説明

地盤試料採取装置

【課題】 高品質試料を地盤から採取して試験に供する過程で、試料収納管と試料との摩擦による品質の低下が問題である。摩擦の低下による試料の落下防止も同時に望まれている。
【解決手段】 試料収納管の材質、特に内面の摩擦抵抗の小さいものにすること、潤滑剤を効率的に塗布すること、さらに試料と試料収納管との接触圧を適性に保つこと、メカニカルキャッチャーで試料の脱落を確実に防ぐことなどの新工法の採用を数ステップに分けて実現できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボーリング孔底あるいはピット内で、地盤の強度や変形特性等の高度な室内試験を行うための供試体を採取する場合に使用する地盤試料採取装置に関し、特に試料収納管内に試料を取り込む時や試料を収納管から押出す時に試料周面に作用する摩擦力やサンプラーを引き抜く時の真空圧、各種の振動や揺動等による品質の低下と試料の落下防止等を図る地盤試料採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上あるいは地中に建造される構造物の設計・施工、液状化や土砂災害などの予測・復旧などに欠かすことができない地盤の力学的情報は、試験に供する供試体の品質により大きく異なる。ここでは、供試体の品質低下要因全般に配慮しつつ、品質低下の主因でありながら従来から開発が遅れていた地盤試料と試料収納管との摩擦、真空圧等による地圧と間隙圧の変化に着目した。
【0003】
この分野での研究開発は、今回の主目的と同様、高品質化と言っても如何に確実に試料を採取できるかが第一で、採取者にとっては都合のよい方向に、試料にとっては過酷な応力条件下での採取法が主流であった。特に、内面がザラザラなチューブを圧入する結果(粗度の規定がある規格がない)、試料は圧縮されることになるが、これに対処するための固定ピストン式サンプラーが一般に用いられている(ざらざらチューブでは摩擦が大きく試料は落下し難いが、試料が圧縮されるとピストンと試料上面間に負圧が発生し試料を伸長する)サンプリング後、サンプラーを地中から引き揚げようとすると真空圧が発生し採取試料は下方に引っ張られるが、チューブとの摩擦が大きいと試料は落下し難いことになり、採取者にとっては好都合である。品質低下の原因をそのままにして対処療法的な開発が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60―200143号公報
【特許文献2】特開昭60―200144号公報
【特許文献3】特開平01―125490号公報
【特許文献4】特開平09―72184号公報
【特許文献5】特開2001―98539号公報
【特許文献6】特開2008―002068号公報
【特許文献7】特開平08―136418号公報 前記特許文献1、2は(出願 1984.03):地圧バランス式地盤サンプラー/同試料採取方法。主としてサンプラーを静的に貫入できる緩〜中位の粘性土、砂質地盤等への適用を前提としている。試料収納管より径の小さいシューで切り取られた試料は、試料収納管内の地圧相当圧に加圧されて硬化性流体内に取り込まれ、応力解放や摩擦による品質の低下防止を主目的とした試料採取装置と方法である。前記特許文献3は(出願 1987.11):加圧式地盤試料採取方法及び装置。主としてサンプラーを静的に貫入できる緩〜中位の粘性土、砂質地盤等への適用を前提としている。(径が伸縮するピストンで収納管内面との摩擦力で)試料収納管内の試料に軸方向圧を作用させ、かつ横方向(径方向)に伸縮自在の試料収納管に(上下端部分を除く範囲に複数の縦スリットを入れ、外側に複数のゴムバンドを装着し)横方向から加圧した状態で試料を採取する方法と装置である。
【0005】
前記特許文献4は(出願 1995.09):地盤試料用サンプラー。請求項4:透明樹脂製の内管(収納管)に180°対象位置にV型の易破断性の溝加工をすることで、簡単に2つ割に出来、試料を乱さないで取り出すことができる)。
【0006】
前記特許文献5は(出願 1999.09):粒状体地盤コアバーレル。砂礫などの土粒子を回転切削しながら試料を採取することを前提としている。請求項1:回転切削ビット径より小さい径のコアチューブの中に機能性キャップを装着したピストンを入れて底蓋状にし、その中に高粘性流体を封入し、回転切削によるコアがサンプラーに入って来ると、封入されている高粘性流体が高圧になり機能性キャップを介してチューブとコアで形成された環状間隙に注入され、コアを保護しながら流下してビット部から排出される。
【0007】
請求項2:原理的にはダブルコアチューブ式で、内管は非回転で外管による回転で切削し、コアが中に入ると。高粘性流体は前記ピストンの作用で内管とコアの間を流下してビットへ、他に内管のヘッドにあるバルブを通って内外管の間を流下してビット面から排出される。
【0008】
前記特許文献6は(出願2006.06):貫入式地盤試料採取装置。主としてサンプラーを静的に貫入できる緩〜中位の粘性土、砂質地盤等への適用を前提としている。一般に用いられている試料収納管を水圧ピストンで圧入するサンプラーの原理を用い、孔底面に接し、試料収納管先端部に位置する固定ピストンと試料収納管からなる空間に潤滑剤からなる高濃度溶液を密封し、送水して水圧ジャッキで試料収納管(貫入し易さと強度から通常金属製の薄肉パイプ、が用いられている)を圧入すると高圧になった潤滑剤はピストンと試料収納管の隙間を流下しながら試料を養生し、最後は採取した試料の体積分だけピストン周面から流下してシュー上部の排出口から孔内に排出される。所定長圧入されると、シュー上部に格納してあるキャッチャーが水圧ジャッキで押し出されシュー上部で閉塞され、試料の落下を防止する。
【0009】
前記特許文献7は(出願21994.11):プラネットギアによりサンプラー頭部で内管の回転力を外管ロッドを介して内管に伝達されないようにする装置。内管の回転を阻止することで、採取試料の品質の低下をふぐことを目的としている。
【非特許文献】
【0010】
前述の特許に関連した論文等の数は多いが、それ以外のものを以下に示す。
【0011】
高品質供試体の提供と摩擦問題に関する実験的考察(湯川 酒井 第46回地盤工学研究発表会 2001.079)
我が国で一般に用いられている規格化された試料収納管(シンウォールチューブTwt)等に砂を詰めて押出し摩擦実験を行った結果、砂の密度によって異なるがTwt+潤滑剤(ポリマー)塗布を1とすると、塩ビパイプは3、アクリルパイプは途中で圧壊、Twtは50〜100倍と非常に大きいこと(潤滑剤を塗布すると摩擦が激減すること)が判明した。これから消耗品である試料収納管は安価で滑り特性と加工性に優れている塩ビ管が材質では最良であることがわかった。これに潤滑剤を塗布して使用するのが実務上ベストであると判断した。
【0012】
サンプリングの基礎的要素技術に関する一考察(酒井他 学会誌 土と基礎Vol.46 No.5 1998)。透水性の良い地盤でも孔内のコアバーレルを急速に引き上げると、液状化現象より激しいボイリングが発生することをビジュアルにした。これより、地中に貫入したサンプラーを引き上げれば大きな負圧が発生し、孔底地盤は激しく乱され、採取試料も品質が低下するので、負圧の発生を止める原理的な措置を施す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高品質試料採取を検討する場合、対象地盤によって品質低下要因は大きく異なる。そこで、当該サンプラーの適用範囲は、緩い〜密な砂・砂質土層、小礫混じり砂層に代表されるものとした場合の課題を以下に列記する。
【0014】
主要課題は下記のA,B,Cの3課題とする(他に当然のこととして、安全性、無公害性、経済性、取扱や耐久性などをベースにして手段を選定する)。
A:試料収納管内面と採取試料との摩擦による品質低下の防止:試料の押し出し時も含む
B:負圧の発生による試料落下と品質低下:
C:貫入抵抗を小さくすること:外周面の切削による、潤滑剤の活用ほか
D:その他:作業性、振動、ねじれ、刃先角度・・・
【課題を解決するための手段】
【0015】
課題A:試料収納管内面と採取試料との摩擦を低減する手段:
試料収納管の素材は従来は加工し易さから黄銅製品であったが、現在は強度的に優れたステンレス鋼が主流で、内径75mm管、肉厚1.5〜2.0mmnのものが一般的である。しかし、このパイプは内面がかなり租なため試料との摩擦抵抗は非常に大きい。しかし、これに潤滑剤を一様に塗布すると前述のように滑り性素材の塩ビ管より滑り易くなる。そのため、前記の特開2001―98539 特開2008―002065のように試料収納管と試料との間にクリアランスを設け、ここに潤滑剤を圧入する方法では摩擦は非常に小さくなるが、地盤によってはクリアランスによる地中応力の解放や潤滑剤の試料への浸透などによる品質低下が懸念される。この両方の問題を解決するためには、ポリマー溶液等の潤滑剤の圧力上昇を防ぐ吐出圧調節バルブをサンプラーヘッドに装着して、従来のように全ての潤滑剤を利用する方式から必要な分だけ利用すること、試料収納管内面全体に潤滑剤を適切な厚さで塗布するため、潤滑剤貯蔵スペースの底蓋に相当する自由ピストンに試料収納管内壁との間隙を調整するための間隙調整ユニットを装着、さらに試料収納管を貫入管の中に入れ、この二重管の環状間隙内を試料下端のシュー上部まで潤滑剤を流下させて試料の下部で斜スリットからなる潤滑剤塗布管を用いて試料周面に潤滑剤を塗布できるようにすることで解決可能である。現状では、試料収納管の材質や表面処理、地中応力保持等の問題はあるが、貫入管との併用を基本とし、現場の状況に応じて経験則に沿った微細な調整、ポリマーなどの潤滑剤の濃度、潤滑剤吐出圧、試料外径と試料収納管とのクリアランス、試料上部の自由ピストン部での潤滑剤塗布厚等の調整が試料採取直前でも自由に設定できるようなものとすることで品質の向上と安定化を図る。
【0016】
試料収納管については、前述の様に材質や表面加工の他に、摩擦力と比例関係で影響する地圧による試料収納管内面に作用する圧力で摩擦抵抗は変化する。摩擦面の条件が同一ならば、応力解放が無く地圧相当圧が保持されれば静止状態では乱れが生じないが、相対変異により摩擦力は最高値に達し試料を乱すことになる。クリアランスの調整で試料収納管の径方向に作用する圧力が決まり、その結果として周面摩擦力が発生するので、クリアランスの最適化が重要課題となるが、これは地盤や深度によっても異なることになる(大きなクリアランスでも自立する地盤であれば試料収納管内面に接しない摩擦ゼロ状態を再現できるが、地盤によっては応力解放で乱れるとか崩壊するなどの現象が発生する)。そこで、経験的に最適状態に導くため、周方向に伸縮可能な試料収納管(スリット管)の外周を弾性材で支持させる方法が実績もあり有効である。例えば、特開H01―125490(特開S60―200143/200144)等が参考になる。ただし、当該発明は採取試料への拘束圧とピストンによる軸圧を作用せせることが主目的ではなく、潤滑剤との組合せで、応力解放による試料の乱れと試料収納管に作用する地圧の低下で摩擦抵抗が低下することによる乱れの関係に着目し、縦スリット試料収納管の周圧調整と潤滑剤の吐出圧調整による試料の乱れを最小化することが主眼である。スリットチューブの利用は、上記の他に収納管から試料を押出す時に摩擦による品質低下を防ぐ最も効果的な方法である(試料の押出し時は試験の都合で、通常、採取時から日数がかなり経てから行われることがあるので、潤滑剤の硬化などで試料周面と収納管が貼り付き抜けなくなるが、スリットが入っていると貼りつきを簡単に剥して取り出すことができる。
【0017】
課題B:負圧の発生による試料落下と品質低下を防ぐ手段:
貫入型で採取したサンプラーを地盤から引き抜くと、先端部で真空圧が発生し試料の品質を低下させ、最悪の場合、試料は落下することになる。これを防ぐためには貫入管の外側を掘削し、孔内水圧がシュー位置に直ちに供給されるようにする必要がある。さらには、負圧が発生しないでも試料収納管の内面摩擦の低下により試料は落下し易くなるので、孔内水圧でサンプラー下面の試料に上向きの水圧を作用させる他、メカニカルな試料の落下防止工法の併用をできるようにする。(例えば、キャッチャ作動機構 特開2008―002065などによる)。
【0018】
回転切削型のサンプラーでは、外側が切削されるので負圧は発生し難いようになっている。その典型はトリプルチューブサンプラーで(地盤工学会基準JGS 1223―2003)、試料収納管は通常塩ビ管を用いている。しかし、採取試料の学会レベルでの評価は必ずしも良くない。その理由は緩い砂地盤では試料が落下する(キャッチャがついていない)、密なあるいは硬い地盤ではクリアランスを大きくとって採取されるため乱れやすい。特に共通して乱れの原因になるのは、回転時の振動や加圧力が大きい場合はローリングするためとされている。そこで、試料収納管の内面に試料の上下面で潤滑剤を塗布して摩擦抵抗を小さくし、ビットを土粒子切削用ではなく、土粒子を剥しながらサクサク切削できる鋭利な刃型とし、かつビット全周で切削するのではなく3点程度に付けた刃先で切削することで切削トルクを非常に小さくし、さらに回転数を従来の最低回転速度の数分の一以下にすることで振動やローリングを低減する頃が出来る。
【0019】
課題C:貫入抵抗を小さくする手段:
前述のように、採取試料の上下位置で全面に潤滑剤を塗布することで試料と試料収納管との摩擦抵抗を減少させ、適性クリアランス(拘束圧の適正化)の確保等による貫入時の摩擦抵抗の減少、さらに貫入管の外側を掘削することで摩擦を少なくすることにする。
【0020】
課題D:その他:
現場作業中、直前での採取結果を分析し、直ちにその場で、潤滑剤の濃度、潤滑剤吐出圧の設定、ピストン部の間隙調整ユニットの調整で潤滑剤の塗布厚を調節などが容易にできるようにすることで品質の安定化と向上を図ることにした。
【発明の効果】
【0021】
(礫混じり)砂質系地盤の高品質試料採取装置で、試料の試料収納管などと試料との摩擦を低減することで採取時は元より試料を押し出す時の乱れも激減できる。また、潤滑剤の吐出圧の調整と斜スリットからの試料下部での潤滑剤の塗布等により摩擦の低減と採取試料への潤滑剤の浸透問題はクリアできた。現場での実績の積み重ねが次の現場での高品質化に役立つシステムの構築が出来た。
【0022】
地圧バランスによる摩擦低減と応力解放による品質低下防止、更に、回転切削時の試料に作用するトルクのカットや切削振動等による品質低下の防止などが可能になり、現場での実績の積み重ねが次の現場での高品質化に役立つシステムの構築ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態の使用状態の説明図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の試料収納菅と潤滑剤塗布菅を接続した状態の正面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の試料収納菅と貫入菅との関係を示す断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の潤滑剤貯蔵スペースに潤滑剤を収納する時の説明図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の潤滑剤貯蔵スペースに潤滑剤が収納された状態の説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態の試料収納菅内に試料が入る場合の説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態の試料収納菅内に試料が入った状態で取り出した状態の説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態の使用状態の説明図。
【図10】本発明の第2の実施の形態の縦断面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態の試料収納菅と潤滑剤塗布菅を接続した状態の正面図。
【図12】本発明の第2の実施の形態の試料収納菅と貫入菅との関係を示す断面図。
【図13】本発明の第3の実施の形態の使用状態の説明図。
【図14】本発明の第3の実施の形態の縦断面図。
【図15】本発明の第3の実施の形態の試料収納菅と潤滑剤塗布菅を接続した状態の正面図。
【図16】本発明の第3の実施の形態の試料収納菅と貫入菅との関係を示す断面図。
【図17】本発明の第4の実施の形態の使用状態の説明図。
【図18】本発明の第4の実施の形態の縦断面図。
【図19】本発明の第4の実施の形態の試料収納菅と潤滑剤塗布菅を接続した状態の正面図。
【図20】本発明の第4の実施の形態の試料収納菅と貫入菅との関係を示す断面図。
【図21】本発明の第5の実施の形態の使用状態の説明図。
【図22】本発明の第5の実施の形態の縦断面図。
【図23】本発明の第5の実施の形態の試料収納菅内に試料が入った状態の説明図。
【図24】本発明の第5の実施の形態の試料キャッチ装置が作動した状態の説明図。
【図25】本発明の第6の実施の形態の使用状態の説明図。
【図26】本発明の第6実施の形態の縦断面図。
【図27】本発明の第6実施の形態の試料収納菅内に試料が入った状態の説明図。
【図28】本発明の第7の実施の形態の縦断面図。
【図29】本発明の第8の実施の形態の縦断面図。
【図30】本発明の第8の実施の形態の堀菅下降装置を作動させた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、現場での試料採取から採取試料を試料収納管から抜き取るまでの品質向上と安定化を目指すもので、主として、砂質土から小礫混じり砂、小礫質土等の、緩い〜密なものまでをカバーし、反対に土粒子や岩砕を切削してコアを採取することは主たる対象地盤とはしていない。
【実施例1】
【0025】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0026】
当該高品質地盤試料採取装置の基本型で、請求項1に対応する実施例を図1ないし図8に示す。この高品質地盤試料採取装は、容易に静的に貫入できる緩い砂質系地盤を採取対象とするものである。
【0027】
図1ないし図8の実施例1において、地盤に穿設したボーリング孔B底に試料収納管4をその軸方向に降下させて該試料収納管4内に地盤試料を採取する地盤試料採取装置Xにおいて、該地盤試料採取装置Xはロッド1の先端部に取付けられたサンプラーヘッド2と、このサンプラーヘッド2に上端部が螺合固定あるいはスライド移動可能に取付けられた貫入菅3と、この貫入菅3の内壁面との間に潤滑剤流路5が形成されるように該貫入菅3内に挿入された摩擦抵抗の小さい素材あるいは摩擦抵抗の小さいシートを内壁面に貼着あるいはコーティングした採取試料を保護する試料収納菅4と、この試料収納菅4の下端部に該試料収納菅4と同一内径寸法の短菅に短冊上の傾斜潤滑剤流路22が形成された潤滑剤塗布菅7と、前記貫入菅3の下端部に取付けられた前記試料収納菅4と同径かあるいはわずかに小さい内径の外テーパを有する該試料収納菅4の上部が前記サンプラーヘッド2の底面に接触した状態で該試料収納菅4と前記潤滑剤塗布菅7を固定するシュー6と、前記試料収納菅4内にスライド移動可能に取付けられたピストン14と、このピストン14と前記サンプラーヘッド2との間の試料収納菅4の潤滑剤貯蔵スペース18に潤滑剤を供給するとともに、供給された潤滑剤に所定の圧力が加わると外方へ排出する潤滑剤通路19と、前記試料収納菅4の上部に形成された前記潤滑剤貯蔵スペース18の潤滑剤を前記潤滑剤流路19へ供給する連通孔8とで構成されている。
【0028】
詳しくは、試料を収納する試料収納管4は塩ビ管で(他にテフロン等の土との摩擦抵抗の小さな素材からなる管やこれらの薄肉シートを内面に貼付或いはコーティングした物も対象となるが。安価で多様なものがあるので塩ビパイプを使用した)、その外径より僅かに大きい内径の貫入管3被せ、さらに試料収納管4と同一内径の短管に試料全面にスリットから潤滑剤が塗布できるように短冊状の傾斜潤滑剤流路22としての傾斜スリットの潤滑剤供給溝がシュー6と接する部分に設けた潤滑剤塗布管7を貫入管3の下側に入れてある。傾斜スリット22から浸み出た潤滑剤が試料周面全体に塗布されるように傾斜スリットの角度と長さを決めている。
【0029】
試料収納管4の頂部はサンプラーヘッド2下面に接触した状態で貫入管3をサンプラーヘッド2に着脱可能にネジ接合されている。貫入管3の下端には試料収納管4と同径か僅かに小さい内径の外テーパーのシュー6を着脱可能にネジ接合して、試料収納管4と潤滑剤塗布管7を固定する。試料収納管4の内径より僅かに小さい径のピストン14を試料収納管4内の底部近くにセットする。シュー6の先端部の内径が試料収納管4より小さくしてクリアランスを取っている場合はピストン14がその段差で抜け落ちないようになっているが、段差なしの場合は図示のようにサンプラーヘッド2の下面との間にピストン固定ワイヤー13で抜け落ちないようにしている。ピストン14で底が出来た試料収納管4を側壁とする潤滑剤貯蔵スペース18に通常1〜5%の濃厚ポリマー溶液などの潤滑剤をサンプラーヘッド2部の注入孔11から注入して満たし、かつ試料収納管4の上部の連通孔8を通って試料収納管4と貫入管3からなる環状流路5を流下して下部の潤滑剤塗布管7の下端まで満たし、潤滑剤塗布管7の傾斜スリット22からエアを排出しながら高品質地盤試料採取装内に潤滑剤を充填する(高品質地盤試料採取装を孔内に下降させるとき、潤滑剤の粘性が大きいのでピストン14の隙間から流出することはない)。
【0030】
潤滑剤が一様に、そして試料全面に塗布され、かつ試料の深部まで潤滑剤が浸透しないように、採取地盤の状態によりサンプラーヘッド2にある潤滑剤の吐出圧調節バルブ10を弾性薄肉テープをヘッドに巻く張力と巻き数により潤滑剤吐出孔9からでる潤滑剤の量を調節する。同様にピストン14と試料収納管4内面の隙間から潤滑剤が流下して試料に浸透しないように、かつ通常用いられているOリング等によるピストンシールを使うと潤滑剤が拭き取られ摩擦低減効果が低下するので、潤滑剤の濃度(粘性)を考慮して間隙を決める必要がある。そのため、ピストン14上にスポンジなどのクッション15をセットし圧縮プレート16を介して圧縮ボルトナット17で調節する。
【0031】
サンプラーヘッド2にロッド1を介して地上から押し圧を作用させて貫入管3と試料収納管4を同時に貫入させると、試料が試料収納管4内に入り、同時にピストン14が相対的に上昇して(固定ピストン式なのでピストン14の深度は一定で高品質地盤試料採取装のみが貫入する)潤滑剤は加圧され、加圧された潤滑剤は連通孔8を通って、環状流路5を流下し潤滑剤塗布管7で傾斜スリット22から試料側面に潤滑剤が塗布され、余った潤滑剤はサンプラーヘッド2部の吐出圧調節バルブ10から排出されるようになっている。このように試料採取前に採取地盤の状態により各種の調節ができることが特徴である。
【実施例2】
【0032】
図9ないし図12の実施例2において、前記実施例1と主に異なる点は、試料収納菅4Aの軸方向の全長あるいは下端部を除く部位に1個の縦スリット21を形成し、その外周を3個の弾性ビーム23、23、23で支持したものを用いた点で、このような試料収納菅4Aを用いて構成した地盤試料採取装置X1にしても前記実施例1と同様な作用効果が得られる。
【0033】
なお、試料収納管4Aを単に剛性の大きな管ではく、試料が地圧で膨張することによる摩擦の増加を軽減するため、試料収納管4Aが直径方向に伸縮できるものとし、採取後、試料収納管4Aから試料を押出す時の摩擦をなくすため、縦スリット21を広げて摩擦が働かない状態で試料を押出せる。
【実施例3】
【0034】
図13ないし図16の実施例3において、前記実施例1と主に異なる点は、試料収納菅4Bの軸方向の全長あるいは下端部を除く部位に3個の縦スリット21、21、21を形成し、その外周部分を3個の弾性ビーム23、23、23で支持したものを用いた点で、このような試料収納菅4Bを用いて構成した地盤試料採取装置X2にしても前記実施例1と同様な作用効果が得られる。
【実施例4】
【0035】
図17ないし図20の実施例4において、前記実施例1と主に異なる点は、試料収納菅4Cの軸方向の全長あるいは下端部を除く部位に3個の縦スリット21、21、21を形成し、その外周部分をテープ24でテーピングしたり、あるいは複数個の弾性チューブで支持したものを使用した点で、このような試料収納菅4Cを用いて構成した地盤試料採取装置X3にしても前記実施例1と同様な作用効果が得られる。
【0036】
なお、弾性チューブ径、厚さや枚数、弾性ビーム23、23,23の幅や厚さ、硬さを選択することでスリット収納管4cに作用する拘束圧を事前に調節することができる。
【実施例5】
【0037】
図21ないし図24の実施例5において、前記実施例1と主に異なる点は、ピストン14はサンプラーヘッド2の中央部をスライド移動するピストン固定ロッド28に固定されるとともに、該ピストン固定ロッド28の上端部は底面に取付けられ、かつ上面にロッド1の先端部が取付けられた外菅取付部材27、この外菅取付部材27に上端部が固定され、先端部を除く貫入菅3を内部に収納する外菅25、前記外菅取付部材27とサンプラーヘッド2との間の外菅25内に設けられた貫入用ピストン30、この貫入用ピストン30と前記外菅取付部材27との間の加圧水室31aに加圧水を供給する加圧水供給路31b、前記外菅25の下部寄りの部位に形成したストッパー孔33と係合する前記貫入用ピストン30に設けられた貫入用ストッパー32、この貫入用ストッパー32が前記ストッパー孔33に係合すると前記貫入用ピストン30と前記サンプラーヘッド2との間の下部加圧水室31cに加圧水を流入させ、該サンプラーヘッド2を下方へ移動させて潤滑剤塗布菅7の先端部をシュー6によって内側へ湾曲させる該貫入用ピストン30に設けられた高水圧作動バルブ31とからなる試料収納菅の試料キャッチ装置70とを設けて地盤試料採取装置X4を構成している。
【0038】
このように構成された地盤試料採取装置X4は強制圧入のキャッチャーが付いているので試料の落下の心配がない半面、水圧シリンダーがある分、サンプリング孔径が大きくなる。
【0039】
ボーリングロッド1の先端にサンプラーヘッド2を取り付け、これに接続する外管25に水密で摺動する貫入用ピストン30を嵌め込み、このピストンには外管25内径より小さい外径の貫入管3が接続され、この中に環状流路5を形成して径の小さい試料収納管4が挿入された二重管からなり、試料収納管4頂部には潤滑剤の連通孔8が設けられ、貫入管3先端部には外テーパーで試料収納管4内径より僅かに小さいか同径のシュー6が接続され、シュー6の上面と試料収納管4との間には試料収納管4の内径と同径の傾斜スリット加工された短冊状のキャッチャ兼潤滑剤塗布管26が嵌め込まれている。短管の円周上にスリットで試料全周面を覆うように上端部を除き斜めに多数のスリットを入れることで潤滑剤が試料全表面に塗布され、かつキャッチャーの役目も果たすように、下部先端は外テーパーを付け、円周上に数段の溝加工をすることで押込まれるとシュー6の上面の傾斜したリングに刃先が当たり内側に折れ曲がり、シュー6の上面付近の試料に突き刺さり試料の落下を防ぐようになっている。
【0040】
試料収納管4の上端部は貫入管3をシリンダーとするキャッチャ作動用ピストン34に接合され、このピストン14は貫入用ピストン30の下面に接し、シュー6位置にはシュー6内径と同じか僅かに小さい径の固定ピストン14がセットされることで出来た潤滑剤貯蔵スペース18に潤滑剤が封入され、固定ピストン14は、中心にピストン固定ロッド28を有し、このロッドは潤滑剤封入用の導管も兼用し、キャッチャ作動用ピストン34と貫入用ピストン30の中心を水密で摺動可能な状態で貫通してサンプラーヘッド2に結合され、導管はサンプラーヘッド2内を通り端部で注入孔11と吐出孔9に枝分かれし注入バルブ12と吐出圧調整バルブ10に連結しているサンプラーを試料採取深度に降ろし、ロッド1の上下動が無いように地上で固定し、ロッド1に加圧水を注入し外菅取付部材27の泥水導管29を通って貫入用ピストン30とキャッチャ作動用ピストン34が下方に同時に押出されると、試料が試料収納管4内に入り、同時にピストン14が上昇して潤滑剤は加圧される。
【0041】
加圧された潤滑剤がピストント14と試料収納管4の隙間から下方に流出して試料に浸透しないように、かつ潤滑剤が試料収納管4の内壁からすべて除去されることなく薄く皮膜が残る程度にピストン14に装着した間隙調整ユニット15を事前に調節しておく。加圧された潤滑剤は連通孔8を通って、環状流路5内を流下して潤滑剤塗布管7の斜めスリットから試料側面に潤滑剤が塗布され、余った潤滑剤はサンプラーヘッド2部の吐出圧調節バルブ10から排出される。
【0042】
所定長貫入すると、貫入用ピストン30の側面から貫入ストッパー32が外管25下端部に設けられたストッパー孔33に嵌まり、貫入用ピストン30が停止することをトリガーとして、貫入用ピストン30は上下動を停止した状態のままで、その下方にセットしてあるキャッチャー作動用ピストン34が加圧水の注入により下降して、シュー6の上面とキャッチャ兼潤滑剤塗布管26の先端部の接触圧で先端部が内側に曲がり隣接する短冊と重なり合いながら試料端部に突き刺ささり、試料を落下させずに採取できる。
また、貫入抵抗が大きくなり貫入が困難になりそうな時は、サンプラーヘッド2より大きい径で、長さがサンプラー総長より長いコアチューブを、サンプラーヘッド2に装着したロッド1より径の大きい掘管の先端部に接続し、上端部には回転自在で上下動が出来るスイベルにホースを接続し、これらをロッド1とサンプラーにかぶせてホースから泥水を圧送しながらロッド1を回転させずに掘管のみを回転或いは揺動して貫入管3の周辺地盤を掘削して摩擦抵抗を少なくして貫入させ、かつサンプラー引揚時の負圧の発生をなくす。
【実施例6】
【0043】
図25ないし図27の実施例6において、前記実施例1と主に異なる点は、サンプラーヘッド2の中央部を貫通する連結ロッド40に固定されるとともに、該連結ロッド40の上部にスライド移動可能に取付けられた固定ロッド41 を有し、かつロッド1の先端部が取付けられる回転切削菅取付部材35、この回転切削菅取付部材35に上端部が固定され、先端部のビット部37がシュー6の外周部に位置する貫入菅3との間に環状流路5としての隙間を有する回転切削菅36、前記ロッド1から供給される加圧水を前記環状流路5としての隙間に供給する加圧水供給孔29、前記回転切削菅取付部材35の底面に取付けられた前記連結ロッド40の上下移動が可能で、該回転切削菅取付部材35の回転が伝わるのを阻止する連結ロッド支持部材38とからなる貫入菅3の外周部の切削装置39を設けて地盤試料採取装置X5を構成している。
【0044】
このように構成された地盤試料採取装置X5は実施例1,2の静的圧入型に対し,中〜密な砂地盤や小礫混じり地盤を対象とするもので、サンプラー側面を掘削しながら圧入するもので、一般によく用いられているサンプラーを改良したものである。
請求項4に関する実施例で図25ないし図27に示すように、通常のトリプルチューブサンプラーと基本的な相違点は、ピストン14が装着され潤滑剤が封入されていること試料収納管4と貫入管3の間に環状流路5があり、試料収納管4上部の連通孔8を通して潤滑剤が流下でき、試料下部の潤滑剤塗布管7で潤滑剤が試料の側面に塗布され摩擦が低減されること等が主な相違点である。
【0045】
請求項1または2記載の特定サンプラーヘッド2上に回転自在のスラストベアリング38aを設け、その上に軸方向に伸縮するスプリング38bを介して回転切削菅取付部材35を装着し、先端部に回転切削ビット37を有する回転切削菅36を回転切削ビット37に接続し、回転切削ビット37上面中心にはロッド1が接続され、押し圧とトルクを回転切削ビット37に伝達し、かつロッド1を介して圧送される泥水は回転切削ビット37で泥水導管29を通り、回転切削菅36の内面と特定サンプラーの貫入管3との環状隙間に導かれ回転切削ビット部37で噴射され、掘削しながらサンプリングが出来るようになっている。
【0046】
ポリマー濃厚溶液等の潤滑剤はサンプラーヘッド2とスラストベアリング38aやスプリング38bの中心線上を貫通する連結ロッド兼潤滑剤導管40を通り回転切削菅36の注入バルブ12、吐出圧調整バルブ10へ導かれる。
緩〜中位の砂地盤から試料を採取する場合、試料にトルクが働かないように回転切削ビット37は、従来型の全周面に装着するのではなく、3〜5点のみに装着した鋭利な刃先を用いる送泥式回転切削とする。
【実施例7】
【0047】
図28の実施例7において、前記実施例6と主に異なる点は、サンプラーヘッド2側のロッド1の外周部お加圧水が供給される堀菅42で覆うとともに、該堀菅42の下端部にコアチューブヘッド43を固定し、該コアチューブヘッド43に上端部が固定され、ビット37を備えた下端部がシュー6の外周部に位置し、貫入菅3との間に隙間を有するコアチューブ44とからなる貫入菅3の外周部の切削装置切削装置39Aを設けて地盤試料採取装置X6を構成している。
【0048】
このように構成された地盤試料採取装置X6をさらに詳しく説明すると、ロッド1とサンプラー全体に原則非接触で被せるコアチューブ44である。ロッド1の外側には掘管42を被せ、掘管の下端部にはコアチューブヘッド43を接続し、下端にビット37を装着したコアチューブ44を接続する。ロッド1の上端部は図示していないボーリングマシンに接続され上下動が出来るようになっている。ロッド1にはスイベル45と回転用のハンドル47が装着され、スイベル45によってロッド1は上下動のみ伝達され回転は阻止されている。スイベル45の上面には泥水ホース46が接続され、掘管42の上下動のみの泥水掘削あるいは回転・揺動・上下動を併用した泥水掘削を行いサンプラーの貫入抵抗を小さくし、かつサンプラー引抜時に真空圧が発生して地盤を乱すことがないようにしている。
【実施例8】
【0049】
図29および図30の実施例8において、前記実施例7と主に異なる点は、サンプラーヘッド2側のロッド1の外周部を覆う加圧水が供給され、かつ上下移動可能な堀菅42、この堀菅42の下端部に固定された作動杆ヘッド49、この作動杆ヘッド49に上端部が固定され、下端部がシュー6の外周部に位置する、貫入菅3との間に隙間を有する試料収納菅4で収納した試料をキャッチすることができるキャッチャ−作動菅54、前記作動杆ヘッド49の上部位置の堀菅42に固定された切削菅ヘッド48、この切削菅ヘッド48に上端部が固定され、内側面が傾斜面のビットを備えた下端部がシュー6の外周部に位置する切削菅36、前記堀菅42を下方に移動させて作動杆ヘッド49およびキャッチャ−作動菅54を下方に移動させ、該キャッチャ−作動菅54の先端部のビット37の内側面に沿って内側に湾曲させる堀菅下降装置50を設けて地盤試料採取装置X7を構成している。
【0050】
このように構成された地盤試料採取装置X7をさらに詳しく説明すると、特定サンプラーの外周を掘削して貫入抵抗を小さくすることと、強制圧入キャッチャーも装備しているのが特徴である。かつ試料・試料収納管4・貫入管3にトルクが働かないように地上に於いてロッド1で回転を固定しているので品質の低下要因がカットされている。
【0051】
特定サンプラーーヘッド2上の中心にロッド1が接合され、サンプラーヘッド2より径の大きいキャッチャ作動管54は作動管ヘッド49に接合され、その外側を摺動する切削管36、その先端部にはビット37を装着し、キャッチャ作動管54とビットの間には鋸刃状キャッチャー55が下向きにセットされ、ビット37上面の内側下がりの傾斜リング面56に接した状態で切削管が切削管ヘッド48に接合されると作動管ヘッド49上面は切削管ヘッド48の下面に接するようになっている。
【0052】
サンプラーヘッド2上面にはロッド1径に対して切削管36より厚い肉厚で長さがキャッチャー閉塞に必要なストロークで、その先は有孔円錐台状になり先端部はロッド径と同じ径のキャッチャー作動用の有孔円錐台52がサンプラーヘッド2と作動管ヘッド49間のロッド1に装着され、その上端部にはキャッチャー作動管54と切削管36の回転と上下動を固定するピンホールに差し込んだピンを抜き取るためのピン抜きフック51が装着されている。
【0053】
キャッチャー作動管54と切削管36を固定するピンホールにピンを差し込み一体化してピン抜きフックをセットし、貫入管3先端のシューと回転切削ビット37との離間距離を適性に保ちながら、掘管42のみを図示していないボーリングマシンで回転させて泥水掘削し、ロッド1は地上で回転を阻止した状態で同時に地中に圧入する。
【0054】
所定長のサンプリングが出来た時点でロッドの上下動も地上で固定し掘管42のみに押し圧と回転力を作用させて泥水掘削を行うと接合ピンフックは、有孔円錐台の斜面を降下し、ビット37上部の傾斜円錐リングがシュー6と同レベルに達した時点で、固定ピンが引き抜かれ、同時に、作動杆ヘッド49が貫入しないように作動杆ヘッド49に装着した鋼棒からなるスペーサー53が作動管ヘッド49を貫通してサンプラーヘッド2上面に当たると同時に、掘管42の回転を止め、圧入力のみを作用させると貫入管3はロッド1で上下動が固定されているのでシュー6は上下動ができなく、掘管42の押し圧により作動管は下降するので鋸刃キャッチャ55ーは先端部で内側に折り曲げられながらシュー6下方の地盤に貫入して閉塞し、試料の落下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
近年、地盤と基礎の解析が益々高度化してきている半面、液状化や土砂災害など自然リスクがゲリラ豪雨や地震の度に巨大化してきている。このような社会的強い要求に対し旧来の地盤調査法では十分対処できなくなってきた。一方、室内での要素試験技術は長足の進歩を遂げてきたが、それに耐え得る高品質試料の提供が出来ていない。そこで、当該新手法の確実な普及化が望まれる。
【0056】
本発明は地盤試料採取装置を製造する産業およびこれを使用する産業で利用される。
【符号の説明】
【0057】
1:ロッド、 2:サンプラーヘッド、
3:貫入管、 4:試料収納菅、
5:環状流路、 6:シユー、
7:潤滑剤塗布管、 8:連通孔、
8:連通孔、 10:吐出圧調節バルブ、
12:注入バルブ、 13:ピストン固定ワイヤー、
14:ピストン、 15:クッション、
16:圧縮プレート、 17:圧縮ボルトナット、
18:潤滑剤貯蔵スペース、 19:潤滑剤通路、
21:縦スリット、 22:傾斜スリット、
23:弾性ビーム、 24:弾性チューブ、
25:外管、 26:キャッチャ兼潤滑剤塗布管、
27:外菅取付部材、 28:固定ロッド、
29:泥水導管、 30:貫入用ピストン、
31:高水圧作動バルブ、 32:貫入用ストッパー、
33:ストッパー孔、 34:キャッチャー作動用ピストン、
35:回転切削菅取付部材、 36:切削管、
37:回転切削ビット、 38:連結ロッド支持部材、
39、39A:切削装置、 40:連結ロッド兼潤滑剤導管、
41:固定ロッド、 42:掘管、
43:コアチューブヘッド、 44:コアチューブ、
45:スイベル、 46:泥水ホース、
47:ハンドル、 48:切削管ヘッド、
49:作動管ヘッド、 50:堀菅下降装置、
51:ピン抜きフック、 52:有孔円錐台、
53:スペーサー、 54:キャッチャ作動管、
55:鋸刃状キャッチャー、 56:傾斜リング面、
70:試料キャッチ装置、
X、X1〜X7:地盤試料採取装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に穿設したボーリング孔底に試料収納管をその軸方向に降下させて該試料収納管内に地盤試料を採取する地盤試料採取装置において、該地盤試料採取装置をロッドの先端部に取付けられたサンプラーヘッドと、このサンプラーヘッドに上端部が固定あるいはスライド移動可能に取付けられた貫入菅と、この貫入菅の内壁面との間に潤滑剤流路が形成されるように該貫入菅内に挿入された摩擦抵抗の小さい素材あるいは摩擦抵抗の小さいシートを内壁面に貼着あるいはコーティングした採取試料を保護する試料収納菅と、この試料収納菅の下端部に該試料収納菅と同一内径寸法の短菅に短冊上の傾斜潤滑剤流路が形成された潤滑剤塗布菅と、前記貫入菅の下端部に取付けられた前記試料収納菅と同径かあるいはわずかに小さい内径の外テーパを有する該試料収納菅の上部が前記サンプラーヘッドの底面に接触した状態で該試料収納菅と前記潤滑剤塗布菅を固定するシューと、前記試料収納菅内にスライド移動可能に取付けられたピストンと、このピストンと前記サンプラーヘッドとの間の試料収納菅の潤滑剤貯蔵スペースに潤滑剤を供給するとともに、供給された潤滑剤に所定の圧力が加わると外方へ排出する潤滑剤通路と、前記試料収納菅の上部に形成された前記潤滑剤貯蔵スペースの潤滑剤を前記潤滑剤流路へ供給する連通孔とで構成したことを特徴とする地盤試料採取装置。
【請求項2】
試料収納菅は該試料収納菅の軸方向の全長あるいは下端部を除く部位に少なくとも1個以上の縦スリットを形成し、その外周を複数個の弾性ビームで支持したり、縦スリットをテーピングしたり、複数個の弾性チューブで支持したものを使用していることを特徴とする請求項1記載の地盤試料採取装置。
【請求項3】
ピストンはサンプラーヘッドの中央部をスライド移動するピストン固定ロッドに固定されるとともに、該ピストン固定ロッドの上端部は底面に取付けられ、かつ上面にロッドの先端部が取付けられた外菅取付部材、この外菅取付部材に上端部が固定され、先端部を除く貫入菅を内部に収納する外菅、前記外菅取付部材とサンプラーヘッドとの間の外菅内に設けられた貫入用ピストン、この貫入用ピストンと前記外菅取付部材との間の加圧水室に加圧水を供給する加圧水供給路、前記外菅の下部寄りの部位に形成したストッパー孔と係合する前記貫入用ピストンに設けられた貫入用ストッパー、この貫入用ストッパーが前記ストッパー孔に係合すると前記貫入用ピストンと前記サンプラーヘッドとの間の下部加圧水室に加圧水を流入させ、該サンプラーヘッドを下方へ移動させて潤滑剤塗布菅の先端部をシューによって内側へ湾曲させる該貫入用ピストンに設けられた高水圧作動バルブとからなる試料収納菅の試料キャッチ装置とを設けたことを特徴とする請求項1記載の地盤試料採取装置。
【請求項4】
サンプラーヘッドの中央部を貫通する連結ロッドに固定されるとともに、該連結ロッドの上部にスライド移動可能に取付けられた固定ロッドを有し、かつロッドの先端部が取付けられる回転切削菅取付部材、この回転切削菅取付部材に上端部が固定され、先端部のビット部がシューの外周部に位置する貫入菅との間に隙間を有する回転切削菅、前記ロッドから供給される加圧水を前記隙間に供給する加圧水供給孔、前記回転切削菅取付部材の底面に取付けられた前記連結ロッドの上下移動が可能で、該回転切削菅取付部材の回転が伝わるのを阻止する連結ロッド支持部材とからなる貫入菅の外周部の切削装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の地盤試料採取装置。
【請求項5】
サンプラーヘッド側のロッドの外周部お加圧水が供給される堀菅で覆うとともに、該堀菅の下端部にコアチューブヘッドを固定し、該コアチューブヘッドに上端部が固定され、ビットを備えた下端部がシューの外周部に位置し、貫入菅との間に隙間を有するコアチューブとからなる貫入菅の外周部の切削装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の地盤試料採取装置。
【請求項6】
サンプラーヘッド側のロッドの外周部を覆う加圧水が供給され、かつ上下移動可能な堀菅、この堀菅の下端部に固定された作動杆ヘッド、この作動杆ヘッドに上端部が固定され、下端部がシューの外周部に位置する、貫入菅との間に隙間を有する試料収納菅で収納した試料をキャッチすることができるキャッチャ−作動菅、前記作動杆ヘッドの上部位置の堀菅に固定された切削菅ヘッド、この切削菅ヘッドに上端部が固定され、内側面が傾斜面のビットを備えた下端部がシューの外周部に位置する切削菅、前記堀菅を下方に移動させて作動杆ヘッドおよびキャッチャ−作動菅を下方に移動させ、該キャッチャ−作動菅の先端部のビットの内側面に沿って内側に湾曲させる堀菅下降装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の地盤試料採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−14960(P2013−14960A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149086(P2011−149086)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506332605)基礎地盤コンサルタンツ株式会社 (12)
【出願人】(598085906)株式会社立川機械製作所 (2)
【Fターム(参考)】