説明

地面に接触しない靴紐

【課題】特に運動靴などの靴紐の紐は、解けたり長すぎたりして、余った分が地面に接触して汚れたり、紐を踏んでしまって転倒する危険があったり、見た目も良くない。そこで、靴紐が解けたり長すぎたりしても、地面に接触しないように工夫された靴を提供する事を課題とする。
【解決手段】特に運動靴などの靴紐の先端に磁石を装着して、一方、靴の胛被部分は磁石、または鉄を装着し、靴紐を靴の胛被部分に接合できるようにした。これによって、靴紐が地面に接触する事を防ぐ事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
靴紐が長すぎて余っていたり解けたりしても、靴紐が地面に接触しないように工夫した靴のよび靴紐に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許にも、主に運動靴の靴紐を保持したり固定したりする装置は存在する。
【0003】
これらの特許には、靴紐を固定するための器具が存在しており、特表2001−521769号公報に関しては、筒状のヒンジの中に靴紐を通して、靴紐を固定する、というものである。
このように、靴紐を固定するための装置が別に存在する場合、従来の紐靴より見た目が劣ってしまったり、この装置に紐を通す手間が掛かったり、靴紐をきつく締められる代わりに、着脱に時間が掛かってしまうという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】特表2001−521769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に運動靴などの靴紐の紐は、解けたり長すぎたりして、余った分が地面に接触して汚れたり、紐を踏んでしまって転倒する危険があったり、見た目も良くない。そこで、靴紐が解けたり長すぎたりしても、地面に接触しないように工夫された靴を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に運動靴などの靴紐の先端に磁石を装着して、一方、靴の胛被部分は磁石、または鉄を装着し、靴紐を靴の胛被部分に接合できるようにした。これによって、靴紐が地面に接触する事を防ぐ事ができる。
具体的には、靴本体のはき口切欠部の対向する両側縁部に、1列の紐孔群をそれぞれ設け、前記切欠部を塞ぐ舌片を取付け、前記紐孔群の上方より1番目と2番目の紐孔に紐を挿通して対のループを設け、この両ループをフックで係止して紐を所要の締結状態にロック可能とした靴において、紐の先端が磁性を持つものにして、靴の一部に磁性を持つ紐の固定部を形成し、そこに紐の先端を磁気的な力で固着させ、紐を固定化する。または、靴本体のはき口切欠部の対向する両側縁部に、1列の紐孔群をそれぞれ設け、前記切欠部を塞ぐ舌片を取付け、前記紐孔群の上方より1番目と2番目の紐孔に紐を挿通して対のループを設け、この両ループをフックで係止して紐を所要の締結状態にロック可能とした靴において、紐の先端が磁性を持つものにして、双方の紐の先端部分の磁性を持つ部分を近付け、双方を磁気的な力で固着させ、紐を固定化する。
このように紐の先端に磁性を持たせることにより、紐の先端を靴の一部、または互いの紐の間で磁気的に固定化し、地面に紐の先端が落ちないようにすることができる。更に靴の一部に磁性を持つ固定部の形状として、固定部が筒状より形成され、その筒の中に紐の磁性のある先端部分を挿入し、磁気的な力により筒状の固定部に固定化することにより、より安定して固定化することができる。
紐の先端に磁性を持たせる方法として、磁気的な引力により固定化するために、紐を構成する樹脂自体にフィラーとしてFe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませる。この量としては好ましくは30重量パーセント以上である。保磁力が40000A/m以上の磁性材料としては、バリウムフェライトやストロンチウムフェライト等のマグネトプランバイト型結晶やSmCo,SmCo17,NdFe14等の希土類磁石が挙げられる。同様に紐の先端に磁性を持たせる方法として、紐の先端にFe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の上記の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませたもの、または上記の成分よりなる焼結磁石を付けることにより、同様な効果が得られる。
紐には保磁力を持たない、ソフト磁性材料にして、逆に靴の一部に磁性を持つ固定部として、Fe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませた部品にすることによっても同様な効果は得られる。この際、紐も保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を含んだものでも同様な効果がある。
磁性材料の組み合わせとすると、靴に形成する磁性部品をハード磁性材料にし、紐をソフト磁性材料にする場合、または紐もハード磁性材料にしても良く、逆に紐の先端部の磁性をハード磁性材料にし、靴に形成する磁性部品をソフト磁性材料より構成する組み合わせでも良い。少なくとも二つの中、一方がハード磁性材料とすることにより磁気的な引力を形成することができる。
ハード磁性材料の着磁パターンとして、NSNSを複数並べることでも良く、または一方向に着磁してNSの一つの対にしても良い。
ソフト磁性材料としては鉄板、還元鉄粉、マグネタイト焼結体、マンガン亜鉛フェライト、パーマロイ、珪素鋼板、センダスト、SUS304等磁性を持つ耐食性鋼板が挙げられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、靴紐および紐靴を用いると、靴紐が解けて地面に接触したり、余った靴紐を踏んでしまって転倒したり、という危険がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
例えば、ポリエチレン製の靴紐の先端にナイロン樹脂に保磁力が40000A/mのバリウムフェライト粉を40重量パーセント添加して作製した内径2mm外径3mm長さ5mmの筒状磁石を装着し、その靴紐接触する靴の胛被部分は希土類焼結磁石、または鉄を装着し、靴紐が靴の胛被部分に接着するようにする。
【0009】
以下に本発明に従った具体的な実施例を4種類示すが、本発明はそれらに制限されるものではない。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1の実施形態を示す上面図であり、図2は、本発明の実施例1の実施形態を示す斜視図である。
【0011】
従来の紐靴の胛被2の任意の部分の内側に薄い鉄のプレートを埋め込み、靴紐との接合部分4を設ける。
【0012】
ここで、特に素材を限定しないが、例えば靴紐1の先端部分3を、保磁力が40000A/mのバリウムフェライトのプラスチックマグネット磁石の筒状のものに靴紐を挿入して接着させたもので作る。若しくは、靴紐自体をナイロン樹脂に保磁力が40000A/mのバリウムフェライト磁石の成分を30重量パーセント添加して作製し混ぜて作っても良い。
実際に使用する際には、靴本体のはき口切欠部の対向する両側縁部に、1列の紐孔群をそれぞれ設け、前記切欠部を塞ぐ舌片を取付け、前記紐孔群の上方より1番目と2番目の紐孔に紐を挿通して対のループを設け、この両ループをフックで係止して紐を所要の締結状態にロックして、磁石の成分を含む靴紐の先端部分3を、胛被の鉄を埋め込んだ部分4に接合させて、靴紐が地面につくのを防ぐ。
具体的には、図1に示した靴紐の先端の磁石部分3として筒状の内径1mm外径2mm長さ10mmにして、この中に靴紐を通してエポキシ接着剤で固定する。また胛被に備え付ける磁性部品4として、筒状の内径2.2mm外径3mm長さ5mmのものにして靴に縫い付ける。この靴の胛被に縫いつけた筒状磁石に靴紐の先端に接着固定する。
この際、胛被に備え付ける磁性部品4として、パーマロイにし、靴紐の先端の磁石部品3をバリウムフェライトを含んだプラスチック磁石にして、靴紐の先端に付けた磁石部品3のバリウムフェライトの保磁力や飽和磁束密度を変えて、この二つの磁気的な引力を評価した結果、表のようになった。バリウムフェライトの組成としてBa1−xZnFe1219の組成を変えて、保磁力を変えて、飽和磁束密度はポリフェニレンサルファイドの樹脂量を変えて調節を行った。この結果、少なくとも保磁力は40000A/m以上あることが望ましいことが分かった。また飽和磁束密度0.1T以上あることが望ましいことが分かる。
【0013】
【表1】

【実施例2】
【0014】
図3は、本発明の実施例2の実施形態を示す上面図であり、図4は、本発明の実施例2の実施形態を示す斜視図であり、図5は本発明の実施例2の靴紐の両端部分の部分拡大図である。
【0015】
従来の紐靴の、特に素材を限定しない靴紐7の先端部分9と10の片方を磁石、もう一方を鉄で作る。もしくは磁石の成分、鉄の成分を混ぜて作る。
【0016】
紐靴を使用する際には、靴紐の両端9と10を接合させて、靴紐が地面に接触するのを防ぐ。
【実施例3】
【0017】
図6は、本発明の実施例3の実施形態を示す斜視図である。
【0018】
従来の紐靴の胛被15の任意の部分の内側に薄い鉄のプレートを埋め込んだ靴紐との接合部分14を設ける。
【0019】
また、靴紐13は綿や化繊などの特に限定しない素材に磁石の成分を混ぜて作る。
【0020】
紐靴を使用する際には、磁石の成分を含む靴紐13を、胛被の鉄を埋め込んだ部分14に接合させて、靴紐が地面につくのを防ぐ。
【実施例4】
【0021】
図7は、本発明の実施例4の実施形態を示す上面図である。
【0022】
従来の紐靴の舌片18は、薄い鉄のプレートを埋め込むか、鉄の成分を混ぜて作る。
【0023】
また、特に素材を限定しない靴紐20の先端部分19を、磁石で作る。若しくは、磁石の成分を混ぜて作る。
【0024】
紐靴を使用する際には、磁石の成分を含む靴紐の先端部分19を、鉄の成分を含む舌片18に接合させて、靴紐が地面につくのを防ぐ。
【実施例5】
【0025】
図8は、本発明の実施例5の実施形態を示す斜視図である。
【0026】
従来の紐靴の胛被26の任意の部分の内側若しくは外側若しくは両側に、靴紐との接合部分となる磁性を持つ筒状の固定部28を設ける。
【0027】
また、特に素材を限定しない靴紐25の先端部分27を、磁石で作る。若しくは、磁石の成分を混ぜて作る。
【0028】
紐靴を使用する際には、磁石の成分を含む靴紐の先端部分27を、磁性を持つ筒状の固定部28に通して接合させて、靴紐が地面につくのを防ぐ。
【産業上の利用可能性】
【0029】
一般的に紐靴は広く普及しているが、靴紐の先端が地面に接触して汚れたり、余った靴紐を利用者自身が踏んでしまい転倒等の原因になっていた。本発明では磁石の接合力を用いて靴紐を靴の表面に保持させる為、これらの問題を回避でき、また靴紐を靴の表面に接着させるのは容易に行える為、産業上の利用価値は高いと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示す上面図。(実施例1)
【図2】本発明の実施形態を示す斜視図。(実施例1)
【図3】本発明の実施形態を示す上面図。(実施例2)
【図4】本発明の実施形態を示す斜視図。(実施例2)
【図5】本発明の実施形態を示す部分拡大図。(実施例2)
【図6】本発明の実施形態を示す斜視図。(実施例3)
【図7】本発明の実施形態を示す上面図。(実施例4)
【図8】本発明の実施形態を示す斜視図。(実施例5)
【符号の説明】
【0031】
1 靴紐
2 胛被
3 磁石の成分を含む靴紐の先端部分
4 胛被の鉄を埋め込んだ部分
5 履き口
6 底
7 靴紐
8 胛被
9 磁石、または鉄の成分を含む靴紐の先端部分
10 磁石、または鉄の成分を含む靴紐の先端部分
11 履き口
12 底
13 磁石の成分を含む靴紐
14 胛被の鉄を埋め込んだ部分
15 胛被
16 履き口
17 底
18 鉄の成分を含む舌片
19 磁石の成分を含む靴紐の先端部分
20 靴紐
21 胛被
22 履き口
23 履き口
24 底
25 靴紐
26 胛被
27 磁石の成分を含む靴紐の先端部分
28 磁性を持つ筒状の固定部
29 舌片
30 舌片
31 舌片
32 舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴本体のはき口切欠部の対向する両側縁部に、1列の紐孔群をそれぞれ設け、前記切欠部を塞ぐ舌片を取付け、前記紐孔群の上方より1番目と2番目の紐孔に紐を挿通して対のループを設け、この両ループをフックで係止して紐を所要の締結状態にロック可能とした靴において、紐の先端は磁性を持つものにして、靴の一部に磁性を持つ固定部を形成し、そこに紐の先端を磁気的な力で固着させ、紐を固定化することを特徴とする靴。
【請求項2】
靴本体のはき口切欠部の対向する両側縁部に、1列の紐孔群をそれぞれ設け、前記切欠部を塞ぐ舌片を取付け、前記紐孔群の上方より1番目と2番目の紐孔に紐を挿通して対のループを設け、この両ループをフックで係止して紐を所要の締結状態にロック可能とした靴において、紐の先端は磁性を持つものにして、双方の紐の先端部分の磁性を持つ部分を近付け、双方を磁気的な力で固着させ、紐を固定化することを特徴とする靴。
【請求項3】
請求項1,2において、紐の先端に磁性を持たせる方法として、紐を構成する樹脂自体にフィラーとしてFe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませたものであることを特徴とする締結用の紐。
【請求項4】
請求項1,2において、紐の先端に磁性を持たせる方法として、紐の先端にFe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませたものを付けたことを特徴とする締結用の紐。
【請求項5】
請求項1において、靴の一部に磁性を持つ固定部として、Fe,Ni,Coを主成分に含む保磁力が40000A/m以上の金属または金属酸化物を樹脂量に対して5重量パーセント以上含ませた部品よりなることを特徴とする締結用の紐の固定部。
【請求項6】
請求項5において、靴の一部に磁性を持つ固定部の形状として、固定部が筒状より形成され、その筒の中に紐の磁性のある先端部分を挿入し、磁気的な力により筒状の固定部に固定化することを特徴とする固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−11968(P2008−11968A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184333(P2006−184333)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(305058379)
【Fターム(参考)】