地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出方法及び装置
【課題】地域ごとに情報提供する際の情報密度を、地域にかかわらず一定にすること。
【解決手段】地域名抽出装置1は、ユーザからカテゴリ及び位置情報を抽出する地域圏の入力を受け付けるユーザ入力受付部11と、受け付けられたカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出する位置情報抽出部12と、施設の位置情報の間引きを行う位置情報間引き部13と、間引きされなかった施設の位置情報に基づいてユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏に対して複数の領域を作成する領域作成部14と、複数の領域のそれぞれの大きさを算出し、算出した領域の大きさに基づいてPOI情報DB21より地域名を選択して抽出する地域名抽出部15と、地域名を用いて地域分布図を作成する地域分布図作成部16と、を備える。
【解決手段】地域名抽出装置1は、ユーザからカテゴリ及び位置情報を抽出する地域圏の入力を受け付けるユーザ入力受付部11と、受け付けられたカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出する位置情報抽出部12と、施設の位置情報の間引きを行う位置情報間引き部13と、間引きされなかった施設の位置情報に基づいてユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏に対して複数の領域を作成する領域作成部14と、複数の領域のそれぞれの大きさを算出し、算出した領域の大きさに基づいてPOI情報DB21より地域名を選択して抽出する地域名抽出部15と、地域名を用いて地域分布図を作成する地域分布図作成部16と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域圏を表す地域名を抽出する方法に関する。特に、位置情報及び位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して地域圏を表す地域名を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地域情報を提供する方法として、地図に対して行政区画を表示させて、その区画ごとに情報提供する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−208434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のように行政区画等の区画に応じて地域情報を提供する方法では、地域によって生活圏や行動範囲といった領域が異なるため、それぞれの区画における地域情報の密度も異なる。よって、この方法では、地域情報の種別によっては、この区画に応じた地域に対して多量に情報提供される場合と、少量しか情報提供されない場合と、があり、地域ごとに情報提供する際の情報密度にばらつきが生じることとなる。したがって、地域ごとの情報密度を一定にしたうえで情報を提供することが困難である。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0006】
(1) 地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出方法であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出するステップと、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成するステップと、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出するステップと、
を備える地域名抽出方法。
【0007】
このような構成によれば、地域名抽出方法は、ユーザが指定した地域において、ユーザが指定したカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出することができる。そして、施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成し、複数の領域のそれぞれにおいて、領域に含まれる施設の位置情報より地域名を抽出することができる。
【0008】
このようにすることによって、作成された複数の領域のそれぞれにおいて、ユーザが指定したカテゴリに基づいて抽出される位置情報が1つのみ含まれることとなる。そして、この複数の領域において、施設の位置情報に基づいて、それぞれの地域名が抽出される。よって、それぞれの地域名に対応する、ユーザが指定したカテゴリに関する情報密度が一定となる。したがって、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることができる。
【0009】
(2) 前記施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含むことを特徴とする(1)に記載の方法。
【0010】
このような構成によれば、施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含む。このようにすることによって、経度・緯度情報及び住所情報に基づいて施設の位置情報を抽出することができる。
【0011】
(3) 前記施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
【0012】
このような構成によれば、施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含む。このようにすることによって、住所として表記されない有名な地域名を地域圏を表す地域名として用いることができる。
【0013】
(4) 前記複数の領域を作成するステップは、所定の条件に基づいて前記施設の位置情報の間引きを行い、間引きされなかった前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記間引きされなかった施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
【0014】
このような構成によれば、施設の位置情報の数の間引きを行うことで、領域における間引きが行なわれない施設の位置情報の数が1つとなるように、複数の領域を作成することができる。
【0015】
(5) 前記複数の領域を作成するステップは、抽出した前記施設の位置情報に対してボロノイ図を作成することで、前記複数の領域を作成することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
【0016】
このような構成によれば、ボロノイ図を作成することにより、複数の領域のそれぞれにおいて、領域の境界線がそれぞれの施設の位置情報の垂直二等分線の一部になる。このようにすることによって、複数の領域のそれぞれにおける、施設の位置情報に関する情報密度を一定にすることができる。
【0017】
(6) 地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出装置であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成する領域作成手段と、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出する地域名抽出手段と、
を備える地域名抽出装置。
【0018】
このような構成によれば、当該装置を構築することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る地域名抽出装置1の構成例を示す図である。
【0022】
地域名抽出装置1は、制御部10と記憶部20とを備える。制御部10は、ユーザ入力受付部11と、位置情報抽出部12と、位置情報間引き部13と、領域作成部14と、地域名抽出部15と、地域分布図作成部16と、から構成される。記憶部20は、POI(Point of Interest)情報DB21を記憶する。
【0023】
ユーザ入力受付部11は、ユーザから、カテゴリと、施設の位置情報を抽出する地域圏と、の入力を受け付ける。本発明において、カテゴリには、施設の位置情報が関連付けられており、このカテゴリに基づいて、施設の位置情報の抽出が可能である。施設とは、駅、病院、学校といった、地図上に表記される建物であって、位置情報が関連付けられている。位置情報抽出部12は、ユーザから受け付けられたカテゴリ及び地域圏に基づいて、POI情報DB21から施設の位置情報を抽出し、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏の地図上に、施設の位置情報を示す点をプロットする。
【0024】
ここで、図3に基づいて、POI情報DB21について説明する。POI情報DB21は、POIに関する情報を記憶するDBである。ここで、POIとは、地図上における関心地点のことであり、この地点にある施設や店舗情報といった地点に関連する属性情報等のことをいう。POI情報DB21は、カテゴリ、施設名称、位置情報を有する。位置情報としては、経度、緯度、都道府県、市区町村、及び町丁を有する。POI情報DB21は、位置情報抽出部12により施設の位置情報を抽出するとき及び地域名抽出部15により地域名を抽出するときに参照される。なお、本実施形態では、POI情報DB21には、都道府県、市区町村、及び町丁といった住所に関する位置情報を記憶しているが、これに限らない。例えば、大学名や名所名、また駅名や路線名といった位置情報に関連する地域名、すなわち、地図上に表記され得るテキスト情報が記憶されてもよい。このようにすることで、住所として表記されない有名な地域名を地域圏を表す地域名として用いることができる。
【0025】
図1に戻り、位置情報間引き部13は、位置情報抽出部12により抽出された施設の位置情報に対して、均一に間引きを行う。具体的には、施設の位置情報を示す点より任意の点を抽出して、その点から所定の距離より近い位置に存在する他の点を間引きの対象とする。所定の距離は、ユーザが定義したり、抽出された位置情報の数により自動制御することが可能である。なお、ここでは、上述のように間引きを行うこととしたが、これに限らない。例えば、地図を格子状に分割し、それぞれの格子において、格子上の点の数がユーザが設定した数以内となるように間引きを行うこととしてもよい。
【0026】
領域作成部14は、位置情報間引き部13により間引きされなかった施設の位置情報に基づいて、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏の地図上に複数の領域を作成する。具体的には、間引きされなかった点を用いてボロノイ図を作成する。ボロノイ図とは、ある距離空間上の任意の位置に配置された複数個の点、すなわち母点に対して、同一距離空間上の他の点がどの母点に近いかによって領域分けされた図である。平面の場合、すなわち本発明の実施形態では、領域の境界線が各々の母点の垂直二等分線の一部になる。ボロノイ図を作成すると、それぞれの領域における施設の位置情報が1つとなる。また、位置情報間引き部13において、均一に間引きを行っているので、ボロノイ図の作成により得られるそれぞれの領域における施設の位置情報を示す点は、間引きされる前の施設の位置情報を示す点があったとしても、ほぼ同数となる。よって、間引きされる前の施設の位置情報を示す点があったとしても、領域の大きさにかかわらず領域に含まれる施設の位置情報の量が変わらないこととなるので、それぞれの領域における情報密度も一定となる。
【0027】
地域名抽出部15は、領域作成部14により作成された複数の領域のそれぞれにおいて、領域に含まれる施設の位置情報に基づいて地域名を抽出する。具体的には、領域作成部14により作成された複数の領域のそれぞれにおいて、領域の大きさを算出する。そして、POI情報DB21(図3)に記憶されている都道府県、市区町村、及び町丁であって領域に含まれる施設の位置情報に対応しているものより、領域の大きさに基づいて選択して抽出する。なお、ここでは、領域の大きさに基づいて、都道府県、市区町村、及び町丁から選択して抽出することとしたが、これに限らない。例えば、施設の位置情報に対して、最寄の駅名を関連付けて、領域の大きさに基づいて、都道府県、市区町村、町丁、及び最寄の駅名より選択して抽出することとしてもよい。また、抽出された地域名が、複数の施設の位置情報において同一のものであった場合に、同一の地域名が抽出されている領域の地域名を、例えば番地といった詳細な地域名とするようにしてもよい。また、隣接した領域において、抽出された地域名に異なる市区町村が混在している場合に、異なる市区町村が混在している領域の地域名を、例えば都道府県といった広域を示す地域名とするようにしてもよい。このように、領域の大きさに応じて地域名を選択することにより、領域の大きさに適した地域名を選択することができる。
【0028】
地域分布図作成部16は、地域名抽出部15により抽出された地域名を用いて、地域分布図を作成する。具体的には、地図上の抽出した施設の位置情報を示す点に、抽出した地域名を表示し、この表示した地域名を所定の図形で囲むように表示して地域分布図を作成する。このように、ユーザが指定するカテゴリに応じた施設の位置情報を抽出することにより、このカテゴリの地域分布図を作成することができる。そして、この地域分布図を作成する過程において、地域名抽出部15が領域の大きさに基づいて地域名を決定するので、領域の大きさに適した地域名が表示される地域分布図が作成されることとなる。例えば、ユーザ入力受付部11において、ユーザから受け付けられたカテゴリに応じた施設であって、この施設が特定の地域に集中している場合には、この特定の地域においては、小さい領域が作成されるので、地域名が詳細な地域名として表示され、施設が集中していない地域においては、大きい領域が作成されるので、地域名が広域の地域名として表示される。なお、地域分布図の作成は、上述のように行うこととしたが、これに限らない。例えば、抽出した地域名を、格子状に配置するようにしてもよい。この際、地域名同士の位置関係が実際の位置関係と相違しないように、抽出した地域名と関連付けられている経度、緯度といった位置情報に基づいて、地域名を配置するようにしてもよい。そして、地域分布図に表示されている地域名に、この地域名に対応する領域における施設の位置情報や、この地域名に対応する領域における間引きされた施設の位置情報の情報を関連付けして、それぞれの地域に属する施設の情報を提供できるようにしてもよい。
【0029】
[地域名抽出装置1のハードウェア構成図]
図2は、本実施形態に係る地域名抽出装置1のハードウェア構成を示す図である。本発明が実施される地域名抽出装置1のハードウェア構成は標準的なものでよく、以下に構成の一例を示す。
【0030】
地域名抽出装置1は、制御部10を構成するCPU(Central Processing Unit)1010(マルチプロセッサ構成ではCPU1012等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン1005、通信I/F(I/F:インターフェイス)1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、表示装置1022、I/Oコントローラ1070、キーボード及びマウス等の入力装置1100、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、並びに半導体メモリ1078を備える。なお、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、及び半導体メモリ1078はまとめて記憶部20と呼ぶ。
【0031】
制御部10は、地域名抽出装置1を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0032】
通信I/F1040は、地域名抽出装置1が、通信ネットワークを介して端末等と情報を送受信する場合のネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0033】
BIOS1060は、地域名抽出装置1の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、地域名抽出装置1のハードウェアに依存するプログラム等を記録する。
【0034】
表示装置1022は、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0035】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、及び半導体メモリ1078等の記憶装置である記憶部20を接続することができる。
【0036】
入力装置1100は、地域名抽出装置1の管理者による入力の受け付けを行うものである。
【0037】
ハードディスク1074は、本ハードウェアを地域名抽出装置1として機能させるための各種プログラム、本発明の機能を実行するプログラム及びDBのテーブル及びレコードを記憶する。なお、地域名抽出装置1は、外部に別途設けたハードディスク(図示せず)を外部記憶装置として利用することもできる。
【0038】
光ディスクドライブ1076としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、CD−RAMドライブを使用することができる。この場合は各ドライブに対応した光ディスク1077を使用する。光ディスク1077から光ディスクドライブ1076によりプログラム又はデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ1050又はハードディスク1074に提供することもできる。
【0039】
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、地域名抽出装置1は、上述のように、記憶部20、制御部10等を備えた情報処理装置により構成され、この情報処理装置は、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0040】
[処理フロー]
図4は、本実施形態に係る地域名抽出装置1において、制御部10によって実行される地域名抽出処理の内容を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS110において、ユーザ入力受付部11は、ユーザからのカテゴリの入力を受け付ける。具体的には、ユーザによる入力装置1100の操作により、カテゴリ及び地域圏の入力を受け付ける。
【0042】
次に、ステップS120において、位置情報抽出部12は、ユーザ入力受付部11により受け付けられたカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出する。
【0043】
次に、ステップS130において、位置情報間引き部13は、位置情報抽出部12により抽出された施設の位置情報の間引きを行う。
【0044】
次に、ステップS140において、領域作成部14は、位置情報間引き部13により間引きされなかった施設の位置情報に基づいて、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏に対して複数の領域を作成する。
【0045】
次に、ステップS150において、地域名抽出部15は、領域作成部14により作成された複数の領域について、それぞれの領域の大きさを算出する。
【0046】
次に、ステップS160において、地域名抽出部15は、算出した領域の大きさに基づいてPOI情報DB21より地域名を選択して抽出する。
【0047】
次に、ステップS170において、地域分布図作成部16は、地域名抽出部15により抽出された地域名及び施設の位置情報に基づいて、地域分布図を作成する。
【0048】
[地域名抽出例]
図5から図11は、本実施形態に係る地域名抽出装置1がユーザからカテゴリ及び地域圏を受け付けてから地域分布図を作成するまでを説明する図である。ここでは、ユーザがカテゴリを図3のPOI情報DB21に示す「美容院・ヘアサロン」に指定し、地域圏を東京都港区付近に指定したものとして説明する。
【0049】
図5は、ユーザが指定したカテゴリに所属する施設の位置情報を示す点をユーザが指定した地域圏にプロットした状態を示す図である。図に示されるように、指定した地域圏において、位置情報を示す点が複数プロットされていることが確認できる。
【0050】
図6は、施設の位置情報を示す点に対して間引きの対象となる点を決定した状態を示す図である。ここで、図6の左上に示される点をP1とし、所定の距離をLとすると、P1から距離Lよりも近い点P2、P3、及びP4は間引きの対象となる。また、P5はLよりも遠い点となるので、残す点とされる。そして、P5が残す点となるので、次に、P5に対して所定の距離Lよりも近い点を間引きの対象とする。この処理を施設の位置情報を示す点に対して順次行うことにより、残す点及び間引く点を決定する。図6では、間引く点を白抜きの点で示す。
【0051】
図7は、間引きの対象とされた点の間引きが行われた状態を示す図である。図7に示される間引きされなかった点を用いて、領域作成部14がボロノイ図を作成することで複数の領域を作成する。
【0052】
図8は、ボロノイ図が作成された状態を示す図である。領域の境界線が各々の母点、すなわち、施設の位置情報を示す点の垂直二等分線の一部で構成されていることが確認できる。
【0053】
図9は、それぞれの領域の大きさが算出された状態を示す図である。ここでは、指定された地域圏、すなわち、全体の大きさを100としたときの各領域の大きさを算出している。
【0054】
図10は、各領域の大きさに基づいて地域名が抽出された状態を示す図である。ここでは、図9において算出した領域の大きさが11以下の領域に対しては、図3のPOI情報DB21に記憶されている「町丁」を抽出する地域名として選択し、領域の大きさが11より大きい領域に対しては、図3のPOI情報DB21に記憶されている「市区町村」を抽出する地域名と選択することとしている。例えば、点P6が図3に示される「A美容院」であるとすると、P6が含まれる領域は、領域の大きさが「8.6」であるので、「町丁」である「六本木」を抽出する。また、点P7が図3に示される「Dヘアサロン」であるとすると、P7が含まれる領域は、領域の大きさが「12.9」であるので、「市区町村」である「品川区」を抽出する。ここでは、抽出した地域名を位置情報を示す点の近傍に表示させている。
【0055】
図11は、抽出した地域名に基づいて作成された地域分布図を示す図である。ここでは、図10に対して、領域の境界線を削除し、さらに、指定した地域圏に表示されている地域名を四角形で囲むように表示して地域分布図を作成する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係る地域名抽出装置1の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る地域名抽出装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係るPOI情報DB21を示す図である。
【図4】本実施形態に係る地域名抽出装置1において、制御部10によって実行される地域名抽出処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るユーザが指定したカテゴリに所属する位置情報を示す点をユーザが指定した地域圏にプロットした状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る位置情報を示す点に対して間引きの対象となる点を決定した状態を示す図である。
【図7】本実施形態に係る間引きの対象とされた点の間引きが行われた状態を示す図である。
【図8】本実施形態に係るボロノイ図が作成された状態を示す図である。
【図9】本実施形態に係るそれぞれの領域の大きさが算出された状態を示す図である。
【図10】本実施形態に係る各領域の大きさに基づいて地域名が抽出された状態を示す図である。
【図11】本実施形態に係る抽出した地域名に基づいて作成された地域分布図を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 地域名抽出装置
10 制御部
11 ユーザ入力受付部
12 位置情報抽出部
13 位置情報間引き部
14 領域作成部
15 地域名抽出部
16 地域分布図作成部
20 記憶部
21 POI情報DB
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域圏を表す地域名を抽出する方法に関する。特に、位置情報及び位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して地域圏を表す地域名を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地域情報を提供する方法として、地図に対して行政区画を表示させて、その区画ごとに情報提供する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−208434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のように行政区画等の区画に応じて地域情報を提供する方法では、地域によって生活圏や行動範囲といった領域が異なるため、それぞれの区画における地域情報の密度も異なる。よって、この方法では、地域情報の種別によっては、この区画に応じた地域に対して多量に情報提供される場合と、少量しか情報提供されない場合と、があり、地域ごとに情報提供する際の情報密度にばらつきが生じることとなる。したがって、地域ごとの情報密度を一定にしたうえで情報を提供することが困難である。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0006】
(1) 地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出方法であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出するステップと、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成するステップと、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出するステップと、
を備える地域名抽出方法。
【0007】
このような構成によれば、地域名抽出方法は、ユーザが指定した地域において、ユーザが指定したカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出することができる。そして、施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成し、複数の領域のそれぞれにおいて、領域に含まれる施設の位置情報より地域名を抽出することができる。
【0008】
このようにすることによって、作成された複数の領域のそれぞれにおいて、ユーザが指定したカテゴリに基づいて抽出される位置情報が1つのみ含まれることとなる。そして、この複数の領域において、施設の位置情報に基づいて、それぞれの地域名が抽出される。よって、それぞれの地域名に対応する、ユーザが指定したカテゴリに関する情報密度が一定となる。したがって、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることができる。
【0009】
(2) 前記施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含むことを特徴とする(1)に記載の方法。
【0010】
このような構成によれば、施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含む。このようにすることによって、経度・緯度情報及び住所情報に基づいて施設の位置情報を抽出することができる。
【0011】
(3) 前記施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
【0012】
このような構成によれば、施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含む。このようにすることによって、住所として表記されない有名な地域名を地域圏を表す地域名として用いることができる。
【0013】
(4) 前記複数の領域を作成するステップは、所定の条件に基づいて前記施設の位置情報の間引きを行い、間引きされなかった前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記間引きされなかった施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
【0014】
このような構成によれば、施設の位置情報の数の間引きを行うことで、領域における間引きが行なわれない施設の位置情報の数が1つとなるように、複数の領域を作成することができる。
【0015】
(5) 前記複数の領域を作成するステップは、抽出した前記施設の位置情報に対してボロノイ図を作成することで、前記複数の領域を作成することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
【0016】
このような構成によれば、ボロノイ図を作成することにより、複数の領域のそれぞれにおいて、領域の境界線がそれぞれの施設の位置情報の垂直二等分線の一部になる。このようにすることによって、複数の領域のそれぞれにおける、施設の位置情報に関する情報密度を一定にすることができる。
【0017】
(6) 地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出装置であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成する領域作成手段と、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出する地域名抽出手段と、
を備える地域名抽出装置。
【0018】
このような構成によれば、当該装置を構築することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、地域ごとの情報密度を、地域にかかわらず一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る地域名抽出装置1の構成例を示す図である。
【0022】
地域名抽出装置1は、制御部10と記憶部20とを備える。制御部10は、ユーザ入力受付部11と、位置情報抽出部12と、位置情報間引き部13と、領域作成部14と、地域名抽出部15と、地域分布図作成部16と、から構成される。記憶部20は、POI(Point of Interest)情報DB21を記憶する。
【0023】
ユーザ入力受付部11は、ユーザから、カテゴリと、施設の位置情報を抽出する地域圏と、の入力を受け付ける。本発明において、カテゴリには、施設の位置情報が関連付けられており、このカテゴリに基づいて、施設の位置情報の抽出が可能である。施設とは、駅、病院、学校といった、地図上に表記される建物であって、位置情報が関連付けられている。位置情報抽出部12は、ユーザから受け付けられたカテゴリ及び地域圏に基づいて、POI情報DB21から施設の位置情報を抽出し、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏の地図上に、施設の位置情報を示す点をプロットする。
【0024】
ここで、図3に基づいて、POI情報DB21について説明する。POI情報DB21は、POIに関する情報を記憶するDBである。ここで、POIとは、地図上における関心地点のことであり、この地点にある施設や店舗情報といった地点に関連する属性情報等のことをいう。POI情報DB21は、カテゴリ、施設名称、位置情報を有する。位置情報としては、経度、緯度、都道府県、市区町村、及び町丁を有する。POI情報DB21は、位置情報抽出部12により施設の位置情報を抽出するとき及び地域名抽出部15により地域名を抽出するときに参照される。なお、本実施形態では、POI情報DB21には、都道府県、市区町村、及び町丁といった住所に関する位置情報を記憶しているが、これに限らない。例えば、大学名や名所名、また駅名や路線名といった位置情報に関連する地域名、すなわち、地図上に表記され得るテキスト情報が記憶されてもよい。このようにすることで、住所として表記されない有名な地域名を地域圏を表す地域名として用いることができる。
【0025】
図1に戻り、位置情報間引き部13は、位置情報抽出部12により抽出された施設の位置情報に対して、均一に間引きを行う。具体的には、施設の位置情報を示す点より任意の点を抽出して、その点から所定の距離より近い位置に存在する他の点を間引きの対象とする。所定の距離は、ユーザが定義したり、抽出された位置情報の数により自動制御することが可能である。なお、ここでは、上述のように間引きを行うこととしたが、これに限らない。例えば、地図を格子状に分割し、それぞれの格子において、格子上の点の数がユーザが設定した数以内となるように間引きを行うこととしてもよい。
【0026】
領域作成部14は、位置情報間引き部13により間引きされなかった施設の位置情報に基づいて、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏の地図上に複数の領域を作成する。具体的には、間引きされなかった点を用いてボロノイ図を作成する。ボロノイ図とは、ある距離空間上の任意の位置に配置された複数個の点、すなわち母点に対して、同一距離空間上の他の点がどの母点に近いかによって領域分けされた図である。平面の場合、すなわち本発明の実施形態では、領域の境界線が各々の母点の垂直二等分線の一部になる。ボロノイ図を作成すると、それぞれの領域における施設の位置情報が1つとなる。また、位置情報間引き部13において、均一に間引きを行っているので、ボロノイ図の作成により得られるそれぞれの領域における施設の位置情報を示す点は、間引きされる前の施設の位置情報を示す点があったとしても、ほぼ同数となる。よって、間引きされる前の施設の位置情報を示す点があったとしても、領域の大きさにかかわらず領域に含まれる施設の位置情報の量が変わらないこととなるので、それぞれの領域における情報密度も一定となる。
【0027】
地域名抽出部15は、領域作成部14により作成された複数の領域のそれぞれにおいて、領域に含まれる施設の位置情報に基づいて地域名を抽出する。具体的には、領域作成部14により作成された複数の領域のそれぞれにおいて、領域の大きさを算出する。そして、POI情報DB21(図3)に記憶されている都道府県、市区町村、及び町丁であって領域に含まれる施設の位置情報に対応しているものより、領域の大きさに基づいて選択して抽出する。なお、ここでは、領域の大きさに基づいて、都道府県、市区町村、及び町丁から選択して抽出することとしたが、これに限らない。例えば、施設の位置情報に対して、最寄の駅名を関連付けて、領域の大きさに基づいて、都道府県、市区町村、町丁、及び最寄の駅名より選択して抽出することとしてもよい。また、抽出された地域名が、複数の施設の位置情報において同一のものであった場合に、同一の地域名が抽出されている領域の地域名を、例えば番地といった詳細な地域名とするようにしてもよい。また、隣接した領域において、抽出された地域名に異なる市区町村が混在している場合に、異なる市区町村が混在している領域の地域名を、例えば都道府県といった広域を示す地域名とするようにしてもよい。このように、領域の大きさに応じて地域名を選択することにより、領域の大きさに適した地域名を選択することができる。
【0028】
地域分布図作成部16は、地域名抽出部15により抽出された地域名を用いて、地域分布図を作成する。具体的には、地図上の抽出した施設の位置情報を示す点に、抽出した地域名を表示し、この表示した地域名を所定の図形で囲むように表示して地域分布図を作成する。このように、ユーザが指定するカテゴリに応じた施設の位置情報を抽出することにより、このカテゴリの地域分布図を作成することができる。そして、この地域分布図を作成する過程において、地域名抽出部15が領域の大きさに基づいて地域名を決定するので、領域の大きさに適した地域名が表示される地域分布図が作成されることとなる。例えば、ユーザ入力受付部11において、ユーザから受け付けられたカテゴリに応じた施設であって、この施設が特定の地域に集中している場合には、この特定の地域においては、小さい領域が作成されるので、地域名が詳細な地域名として表示され、施設が集中していない地域においては、大きい領域が作成されるので、地域名が広域の地域名として表示される。なお、地域分布図の作成は、上述のように行うこととしたが、これに限らない。例えば、抽出した地域名を、格子状に配置するようにしてもよい。この際、地域名同士の位置関係が実際の位置関係と相違しないように、抽出した地域名と関連付けられている経度、緯度といった位置情報に基づいて、地域名を配置するようにしてもよい。そして、地域分布図に表示されている地域名に、この地域名に対応する領域における施設の位置情報や、この地域名に対応する領域における間引きされた施設の位置情報の情報を関連付けして、それぞれの地域に属する施設の情報を提供できるようにしてもよい。
【0029】
[地域名抽出装置1のハードウェア構成図]
図2は、本実施形態に係る地域名抽出装置1のハードウェア構成を示す図である。本発明が実施される地域名抽出装置1のハードウェア構成は標準的なものでよく、以下に構成の一例を示す。
【0030】
地域名抽出装置1は、制御部10を構成するCPU(Central Processing Unit)1010(マルチプロセッサ構成ではCPU1012等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン1005、通信I/F(I/F:インターフェイス)1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、表示装置1022、I/Oコントローラ1070、キーボード及びマウス等の入力装置1100、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、並びに半導体メモリ1078を備える。なお、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、及び半導体メモリ1078はまとめて記憶部20と呼ぶ。
【0031】
制御部10は、地域名抽出装置1を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0032】
通信I/F1040は、地域名抽出装置1が、通信ネットワークを介して端末等と情報を送受信する場合のネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデム及びイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0033】
BIOS1060は、地域名抽出装置1の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、地域名抽出装置1のハードウェアに依存するプログラム等を記録する。
【0034】
表示装置1022は、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0035】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、及び半導体メモリ1078等の記憶装置である記憶部20を接続することができる。
【0036】
入力装置1100は、地域名抽出装置1の管理者による入力の受け付けを行うものである。
【0037】
ハードディスク1074は、本ハードウェアを地域名抽出装置1として機能させるための各種プログラム、本発明の機能を実行するプログラム及びDBのテーブル及びレコードを記憶する。なお、地域名抽出装置1は、外部に別途設けたハードディスク(図示せず)を外部記憶装置として利用することもできる。
【0038】
光ディスクドライブ1076としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、CD−RAMドライブを使用することができる。この場合は各ドライブに対応した光ディスク1077を使用する。光ディスク1077から光ディスクドライブ1076によりプログラム又はデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ1050又はハードディスク1074に提供することもできる。
【0039】
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、地域名抽出装置1は、上述のように、記憶部20、制御部10等を備えた情報処理装置により構成され、この情報処理装置は、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0040】
[処理フロー]
図4は、本実施形態に係る地域名抽出装置1において、制御部10によって実行される地域名抽出処理の内容を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS110において、ユーザ入力受付部11は、ユーザからのカテゴリの入力を受け付ける。具体的には、ユーザによる入力装置1100の操作により、カテゴリ及び地域圏の入力を受け付ける。
【0042】
次に、ステップS120において、位置情報抽出部12は、ユーザ入力受付部11により受け付けられたカテゴリに基づいて施設の位置情報を抽出する。
【0043】
次に、ステップS130において、位置情報間引き部13は、位置情報抽出部12により抽出された施設の位置情報の間引きを行う。
【0044】
次に、ステップS140において、領域作成部14は、位置情報間引き部13により間引きされなかった施設の位置情報に基づいて、ユーザ入力受付部11により受け付けられた地域圏に対して複数の領域を作成する。
【0045】
次に、ステップS150において、地域名抽出部15は、領域作成部14により作成された複数の領域について、それぞれの領域の大きさを算出する。
【0046】
次に、ステップS160において、地域名抽出部15は、算出した領域の大きさに基づいてPOI情報DB21より地域名を選択して抽出する。
【0047】
次に、ステップS170において、地域分布図作成部16は、地域名抽出部15により抽出された地域名及び施設の位置情報に基づいて、地域分布図を作成する。
【0048】
[地域名抽出例]
図5から図11は、本実施形態に係る地域名抽出装置1がユーザからカテゴリ及び地域圏を受け付けてから地域分布図を作成するまでを説明する図である。ここでは、ユーザがカテゴリを図3のPOI情報DB21に示す「美容院・ヘアサロン」に指定し、地域圏を東京都港区付近に指定したものとして説明する。
【0049】
図5は、ユーザが指定したカテゴリに所属する施設の位置情報を示す点をユーザが指定した地域圏にプロットした状態を示す図である。図に示されるように、指定した地域圏において、位置情報を示す点が複数プロットされていることが確認できる。
【0050】
図6は、施設の位置情報を示す点に対して間引きの対象となる点を決定した状態を示す図である。ここで、図6の左上に示される点をP1とし、所定の距離をLとすると、P1から距離Lよりも近い点P2、P3、及びP4は間引きの対象となる。また、P5はLよりも遠い点となるので、残す点とされる。そして、P5が残す点となるので、次に、P5に対して所定の距離Lよりも近い点を間引きの対象とする。この処理を施設の位置情報を示す点に対して順次行うことにより、残す点及び間引く点を決定する。図6では、間引く点を白抜きの点で示す。
【0051】
図7は、間引きの対象とされた点の間引きが行われた状態を示す図である。図7に示される間引きされなかった点を用いて、領域作成部14がボロノイ図を作成することで複数の領域を作成する。
【0052】
図8は、ボロノイ図が作成された状態を示す図である。領域の境界線が各々の母点、すなわち、施設の位置情報を示す点の垂直二等分線の一部で構成されていることが確認できる。
【0053】
図9は、それぞれの領域の大きさが算出された状態を示す図である。ここでは、指定された地域圏、すなわち、全体の大きさを100としたときの各領域の大きさを算出している。
【0054】
図10は、各領域の大きさに基づいて地域名が抽出された状態を示す図である。ここでは、図9において算出した領域の大きさが11以下の領域に対しては、図3のPOI情報DB21に記憶されている「町丁」を抽出する地域名として選択し、領域の大きさが11より大きい領域に対しては、図3のPOI情報DB21に記憶されている「市区町村」を抽出する地域名と選択することとしている。例えば、点P6が図3に示される「A美容院」であるとすると、P6が含まれる領域は、領域の大きさが「8.6」であるので、「町丁」である「六本木」を抽出する。また、点P7が図3に示される「Dヘアサロン」であるとすると、P7が含まれる領域は、領域の大きさが「12.9」であるので、「市区町村」である「品川区」を抽出する。ここでは、抽出した地域名を位置情報を示す点の近傍に表示させている。
【0055】
図11は、抽出した地域名に基づいて作成された地域分布図を示す図である。ここでは、図10に対して、領域の境界線を削除し、さらに、指定した地域圏に表示されている地域名を四角形で囲むように表示して地域分布図を作成する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係る地域名抽出装置1の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る地域名抽出装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係るPOI情報DB21を示す図である。
【図4】本実施形態に係る地域名抽出装置1において、制御部10によって実行される地域名抽出処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るユーザが指定したカテゴリに所属する位置情報を示す点をユーザが指定した地域圏にプロットした状態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る位置情報を示す点に対して間引きの対象となる点を決定した状態を示す図である。
【図7】本実施形態に係る間引きの対象とされた点の間引きが行われた状態を示す図である。
【図8】本実施形態に係るボロノイ図が作成された状態を示す図である。
【図9】本実施形態に係るそれぞれの領域の大きさが算出された状態を示す図である。
【図10】本実施形態に係る各領域の大きさに基づいて地域名が抽出された状態を示す図である。
【図11】本実施形態に係る抽出した地域名に基づいて作成された地域分布図を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 地域名抽出装置
10 制御部
11 ユーザ入力受付部
12 位置情報抽出部
13 位置情報間引き部
14 領域作成部
15 地域名抽出部
16 地域分布図作成部
20 記憶部
21 POI情報DB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出方法であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出するステップと、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成するステップと、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出するステップと、
を備える地域名抽出方法。
【請求項2】
前記施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の領域を作成するステップは、所定の条件に基づいて前記施設の位置情報の間引きを行い、間引きされなかった前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記間引きされなかった施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数の領域を作成するステップは、抽出した前記施設の位置情報に対してボロノイ図を作成することで、前記複数の領域を作成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出装置であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成する領域作成手段と、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出する地域名抽出手段と、
を備える地域名抽出装置。
【請求項1】
地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出方法であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出するステップと、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成するステップと、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出するステップと、
を備える地域名抽出方法。
【請求項2】
前記施設の位置情報は、経度・緯度情報及び住所情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記施設の位置情報は、地図上に表記され得るテキスト情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の領域を作成するステップは、所定の条件に基づいて前記施設の位置情報の間引きを行い、間引きされなかった前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記間引きされなかった施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数の領域を作成するステップは、抽出した前記施設の位置情報に対してボロノイ図を作成することで、前記複数の領域を作成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
地図上の施設の位置情報及び該施設の位置情報と関連付けられ、かつ、ユーザが指定したカテゴリを利用して、当該ユーザが指定したカテゴリの地域圏を表す地域名を抽出する地域名抽出装置であって、
ユーザが指定した地域において、前記ユーザが指定したカテゴリに基づいて前記施設の位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記施設の位置情報が1つのみ含まれ、かつ、隣り合う前記施設間の垂直二等分線の一部で境界線が構成される領域を複数作成する領域作成手段と、
前記複数の領域のそれぞれにおいて、前記領域に含まれる前記施設の位置情報より前記地域名を抽出する地域名抽出手段と、
を備える地域名抽出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−72429(P2010−72429A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240804(P2008−240804)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]