする変形基準対象を定め、前記デフォルメ地図の座標系に合せて前記変形基準対象を構成するノードの座標を変更してノードを再配置するステップと、
同方向近接パーツ変形部が、前記デフォルメ対象の変形結果に合せて、前記調整されたパラメータ値を用いて前記同方向近接パーツの各線分のノード座標を変更して前記同方向近接パーツを変形するステップとを備えたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の地図生成方法。
【請求項10】
設定解除部が、前記配置領域情報、前記強調表示属性、前記グルーピング結果、前記空白領域に関する情報の値を全て解除するステップを備えたことを特徴とする請求項9記載の地図生成方法。
【請求項11】
基本デフォルメ地図生成部が、詳細な座標情報を有する地図情報から抽出される特定の対象および領域を強調表示可能に変形したデフォルメ地図を生成する際に基本となる基本デフォルメ地図を生成するステップと、
前記記憶部が、前記地図情報および前記基本デフォルメ地図を記憶するステップとを備えたことを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれか1項記載の地図生成方法。
【請求項12】
表示部が、前記デフォルメ対象および前記デフォルメ地図を表示するステップを備えたことを特徴とする請求項7から請求項11のうちのいずれか1項記載の地図生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−203021(P2012−203021A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64545(P2011−64545)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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