説明

均し装置

【課題】 容器内の食品材料などの被均し材料を振動のみで適正に均すことのできる均し装置
【解決手段】 角皿状の容器1に収容した粒体、粉体の被均し材料2を表面が水平になるように均す装置で、容器1を水平な一方向Xに往復動可能に保持する容器保持ユニット10と、容器保持ユニット10に水平な一方向Xに振動を与える振動発生ユニット30を備える。容器保持ユニット10の上方に、複数の容器1を水平に整列させて位置決め保持するトレイ3を設置する。トレイ3に対して容器保持ユニット10を上昇させてトレイ3から容器1を持ち上げ、その状態で振動発生ユニット30を作動させて容器保持ユニット10を水平な一方向Xに振動させる。振動発生ユニット30は、一対の偏心重り31を互いに逆回転させることで、振動板13を水平一方向Xに方向規制して振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された食品材料や医薬品材料などの粉状又は粒状材料の表面高さを均す均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性プラスチック容器を用いたレトルト食品の製造ラインに、容器内の被均し材料である粒状又は粉状の食品材料を均等な高さに均す均し工程がある。この均し工程で用いられる均し装置は、容器をバイブレーターや振動板を使って振動させる均し装置(例えば、特許文献1参照)と、容器に収容された被均し材料に直接に接触する押圧板やスキージのような均し用外部部材を使用した均し装置(例えば、特許文献2参照)が一般的である。
【0003】
例えば、ご飯のレトルト食品の製造ラインには、丸形や角形の皿状容器に定量の洗米・浸漬済み米粒を投入する工程ある。複数の容器を水平なトレイ上に整列させ、複数の各容器に米投入機から定量の洗米・浸漬済み米粒を投入して、各容器の底面上に定量の米粒を山盛り状に収容する。この後、山盛り状の米粒の表面高さが均等になるように均しが行われて、容器に定量の炊飯用水が注入される。トレイと共に複数の各容器が炊飯釜に搬入され、炊飯が行われる。炊飯後、釜からトレイと各容器を取り出し、複数の各容器の開口を樹脂製フィルムで封口して、レトルト食品が製造される。炊飯前に各容器内の山盛り状の米粒を均すことで、定量の米粒の全体を水面下に沈めるようにして、後の炊飯やフィルム封口が良好に行えるようにしている。
【特許文献1】特開2004−155516号公報
【特許文献2】特開平10−276750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器をバイブレーターで直接的に水平方向に振動させる均し装置は、容器に作用する水平な振動方向が一方向に定まらないため、均し斑が生じることがある。即ち、バイブレーターの回転軸で発生する振動は、軸回転方向に対して360°の全方向で発生するため、容器内の米粒等の被均し材料に水平方向に遠心力が働いて、容器の内壁面へと偏り、均し斑が生じる場合がある。また、容器をバイブレーターと振動板で上下に振動させる均し装置は、容器内の被均し材料に水平方向に遠心力が作用しないので均し斑の発生が少ない。しかし、容器を上下に振動させるために容器および容器内の被均し材料が飛び跳ねる不具合がある。この飛び跳ねは、容器を押え部材で押さえることで抑制できるが、押え部材に米が接触するために、1回の均し動作毎に押え部材を洗浄して、次の均し動作時に容器内に異物が混入しないようにしなければならない不具合がある。また、1枚の長尺な振動板に複数の容器を並べて同時に振動させる場合、振動板の中央部と両端部で振動差が生じ、複数の容器での均一な均し動作が難しい。
【0005】
また、容器内の山盛り状の被均し材料の表面を平坦な押圧板で押圧して均す均し装置や、容器内の被均し材料に対して相対的に水平移動するスキージで均す均し装置は、上記したような振動に伴う不具合は無い。しかし、1回の均し動作毎に容器内の被均し材料に接触する押圧板やスキージのような均し用外部部材を洗浄して、均し動作時に容器内に異物が混入しないようにしなければならない問題がある。
【0006】
本発明の目的は、容器内の被均し材料を振動のみで適正に均すことのできる均し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器に振動を与えて容器に収容した粉状又は粒状被均し材料の表面高さを均す均し装置で、容器を水平な一方向に往復動可能に保持する容器保持ユニットと、容器保持ユニットに対して水平方向に回転可能に軸着された一対の偏心重りを有し、当該一対の偏心重りの回転軸を互いに結ぶ直線を前記往復動方向と直交する水平方向に一致させ、かつ、一対の偏心重りを位相を同期させて互いに逆方向に回転させて容器保持ユニットに往復動方向の振動を与える振動発生ユニットとを具備したことを特徴とする。
【0008】
ここで、被均し材料は、容器の底面に供給すると少し盛り上がった状態になる粒状又は粉状の食品材料、医薬品材料、工芸品材料などが適用される。容器は、定量の被均し材料が投入或いは注入されると盛り上がった状態になる角形や丸形の皿状容器が適用できる。被均し材料を収容した単数又は複数の容器を、それぞれ水平な状態で容器保持ユニットに取付ける。容器保持ユニットは、単数又は複数の容器を着脱自在に位置決め保持する水平な振動板を備えた構造とすることができる。振動発生ユニットは、容器を保持した容器保持ユニットを水平な一方向に往復動させて振動させる。振動発生ユニットは、容器保持ユニットの上記振動板に一対の偏心重りを軸着し、一対の偏心重りをモーターで回転させる構造にすることができる。一対の偏心重りの回転軸同士を歯車結合させて、一対の偏心重りを位相を同期させて同速で互いに逆方向回転させることで、容器保持ユニットに水平な一方向に振動が与えられる。この振動が容器に与えられて、容器内の被均し材料が、その表面高さが均等になるように均される。一対の偏心重りは、連続して回転することで容器保持ユニットに所定の水平な一方向に積極的に振動を与えると共に、この振動方向と直交する水平な方向での振動を抑制する。そのため、容器保持ユニットと容器の水平な一方向での振動を適格に行うことが容易になり、振動のみで容器内の被均し材料を適正に均すことが容易になる。また、一対の偏心重りの重量、回転速度を調整することで、容器の振動加速度、振幅、振動周波数が被均し材料の材質、量に適合するように調整することができる。
【0009】
本発明においては、複数の容器を同時に振動させる均し装置として、次の構成とすることができる。容器保持ユニットの上方に、複数の容器を水平に整列させて位置決め保持するトレイを間欠的に搬送するトレイ搬送ラインを設け、容器保持ユニットの上方定位置に間欠搬送されたトレイに対し容器保持ユニットを相対的に上昇させることでトレイ上の複数の容器を容器保持ユニットで保持して、当該容器保持ユニットに振動発生ユニットで振動を与える構成とすることができる。この場合、容器保持ユニットは、トレイとの相対的な上昇にてトレイに保持された複数の容器それぞれをトレイから持ち上げて保持する複数の容器受けを一体に有する構造にすることができる。
【0010】
ここでのトレイは、複数の容器を整列させて水平に着脱自在に保持する水平トレイで、保持した複数の容器を均し工程、熱処理工程などの各種製造工程に搬送する。また、トレイは、複数の容器をそれぞれに位置決め保持する位置決め手段を備える。トレイに対して容器保持ユニットを相対的に上昇させて、トレイに保持された複数の容器を容器保持ユニット側で受け取り、トレイから持ち上げた状態で保持する。トレイと容器保持ユニットの相対的な上下動は、定位置のトレイに対して容器保持ユニットを上下動させる、或いは、定位置の容器保持ユニットに対してトレイを上下動させることで行うことができる。実際には、容器保持ユニットにユニット全体を定ストロークで上下動させる昇降機構を付設して、定位置のトレイに対して容器保持ユニット側を上下動させる機構が望ましい。容器保持ユニットで複数の容器を同時に振動させ、複数の容器内の被均し材料を同時に均す。容器保持ユニットは、トレイを振動させることなく容器のみを振動させるため、振動させるための動力が少なくて済み、振動動作が安定する。
【0011】
また、本発明において、振動発生ユニットは、一対の偏心重りの側方の定位置に設置されたモーターの駆動軸と、当該モーター駆動軸の回転力を一対の偏心重りの回転軸に伝達する無端ベルトを有する構造とすることができる。また、振動発生ユニットに、その往復動方向と直交する方向の正方向および逆方向で振動発生ユニットを附勢する一対の引張りばね材を備えた自動調心機構を付設することができる。
【0012】
ここでの振動発生ユニットのモーターは、所謂バイブレーターであり、駆動軸を高速回転させる。駆動軸と一つの偏心重りの回転軸の一方とに無端ベルトが張設される。一対の偏心重りの回転軸が歯車で結合され、一方の回転軸が無端ベルトで回転駆動されると、他方の回転軸が歯車を介して逆方向に回転する。無端ベルトは、振動発生ユニットに対する容器保持ユニットの相対的な上下動による変位を吸収して、モーター駆動軸と偏心重りの回転軸間の回転動力伝達を安定したものにする。また、自動調心機構の一対の引張りばね材は、偏心重りが回転するときと偏心重りの回転が停止するときの振動発生ユニットの姿勢を安定させ、容器保持ユニットを安定した姿勢で振動させる。
【0013】
本発明においては、被均し材料を収容する容器は、容器保持ユニットが往復動する一方向に平行な内壁面を有する角皿状容器が適用できる。また、この容器に収容する被均し材料は、炊飯前の米粒の食品材料が適用できる。
【0014】
ここでの容器は、4辺の内壁面の角部がアール状にした略長方形の角皿状容器である。この容器内に定量の洗米・浸漬済み米粒を収容し、容器を水平な一方向に振動させる。すると、容器の振動方向と平行な対向する二内壁面に沿って米粒が均され、全体が良好に均される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振動発生ユニットの一対の偏心重りの回転で容器保持ユニットを水平な一方向に正確に振動させ、かつ、一対の偏心重りの重量、回転数の調整で容器を容器内の被均し材料の材質、量に適合した振幅、振動加速度、振動周波数で振動させることができるので、容器内の被均し材料の表面高さを一定にする均し動作が正確にして安定して行えるという優れた効果を奏し得る。
【0016】
また、容器に水平一方向に振動させるのみで均し動作ができるので、容器内の被均し材料に押圧板などの外部部材を接触させる必要がなくなり、1回の均し動作毎に外部部材を洗浄するといった余分な作業工程が省略できる。さらに、外部部材接触による異物混入を嫌う米粒のような食品材料においては、振動を与えるのみで正確に均せるので、食品衛生管理上に有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図1〜図12を参照して説明する。
【0018】
図1〜図3に示す均し装置は、複数の容器1に同時に水平方向に振動を与えて、各容器1に収容した粉状又は粒状の被均し材料2をその表面高さを均等にするように均す。この均し装置は、ご飯のレトルト食品の製造ラインに設置されるもので、容器1を水平な一方向Xに往復動可能に保持する容器保持ユニット10と、容器保持ユニット10に水平な一方向Xに振動を与える振動発生ユニット30を有する。
【0019】
容器保持ユニット10の上方に、複数の容器1を水平に整列させて位置決め保持するトレイ3を間欠的に搬送するトレイ搬送ラインLを設置する。トレイ搬送ラインLは、図1の鎖線で示す搬送体4を備え、搬送体4でトレイ3を水平に支持して水平なトレイ搬送ラインL方向に間欠搬送する。トレイ搬送ラインLがご飯のレトルト食品の製造ラインである場合、トレイ搬送ラインLの定位置に、容器1に収容した被均し材料2(洗米・浸漬済みの米粒)を振動のみで均す均しポジションPが設置される。均しポジションPの前ポジションに、トレイ上の複数の容器内に定量の洗米・浸漬済み米粒を投入する作業ポジションが設置される。均しポジションPの後ポジションに、容器内に炊飯用水を注入する作業ポジションが設置される。これら複数の各作業ポジションにトレイ3が、複数の容器1を水平に保持した状態で間欠搬送されて、ご飯のレトルト食品が製造される。
【0020】
トレイ搬送ラインLの均しポジションPに、容器保持ユニット10と振動発生ユニット30が上下二段構造で設置される。複数の容器1を保持したトレイ3がトレイ搬送ラインLを間欠送りされ、均しポジションPにトレイ3が単数ずつ間欠搬送されて停止する。均しポジションPで単数のトレイ3が停止すると、容器保持ユニット10と振動発生ユニット30が作動して、トレイ3に保持された複数の容器1がトレイ3から持ち上げられ、容器保持ユニット10側に保持される。複数の容器1を保持した容器保持ユニット10に振動発生ユニット30で振動を与えられて、複数の各容器1が水平な一方向Xに往復動して振動する。
【0021】
容器1は、耐熱性のプラスチック容器である。容器1は、角皿状の容器本体1aの上端開口縁にフランジ部1bを一体に有する。容器本体1aの底面に定量の被均し材料2の米粒が山盛り状に収容される。容器本体1aは、例えば図11と図12に示すようにフラットな長方形の底面1cと、底面1cの四辺から縦断面1/4円弧状に屈曲して上方に延在する四内壁面1d〜1gを有する。対向する二内壁面1d、1fは、他の対向する二内壁面1e、1gより少し長く、隣接する二内壁面1dと1e、1eと1f、1fと1g、1gと1dの間は横断面1/4円弧状の屈曲壁面である。長い方の二内壁面1d、1fが容器保持ユニット10の往復動方向(水平な一方向X)に平行になるよう、複数の各容器1がトレイ3上に整列させて配置される。
【0022】
図1〜図3に示すトレイ3は、水平な一方向Xに長尺な矩形枠部3aと、矩形枠部3aの対向二枠間に並列に固定した複数の容器搭載部3bを有する。容器搭載部3bはリップみぞ形鋼形状で、各容器搭載部3b上に複数の容器1が一列に位置決めされて着脱自在に保持される。各容器搭載部3bそれぞれで6個の容器1を保持して、トレイ全体で計6×4=24個の容器1を保持する。各容器搭載部3bの容器搭載箇所には、例えば図8に示すような十文字状の作業穴5が形成される。作業穴5は、容器保持ユニット10に設けた後述する十文字状の容器受け16が上下方向に貫通する穴である。
【0023】
容器保持ユニット10は、均しポジションPの下方定位置に設置された昇降機構11と、昇降機構11に支持されて定ストロークで上下動する水平な矩形枠状の昇降台12と、昇降台12上に水平な一方向Xに往復動可能に設置された水平な振動板13を備える。昇降機構11は、水平な一方向Xで並ぶ一対のシリンダ11aと、各シリンダ11aから真上に延在する昇降ロッド11bを備える。一対の昇降ロッド11bの上端に昇降台12が固定される。矩形枠状の昇降台12の四隅部上に、水平一方向Xに平行な外ガイド14が設置される。昇降台12の中央部の左右2箇所に、水平一方向Xに平行な内ガイド15が設置される。4つの外ガイド14と2つの内ガイド15の各々は、振動板13を水平一方向Xに往復動可能に支持するLMガイドである。外ガイド14は、昇降台12上に固定した下レールと、振動板13の下面に固定した上レールを水平一方向Xに相対往復移動可能に嵌合させている。内ガイド15は、昇降台12上に固定した下レールと、振動板13の下面に固定した上レールを水平一方向Xに相対往復移動可能に嵌合させている。このような複数の各ガイド14,15は、昇降台12上に振動板13を安定した水平な姿勢で保持し、かつ、水平一方向Xに振動方向を規制する。
【0024】
振動板13は硬質の矩形板で、上面の複数箇所(6×4=24箇所)に容器受け16を突設する。容器受け16は、振動板13上に高さ調整可能に固定された支柱部16aと、支柱部16aの上端に固定された十文字状の受け部16bを有する。受け部16bは、1つの容器1を下方から受け取り、水平な姿勢で保持するもので、容器1の4辺の外壁面の中央部分に当接する係止爪片16cを有する。4つの係止爪片16cを容器1の四外壁面に係止させることで、受け部16bに容器1が位置ずれすることなく安定に保持され、受け部16bの水平方向の振動が容器1に直接に伝達される。トレイ3がトレイ搬送ラインLの均しポジションPに間欠搬送されて停止したとき、このトレイ3の6×4=24箇所の作業穴5の真下に振動板13上の6×4=24箇所の容器受け16が位置する。この状態で昇降機構11が昇降台12を定ストローク上昇させると、昇降台12と一体に振動板13が上昇し、各容器受け16の受け部16bがトレイ3の対応する作業穴5を上方に貫通する。受け部16bが作業穴5を貫通する間に、作業穴5の近辺に搭載されていた容器1が受け部16bに保持され、そのまま容器1がトレイ3より持ち上げられる。このように容器1をトレイ3より上方に持ち上げた状態で、容器保持ユニット10が振動発生ユニット30で水平な一方向Xに振動が与えられる。
【0025】
振動発生ユニット30の具体例を図4〜図6に示す。振動発生ユニット30は、容器保持ユニット10の振動板13の下面中央部に軸着された一対の偏心重り31と、一対の偏心重り31を回転させる回転駆動機構32と、自動調心機構33を有する。
【0026】
一対の偏心重り31は、振動板13の下面中央部に回転自在に連結された一対の平行な回転軸35のそれぞれに固定された水平なアンバランスウエイトである。一対の回転軸35のそれぞれの中心線を結ぶ直線が、振動板13の往復動方向(水平一方向X)と直交する水平方向に一致するように、一対の回転軸35が振動板13に並列に連結される。一対の偏心重り31の回転軸35の各々に平歯車36が同軸に固定される。一対の平歯車36は、互いに噛合している。一対の回転軸35の一方にプーリー37が同軸に固定される。プーリー37を回転駆動機構32で回転させると、一対の回転軸35が位相を同期させて互いに逆方向に回転し、この回転軸35と一体に一対の偏心重り31が位相を同期させて互いに逆方向に回転する。一対の偏心重り31の回転で、図7で後述するように振動板13に水平一方向Xに規制された振動が与えられる。一対の偏心重り31の重量、回転数は調整可能であり、重量と回転数を調整することで、振動板13の振幅、振動加速度、振動周波数が適宜に調整される。
【0027】
回転駆動機構32は、一対の偏心重り31の並び方向側方の定位置に設置されたモーター41と、モーターの減速部42の回転力を一対の偏心重り31の一方の回転軸35に伝達する無端ベルト44を有する。無端ベルト44は、一方の回転軸35のプーリー37とモーター側のプーリー43間に張設されたタイミングベルトである。無端ベルト44は、定位置の駆動軸42に対して上下動する偏心重り31と一体で上下し、偏心重り31の水平一方向Xに往復振動する水平変位を吸収するに十分な長さに設定される。
【0028】
自動調心機構33は、振動発生ユニット30を水平一方向Xの正方向(+X方向)および逆方向(−X方向)で常時弾力を附勢する一対の引張りばね材55を備える。一対の引張りばね材55は、水平一方向Xに一直線状に配置され、それぞれの外側端が昇降台12の下面に固定されたばねサポート56に連結され、それぞれの内側端が振動板13の下面に固定されたばね取付部57に連結される。一対の引張りばね55は、昇降台12に対する振動板13の非振動時の位置を定位置に安定させる(自動調心)。さらに、一対の引張りばね材55は、一対の偏心重り31が回転する振動開始時と、一対の偏心重り31の回転が停止する振動停止時に振動板13の姿勢を安定させる。これにより振動発生ユニット30で容器保持ユニットをより安定した姿勢で振動させる。
【0029】
次に、上記実施の形態の均し装置による均し動作を説明する。
【0030】
複数の容器1を保持したトレイ3がトレイ搬送ラインLの均しポジションPに搬入されて停止すると、容器保持ユニット10の昇降機構11が作動して、昇降台12を図2および図3の下限位置から定ストローク上昇させる。昇降台12の上昇で振動板13と容器受け16が一体となって上昇する。この上昇過程を図9(A)、(B)と図10(A)、(B)に示す。図9(A)と図10(A)は容器受け16が下限位置にあるときで、トレイ3の容器搭載部3bに形成した作業穴5の真下に容器受け16が位置する。トレイ3の容器搭載部3bに位置決め保持されている容器1には、図11(A)に示すように、定量の被均し材料2が収容されている。このときの被均し材料2は、少し山盛り状になっている。振動板13と共に容器受け16が上昇すると、容器受け16の十文字状の受け部16bが作業穴5を上方へと貫通する。この貫通の途上で受け部16bが容器搭載部3bに保持されていた容器1を下から受け取り、そのまま保持する。振動板13と容器受け16が上限位置まで上昇すると、図9(B)、図10(B)に示すように受け部16bが容器1を容器搭載部3bから持ち上げ、容器搭載部3bから離脱させる。この状態で、振動発生ユニット30が作動開始する。
【0031】
振動板13の上昇で、振動発生ユニット30の一対の偏心重り31も振動板13と一体的に上昇する。振動発生ユニット30のモーター41は昇降台12にあるため、モーター41に対して偏心重り31も同様に上昇する。
【0032】
振動発生ユニット30のモーター41が作動して、駆動軸42が所定の一方向に回転し、一対の偏心重り31が位相同期して互いに逆方向に同速で回転する。その要領を、図7(A)〜(C)に示す。図7(C)は、無端ベルト44の平面図で、駆動軸42のプーリー43の回転力を一対の偏心重り31の一方の回転軸35のプーリー37に伝達する。一方の回転軸35の回転力が図7(B)に示す一対の平歯車36を介して他方の回転軸35に伝達されて、一対の回転軸35が互いに反対方向に回転する。一対の回転軸35の回転と一体となって、一対の偏心重り31が水平面に沿って互いに反対方向に回転する。
【0033】
図7(A−1)の実線に示す一対の偏心重り31は共に水平一方向Xの正方向(+X方向)に回転移動したときのもので、両偏心重り31の遠心力で一対の各回転軸35に共に水平一方向Xの正方向に振動力が加わり、振動板13が水平一方向Xの正方向に振動する。図7(A−1)の一対の偏心重り31が共に180°回転すると、図7(A−1)の鎖線で示すように一対の偏心重り31が水平一方向Xの逆方向(−X方向)に回転移動する。このとき、両偏心重り31の遠心力で一対の各回転軸35に共に水平一方向Xの逆方向に振動力が加わり、振動板13が水平一方向Xの逆方向に振動する。
【0034】
図7(A−2)の実線に示す一対の偏心重り31は、共に水平一方向Xから+90°と−90°で回転したときのものである。この両者は共に内方へと回転移動するため、一対の回転軸35に水平一方向Xと直交する水平な内方向に振動力を加えるが、この両者の振動力は方向が逆で、振動板13を介して打ち消し合う。この一対の偏心重り31が180°回転して、図7(A−2)の鎖線に示すように互いに外方に回転移動した場合も、回転軸35に作用する振動力が互いに打ち消し合う。
【0035】
以上のようにして一対の偏心重り31が水平方向に回転することで、振動板13が水平一方向Xに積極的に振動し、水平一方向Xと直交する水平方向の振動は積極的に抑制される。また、振動板13は、昇降台12上に複数のガイド14,15に水平一方向Xに方向規制されて保持されているため、水平一方向Xに方向規制されて安定して振動する。振動板13の振動は、複数の容器受け16を介して複数の容器1の個々に直接的に伝達される。各容器1は、容器受け16の受け部16bに四外壁面が挟持されるように保持されているので、受け部16bに対してがた付くこと無く容器受け16と一体的に振動する。
【0036】
図12に示すように、容器1の振動方向である水平一方向Xは、角皿状容器1の長尺な内壁面1d、1fと平行な方向である。そのため、容器1内の被均し材料2は二内壁面1d、1fと平行な方向に拡がり、最終的に図11(B)に示すように表面高さが均等となるように均される。
【0037】
被均し材料2が洗米・浸漬済み米粒である場合、上述の均しに要する振動の振幅は±0.5mmが望ましい。このような水平一方向Xでの水平振動による振動板13の変位は、無端ベルト44の微小な変位で吸収され、無端ベルト44の回転力伝達機能は損なわれない。また、容器1の振動時間は、被均し材料2である洗米・浸漬済み米粒の材質、量にもよるが、概ね1〜3秒である。さらに、被均し材料2の材質、量により決まる最適な振動条件(振幅、振動加速度、振動周波数)があり、この条件により適合するように一対の偏心重り31の重量と回転数(モーター回転数)を設定しておくことが可能であり、望ましい。このように振動条件を設定することで、1回の振動時間を短縮することができる。
【0038】
なお、容器1の振動方向を、容器内の長尺な内壁面1d、1fと平行な方向に設定したが、他の二内壁面1e、1gと平行な方向にしても、被均し材料2の均しはできる。しかし、この場合、内壁面1d、1fへと拡げて均すことになるので、少し時間が掛かる。また、容器1は角皿状で説明したが、他の形状例えば図示しない丸皿状容器においても洗米・浸漬済み米粒の均しは良好に行える。
【0039】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態を示す均し装置とトレイの平面図である。
【図2】図1装置の側面図である。
【図3】図1装置の正面図である。
【図4】図1装置の振動発生ユニットを説明するための正面図である。
【図5】図4の振動発生ユニットの部分拡大側面図である。
【図6】図5の振動発生ユニットの偏心重り部分の平面図である。
【図7】(A−1)〜(C)は、図5の振動発生ユニットの各部分での動作を説明するための部分平面図である。
【図8】図1装置におけるトレイの部分拡大平面図である。
【図9】(A)は図1装置におけるトレイの部分拡大断面図、(B)は動作時の断面図である。
【図10】(A)は図1装置におけるトレイの別方向からの部分拡大断面図、(B)は動作時の断面図である。
【図11】(A)は振動前の容器と容器受けの側面図、(B)は振動後の側面図である。
【図12】容器の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 容器
2 被均し材料、米粒
3 トレイ
3a 枠部
3b 容器搭載部
5 作業穴
10 容器保持ユニット
11 昇降機構
12 昇降台
13 振動板
14,15 ガイド
16 容器受け
30 振動発生ユニット
31 偏心重り
32 回転駆動機構
33 自動調心機構
35 回転軸
36 平歯車
37 プーリー
41 モーター
43 プーリー
44 無端ベルト、タイミングベルト
55 引張りばね材
56 ばねサポート
57 ばね取付部
L トレイ搬送ライン
P 均しポジション
X 水平な一方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に振動を与えて前記容器に収容した粉状又は粒状被均し材料の表面高さを均す均し装置で、
前記容器を水平な一方向に往復動可能に保持する容器保持ユニットと、
前記容器保持ユニットに対して水平方向に回転可能に軸着された一対の偏心重りを有し、当該一対の偏心重りの回転軸を互いに結ぶ直線を前記往復動方向と直交する水平方向に一致させ、かつ、前記一対の偏心重りを位相を同期させて互いに逆方向に回転させて前記容器保持ユニットに前記往復動方向の振動を与える振動発生ユニットと、
を具備したことを特徴とする均し装置。
【請求項2】
前記容器保持ユニットの上方に複数の前記容器を水平に整列させて位置決め保持するトレイを間欠的に搬送するトレイ搬送ラインを設け、前記容器保持ユニットの上方定位置に間欠搬送された前記トレイに対し前記容器保持ユニットを相対的に上昇させることで前記トレイ上の複数の前記容器を前記容器保持ユニットで保持し、当該容器保持ユニットを前記振動発生ユニットで振動させることを特徴とする請求項1に記載の均し装置。
【請求項3】
前記容器保持ユニットは、前記トレイに対する相対的上昇にてトレイに保持された複数の前記容器それぞれを前記トレイから持ち上げて保持する複数の容器受けを一体に有することを特徴とする請求項2に記載の均し装置。
【請求項4】
前記振動発生ユニットは、前記一対の偏心重りの側方の定位置に設置されたモーターの駆動軸と、当該モーター駆動軸の回転力を前記偏心重りの回転軸に伝達する無端ベルトを有することを特徴とする請求項2または3に記載の均し装置。
【請求項5】
前記振動発生ユニットは、前記往復動方向と直交する方向の正方向および逆方向で振動発生ユニットを附勢する一対の引張りばね材を備えた自動調心機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の均し装置。
【請求項6】
前記容器は、前記往復動方向に平行な内壁面を有する角皿状容器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の均し装置。
【請求項7】
前記被均し材料が、炊飯前の米粒の食品材料であることを特徴とする請求項6に記載の均し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−331791(P2007−331791A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165081(P2006−165081)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】