説明

垂直に上下に少なくとも2つの印刷装置を有する印刷機の印刷ユニットの印刷装置および印刷ユニット

それぞれインキ装置の少なくとも1つのインキ塗布ローラと、複数の並設したローラからなる湿し装置の湿し塗布ローラと、版胴と協働する転写胴とを備える版胴を有する印刷機の、垂直に上下に少なくとも2つの印刷装置を有する印刷ユニットの印刷装置。インキ塗布ローラと湿し塗布ローラとが少なくとも版胴の外套面に設定された作業状態で版胴を含む前記ローラの各中心線との断面で鈍角の開口角を形成し、湿し装置のローラ列の中の少なくとも最初と最後のローラの少なくとも中心点が転写胴の中心点から出る鋭角の開口角の範囲内にあるように湿し装置のローラが配設され、転写胴の中心点を通して延長する水平線が湿し装置のローラの中心点を含む開口角を下方で制限し、前記開口角が45゜以下になり、版胴の外套面に取り付けられる印刷版の版胴への供給が湿し塗布ローラとインキ塗布ローラとの間で緊締された鈍角の開口角の範囲内で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1,4、または58のプリアンブル記載の垂直に上下に少なくとも2つの印刷装置を有する印刷機の印刷ユニットの印刷装置および印刷ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によってオフセット輪転印刷機が知られており、1つの版胴に組み込まれたインキ装置の1つまたは複数のローラが、前記版胴に組み込まれた湿し装置に対して保守用自由空間を作るために旋回可能である。
【0003】
特許文献2によって印刷機の印刷装置が知られており、この場合は文献2の図1に示された実施形態でインキ装置のインキ塗布ローラとインキ装置の湿し塗布ローラとがそれらの版胴に対して寄りかかった作業状態で前記ローラの各中心線を通る断面に版胴から出る鈍角の開口角を形成する。版胴と協働する転写胴は、版胴に対して2倍の大きさの円周を有する。そこで文献2の図7に示された実施例において転写胴はH−印刷ユニットの中に対ごとに水平方向に互いに設定されており、インキ塗布ローラの1つの中心線が前記インキ塗布ローラに最も近く配設された湿し塗布ローラの中心線と共に版胴から出る鋭角の開口角を形成する。被印刷物は垂直走行でそれぞれ互いに当接する転写胴の間を通して案内されている。版胴への印刷版の供給方式に関しては前記文献は何も記載していない。
【0004】
特許文献3によって被印刷物の垂直走行による印刷機のU−印刷ユニットの中の印刷装置が知られており、インキ装置のそれぞれ2つのインキ塗布ローラとインキ装置の2つの湿し塗布ローラとが印刷装置の版胴に設置されており、インキ塗布ローラの1つの中心線が前記インキ塗布ローラに最も近く配設された湿し塗布ローラの中心線と共に版胴から出る鈍角の開口角を形成し、前記開口角の範囲内で版胴への近接を可能にする。版胴と該版胴に組み込まれた転写胴とはそれぞれ1つの近似的に同じ大きさの直径を有する。湿し装置はインキ装置のようにそれぞれ複数のローラ群を含むローラ列を有し、ローラ列群がそれぞれ本質的に垂直方向に配設されている。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10003290号A1明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第02/081219号A2明細書
【特許文献3】米国特許第3196788号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎をなす課題は、垂直に上下に少なくとも2つの印刷装置を有する印刷機の印刷ユニットの印刷装置および印刷ユニットを創ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明により請求項1,4、または58の特徴によって解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって達成し得る長所は、特に版胴が比較的小さい直径であり、それぞれが少なくとも1つの該版胴に設置されたインキ装置ローラならびに湿し装置ローラの存在にもかかわらず、特に印刷版の交換のために良好に近接できることにある。版胴に供給される印刷版は、該印刷版の先行する端部に形成されている曲げ加工された支承脚にもかかわらず版胴の外套面に開いた溝の中に確実に取り付けることができる。それによって版胴における装着作業または保守作業が軽減される。それにもかかわらず印刷ユニットは該印刷ユニットの垂直に連続する印刷箇所の間隔が短く、全体的に低い構造高を有する。従ってこの印刷ユニットはそのような構造高によってコンパクトに構成される。
【0008】
本発明の実施例を図面に表し、以下、より詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1から明らかなように、平板状の印刷版01は長さLと幅Bとを有する本質的に四角形の平面を有し、長さLは、たとえば400mmおよび900mmの間の値、好ましくは470mm〜630mmの値を、かつ幅Bは、たとえば少なくとも250mmの値を取ってよい。この平面は、印刷版01が取付状態で印刷機の版胴06の外套面07に載る(図2)以下載置面02と呼ばれる載置側面を有し、外套面07が版胴06の軸線方向に、たとえば2300mmまで、好ましくは1600mmまでの幅を有してよい。載置面02の裏側は印刷画像を付与したあるいは少なくとも印刷画像を付与できる作業面である。印刷版01は、好ましくはそれぞれ曲げ加工した支承脚13;14を有する2つの対向端部03;04を有し、端部03;04が載置面02を制限し、かつ支承脚13;14がそれぞれ好ましくは全部または少なくとも一部で印刷版01の幅Bにわたって延びる。印刷版01の載置面02は少なくとも長さLに沿って屈撓性であり、版胴06の外套面07への印刷版01の固定時に該印刷版の湾曲に適合可能である(図2)。従って印刷版01の取付状態で載置面02の長さLは版胴06の円周方向に延び、それに対して載置面02の幅Bは版胴06の軸線方向に延びる。
【0010】
図2に示したように、印刷版01の支承脚13;14は、たとえば保持装置、たとえば締付装置によって固定され、前記保持装置は好ましくは溝08の中に配設されており、溝08は通常版胴06の軸線方向へ延びる。版胴06の生産方向Pと同方向の印刷版01の端部03が該端部の先行する端部03と呼ばれ、それに対して対向端04は印刷版01の後行する端部04と呼ばれる。少なくとも印刷版に形成された支承脚13;14を有する印刷版01の端部03;04は、剛性の、たとえば金属材料、たとえばアルミニウム合金からなる。常法により印刷版01(図1)の材厚Dもしくは少なくとも支承脚13;14の材厚Dは数10分の1ミリメートルたとえば0.2mm〜0.4mm、好ましくは0.3mmになる。従って印刷版01は全体的にまたは少なくとも該印刷版の端部03;04で形状安定性の材料からなり、その結果、端部03;04は材料固有抵抗に対する屈撓性によって残留変形可能である。
【0011】
少なくとも印刷版01(図1)の端部03;04で、しかし好ましくは両方の端部03;04で、曲げ縁部11;12に沿ってそれぞれ1つの曲げ加工した支承脚13;14が形成されており、支承脚13;14は狭い、特にスリット状に形成された版胴06の軸線方向に延長する版胴06の中に配設された溝08(図2)の開口09の中に挿入可能であり、そこで好ましくは保持装置を利用して固定可能である。たとえば取り付けていない印刷版01の湾曲していない平坦な載置面02の長さLを基準として、該印刷版の端部03では支承脚13が曲げ縁部11で開口角α1、該印刷版の端部04では支承脚14が曲げ縁部12で開口角β1だけ曲げられており(図1)、開口角α1;β1は通常30゜および140゜の間にある。開口角α1が印刷版01の先行する端部03に割り当てられている場合、該開口角は好ましくは鋭角に形成されており、特に該開口角は45゜になる。印刷版01の後行する端部04での開口角β1はしばしば好ましくは80゜以上または鈍角に形成され、特に該開口角は85゜または135゜になる。先行する端部03で曲げ加工した支承脚13は、たとえば4mm〜30mmの範囲、特に4mmおよび15mmの間にある長さI13を有する。後行する端部04で曲げ加工した支承脚14は、たとえば4mm〜30mm、特に8mmおよび12mmの間にある長さI14を有し、むしろ溝08の開口09から支承脚13;14の可能な限り簡単な取出しを保証するために、より短い長さの寸法が有利になる。
【0012】
図2は、簡略断面図による外套面07と、前記外套面07に対してスリット幅Sを有する狭いスリット状の開口09を有する溝08と、を備える版胴06を示しており、スリット幅Sは好ましくは5mm以下であり、特に1mm〜3mmの範囲になる。開口09は版胴06の生産方向Pへ前縁部16と後縁部17とを有する。前縁部16から溝08へ向かって延びる内壁18と、版胴06の外套面07上で開口09で接する想定された接線T06との間で30゜および50゜の間、好ましくは45゜になる鋭角の開口角α2が形成されている。従って印刷版01の先行する端部03で曲げ加工した支承脚13は、開口09の前記前縁部16で、開口角α1が印刷版01の先行する端部03で好ましくは開口角α2に適合されているので、好ましくは形状嵌合式に掛吊可能である。同様の方法で印刷版01の後行する端部04が挙動する。後縁部17から溝08に向かって延びる内壁19と、版胴06の外套面07上で開口09で接する想定された接線T06との間に、80゜および95゜の間、好ましくは90゜しかしまたは120゜および150゜の間、好ましくは135゜になる開口角β2が形成されている。従って印刷版01の後行する端部04で曲げ加工された支承脚14が開口09の前記後縁部17で、開口角β1が印刷版01の後行する端部04で少なくとも近似的に開口角β2に適合されているので、好ましくは形状嵌合式に掛吊可能である。
【0013】
溝08の中に、たとえば好ましく旋回可能に支承された保持手段21と、好ましくは予緊締されたばね部材22とが配設されており、ばね部材22は、保持手段21をたとえば開口09で該開口の後縁部17に掛吊るされた後行する端部04で曲げ加工された支承脚14に対して押圧し、これによって支承脚14は後行する端部04で後縁部17から溝08に向かって延びる内壁19に保持される。
【0014】
保持手段21によって為された押圧を解除するために溝08の中に設定手段23が設けられており、前記設定手段は、その作動時に保持手段21をばね部材22の力に抗して方向転換する。保持装置は、それによって本質的に保持手段21と、ばね部材22と、設定手段23とから構成される。
【0015】
例として説明する版胴06は、その外套面07上に複数の好ましくは同種の印刷版01も配設可能であるように構成することができる。版胴06はその軸線方向に、たとえば6つまで、好ましくは2つまたは4つの平板状の印刷版01を並設して配置可能にすることができる。また版胴06上にその円周方向に1つ以上の印刷版01を取付け可能であることを考慮することができる。たとえば版胴06において2つの軸線方向に向かって延びる、版胴06の円周に互いに180゜だけオフセットして配設された開口09を有する溝08を設けることができる。その円周に沿って前後に配設された2つの印刷版01を有する版胴06の配置において、その一方の印刷版01の先行する端部03が一方の溝08の中に固定されており、それに対して同じ印刷版01の後行する端部04が他方の溝08の中に固定されている。これは前記印刷版またはその他の前記版胴06上に配設された印刷版01にも対応して当てはまる。また版胴06の軸線方向に並設された印刷版01は、互いにオフセットして配設することができ、たとえば個別的または群ごとにそれぞれ印刷版01の半分の長さLで配設することができるが、これはその他の溝08が、版胴06の円周に沿って両方の前記溝08と開口09とに対して、たとえば90゜だけオフセットして配設された帰属する開口09または少なくとも該開口の部分と共に版胴06の中に取り込むことを制限する。
【0016】
本発明を制限することなく本明細書は、たとえば新聞印刷に好適な、4つの印刷装置による2/2−印刷用に少なくとも1つの印刷ユニットを備えた輪転印刷機の例で続けられ、垂直に印刷ユニットを通して案内された被印刷物31の両側には垂直に上下にそれぞれ2つの印刷装置が配設されている。各印刷装置はそれぞれ1つの1倍の大きさの版胴06と、2倍の大きさの転写胴26とを有する。すなわち版胴06の直径と円周はそれぞれ少なくとも帰属する転写胴26の直径と円周の約半分だけの大きさである。同じ印刷ユニットに属する版胴06と転写胴26は、好ましくは4つの印刷装置の各々で構造上同一に形成されている。印刷ユニットは、好ましくはオフセット印刷方式で操業されるため、転写胴26は特にゴムブランケット胴26として形成されている。この種の2/2−印刷用に形成された印刷ユニットは、実際上しばしば8印刷装置式タワー型印刷機に上下に積み重ねられ、4/4−印刷用に、特に多色印刷用に使用される。印刷ユニットは、好ましくはH−印刷ユニットとして形成されているが、該印刷ユニットは前記印刷ユニットの全印刷装置用に共通の、その他の胴すなわち共通の対抗圧胴を備えたサテライト型印刷ユニットとして形成することもできる。しかしながらこの印刷ユニットは(図3ないし図7に示しているように)好ましくはゴム対ゴム印刷方式で、すなわち2つの隣接する印刷装置の転写胴26が、それらの間に被印刷物31を案内するように、互いに設置されている。いずれの場合も印刷箇所の間隔A26、すなわち2つの連続する転写胴26の一方と被印刷物31との間の接触箇所の間隔は、印刷ユニットの中に垂直に上下に配設された印刷装置によって可能な限り短くなり、前記間隔A26は、たとえば転写胴26の中心点M26が前記の垂直に上下に配設された印刷装置から互いに離間した寸法に相当する。たとえば間隔A26は転写胴26の直径D26の105%および150%の間、好ましくは120%および130%の間、特に125%になる。
【0017】
版胴06はそれぞれ1つの多ローラ式の、たとえば連続供給式インキ装置27として形成された、インキ容器28を備えるインキ装置27と湿し装置29、たとえば噴霧式ノズルバー24を備える噴霧式湿し装置29とが組み込まれており、湿し装置29は複数の並列させたローラ34、37、38を備えるローラ列から構成され、好ましくは3ローラ、しかしまた別法として4ローラで形成されている。印刷ユニットの各印刷装置の中に、湿し装置29と、インキ装置27と、転写胴26とが好ましくはそれぞれ、版胴06が印刷工程でその回転中に初めに湿し剤を湿し装置29から、その後インキをインキ装置27から受け取り、次いでこのインキを転写胴26に転写するように版胴06ごとにまとめられている。従って図3に示した印刷ユニットの例において、印刷ユニットを通る被印刷物31の通過方向に基づいて、印刷ユニットの中の下部の印刷装置の湿し装置29のローラ列は、印刷ユニットに内設されており、すなわち被印刷物31に対向する各版胴06の側に配設されており、それに対して、印刷ユニットの中の上部の印刷装置の湿し装置29のローラ列は、印刷ユニットに外設されており、すなわち被印刷物31から離間する各版胴06の側に配設されている。
【0018】
印刷ユニットの連続する印刷箇所の間の可能な限り短い間隔A26を有する印刷ユニットは、有利には全体的に低い構造高Hを有し、これが実質的にしばしば望まれているが、垂直に上下に配設された印刷装置の間の低い構造空間のために垂直の上部の印刷装置では、各版胴06に対する良好な近接性が残されるべきであり、また、版胴06が小さい直径D06しか持たない場合、その外設される湿し装置29の配列で問題が生じ得る(図3および4)。それらの直径D33;D34がそれぞれたとえば版胴06の直径D06の少なくとも50%、好ましくは60%および70%の間になる、版胴06に設置される湿し装置29とインキ装置27の塗布ローラ32;33;34と、版胴06と協働する2倍の大きさの転写胴26とは、すでに1倍の大きさの版胴06の比較的小さい円周の大部分を要求し、その結果、版胴06への印刷版01の供給に対して非常に少ない自由空間のみが残る。この問題は、印刷版01が、版胴06の中に取り込まれた開口09のあらゆる任意の角度位置ではなく完全に規定された角度位置でのみ確実に前記開口09の中に挿入可能であり、印刷版01が、そこで固定可能であるように曲げ加工された支承脚13,14を有する、ということによってさらに増強される。
【0019】
図3は、その他のより詳細な説明のために例示的に4つの印刷装置と全体的に垂直の構造高Hとを有する一点鎖線で取り囲んだH−印刷ユニットを示しており、図3右上に示した版胴06には、その端部03;04で曲げ加工した支承脚13,14を備えて取り付けられる印刷版01が図面右から到来して近接案内される。被印刷物31、好ましくは材料軌道31、特に紙軌道31は、隣接する転写胴26の間に図示した例で垂直に印刷ユニットを通して案内される。印刷ユニットは被印刷物31から印刷ユニットを通して取られた経路の両側に本質的に同じ方法で、かつそれによって対称的に構成されており、そのため前記構造同一性に基づき図面左半分の詳細な説明が省かれる。回転方向矢印は図3で版胴06の生産方向Pと、転写胴26の回転方向とを示している。版胴06は右回転または左回転の生産方向Pを示してもよい。
【0020】
比較的小さい、たとえば200mm以下の直径D06を有する版胴06を備える印刷ユニットにおいて、たとえば装着作業において、特に印刷版01の交換のために必要な版胴06の外套面07への近接性は、版胴06に設置されたインキ装置27のインキ塗布ローラ32;33と、湿し装置29の少なくとも1つの湿し塗布ローラ34とによって著しく制限されている。そのため特に印刷ユニットの中の上部の印刷装置、すなわち印刷ユニットをその約半分の構造高Hで水平に通過する補助線の上方に配設された印刷装置において、各版胴06の良好な操作のために、該版胴に設置されたインキ塗布ローラ32;33と湿し塗布ローラ34とが、次に示すような方法で、互いに離間して配設されている。すなわち、版胴06の生産方向Pで互いに最小の間隔を有し、一般的に転写胴26から最も離れているインキ塗布ローラ33と湿し塗布ローラ34とが少なくともその版胴06の外套面07に対して寄りかかった作業状態で、たとえば図3ないし図7に示したような断面で、その版胴06によって形成された、それぞれの中心線Z1;Z2により180゜までの大きさの、好ましくは鈍角の、版胴06の中心点M06から出る開口角γを形成し、前記開口角γが1つの値、好ましくはたとえば110゜〜150゜の範囲を有するように、互いに離間して配設されている。2つの円の中心点を通る直線が中心線Z1;Z2として表され、この場合は具体的に版胴06の円形の断面の中心点M06と、インキ塗布ローラ33の中心点M33または湿し塗布ローラ34の中心点M34とを通る。この印刷箇所でインキ装置27は、好ましくはその全ローラと共に版胴06の中心点M06を通して延長する水平線H06の上方にあり、それに対して湿し装置29は、好ましくはその全ローラ34;37;38と共に前記水平線H06の下方に配設されている。
【0021】
図4および図5は、図3に記載のそれぞれ1つの印刷ユニットの部分である。
【0022】
図3ないし図5に、印刷版の先行する端部03で45゜だけ曲げ加工した支承脚13と、該印刷版の後行する端部04で135゜だけ曲げ加工した支承脚14とを有する印刷版01を例示している。対応して、版胴06の生産方向Pの前縁部16とその対向する開口09の後縁部17とで版胴06の内部に延びる内壁18;19は、支承脚13;14の形状嵌合式の当接がその内壁18;19で可能であるように形成されている。図3および図4に示すように、印刷版01は、その先行する端部03が、中心線Z1;Z2によって制限される鈍角の開口角γの範囲内で、版胴06に近接し、押し付けられる。その際に屈撓性に形成された印刷版01は、これが、たとえばその先行する端部03における支承脚13の係合を容易にする場合、その長さLに沿って曲げることができる。
【0023】
版胴06がその対応する回転によって占めることができる版胴06の第1の作業位置B13において、印刷版01の先行する端部03の支承脚13が開口09と係合し(図5)、その結果、支承脚13が前縁部16から延びる内壁18に当接する。さらに、所定の回転によって再び巡ってきて占められる第1の作業位置B13と一般に異なる版胴06の第2の作業位置B14において、印刷版01の後行する端部04の支承脚14が開口09と係合し、その結果、支承脚14は後縁部17から延びる内壁19に当接し、それによって両方の支承脚13;14が開口09の中に位置する(図示せず)。印刷版01は版胴06の第2の作業位置B14の時点ですでにその長さLの大部分、好ましくはその3分の2以上、特に約80%まで版胴06の外套面07に巻き上げられる。両方の作業位置B13;B14は開口角γの範囲内で緊締された、版胴06の外套面07を基準とする円部分にあり、以下その各々の長さを基準としてより詳しく説明する。
【0024】
印刷版の後行する端部04で鈍角に曲げ加工した支承脚14とこれに対応して形成された版胴06とを用いる印刷版01の実施形態において、版胴06の作業位置B13;B14は好ましくは、印刷版01の各支承脚13;14が可能な限り簡単にオペレータによって手で開口09へ挿入可能であるように選択されている。版胴06の好適な第1の作業位置B13は、たとえば開口角γの範囲内にある開口角δが90゜以下になり、前記開口角δが、版胴06の中心点M06と版胴06の生産方向P前方側になる開口09の前縁部16と連結する放射状ビームR1と、版胴06の生産方向Pにあって放射状ビームR1に最も近い中心線Z1と、によって制限されている場合に開口09への印刷版01の支承脚13の係合が生じるように前記作業位置が選択されると、生じる。この開口角δが20゜および35゜の間の範囲、好ましくは30゜以下の値を有するように前記開口角δを選択することが有利である。
【0025】
印刷版01の支承脚14がオペレータによって手で開口09に挿入される必要がある場合、開口角γの範囲内にある別の開口角εが90゜以下になり、前記開口角εが、版胴06の中心点M06を版胴06の生産方向P後方側になる開口09の後縁部17と連結する放射状ビームR2と、版胴06の生産方向Pと逆方向にあって放射状ビームR2に最も近い中心線Z2と、によって制限されている場合に開口09への印刷版01の後行する端部04の支承脚14の係合が生じるように版胴06の第2の作業位置B14が選択されることが勧められる。開口角εが20゜および35゜の間の範囲、好ましくは約30゜の値を有するように前記開口角εを選択することが有利である。
【0026】
図4によると、開口角γによって与えられた版胴06に対する自由空間がインキ塗布ローラ33と湿し塗布ローラ34との物体的拡大のために実際上さらに制限されることを読み取ることができる。インキ塗布ローラ33の直径D33または湿し塗布ローラ34の直径D34がそれぞれ版胴06の直径D06よりも大きくなるほど、たとえば印刷版01の交換のために効果的に提供される利用可能の自由空間はますます小さくなる。この自由空間は、有効開口角γeffによって張られたされた、版胴06の外套面07上を基準とする円形部分の範囲内にある。有効開口角γeffは、以下の三角関数の関係に基づくインキ塗布ローラ33と湿し塗布ローラ34によって構成された角度範囲φ33;φ34の引算による開口角γから得られる。
【0027】
γeff=γ−φ33−φ34=γ−arc sin{D33/(D06+D33)}−arc sin{D34/(D06+D34)}。
(式中、γeff=版胴06への入口としての自由空間の有効開口角、γ=版胴06への入口としての中心線Z1;Z2の間にある自由空間の(理論的最大)開口角、φ33=中心線Z1と、版胴06の中心点M06を通り延長する、インキ塗布ローラ33に当接する接線T33との間の開口角γ内にある開口角、φ34=中心線Z2と、版胴06の中心点M06を通り延長する、湿し塗布ローラ34に当接する接線T34との間の開口角γ内にある開口角、D06=版胴06の直径、D33=インキ塗布ローラ33の直径、D34=湿し塗布ローラ34の直径)。
【0028】
有効開口角γeffが少なくとも60゜、特に約90゜になる場合に有利である。
【0029】
図5は、前端部に支承脚13を備え、前記支承脚13が版胴06の第1の作業位置B13において、版胴06の生産方向P前方側になる開口09の前縁部16で当接して取り付けられる印刷版01を示すだけでなく、前縁部16から延びる内壁18が開口角γの範囲内にあり、前記内壁に当接した直線G18が、前縁部16から出る開口09の前縁部16に接する垂線V16に対する、鋭角の開口角ηを形成し、開口角ηが好ましくは15゜以下、特に約5゜になる場合に、前記第1の作業位置B13が好適に選択されていることも明らかにしている。開口角ηは版胴06の生産方向Pに対して同じ方向に向けられていてよい。すなわち、開口角ηの回転方向は版胴06の生産方向Pに相当し、あるいはその逆にしてもよい。
【0030】
図6および7は、図3に類似の、版胴06に配設された押圧部材36を有する印刷ユニットを示しており、前記押圧部材は、たとえば押圧ロール36(Andruckrolle)または押圧ローラ36(Andruckwalze)として形成されており、版胴06に対して軸線方向に配設され、ならびに図示しない設定要素によって版胴06に設置可能であり、印刷版01の組立後に再び版胴06から取外可能であり、この設置と取外しは、たとえば旋回によって行われ、これは図6および7で湾曲した二重矢印によって暗示されている。図6は、版胴06に近接されているが版胴06の外套面07からはまだ離間した屈撓性の印刷版01を示しており、それに対して図7は、印刷版01がその前端部03に形成された曲げ加工された支承脚13と共にまさに、支承脚13を版胴06の生産方向Pの前縁部16から延びる内壁18に当接するように開口09の中に係合することを示しており、これは押圧部材36によって、好ましくはこの時点で行われる版胴06の外套面07への押圧部材36の設定によって、および前記設定に続くオーバーロールと外套面07での印刷版01の転動によって、支援される。
【0031】
押圧部材36は、好ましくはインキ塗布ローラ33の近傍で鋭角の開口角ρの範囲内に配設され、開口角ρは、版胴06の中心点M06を版胴06の生産方向Pにおける開口09の後縁部17と連結する放射状ビームR2と、版胴06の生産方向Pで放射状ビームR2に最も近い中心線Z1と、によって限られており、これは、開口角がたとえば20゜および45゜の間の範囲、好ましくは40゜以下の値を有するように、開口角ρを選択することが有利である。実際上、開口角ρと上記開口角δは開口09のスリット幅Sが小さいためにほぼ同じ大きさになる。
【0032】
図6および図7に示した印刷版01は、図1および図2に示した形状を有する。特にその後端部04に形成された支承脚14が延伸した載置面02に対してほぼ直角に曲げられている。開口09の縁部16;17から版胴06の内部へ延びる内壁18;19は、印刷版01の曲げ加工された支承脚13;14に適合されている。このように形成された印刷版01の場合は、その両方の支承脚13;14を実質的に同一の本質的に放射状ビームR2の位置によって規定された版胴06の作業位置で開口09の中に挿入することができる。支承脚13は印刷版01の前端部03で開口09の中に挿入され、印刷版01はその全長Lに従って版胴06の外套面07上で曲げかつ巻上げられており、これはそれぞれ印刷版01の長さLに応じて、たとえば版胴06のほぼ完全な回転後に行うことができ、その後で支承脚14は印刷版01の後端部04で実質的に版胴06の同じ作業位置で開口09の中に係合することができる。ほぼ直角に曲げ加工された支承脚14を後端部04に有する印刷版01は、図示しない供給装置を利用して、たとえば印刷版マガジンから自動的に版胴06で近接案内するのに好適である。
【0033】
図4ないし図7から明らかなように、中心線Z1;Z2がその位置で好ましくは版胴06の中心点M06を通り延長する垂線V06から離反する。つまりインキ塗布ローラ33を通り延長する中心線Z1が版胴06の中心点M06を通り延長する垂線V06と共に好ましくは転写胴26から離間する方向へ鋭角の開口角σを有し、該開口角の値は好ましくは40゜以下、特に30゜以下になる。湿し塗布ローラ34を通して延長する中心線Z2は、版胴06の中心点M06を通り延長する垂線V06により好ましくは転写胴26から離間する方向で鋭角の開口角τを有し、該開口角の値は好ましくは、たとえば25゜および45゜の間の範囲にある。
【0034】
図3ないし図7は、少なくとも最初と最後の湿し装置29のローラ列に属するローラ34;38の中心点M34;M38が、しかし好ましくは湿し装置29に属す全ローラ34;37;38の中心点M34;M37;M38が、転写胴26の中心点M26から出る鋭角の開口角φの範囲内にあり、転写胴26の中心点M26を通り延長する水平線H26が開口角φを下方へ制限するということを気づかせる。開口角φは、好ましくは45゜以下、特に20゜以下になる。最深部で水平線H26を下まわる湿し装置ローラ37は、好ましくは転写胴26の中心点M26から出る鋭角の開口角ωの範囲内にあり、これは直接開口角φで境接し、それによって水平線H26によって上方へ制限されている。開口角ωは、好ましくは30゜以下、特に15゜以下になる。
【0035】
図3ないし図7は、また、版胴06と転写胴26とを通り延長する中心線Z3が転写胴26の中心点M26を通り延長する水平線H26により転写胴26の中心点M26か出る鋭角の開口角ψを形成し、この開口角ψは、たとえば40゜および60゜の間、好ましくは45゜および50゜の間の範囲の値を有することを示している。
【0036】
図3ないし図7で少なくとも部分的に示されたH−印刷ユニットでは、互いに転がり合う転写胴26の中心点M26が同じ水平線H26に配設されず、この両方の転写胴26を通して延長する中心線Z4が転写胴26の1つの中心点M26を通りそれぞれ延長する水平線H26と共に両方の転写胴26の1つの中心点M26から出る鋭角の開口角ζを形成し、この開口角ζは15゜まで、好ましくは10゜以下の値を有する。
【0037】
図3ないし図7に記載した印刷装置の場合は、版胴06に組み込まれたインキ装置27と湿し装置29は、インキ塗布ローラ33と湿し塗布ローラ34とが互いに離間して版胴06に設置されており、かつ版胴06が転写胴26に設置されている場合において、転写胴26に対する充分な近接性が前記作業状態でも存するように配設されている。この転写胴26への近接性は、たとえばゴム印刷ブランケットのような転写胴26に取り付けた、または、取り付けられる昇降装置の後締めまたは交換を容易にする。上述のように、版胴06に対して交換する印刷版01の交換は、インキ塗布ローラ33と、版胴06に設置された湿し塗布ローラ34との間の領域で行われる。一般に複数の、たとえば湿し装置ローラ34;37;38を有する湿し装置29は、それぞれ転写胴26の中心点M26を通り延長する垂線V26と直線G26、特に転写胴26の中心点M26から出る直線G26との間に、転写胴26の中心点M26から出る開口角κが形成されるように版胴06で位置決めされており、直線G26は湿し装置29の最深部に配設された湿し装置ローラ34;37;38への接線である(図5)。開口角κは、この場合、少なくとも45゜、好ましくは少なくとも60゜の値を有する。この提案した配列は、特に転写胴26が版胴06より少なくとも約2倍の大きさの直径と円周とを有する印刷装置に長所を提供する。
【0038】
少なくとも2つのそれぞれ垂直に印刷ユニットを通して案内された被印刷物31の側で垂直に上下に配設された印刷装置を有する印刷機の印刷ユニットの中に、図3に従って転写胴26と、版胴06の回転方向で転写胴26に最も近い下部印刷装置のインキ塗布ローラ32とが少なくともその版胴06の外套面07に設置された該印刷装置の作業状態でその版胴06と共にその各中心線Z3、Z5との断面で鈍角の開口角μを形成し、中心線Z5は版胴06の中心点M06と、版胴06の回転方向へ転写胴26に最も近いインキ塗布ローラ32の中心点M32とを通り延長し、版胴06の外套面07に取り付けられる印刷版01の版胴06への供給がインキ塗布ローラ32と転写胴26との間に緊締された開口角μの範囲内で行われ、開口角μは両方の中心線Z3;Z5の間で好ましくは95゜および150゜の間の範囲の値を有する。実際上、開口角μはインキ塗布ローラ32の中心点M32を通り走る中心線Z5と、版胴06の中心点M06を通り延長する垂線V06とによって制限されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】印刷版の透視図である。
【図2】版胴に取り付けられる印刷版用の保持装置の簡略断面図である。
【図3】輪転印刷機のH−印刷ユニットである。
【図4】版胴に近接案内される印刷版を有する図3記載の印刷ユニットの断面図である。
【図5】支承脚により版胴の開口の中に係合する印刷版を有する図3記載の印刷ユニットの断面図である。
【図6】版胴に配設された押圧部材と、版胴に近接案内される印刷版とを有する図3に類似の印刷ユニットの断面図である。
【図7】版胴に配設された押圧部材と、支承脚により版胴の開口の中に係合する印刷版とを有する図3に類似の印刷ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0040】
01 印刷版
02 載置面(01)
03 端部、先行(01)
04 端部、後行(01)
05 −
06 版胴
07 外套面(06)
08 溝
09 開口
10 −
11 曲げ縁部(13)
12 曲げ縁部(14)
13 支承脚
14 支承脚
15 −
16 縁部、前部、第一(09)
17 縁部、後部、第二(09)
18 内壁
19 内壁
20 −
21 保持手段
22 ばね部材
23 設定手段
24 噴霧式ノズルバー
25 −
26 転写胴、ゴムブランケット胴
27 インキ装置、連続供給式インキ装置
28 インキ容器
29 湿し装置、噴霧式湿し装置
30 −
31 被印刷物、材料軌道、紙軌道
32 インキ塗布ローラ
33 インキ塗布ローラ
34 ローラ、湿し塗布ローラ、湿し装置ローラ
35 −
36 押圧部材、押圧ロール、押圧ローラ
37 ローラ、湿し装置ローラ
38 ローラ、湿し装置ローラ
A26 間隔
B 幅
B13 作業位置、第一(06)
B14 作業位置、第二(06)
D 材厚
D06 直径(06)
D26 直径(26)
D33 直径(33)
D34 直径(34)
G18 直線
G26 直線、方向ビーム
H 構造高
H06 水平線(06)
H26 水平線(26)
L 長さ
I13 長さ
I14 長さ
M06 中心点(06)
M26 中心点(26)
M32 中心点(32)
M33 中心点(33)
M34 中心点(34)
M37 中心点(37)
M38 中心点(38)
P 生産方向
R1 放射状ビーム、直線
R2 放射状ビーム、直線
S スリット幅(09)
T06 接線(06)
T33 接線(33)
T34 接線(34)
V06 垂直線
V16 垂直線
V26 垂直線
Z1 中心線
Z2 中心線
Z3 中心線
Z4 中心線
Z5 中心線
α1 開口角
α2 開口角
β1 開口角
β2 開口角
δ 開口角
ε 開口角
γ 開口角
γeff 有効開口角
η 開口角
ρ 開口角
σ 開口角
τ 開口角
φ 開口角
ω 開口角
ψ 開口角
ζ 開口角
κ 開口角
μ 開口角
φ33 角度範囲
φ34 角度範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の印刷ユニットの印刷装置であって、それぞれインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(33)と並設したローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを備えて少なくとも2つが印刷機の垂直方向に上下に重なっており、
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが、少なくとも版胴(06)の表面に対して寄りかかった作動状態にて、その断面においてそれぞれの中心線(Z1;Z2)が版胴(06)に対して鈍角の開口角(γ)を形成し、
湿し装置(29)のローラ(34;37;38)が、湿し装置(29)のローラ列において少なくとも最初と最後のローラ(34;38)の少なくとも中心点(M34;M38)が転写胴(26)の中心点(M26)から延伸する鋭角の開口角(φ)内に存在するように配設されている印刷装置において、
転写胴(26)の中心点(M26)を通る水平線(H26)が湿し装置(29)のローラ列において少なくとも最初と最後のローラ(34;38)の中心点(M34;M38)を含む開口角(φ)の下限を画定してこの開口角(φ)が45°以下であり、
版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)が、湿し塗布ローラ(34)とインキ塗布ローラ(33)との間に広がる開口角(γ)の間において版胴(06)に対して供給されることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
水平線(H26)から下方へ制限される開口角(φ)が湿し装置(29)の全ローラ(34;37;38)の中心点(M34;M37;M38)を含むことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
版胴(06)に設置された押圧部材(36)が版胴(06)の生産方向(P)へインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)との間で開口角(γ)内にある鋭角の開口角(ρ)の範囲内でインキ塗布ローラ(33)の近くに配設されており、鋭角の開口角(ρ)がインキ塗布ローラ(33)を通り延長する中心線(Z1)に境接することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷機の印刷ユニットの印刷装置であって、それぞれインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(33)と、併設したローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを備えて少なくとも2つが印刷機の垂直方向に上下に重なっており、
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが、少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態の断面においてそれぞれの中心線(Z1;Z2)が版胴(06)に対して鈍角の開口角(γ)を形成する印刷装置において、
版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)が、湿し塗布ローラ(34)とインキ塗布ローラ(33)との間に広がる開口角(γ)の間において版胴(06)に対して供給され、
印刷版(01)が、少なくともその先行する端部(03)において少なくとも1つの曲げ加工された支承脚(13)を有し、
版胴(06)に寄りかかる押圧部材(36)が、版胴(06)の生産方向(P)においてインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)との間の開口角(γ)内にある鋭角な開口角(ρ)内におけるインキ塗布ローラ(33)の付近に設けられており、
この鋭角な開口角(ρ)が、インキ塗布ローラ(33)を通る中心線(Z1)に当接することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
鋭角の開口角(ρ)が20゜および45゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項3または4記載の印刷装置。
【請求項6】
鋭角の開口角(ρ)が40゜以下になることを特徴とする請求項3または4記載の印刷装置。
【請求項7】
鈍角の開口角(γ)が両方の中心線(Z1;Z2)の間で110゜および150゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項8】
版胴(06)が転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)の上方で転写胴(26)で転動することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項9】
版胴(06)がH−印刷ユニットの中に配設されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷ユニットが2/2−印刷で作業することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項11】
被印刷物(31)が垂直走行で印刷ユニットを通して案内されることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項12】
転写胴(26)が水平方向に印刷ユニットの中に配設された別の印刷装置の転写胴(26)に対して係合し、被印刷物(31)が両方の転写胴(26)の間に案内されることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項13】
版胴(06)の外套面(07)で該版胴の直径(D06)が200mm以下になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項14】
転写胴(26)が該転写胴と協働する版胴(06)に対して2倍の大きさに形成されたことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項15】
版胴(06)に当接する湿し装置(29)とインキ装置(27)の塗布ローラ(32;33;34)の直径(D33;D34)がそれぞれ版胴(06)の直径(D06)の少なくとも50%になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項16】
版胴(06)に当接する湿し装置(29)とインキ装置(27)の塗布ローラ(32;33;34)の直径(D33;D34)がそれぞれ版胴(06)の直径(D06)の60%および70%の間になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項17】
両方の転写胴(26)を通して延長する中心線(Z4)がそれぞれの転写胴(26)の1つの中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)と共に両方の転写胴(26)の1つの中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ζ)を形成するように、転写胴(26)が別の転写胴(26)に対して設定され、その開口角(ζ)が15゜までの値を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項18】
湿し装置(29)が3つのローラ(34;37;38)を有することを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項19】
湿し装置(29)が噴霧式湿し装置(29)として形成されたことを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項20】
2つの印刷ユニットの中に垂直に上下に配設された印刷装置の2つの連続する印刷箇所の間の垂直の間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の105%および150%の間になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項21】
間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の120%および130%の間になることを特徴とする請求項20記載の印刷装置。
【請求項22】
間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の125%になることを特徴とする請求項20記載の印刷装置。
【請求項23】
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが版胴(06)で転写胴(26)から離間する一方の側に配設されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項24】
インキ塗布ローラ(33)を通り延長する中心線(Z1)が版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)と共に鋭角の開口角(σ)を有することを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項25】
開口角(σ)が40゜以下の値を有することを特徴とする請求項24記載の印刷装置。
【請求項26】
湿し塗布ローラ(34)を通り延長する中心線(Z2)が版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)と共に鋭角の開口角(τ)を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項27】
開口角(τ)が25゜および45゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項26記載の印刷装置。
【請求項28】
開口角(σ)または開口角(τ)が転写胴(26)から離間する方向に向けられていることを特徴とする請求項24または26記載の印刷装置。
【請求項29】
少なくとも湿し装置(29)のローラ列の中の最初と最後のローラ(34;38)の少なくとも中心点(M34;M38)が転写胴(26)の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(φ)の範囲内にあるように、湿し装置(29)のローラ(34;37;38)が配設されており、転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)が少なくとも湿し装置(29)のローラ列の中の最初と最後のローラ(34;38)の中心点(M34;M38)を含む開口角(φ)を下方へ制限し、開口角(φ)が45゜以下になることを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項30】
水平線(H26)を最深部で下回る湿し装置ローラ(37)が転写胴26の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ω)の範囲内にあることを特徴とする請求項1または29記載の印刷装置。
【請求項31】
開口角(ω)が開口角(φ)で境接し、水平線(H26)によって上方へ制限されていることを特徴とする請求項30記載の印刷装置。
【請求項32】
開口角(ω)が30゜以下になることを特徴とする請求項30記載の印刷装置。
【請求項33】
版胴(06)と転写胴(26)とを通り延長する中心線(Z3)が転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)と共に転写胴(26)の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ψ)を形成することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項34】
開口角(ψ)が40゜および60゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項33記載の印刷装置。
【請求項35】
版胴(06)の入口として効果的に提供される自由空間が有効開口角(γeff)の範囲内で付与されており、有効開口角(γeff)が次の関係:
γeff=γ−φ33−φ34=γ−arc sin{D33/(D06+D33)}−arc sin{D34/(D06+D34)}
(式中、γeff=版胴(06)への入口としての自由空間の有効開口角、γ=版胴(06)への入口としての中心線(Z1;Z2)の間にある自由空間の開口角、φ33=中心線(Z1)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する、インキ塗布ローラ(33)に当接する接線(T33)との間の開口角(γ)内にある開口角、φ34=中心線(Z2)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する、湿し塗布ローラ(34)に当接する接線(T34)との間の開口角(γ)内にある開口角、D06=版胴(06)の直径、D33=インキ塗布ローラ(33)の直径、D34=湿し塗布ローラ(34)の直径)から生じることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項36】
有効開口角(γeff)が少なくとも60゜になることを特徴とする請求項35記載の印刷装置。
【請求項37】
有効開口角(γeff)が約90゜になることを特徴とする請求項35記載の印刷装置。
【請求項38】
開口角(γ)の範囲内で版胴(06)に案内され、版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる屈撓性の印刷版(01)が、該印刷版の近接案内中に該印刷版の長さ(L)に沿って曲げられることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項39】
印刷版(01)を版胴(06)に近接案内する供給装置を設けたことを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項40】
版胴(06)の外套面(07)が少なくとも1つの開口(09)を有し、版胴(06)の軸線方向に該版胴の生産方向(P)の前縁部(16)と開口(09)の後縁部(17)とに、それぞれ版胴(06)の外套面(07)から該版胴の内部へ向けられた内壁(18;19)が形成されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項41】
印刷版(01)が少なくとも該印刷版の先行する端部(03)で少なくとも1つの曲げ加工された支承脚(13)を有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項42】
印刷版(01)の支承脚(13)が該印刷版の版胴(06)に取り付けられた状態で版胴(06)の生産方向(P)に前縁部(16)から延びる開口(09)の内壁(18)に当接していることを特徴とする請求項4または41記載の印刷装置。
【請求項43】
開口角(γ)の範囲内にある開口角(δ)が90゜以下になり、開口角(δ)が版胴(06)の中心点(M06)を版胴(06)の生産方向(P)で開口(09)の前縁部(16)と連結される放射状ビーム(R1)と、版胴(06)の生産方向(P)で放射状ビーム(R1)に最も近い中心線(Z1)とによって制限されている場合に開口(09)への印刷版(01)の支承脚(13)の係合が生じることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項44】
開口角(δ)が20゜および35゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項43記載の印刷装置。
【請求項45】
開口(09)への印刷版(01)の支承脚(13)の係合が版胴(06)の第1の作業位置(B13)中に生じ、前記第1の作業位置で前縁部(16)から延びる内壁(18)が開口角(γ)の範囲内にあり、内壁(18)に当接する直線(G18)が開口(09)の前縁部(16)に接する垂線(V16)に対して前縁部(16)から出る鋭角の開口角(η)を形成することを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項46】
開口角(η)が15゜以下であることを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項47】
開口角(η)が約5゜になることを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項48】
開口角(η)が版胴(06)の生産方向(P)に対して同じ方向に向けたことを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項49】
開口角(η)が版胴(06)の生産方向(P)と逆に向けたことを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項50】
印刷版(01)が該印刷版の後行する端部(04)で少なくとも1つの曲げ加工した支承脚(14)を有し、印刷版(01)の支承脚(14)が版胴(06)の生産方向(P)で後縁部(17)から延びる開口(09)の内壁(19)に当接可能であることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項51】
開口角(γ)の範囲内にある開口角(ε)が90゜以下になり、開口角(ε)が版胴(06)の中心点(M06)を版胴(06)の生産方向(P)で開口(09)の後縁部(17)と連結される放射状ビーム(R2)と、版胴(06)の生産方向(P)と逆に放射状ビーム(R2)に最も近い中心線(Z2)とによって制限されている場合に開口(09)への印刷版(01)の後行する端部(04)で支承脚(14)の係合が生じることを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項52】
開口角(ε)が20゜および35゜の間の範囲の値を有することを特徴とする、請求項51記載の印刷装置。
【請求項53】
印刷版(01)の後端部(04)に形成された支承脚(14)が延伸した載置面(02)に対してほぼ直角に曲げられ、開口(09)の縁部(16;17)から版胴(06)の内部へ延びる内壁(18;19)が印刷版(01)の曲げ加工された支承脚(13;14)に適合されており、両方の支承脚(13;14)の開口(09)への係合が版胴(06)のほぼ同じ作業位置で生ずることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項54】
印刷版(01)の前端部(03)での支承脚(13)の係合の後、支承脚(14)が後端部(04)で印刷版(01)の長さ(L)の完全な処理後に版胴(06)の外套面(07)で開口(09)へ係合することを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項55】
印刷版(01)の前端部(03)での支承脚(13)の係合の後、支承脚(14)が後端部(04)で版胴(06)のほぼ完全な回転後に開口(09)へ係合することを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項56】
湿し装置(29)の全ローラ(34;37;38)が、転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する、最深部に配設された湿し装置ローラ(34;37;38)への接線として当接する直線(G26)の上方で該直線から転写胴(26)の生産方向(P)に向けられた側に配設されており、直線(G26)の下方で転写胴(26)の生産方向(P)へ該直線と転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する垂線(V26)との間に、転写胴(26)の中心点(M26)から出る開口角(κ)が少なくとも45゜の値で形成されていることを特徴とする請求項1または29記載の印刷装置。
【請求項57】
開口角(κ)が少なくとも60゜の値を有することを特徴とする、請求項56記載の印刷装置。
【請求項58】
印刷機における印刷ユニットであって、印刷ユニットの中を垂直に案内される被印刷物(31)の一面側においてそれぞれ垂直に重ねられた少なくとも2つの印刷装置を有し、それぞれがインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(32;33)と複数の並設されたローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを有する印刷ユニットにおいて、
垂直に上下に設けられた印刷装置のうち上部のものにおけるインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態にて、その断面において該印刷装置の版胴(06)を含むそれぞれの中心線(Z1;Z2)が鈍角の開口角(γ)を形成し、
この版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)が、湿し塗布ローラ(34)とインキ塗布ローラ(33)の中心線(Z1;Z2)の間に広がる開口角(γ)の間において版胴(06)に対して供給され、
垂直に上下に設けられた印刷装置のうち下部のものにおける転写胴(26)と版胴(06)の回転方向において転写胴(26)に隣接するインキ塗布ローラ(32)とが少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態にて、その断面において該印刷装置の版胴(06)を含むそれぞれの中心線(Z3;Z5)が鈍角の開口角(μ)を形成し、
この版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)が、インキ塗布ローラ(32)と転写胴(26)の中心線(Z3;Z5)間に広がる開口角(μ)の間において版胴(06)に対して供給されることを特徴とする印刷ユニット。
【請求項59】
両方の中心線(Z3;Z5)の間の開口角(μ)が95゜および150゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項60】
開口角(μ)がインキ塗布ローラ(32)の中心点(M32)を通り走る中心線(Z5)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)とによって制限されていることを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項61】
請求項1ないし57のいずれか一項記載の特長を有する印刷装置を特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項62】
下部の印刷装置の湿し装置(29)が被印刷物(31)に対向する側で版胴(06)に設置されていることを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の印刷ユニットの印刷装置であって、それぞれインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(33)と並設したローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを備えて少なくとも2つが印刷機の垂直方向に上下に重なっており、
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが、少なくとも版胴(06)の表面に対して寄りかかった作動状態にて、その断面においてそれぞれの中心線(Z1;Z2)が版胴(06)に対して鈍角の開口角(γ)を形成し、
湿し装置(29)のローラ(34;37;38)が、湿し装置(29)のローラ列において少なくとも最初と最後のローラ(34;38)の少なくとも中心点(M34;M38)が転写胴(26)の中心点(M26)から延伸する鋭角の開口角(φ)内に存在するように配設されており、
転写胴(26)が、該転写胴と協働する版胴(06)に対して2倍の大きさに形成されている印刷装置において、
湿し塗布ローラ(34)とインキ塗布ローラ(33)との間で張られた開口角(γ)が、版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)の供給用の自由空間を版胴(06)に形成し、
転写胴(26)の中心点(M26)を通る水平線(H26)が湿し装置(29)のローラ列において少なくとも最初と最後のローラ(34;38)の中心点(M34;M38)を含む開口角(φ)の下限を画定してこの開口角(φ)が45°以下であることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
水平線(H26)から下方へ制限される開口角(φ)が湿し装置(29)の全ローラ(34;37;38)の中心点(M34;M37;M38)を含むことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
版胴(06)に設置された押圧部材(36)が版胴(06)の生産方向(P)へインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)との間で開口角(γ)内にある鋭角の開口角(ρ)の範囲内でインキ塗布ローラ(33)の近くに配設されており、鋭角の開口角(ρ)がインキ塗布ローラ(33)を通り延長する中心線(Z1)に境接することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷機の印刷ユニットの印刷装置であって、それぞれインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(33)と、併設したローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを備えて少なくとも2つが印刷機の垂直方向に上下に重なっており、
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが、少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態の断面においてそれぞれの中心線(Z1;Z2)が版胴(06)に対して鈍角の開口角(γ)を形成し、
版胴(06)が、版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)の両端(03;04)を固定するための該版胴の外套面(07)で開いた溝(08)を有する印刷装置において、
湿し塗布ローラ(34)とインキ塗布ローラ(33)との間で張られた開口角(γ)が、版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)の供給用の自由空間を版胴(06)に形成し、
印刷版(01)が、少なくともその先行する端部(03)において少なくとも1つの曲げ加工された支承脚(13)を有し、
版胴(06)に寄りかかる押圧部材(36)が、曲げ加工した支承脚(13)の溝(08)への導入のために、版胴(06)の生産方向(P)においてインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)との間の開口角(γ)内にある鋭角な開口角(ρ)内におけるインキ塗布ローラ(33)の付近に設けられており、
この鋭角な開口角(ρ)が、インキ塗布ローラ(33)を通る中心線(Z1)に当接することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
鋭角の開口角(ρ)が20゜および45゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項3または4記載の印刷装置。
【請求項6】
鋭角の開口角(ρ)が40゜以下になることを特徴とする請求項3または4記載の印刷装置。
【請求項7】
鈍角の開口角(γ)が両方の中心線(Z1;Z2)の間で110゜および150゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項8】
版胴(06)が転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)の上方で転写胴(26)で転動することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項9】
版胴(06)がH−印刷ユニットの中に配設されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷ユニットが2/2−印刷で作業することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項11】
被印刷物(31)が垂直走行で印刷ユニットを通して案内されることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項12】
転写胴(26)が水平方向に印刷ユニットの中に配設された別の印刷装置の転写胴(26)に対して係合し、被印刷物(31)が両方の転写胴(26)の間に案内されることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項13】
版胴(06)の外套面(07)で該版胴の直径(D06)が200mm以下になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項14】
転写胴(26)が該転写胴と協働する版胴(06)に対して2倍の大きさに形成されたことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項15】
版胴(06)に当接する湿し装置(29)とインキ装置(27)の塗布ローラ(32;33;34)の直径(D33;D34)がそれぞれ版胴(06)の直径(D06)の少なくとも50%になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項16】
版胴(06)に当接する湿し装置(29)とインキ装置(27)の塗布ローラ(32;33;34)の直径(D33;D34)がそれぞれ版胴(06)の直径(D06)の60%および70%の間になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項17】
両方の転写胴(26)を通して延長する中心線(Z4)がそれぞれの転写胴(26)の1つの中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)と共に両方の転写胴(26)の1つの中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ζ)を形成するように、転写胴(26)が別の転写胴(26)に対して設定され、その開口角(ζ)が15゜までの値を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項18】
湿し装置(29)が3つのローラ(34;37;38)を有することを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項19】
湿し装置(29)が噴霧式湿し装置(29)として形成されたことを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項20】
2つの印刷ユニットの中に垂直に上下に配設された印刷装置の2つの連続する印刷箇所の間の垂直の間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の105%および150%の間になることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項21】
間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の120%および130%の間になることを特徴とする請求項20記載の印刷装置。
【請求項22】
間隔(A26)が転写胴(26)の直径(D26)の125%になることを特徴とする請求項20記載の印刷装置。
【請求項23】
インキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが版胴(06)で転写胴(26)から離間する一方の側に配設されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項24】
インキ塗布ローラ(33)を通り延長する中心線(Z1)が版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)と共に鋭角の開口角(σ)を有することを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項25】
開口角(σ)が40゜以下の値を有することを特徴とする請求項24記載の印刷装置。
【請求項26】
湿し塗布ローラ(34)を通り延長する中心線(Z2)が版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)と共に鋭角の開口角(τ)を有することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項27】
開口角(τ)が25゜および45゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項26記載の印刷装置。
【請求項28】
開口角(σ)または開口角(τ)が転写胴(26)から離間する方向に向けられていることを特徴とする請求項24または26記載の印刷装置。
【請求項29】
少なくとも湿し装置(29)のローラ列の中の最初と最後のローラ(34;38)の少なくとも中心点(M34;M38)が転写胴(26)の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(φ)の範囲内にあるように、湿し装置(29)のローラ(34;37;38)が配設されており、転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)が少なくとも湿し装置(29)のローラ列の中の最初と最後のローラ(34;38)の中心点(M34;M38)を含む開口角(φ)を下方へ制限し、開口角(φ)が45゜以下になることを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項30】
水平線(H26)を最深部で下回る湿し装置ローラ(37)が転写胴26の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ω)の範囲内にあることを特徴とする請求項1または29記載の印刷装置。
【請求項31】
開口角(ω)が開口角(φ)で境接し、水平線(H26)によって上方へ制限されていることを特徴とする請求項30記載の印刷装置。
【請求項32】
開口角(ω)が30゜以下になることを特徴とする請求項30記載の印刷装置。
【請求項33】
版胴(06)と転写胴(26)とを通り延長する中心線(Z3)が転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する水平線(H26)と共に転写胴(26)の中心点(M26)から出る鋭角の開口角(ψ)を形成することを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項34】
開口角(ψ)が40゜および60゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項33記載の印刷装置。
【請求項35】
版胴(06)の入口として効果的に提供される自由空間が有効開口角(γeff)の範囲内で付与されており、有効開口角(γeff)が次の関係:
γeff=γ−φ33−φ34=γ−arc sin{D33/(D06+D33)}−arc sin{D34/(D06+D34)}
(式中、γeff=版胴(06)への入口としての自由空間の有効開口角、γ=版胴(06)への入口としての中心線(Z1;Z2)の間にある自由空間の開口角、φ33=中心線(Z1)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する、インキ塗布ローラ(33)に当接する接線(T33)との間の開口角(γ)内にある開口角、φ34=中心線(Z2)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する、湿し塗布ローラ(34)に当接する接線(T34)との間の開口角(γ)内にある開口角、D06=版胴(06)の直径、D33=インキ塗布ローラ(33)の直径、D34=湿し塗布ローラ(34)の直径)から生じることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項36】
有効開口角(γeff)が少なくとも60゜になることを特徴とする請求項35記載の印刷装置。
【請求項37】
有効開口角(γeff)が約90゜になることを特徴とする請求項35記載の印刷装置。
【請求項38】
開口角(γ)の範囲内で版胴(06)に案内され、版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる屈撓性の印刷版(01)が、該印刷版の近接案内中に該印刷版の長さ(L)に沿って曲げられることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項39】
印刷版(01)を版胴(06)に近接案内する供給装置を設けたことを特徴とする、請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項40】
版胴(06)の外套面(07)が少なくとも1つの開口(09)を有し、版胴(06)の軸線方向に該版胴の生産方向(P)の前縁部(16)と開口(09)の後縁部(17)とに、それぞれ版胴(06)の外套面(07)から該版胴の内部へ向けられた内壁(18;19)が形成されていることを特徴とする請求項1または4記載の印刷装置。
【請求項41】
印刷版(01)が少なくとも該印刷版の先行する端部(03)で少なくとも1つの曲げ加工された支承脚(13)を有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項42】
印刷版(01)の支承脚(13)が該印刷版の版胴(06)に取り付けられた状態で版胴(06)の生産方向(P)に前縁部(16)から延びる開口(09)の内壁(18)に当接していることを特徴とする請求項4または41記載の印刷装置。
【請求項43】
開口角(γ)の範囲内にある開口角(δ)が90゜以下になり、開口角(δ)が版胴(06)の中心点(M06)を版胴(06)の生産方向(P)で開口(09)の前縁部(16)と連結される放射状ビーム(R1)と、版胴(06)の生産方向(P)で放射状ビーム(R1)に最も近い中心線(Z1)とによって制限されている場合に開口(09)への印刷版(01)の支承脚(13)の係合が生じることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項44】
開口角(δ)が20゜および35゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項43記載の印刷装置。
【請求項45】
開口(09)への印刷版(01)の支承脚(13)の係合が版胴(06)の第1の作業位置(B13)中に生じ、前記第1の作業位置で前縁部(16)から延びる内壁(18)が開口角(γ)の範囲内にあり、内壁(18)に当接する直線(G18)が開口(09)の前縁部(16)に接する垂線(V16)に対して前縁部(16)から出る鋭角の開口角(η)を形成することを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項46】
開口角(η)が15゜以下であることを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項47】
開口角(η)が約5゜になることを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項48】
開口角(η)が版胴(06)の生産方向(P)に対して同じ方向に向けたことを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項49】
開口角(η)が版胴(06)の生産方向(P)と逆に向けたことを特徴とする請求項45記載の印刷装置。
【請求項50】
印刷版(01)が該印刷版の後行する端部(04)で少なくとも1つの曲げ加工した支承脚(14)を有し、印刷版(01)の支承脚(14)が版胴(06)の生産方向(P)で後縁部(17)から延びる開口(09)の内壁(19)に当接可能であることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項51】
開口角(γ)の範囲内にある開口角(ε)が90゜以下になり、開口角(ε)が版胴(06)の中心点(M06)を版胴(06)の生産方向(P)で開口(09)の後縁部(17)と連結される放射状ビーム(R2)と、版胴(06)の生産方向(P)と逆に放射状ビーム(R2)に最も近い中心線(Z2)とによって制限されている場合に開口(09)への印刷版(01)の後行する端部(04)で支承脚(14)の係合が生じることを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項52】
開口角(ε)が20゜および35゜の間の範囲の値を有することを特徴とする、請求項51記載の印刷装置。
【請求項53】
印刷版(01)の後端部(04)に形成された支承脚(14)が延伸した載置面(02)に対してほぼ直角に曲げられ、開口(09)の縁部(16;17)から版胴(06)の内部へ延びる内壁(18;19)が印刷版(01)の曲げ加工された支承脚(13;14)に適合されており、両方の支承脚(13;14)の開口(09)への係合が版胴(06)のほぼ同じ作業位置で生ずることを特徴とする請求項40記載の印刷装置。
【請求項54】
印刷版(01)の前端部(03)での支承脚(13)の係合の後、支承脚(14)が後端部(04)で印刷版(01)の長さ(L)の完全な処理後に版胴(06)の外套面(07)で開口(09)へ係合することを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項55】
印刷版(01)の前端部(03)での支承脚(13)の係合の後、支承脚(14)が後端部(04)で版胴(06)のほぼ完全な回転後に開口(09)へ係合することを特徴とする請求項50記載の印刷装置。
【請求項56】
湿し装置(29)の全ローラ(34;37;38)が、転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する、最深部に配設された湿し装置ローラ(34;37;38)への接線として当接する直線(G26)の上方で該直線から転写胴(26)の生産方向(P)に向けられた側に配設されており、直線(G26)の下方で転写胴(26)の生産方向(P)へ該直線と転写胴(26)の中心点(M26)を通り延長する垂線(V26)との間に、転写胴(26)の中心点(M26)から出る開口角(κ)が少なくとも45゜の値で形成されていることを特徴とする請求項1または29記載の印刷装置。
【請求項57】
開口角(κ)が少なくとも60゜の値を有することを特徴とする、請求項56記載の印刷装置。
【請求項58】
印刷機における印刷ユニットであって、印刷ユニットの中を垂直に案内される被印刷物(31)の一面側においてそれぞれ垂直に重ねられた少なくとも2つの印刷装置を有し、それぞれがインキ装置(27)における少なくとも1つのインキ塗布ローラ(32;33)と複数の並設されたローラ(34;37;38)からなる湿し装置(29)の湿し塗布ローラ(34)とを有する版胴(06)とこの版胴(06)と協働する転写胴(26)とを有し、転写胴(26)が該転写胴と協働する版胴(06)に対して2倍の大きさで形成されている印刷ユニットにおいて、
垂直に上下に設けられた印刷装置のうち上部のものにおけるインキ塗布ローラ(33)と湿し塗布ローラ(34)とが少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態にて、その断面において該印刷装置の版胴(06)を含むそれぞれの中心線(Z1;Z2)が鈍角の開口角(γ)を形成し、
前記湿し塗布ローラ(34)と前記インキ塗布ローラ(33)との中心線(Z1;Z2)から張られた開口角(γ)が前記版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)の供給用の自由空間を前記版胴(06)に形成し、
垂直に上下に設けられた印刷装置のうち下部のものにおける転写胴(26)と版胴(06)の回転方向において転写胴(26)に隣接するインキ塗布ローラ(32)とが少なくとも版胴(06)の外套面(07)に対して寄りかかった作動状態にて、その断面において該印刷装置の版胴(06)を含むそれぞれの中心線(Z3;Z5)が鈍角の開口角(μ)を形成し、
前記インキ塗布ローラ(32)と前記転写胴(26)の中心線(Z3;Z5)から張られた開口角(μ)が前記版胴(06)の外套面(07)に取り付けられる印刷版(01)の供給用の自由空間を前記版胴(06)に形成することを特徴とする印刷ユニット。
【請求項59】
両方の中心線(Z3;Z5)の間の開口角(μ)が95゜および150゜の間の範囲の値を有することを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項60】
開口角(μ)がインキ塗布ローラ(32)の中心点(M32)を通り走る中心線(Z5)と、版胴(06)の中心点(M06)を通り延長する垂線(V06)とによって制限されていることを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項61】
請求項1ないし57のいずれか一項記載の特長を有する印刷装置を特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項62】
下部の印刷装置の湿し装置(29)が被印刷物(31)に対向する側で版胴(06)に設置されていることを特徴とする請求項58記載の印刷ユニット。
【請求項63】
開口(09)が版胴(06)の外套面(07)で5mm以下のスリット幅を有することを特徴とする、請求項40記載の印刷ユニット。
【請求項64】
スリット幅が1mm〜3mmの範囲にあることを特徴とする、請求項63記載の印刷ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−520708(P2006−520708A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505446(P2006−505446)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050258
【国際公開番号】WO2004/080716
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505364049)ケーニッヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】