型鋼の切断方法及び型鋼の切断ライン
【課題】サイズ如何に拘わらずアングル材や平鋼等の型鋼を自動でかつ安定して切断することができる型鋼の切断ラインを提供する。
【解決手段】複数本のワークが配材された準備コンベア11と、準備コンベアから搬入ピッキング装置12により一本毎搬入されるワークに印字を施す印字装置13を備えた印字ローラコンベア14と、印字ローラコンベアから移載されたワークを切断するNCプラズマ切断機15を備えた切断スラットコンベア16と、切断スラットコンベアで切断されたワーク切断片が搬出ピッキング装置17により搬出される搬出コンベア18と、を備え、前記準備コンベアは、ワーク搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入チェーンコンベア20からなるとともに、これらの搬入チェーンコンベアにはワークを安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられている。
【解決手段】複数本のワークが配材された準備コンベア11と、準備コンベアから搬入ピッキング装置12により一本毎搬入されるワークに印字を施す印字装置13を備えた印字ローラコンベア14と、印字ローラコンベアから移載されたワークを切断するNCプラズマ切断機15を備えた切断スラットコンベア16と、切断スラットコンベアで切断されたワーク切断片が搬出ピッキング装置17により搬出される搬出コンベア18と、を備え、前記準備コンベアは、ワーク搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入チェーンコンベア20からなるとともに、これらの搬入チェーンコンベアにはワークを安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新造船の船殻構造に用いられるアングル材や平鋼等の型鋼を切断する型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアングル材をNC切断機を用いて自動切断することは良く知られている(特許文献1参照)。しかしながら、新造船の船殻構造の一部であるアングル材や平鋼をNC切断機を用いて切断するラインにおいては、従来(旧型機)では150mm以上のアングル材はNC切断が可能であったが、150mm未満のサイズは、切断の際に安定して保持することが困難であることから、手作業で行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−304839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、手作業による切断においては、「素材搬入」→「図面切断の寸法読み取り」→「素材上の手書きマーキング作業」→「半自動切断機による切断作業」→「切断材搬出」までの工程をすべて手作業で行い、かつ熟練技量を必要とする作業であったため、工数増大により生産効率が著しく悪化していた。また、旧型機においてはアングル材のみしか切断できないこともあり、併設するNC平鋼切断機がトラブルにより停止した場合においても全て上記手作業での加工になることも問題点の一つであった。
【0005】
そこで、本発明は、サイズ如何に拘わらずアングル材や平鋼等の型鋼を自動でかつ安定して切断することができる型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するための本発明に係る型鋼の切断方法は、
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアでは前記型鋼を安定して段積み可能な傾斜角で段積みし、この段積みされた型鋼を1本毎前記準備コンベアとは異なる傾斜角を有した印字コンベアへ搬入することを特徴とする。
【0007】
また、
前記準備コンベアでは前記段積みされた型鋼が前記印字コンベアの搬送方向と直交する方向に複数段に亘って仮置きされて順次横送りされることを特徴とする。
【0008】
斯かる目的を達成するための本発明に係る型鋼の切断ラインは、
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアは、型鋼搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入コンベアからなるとともに、これらの搬入コンベアには型鋼を安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラットが型鋼搬送方向に複数個備えられていることを特徴とする。
【0009】
また、
前記搬入コンベアは、山形状スラットに隣接して逆山形状スラットを備え、これら両スラットで平鋼からなる型鋼の段積みが可能になっていることを特徴とする。
【0010】
また、
前記搬入ピッキング装置及び搬出ピッキング装置は、型鋼及び型鋼切断片をハンドリングするマグネットを、昇降フレームに傾動自在に枢支された傾動フレームに設け、該傾動フレームの傾動によりハンドリング角度が変更可能になっていることを特徴とする。
【0011】
また、
前記印字コンベアは、傾斜した状態で搬送する型鋼を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構を進退可能に備えることを特徴とする。
【0012】
また、
前記切断コンベアは、傾斜した状態で搬送する型鋼を切断の際にクランプするクランプローラ機構を切断機本体に備えることを特徴とする。
【0013】
また、
前記搬出コンベアは、アングル材からなる型鋼の切断片を水平に支持して搬送するための枕部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインによれば、準備コンベアにおいて、アングル材や平鋼を問わず、複数本の型鋼を安定して段積みができるとともに、この段積みされた型鋼を型鋼搬送方向に複数段(複数バッファ)に亘って仮置き(ストック)することができる。
【0015】
この結果、準備コンベアから印字コンベアへ搬入ピッキング装置により、アングル材や平鋼を問わず、型鋼を一本毎、自動でかつ円滑に搬入でき、工数低減と処理量増大により生産効率の向上が図れるとともに汎用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す型鋼のNC切断ラインの全体構成を示す平面図である。
【図2】準備コンベアの要部平面図である。
【図3】準備コンベアの側面図である。
【図4】搬入ピッキング装置の要部平面図である。
【図5】図4のA−A矢視図である。
【図6】印字コンベアの要部平面図である。
【図7】図6のB−B矢視図である。
【図8】クランプローラ機構の説明図である。
【図9】搬出ピッキング装置の要部平面図である。
【図10】図9のC−C矢視図である。
【図11】搬出コンベアの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明の一実施例を示す型鋼のNC切断ラインの全体構成を示す平面図、図2は準備コンベアの要部平面図、図3は準備コンベアの側面図、図4は搬入ピッキング装置の要部平面図、図5は図4のA−A矢視図、図6は印字コンベアの要部平面図、図7は図6のB−B矢視図、図8はクランプローラ機構の説明図、図9は搬出ピッキング装置の要部平面図、図10は図9のC−C矢視図、図11は搬出コンベアの説明図である。
【0019】
図1に示すように、型鋼のNC切断ライン10は、複数本のワーク(アングル材や平鋼等の型鋼)が配材された準備コンベア11と、該準備コンベア11から搬入ピッキング装置12により一本毎搬入されるワークに印字を施す印字装置13を備えた印字ローラコンベア(印字コンベア)14と、該印字ローラコンベア14から移載されたワークを切断するNCプラズマ切断機(自動切断機)15を備えた切断スラットコンベア(切断コンベア)16と、該切断スラットコンベア16で切断されたワーク切断片が搬出ピッキング装置17により搬出される搬出コンベア18と、を備える。
【0020】
尚、前記準備コンベア11と搬入ピッキング装置12と印字ローラコンベア(印字コンベア)14とで搬入ステージが構成され、NCプラズマ切断機(自動切断機)15と切断スラットコンベア(切断コンベア)16とで切断ステージが構成される。また、切断スラットコンベア16と搬出ピッキング装置17と搬出コンベア18とで搬出ステージが構成される。
【0021】
前記準備コンベア11は、図2及び図3に示すように、ワーク搬送方向(図2中白抜き矢印参照)と直交する方向に複数条(例えば8条)設けられた搬入チェーンコンベア(搬入コンベア)20からなり、これらはカウンターシャフト21を介して駆動モータ22により同期駆動されている。これらの搬入チェーンコンベア20にはワークを安定して段積み可能な例えば45度の傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられている。尚、段積み可能な傾斜角としては45度±5度の範囲が好適である。
【0022】
図示例では、山形状スラット23に隣接して例えば45度の傾斜角を有した逆山形状スラット24が備えられ、これらを1セットとし、搬入チェーンコンベア20の1条につき13セットのスラットが設けられている。図3中Waは5段に段積みされた平鋼で、これら平鋼Waは山形状スラット23と逆山形状スラット24に跨って段積みされている。また、Wbは1段積みの玉平形鋼、Wcは5段積みの不等辺不等厚山形鋼、Wdは5段積みの不等辺山形鋼、Weは5段積みの等辺山形鋼であり、これらは、5段積みの平鋼Waを含めて、ハンドリング面Fがすべて45度に保たれている。
【0023】
前記搬入ピッキング装置12は、図4及び図5に示すように、ワーク(等辺山形鋼)Weの二つのハンドリング面Fをハンドリングし得る一対のマグネットM1,M2を、昇降フレーム25に傾動自在に枢支された傾動フレーム26に印字ローラコンベア14に沿って多数設け、該傾動フレーム26の傾動によりハンドリング角度が例えば45度(搬入チェーンコンベア20の段積み角度)から25度(後述する印字ローラコンベア14の搬送角度)に変更可能になっている。
【0024】
詳細には、昇降フレーム25は図示しない本体フレームに昇降可能でかつ準備コンベア11⇔印字ローラコンベア14間の横行が可能に支持されている。そして、昇降フレーム25上にはワイヤードラム27と支点アーム28とが長手方向(印字ローラコンベア14に沿う方向)に例えば6箇所設けられ、これらに対応して傾動フレーム26上にはシーブ29が設けられる。従って、支点アーム28からシーブ29を動滑車とし、ワイヤードラム27にてワイヤー30を巻取り・巻出しすることで傾動フレーム25が傾動支点31を中心に傾動可能となる。
【0025】
図示例では、傾動角度(ハンドリング角度)は25度、45度の2位置となし、それらをリミットスイッチで検出し得るようになっているので、リミットスイッチの検出位置を調整することにより、傾動角度(ハンドリング角度)を任意に変更することができる。また、ワイヤードラム27は6箇所すべてをカウンターシャフト32にて1軸とし、傾動用モータ33により同期駆動されるようになっている。さらに、ワーク着床時等、ワイヤー30の弛みを防ぐため支点アーム28の内部にバネ34が組み込まれている。さらにまた、ワイヤー30の長さ調整も支点アーム28の上部に設けた調整ナット35により調整可能となっている。尚、図示例では、印字ローラコンベア14側のマグネットM1は2個1組で設けられているが、1個でも良い。
【0026】
前記印字ローラコンベア14は、図6及び図7に示すように、各ローラ36が例えば25度傾斜したものが用いられ、これらのローラ36はカウンターシャフト37を介して駆動モータ38により同期駆動されるようになっている。各ローラ36の下がった方の端部寄りにはフランジ状にワーク受け39が設けられ、ワーク(平鋼)Waの滑り止めをして傾斜した状態で搬送されるワーク(平鋼)Waを安定搬送し得るようになっている。
【0027】
また、各ローラ36の上がった方の端部側には、傾斜した状態で搬送されるワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構40がローラ36の例えば二つ置きで且つ進退可能に設けられる。
【0028】
即ち、ガイドローラ機構40は、二つのハンドリング面Fを転動し得る、回転軸線が直交する二組のローラ41を備えたガイド部42がL字状のクランプアーム43の先端にピン44結合されてなる。そして、クランプアーム43はその基端が昇降テーブル45にピン46結合され、クランプ用シリンダ47の伸縮によりクランプ−アンクランプが可能になっている。昇降テーブル45はコンベア架台48に昇降用シリンダ49の伸縮によりガイドロッド50に案内されて昇降可能に支持されている。
【0029】
従って、ガイドローラ機構40の使用時(アングル材の搬送時等)は、昇降用シリンダ49とクランプ用シリンダ47の伸長により、ガイド部42がクランプ状態(図7の実線状態)となり、アングル材の形状に沿って首を振り、二組のローラ41にてアングル材をガイドすることが可能となる。一方、ガイドローラ機構40の未使用時(平鋼の搬送時等)は、昇降用シリンダ49とクランプ用シリンダ47の収縮により、ガイド部42がアンクランプ状態(図7の鎖線状態)となり、最終的にはコンベアトップより下の位置に隠れることが可能となる。
【0030】
前記切断スラットコンベア16は、図8に示すように、例えば25度の傾斜を有したものが用いられるとともに、NCプラズマ切断機15の架構体(NC切断機本体)51に位置して、傾斜した状態で搬送されるワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材を、切断の際にクランプするクランプローラ機構52が設けられる。
【0031】
即ち、クランプローラ機構52は、二つのハンドリング面Fを転動し得る、回転軸線が直交する二つのローラ53を備えたクランプ部54がクランプ用シリンダ55のピストンロッド先端にピン56結合されてなる。そして、クランプ用シリンダ55を支持する支持台57は架構体51に垂設されたシリンダサポート58に図示しない複数のマグネットで吸着され、クランプ部54が切断スラットコンベア16側から強い衝撃を受けた時には支持台57の部分で架構体51のシリンダサポート58から分離可能になっている。この時、支持台57がシリンダサポート58から分離したことを、図示しないセンサにより検知し、図示しないセンサより異常信号を発生することで、NCプラズマ切断機15の動作を停止することができる。尚、図中59は支持台57が分離した時のぶら下がり用ワイヤーである。また、クランプ部54の衝撃を検出するセンサを設けて、検出時にマグネットの電磁力を消磁するようにしても良い。
【0032】
前記搬出ピッキング装置17は、図9及び図10に示すように、ワーク(等辺山形鋼)We等の切断片における一方のハンドリング面Fをハンドリングし得るマグネットM1を、昇降フレーム60に傾動自在に枢支された傾動フレーム61に切断スラットコンベア16に沿って多数(ワーク(等辺山形鋼)We等の切断片を一括して搬出する数だけ)設け、該傾動フレーム61の傾動によりハンドリング角度が例えば0度から45度の間で変更可能になっている。
【0033】
詳細には、昇降フレーム60は図示しない本体フレームに昇降可能でかつ切断スラットコンベア16⇔搬出コンベア18間の横行が可能に支持されている。そして、昇降フレーム60上にはワイヤードラム62と支点アーム63とが長手方向(切断スラットコンベア16に沿う方向)に例えば6箇所設けられ、これらに対応して傾動フレーム61上にはシーブ64が設けられる。従って、支点アーム63からシーブ64を動滑車とし、ワイヤードラム62にてワイヤー65を巻取り・巻出しすることで傾動フレーム61が傾動支点66を中心に傾動可能となる。
【0034】
図示例では、ワイヤードラム62は6箇所すべてをカウンターシャフト67にて1軸とし、傾動用モータ68により同期駆動されるようになっている。また、カウンターシャフト67の回転角をロータリーエンコーダ69で検出し、0度から45度の間で停止角度をセットして停止させるようになっている。さらに、ワーク着床時等、ワイヤー65の弛みを防ぐため支点アーム63の内部にバネ70が組み込まれている。さらにまた、ワイヤー65の長さ調整も支点アーム63の上部に設けた調整ナット71により調整可能となっている。
【0035】
前記搬出コンベア18は、図11に示すように、0度の(平坦な)スラットコンベアが用いられるとともに、ワーク(平鋼)Waの切断片を搬送する際はそのままで搬送し(図11の(b)参照)、ワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材の切断片を搬送する際は枕部材72を用いて水平に支持して搬送するようになっている(図11の(a)参照)。
【0036】
このようにして本実施例に係る型鋼のNC切断ラインによれば、準備コンベア11はワーク搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入チェーンコンベア20からなるとともに、これらの搬入チェーンコンベア20にはワークを安定して段積み可能な例えば45度の傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられているので、複数条の搬入チェーンコンベア20における山形状スラット23に、アングル材や平鋼を問わず、複数本のワークを安定して段積みができるとともに、この段積みされたワークをワーク搬送方向に複数段(複数バッファ)に亘って仮置きすることができる。
【0037】
この結果、準備コンベア11から印字ローラコンベア14へ搬入ピッキング装置12により、アングル材や平鋼を問わず、ワークを一本毎、自動でかつ円滑に搬入でき、工数低減と処理量増大により生産効率の向上が図れるとともに汎用性が高まる。
【0038】
また、搬入チェーンコンベア20は、山形状スラット23に隣接して逆山形状スラット24を備え、これら両スラットでワーク(平鋼)Waからなる型鋼の段積みが可能になっているので、コンベアを大型化することなく、ワーク(平鋼)Waを効果的に段積みすることができる。
【0039】
また、搬入ピッキング装置12及び搬出ピッキング装置17は、ワーク及びワーク切断片をハンドリングするマグネットM1,M2を、昇降フレーム25,60に傾動自在に枢支された傾動フレーム26,61に設け、該傾動フレーム26,61の傾動によりハンドリング角度が変更可能になっているので、各種コンベア間におけるワークのハンドリングが円滑かつ容易に行える。
【0040】
また、印字ローラコンベア14は、傾斜した状態で搬送されるワークを固定しながら搬送可能なガイドローラ機構40を進退可能に備えるので、特に印字ローラコンベア14から切断スラットコンベア16へのワークの搬送時に、跳ね上がりなどでワークが落下するのを防止でき、ラインの信頼性が高まる。
【0041】
また、切断スラットコンベア16は、傾斜した状態で搬送されるワークの切断の際にクランプするクランプローラ機構52をNCプラズマ切断機15の架構体51に備えるので、切断中にワークが落下するのを防止でき、ラインの信頼性が高まる。加えて、クランプ用シリンダ55を支持する支持台57は架構体51に垂設されたシリンダサポート58に図示しない複数のマグネットで吸着され、クランプ部54がワーク等から強い衝撃を受けた時に支持台57部でシリンダサポート58から分離可能になっているので、NCプラズマ切断機15側へ強い衝撃が波及するのが回避され、ラインの信頼性が高まる。
【0042】
また、搬出コンベア18はアングル材からなるワークWb〜Weの切断片を水平に支持して搬送するための枕部材72を備えるので、ワークWb〜Weの切断片を円滑に搬送することができ、ラインの信頼性が高まる。
【0043】
このようにして、本実施例ではライン全体の自動化を効果的に図ることができる。
【0044】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、自動切断機としてNCプラズマ切断機に代えて一般的なNCガス切断機やNCレーザ切断機を用いても良いし、NC切断機以外にロボット(アームに限らず)に切断機を組み付けて所謂ロボット切断するものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインは、新造船の船殻構造の一部であるアングル材と平鋼の両方を兼用して切断する切断ラインに用いると好適である。
【符号の説明】
【0046】
10 型鋼のNC切断ライン、11 準備コンベア、12 搬入ピッキング装置、13 印字装置、14 印字ローラコンベア、15 NCプラズマ切断機、16 切断スラットコンベア、17 搬出ピッキング装置、18 搬出コンベア、20 搬入チェーンコンベア、21 カウンターシャフト、22 駆動モータ、23 山形状スラット、24 逆山形状スラット、25 昇降フレーム、26 傾動フレーム、27 ワイヤードラム、28 支点アーム、29 シーブ、30 ワイヤー、31 傾動支点、32 カウンターシャフト、33 傾動用モータ、34 バネ、35 調整ナット、36 ローラ、37 カウンターシャフト、38 駆動モータ、39 ワーク受け、40 ガイドローラ機構、41 ローラ、42 ガイド部、43 クランプアーム、44 ピン、45 昇降テーブル、46 ピン、47 クランプ用シリンダ、48 コンベア架台、49 昇降用シリンダ、50 ガイドロッド、51 架構体、52 クランプローラ機構、53 ローラ、54 クランプ部、55 クランプ用シリンダ、56 ピン、57 支持台、58 シリンダサポート、59 ぶら下がり用ワイヤー、60 昇降フレーム、61 傾動フレーム、62 ワイヤードラム、63 支点アーム、64 シーブ、65 ワイヤー、66 傾動支点、67 カウンターシャフト、68 傾動用モータ、69 ロータリーエンコーダ、70 バネ、71 調整ナット、72 枕部材、Wa 平鋼、Wb 玉平形鋼、Wc 不等辺不等厚山形鋼、Wd 不等辺山形鋼、We 等辺山形鋼、F ハンドリング面、M1,M2 マグネット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新造船の船殻構造に用いられるアングル材や平鋼等の型鋼を切断する型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からアングル材をNC切断機を用いて自動切断することは良く知られている(特許文献1参照)。しかしながら、新造船の船殻構造の一部であるアングル材や平鋼をNC切断機を用いて切断するラインにおいては、従来(旧型機)では150mm以上のアングル材はNC切断が可能であったが、150mm未満のサイズは、切断の際に安定して保持することが困難であることから、手作業で行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−304839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、手作業による切断においては、「素材搬入」→「図面切断の寸法読み取り」→「素材上の手書きマーキング作業」→「半自動切断機による切断作業」→「切断材搬出」までの工程をすべて手作業で行い、かつ熟練技量を必要とする作業であったため、工数増大により生産効率が著しく悪化していた。また、旧型機においてはアングル材のみしか切断できないこともあり、併設するNC平鋼切断機がトラブルにより停止した場合においても全て上記手作業での加工になることも問題点の一つであった。
【0005】
そこで、本発明は、サイズ如何に拘わらずアングル材や平鋼等の型鋼を自動でかつ安定して切断することができる型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するための本発明に係る型鋼の切断方法は、
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアでは前記型鋼を安定して段積み可能な傾斜角で段積みし、この段積みされた型鋼を1本毎前記準備コンベアとは異なる傾斜角を有した印字コンベアへ搬入することを特徴とする。
【0007】
また、
前記準備コンベアでは前記段積みされた型鋼が前記印字コンベアの搬送方向と直交する方向に複数段に亘って仮置きされて順次横送りされることを特徴とする。
【0008】
斯かる目的を達成するための本発明に係る型鋼の切断ラインは、
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアは、型鋼搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入コンベアからなるとともに、これらの搬入コンベアには型鋼を安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラットが型鋼搬送方向に複数個備えられていることを特徴とする。
【0009】
また、
前記搬入コンベアは、山形状スラットに隣接して逆山形状スラットを備え、これら両スラットで平鋼からなる型鋼の段積みが可能になっていることを特徴とする。
【0010】
また、
前記搬入ピッキング装置及び搬出ピッキング装置は、型鋼及び型鋼切断片をハンドリングするマグネットを、昇降フレームに傾動自在に枢支された傾動フレームに設け、該傾動フレームの傾動によりハンドリング角度が変更可能になっていることを特徴とする。
【0011】
また、
前記印字コンベアは、傾斜した状態で搬送する型鋼を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構を進退可能に備えることを特徴とする。
【0012】
また、
前記切断コンベアは、傾斜した状態で搬送する型鋼を切断の際にクランプするクランプローラ機構を切断機本体に備えることを特徴とする。
【0013】
また、
前記搬出コンベアは、アングル材からなる型鋼の切断片を水平に支持して搬送するための枕部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインによれば、準備コンベアにおいて、アングル材や平鋼を問わず、複数本の型鋼を安定して段積みができるとともに、この段積みされた型鋼を型鋼搬送方向に複数段(複数バッファ)に亘って仮置き(ストック)することができる。
【0015】
この結果、準備コンベアから印字コンベアへ搬入ピッキング装置により、アングル材や平鋼を問わず、型鋼を一本毎、自動でかつ円滑に搬入でき、工数低減と処理量増大により生産効率の向上が図れるとともに汎用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す型鋼のNC切断ラインの全体構成を示す平面図である。
【図2】準備コンベアの要部平面図である。
【図3】準備コンベアの側面図である。
【図4】搬入ピッキング装置の要部平面図である。
【図5】図4のA−A矢視図である。
【図6】印字コンベアの要部平面図である。
【図7】図6のB−B矢視図である。
【図8】クランプローラ機構の説明図である。
【図9】搬出ピッキング装置の要部平面図である。
【図10】図9のC−C矢視図である。
【図11】搬出コンベアの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明の一実施例を示す型鋼のNC切断ラインの全体構成を示す平面図、図2は準備コンベアの要部平面図、図3は準備コンベアの側面図、図4は搬入ピッキング装置の要部平面図、図5は図4のA−A矢視図、図6は印字コンベアの要部平面図、図7は図6のB−B矢視図、図8はクランプローラ機構の説明図、図9は搬出ピッキング装置の要部平面図、図10は図9のC−C矢視図、図11は搬出コンベアの説明図である。
【0019】
図1に示すように、型鋼のNC切断ライン10は、複数本のワーク(アングル材や平鋼等の型鋼)が配材された準備コンベア11と、該準備コンベア11から搬入ピッキング装置12により一本毎搬入されるワークに印字を施す印字装置13を備えた印字ローラコンベア(印字コンベア)14と、該印字ローラコンベア14から移載されたワークを切断するNCプラズマ切断機(自動切断機)15を備えた切断スラットコンベア(切断コンベア)16と、該切断スラットコンベア16で切断されたワーク切断片が搬出ピッキング装置17により搬出される搬出コンベア18と、を備える。
【0020】
尚、前記準備コンベア11と搬入ピッキング装置12と印字ローラコンベア(印字コンベア)14とで搬入ステージが構成され、NCプラズマ切断機(自動切断機)15と切断スラットコンベア(切断コンベア)16とで切断ステージが構成される。また、切断スラットコンベア16と搬出ピッキング装置17と搬出コンベア18とで搬出ステージが構成される。
【0021】
前記準備コンベア11は、図2及び図3に示すように、ワーク搬送方向(図2中白抜き矢印参照)と直交する方向に複数条(例えば8条)設けられた搬入チェーンコンベア(搬入コンベア)20からなり、これらはカウンターシャフト21を介して駆動モータ22により同期駆動されている。これらの搬入チェーンコンベア20にはワークを安定して段積み可能な例えば45度の傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられている。尚、段積み可能な傾斜角としては45度±5度の範囲が好適である。
【0022】
図示例では、山形状スラット23に隣接して例えば45度の傾斜角を有した逆山形状スラット24が備えられ、これらを1セットとし、搬入チェーンコンベア20の1条につき13セットのスラットが設けられている。図3中Waは5段に段積みされた平鋼で、これら平鋼Waは山形状スラット23と逆山形状スラット24に跨って段積みされている。また、Wbは1段積みの玉平形鋼、Wcは5段積みの不等辺不等厚山形鋼、Wdは5段積みの不等辺山形鋼、Weは5段積みの等辺山形鋼であり、これらは、5段積みの平鋼Waを含めて、ハンドリング面Fがすべて45度に保たれている。
【0023】
前記搬入ピッキング装置12は、図4及び図5に示すように、ワーク(等辺山形鋼)Weの二つのハンドリング面Fをハンドリングし得る一対のマグネットM1,M2を、昇降フレーム25に傾動自在に枢支された傾動フレーム26に印字ローラコンベア14に沿って多数設け、該傾動フレーム26の傾動によりハンドリング角度が例えば45度(搬入チェーンコンベア20の段積み角度)から25度(後述する印字ローラコンベア14の搬送角度)に変更可能になっている。
【0024】
詳細には、昇降フレーム25は図示しない本体フレームに昇降可能でかつ準備コンベア11⇔印字ローラコンベア14間の横行が可能に支持されている。そして、昇降フレーム25上にはワイヤードラム27と支点アーム28とが長手方向(印字ローラコンベア14に沿う方向)に例えば6箇所設けられ、これらに対応して傾動フレーム26上にはシーブ29が設けられる。従って、支点アーム28からシーブ29を動滑車とし、ワイヤードラム27にてワイヤー30を巻取り・巻出しすることで傾動フレーム25が傾動支点31を中心に傾動可能となる。
【0025】
図示例では、傾動角度(ハンドリング角度)は25度、45度の2位置となし、それらをリミットスイッチで検出し得るようになっているので、リミットスイッチの検出位置を調整することにより、傾動角度(ハンドリング角度)を任意に変更することができる。また、ワイヤードラム27は6箇所すべてをカウンターシャフト32にて1軸とし、傾動用モータ33により同期駆動されるようになっている。さらに、ワーク着床時等、ワイヤー30の弛みを防ぐため支点アーム28の内部にバネ34が組み込まれている。さらにまた、ワイヤー30の長さ調整も支点アーム28の上部に設けた調整ナット35により調整可能となっている。尚、図示例では、印字ローラコンベア14側のマグネットM1は2個1組で設けられているが、1個でも良い。
【0026】
前記印字ローラコンベア14は、図6及び図7に示すように、各ローラ36が例えば25度傾斜したものが用いられ、これらのローラ36はカウンターシャフト37を介して駆動モータ38により同期駆動されるようになっている。各ローラ36の下がった方の端部寄りにはフランジ状にワーク受け39が設けられ、ワーク(平鋼)Waの滑り止めをして傾斜した状態で搬送されるワーク(平鋼)Waを安定搬送し得るようになっている。
【0027】
また、各ローラ36の上がった方の端部側には、傾斜した状態で搬送されるワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構40がローラ36の例えば二つ置きで且つ進退可能に設けられる。
【0028】
即ち、ガイドローラ機構40は、二つのハンドリング面Fを転動し得る、回転軸線が直交する二組のローラ41を備えたガイド部42がL字状のクランプアーム43の先端にピン44結合されてなる。そして、クランプアーム43はその基端が昇降テーブル45にピン46結合され、クランプ用シリンダ47の伸縮によりクランプ−アンクランプが可能になっている。昇降テーブル45はコンベア架台48に昇降用シリンダ49の伸縮によりガイドロッド50に案内されて昇降可能に支持されている。
【0029】
従って、ガイドローラ機構40の使用時(アングル材の搬送時等)は、昇降用シリンダ49とクランプ用シリンダ47の伸長により、ガイド部42がクランプ状態(図7の実線状態)となり、アングル材の形状に沿って首を振り、二組のローラ41にてアングル材をガイドすることが可能となる。一方、ガイドローラ機構40の未使用時(平鋼の搬送時等)は、昇降用シリンダ49とクランプ用シリンダ47の収縮により、ガイド部42がアンクランプ状態(図7の鎖線状態)となり、最終的にはコンベアトップより下の位置に隠れることが可能となる。
【0030】
前記切断スラットコンベア16は、図8に示すように、例えば25度の傾斜を有したものが用いられるとともに、NCプラズマ切断機15の架構体(NC切断機本体)51に位置して、傾斜した状態で搬送されるワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材を、切断の際にクランプするクランプローラ機構52が設けられる。
【0031】
即ち、クランプローラ機構52は、二つのハンドリング面Fを転動し得る、回転軸線が直交する二つのローラ53を備えたクランプ部54がクランプ用シリンダ55のピストンロッド先端にピン56結合されてなる。そして、クランプ用シリンダ55を支持する支持台57は架構体51に垂設されたシリンダサポート58に図示しない複数のマグネットで吸着され、クランプ部54が切断スラットコンベア16側から強い衝撃を受けた時には支持台57の部分で架構体51のシリンダサポート58から分離可能になっている。この時、支持台57がシリンダサポート58から分離したことを、図示しないセンサにより検知し、図示しないセンサより異常信号を発生することで、NCプラズマ切断機15の動作を停止することができる。尚、図中59は支持台57が分離した時のぶら下がり用ワイヤーである。また、クランプ部54の衝撃を検出するセンサを設けて、検出時にマグネットの電磁力を消磁するようにしても良い。
【0032】
前記搬出ピッキング装置17は、図9及び図10に示すように、ワーク(等辺山形鋼)We等の切断片における一方のハンドリング面Fをハンドリングし得るマグネットM1を、昇降フレーム60に傾動自在に枢支された傾動フレーム61に切断スラットコンベア16に沿って多数(ワーク(等辺山形鋼)We等の切断片を一括して搬出する数だけ)設け、該傾動フレーム61の傾動によりハンドリング角度が例えば0度から45度の間で変更可能になっている。
【0033】
詳細には、昇降フレーム60は図示しない本体フレームに昇降可能でかつ切断スラットコンベア16⇔搬出コンベア18間の横行が可能に支持されている。そして、昇降フレーム60上にはワイヤードラム62と支点アーム63とが長手方向(切断スラットコンベア16に沿う方向)に例えば6箇所設けられ、これらに対応して傾動フレーム61上にはシーブ64が設けられる。従って、支点アーム63からシーブ64を動滑車とし、ワイヤードラム62にてワイヤー65を巻取り・巻出しすることで傾動フレーム61が傾動支点66を中心に傾動可能となる。
【0034】
図示例では、ワイヤードラム62は6箇所すべてをカウンターシャフト67にて1軸とし、傾動用モータ68により同期駆動されるようになっている。また、カウンターシャフト67の回転角をロータリーエンコーダ69で検出し、0度から45度の間で停止角度をセットして停止させるようになっている。さらに、ワーク着床時等、ワイヤー65の弛みを防ぐため支点アーム63の内部にバネ70が組み込まれている。さらにまた、ワイヤー65の長さ調整も支点アーム63の上部に設けた調整ナット71により調整可能となっている。
【0035】
前記搬出コンベア18は、図11に示すように、0度の(平坦な)スラットコンベアが用いられるとともに、ワーク(平鋼)Waの切断片を搬送する際はそのままで搬送し(図11の(b)参照)、ワーク(玉平形鋼)Wb、ワーク(不等辺不等厚山形鋼)Wc、ワーク(不等辺山形鋼)Wd、ワーク(等辺山形鋼)We等のアングル材の切断片を搬送する際は枕部材72を用いて水平に支持して搬送するようになっている(図11の(a)参照)。
【0036】
このようにして本実施例に係る型鋼のNC切断ラインによれば、準備コンベア11はワーク搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入チェーンコンベア20からなるとともに、これらの搬入チェーンコンベア20にはワークを安定して段積み可能な例えば45度の傾斜角を有した山形状スラット23がワーク搬送方向に複数個備えられているので、複数条の搬入チェーンコンベア20における山形状スラット23に、アングル材や平鋼を問わず、複数本のワークを安定して段積みができるとともに、この段積みされたワークをワーク搬送方向に複数段(複数バッファ)に亘って仮置きすることができる。
【0037】
この結果、準備コンベア11から印字ローラコンベア14へ搬入ピッキング装置12により、アングル材や平鋼を問わず、ワークを一本毎、自動でかつ円滑に搬入でき、工数低減と処理量増大により生産効率の向上が図れるとともに汎用性が高まる。
【0038】
また、搬入チェーンコンベア20は、山形状スラット23に隣接して逆山形状スラット24を備え、これら両スラットでワーク(平鋼)Waからなる型鋼の段積みが可能になっているので、コンベアを大型化することなく、ワーク(平鋼)Waを効果的に段積みすることができる。
【0039】
また、搬入ピッキング装置12及び搬出ピッキング装置17は、ワーク及びワーク切断片をハンドリングするマグネットM1,M2を、昇降フレーム25,60に傾動自在に枢支された傾動フレーム26,61に設け、該傾動フレーム26,61の傾動によりハンドリング角度が変更可能になっているので、各種コンベア間におけるワークのハンドリングが円滑かつ容易に行える。
【0040】
また、印字ローラコンベア14は、傾斜した状態で搬送されるワークを固定しながら搬送可能なガイドローラ機構40を進退可能に備えるので、特に印字ローラコンベア14から切断スラットコンベア16へのワークの搬送時に、跳ね上がりなどでワークが落下するのを防止でき、ラインの信頼性が高まる。
【0041】
また、切断スラットコンベア16は、傾斜した状態で搬送されるワークの切断の際にクランプするクランプローラ機構52をNCプラズマ切断機15の架構体51に備えるので、切断中にワークが落下するのを防止でき、ラインの信頼性が高まる。加えて、クランプ用シリンダ55を支持する支持台57は架構体51に垂設されたシリンダサポート58に図示しない複数のマグネットで吸着され、クランプ部54がワーク等から強い衝撃を受けた時に支持台57部でシリンダサポート58から分離可能になっているので、NCプラズマ切断機15側へ強い衝撃が波及するのが回避され、ラインの信頼性が高まる。
【0042】
また、搬出コンベア18はアングル材からなるワークWb〜Weの切断片を水平に支持して搬送するための枕部材72を備えるので、ワークWb〜Weの切断片を円滑に搬送することができ、ラインの信頼性が高まる。
【0043】
このようにして、本実施例ではライン全体の自動化を効果的に図ることができる。
【0044】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、自動切断機としてNCプラズマ切断機に代えて一般的なNCガス切断機やNCレーザ切断機を用いても良いし、NC切断機以外にロボット(アームに限らず)に切断機を組み付けて所謂ロボット切断するものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る型鋼の切断方法及び型鋼の切断ラインは、新造船の船殻構造の一部であるアングル材と平鋼の両方を兼用して切断する切断ラインに用いると好適である。
【符号の説明】
【0046】
10 型鋼のNC切断ライン、11 準備コンベア、12 搬入ピッキング装置、13 印字装置、14 印字ローラコンベア、15 NCプラズマ切断機、16 切断スラットコンベア、17 搬出ピッキング装置、18 搬出コンベア、20 搬入チェーンコンベア、21 カウンターシャフト、22 駆動モータ、23 山形状スラット、24 逆山形状スラット、25 昇降フレーム、26 傾動フレーム、27 ワイヤードラム、28 支点アーム、29 シーブ、30 ワイヤー、31 傾動支点、32 カウンターシャフト、33 傾動用モータ、34 バネ、35 調整ナット、36 ローラ、37 カウンターシャフト、38 駆動モータ、39 ワーク受け、40 ガイドローラ機構、41 ローラ、42 ガイド部、43 クランプアーム、44 ピン、45 昇降テーブル、46 ピン、47 クランプ用シリンダ、48 コンベア架台、49 昇降用シリンダ、50 ガイドロッド、51 架構体、52 クランプローラ機構、53 ローラ、54 クランプ部、55 クランプ用シリンダ、56 ピン、57 支持台、58 シリンダサポート、59 ぶら下がり用ワイヤー、60 昇降フレーム、61 傾動フレーム、62 ワイヤードラム、63 支点アーム、64 シーブ、65 ワイヤー、66 傾動支点、67 カウンターシャフト、68 傾動用モータ、69 ロータリーエンコーダ、70 バネ、71 調整ナット、72 枕部材、Wa 平鋼、Wb 玉平形鋼、Wc 不等辺不等厚山形鋼、Wd 不等辺山形鋼、We 等辺山形鋼、F ハンドリング面、M1,M2 マグネット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアでは前記型鋼を安定して段積み可能な傾斜角で段積みし、この段積みされた型鋼を1本毎前記準備コンベアとは異なる傾斜角を有した印字コンベアへ搬入することを特徴とする型鋼の切断方法。
【請求項2】
前記準備コンベアでは前記段積みされた型鋼が前記印字コンベアの搬送方向と直交する方向に複数段に亘ってストックされて順次横送りされることを特徴とする請求項1に記載の型鋼の切断方法。
【請求項3】
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアは、型鋼搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入コンベアからなるとともに、これらの搬入コンベアには型鋼を安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラットが型鋼搬送方向に複数個備えられていることを特徴とする型鋼の切断ライン。
【請求項4】
前記搬入コンベアは、山形状スラットに隣接して逆山形状スラットを備え、これら両スラットで平鋼からなる型鋼の段積みが可能になっていることを特徴とする請求項3に記載の型鋼の切断ライン。
【請求項5】
前記搬入ピッキング装置及び搬出ピッキング装置は、型鋼及び型鋼切断片をハンドリングするマグネットを、昇降フレームに傾動自在に枢支された傾動フレームに設け、該傾動フレームの傾動によりハンドリング角度が変更可能になっていることを特徴とする請求項3又は4に記載の型鋼の切断ライン。
【請求項6】
前記印字コンベアは、傾斜した状態で搬送される型鋼を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構を進退可能に備えることを特徴とする請求項3,4又は5記載の型鋼の切断ライン。
【請求項7】
前記切断コンベアは、傾斜した状態で搬送される型鋼を切断の際にクランプするクランプローラ機構を切断機本体に備えることを特徴とする請求項3,4,5又は6記載の型鋼の切断ライン。
【請求項8】
前記搬出コンベアは、アングル材からなる型鋼の切断片を水平に支持して搬送するための枕部材を備えることを特徴とする請求項3,4,5,6又は7記載の型鋼の切断ライン。
【請求項1】
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアでは前記型鋼を安定して段積み可能な傾斜角で段積みし、この段積みされた型鋼を1本毎前記準備コンベアとは異なる傾斜角を有した印字コンベアへ搬入することを特徴とする型鋼の切断方法。
【請求項2】
前記準備コンベアでは前記段積みされた型鋼が前記印字コンベアの搬送方向と直交する方向に複数段に亘ってストックされて順次横送りされることを特徴とする請求項1に記載の型鋼の切断方法。
【請求項3】
型鋼が配材された準備コンベアから印字装置を備えた印字コンベアへ前記型鋼を搬入ピッキング装置により搬入する搬入ステージと、
前記印字コンベアから切断コンベアへ移載された型鋼を自動切断機で切断する切断ステージと、
前記切断コンベア上で切断された型鋼切断片を搬出ピッキング装置により搬出コンベアへ搬出する搬出ステージと、
を備えた型鋼の切断ラインにおいて、
前記準備コンベアは、型鋼搬送方向と直交する方向に複数条設けられた搬入コンベアからなるとともに、これらの搬入コンベアには型鋼を安定して段積み可能な傾斜角を有した山形状スラットが型鋼搬送方向に複数個備えられていることを特徴とする型鋼の切断ライン。
【請求項4】
前記搬入コンベアは、山形状スラットに隣接して逆山形状スラットを備え、これら両スラットで平鋼からなる型鋼の段積みが可能になっていることを特徴とする請求項3に記載の型鋼の切断ライン。
【請求項5】
前記搬入ピッキング装置及び搬出ピッキング装置は、型鋼及び型鋼切断片をハンドリングするマグネットを、昇降フレームに傾動自在に枢支された傾動フレームに設け、該傾動フレームの傾動によりハンドリング角度が変更可能になっていることを特徴とする請求項3又は4に記載の型鋼の切断ライン。
【請求項6】
前記印字コンベアは、傾斜した状態で搬送される型鋼を固定しながら搬送可能なガイドローラ機構を進退可能に備えることを特徴とする請求項3,4又は5記載の型鋼の切断ライン。
【請求項7】
前記切断コンベアは、傾斜した状態で搬送される型鋼を切断の際にクランプするクランプローラ機構を切断機本体に備えることを特徴とする請求項3,4,5又は6記載の型鋼の切断ライン。
【請求項8】
前記搬出コンベアは、アングル材からなる型鋼の切断片を水平に支持して搬送するための枕部材を備えることを特徴とする請求項3,4,5,6又は7記載の型鋼の切断ライン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−121113(P2012−121113A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275322(P2010−275322)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(592152473)石川工業株式会社 (2)
【出願人】(000185374)小池酸素工業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(592152473)石川工業株式会社 (2)
【出願人】(000185374)小池酸素工業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
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