地震センサ較正方法及び装置
【課題】地震測定の精度を改善するために、在来のジオフォン較正技術に改良を加える。
【解決手段】地震信号検出に使用するために構成され又は設計された地震センサを較正するための方法及び装置。本発明の実施形態によれば、電流を地震センサの可動コイルに注入し、電圧を可動コイルの両端で測定する。可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、可動コイルを注入電流によって固定する。
【解決手段】地震信号検出に使用するために構成され又は設計された地震センサを較正するための方法及び装置。本発明の実施形態によれば、電流を地震センサの可動コイルに注入し、電圧を可動コイルの両端で測定する。可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、可動コイルを注入電流によって固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正確な地震測定を行うための技術に関し、特に、地震センサの可動コイルに特定量の電流を印加することによって地震センサのノイズを較正し、かつ除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
ここに示した技術は、可動コイルを中心位置で磁界中に設置し、ジオフォン及び地震計を含む、電気力学的検知装置のような、地層の振動を検知するための装置に関する。本開示は、検知作業、伝送作業のいずれにおいても、他のタイプの振動変換器に適用することができる。
【0003】
地震測定及び/又は地震モニタリングは、センサによって別々の場所で検知される、地震エネルギー源から生じる地中の振動を検出する。或る適用では、センサの出力を使用して、地下の層構造を決定する。地震エネルギー源は、地震その他の地殻変動、沈下、火山活動等のような自然なものである場合もあり、地表作業若しくは地下作業、又は地表若しくは地下での地震源の計画的作業による音響信号のような人工のものである場合もある。例えば、検知された地震信号は、フラクチャリング又は貯留層崩壊又は変性によって引き起こされる微小地震から得られた直接信号であるかもしれいないし、或いは、人工エネルギー源から得られた反射信号であるかもしれない。
【0004】
センサは、2つの主な範疇、即ち、地震源から生じる圧力場を検知するハイドロフォン、又は、地震源から生じる粒子運動を検知するジオフォンに分類される。
【0005】
大地が、地震源から直接、又は地下反射物を介して伝搬する地震エネルギーにより移動するとき、大地の表面に、又は大地を貫くボーリング穴の壁に配置すことができるジオフォンは、(P波の例では)エネルギーの伝搬方向に移動する。しかし、ジオフォンの軸線が運動方向と整列されれば、ジオフォンの内側のスプリングに取り付けられた可動コイルは、同じ位置にとどまり、ハウジングに対してコイルの相対運動を引き起こす。可動コイルが磁界内で運動するとき、信号として出力することができる電圧が可動コイルに誘導される。ジオフォンの応答は周波数依存である。
【0006】
ジオフォンの正しい作業操作を確保するために、典型的には、ジオフォンは、製造後定期的に、及び/又は各使用前に、工場で較正される。これには、ジオフォンの製造業者及び販売者は、一般に、ジオフォンユニットが購買者に販売される前に、製造業者及び販売者のジオフォンに対して如何なる較正も実施しない。むしろ、製造者は、ジオフォンユニットの応答が室温のような特定の温度で特定の公差範囲内にあるという保証を出す。しかし、かかる公差の保証は、ジオフォンユニットの正しい較正の代わりにはならない。したがって、ジオフォンユニットの多くの購買者は、かかるユニットを野外で展開する前又は野外での使用中、購買者のジオフォンユニットについて購買者自身の較正試験を実行する。
【0007】
しかし、在来のジオフォンの較正試験は、典型的には、今日の地震測定作業の多くに要求されるジオフォン測定の所望精度を保証するには、しばしば不十分である。可動コイルのDC抵抗(DCR)を測定するある較正技術では、電流が可動コイルに注入され、抵抗が、可動コイルの両端に現れる電圧から決定される。しかし、可動コイルはまたジオフォンの振動に敏感であるから、DCRの測定精度は環境ノイズに依存する。ジオフォンの感度が高ければ、測定されるノイズが大きく、DCR測定の精度が低下する。そのうえ、DCRが、ジオフォンのパラメータを計算するための基本的な値であるから、DCR値の不正確さは、感度及び減衰要因のような、地震センサの他のパラメータに影響する。
【0008】
したがって、地震測定の精度を改善するために、在来のジオフォン較正技術に改良を加える要請が存在することが認識されるであろう。
【0009】
先に気づいた在来の地震センサの制限は網羅的なものではなく、むしろ、既知の地震センサの較正技術の有効性を減ずるかもしれない多くの中のものである。しかし、上記は、過去に存在する地震センサ技術が、相当な改善を認めることを立証するのに十分でなければならない。
【0010】
ここに説明した実施形態は、ジオフォン及び地震計のような、地震センサ用の方法及び装置を提供する。本開示の原理は、周囲の振動ノイズのような環境ノイズによるDCR測定の誤差、DCオフセット及びDCドリフトのような内部回路による誤差、ペルチェ効果及び電気信号ノイズによる外部誤差、及び、測定回路での熱発生のようなシステムによる誤差を修正するための技術に関する。特に、本開示のいくつかの実施形態は、DCR測定を改善し、環境ノイズによる誤差を減じ地震センサを較正するための方法及び装置を提供する。ここでの他の実施形態は、DCRについて熱発生効果を補償することに関する。本開示の更なる実施形態は、一つ又はそれ以上のデジタル信号処理装置を含む地震センサを較正するための装置を提供する。また更なる実施形態は、測定データをノイズの周波数の周期に亘って平均することによって、測定電圧データ中の電気的主ノイズを抑制するための技術に関する。
【0011】
通常、地震センサの可動コイルのDCRは、マルチメータ、オームメータ又は抵抗計を使用することによって測定される。かかる測定機器は、電流を抵抗部品に注入して、抵抗部品の両端の電圧を読み取る。機器は、電圧及び電流に関する抵抗の量を表示し、又は出力する。しかし、注入された電流の量は、測定機器に依存するから、ユーザは、どのくらいの電流が注入されたのか分からない。ジオフォンコイル抵抗の場合には、可動コイルは、未知の量だけ注入された電流によって部分的に浮揚され、可動コイルはまた、振動環境ノイズに応答する。データを平均する測定時間が、環境ノイズの周期と比較して十分に長くなければ、測定は反復できない。例えば、固有周波数が1Hzであれば、0.5秒の測定時間は、約1Hzの環境ノイズを平均するのに十分ではない。
【0012】
測定電子機器は、DCRを決定する際に誤差を引き起こすDCオフセット又はDCドリフトを有するかも知れない。しばしば、ある測定機器は、他の測定機器と異なる抵抗値を示す。その原因は、部分的に測定機器の不正確によるかもしれないが、ペルチェ効果の差、いくらかの帯電効果、即ち、ダイオード効果のような、外部要因による場合もあり、特に、金属腐食による場合もある。したがって、抵抗測定は、かかる外部要因に依存して、時間によって時々変化する。
【0013】
本出願人は、所定の電流を地震センサに印加することによって、地震センサの可動コイルを固定し、地震センサを取り囲む環境中の振動による望ましくないノイズを最小にし、又は除去することができることを認識した。本出願人は、可動コイルを固定するために注入した電流が熱を発生させ、かかる熱の発生がDCRに影響することがあることを更に認識した。本出願人は、かかる熱の発生は、DCR測定の所望の精度に基づいて補償すべきであることが望ましいことを更に認識した。本出願人はまた、電気的ノイズが、測定される電気信号の中で支配的であり、測定の誤差を除去するために抑制されるべきであることを認識した。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、地震センサを較正する方法が、電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の電圧を測定し、かつ、可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように可動コイルを固定することを有する。本開示の一つの可能な実施形態では、可動コイルのDCRが決定される。ここに、ある側面では、ここでは、方法は、時間のたつにつれてDCRの変化を連続的に測定することによって、地震センサの可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態における本開示は、異なる電流を地震センサの可動コイルに注入することによって、ペルチェ効果、DCオフセット及びDCドリフトのうちの一つ又はそれ以上を相殺することに備える。電流の極性を反転させてもよく、反転した極性を有する電流を地震センサの可動コイルに注入してもよい。
【0016】
ここに、ある側面では、地震センサのDCRを測定する方法は、第1電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の第1電流を測定し、第1電流と異なる第2電流を可動コイルに注入し、可動コイルの両端の第2電圧を測定し、可動コイルの第1電圧及び可動コイルの第2電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように可動コイルを固定し、かつ、可動コイルの両端の第1電圧及び第2電圧に基づいて可動コイルのDCRを決定することを含む。
【0017】
本開示のある実施形態では、可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定される。
ここに、rは、可動コイルのDCRであり、Rは、直流抵抗であり、E01及びE02は、それぞれ異なる量の電流I1及びI2での供給電圧であり、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる量の電流I1及びI2での可動コイル電圧である。本開示の他の側面では、第2の異なる電流を地震センサの可動コイルに注入し、地震センサの両端の第2電圧を測定し、可動コイルのDCRを決定することを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態では、地震センサを較正するためのシステムは、電圧を地震センサの可動コイルの両端に印加するための電源と、可動コイルの両端の電圧を測定するための測定装置と、地震センサと通信するデジタル信号処理装置と、処理装置によって実行でき、実行されたときに、電圧を地震センサに印加し、可動コイルが固定されているか否かを決定する、一組の命令と、を含む、そのシステムは、可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減ずるように構成され、又は設計される。そのシステムは、可動コイルが固定された後、可動コイルの両端の電圧を表示するための、測定装置に通信可能に結合されたインタフェースを更に含む。
【0019】
本開示の更に別の側面では、電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の電圧を測定し、測定データをノイズ周波数の周期に亘って平均することによって、測定電圧データ中の電気的主ノイズを抑制することを含む。本開示のある実施形態では、測定データは、ノイズ周波数のn周期に亘って平均され、ここに、nは整数である。別の実施形態では、電気的主ノイズは、50Hz又は60Hzの電気的主ノイズからなり、測定データは、100ms周期、又は100msのあらゆる倍数に亘って平均される。
【0020】
更なる利点及び新規な特徴が、以下の説明に記載され、或いは、ここに資料を読み、又は、ここに記載された原理を実施することにより、当業者によって学習される。ここに説明した利点のいくつかを、添付の特許請求の範囲に記載された手段によって達成することができる。
【0021】
添付の図面は、ある実施形態を示し、明細書の一部である。以下の説明と共に、図面は、本発明の原理のいくつかを示しかつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】在来のジオフォン地震センサの斜視図である。
【図2A】在来のジオフォンDCR測定器及びステップテストに含まれた回路の斜視図である。
【図2B】ジオフォンステップテストに入力されたステップ信号に対応するジオフォンのステップ応答のグラフ表示である。
【図3】ステップテスト中の在来のDCR測定技術で支配的なノイズを示す。
【図4】ジオフォンコイルDCR測定を温度の関数として示すグラフである。
【図5】ジオフォン応答パラメータ、固有振動数f0、開放回路減衰D0及び開放回路感度S0を温度の関数として示すグラフである。
【図6】本開示の原理に従う一つの実施形態の回路図に沿ったジオフォンの概略図である。
【図7】ここに提案したような一つの可能なDCR測定における改善されたノイズ結果を示す。
【図8A】可動コイルに接続されたバッテリとしてモデル化されたジオフォンにおけるペルチェ効果を示す回路図である。
【図8B】計器接続でのペルチェ効果、計器の電気回路中のDCドリフト及びDCオフセットでのを示す別の回路図である。
【図9】電流注入、及び地震センサの可動コイルから環境温度への熱対流による熱散逸を示すブロック図である。
【図10A】時間のたつにつれて電流の注入による、地震センサの可動コイルの温度変化を示すグラフである。
【図10B】熱の発生によるDCRの初期段階変化のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11A】一つの例示的な既知のフィルタリング技術を示す。
【図11B】図11Aのフィルタリング技術の周波数応答(左)及び時間応答(右)を示す。
【図11C】本開示による平均する技術の効果を示す。
【図11D】本開示の一つの実施形態による50Hzノイズと60Hzノイズの両方についてのノイズの減少を示す。
【図12】地表に展開される地震センサを較正するための陸上地震操作における応用を示す。
【図13】本開示によるシステムブロック図を示す。
【図14A】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【図14B】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【図14C】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を通して、同一の参照番号及び記載は同一のものを示すが、必ずしも同一の要素ではない。ここに開示した原理は、種々の変更及び変形形態を受けやすいけれども、特定の実施形態が、図面中に例によって示され、かつここに詳細に説明される。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲に入る全ての変更、均等及び変形例を含む。
【0024】
本発明の例示の実施形態及び側面を以下に説明する。あらゆるかかる実際の実施形態の開発においては、ある実行と別の実行との間を変動するであろう、システム関連の制約及びビジネス関連の制約の遵守のような、開発者の特定の目的を達するため、多くの実行−特定の決定が行われなければならないことがことが当然認識されるであろう。そのうえ、かかる開発努力は、複雑でありかつ時間浪費であるが、それにも拘わらず、この開示の利益を有する当業者にとっては、日常の企てであることが認識されるであろう。
【0025】
明細書全体に亘る、「一つの実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一つの側面」、「側面」又は「いくつかの側面」の言及は、実施形態又は側面と関連して説明される特定の特徴、構造、方法又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。かくして、明細書の全体に亘る「一つの実施形態では」「実施形態では」「いくつかの実施形態では」という種々の句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及していない。「含む」及び「有する」の語は、「含む」の語と同じ意味を有する。
【0026】
そのうえ、発明の側面は、開示された単一の実施形態の全てより少ない特性にある。かくして、これによって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明へ明白に組み込まれ、各特許請求の範囲は、この発明の別々の実施形態として独立している。
【0027】
今、図面に目を向けると、ここでは、同一符号は、同一部品を示し、ここでの開示は、地震信号検出を容易にしかつ改善するのに利用される種々の技術の概念に向けられる。本開示は、地震探査の分野、又は地下の貯留層の能動的又は受動的監視の分野で利用される、ジオフォン又は地震計のような、電気力学タイプのセンサへの開示技術の適用性を考える。この出願で使用されたように、「ジオフォン」の用語は、図1に示したような在来型のジオフォン、及び、地震計型電気力学センサのような超低周波ジオフォン、並びに、例えば、在来型のジオフォンよりも比較的広い加速度範囲を測定するように構成され、又は設計されるシュルムベルガー社製のジオフォン加速度計(GAC)センサを含むものである。
【0028】
センサは、垂直方向に関して逸脱される探鉱井及び/又は産出井内で展開され、三つの直交軸に沿って受信される信号成分を検出するための多成分ジオフォンを含む。本開示による側面では、地震センサを、ワイヤライン、陸上地震、海底地震、常置又はその他モニタリング、ハイドロフラクチャモニタリング、特に地震モニタリング用システムを含む産出検層、水及びCO2貯留層についての長期モニタリング、核実験モニタリング、及び、地震データの正確かつ効率的な獲得を必要とする同様な活動に利用することができる。
【0029】
本開示のいくつかの原理はまた、別途出願中の、共通に所有した、「温度保証の温度測定のための方法及び装置」と題した米国特許出願第12/365,889号に記載され、その結果、その全内容はここに援用される。
【0030】
以下により詳細に説明するように、本開示は、地震センサの較正の間、環境内で支配的であるノイズ、即ち、可動コイル地震センサのDCRのような決定されたパラメータ値を歪めようとする環境ノイズの影響を減じ又は除去することによって、地震信号検出を容易にしかつ改善するために使用される種々の技術を提供する。ここに開示された技術は、工場試験及び較正のために、地震センサの製造中又は製造後、研究所又は試験施設で、野外で、及び/又は地震センサの展開後に、使用することができる。
【0031】
本開示は、適当な量の電流の注入により、地震センサの可動コイルを固定することによって、地震信号測定中の環境ノイズ効果を減じ又は除去する技術を提案する。そのうえ、本開示は、可動コイルへの電流の注入により引き起こされる加熱効果を補償する技術を提案する。さらに、本開示は、地震信号測定に誤差を導入する、ペルチェ効果、DCドリフト及び/又はDCオフセットのような、他の外部因子に取り組む。電気ノイズを抑制するための技術を本開示で論じる。
【0032】
この出願に記載された種々の技術及び特徴のより良い理解を得るために、今、ジオフォン測定技術の簡単な説明をする。地震調査では、地球を伝搬する地震波を測定して地中の構造的なイメージを描く。ジオフォンは、例えば、ダウンホールのような様々な場所で、地表面で、及び/又は海底で、地震信号を検出するのに用いられる。在来のジオフォンの例を図1に示す。
【0033】
図1のジオフォン10は、ボビンに取り付けられた可動コイル12と、磁石15と、サスペンションスプリング付きの一対のポールピース16と、ハウジング14と、を含む。ポールピース16及びハウジング14は、透磁性材料で作られ、可動コイル12が懸架される磁界を形成する。図1の例では、ボビンに取り付けられた可動コイル12、及びサスペンションスプリング20は、ジオフォンの実効可動質量mを集合的に形成する。
【0034】
可動コイル12は、図1に示すように、一対のスプリング20によって磁界中に懸架される。スプリングは、コイルの半径方向移動を制御し、かつ質量−スプリング系についての所望の固有振動数を提供するように設計される。ジオフォンのハウジングが外部の振動に応答して動かされる間、可動コイルは同じ位置にとどまろうとする。(磁束界で)ハウジングに対する可動コイルの運動により、可動コイルに磁石が取り付けられたハウジングに対する可動コイルの速度に比例する電気信号を発生させる。
【0035】
上述したように、ジオフォンの較正は、地震センサの可動コイルのDCRの測定を含む。図2Aに示すように、DC電圧が抵抗を介して可動コイルに印加され、可動コイルの両端の電圧が測定される。この例示的な実施形態では、E0は供給電圧であり、ECはコイル電圧であり、Rは直列抵抗であり、rは可動コイルのDCRである。
【0036】
DC電圧が可動コイルの両端に印加されるとき、可動コイルは持ち上げられ、可動コイルは、固有振動を経験する。図2Bに示すように、固有振動の持続時間及び時間を、固有振動が臨界的に減衰されるように、Rを調節することによって最小にすることができる。
【0037】
ジオフォン応答パラメータは、DCが除去された後、可動コイルの固有振動から較正される。零点交差(zero crossing)から、固有振動数が計算され、固有振動数の減衰から、減衰が計算される。感度は、印加された初期電圧及び応答の大きさから計算される。
【0038】
図3は、電流注入によるコイル運動が収まった後の可動コイルの電圧を示し、すなわち、可動コイルは環境ノイズにも応答していることを示す。sを測定された信号とする。可動コイルの電圧は、信号sの平均である。その信号は、コイル電圧の決定を悪化又は劣化させるノイズを含む。測定された信号sから、可動コイルの電圧Ec及びノイズ電圧Enを以下のように計算することができる。
Ec=平均(s)=0.0484V
En=rms(s−Ec)=0.0029V
次いで、信号対ノイズ比、即ち、SNRは、
SNR=20・Log(Ec/En)=24dB
のように計算される。
【0039】
上記のデータから明なように、SNRは、測定された信号中に、一部が環境ノイズにより引き起こされる過大なノイズがあることを示す。環境ノイズによるDCR測定の低下に加えて、出願人は、地震センサの応答パラメータが、作動温度の関数であることに気づいた。DCRはまた、温度依存である。したがって、本開示は、可動コイルを止めるために注入された電流により発生するに違いない熱を補償する技術を含む。かかる熱の発生は、DCRに影響することがあるから、発生した熱がDCR測定の所望精度に基づいて補償されることが望ましい。
【0040】
図4は、温度の関数として測定されたジオフォンのDCRを示す。温度計がジオフォンのハウジングに取り付けられ、ジオフォンが一定温度のオーブン内に入れられた間にDCRが測定された。オーブン内の温度は、室温からより高い温度に変えられ、次いで、冷却された。その工程を2回繰り返した。測定毎に、温度が安定した後、抵抗を測定した。上昇温度サイクル及び冷却サイクルには或るヒステリシスがある。これは、ジオフォンの可動コイルが、ハウジングの温度に急速に応答しないからである。ジオフォンが一定温度で長時間オーブン内に入れられるならば、その不一致は減らされるかもしれない。図4中の実線は、工業規格によって定義されたように、温度係数0.00393℃を使用することによってシミュレートされたマグネット磁性ワイヤの抵抗である。
【0041】
マグネットワイヤ片の抵抗は、
r(T)=r(20){1+0.00393(T−20)} ・・・式1
と表される。
20℃での抵抗を知り、ジオフォンが使用される温度での抵抗を測定することによって、マグネットワイヤの温度が
T=(1/0.00393){(r(T)/r(20))−1}+20・・・式2
として見出される。
【0042】
ジオフォンの応答はジオフォンの温度と関係付けられることに気づく。図5は、温度の関数としてのジオフォン応答パラメータ、即ち、固有振動数f0、開放回路減衰D0及び開放回路感度S0の比較を示す。左プロットは、ハウジング温度に対してプロットされたジオフォンパラメータの結果を示し、右プロットは、可動コイルから計算された温度に対してプロットされたジオフォンパラメータの結果を示す。図5から明らかなように、可動コイルから得られた温度は、ジオフォンハウジングから得られた温度よりも、ジオフォンパラメータとより良く一致することを示す。これは、可動コイルの温度が、ハウジング温度が表すよりも、より良くジオフォン応答を表すことを示す。右プロットから、ジオフォン応答は、温度の関数として、
f0=f0(20)×(1.361×10-7ΔT2−9.627×10-5ΔT+1)
D0=D0×(3.395×10-2ΔT2−2.467×10-3ΔT+1)
S0=S0(20)×(−4.921×10-7ΔT2−3.116×10-4ΔT+1)
ここで、摂氏でΔT=T−20である、と決定される。
かくして、ジオフォン応答パラメータを、可動コイルのDCRによって決定された温度から見積もることができる。
【0043】
上記のタイプの欠陥に取り組むために、本出願人は、地震センサの較正の劣化を減じ又は除去するための新規かつ効率的な技術を提案する。本開示の一つの側面では、図6の例示的な実施形態で示すように、地震センサの可動コイルがセンサハウジングの底部又は頂部に押しつけられるように、所定の電圧が地震センサに印加される。図6から明らかなように、可動コイルは、ハウジング底部に固定されて環境ノイズに鈍感であるように、ハウジング底部に押しつけられる。
【0044】
図6の技術では、注入された電流が大きければ、電流は熱、即ち、自己加熱効果を引き出し、可動コイルの温度が上昇する。可動コイルに注入される電流が大きすぎれば、コイルは焼けるかもしれない。したがって、可動コイルが地震センサハウジングの頂部又は底部に押しつけられるように、かつ、地震センサハウジングの頂部又は底部に固定することによって、可動コイルが環境ノイズに不感になるが、可動コイルの温度に悪影響を及ぼさないように、注入電流の量を最適にすることが望ましい。
【0045】
電流によって引き出された力は、S0×Iであり、可動コイルの変位によって引き出されるスプリング力、及び(垂直に配置されたジオフォン)可動質量mに作用する重力と釣り合っている。圧縮応力が与えられておらず、かつ垂直に配置されたスプリングを有するジオフォンについては、
kx±mg=S0I ・・・式3
である。
ここに、「+」記号は、重力加速度「g」に抗ってコイルをハウジングの頂部へ持ち上げることを示す。
質量及びスプリング系の固有角振動数が
k/m=ω02 ・・・式4
であるから、可動質量を可動空間の上部か底部のいずれかへ範囲させるのに必要とされる電圧は、次のようである。
Ec=(mr/S0)(x0ω02±g) ・・・式5
ここに、x0は、中心位置から最大位置までの距離であり、「+」記号は、可動コイルをハウジングの頂部に持ち上げることである。
水平に配置されたジオフォン、又は、予応力をかけたスプリングを有する垂直ジオフォンについては、重力項が落とされる。
【0046】
ジオフォンについて次のパラメータを仮定する。
F0=18Hz
S0=78V/(m/s)
m=3.14gm
r=1500オーム
x0=1.5mm
可動コイルを頂部の位置まで持ち上げるのに要求される電圧は、1.75Vである。電力がP=I2rであるから、2mWが熱として散逸される。
【0047】
銅コイルの比熱は380J/(kg℃)である。1.75Vがt=1秒間コイルに印加されれば、銅コイルの温度は、
ΔT=(Pt)/(mc)=(0.002(W)×1(s))/(0.00314(kg)×380(J/(kg・°K)))=0.002°K ・・・式6
だけ上昇する。
これはとても小さく、測定時間が短く保たれる限り、DCR測定に影響を及ぼさないであろう。
【0048】
本開示は、可動コイルが加熱されないが、電圧が、可動コイルを最大固定位置に変位させるのに十分高いように、適当な電圧を印加することを想像する。実際の電圧は、コイルが限度まで押され、環境振動に応答しないことを確かめるように、式5によって得られた最小電圧の2倍であるのがよい。所定の電圧は、ジオフォンパラメータの公差、及び環境ノイズの量に応じて設定されるのがよい。
【0049】
図7は、コイルをキャップに固定することによって、環境ノイズが無く、電気ノイズだけが観測される場合を示す。この測定では、
Ec=平均(s)=1.8729V
En=rms(s−Ec)=0.0016V
SNR=20・Log(Ec/En)=56dB
である。
上記SNR=56dBは、上述したように、可動コイルを固定することなく生じたSNR=24dBとうまく比較する。明らかなように、信号対ノイズ比は、32dBだけ改善される。
【0050】
この実施例では、測定装置に、ペルチェ効果及びDCオフセット又はDCドリフトがあるかどうかを見るために、電源電圧の極性を反転させる。地震センサは、異なる金属の電気接点を有する。また、ジオフォンは、電子機器に接続され、接続線は、プリント回路基板上のピンに異なる金属で半田付けされる。種々の接点の温度は、必ずしも同じ必要はなく、測定可能な温度差がある。かかる金属接点及び温度の変化の下では、測定に追加の電圧を引き起こす種々のペルチェ効果があるかもしれない。そのうえ、電子機器は、或る程度までDCドリフトを有するかも知れない。かかるペルチェ効果及びDCドリフト及びDCオフセットは、DCR測定に測定可能な誤差を引き起こす。
【0051】
ジオフォンでのペルチェ効果は、図8Aに示すように、可動コイルに接続されたバッテリとしてモデル化される。図8Bの回路はまた、測定回路内のジオフォンの外側のペルチェ効果、及びDCドリフト及びオフセットを示す。いずれの場合も、電圧誤差Erは、
Ec=Ir+Er ・・・式7
と表される。
ペルチェ効果及びDCドリフト又はオフセット誤差は、注入電流の極性を反転させるような2つの異なる電流を印加することによって相殺される。
【0052】
上述したように、一般的に、DC誤差は、異なる電流量I1及びI2を印加することによって相殺することができる。
Ec1=I1r+Er ・・・式8
Ec2=I2r+Er ・・・式9
式9から式8を引くと、
r=(Ec2−Ec1)/(I2−I1) ・・・式10
が生じる。
電流は、E0及びEcを測定することによって決定することができる。
I1=(E01−Ec1)/R ・・・式11
I2=(E02−Ec2)/R ・・・式12
式11及び式12を使用することによって、式10を、
r=R/{(E02−E01)/(Ec2−Ec1)−1} ・・・式13
と書き直すことができる。
反転極性は、電圧を変える特別な場合であり、式13は、電圧を変えるいかなる場合にも適用可能である。
【0053】
先の議論では、電流注入による熱は小さいことが示唆された。しかし、測定時間が長いことを必要とするときの様な場合に、熱を補償することが望ましければ、及び/又は、大きな質量を有する可動コイルを浮揚させるために大きな量の電流を注入する必要があるならば、以下に説明するように補償を行うのがよい。
【0054】
図9は、電流の注入、及び可動コイルから周囲温度への熱対流による熱散逸を示す。熱が可動コイルに蓄積されるとき、温度は、いずれ直線的に上昇する。次いで、熱は、加熱コイルの他の材料に、空気に、ポールピースに、磁石に、ついにはジオフォンのハウジングに伝導される。一旦、伝導がハウジングに達すると、ハウジング温度が上昇し、ジオフォンの近くの空気中で対流効果が開始し、ハウジング温度はいずれ定常状態に達する。温度勾配が大きければ、ジオフォン内の空気中に対流が起こり、しかし、このような結果は、例えば、0.1mm程度の、地震センサのハウジング内に典型的に存在する小さな隙間では起こりそうもない。図10Aは、コイルの上記温度変化を示す。
【0055】
式6から、初期段階での温度の上昇は、可動コイルに印加された電力P(電流かける電圧)によって、
T−T0=(P/(mc))t ・・・式14
と見積もられる。
可動コイルのDCRはまた、温度変化に従って変化する。
r=r0{1+α(T−T0)} ・・・式15
ここに、αは、マグネットワイヤの温度係数であり、銅では0.00393に等しい。
【0056】
図10Bは、DCR変化の初期段階のシミュレート結果を示す。温度上昇は小さく、かつ、伝導及び対流熱移動は未だ開始されていないと仮定することができる。ジオフォンパラメータは、
f0=20Hz、
S0=25V/(m/s)、
m=20gm、
r=1500オーム、
x0=2mm
と仮定される。
スプリングは、プレストレスを有さず、ジオフォンは垂直に位置決めされる。可動コイルは、ジオフォンの頂部に固定される。ノイズを表すために乱数が加えられる。電流注入後、可動コイルの両端の電圧は20秒間連続的に記録され、DCRは、印加電圧E0及びコイル電圧Ecから計算される。
【0057】
初期温度T0での抵抗を以下のように求める。第一に、ジオフォンを一定温度に曝し、定常状態を確立する。電流を注入することなく、ジオフォンハウジングに温度センサを置くことによって、初期温度T0を測定し、そのために、ハウジング温度は、可動コイルの初期の温度を表す。次いで、必要な電流を注入し、図10Bに示すように、DCRを連続的に記録する。T0でのDCRは、DCRの時間記録を補間することによって、t=0で評価する。
【0058】
図11A〜図11Dは、本開示に従って電気的ノイズを抑制するための技術を示す。上記のように、環境ノイズを、電流を地震センサの可動コイルに印加して可動コイルを固定することによって抑制し又は制御することができる。しかし、上記のノイズに加えて、信号E0及び信号Ecに支配的な電気ノイズがある。図11A参照。電気的ノイズを抑制する一つの方法は、図11Aに示すように、ローパスフィルタを適用することである。ノイズは、50Hz又は60Hzが主たるノイズであることがある。かかるノイズを除去するために、ローパスフィルタのカットオフ周波数を、例えば、5Hzに設定するのがよい。
【0059】
図11Bの左側のグラフは、図11Aに示した回路の1次フィルタ応答を示す。そのフィルタは、50Hzを20dBだけ減衰させる。フィルタの応答のステップが、図11Bの右側グラフに示される。電圧が1%以内の誤差に落ち着くまでに約150msかかる。しかしながら、フィルタを適用することは、電圧測定に誤差を引き起こすことに気づく、測定誤差が小さくなるまで待つ必要がある。これにおいて、要求される待ち時間は、測定の精度に依存する。
【0060】
50Hz又は60Hzの主たる電気的ノイズは正弦曲線であるから、かかる電気的ノイズも、ノイズの周期又は「n」周期に亘ってデータを平均することによって除去することができる。これにおいて、正確な周期に亘る正弦曲線ノイズの平均はゼロであることに気づく。図11Cは、正弦曲線の平均を示す。図11Cの実曲線は50Hzノイズであり、点線は時間ゼロからの平均である。時間が各周期を通過するとき、平均はゼロになることが分かる。50Hzノイズについて、平均の最小の長さは、たった20msである。
【0061】
AC電源の周波数は、場所に応じて50Hz又は60Hzである場合があることも注目される。50Hz及び60Hzの最小公倍数、即ち、100msを使用することが可能である。平均が100ms又は100msのあらゆる倍数を超える限り、結果には、50Hz又は60Hzの電気的ノイズのいかなる影響もない。図11D参照。
【0062】
図12は、本開示で論じた原理に関する一つの可能な作業内容を示す。図12は、振動機206が、大地に浸透して地下構造から地表に反射される地震信号を発生させる陸上地震作業を示す。振動機206は、連続的な信号は発生し、地震データは、ジオフォン202及び装置214によって連続的に獲得される。しかし、ほとんどの地震エネルギーは地中へ向かい、エネルギーの大部分は表面波として地表を伝搬する。これはグランドロール(ground roll)として知られ、それは、表面波ノイズの大部分である。
【0063】
陸上地震作業では、新しい獲得領域は、ジオフォン及び関連した装置を、獲得を済ませた領域から新しい領域に移動させることによって確立される。新しい獲得領域をつくる間、ジオフォン及び装置は、新しい領域で地震データ獲得を開始する前に、テストされなければならい。ジオフォン及び装置はトラックを使用して運ばれ、しばしば、ジオフォンは、較正測定を低下又は劣化させる近くの地面横揺れ及びトラックによる環境ノイズで較正される。例えば図12の例示的な内容に示した本開示の原理は、油田地震探査におけるかかる要請及び要求に取り組むための新規かつ効果的な機構を提供する。
【0064】
図13は、本開示の原理に従ってDCRを決定するためのシステムの一実施形態を示す。図13に示すように、ジオフォンは、システムに接続される。f0,D0,S0,r及びmのような、公称ジオフォンパラメータの入力が、システムに対して行われる。デジタルシグナルプロセッサ(DSP)又は演算処理装置(CPU)は、上記のように、入力パラメータ中のあらゆる誤差を斟酌した後、ジオフォンの可動コイルを固定するのに十分な最適電圧を計算し、供給電圧E0を調節する。DSPはS1を作動させて待つ。DSPはS2を反転させ、アナログ/デジタル変換器(ADC)はE0及びEcをサンプリングし、次いで、DSPはE0及びEcデータを読み込んでDCRを計算する。DSPは、ペルチェ効果を除去するためにE0を変えることによってE0及びEcを2回サンプリングするのがよい。E0は電圧を設定するから、DSPはE0を既知であるが、しかし、設定と印加された実際の電圧との間にどんな不一致がある場合にも、E0を測定することがよりよい。
【0065】
図14A〜図14Cは、本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な方法のフローチャートである。
【0066】
図14Aを参照すると、ここに説明したタイプの地震センサをDCR測定のために設置する(ステップ100)。第1電流を印加して地震センサの可動コイルを固定し(ステップ102)、可動コイルの両端の第1電圧及び可動コイルに注入された第1電流を測定する(ステップ104)。可動コイルのDCRを、ここに説明した技術により決定する(ステップ106)。
【0067】
別の可能な実施形態では、図14bの技術は、第2電流を印加して地震センサの可動コイルを固定し(ステップ108)、可動コイルの両端の第2電圧及び可動コイルに流れ込む第2電流を測定する(ステップ110)ことを更に含む。
【0068】
図14Cの実施形態では、背景ノイズを測定し、DCを印加して、地震センサの可動コイルを地震センサのハウジングの一端に固定する。基準電圧及びコイル電圧を測定し、SNRを計算する。異なるDCを印加して、地震センサの可動コイルを地震センサのハウジングの他端に固定し、基準電圧及びコイル電圧を測定し、SNRを計算する。DCRを、上記のように、ペルチェ効果及びDCオフセットを相殺することによって決定する。ノイズの減少を計算することができ、温度がDCRから導出される。
【0069】
一般的に、ここに説明した技術は、ハードウエアで、及び/又は、ハードウエア及びソフトウエアで実現することができる。例えば、それら技術は、オペレーティングシステムのカーネルで、別々のユーザプロセスで、遠隔測定及び/又はネットワークアプリケーションに結合したライブラリパッケージで、特別に較正された機械で、又は、ネットワークインタフェースカードで実現される。一つの実施形態では、ここに説明した技術を、オペレーティングシステムのようなソフトウエアを使用して、又はオペレーティングシステム上で走るアプリケーションで部分的に実現してもよい。
【0070】
本技術のハードウエア実装、又はハードウエア/ソフトウエアハイブリッド実装は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に活性化又は変更された汎用プログラマブルマシンで実現することができる。かかるプログラマブルマシンは、パーソナルコンピュータ又はワークステーションのような汎用ネットワークホストマシンで実現することができる。さらに、ここに説明した技術は、ネットワークデバイス又は汎用計算機用のカード(例えば、インターフェースカード)で、少なくとも部分的に実現することができる。
【0071】
実施形態及び側面は、本発明の原理及びその実際の適用を最も良く説明するために、選択されかつ説明された。上記の説明は、当業者が、種々の実施形態において、考えられた特別の使用に合うように種々の変更を伴って、ここに説明した原理を最も良く利用することができるようにするものである。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定められるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、正確な地震測定を行うための技術に関し、特に、地震センサの可動コイルに特定量の電流を印加することによって地震センサのノイズを較正し、かつ除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
ここに示した技術は、可動コイルを中心位置で磁界中に設置し、ジオフォン及び地震計を含む、電気力学的検知装置のような、地層の振動を検知するための装置に関する。本開示は、検知作業、伝送作業のいずれにおいても、他のタイプの振動変換器に適用することができる。
【0003】
地震測定及び/又は地震モニタリングは、センサによって別々の場所で検知される、地震エネルギー源から生じる地中の振動を検出する。或る適用では、センサの出力を使用して、地下の層構造を決定する。地震エネルギー源は、地震その他の地殻変動、沈下、火山活動等のような自然なものである場合もあり、地表作業若しくは地下作業、又は地表若しくは地下での地震源の計画的作業による音響信号のような人工のものである場合もある。例えば、検知された地震信号は、フラクチャリング又は貯留層崩壊又は変性によって引き起こされる微小地震から得られた直接信号であるかもしれいないし、或いは、人工エネルギー源から得られた反射信号であるかもしれない。
【0004】
センサは、2つの主な範疇、即ち、地震源から生じる圧力場を検知するハイドロフォン、又は、地震源から生じる粒子運動を検知するジオフォンに分類される。
【0005】
大地が、地震源から直接、又は地下反射物を介して伝搬する地震エネルギーにより移動するとき、大地の表面に、又は大地を貫くボーリング穴の壁に配置すことができるジオフォンは、(P波の例では)エネルギーの伝搬方向に移動する。しかし、ジオフォンの軸線が運動方向と整列されれば、ジオフォンの内側のスプリングに取り付けられた可動コイルは、同じ位置にとどまり、ハウジングに対してコイルの相対運動を引き起こす。可動コイルが磁界内で運動するとき、信号として出力することができる電圧が可動コイルに誘導される。ジオフォンの応答は周波数依存である。
【0006】
ジオフォンの正しい作業操作を確保するために、典型的には、ジオフォンは、製造後定期的に、及び/又は各使用前に、工場で較正される。これには、ジオフォンの製造業者及び販売者は、一般に、ジオフォンユニットが購買者に販売される前に、製造業者及び販売者のジオフォンに対して如何なる較正も実施しない。むしろ、製造者は、ジオフォンユニットの応答が室温のような特定の温度で特定の公差範囲内にあるという保証を出す。しかし、かかる公差の保証は、ジオフォンユニットの正しい較正の代わりにはならない。したがって、ジオフォンユニットの多くの購買者は、かかるユニットを野外で展開する前又は野外での使用中、購買者のジオフォンユニットについて購買者自身の較正試験を実行する。
【0007】
しかし、在来のジオフォンの較正試験は、典型的には、今日の地震測定作業の多くに要求されるジオフォン測定の所望精度を保証するには、しばしば不十分である。可動コイルのDC抵抗(DCR)を測定するある較正技術では、電流が可動コイルに注入され、抵抗が、可動コイルの両端に現れる電圧から決定される。しかし、可動コイルはまたジオフォンの振動に敏感であるから、DCRの測定精度は環境ノイズに依存する。ジオフォンの感度が高ければ、測定されるノイズが大きく、DCR測定の精度が低下する。そのうえ、DCRが、ジオフォンのパラメータを計算するための基本的な値であるから、DCR値の不正確さは、感度及び減衰要因のような、地震センサの他のパラメータに影響する。
【0008】
したがって、地震測定の精度を改善するために、在来のジオフォン較正技術に改良を加える要請が存在することが認識されるであろう。
【0009】
先に気づいた在来の地震センサの制限は網羅的なものではなく、むしろ、既知の地震センサの較正技術の有効性を減ずるかもしれない多くの中のものである。しかし、上記は、過去に存在する地震センサ技術が、相当な改善を認めることを立証するのに十分でなければならない。
【0010】
ここに説明した実施形態は、ジオフォン及び地震計のような、地震センサ用の方法及び装置を提供する。本開示の原理は、周囲の振動ノイズのような環境ノイズによるDCR測定の誤差、DCオフセット及びDCドリフトのような内部回路による誤差、ペルチェ効果及び電気信号ノイズによる外部誤差、及び、測定回路での熱発生のようなシステムによる誤差を修正するための技術に関する。特に、本開示のいくつかの実施形態は、DCR測定を改善し、環境ノイズによる誤差を減じ地震センサを較正するための方法及び装置を提供する。ここでの他の実施形態は、DCRについて熱発生効果を補償することに関する。本開示の更なる実施形態は、一つ又はそれ以上のデジタル信号処理装置を含む地震センサを較正するための装置を提供する。また更なる実施形態は、測定データをノイズの周波数の周期に亘って平均することによって、測定電圧データ中の電気的主ノイズを抑制するための技術に関する。
【0011】
通常、地震センサの可動コイルのDCRは、マルチメータ、オームメータ又は抵抗計を使用することによって測定される。かかる測定機器は、電流を抵抗部品に注入して、抵抗部品の両端の電圧を読み取る。機器は、電圧及び電流に関する抵抗の量を表示し、又は出力する。しかし、注入された電流の量は、測定機器に依存するから、ユーザは、どのくらいの電流が注入されたのか分からない。ジオフォンコイル抵抗の場合には、可動コイルは、未知の量だけ注入された電流によって部分的に浮揚され、可動コイルはまた、振動環境ノイズに応答する。データを平均する測定時間が、環境ノイズの周期と比較して十分に長くなければ、測定は反復できない。例えば、固有周波数が1Hzであれば、0.5秒の測定時間は、約1Hzの環境ノイズを平均するのに十分ではない。
【0012】
測定電子機器は、DCRを決定する際に誤差を引き起こすDCオフセット又はDCドリフトを有するかも知れない。しばしば、ある測定機器は、他の測定機器と異なる抵抗値を示す。その原因は、部分的に測定機器の不正確によるかもしれないが、ペルチェ効果の差、いくらかの帯電効果、即ち、ダイオード効果のような、外部要因による場合もあり、特に、金属腐食による場合もある。したがって、抵抗測定は、かかる外部要因に依存して、時間によって時々変化する。
【0013】
本出願人は、所定の電流を地震センサに印加することによって、地震センサの可動コイルを固定し、地震センサを取り囲む環境中の振動による望ましくないノイズを最小にし、又は除去することができることを認識した。本出願人は、可動コイルを固定するために注入した電流が熱を発生させ、かかる熱の発生がDCRに影響することがあることを更に認識した。本出願人は、かかる熱の発生は、DCR測定の所望の精度に基づいて補償すべきであることが望ましいことを更に認識した。本出願人はまた、電気的ノイズが、測定される電気信号の中で支配的であり、測定の誤差を除去するために抑制されるべきであることを認識した。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、地震センサを較正する方法が、電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の電圧を測定し、かつ、可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように可動コイルを固定することを有する。本開示の一つの可能な実施形態では、可動コイルのDCRが決定される。ここに、ある側面では、ここでは、方法は、時間のたつにつれてDCRの変化を連続的に測定することによって、地震センサの可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態における本開示は、異なる電流を地震センサの可動コイルに注入することによって、ペルチェ効果、DCオフセット及びDCドリフトのうちの一つ又はそれ以上を相殺することに備える。電流の極性を反転させてもよく、反転した極性を有する電流を地震センサの可動コイルに注入してもよい。
【0016】
ここに、ある側面では、地震センサのDCRを測定する方法は、第1電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の第1電流を測定し、第1電流と異なる第2電流を可動コイルに注入し、可動コイルの両端の第2電圧を測定し、可動コイルの第1電圧及び可動コイルの第2電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように可動コイルを固定し、かつ、可動コイルの両端の第1電圧及び第2電圧に基づいて可動コイルのDCRを決定することを含む。
【0017】
本開示のある実施形態では、可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定される。
ここに、rは、可動コイルのDCRであり、Rは、直流抵抗であり、E01及びE02は、それぞれ異なる量の電流I1及びI2での供給電圧であり、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる量の電流I1及びI2での可動コイル電圧である。本開示の他の側面では、第2の異なる電流を地震センサの可動コイルに注入し、地震センサの両端の第2電圧を測定し、可動コイルのDCRを決定することを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態では、地震センサを較正するためのシステムは、電圧を地震センサの可動コイルの両端に印加するための電源と、可動コイルの両端の電圧を測定するための測定装置と、地震センサと通信するデジタル信号処理装置と、処理装置によって実行でき、実行されたときに、電圧を地震センサに印加し、可動コイルが固定されているか否かを決定する、一組の命令と、を含む、そのシステムは、可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減ずるように構成され、又は設計される。そのシステムは、可動コイルが固定された後、可動コイルの両端の電圧を表示するための、測定装置に通信可能に結合されたインタフェースを更に含む。
【0019】
本開示の更に別の側面では、電流を地震センサの可動コイルに注入し、可動コイルの両端の電圧を測定し、測定データをノイズ周波数の周期に亘って平均することによって、測定電圧データ中の電気的主ノイズを抑制することを含む。本開示のある実施形態では、測定データは、ノイズ周波数のn周期に亘って平均され、ここに、nは整数である。別の実施形態では、電気的主ノイズは、50Hz又は60Hzの電気的主ノイズからなり、測定データは、100ms周期、又は100msのあらゆる倍数に亘って平均される。
【0020】
更なる利点及び新規な特徴が、以下の説明に記載され、或いは、ここに資料を読み、又は、ここに記載された原理を実施することにより、当業者によって学習される。ここに説明した利点のいくつかを、添付の特許請求の範囲に記載された手段によって達成することができる。
【0021】
添付の図面は、ある実施形態を示し、明細書の一部である。以下の説明と共に、図面は、本発明の原理のいくつかを示しかつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】在来のジオフォン地震センサの斜視図である。
【図2A】在来のジオフォンDCR測定器及びステップテストに含まれた回路の斜視図である。
【図2B】ジオフォンステップテストに入力されたステップ信号に対応するジオフォンのステップ応答のグラフ表示である。
【図3】ステップテスト中の在来のDCR測定技術で支配的なノイズを示す。
【図4】ジオフォンコイルDCR測定を温度の関数として示すグラフである。
【図5】ジオフォン応答パラメータ、固有振動数f0、開放回路減衰D0及び開放回路感度S0を温度の関数として示すグラフである。
【図6】本開示の原理に従う一つの実施形態の回路図に沿ったジオフォンの概略図である。
【図7】ここに提案したような一つの可能なDCR測定における改善されたノイズ結果を示す。
【図8A】可動コイルに接続されたバッテリとしてモデル化されたジオフォンにおけるペルチェ効果を示す回路図である。
【図8B】計器接続でのペルチェ効果、計器の電気回路中のDCドリフト及びDCオフセットでのを示す別の回路図である。
【図9】電流注入、及び地震センサの可動コイルから環境温度への熱対流による熱散逸を示すブロック図である。
【図10A】時間のたつにつれて電流の注入による、地震センサの可動コイルの温度変化を示すグラフである。
【図10B】熱の発生によるDCRの初期段階変化のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11A】一つの例示的な既知のフィルタリング技術を示す。
【図11B】図11Aのフィルタリング技術の周波数応答(左)及び時間応答(右)を示す。
【図11C】本開示による平均する技術の効果を示す。
【図11D】本開示の一つの実施形態による50Hzノイズと60Hzノイズの両方についてのノイズの減少を示す。
【図12】地表に展開される地震センサを較正するための陸上地震操作における応用を示す。
【図13】本開示によるシステムブロック図を示す。
【図14A】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【図14B】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【図14C】本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な技術のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を通して、同一の参照番号及び記載は同一のものを示すが、必ずしも同一の要素ではない。ここに開示した原理は、種々の変更及び変形形態を受けやすいけれども、特定の実施形態が、図面中に例によって示され、かつここに詳細に説明される。しかし、本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲に入る全ての変更、均等及び変形例を含む。
【0024】
本発明の例示の実施形態及び側面を以下に説明する。あらゆるかかる実際の実施形態の開発においては、ある実行と別の実行との間を変動するであろう、システム関連の制約及びビジネス関連の制約の遵守のような、開発者の特定の目的を達するため、多くの実行−特定の決定が行われなければならないことがことが当然認識されるであろう。そのうえ、かかる開発努力は、複雑でありかつ時間浪費であるが、それにも拘わらず、この開示の利益を有する当業者にとっては、日常の企てであることが認識されるであろう。
【0025】
明細書全体に亘る、「一つの実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一つの側面」、「側面」又は「いくつかの側面」の言及は、実施形態又は側面と関連して説明される特定の特徴、構造、方法又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。かくして、明細書の全体に亘る「一つの実施形態では」「実施形態では」「いくつかの実施形態では」という種々の句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及していない。「含む」及び「有する」の語は、「含む」の語と同じ意味を有する。
【0026】
そのうえ、発明の側面は、開示された単一の実施形態の全てより少ない特性にある。かくして、これによって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明へ明白に組み込まれ、各特許請求の範囲は、この発明の別々の実施形態として独立している。
【0027】
今、図面に目を向けると、ここでは、同一符号は、同一部品を示し、ここでの開示は、地震信号検出を容易にしかつ改善するのに利用される種々の技術の概念に向けられる。本開示は、地震探査の分野、又は地下の貯留層の能動的又は受動的監視の分野で利用される、ジオフォン又は地震計のような、電気力学タイプのセンサへの開示技術の適用性を考える。この出願で使用されたように、「ジオフォン」の用語は、図1に示したような在来型のジオフォン、及び、地震計型電気力学センサのような超低周波ジオフォン、並びに、例えば、在来型のジオフォンよりも比較的広い加速度範囲を測定するように構成され、又は設計されるシュルムベルガー社製のジオフォン加速度計(GAC)センサを含むものである。
【0028】
センサは、垂直方向に関して逸脱される探鉱井及び/又は産出井内で展開され、三つの直交軸に沿って受信される信号成分を検出するための多成分ジオフォンを含む。本開示による側面では、地震センサを、ワイヤライン、陸上地震、海底地震、常置又はその他モニタリング、ハイドロフラクチャモニタリング、特に地震モニタリング用システムを含む産出検層、水及びCO2貯留層についての長期モニタリング、核実験モニタリング、及び、地震データの正確かつ効率的な獲得を必要とする同様な活動に利用することができる。
【0029】
本開示のいくつかの原理はまた、別途出願中の、共通に所有した、「温度保証の温度測定のための方法及び装置」と題した米国特許出願第12/365,889号に記載され、その結果、その全内容はここに援用される。
【0030】
以下により詳細に説明するように、本開示は、地震センサの較正の間、環境内で支配的であるノイズ、即ち、可動コイル地震センサのDCRのような決定されたパラメータ値を歪めようとする環境ノイズの影響を減じ又は除去することによって、地震信号検出を容易にしかつ改善するために使用される種々の技術を提供する。ここに開示された技術は、工場試験及び較正のために、地震センサの製造中又は製造後、研究所又は試験施設で、野外で、及び/又は地震センサの展開後に、使用することができる。
【0031】
本開示は、適当な量の電流の注入により、地震センサの可動コイルを固定することによって、地震信号測定中の環境ノイズ効果を減じ又は除去する技術を提案する。そのうえ、本開示は、可動コイルへの電流の注入により引き起こされる加熱効果を補償する技術を提案する。さらに、本開示は、地震信号測定に誤差を導入する、ペルチェ効果、DCドリフト及び/又はDCオフセットのような、他の外部因子に取り組む。電気ノイズを抑制するための技術を本開示で論じる。
【0032】
この出願に記載された種々の技術及び特徴のより良い理解を得るために、今、ジオフォン測定技術の簡単な説明をする。地震調査では、地球を伝搬する地震波を測定して地中の構造的なイメージを描く。ジオフォンは、例えば、ダウンホールのような様々な場所で、地表面で、及び/又は海底で、地震信号を検出するのに用いられる。在来のジオフォンの例を図1に示す。
【0033】
図1のジオフォン10は、ボビンに取り付けられた可動コイル12と、磁石15と、サスペンションスプリング付きの一対のポールピース16と、ハウジング14と、を含む。ポールピース16及びハウジング14は、透磁性材料で作られ、可動コイル12が懸架される磁界を形成する。図1の例では、ボビンに取り付けられた可動コイル12、及びサスペンションスプリング20は、ジオフォンの実効可動質量mを集合的に形成する。
【0034】
可動コイル12は、図1に示すように、一対のスプリング20によって磁界中に懸架される。スプリングは、コイルの半径方向移動を制御し、かつ質量−スプリング系についての所望の固有振動数を提供するように設計される。ジオフォンのハウジングが外部の振動に応答して動かされる間、可動コイルは同じ位置にとどまろうとする。(磁束界で)ハウジングに対する可動コイルの運動により、可動コイルに磁石が取り付けられたハウジングに対する可動コイルの速度に比例する電気信号を発生させる。
【0035】
上述したように、ジオフォンの較正は、地震センサの可動コイルのDCRの測定を含む。図2Aに示すように、DC電圧が抵抗を介して可動コイルに印加され、可動コイルの両端の電圧が測定される。この例示的な実施形態では、E0は供給電圧であり、ECはコイル電圧であり、Rは直列抵抗であり、rは可動コイルのDCRである。
【0036】
DC電圧が可動コイルの両端に印加されるとき、可動コイルは持ち上げられ、可動コイルは、固有振動を経験する。図2Bに示すように、固有振動の持続時間及び時間を、固有振動が臨界的に減衰されるように、Rを調節することによって最小にすることができる。
【0037】
ジオフォン応答パラメータは、DCが除去された後、可動コイルの固有振動から較正される。零点交差(zero crossing)から、固有振動数が計算され、固有振動数の減衰から、減衰が計算される。感度は、印加された初期電圧及び応答の大きさから計算される。
【0038】
図3は、電流注入によるコイル運動が収まった後の可動コイルの電圧を示し、すなわち、可動コイルは環境ノイズにも応答していることを示す。sを測定された信号とする。可動コイルの電圧は、信号sの平均である。その信号は、コイル電圧の決定を悪化又は劣化させるノイズを含む。測定された信号sから、可動コイルの電圧Ec及びノイズ電圧Enを以下のように計算することができる。
Ec=平均(s)=0.0484V
En=rms(s−Ec)=0.0029V
次いで、信号対ノイズ比、即ち、SNRは、
SNR=20・Log(Ec/En)=24dB
のように計算される。
【0039】
上記のデータから明なように、SNRは、測定された信号中に、一部が環境ノイズにより引き起こされる過大なノイズがあることを示す。環境ノイズによるDCR測定の低下に加えて、出願人は、地震センサの応答パラメータが、作動温度の関数であることに気づいた。DCRはまた、温度依存である。したがって、本開示は、可動コイルを止めるために注入された電流により発生するに違いない熱を補償する技術を含む。かかる熱の発生は、DCRに影響することがあるから、発生した熱がDCR測定の所望精度に基づいて補償されることが望ましい。
【0040】
図4は、温度の関数として測定されたジオフォンのDCRを示す。温度計がジオフォンのハウジングに取り付けられ、ジオフォンが一定温度のオーブン内に入れられた間にDCRが測定された。オーブン内の温度は、室温からより高い温度に変えられ、次いで、冷却された。その工程を2回繰り返した。測定毎に、温度が安定した後、抵抗を測定した。上昇温度サイクル及び冷却サイクルには或るヒステリシスがある。これは、ジオフォンの可動コイルが、ハウジングの温度に急速に応答しないからである。ジオフォンが一定温度で長時間オーブン内に入れられるならば、その不一致は減らされるかもしれない。図4中の実線は、工業規格によって定義されたように、温度係数0.00393℃を使用することによってシミュレートされたマグネット磁性ワイヤの抵抗である。
【0041】
マグネットワイヤ片の抵抗は、
r(T)=r(20){1+0.00393(T−20)} ・・・式1
と表される。
20℃での抵抗を知り、ジオフォンが使用される温度での抵抗を測定することによって、マグネットワイヤの温度が
T=(1/0.00393){(r(T)/r(20))−1}+20・・・式2
として見出される。
【0042】
ジオフォンの応答はジオフォンの温度と関係付けられることに気づく。図5は、温度の関数としてのジオフォン応答パラメータ、即ち、固有振動数f0、開放回路減衰D0及び開放回路感度S0の比較を示す。左プロットは、ハウジング温度に対してプロットされたジオフォンパラメータの結果を示し、右プロットは、可動コイルから計算された温度に対してプロットされたジオフォンパラメータの結果を示す。図5から明らかなように、可動コイルから得られた温度は、ジオフォンハウジングから得られた温度よりも、ジオフォンパラメータとより良く一致することを示す。これは、可動コイルの温度が、ハウジング温度が表すよりも、より良くジオフォン応答を表すことを示す。右プロットから、ジオフォン応答は、温度の関数として、
f0=f0(20)×(1.361×10-7ΔT2−9.627×10-5ΔT+1)
D0=D0×(3.395×10-2ΔT2−2.467×10-3ΔT+1)
S0=S0(20)×(−4.921×10-7ΔT2−3.116×10-4ΔT+1)
ここで、摂氏でΔT=T−20である、と決定される。
かくして、ジオフォン応答パラメータを、可動コイルのDCRによって決定された温度から見積もることができる。
【0043】
上記のタイプの欠陥に取り組むために、本出願人は、地震センサの較正の劣化を減じ又は除去するための新規かつ効率的な技術を提案する。本開示の一つの側面では、図6の例示的な実施形態で示すように、地震センサの可動コイルがセンサハウジングの底部又は頂部に押しつけられるように、所定の電圧が地震センサに印加される。図6から明らかなように、可動コイルは、ハウジング底部に固定されて環境ノイズに鈍感であるように、ハウジング底部に押しつけられる。
【0044】
図6の技術では、注入された電流が大きければ、電流は熱、即ち、自己加熱効果を引き出し、可動コイルの温度が上昇する。可動コイルに注入される電流が大きすぎれば、コイルは焼けるかもしれない。したがって、可動コイルが地震センサハウジングの頂部又は底部に押しつけられるように、かつ、地震センサハウジングの頂部又は底部に固定することによって、可動コイルが環境ノイズに不感になるが、可動コイルの温度に悪影響を及ぼさないように、注入電流の量を最適にすることが望ましい。
【0045】
電流によって引き出された力は、S0×Iであり、可動コイルの変位によって引き出されるスプリング力、及び(垂直に配置されたジオフォン)可動質量mに作用する重力と釣り合っている。圧縮応力が与えられておらず、かつ垂直に配置されたスプリングを有するジオフォンについては、
kx±mg=S0I ・・・式3
である。
ここに、「+」記号は、重力加速度「g」に抗ってコイルをハウジングの頂部へ持ち上げることを示す。
質量及びスプリング系の固有角振動数が
k/m=ω02 ・・・式4
であるから、可動質量を可動空間の上部か底部のいずれかへ範囲させるのに必要とされる電圧は、次のようである。
Ec=(mr/S0)(x0ω02±g) ・・・式5
ここに、x0は、中心位置から最大位置までの距離であり、「+」記号は、可動コイルをハウジングの頂部に持ち上げることである。
水平に配置されたジオフォン、又は、予応力をかけたスプリングを有する垂直ジオフォンについては、重力項が落とされる。
【0046】
ジオフォンについて次のパラメータを仮定する。
F0=18Hz
S0=78V/(m/s)
m=3.14gm
r=1500オーム
x0=1.5mm
可動コイルを頂部の位置まで持ち上げるのに要求される電圧は、1.75Vである。電力がP=I2rであるから、2mWが熱として散逸される。
【0047】
銅コイルの比熱は380J/(kg℃)である。1.75Vがt=1秒間コイルに印加されれば、銅コイルの温度は、
ΔT=(Pt)/(mc)=(0.002(W)×1(s))/(0.00314(kg)×380(J/(kg・°K)))=0.002°K ・・・式6
だけ上昇する。
これはとても小さく、測定時間が短く保たれる限り、DCR測定に影響を及ぼさないであろう。
【0048】
本開示は、可動コイルが加熱されないが、電圧が、可動コイルを最大固定位置に変位させるのに十分高いように、適当な電圧を印加することを想像する。実際の電圧は、コイルが限度まで押され、環境振動に応答しないことを確かめるように、式5によって得られた最小電圧の2倍であるのがよい。所定の電圧は、ジオフォンパラメータの公差、及び環境ノイズの量に応じて設定されるのがよい。
【0049】
図7は、コイルをキャップに固定することによって、環境ノイズが無く、電気ノイズだけが観測される場合を示す。この測定では、
Ec=平均(s)=1.8729V
En=rms(s−Ec)=0.0016V
SNR=20・Log(Ec/En)=56dB
である。
上記SNR=56dBは、上述したように、可動コイルを固定することなく生じたSNR=24dBとうまく比較する。明らかなように、信号対ノイズ比は、32dBだけ改善される。
【0050】
この実施例では、測定装置に、ペルチェ効果及びDCオフセット又はDCドリフトがあるかどうかを見るために、電源電圧の極性を反転させる。地震センサは、異なる金属の電気接点を有する。また、ジオフォンは、電子機器に接続され、接続線は、プリント回路基板上のピンに異なる金属で半田付けされる。種々の接点の温度は、必ずしも同じ必要はなく、測定可能な温度差がある。かかる金属接点及び温度の変化の下では、測定に追加の電圧を引き起こす種々のペルチェ効果があるかもしれない。そのうえ、電子機器は、或る程度までDCドリフトを有するかも知れない。かかるペルチェ効果及びDCドリフト及びDCオフセットは、DCR測定に測定可能な誤差を引き起こす。
【0051】
ジオフォンでのペルチェ効果は、図8Aに示すように、可動コイルに接続されたバッテリとしてモデル化される。図8Bの回路はまた、測定回路内のジオフォンの外側のペルチェ効果、及びDCドリフト及びオフセットを示す。いずれの場合も、電圧誤差Erは、
Ec=Ir+Er ・・・式7
と表される。
ペルチェ効果及びDCドリフト又はオフセット誤差は、注入電流の極性を反転させるような2つの異なる電流を印加することによって相殺される。
【0052】
上述したように、一般的に、DC誤差は、異なる電流量I1及びI2を印加することによって相殺することができる。
Ec1=I1r+Er ・・・式8
Ec2=I2r+Er ・・・式9
式9から式8を引くと、
r=(Ec2−Ec1)/(I2−I1) ・・・式10
が生じる。
電流は、E0及びEcを測定することによって決定することができる。
I1=(E01−Ec1)/R ・・・式11
I2=(E02−Ec2)/R ・・・式12
式11及び式12を使用することによって、式10を、
r=R/{(E02−E01)/(Ec2−Ec1)−1} ・・・式13
と書き直すことができる。
反転極性は、電圧を変える特別な場合であり、式13は、電圧を変えるいかなる場合にも適用可能である。
【0053】
先の議論では、電流注入による熱は小さいことが示唆された。しかし、測定時間が長いことを必要とするときの様な場合に、熱を補償することが望ましければ、及び/又は、大きな質量を有する可動コイルを浮揚させるために大きな量の電流を注入する必要があるならば、以下に説明するように補償を行うのがよい。
【0054】
図9は、電流の注入、及び可動コイルから周囲温度への熱対流による熱散逸を示す。熱が可動コイルに蓄積されるとき、温度は、いずれ直線的に上昇する。次いで、熱は、加熱コイルの他の材料に、空気に、ポールピースに、磁石に、ついにはジオフォンのハウジングに伝導される。一旦、伝導がハウジングに達すると、ハウジング温度が上昇し、ジオフォンの近くの空気中で対流効果が開始し、ハウジング温度はいずれ定常状態に達する。温度勾配が大きければ、ジオフォン内の空気中に対流が起こり、しかし、このような結果は、例えば、0.1mm程度の、地震センサのハウジング内に典型的に存在する小さな隙間では起こりそうもない。図10Aは、コイルの上記温度変化を示す。
【0055】
式6から、初期段階での温度の上昇は、可動コイルに印加された電力P(電流かける電圧)によって、
T−T0=(P/(mc))t ・・・式14
と見積もられる。
可動コイルのDCRはまた、温度変化に従って変化する。
r=r0{1+α(T−T0)} ・・・式15
ここに、αは、マグネットワイヤの温度係数であり、銅では0.00393に等しい。
【0056】
図10Bは、DCR変化の初期段階のシミュレート結果を示す。温度上昇は小さく、かつ、伝導及び対流熱移動は未だ開始されていないと仮定することができる。ジオフォンパラメータは、
f0=20Hz、
S0=25V/(m/s)、
m=20gm、
r=1500オーム、
x0=2mm
と仮定される。
スプリングは、プレストレスを有さず、ジオフォンは垂直に位置決めされる。可動コイルは、ジオフォンの頂部に固定される。ノイズを表すために乱数が加えられる。電流注入後、可動コイルの両端の電圧は20秒間連続的に記録され、DCRは、印加電圧E0及びコイル電圧Ecから計算される。
【0057】
初期温度T0での抵抗を以下のように求める。第一に、ジオフォンを一定温度に曝し、定常状態を確立する。電流を注入することなく、ジオフォンハウジングに温度センサを置くことによって、初期温度T0を測定し、そのために、ハウジング温度は、可動コイルの初期の温度を表す。次いで、必要な電流を注入し、図10Bに示すように、DCRを連続的に記録する。T0でのDCRは、DCRの時間記録を補間することによって、t=0で評価する。
【0058】
図11A〜図11Dは、本開示に従って電気的ノイズを抑制するための技術を示す。上記のように、環境ノイズを、電流を地震センサの可動コイルに印加して可動コイルを固定することによって抑制し又は制御することができる。しかし、上記のノイズに加えて、信号E0及び信号Ecに支配的な電気ノイズがある。図11A参照。電気的ノイズを抑制する一つの方法は、図11Aに示すように、ローパスフィルタを適用することである。ノイズは、50Hz又は60Hzが主たるノイズであることがある。かかるノイズを除去するために、ローパスフィルタのカットオフ周波数を、例えば、5Hzに設定するのがよい。
【0059】
図11Bの左側のグラフは、図11Aに示した回路の1次フィルタ応答を示す。そのフィルタは、50Hzを20dBだけ減衰させる。フィルタの応答のステップが、図11Bの右側グラフに示される。電圧が1%以内の誤差に落ち着くまでに約150msかかる。しかしながら、フィルタを適用することは、電圧測定に誤差を引き起こすことに気づく、測定誤差が小さくなるまで待つ必要がある。これにおいて、要求される待ち時間は、測定の精度に依存する。
【0060】
50Hz又は60Hzの主たる電気的ノイズは正弦曲線であるから、かかる電気的ノイズも、ノイズの周期又は「n」周期に亘ってデータを平均することによって除去することができる。これにおいて、正確な周期に亘る正弦曲線ノイズの平均はゼロであることに気づく。図11Cは、正弦曲線の平均を示す。図11Cの実曲線は50Hzノイズであり、点線は時間ゼロからの平均である。時間が各周期を通過するとき、平均はゼロになることが分かる。50Hzノイズについて、平均の最小の長さは、たった20msである。
【0061】
AC電源の周波数は、場所に応じて50Hz又は60Hzである場合があることも注目される。50Hz及び60Hzの最小公倍数、即ち、100msを使用することが可能である。平均が100ms又は100msのあらゆる倍数を超える限り、結果には、50Hz又は60Hzの電気的ノイズのいかなる影響もない。図11D参照。
【0062】
図12は、本開示で論じた原理に関する一つの可能な作業内容を示す。図12は、振動機206が、大地に浸透して地下構造から地表に反射される地震信号を発生させる陸上地震作業を示す。振動機206は、連続的な信号は発生し、地震データは、ジオフォン202及び装置214によって連続的に獲得される。しかし、ほとんどの地震エネルギーは地中へ向かい、エネルギーの大部分は表面波として地表を伝搬する。これはグランドロール(ground roll)として知られ、それは、表面波ノイズの大部分である。
【0063】
陸上地震作業では、新しい獲得領域は、ジオフォン及び関連した装置を、獲得を済ませた領域から新しい領域に移動させることによって確立される。新しい獲得領域をつくる間、ジオフォン及び装置は、新しい領域で地震データ獲得を開始する前に、テストされなければならい。ジオフォン及び装置はトラックを使用して運ばれ、しばしば、ジオフォンは、較正測定を低下又は劣化させる近くの地面横揺れ及びトラックによる環境ノイズで較正される。例えば図12の例示的な内容に示した本開示の原理は、油田地震探査におけるかかる要請及び要求に取り組むための新規かつ効果的な機構を提供する。
【0064】
図13は、本開示の原理に従ってDCRを決定するためのシステムの一実施形態を示す。図13に示すように、ジオフォンは、システムに接続される。f0,D0,S0,r及びmのような、公称ジオフォンパラメータの入力が、システムに対して行われる。デジタルシグナルプロセッサ(DSP)又は演算処理装置(CPU)は、上記のように、入力パラメータ中のあらゆる誤差を斟酌した後、ジオフォンの可動コイルを固定するのに十分な最適電圧を計算し、供給電圧E0を調節する。DSPはS1を作動させて待つ。DSPはS2を反転させ、アナログ/デジタル変換器(ADC)はE0及びEcをサンプリングし、次いで、DSPはE0及びEcデータを読み込んでDCRを計算する。DSPは、ペルチェ効果を除去するためにE0を変えることによってE0及びEcを2回サンプリングするのがよい。E0は電圧を設定するから、DSPはE0を既知であるが、しかし、設定と印加された実際の電圧との間にどんな不一致がある場合にも、E0を測定することがよりよい。
【0065】
図14A〜図14Cは、本開示による地震センサを較正するためのいくつかの可能な方法のフローチャートである。
【0066】
図14Aを参照すると、ここに説明したタイプの地震センサをDCR測定のために設置する(ステップ100)。第1電流を印加して地震センサの可動コイルを固定し(ステップ102)、可動コイルの両端の第1電圧及び可動コイルに注入された第1電流を測定する(ステップ104)。可動コイルのDCRを、ここに説明した技術により決定する(ステップ106)。
【0067】
別の可能な実施形態では、図14bの技術は、第2電流を印加して地震センサの可動コイルを固定し(ステップ108)、可動コイルの両端の第2電圧及び可動コイルに流れ込む第2電流を測定する(ステップ110)ことを更に含む。
【0068】
図14Cの実施形態では、背景ノイズを測定し、DCを印加して、地震センサの可動コイルを地震センサのハウジングの一端に固定する。基準電圧及びコイル電圧を測定し、SNRを計算する。異なるDCを印加して、地震センサの可動コイルを地震センサのハウジングの他端に固定し、基準電圧及びコイル電圧を測定し、SNRを計算する。DCRを、上記のように、ペルチェ効果及びDCオフセットを相殺することによって決定する。ノイズの減少を計算することができ、温度がDCRから導出される。
【0069】
一般的に、ここに説明した技術は、ハードウエアで、及び/又は、ハードウエア及びソフトウエアで実現することができる。例えば、それら技術は、オペレーティングシステムのカーネルで、別々のユーザプロセスで、遠隔測定及び/又はネットワークアプリケーションに結合したライブラリパッケージで、特別に較正された機械で、又は、ネットワークインタフェースカードで実現される。一つの実施形態では、ここに説明した技術を、オペレーティングシステムのようなソフトウエアを使用して、又はオペレーティングシステム上で走るアプリケーションで部分的に実現してもよい。
【0070】
本技術のハードウエア実装、又はハードウエア/ソフトウエアハイブリッド実装は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に活性化又は変更された汎用プログラマブルマシンで実現することができる。かかるプログラマブルマシンは、パーソナルコンピュータ又はワークステーションのような汎用ネットワークホストマシンで実現することができる。さらに、ここに説明した技術は、ネットワークデバイス又は汎用計算機用のカード(例えば、インターフェースカード)で、少なくとも部分的に実現することができる。
【0071】
実施形態及び側面は、本発明の原理及びその実際の適用を最も良く説明するために、選択されかつ説明された。上記の説明は、当業者が、種々の実施形態において、考えられた特別の使用に合うように種々の変更を伴って、ここに説明した原理を最も良く利用することができるようにするものである。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定められるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震センサを較正する方法であって、
前記地震センサの可動コイルに電流を注入し、
前記可動コイルの両端の電圧を測定し、
前記可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるようにコイルを固定する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記可動コイルのDC抵抗(DCR)を決定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記地震センサの前記可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することを更に含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記地震センサの前記可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することは、時間のたつにつれてDCRの変化を連続的にモニタすることを含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定され、
ここに、rは前記可動コイルのDCRであり、
Rは、直列抵抗であり、
E01及びE02は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での供給電圧、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での可動コイルの電圧である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記地震センサの前記可動コイルに、第2の異なる電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第2電圧を測定し、
前記可動コイルのDCRを決定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記地震センサの前記可動コイルに異なる電流を注入することによるペルチェ効果、DCオフセット及びDCドリフトの一つ又はそれ以上を相殺することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
電流の極性を反転させ、反転した極性を有する電流を前記地震センサの前記可動コイルに注入することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
地震センサのDC抵抗(DCR)を測定する方法であって、
前記地震センサの可動コイルに第1電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第1電圧を測定し、
前記可動コイルに、前記第1電流と異なる第2電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第2電圧を測定し、
前記第1及び第2電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、可動コイルを固定し、
前記可動コイルの両端の前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて、前記可動コイルのDCRを決定する、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定され、
ここで、rは前記可動コイルのDCRであり、
Rは、直列抵抗であり、
E01及びE02は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での供給電圧、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での可動コイルの電圧である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
地震センサを較正するためのシステムであって、
地震センサの可動コイルの両端に電圧を印加するための電源と、
前記可動コイルの両端の電圧を測定するための測定装置と、
前記地震センサと通信しているデジタル信号処理装置と、
前記デジタル信号処理装置によって実行でき、実行したときに、電圧を前記地震センサに印加し、前記可動コイルが固定されたか否かを決定する一組の命令と、含む、
前記システムは、前記可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、構成され又は設計される、ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記可動コイルが固定された後、前記可動コイルの両端の電圧を表示するための測定装置と通信可能に結合したインタフェースを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
可動センサを較正する方法であって、
地震センサの可動コイルに電流を注入し、
前記可動コイルの両端の電圧を測定し、
測定されたデータをノイズ周波数のサイクルに亘って平均することによって、測定された電圧データ中の電気的主ノイズを抑制する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
測定されたデータは、ノイズ周波数のn周期に亘って平均され、
ここで、nは整数である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記電気的主ノイズは、50Hz又は60Hzの電気的主ノイズからなり、測定されたデータは、100ms周期又は100msの何倍かに亘り平均される、請求項13記載の方法。
【請求項1】
地震センサを較正する方法であって、
前記地震センサの可動コイルに電流を注入し、
前記可動コイルの両端の電圧を測定し、
前記可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるようにコイルを固定する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記可動コイルのDC抵抗(DCR)を決定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記地震センサの前記可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することを更に含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記地震センサの前記可動コイルに注入された電流によって発生される熱を補償することは、時間のたつにつれてDCRの変化を連続的にモニタすることを含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定され、
ここに、rは前記可動コイルのDCRであり、
Rは、直列抵抗であり、
E01及びE02は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での供給電圧、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での可動コイルの電圧である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記地震センサの前記可動コイルに、第2の異なる電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第2電圧を測定し、
前記可動コイルのDCRを決定することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記地震センサの前記可動コイルに異なる電流を注入することによるペルチェ効果、DCオフセット及びDCドリフトの一つ又はそれ以上を相殺することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
電流の極性を反転させ、反転した極性を有する電流を前記地震センサの前記可動コイルに注入することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
地震センサのDC抵抗(DCR)を測定する方法であって、
前記地震センサの可動コイルに第1電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第1電圧を測定し、
前記可動コイルに、前記第1電流と異なる第2電流を注入し、
前記可動コイルの両端の第2電圧を測定し、
前記第1及び第2電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、可動コイルを固定し、
前記可動コイルの両端の前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて、前記可動コイルのDCRを決定する、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記可動コイルのDCRは、
r=R/{((E02−E01)/(Ec2−Ec1))−1}
によって決定され、
ここで、rは前記可動コイルのDCRであり、
Rは、直列抵抗であり、
E01及びE02は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での供給電圧、Ec1及びEc2は、それぞれ異なる電流量I1及びI2での可動コイルの電圧である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
地震センサを較正するためのシステムであって、
地震センサの可動コイルの両端に電圧を印加するための電源と、
前記可動コイルの両端の電圧を測定するための測定装置と、
前記地震センサと通信しているデジタル信号処理装置と、
前記デジタル信号処理装置によって実行でき、実行したときに、電圧を前記地震センサに印加し、前記可動コイルが固定されたか否かを決定する一組の命令と、含む、
前記システムは、前記可動コイルの電圧を測定する間、環境ノイズを減少させるように、構成され又は設計される、ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記可動コイルが固定された後、前記可動コイルの両端の電圧を表示するための測定装置と通信可能に結合したインタフェースを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
可動センサを較正する方法であって、
地震センサの可動コイルに電流を注入し、
前記可動コイルの両端の電圧を測定し、
測定されたデータをノイズ周波数のサイクルに亘って平均することによって、測定された電圧データ中の電気的主ノイズを抑制する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
測定されたデータは、ノイズ周波数のn周期に亘って平均され、
ここで、nは整数である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記電気的主ノイズは、50Hz又は60Hzの電気的主ノイズからなり、測定されたデータは、100ms周期又は100msの何倍かに亘り平均される、請求項13記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【公開番号】特開2010−210627(P2010−210627A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53387(P2010−53387)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited
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