説明

地図画像表示システム、地図画像サーバ、地図画像表示装置および地図画像先読み表示プログラム

【課題】次に表示される地図画像の範囲の予測精度を高めること。
【解決手段】地図画像片から作成された地図画像を表示する地図画像表示手段(13)と、入力に応じて移動するポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が前記地図画像片記憶手段(24)に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段(28)と、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベース(22)から読み出す地図画像片先読み手段(29)と、を備えた地図画像表示システム(S)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上に地図画像を表示するための地図画像表示システム、地図画像サーバ、地図画像表示装置および地図画像先読み表示プログラムに関し、特に、複数の地図画像片のデータから地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を作成する地図画像表示システム、地図画像サーバ、地図画像表示装置および地図画像先読み表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットを介して、パーソナルコンピュータや携帯端末等の表示画面に、地図画像を表示し、閲覧できるサービスが提供されている。また、地図画像は、経路案内(ナビゲーション)や交通情報等にも使用されている。
このような、地図画像は、所定の範囲毎に格子状に区分された地図画像片を組み合わせて作成されることが一般的に行われており、全ての地図画像片が記憶された地図画像片データベースから、表示する地図画像の範囲(領域)を作成するのに必要な地図画像片を読み出して、地図画像を作成することが行われている。
【0003】
必要な地図画像片を読み込んでから地図画像を作成、表示する技術として、下記の従来技術(1)が公知である。
(1)特許文献1(特開2002−244645号公報)記載の技術
特許文献1記載の技術では、ある表示範囲の地図画像が表示された状態から、表示範囲を移動させる入力がされると(例えば、マウスでポインタを移動させた後にクリックすると)、新たな表示範囲内の地図画像片(格子分割ラスタ画像データ)が読み込まれて地図画像が作成、表示されると共に、次の表示範囲の移動で読み込まれる可能性が高いと推測される範囲の地図画像片を先読みする。すなわち、移動前の表示範囲から移動後の表示範囲への移動方向を検出して、次の表示範囲の移動の指示がされた場合の移動方向は同じ方向である可能性が高いと推測して、検出された移動方向側で且つ移動後の表示範囲の外側(表示範囲外)の地図画像片を読み込んでいる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−244645号公報(段落[0034]〜[0043])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
前記従来技術(1)では、前回の表示範囲から今回の表示範囲の移動方向と同じ方向に表示範囲が移動されるものと推測して、現在表示されている範囲外の地図画像片を予め読み込むことにより、推測した方向に地図画像の表示範囲が移動された場合には、速やかに次の表示範囲の地図画像を表示することができる。しかし、ユーザが実際にどの方向に表示範囲を移動させるのかは不明であり、推測した方向と異なる方向に表示範囲を移動する入力がされた場合、必要のない部分の地図画像片を読み出しているという問題があった。このため、必要のない地図画像片の読み出しにより、情報処理の負荷や、通信負荷、通信料が高くなる問題があった。
【0006】
前記問題に鑑み、本発明は、次に表示される地図画像の範囲の予測精度を高めることを第1の技術的課題とする。
また、本発明は、低い負荷で次に表示される地図画像をスムーズに表示することを第2の技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明)
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために第1発明の地図画像表示システムは、
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段と、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の地図画像表示システムでは、地図画像片データベースには、地図画像を構成する地図画像片が全て記憶されている。地図画像片読み出し手段は、地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す。地図画像片記憶手段は、前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する。地図画像表示手段は、前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する。ポインタ移動検知手段は、前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出する。地図画像片不足判別手段は、前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する。地図画像片先読み手段は、前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して(先読みして)、前記地図画像片記憶手段に記憶させる。
【0009】
したがって、第1発明の地図画像表示システムは、ポインタ画像の実際の移動に基づいて先読みが実行されるので、次に表示される地図画像の範囲の予測精度を高めることができる。したがって、先読みの精度が高く、無駄な読み込みを減らすことができるので、情報処理の負荷を減らすことができると共に、精度よく先読みされた地図画像片から次に表示される地図画像をスムーズに表示することができる。
【0010】
また、第1発明の地図画像表示システムにおいて、
前記ポインタ画像を中心として予め設定された先読み判別範囲が、表示されている前記地図画像の範囲の外側に移動したか否かを判別することにより、前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する前記地図画像片不足判別手段と、
を備えることができる。
この場合、前記地図画像片不足判別手段は、前記ポインタ画像を中心として予め設定された先読み判別範囲が、表示されている前記地図画像の範囲の外側に移動したか否かを判別することにより、前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別することができる。
【0011】
(第2発明)
前記技術的課題を解決するために第2発明の地図画像サーバは、
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を地図画像表示端末に送信する地図画像送信手段と、
前記地図画像表示端末で表示された地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(第2発明の作用)
前記構成要件を備えた第2発明の地図画像サーバでは、
地図画像片データベースには、地図画像を構成する地図画像片が全て記憶されている。地図画像片読み出し手段は、地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す。地図画像片記憶手段は、前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する。地図画像送信手段は、前記地図画像中心を中心とした地図画像を地図画像表示端末に送信する。ポインタ移動検知手段は、前記地図画像表示端末で表示された地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出する。地図画像片不足判別手段は、前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する。地図画像片先読み手段は、前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して(先読みして)、前記地図画像片記憶手段に記憶させる。
【0013】
したがって、第2発明の地図画像サーバは、ポインタ画像の実際の移動に基づいて先読みが実行されるので、次に表示される地図画像の範囲の精度を高めることができる。したがって、先読みの精度が高く、無駄な読み込みを減らすことができるので、情報処理の負荷を減らすことができると共に、精度よく先読みされた地図画像片から次に表示される地図画像をスムーズに表示することができる。
【0014】
(第3発明)
前記技術的課題を解決するために第3発明の地図画像表示装置は、
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段と、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
(第3発明の作用)
前記構成要件を備えた第3発明の地図画像表示装置では、地図画像片データベースには、地図画像を構成する地図画像片が全て記憶されている。地図画像片読み出し手段は、地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す。地図画像片記憶手段は、前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する。地図画像表示手段は、前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する。ポインタ移動検知手段は、前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出する。地図画像片不足判別手段は、前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する。地図画像片先読み手段は、前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して(先読みして)、前記地図画像片記憶手段に記憶させる。
【0016】
したがって、第3発明の地図画像表示装置は、ポインタ画像の実際の移動に基づいて先読みが実行されるので、次に表示される地図画像の範囲の精度を高めることができる。したがって、先読みの精度が高く、無駄な読み込みを減らすことができるので、情報処理の負荷を減らすことができると共に、精度よく先読みされた地図画像片から次に表示される地図画像をスムーズに表示することができる。
【0017】
(第4発明)
前記技術的課題を解決するために第4発明の地図画像先読み表示プログラムは、
コンピュータを、
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベース、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段、
として機能させる。
【0018】
(第4発明の作用)
前記構成要件を備えた第4発明の地図画像先読み表示プログラムにより、地図画像片データベースには、地図画像を構成する地図画像片が全て記憶されている。地図画像片読み出し手段は、地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す。地図画像片記憶手段は、前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する。地図画像表示手段は、前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する。ポインタ移動検知手段は、前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出する。地図画像片不足判別手段は、前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する。地図画像片先読み手段は、前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して(先読みして)、前記地図画像片記憶手段に記憶させる。
【0019】
したがって、第4発明の地図画像先読み表示プログラムでは、ポインタ画像の実際の移動に基づいて先読みが実行されるので、次に表示される地図画像の範囲の精度を高めることができる。したがって、先読みの精度が高く、無駄な読み込みを減らすことができるので、情報処理の負荷を減らすことができると共に、精度よく先読みされた地図画像片から次に表示される地図画像をスムーズに表示することができる。
【発明の効果】
【0020】
前述の本発明は、次に表示される地図画像の範囲の予測精度を高めることができる。
また、本発明は、低い負荷で次に表示される地図画像をスムーズに表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の地図画像表示システムの実施例1の説明図である。
図1において、実施例1の地図画像表示システムSは、地図画像の表示、閲覧サービスを利用する利用者が地図画像を閲覧する利用者端末(地図画像表示端末、地図画像表示装置)1を有している。前記利用者端末1は、インターネット2を介して、利用者端末1から送信された信号に基づいて地図画像を送信する地図画像サーバ3や、その他のデータベースサーバ4に接続されている。
【0023】
前記各利用者端末1は、パーソナルコンピュータにより構成されており、端末本体1aと、利用者が地図画像の表示範囲の変更を入力するためのキーボード1bやマウス1c等の入力装置と、地図画像サーバ3から送信された地図画像が表示されるディスプレイ1d(出力装置)とを有している。
また、前記地図画像サーバ3は、サーバ本体3aと、地図画像サーバ3の操作をするためのキーボード3bやマウス3c等の入力装置と、入力に応じた情報が表示されるディスプレイ3d(出力装置)とを有している。
なお、実施例1の地図画像表示システムSでは、利用者端末1や地図画像サーバ3が、インターネット2を介して接続されているが、専用のネットワーク回線を使用して接続することも可能である。
【0024】
(実施例1の制御部の説明)
図2は前記図1に示す地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
図2において、実施例1の利用者端末1や地図画像サーバ3は、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ、記録媒体)、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ、記録媒体)、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)、処理に応じて種々のデータを記憶するハードディスク、ならびにクロック発振器等を有するコンピュータにより構成されており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
利用者端末1や地図画像サーバ3は、キーボード1b,3bやマウス1c,3c等の入力装置やI/Oを介して入力された信号に応じた処理を実行して、前記ディスプレイ1d,3dやI/Oを介して制御信号を出力する機能(制御手段)を有している。
【0025】
(利用者端末の機能)
図2において、実施例1の利用者端末1の地図画像表示プログラムP1は、以下の機能(制御手段)11〜13を有している。
信号送信手段11は、利用者端末1から地図画像サーバ3に対して信号を送信する。実施例1の信号送信手段11は、地図画像表示プログラムP1が起動された時に表示する初期画像の送信要求信号や、ディスプレイ1dに表示されたポインタを移動させる入力がされたことを通知する信号、地図画像を更新する入力がされたことを通知する信号を地図画像サーバ3に送信する。
地図画像受信手段12は、地図画像サーバ3から送信された地図画像を受信し、記憶する。
【0026】
図3は実施例1の利用者端末に表示される地図画像の一例の説明図である。
画像表示手段13は、ディスプレイ1d上に画像を表示する。実施例1の画像表示手段13は、受信した地図画像Maをディスプレイ1dに表示する地図画像表示手段13aと、次に表示する地図画像Maの中心位置を指示するためのポインタ画像Ma1をディスプレイ1dに表示し、マウス1c等の入力装置からの入力に応じてディスプレイ1d上でポインタ画像Ma1を移動させるポインタ画像表示手段13bとを有する。
【0027】
(地図画像サーバの機能)
図4は実施例1の地図画像片と、地図画像片から作成、表示される地図画像との説明図である。
なお、図4において、地図画像Maは図3に詳細に示してあるので、詳細な図示は省略する。
図2において、実施例1の地図画像サーバ3の地図画像作成・配信プログラムP2は、以下の機能(制御手段)21〜29を有する。
信号受信手段21は、利用者端末1から送信された信号を受信する。
地図画像片データベース22は、地図画像Maを作成するための地図画像片Mx−yを全て記憶する。実施例1では、地図画像Ma(例えば、5km(先読み判別範囲))を提供する対象の全体地図(例えば、日本地図)を予め設定された所定の格子状の範囲(例えば、1km四方)に分割した地図画像片Mx−yの全てのデータを記憶する。即ち、図4に示すように、格子状に分割された複数の地図画像片Mx−y(M1−1、M1−2、…、M6−8、…)を記憶する。
【0028】
図2において、地図画像読み出し手段23は、配信する地図画像を作成するために必要な地図画像片Mx−yを地図画像片データベース22から読み出す。実施例1の地図画像読み出し手段23は、例えば、図4に示す範囲の地図画像Maが配信される場合、地図画像Maを作成するために必要な地図画像片M2−2〜M2−7、M3−2〜M3−7、M4−2〜M4−7、M5−2〜M5−7のデータを読み出す。
図2において、地図画像片記憶手段24は、地図画像読み出し手段23で読み出された地図画像片Mx−yのデータを記憶する。
地図画像作成手段25は、前記地図画像片記憶手段24に記憶された地図画像片のデータに基づいて、地図画像中心Ma2(図5参照)を中心とした所定の領域(実施例1では、横x1、縦y1の長方形の領域)の地図画像Maを作成する。なお、利用者端末1の地図画像表示プログラムP1起動時には、予め設定された初期地図画像中心Ma2を中心とした地図画像Maが作成される。
地図画像送信手段26は、地図画像作成手段25で作成された地図画像Maのデータを利用者端末1に送信する。
【0029】
図2において、ポインタ移動検知手段27は、ポインタ移動距離検知手段27aと、ポインタ移動方向検知手段27bとを有し、利用者端末1のディスプレイ1dに表示されたポインタ画像Ma1の移動を検出する。実施例1のポインタ移動検知手段27は、利用者端末1から送信されたポインタ位置信号に基づいて、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から予め設定された先読み実行距離L1以上移動している場合に、ポインタ画像Ma1が移動したものと検出(判別)する。
前記ポインタ移動距離検知手段27aは、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から移動した距離(ポインタ移動距離L)を検出する。実施例1のポインタ移動距離検知手段27aは、利用者端末1から送信されたポインタ画像Ma1の現在位置の座標(x、y)と、地図画像中心(x,y)との距離L(={(x−x2+(y−y21/2)を計算することにより、ポインタ移動距離Lを検出する。
前記ポインタ移動方向検知手段27bは、ポインタ画像Ma1の移動した方向を検出する。実施例1のポインタ移動方向検知手段27bは、利用者端末1から送信されたポインタ画像Ma1の現在位置の座標(x、y)への地図画像中心(x,y)からのベクトルv(=(x−x,y−y))と、真北向きのベクトルv(0,1)との角度α(=(v・v)/(|v|・|v|))を計算することにより、移動方向を検出する。
【0030】
図5は実施例1の表示されている地図画像と、地図画像片と、ポインタ画像と、ポインタ画像を中心とした地図画像との関係を説明する説明図である。
地図画像片不足判別手段28は、地図画像Maを作成するのに必要な地図画像片Mx−yが全て地図画像片記憶手段24に読み込まれているか否かを判別する。また、実施例1の地図画像片不足判別手段28は、ポインタ画像Ma1の移動が検出された場合に、移動先のポインタ画像Ma1を地図画像中心Ma2'とした場合に作成される予定の地図画像Ma'(図5の破線参照)を構成する地図画像片Mx−yが、前記地図画像片記憶手段24に記憶されていないか否かの判別も行う。
地図画像片先読み手段29は、地図画像片不足判別手段28により、移動先のポインタ画像Ma1を地図画像中心Ma2'とした場合に作成される予定の地図画像Ma'(図5の破線参照)を構成する地図画像片Mx−yが地図画像片記憶手段24に記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片Mx−y(図5では、M1−4〜M1−9、M2−4〜M2−9、M3−8〜M3−9、M4−8〜M4−9、M5−8〜M5−9)を地図画像片データベース22から読み出して地図画像片記憶手段24に記憶させる。
前記地図画像表示プログラムP1および地図画像作成・配信プログラムP2により実施例1の地図画像先読み・表示プログラム(P1+P2)が構成されている。
【0031】
(実施例1のフローチャートの説明)
(利用者端末の処理の説明)
図6は実施例1の地図画像表示システムの利用者端末が備えている地図画像表示処理のフローチャートである。
図6のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、利用者端末1のROM等に記憶された地図画像表示プログラムP1に従って行われる。また、この処理は利用者端末1の他の各種処理と並行して実行される。
図6に示すフローチャートは、地図画像表示プログラムP1が起動された時に開始される。
【0032】
図6のST1において、地図画像表示プログラムP1が起動した時に表示する初期の地図画像Maの送信を要求する信号を地図画像サーバ3に送信する。そして、ST2に進む。
ST2において、初期の地図画像Maを受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST2を繰り返す。
ST3において、初期の地図画像Maをディスプレイ1dに表示する。そして、ST4に進む。
ST4において、マウス1cやキーボード1b等によりポインタ画像Ma1を移動させる入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に進み、ノー(N)の場合はST6に進む。
ST5において、地図画像Ma上でのポインタ画像Ma1の現在位置(x、y)をポインタ位置信号として地図画像サーバ3に送信する。そして、ST4に戻る。
【0033】
ST6において、地図画像Maを更新する入力がされたか否かを判別する。例えば、マウス1cをクリックしたり、キーボード1bから地図画像を更新する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に進み、ノー(N)の場合はST10に進む。
ST7において、ポインタ画像Ma1の現在位置(x,y)を含む地図画像Maの更新を行う入力がされたことを通知する地図画像更新入力信号を地図画像サーバ3に送信する。そして、ST8に進む。
ST8において、地図画像サーバ3から送信された地図画像Maを受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST8を繰り返す。
ST9において、受信した地図画像Maをディスプレイ1dに表示(更新)する。そして、ST4に戻る。
ST10において、地図画像表示プログラムP1を終了する入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST4に戻り、イエス(Y)の場合は図6の地図画像表示処理を終了する。
【0034】
(地図画像サーバの処理の説明)
図7は実施例1の地図画像表示システムの地図画像サーバが備えている地図画像作成・配信処理のフローチャートである。
図7のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、地図画像サーバ3のROM等に記憶された地図画像作成・配信プログラムP2に従って行われる。また、この処理は地図画像サーバ3の他の各種処理と並行して実行される。
図7に示すフローチャートは、地図画像サーバ3が起動された時に開始される。
【0035】
図7のST21において、利用者端末1から送信された初期の地図画像の送信要求を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST22に進み、ノー(N)の場合はST24に進む。
ST22において、初期地図画像中心を中心とした地図画像Maを作成するために必要な地図画像片Mx−yを地図画像片データベース22から読み込み、記憶する。そして、ST23に進む。
ST23において、読み込んだ地図画像片Mx−yから地図画像Maを作成して、利用者端末1に送信する。そして、ST21に戻る。
【0036】
ST24において、ポインタ画像Ma1が移動したことを通知するポインタ位置信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST25に進み、ノー(N)の場合はST31に進む。
ST25において、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から移動した距離(ポインタ移動距離)Lを計算する。そして、ST26に進む。
ST26において、ポインタ移動距離Lが先読み実行距離L1以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST27に進み、ノー(N)の場合はST21に戻る。
ST27において、ポインタ位置(x,y)と、地図画像中心(x,y)とに基づいて、ポインタ移動方向αを計算する。そして、ST28に進む。
【0037】
ST28において、ポインタ移動距離Lとポインタ移動方向αとに基づいて、移動先のポインタ位置(x,y)を地図画像中心と仮定した場合に作成される地図画像Maを作成するために必要な地図画像片Mx−yを判別する。即ち、ポインタ位置を中心とした地図画像Ma分の領域に含まれる地図画像片Mx−yを抽出する。そして、ST29に進む。
ST29において、地図画像片記憶手段24に、必要な(抽出された)地図画像片Mx−yが全て記憶されているか否かを判別する。ノー(N)の場合はST30に進み、イエス(Y)の場合はST21に戻る。
ST30において、不足している地図画像片を先読みする。そして、ST21に戻る。
【0038】
ST31において、利用者端末1から送信された地図更新入力信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST32に進み、ノー(N)の場合はST21に戻る。
ST32において、ポインタ位置(x,y)を新たな地図画像中心(x,y)に設定する。そして、ST33に進む。
ST33において、新たな地図画像中心Ma2を中心とした地図画像Maを作成するために必要な地図画像片が不足しているか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST34に進み、ノー(N)の場合はST35に進む。
ST34において、不足している地図画像片を地図画像片データベース22から読み出す。そして、ST35に進む。
ST35において、地図画像Maを作成し、利用者端末1に送信する(配信する)。そして、ST21に戻る。
【0039】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の地図画像表示システムSでは、利用者が利用者端末1で地図画像表示プログラムP1を起動すると、地図画像Maが表示される(図6のST3参照)。利用者が利用者端末1の入力装置1b、1cを操作して、表示された地図画像Ma上のポインタ画像Ma1を移動させると、移動したことが地図画像サーバ3に送信され(図6のST5参照)、地図画像サーバ3は、ポインタ移動距離Lを計算する(図7のST25参照)。計算されたポインタ移動距離Lが先読み実行距離L1よりも大きい場合、ポインタ画像Ma1が移動したものと判別され(検出され)、ポインタ画像Ma1の移動先を地図画像中心Ma2'と仮定した場合の地図画像Ma'を作成するために必要な地図画像片Mx−yが読み出される(図7のST26〜ST28参照)。
【0040】
そして、利用者端末1で、ポインタ画像Ma1を移動させた先で地図画像Maを更新する入力(マウス1cのクリック等)がされた場合、地図画像サーバ3に通知される(図6のST6〜ST7参照)。これに応じて、地図画像サーバ3では、地図画像Maが作成されて(図7のST35参照)、利用者端末1に送信され、表示される。このとき、地図画像Mx−yは、ポインタ画像Ma1の移動に応じて先読みされているので、地図画像Maの更新の入力がされた後に、読み出す地図画像片Mx−yは無いか非常に少ない。
したがって、実施例1の地図画像表示システムSでは、利用者が実際に移動させたポインタ画像Ma1の移動距離Lや移動方向α応じて、地図画像片Mx−yが先読みされているので、地図画像片の読み出し時間を短縮でき、地図画像Maを速やかに作成、配信し、利用者端末1で表示できる。この結果、地図画像をスムーズに更新することができ、地図画像Maを更新する際の利用者の待ち時間を減らすことができる。
【0041】
また、実施例1の地図画像表示システムSでは、ポインタ移動距離Lが先読み実行距離L1以上でない場合、先読みが実行されない。したがって、利用者の手の微小な動きやノイズ等によりマウス1cが微小な移動をして、ポインタ画像Ma1が微小に移動したような場合には、利用者の明示的なポインタ画像Ma1の移動と判別せず、先読みを実行しない。このため、無駄な先読みを減らすことができる。
この結果、実施例1の地図画像表示システムSは、利用者が実際に移動させたポインタ画像Ma1の移動距離に応じて地図画像片の先読みが実行されるので、次に表示される地図画像Maの範囲、即ち、地図画像中心Ma2の移動先の予測精度が高く、無駄な地図画像片の読み込みを減らすことができる。したがって、特許文献1記載の従来技術に比べ、地図画像サーバ3の処理の負荷も軽減できる。
【実施例2】
【0042】
次に本発明の実施例2の地図画像表示システムの説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0043】
図8は実施例2の地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
図9は実施例2の先読み円の説明図である。
図8、図9において、実施例2のポインタ移動検知手段27'は、利用者端末1から送信されたポインタ位置信号に基づいて、ポインタ画像Ma1を中心とした、予め設定された先読み半径(先読み実行距離)L2の先読み円Mcが、地図画像中心Ma2を中心とした地図画像Maの領域の外側に移動した場合に、ポインタ画像Ma1が移動したものと検出(判別)する。
【0044】
図10は実施例2の地図画像表示システムの地図画像サーバの地図画像作成・配信処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
(実施例2のフローチャートの説明)
次に、実施例2のフローチャートの説明を行うが、実施例1と同様の処理については、同一のST番号を付し、詳細な説明は省略する。
図10において、実施例2の地図画像作成・配信処理では、図7に示す実施例1の地図画像作成・配信処理のST25〜ST30の処理に替えて、下記のST41〜ST45の処理が実行される。
図10のST41において、ポインタ位置(x、y)を中心とした先読み半径L2の先読み円Mcを計算する。そして、ST42に進む。
ST42において、先読み円Mc全体が地図画像Maの領域内にあるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST43に進み、イエス(Y)の場合はST21に戻る。
ST43において、先読み円Mcの一部が含まれる地図画像片Mx−yを抽出する。そして、ST44に進む。
ST44において、抽出した地図画像片Mx−yが、地図画像片記憶手段24に全て記憶されているか否かを判別する。ノー(N)の場合はST45に進み、イエス(Y)の場合はST21に戻る。
ST45において、不足している地図画像片を先読みする。そして、ST21に戻る。
【0045】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の地図画像表示システムSでは、利用者がポインタ画像Ma1を移動させて、ポインタ画像Ma1を中心とした先読み円(先読み判別範囲)Mcが地図画像Maの領域外に移動すると、不足している地図画像片Mx−yの先読みが実行される。
したがって、実施例2の地図画像表示システムSも、実施例1の地図画像表示システムSと同様に、実際のポインタ画像Ma1の移動に応じた先読みがされるので、先読みの精度が高まり、無駄な先読みを低減でき、処理負荷を低減できる。
【実施例3】
【0046】
次に本発明の実施例3の地図画像表示システムの説明を行うが、この実施例3説明において、前記実施例1,2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3では、下記の点で前記実施例1,2と相違しているが、他の点では前記実施例2と同様に構成されている。
【0047】
(利用者端末の制御部の説明)
図11は実施例3の地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
図11において、実施例3の地図画像表示システムSの利用者端末1では、実施例1と異なる信号送信手段11"、地図画像片受信手段12"と、地図画像片記憶手段31、地図画像作成手段32、ポインタ移動検知手段33、地図画像片不足判別手段34および地図画像片先読み判別手段35とを有する。
信号送信手段11"は、利用者端末1から地図画像サーバ3に対して信号を送信する。実施例3の信号送信手段11"は、地図画像表示プログラムP1が起動された時に表示する初期の地図画像Maを作成するための地図画像片Mx−yの送信要求信号や、先読みする地図画像片Mx−yの送信を要求する先読み信号、地図画像Maを更新する際に地図画像片Mx−yが不足していることを通知する不足地図画像片送信要求信号を地図画像サーバ3に送信する。
【0048】
地図画像片受信手段12"は、地図画像サーバ3から送信された地図画像片Mx−yを受信する。
地図画像片記憶手段31は、地図画像片受信手段12"が受信した地図画像片Mx−yを記憶する。
地図画像作成手段32は、地図画像片記憶手段31に記憶された地図画像片Mx−yから地図画像Maを作成する。
ポインタ移動検知手段33は、ポインタ移動距離検知手段33aを有し、利用者端末1のディスプレイ1dに表示されたポインタ画像Ma1の移動を検出する。実施例3のポインタ移動検知手段33は、利用者端末1の入力装置1b、1cによる入力に基づいて、ポインタ画像Ma1が移動したものと検出(判別)する。
前記ポインタ移動距離検知手段33aは、実施例1の地図画像サーバ3のポインタ移動距離検知手段27aと同様に、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から移動した距離(ポインタ移動距離L)を検出する。
【0049】
地図画像片不足判別手段34は、地図画像Maを作成する際に不足している地図画像片Mx−yを判別する(抽出する)。実施例3の地図画像片不足判別手段34は、地図画像中心Ma2を中心とした地図画像Maの範囲に含まれる地図画像片Mx−yと、地図画像片記憶手段31に記憶されている地図画像片Mx−yとを比較して、不足している地図画像片Mx−yを抽出する。例えば、地図画像Maを作成するために地図画像中心Ma2を含む地図画像片Mx−yの上下方向に4つ、左右方向に6つの地図画像片が必要な場合、Mx−3y+2、Mx+3y+2、Mx−3y−2、Mx+3y−2を四つ角とする内側の範囲に含まれる地図画像片が全て記憶されているか否かを判別し、全て記憶されていない場合は、記憶されていない地図画像片Mx−yを抽出する。
地図画像片先読み判別手段35は、地図画像Maの先読みを実行するか否かを判別する。実施例3の地図画像片先読み判別手段35は、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から予め設定された先読み実行距離L1以上移動している場合に、先読みを実行する条件を満足したもの判別する。
【0050】
(地図画像サーバの制御部の説明)
図11において、実施例3の地図画像表示システムSの地図画像サーバ3では、実施例1の地図画像サーバ3に比べて、地図画像片記憶手段24、地図画像作成手段25、地図画像送信手段26および地図画像片先読み手段29が省略され、地図画像片読み出し手段(地図画像片先読み手段)23"および地図画像片送信手段26"と、実施例1とは異なるポインタ移動検知手段27"および地図画像不足判別手段28"とを有する。
ポインタ移動検知手段27"は、実施例1と同様のポインタ移動距離検知手段27aと、ポインタ移動方向検知手段27bとを有し、利用者端末1のディスプレイ1dに表示されたポインタ画像Ma1の移動を検出する。実施例3のポインタ移動検知手段27"は、利用者端末1から送信されたポインタ位置信号に基づいて、ポインタ画像Ma1が地図画像中心Ma2から予め設定された先読み実行距離L1以上移動している場合に、ポインタ画像Ma1が移動したものと検出(判別)する。
【0051】
地図画像片不足判別手段28"は、利用者端末1において地図画像Maを作成するのに必要な地図画像片Mx−yが全て利用者端末1に読み込まれているか(送信されているか)否かを判別する。実施例3の地図画像片不足判別手段28"は、先読み信号を受信した場合には、ポインタ位置(x、y)を地図画像中心Ma2と仮定した場合に利用者端末1で不足している地図画像片Mx−yを判別する(抽出する)。また、実施例3の地図画像片不足判別手段28"は、不足地図画像片送信要求信号を受信した場合には、地図画像Maを作成する際に不足している地図画像片Mx−yを判別する(抽出する)。
実施例3の地図画像片読み出し手段23"は、配信する地図画像片Mx−yを地図画像片データベース22から読み出す。実施例3の地図画像片読み出し手段23"は、先読み信号を受信した場合には、ポインタ位置(x、y)を地図画像中心Ma2と仮定した場合に利用者端末1で不足している地図画像片Mx−yを読み出す(先読みする)。また、不足地図画像片送信要求信号を受信した場合には、利用者端末1で不足している(抽出された)地図画像片Mx−yを読み出す。
地図画像片送信手段26"は、利用者端末1に対して、地図画像片読み出し手段23"で読み出された地図画像片Mx−yを送信する。
【0052】
(実施例3のフローチャートの説明)
(利用者端末のフローチャートの説明)
図12は実施例3の地図画像表示システムの利用者端末の地図画像作成表示処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
なお、実施例3の利用者端末1では、先読み信号に対応して地図画像サーバ3から地図画像片Mx−yが送信されると、送信された地図画像片Mx−yを受信して記憶する先読み地図画像片受信記憶処理が地図画像作成表示処理と並行して実行されるが、簡単のためフローチャートの図示は省略する。
【0053】
図12のST51において、初期の地図画像Maに必要な地図画像片Mx−yの送信を要求する信号を地図画像サーバ3に送信する。なお、実施例3では、初期の地図画像中心Ma2の座標(x,y)の情報も送信する。そして、ST52に進む。
ST52において、初期の地図画像Maに必要な地図画像片Mx−yをすべて受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST53に進み、ノー(N)の場合はST52を繰り返す。
ST53において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST54に進む。
(1)初期の地図画像Maの地図画像中心(x,y)を記憶する。
(2)初期の地図画像Maを作成し、ディスプレイ1dに表示する。
【0054】
ST54において、ポインタ画像Ma1を移動させる入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST55に進み、ノー(N)の場合はST58に進む。
ST55において、地図画像中心(x,y)からのポインタ位置(x,y)の移動距離(ポインタ移動距離)Lを計算する。そして、ST56に進む。
ST56において、ポインタ移動距離Lが先読み実行距離L1以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST57に進み、ノー(N)の場合はST54に進む。
ST57において、地図画像中心(x,y)とポインタ位置(x,y)を含む先読み信号を送信する。なお、送信した先読み信号に対応して地図画像サーバ3から送信された地図画像片Mx−yは、図示しない前記先読み地図画像片受信記憶処理により受信、記憶される。そして、ST54に進む。
【0055】
ST58において、地図画像Maを更新する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST59に進み、ノー(N)の場合はST64に進む。
ST59において、現在のポインタ位置(x,y)を新たな地図画像中心(x,y)に設定する。そして、ST60に進む。
ST60において、新たな地図画像中心Ma2(x,y)を中心とした地図画像片Ma2が不足しているか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST61に進む。
ST61において、不足している地図画像片Mx−yを抽出し、地図画像サーバ3に送信を要求する。そして、ST62に進む。
【0056】
ST62において、不足した地図画像片Mx−yを全て受信し、地図画像片記憶手段31に記憶されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST63に進み、ノー(N)の場合はST62を繰り返す。
ST63において、地図画像片記憶手段31に記憶された地図画像片Mx−yに基づいて、地図画像Maを作成し、ディスプレイ1dに表示する。そして、ST54に戻る。
ST64において、地図画像表示プログラムP1を終了する入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合は図12の地図画像作成表示処理を終了し、ノー(N)の場合はST54に戻る。
【0057】
(地図画像サーバのフローチャートの説明)
図13は実施例3の地図画像表示システムの地図画像サーバの地図画像配信処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
図12のST71において、利用者端末1から送信された初期の地図画像片Mx−yの送信を要求する信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST72に進み、ノー(N)の場合はST73に進む。
ST72において、初期の地図画像中心Ma2を中心とした地図画像Maに必要な地図画像片Mx−yを読み出し、利用者端末1に送信する。そして、ST71に戻る。
ST73において、利用者端末1から送信された先読み信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST74に進み、ノー(N)の場合はST76に進む。
【0058】
ST74において、受信した先読み信号に含まれるポインタ位置(x,y)と地図画像中心(x,y)からポインタ画像Ma1のポインタ移動方向αとポインタ移動距離Lを計算する。そして、ST75に進む。
ST75において、ポインタ移動距離Lとポインタ移動方向αとに基づいて、先読みが必要な地図画像片Mx−yを読み出し(先読みし)、利用者端末1に送信する。そして、ST71に戻る。
ST76において、利用者端末1から送信された不足地図画像送信要求信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST77に進み、ノー(N)の場合はST71に戻る。
ST77において、不足地図画像送信要求信号に含まれる信号に基づいて、利用者端末1で不足している地図画像片Mx−yを地図画像片データベース22から読み出して、利用者端末1に送信する。そして、ST71に戻る。
【0059】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の地図画像表示システムSでは、利用者端末1の地図画像表示プログラムP1で、地図画像片Mx−yの先読みが必要であるか否かが判別され、地図画像片Mx−yが利用者端末1に送信されることにより、利用者端末1に読み込まれる(先読みされる)。そして、地図画像Maを更新する入力がされた場合、利用者端末1で地図画像Maが作成される。このとき、ポインタ画像Ma1の実際の移動に応じて、地図画像片Mx−yが先読みされているので、地図画像Maが速やかに作成される。この結果、地図画像Maを更新する際の待ち時間が短くなり、スムーズに地図画像Maの更新を行うことができる。
したがって、実施例3の地図画像表示システムSでも、実施例1、2の地図画像表示システムSと同様に、実際のポインタ画像Ma1の移動に応じた先読みがされるので、先読みの精度が高まり、無駄な先読みを低減でき、処理負荷を低減できる。
【0060】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施例において、各手段は、利用者端末1と地図画像サーバ3の2つの装置に分散されているが、1つの装置に集約することもできる。逆に、3つ以上の装置に分散することもでき、例えば、地図画像片データベース22を専用のデータベースサーバに設けることも可能である。
【0061】
また、前記実施例において、先読み判別範囲は円形の先読み円に限定されず、四角形状等の多角形状とすることができる。
さらに、前記実施例において、地図画像を表示する地図画像表示端末として、パーソナルコンピュータを例示したが、これに限定されず、ノートパソコンや携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等の携帯端末、あるいは、カーナビゲーション装置等の地図画像を作成して表示する地図画像表示装置に適用可能である。
また、前記実施例において、地図画像片のデータは、設計や仕様等に応じて、ベクター画像データやラスター画像データを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の地図画像表示システムの実施例1の説明図である。
【図2】前記図1に示す地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図である。
【図3】実施例1の利用者端末に表示される地図画像の一例の説明図である。
【図4】実施例1の地図画像片と、地図画像片から作成、表示される地図画像との説明図である。
【図5】実施例1の表示されている地図画像と、地図画像片と、ポインタ画像と、ポインタ画像を中心とした地図画像との関係を説明する説明図である。
【図6】実施例1の地図画像表示システムの利用者端末が備えている地図画像表示処理のフローチャートである。
【図7】実施例1の地図画像表示システムの地図画像サーバが備えている地図画像作成・配信処理のフローチャートである。
【図8】実施例2の地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図9】実施例2の先読み円の説明図である。
【図10】実施例2の地図画像表示システムの地図画像サーバの地図画像作成・配信処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
【図11】実施例3の地図画像表示システムの機能をブロック図(機能ブロック図)で示した図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図12】実施例3の地図画像表示システムの利用者端末の地図画像作成表示処理のフローチャートであり、実施例1の図6に対応する図である。
【図13】実施例3の地図画像表示システムの地図画像サーバの地図画像配信処理のフローチャートであり、実施例1の図7に対応する図である。
【符号の説明】
【0063】
1…各利用者端末
1a…端末本体
1b…キーボード
1c…マウス
1d…ディスプレイ
2…インターネット
3…地図画像サーバ
3a…サーバ本体
3b…キーボード
3c…マウス
3d…ディスプレイ
4…データベースサーバ
11,11"…信号送信手段
12…地図画像受信手段
12"…地図画像片受信手段
13…画像表示手段
13a…地図画像表示手段
13b…ポインタ画像表示手段
21,21"…信号受信手段
22…地図画像片データベース
23,23"…地図画像読み出し手段
24…地図画像片記憶手段
25…地図画像作成手段
26…地図画像送信手段
26"…地図画像片送信手段
27,27',27"…ポインタ移動検知手段
27a…ポインタ移動距離検知手段
27b…ポインタ移動方向検知手段
28…地図画像不足判別手段
28"…地図画像片不足判別手段
29…地図画像片先読み手段
31…地図画像片記憶手段
32…地図画像作成手段
33…ポインタ移動検知手段
33a…ポインタ移動距離検知手段
34…地図画像片不足判別手段
35…地図画像片先読み判別手段
L…ポインタ移動距離
L1…先読み実行距離
L2…先読み半径
Ma…地図画像
Ma1…ポインタ画像
Ma2…地図画像中心
Mc…先読み円
Mx−y…地図画像片
P1…地図画像表示プログラム
P2…地図画像作成・配信プログラム
S…地図画像表示システム
α…ポインタ移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段と、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする地図画像表示システム。
【請求項2】
前記ポインタ画像を中心として予め設定された先読み判別範囲が、表示されている前記地図画像の範囲の外側に移動したか否かを判別することにより、前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する前記地図画像片不足判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地図画像表示システム。
【請求項3】
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を地図画像表示端末に送信する地図画像送信手段と、
前記地図画像表示端末で表示された地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする地図画像サーバ。
【請求項4】
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベースと、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段と、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段と、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段と、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段と、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段と、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段と、
を備えたことを特徴とする地図画像表示装置。
【請求項5】
コンピュータを、
地図画像を構成する地図画像片が全て記憶された地図画像片データベース、
地図画像中心を中心とした所定の範囲の地図画像を構成する地図画像片のみを、前記地図画像片データベースから読み出す地図画像片読み出し手段、
前記地図画像片読み出し手段により読み出された地図画像片を記憶する地図画像片記憶手段、
前記地図画像中心を中心とした地図画像を表示する地図画像表示手段、
前記地図画像上に表示され、入力に応じて移動するポインタ画像の移動を検出するポインタ移動検知手段、
前記ポインタ画像の移動が検出された場合に、移動先の前記ポインタ画像を地図画像中心とした場合に作成される予定の地図画像を構成する地図画像片が、前記地図画像片記憶手段に記憶されていないか否かを判別する地図画像片不足判別手段、
前記地図画像片不足判別手段により地図画像片が記憶されていないと判別された場合に、記憶されていない地図画像片を前記地図画像片データベースから読み出して前記地図画像片記憶手段に記憶させる地図画像片先読み手段、
として機能させるための地図画像先読み表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−264867(P2007−264867A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86949(P2006−86949)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】