説明

垂直攪拌装置

本発明は、沈殿槽に収容される汚水などのための垂直攪拌装置であって、攪拌装置ツール(5)が槽床(2)の上に装着された駆動装置(1)から垂直に延在する駆動軸(4)に装着され、攪拌装置ツール(5)から槽床(2)の方向に延在する軸部(7)の自由端(E2)が安全軸受(14)内に保持され、安全軸受(14)が槽床(2)上に支持された保持デバイス(8)内に保持され、保持デバイス(8)が安全軸受(14)を収容する収容デバイス(12)のための収容部(9)を備える垂直攪拌装置に関する。装着を簡素化するために、本発明は、収容部(9)が軸部(7)の横方向の挿入のための実質的に水平方向に面した凹部(11)を備えることを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿槽に収容される汚水のための垂直攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直攪拌装置は、例えば、WO03/095081により知られている。この垂直攪拌装置では、槽床の上のタワー状のフレームに駆動装置が装着されている。駆動軸は、駆動装置から垂直に延在し、双曲面型攪拌ツールに接続されている。攪拌ツールの底面側から、軸部が槽床方向に延在し、上記軸部の非装着端部が安全軸受内に収容されている。安全軸受は、槽床上に支持された保持デバイス内に保持されている。保持デバイスは、タワー状のフレームの構成要素である。安全軸受を収容する収容デバイスが提供され、普通、板上に装着されたスリーブを備える。スリーブは、安全軸受を取り囲み、板によって保持デバイスに固定されている。
【0003】
公知の垂直攪拌装置の場合、保持デバイスは、複雑なタワー状のフレームの構成要素である。このタイプのタワー状のフレームは、沈殿槽当たり1つの垂直攪拌装置しか提供されない用途に好適である。これとは対照的に、特に大型の沈殿槽では、複数の垂直攪拌装置が使用される。この場合、垂直攪拌装置の駆動装置は、普通、槽の全体にわたるブリッジ上に提供される。
【0004】
このような垂直攪拌装置を装着するために、最初に駆動装置に駆動軸が装着される。駆動装置は、駆動軸と共にブリッジに固定され、駆動軸は槽床の方向に自由に吊り下げられる。次に、安全軸受を保持する保持デバイスが駆動軸の下方で垂直に槽床に固定される。次に、駆動装置は再び緩められ、駆動軸と共に上昇する。次に、双曲面型攪拌装置が軸部を保持デバイス内に保持された安全軸受に入れた状態で挿入される。ここで、攪拌装置は、高い位置に保持しなければならない。次に、駆動装置とそれに装着された駆動軸は降下する。駆動装置は再びブリッジに固定される。駆動軸は攪拌装置本体に固定される。従来の装着方法は骨が折れ、時間がかかる作業である。最終アセンブリにおいて、駆動装置が常に安全軸受に対して中心に位置しているという保証はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の上記の欠点を解決することである。具体的には、可能な限り容易かつ迅速に組み立てられる垂直攪拌装置を提供することである。本発明の別の課題は、可能な限り容易かつ迅速に実行できる垂直攪拌装置の組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、収容部は、軸部の横方向の挿入のための実質的に水平方向に面した凹部を有する。これによって、垂直攪拌装置の組み立ての大幅な簡素化が可能になる。特に、組み立て中に駆動装置を複数回固定する必要はない。さらに、安全軸受に対する駆動軸のアライメント不良を回避できる。
【0007】
有利な実施形態によれば、収容デバイスは、安全軸受を収容するための、板に装着されたスリーブを有する。スリーブは、板を通して突き出していてもよく、又は板に装着されていてもよい。好適には、板は、取り付けボルトを挿入するための複数の貫通開口を有する。収容デバイスの金属片として製造できる。
【0008】
収容部は、有利には板を整列させ、固定する細長い穴を有する。細長い穴は、板に提供された貫通開口に対応する。したがって、板は、例えばボルトによって収容部に固定できる。細長い穴の中でボルトによって収容部に対して板を移動させることができるため、収容部に板を整列させ、整列位置に固定することができる。
【0009】
有利には、収容部は、ベースに対して支持できる支持部に接続されている。支持部の機能は、収容部をベースの上に指定距離を空けて保持することである。距離は、20〜50cm、好ましくは30〜40cmであってもよい。支持部を提供することで、軸部の横向きの挿入と収容部への収容デバイスの装着が容易にできる。
【0010】
別の有利な実施形態によれば、収容部及び支持部は、金属板からの一体品として製造できる。特に、両者は、貫通開口を提供し、金属板を曲げることで容易かつ安価に製造できる。
【0011】
攪拌ツールは、有利には双曲面攪拌装置である。それによって、汚水などの内部で特に効率的に水流が生成される。
【0012】
提案される垂直攪拌装置は、容易かつ迅速に組み立てることができる。組み立て工程で、以下のステップ、すなわち、駆動軸が槽床の上に吊り下げられるように駆動装置と駆動軸とを装着するステップと、凹部が駆動軸の下方に位置するように保持デバイスを槽床に固定するステップと、攪拌ツールを駆動軸の端部に配置するステップであって、軸部が収容部の凹部内に横向きに挿入されるステップと、攪拌ツールを駆動軸の端部に装着するステップと、軸部の非装着端部が安全軸受内に収容されるように収容部上に収容デバイスを装着するステップと、を含む方法を実施できる。
【0013】
提案される方法では、駆動装置を複数回固定する必要はない。装置は、迅速に組み立てることができ、同時に正確に整列させることができる。
【0014】
有利な実施形態によれば、保持デバイスの幾つかの部分が最終的に槽床に固定された後でコンクリートに流し込まれる。これによって保持デバイスの耐久性と安定性が増加する。
【0015】
本発明の例示的実施形態について図面を参照しながら以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】垂直攪拌装置の側面図である。
【図2】図1の双曲面攪拌装置本体の拡大詳細図である。
【図3】保持デバイスの側面図である。
【図4】図3の保持デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す垂直攪拌装置では、駆動装置1が槽床2の上に、例えば、タンク(詳細には図示せず)の槽の全体にわたるブリッジ3上に固定されている。槽床2は水平方向に延在する。駆動装置1から駆動軸4が垂直方向に延在し、その端部E1に双曲面攪拌装置本体5が装着されている。槽床2と双曲面攪拌装置本体5との間に、双曲面攪拌装置本体5の下方領域に空気を供給するリングライン6が提供されている。
【0018】
図2から明らかなように、軸部7は、双曲面攪拌装置本体5の底面から槽床2の方向へ延在する。軸部7の非装着端部E2は、全体を参照符号8で示す保持デバイス内に保持されている。
【0019】
図3及び図4は、保持デバイス8の詳細図である。上記保持デバイス8は、実質的に水平に延在する収容部9と、収容部9から槽床2の方向に60〜80°の角度に斜めに延在する2つの支持部とを有する。収容部9は、軸部7の非装着端部E2を横向きに挿入できる凹部11を有する。凹部11は、有利には2つの支持部10の一方の追加の凹部11aとして連続する。
【0020】
参照符号12は、安全軸受14を収容するスリーブ13を有する収容デバイスを識別する。スリーブ13は、好ましくはボルト16によって収容部9に着脱自在に固定された板15を貫通して突き出す。ボルト16は、収容部9に提供された細長い穴17と板15の貫通開口(図示せず)を通して挿入される。
【0021】
支持部10の各々は、実質的に水平に延在し2つの追加の細長い穴19を備えた傾斜部18をその端部に有する。追加の細長い穴19にアンカーボルト20が挿入され、保持デバイス8を槽床2に固定できる。アンカーボルト20は、保持デバイス8が高さに関して細長い穴17に垂直の方向に整列するように構成されている。
【0022】
本発明の垂直攪拌装置は、以下のように組み立てられる。
【0023】
最初に、駆動軸4が駆動装置1上に装着される。次に、駆動装置1がブリッジ3などの上に装着され、駆動軸4は槽床2の方向に吊り下げられて延在する。その後、吊り下げられた駆動軸4の下方で垂線が槽床2に下ろされる。次に、下ろした垂線が凹部11内に位置するように、保持デバイス8がアンカーボルト20を用いて槽床2に固定される。
【0024】
次に、双曲面攪拌装置本体5が、例えば、フォークリフトによって駆動軸4の端部E1の下方領域へ移送される。この工程で、軸部7の非装着端部E2が同時に保持デバイス8の凹部11及び追加の凹部11a内に横向きに挿入される。次に、双曲面攪拌装置本体5が駆動軸4の端部E1に固定される。
【0025】
次に、収容デバイス12が底面から非装着端部E2へ押し出される。板15がボルト16によって収容部9に整列し固定される。最後に、取付用アンカー20が傾斜部18に整列し、固定される。特に、傾斜部18と支持部10の各部をコンクリートに流し込むことができる。これで、垂直攪拌装置の組み立ては完了である。その後、槽床2上にリングライン6を装着できる。
【符号の説明】
【0026】
1 駆動装置
2 槽床
3 ブリッジ
4 駆動軸
5 双曲面攪拌装置本体
6 リングライン
7 軸部
8 保持デバイス
9 収容部
10 支持部
11 凹部
11a 凹部
12 収容デバイス
13 スリーブ
14 安全軸受
15 板
16 ボルト
17 細長い穴
18 傾斜部
19 追加の細長い穴
20 アンカーボルト
E1 端部
E2 非装着端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽に収容される汚水などのための垂直攪拌装置であって、
攪拌装置ツール(5)が槽床(2)の上に装着された駆動装置(1)から垂直に延在する駆動軸(4)に装着され、
前記攪拌装置ツール(5)から前記槽床(2)の方向に延在する軸部(7)の非装着端部(E2)が安全軸受(14)内に保持され、
前記安全軸受(14)が、前記槽床(2)上に支持された保持デバイス(8)内に保持され、
前記保持デバイス(8)が、安全軸受(14)を収容する収容デバイス(12)のための収容部(9)を有し、
前記収容部(9)が、前記軸部(7)の横方向の挿入のための実質的に水平方向に面した凹部(11)を有することを特徴とする、垂直攪拌装置。
【請求項2】
前記収容デバイス(12)が、前記安全軸受(14)を収容するための板(15)に装着されたスリーブ(13)を有する、請求項1に記載の垂直攪拌装置。
【請求項3】
前記収容部(9)が、前記板(15)を整列させるための細長い穴(17)を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の垂直攪拌装置。
【請求項4】
前記収容部(9)が、前記槽床(2)に対して支持されるように構成された支持部(10)に接続される、前記請求項のいずれか1項に記載の垂直攪拌装置。
【請求項5】
前記収容部(9)及び前記支持部(10)が、金属板からの一体品として製造される、前記請求項のいずれか1項に記載の垂直攪拌装置。
【請求項6】
前記攪拌装置ツール(5)が、双曲面攪拌装置本体である、前記請求項のいずれか1項に記載の垂直攪拌装置。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1項に記載の垂直攪拌装置を組み立てる方法であって、
前記駆動軸(4)が前記槽床(2)の上に吊り下げられるように、前記駆動装置(1)及び前記駆動軸(4)を装着するステップと、
前記凹部(11)が、前記駆動軸(4)の下方に位置するように前記保持デバイス(8)を前記槽床(2)に固定するステップと、
前記攪拌ツール(5)を前記駆動軸(4)の端部(E1)に配置するステップであって、前記軸部(7)が前記収容部(9)の前記凹部(11)内に横向きに挿入されるステップと、
前記攪拌ツール(5)を前記駆動軸(4)の前記端部(E1)に装着するステップと、
前記軸部(7)の前記非装着端部(E2)が前記安全軸受(14)内に収容されるように、前記収容部(9)に前記収容デバイス(12)を装着するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記保持デバイス(8)の幾つかの部分が、コンクリートに流し込まれる、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516312(P2013−516312A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547487(P2012−547487)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070804
【国際公開番号】WO2011/083063
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512070458)インヴェント ウムヴェルト ウント フェアファーレンシュテッヒニク アーゲー (4)
【氏名又は名称原語表記】Invent Umwelt‐ und Verfahrenstechnik AG
【Fターム(参考)】