説明

地盤改良工法および地盤改良機械

【課題】上部空間が規制された狭隘な場所であっても、簡単な設備構成のもとで地中埋設物の下側を効率良く地盤改良できるように考慮された工法を提供する。
【解決手段】既設のドーム11の基礎12の下側を含む環状周辺領域Q1に地盤改良を施す工法として、最初に基礎12に隣接する内側領域Q2にストレート型の撹拌混合ヘッド3にて前処理として流動化処理を施す。次に、前処理済みの内側領域Q2から基礎12の下側領域Q3にエルボ型の撹拌混合ヘッド4を貫入して、地盤改良処理を施す。次いで、さらに下側領域Q4および内側領域Q2に上記ストレート型の撹拌混合ヘッド3を用いて地盤改良処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良工法および地盤改良機械に関し、特に、障害となる地中埋設物が存在する場合でも、その地中埋設物を避けて当該地中埋設物の下側の改良処理を行えるようにした地盤改良工法および地盤改良機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば地震発生時の液状化対策として、貯水タンク等の大型の地上構造物における基礎の下側に事後的に地盤改良を施して強度向上を図りたいとの要請がある。
【0003】
その一方、地上構造物ではないものの移設不可能な地中埋設物との干渉を回避してその地中埋設物の下側に地中連続壁を施工する技術として、特許文献1に記載の技術のほか、非特許文献1に記載のようなラッピングウォール工法と称される工法が提案されている。
【特許文献1】特開2007−254952号公報
【非特許文献1】笹倉 剛 ほか7名,「ラッピングウォール工法の開発−高圧噴射地山切削管理方法および高性能置換材料−」,鹿島技術研究所年報,鹿島建設株式会社,2004年9月30日,第52号,P.99−106
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、地中埋設物と干渉しないように掘削装置を斜めに貫入するいわゆる斜め施工を基本としているため、掘削装置が届かない部位の範囲の発生が不可避であり、どうしても施工欠損部分が発生することとなって好ましくない。
【0005】
これに対して、非特許文献1に記載の技術では、特許文献1に記載の技術の不具合を解消できるものの、いわゆる全面改良の施工には不向きであるばかりでなく、設備構成がきわめて大がかりなものとなり、特に上部空間が規制された場所では施工することができない。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、上部空間が規制された狭隘な場所であっても、簡単な設備構成のもとで地中埋設物の下側を効率良く地盤改良できるように考慮された地盤改良工法および地盤改良機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、地中埋設物の下側を含む当該地中埋設物の周辺領域に対し自走可能なベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドをもって地盤改良を施す方法であって、上記地中埋設物の下側を除いた当該地中埋設物に隣接する部分について、ベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドを地中に貫入して地中埋設物よりも大きな深さをもって流動化させる前処理工程と、地中埋設物の真下に上記流動化済み領域から撹拌混合ヘッドを貫入して、撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢とした撹拌混合ヘッドを上下方向に移動させて一次改良処理を施す一次処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載の発明は、地中埋設物の下側を含む当該地中埋設物の周辺領域に対し自走可能なベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドをもって地盤改良を施す方法であって、上記地中埋設物の下側を除いた当該地中埋設物に隣接する部分について、ベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを地中に貫入して地中埋設物よりも大きな深さをもって流動化させる前処理工程と、ベースマシンに略くの字状に屈曲し且つ撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢に維持することが可能なエルボ型の撹拌混合ヘッドを支持させておき、地中埋設物の真下に上記流動化済み領域からエルボ型の撹拌混合ヘッドを貫入して、撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢とした撹拌混合ヘッドを上下方向に移動させて一次改良処理を施す一次処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記ベースマシンとしては、例えば自走能力を有して機動性に優れたバックホウ等の汎用の建設機械(ショベル計掘削機械)を用いるものとする。また、ストレート型の撹拌混合ヘッドとエルボ型の撹拌混合ヘッドの使い分けは、別々の撹拌混合ヘッドを装着した2台のベースマシンを使い分けるようにしても良く、また共通のベースマシンが双方の撹拌混合ヘッドを持ち替えながら使い分けるようにしても良い。
【0010】
上記地中埋設物としては、地中埋設管のほか、既設の地上構造物に付帯して地中連続壁状に存在する基礎部分等を想定している。
【0011】
上記前処理は、一次処理工程でのエルボ型の撹拌混合ヘッドの貫入とその上下方向の移動を容易にするための意味合いを持つことから、請求項3に記載のように、水を加えて撹拌混合することで改良地盤を流動化させることが望ましい。
【0012】
また、請求項4に記載のように、上記一次改良処理が施された領域の下側部分にベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを貫入して二次改良処理を施す二次処理工程を含んでいることがより望ましい。
【0013】
さらに、請求項5に記載のように、上記前処理工程にて前処理が施された領域にベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを貫入して三次改良処理を施す三次処理工程を含んでいることがより望ましい。
【0014】
具体的には、請求項6に記載のように、処理対象領域を上記地中埋設物の長手方向に沿って複数の領域に予め区画しておき、区画された領域ごとに少なくとも前処理工程とそれに続く一次処理工程および二次処理工程を1サイクルとして施工するものとする。
【0015】
その一方、請求項7に記載のように、前処理工程で改良材と遅延材とを加えて撹拌混合することで改良地盤を流動化させる方法としても良い。この場合には、請求項5に記載の三次処理工程を廃止することが可能となる。
【0016】
具体的には、請求項8に記載のように、処理対象領域を上記地中埋設物の長手方向に沿って複数の領域に予め区画しておき、区画された領域ごとに前処理工程とそれに続く一次処理工程および二次処理工程を1サイクルとして施工するものとする。
【0017】
なお、上記地盤改良工法に用いる地盤改良機械のベースマシンは、請求項9に記載のように汎用型の建設機械であって、そのベースマシンに支持されることになるストレート型の撹拌混合ヘッドおよびエルボ型の撹拌混合ヘッドは、周回駆動されるエンドレスなチェーンに複数の撹拌翼を装着したものとする。
【0018】
特に、上記エルボ型の混合撹拌ヘッドは、請求項10に記載のように、エルボ状のフレームの前端部に駆動輪と従動輪を装着し、それら駆動輪と従動輪の間に複数の撹拌翼を装着したエンドレスなチェーンを巻き掛けたものとする。
【0019】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、施工欠損部分の発生を伴うことなく、地中埋設物の下側に地盤改良層を満遍なく施工することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜3に記載の発明によれば、地中埋設物に隣接する部分の流動化のための前処理に続いて地中埋設物の下側に一次改良処理を施すようにしたので、地中埋設物の下側にいわゆる全面改良のかたちで地盤改良層を満遍なく施工することができる。その上、全面改良のかたちであるにもかかわらず工期を短縮できるとともに、施工コストも安価となる。
【0021】
特に、請求項2に記載の発明によれば、ストレート型の撹拌混合ヘッドとエルボ型の撹拌混合ヘッドとを使い分けることで、大型のベースマシンを必要としないので、例えば上部空間が規制されたような狭隘なスペースにおいても比較的簡単な設備で無理なく施工することが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、一次改良処理に続いて、一次改良処理済み領域の下側部分に二次改良処理を施すようにしたので、改良処理領域の増大化のために地盤改良による一層の強度向上を期待できるようになる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、前処理工程にて前処理が施された領域に三次改良処理を施すようにしたので、上記と同様に改良処理領域の増大化のために地盤改良による一層の強度向上を期待できるようになる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、前処理工程において改良材と遅延材とを加えて撹拌混合することで改良地盤を流動化させることから、必ずしも上記三次改良処理が必要でなくなり、当該三次改良処理を廃止できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1以下の図面は本発明に係る地盤改良工法のより具体的な実施の形態を示す図である。
【0026】
ここでは、図3に基づいて後述するように、既設の地上構造物として貯水タンクに代表されるような円形のドーム11の投影面積全面を地盤改良する場合の例を示している。この場合において、最初にドーム11の内側からそのドーム11の周壁に付帯する基礎12の下側を含む環状周辺領域Q1を図5に示すように円環状の地中連続壁の如き形態で地盤改良を施し、その後から環状周辺領域Q1の内側の中央部分Q5に地盤改良を施すものとする。なお、少なくとも一部が地中に埋まっている上記の基礎12が本発明での地中埋設物に該当する。
【0027】
最初に、図1,2に示すように、地盤改良機械のベースマシンとなる自走能力を有する汎用型の建設機械(ショベル系掘削機械)として2台のバックホウ1A,1Bを用意し、一方のバックホウ1Aのアーム2先端にはストレート型の撹拌混合ヘッド3を装着するとともに、他方のバックホウ1Bのアーム2先端にはいわゆるエルボ型の撹拌混合ヘッド4を装着しておく。
【0028】
ストレート型の撹拌混合ヘッド3は、真直なフレーム5の上下両端に駆動輪6と従動輪7を装着し、それらの駆動輪6と従動輪7の間にエンドレスなチェーン8を巻き掛けるとともに、そのチェーン8に当該チェーン8よりも幅広の所定幅寸法の複数の撹拌翼9を装着したものである。そして、撹拌翼9付きのチェーン8は図示外の油圧モータ等にて周回駆動されることになる。なお、この構造は、本出願人が提案している特開2007−56664号公報等で公知である。
【0029】
他方、エルボ型の撹拌混合ヘッド4は、図2に示すように、上記ストレート型の撹拌混合ヘッド3とほぼ同構造であるものの、実際に撹拌混合にあずかる部分の有効長がストレート型の撹拌混合ヘッド3よりも小さくなっていて、例えば内角θが120°の屈曲したアタッチメント10をフレーム5から延長するように当該フレーム5に連結して、実質的にフレーム5をエルボ状のものとした点でストレート型の撹拌混合ヘッド3と異なっている。なお、この屈曲したアタッチメント10の採用は、後述するように水平姿勢としたエルボ型の撹拌混合ヘッド4のうち実際の撹拌混合処理にあずかる部分を基礎12の真下に貫入するためである。
【0030】
地盤改良のための手順1として、図3の(A)に示すように、ドーム11の内部に図1,2に示した2台のベースマシンであるバックホウ1A,1Bを配置しておき、ストレート型の撹拌混合ヘッド3を用いて、地中埋設物であるところの基礎12に隣接する内側領域Q2に前処理として流動化処理を施すものとする。すなわち、同図に示すように、基礎12の下側を除いた当該基礎12に隣接する内側領域Qについてストレート型の撹拌混合ヘッド3をほぼ鉛直姿勢にて貫入し、水を加えながら撹拌翼9付きのチェーン8を周回駆動して撹拌混合することで、基礎12よりも大きな深度まで流動化処理を施すものとする。ここでの流動化処理の際の目標とするテーブルフロー値は例えば200mm程度とする。なお、上記内側領域Q2は同図の環状周辺領域Q1の一部であることは言うまでもない。
【0031】
手順2として、同図(B)に示すように、ストレート型の撹拌混合ヘッド3に代えてエルボ型の撹拌混合ヘッド4を用い、流動化処理を終えた内側領域Q2から基礎12の下側領域Q3にそのエルボ型の撹拌混合ヘッド4を貫入するとともに、同図(C)に示すように実際の撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢に保ちながら上下方向に移動させて、一次処理として一次改良処理を施す。ここでの一次改良処理は、周知のように例えばミルク状の改良材(セメントと水とを混合したもの)を吐出しながら撹拌翼9付きのチェーン8を周回駆動して現位置土と撹拌混合するものである。施工条件は、例えば改良材100km/m3、水/セメント比200%、作業量25m3/h程度とする。
【0032】
この場合において、基礎12に隣接する内側領域Q2に前処理として予め流動化処理が施されているので、基礎12の下側領域Q3へのエルボ型の撹拌混合ヘッド4の貫入は容易である。また、基礎12の下側領域Q3での施工は、基礎12を損傷することがないようにその作業量を減らして、注意深く施工を行うものとする。なお、基礎12の下側領域Q3も上記内側領域Q2とともに環状周辺領域Q1の一部であることは言うまでもない。
【0033】
手順3として、図4の(A)に示すように、エルボ型の撹拌混合ヘッド4に代えてストレート型の撹拌混合ヘッド3を用い、先に前処理としての流動化処理を終えた内側領域Q2と、一次改良処理を終えた下側領域Q3のさらに下側の領域Q4とにまたがるように上記ストレート型の撹拌混合ヘッド3を斜めに貫入して、二次処理として二次改良処理を施す。ここでの二次改良処理は、先の一次改良処理と同様に例えばミルク状の改良材を吐出しながら撹拌翼9付きのチェーン8を周回駆動して現位置土と撹拌混合するものである。施工条件は、例えば改良材100km/m3、水/セメント比200%、作業量40m3/h程度とする。なお、上記下側領域Q4も環状周辺領域Q1の一部であることは言うまでもない。
【0034】
さらに、手順4として、同図(B)に示すように、ストレート型の撹拌混合ヘッド3を用い、先に前処理としての流動化処理を終えた内側領域Q2に上記ストレート型の撹拌混合ヘッド3をほぼ鉛直姿勢にて貫入して、三次処理として三次改良処理を施す。ここでの三次改良処理は、先の一次および二次改良処理と同様に例えばミルク状の改良材を吐出しながら撹拌翼9付きのチェーン8を周回駆動して現位置土と撹拌混合するものである。施工条件は、二次改良処理と同様に、例えば改良材100km/m3、水/セメント比200%、作業量40m3/h程度とする。
【0035】
以上をもって、基礎12の下側領域Q3やさらにその下方の下側領域Q4および内側領域Q2を含んでなる環状周辺領域Q1の周方向での一部の地盤改良が完了したことになる。
【0036】
この場合において、図5に示すようなドーム11の投影面積において、施工対象となる環状周辺領域Q1を周方向において等ピッチの複数の領域、すなわち放射状の複数の領域a,a‥に区画しておき、例えば同図の区画領域a1において、上記の前処理、一次改良処理、二次改良処理および三次改良処理を1サイクルとして施工を行ったならば、その環状周辺領域Q1の半径方向においてその施工済みの区画領域a1と反対側の区画された領域a2について上記1サイクル分の施工を施すものとする。そして、以降は同様の処理を繰り返す。
【0037】
ここで、先の前処理では、水を加えながら撹拌混合することで内側領域Q2を流動化させるようにしているが、水に代えてミルク状の改良材と遅延材とを加えながら流動化させることも可能である。ミルク状の改良材は、先にも述べたようにセメントと水を混ぜ合わせたものであるから、遅延材としては、例えば(株)フローリック社製の「ジオリター10」と称されるものと用いるものとし(主成分はオキシカルボン酸塩)、セメント添加量の2%程度を添加するものとする。これにより、ミルク状改良材の流動性保持と硬化遅延が図れるようになり、先に述べた手順3の三次改良処理は必ずしも必要でなくなり、必要に応じてその手順3の三次改良処理を廃止することが可能となる。
【0038】
以上のようにして、円環状周辺領域Q1の全てについて地盤改良処理が完了したならば、残された未改良領域は円環状周辺領域Q1の内側の中央部分Q5だけとなる。
【0039】
そこで、手順5として、図4の(C)に示すように、ストレート型の撹拌混合ヘッド3をほぼ鉛直姿勢にて地中に貫入して、上記中央部分Q5の改良処理を施すものとする。この時の施工条件は、例えば改良材100km/m3、水/セメント比200%、作業量50m3/h程度とする。こうすることにより、円環状周辺領域Q1のほか中央部分Q5を含む図5のドーム11の投影面積全面での地盤改良が完了することになる。
【0040】
ここで、先に述べたようなストレート型の撹拌混合ヘッド3とエルボ型の撹拌混合ヘッド4の使い分けは、双方共に汎用型の建設機械であるバックホウ1A,1Bのアーム2に対して脱着可能であるので、上記のようにストレート型の撹拌混合ヘッド3とエルボ型の撹拌混合ヘッド4をそれぞれに独立したバックホウ1A,1Bに予め持たせておき、バックホウ1A,1Bそのものを使い分ける方式のほか、共通の1台のバックホウ1Aまたは1Bがその都度ストレート型の撹拌混合ヘッド3とエルボ型の撹拌混合ヘッド4を選択的に持ち替えて作業を行う方式としても良い。
【0041】
このように本実施の形態によれば、ドーム11の内部空間という限られたスペースでありながら、その内部空間側からドーム11の投影面積全面の地盤改良を効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る地盤改良工法に用いられる地盤改良機械としてストレート型の撹拌混合ヘッドタイプのものを示す概略説明図。
【図2】本発明の地盤改良工法に用いられる地盤改良機械としてエルボ型の撹拌混合ヘッドタイプのものを示す概略説明図。
【図3】本発明に係る地盤改良工法の実地の形態としてその施工手順を示す工程説明図。
【図4】本発明に係る地盤改良工法の実地の形態として図3に続く施工手順を示す工程説明図。
【図5】改良対象となる地盤の投影説明図。
【符号の説明】
【0043】
1A,1B…バックホウ(ベースマシン)
3…ストレート型の撹拌混合ヘッド
4…エルボ型の撹拌混合ヘッド
11…ドーム(既設地上構造物)
12…基礎(地中埋設物)
Q1…環状周辺領域
Q2…内側領域
Q3…基礎の下側領域
Q4…下側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中埋設物の下側を含む当該地中埋設物の周辺領域に対し自走可能なベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドをもって地盤改良を施す方法であって、
上記地中埋設物の下側を除いた当該地中埋設物に隣接する部分について、ベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドを地中に貫入して地中埋設物よりも大きな深さをもって流動化させる前処理工程と、
地中埋設物の真下に上記流動化済み領域から撹拌混合ヘッドを貫入して、撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢とした撹拌混合ヘッドを上下方向に移動させて一次改良処理を施す一次処理工程と、
を含むことを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
地中埋設物の下側を含む当該地中埋設物の周辺領域に対し自走可能なベースマシンに支持させた撹拌混合ヘッドをもって地盤改良を施す方法であって、
上記地中埋設物の下側を除いた当該地中埋設物に隣接する部分について、ベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを地中に貫入して地中埋設物よりも大きな深さをもって流動化させる前処理工程と、
ベースマシンに略くの字状に屈曲し且つ撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢に維持することが可能なエルボ型の撹拌混合ヘッドを支持させておき、地中埋設物の真下に上記流動化済み領域からエルボ型の撹拌混合ヘッドを貫入して、撹拌混合処理にあずかる部分を水平姿勢とした撹拌混合ヘッドを上下方向に移動させて一次改良処理を施す一次処理工程と、
を含むことを特徴とする地盤改良工法。
【請求項3】
上記前処理工程では、水を加えて撹拌混合することで流動化させることを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項4】
上記一次改良処理が施された領域の下側部分にベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを貫入して二次改良処理を施す二次処理工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の地盤改良工法。
【請求項5】
上記前処理工程にて前処理が施された領域にベースマシンに支持させたストレート型の撹拌混合ヘッドを貫入して三次改良処理を施す三次処理工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の地盤改良工法。
【請求項6】
処理対象領域を上記地中埋設物の長手方向に沿って複数の領域に予め区画しておき、
区画された領域ごとに少なくとも前処理工程とそれに続く一次処理工程および二次処理工程を1サイクルとして施工することを特徴とする請求項4または5に記載の地盤改良工法。
【請求項7】
上記前処理工程では、改良材と遅延材とを加えて撹拌混合することで流動化させることを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項8】
処理対象領域を上記地中埋設物の長手方向に沿って複数の領域に予め区画しておき、
区画された領域ごとに前処理工程とそれに続く一次処理工程および二次処理工程を1サイクルとして施工することを特徴とする請求項7に記載の地盤改良工法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の地盤改良工法に用いる地盤改良機械であって、
ベースマシンは汎用型の建設機械であるとともに、
そのベースマシンに支持されるストレート型の撹拌混合ヘッドおよびエルボ型の撹拌混合ヘッドは、周回駆動されるエンドレスなチェーンに複数の撹拌翼を装着したものであることを特徴とする地盤改良機械。
【請求項10】
上記エルボ型の混合撹拌ヘッドは、エルボ状のフレームの前端部に駆動輪と従動輪を装着し、それら駆動輪と従動輪の間に複数の撹拌翼を装着したエンドレスなチェーンを巻き掛けたものであることを特徴とする請求項9に記載の地盤改良機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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