説明

埋め込まれた磁心を有する一体型平面可変トランス

【解決手段】本発明は、平面基板内に配置された少なくとも1個の広帯域平面トランスを有する一体化された平面トランス及び電子部品を提供する。ここで、各広帯域平面トランスは平面基板を有する。平面基板は、完全に硬化した剛性状態では完全に硬化した剛性を有する平面基板に埋め込まれたフェライト材料である。埋込みは、弾性非導電性材料に包まれたフェライト材料からなる。平面トランスは、埋め込まれたフェライト材料の周りに配置された相互巻回された導体をさらに有する。ここで、相互巻回された導体は、完全に硬化した剛性基板の上面に第1接合層により接合された上導体と、完全に硬化した剛性基板の下面に第2接合層により接合された下導体とを有する。これらの接合層は絶縁接着剤を有する。上導体及び下導体は、フェライト材料の各側に配置された導電バイアにより相互接続パターンで接続される。導電バイアは、接合層同士、及び相互巻回された導体を形成する完全に硬化した剛性平面基板を通って延びる。平面トランスは、少なくとも1個の相互巻回された導体に接続された少なくとも1個の中央タップをさらに有する。一体化された平面トランス及び電子部品は、広帯域平面トランスの少なくとも1個の端子に接続される少なくとも1個の電子部品をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には通信技術に関し、特に、埋め込まれた平面磁性部品の形成方法及び通信コネクタへの平面磁石の一体化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、元々は音声トラフィック用に開発され、通信産業で使用されてきた。コネクタは、現在の10G/1G/100M/10Mbpsイーサネット(登録商標)を下支えするように、数多くの進化を遂げてきた。この技術は、他の通信プロトコル及び電磁部品を要する電子機器と共に、現れつつある高速40G及び100Gを下支えるよう進化し続ける。通信システムがより多くの個別ポートを1個の箱(すなわち、48ポートイーサネットスイッチ又は多ポートルータ)に統合し始めたので、印刷回路基板空間は極めて重要になってきた。コネクタ製造業者は、集積回路(IC)及びコネクタからの寄生特性に合致するよう印刷回路基板に受動部品を追加することに加えて、システムの占有面積を小さくするために外部磁性素子をコネクタに一体化することにより、コネクタの進化における次の段階に進んだ。磁性素子は、ユーザを内部電圧サージから分離し、又は電子回路を外部高電圧短絡及びサージから分離するために必要である。また、これら磁性素子は、電子機器に関連した規則に従うことに不可欠なシステムが発するEMI(電磁干渉)放射を制限する。
【0003】
現在の解決手段において、手巻き磁性素子は、RJ−45の背面に設けられたポスト又はパッドにこれら手巻き部品を半田付けすることにより、コネクタハウジングに一体化される。単一ジャックハウジングにおいて、これらの個別に巻回された8個の磁性単位は、適切な接続部に取り付けられ、ハウジングの背面に押し込む必要があった。図1に示されるのは従来技術の部品100である。ここで、図1(a)は磁性ユニット106を形成する環状磁石104の周りに巻回された手巻きワイヤ102を示し、図1(b)は従来のコネクタ108と一体化の達成が困難であることを示す。全ての磁性ユニット106は、一旦挿入されると、所定位置に保持されるようゲル材料で覆われる。磁性ユニット106は互いに近接し、それらの間隔は制御困難であるので、ゲル材料で覆う工程は時間を浪費すると共に再現性及び性能を低下させる。ハウジングのガイドポスト又は溝を使用してこれらの磁性ユニットの位置を正確にする努力がなされたが、コスト及び製造サイクル時間のため、これらは使用されなくなった。漏れを制御し、中央タップを横切る一次ターン及び二次ターンのバランスを取ることは、これら手巻き部品では事実上不可能である。さらに、より高周波数の用途では、インピーダンスを制御し広帯域性能を達成することは可能ではない。最後に、これら部品は、手巻きによる固有変動のため、副システム及びモジュールを形成することには使用できない。
【0004】
他の組立体において、製造業者が印刷回路基板上に受動部品及び磁性部品を配置することを可能にする水平ドナー印刷回路基板をハウジング内に挿入することができる。ここで、印刷回路基板はポッティング材料で固定される。この工程は、他の試みを超越する改善を提供するが、磁性部品は依然として手巻きで配置されるので、依然として性能を制限してしまい、製造コストを増大させる。また、これら印刷回路基板は、コネクタ用のベースを与えるというもう一つの機能を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OEM(相手先ブランド製造業者)は、その機器にいかに次のレベルの一体化を達成するかを見始めている。OEMは、その箱の96ポート化粧板へ移行させたがっている。これは、コネクタ及び印刷回路基板空間をより小さくしなければならないことを意味する。コネクタ(RJ−45コネクタではない)は、より狭くならなければならず、現在の設計形状が与えるほど深くならない。現在の手巻き磁性部品の解決策は、機械的制約及び手組立のため、このニーズを満足しない。
【0006】
現在のトランスは、手巻きされた後にエポキシ樹脂が塗布され、パッケージ化される。これらトランスは、リード線のないクワッドフラット(QFN)パッケージ、ガルウイングパッケージ又はボールグリッドアレー(BGA)パッケージであるのが代表的である。これらの手巻き部品は、セットトップボックス、高周波ルータ、高周波モバイル製品、インタネット及び家電製品等の非イーサネット用途で使用される。これらの手巻きトランスは、コネクタに一体化されると、印刷回路基板上に配置され、水平方向及び垂直方向の構成で実装される。これらは手巻きされ、手半田され、薄い印刷回路基板に取り付けられ、その後、コネクタの内側に取り付けられる。漏れインダクタンス及び容量性結合等の重大な寄生パラメータは制御できず、低い性能を生じさせる。
【0007】
従って、狭く浅い通信コネクタに一体化される低コストの埋め込まれた平面磁性部品を開発するニーズがある。フェライト材料に対する損傷をなくし、EMIを減少させ、巻線数を最大にし、巻線寄生インダクタンスを制御するようなデバイスを効率的且つ低コストで製造する方法に対する別のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面基板内に配置された少なくとも1個の広帯域平面トランスを有する一体化された平面トランス及び電子部品を提供する。ここで、各広帯域平面トランスは平面基板を有する。平面基板は、完全に硬化した剛性状態では完全に硬化した剛性を有する平面基板に埋め込まれたフェライト材料である。埋込みは、弾性非導電性材料に包まれたフェライト材料からなる。平面トランスは、埋め込まれたフェライト材料の周りに配置された相互巻回された導体をさらに有する。ここで、相互巻回された導体は、完全に硬化した剛性基板の上面に第1接合層により接合された上導体と、完全に硬化した剛性基板の下面に第2接合層により接合された下導体とを有する。これらの接合層は絶縁接着剤を有する。上導体及び下導体は、フェライト材料の各側に配置された導電バイアにより相互接続パターンで接続される。導電バイアは、接合層同士、及び相互巻回された導体を形成する完全に硬化した剛性平面基板を通って延びる。平面トランスは、少なくとも1個の相互巻回された導体に接続された少なくとも1個の中央タップをさらに有する。一体化された平面トランス及び電子部品は、広帯域平面トランスの少なくとも1個の端子に接続される少なくとも1個の電子部品をさらに有する。
【0009】
本発明の一側面によれば、平面基板は、FR−4、熱硬化性プラスチック又は熱可塑性プラスチックからなる。
【0010】
本発明の別の側面において、隣接する上導体は、それらの間の平行な所定の空間に合うように配置される。隣接する上導体及び下導体は、巻線寄生インダクタンス及び漏れインダクタンスを下げるよう、埋め込まれたフェライト材料の周りの巻線数を最大にするよう配置される。ここで、上導体及び下導体間の間隔は、10〜500μmの範囲内にすることができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面において、導電層は、可撓性エポキシ樹脂、高温熱可塑性プラスチック、又は高流動性セラミック充填ハイドロカーボンを含む積層材料を使用して平面基板に積層される。
【0012】
別の側面によれば、中央タップは、差動インピーダンスの50%にインピーダンス整合される。ここで、いかなる非差動電流も中央タップへ進んで接地され、又は開放したままで電気ネットワークに接続され、コモンモード信号のインピーダンス整合又は濾波を最適化する。
【0013】
本発明のさらに別の側面において、フェライト材料は、環状、トロイド状、U形状、E形状又はバー状をなす形状を有する。ここで、環状フェライト材料又はトロイド状フェライト材料の中心は、内部に配置された寸法的に安定したポッティング複合材料を有する。さらに、環状フェライト材料又はトロイド状フェライト材料の中心は、内部に配置された熱可塑性要素を有する。ここで、熱可塑性要素は、平面基板の材料特性に合致する材料特性、及び環状中心又はトロイド中心の形状に合致する形状を有する。
【0014】
別の側面によれば、広帯域平面トランスの少なくとも2個の端子にわたって絶縁破壊材料が配置される。ここで、絶縁破壊材料は、実効値500〜10000Vの範囲内の電圧にさらされると作動する。
【0015】
さらに別の側面において、一体化された平面トランスの全ての外側面は絶縁層でコーティングされる。ここで、一体化された平面トランスの少なくとも1個の端子が露出している。
【0016】
本発明の一側面によれば、広帯域平面トランス及び電子部品間の接続部は、基板の少なくとも1個の穴を通って配置された少なくとも1本の導電ピンを有する。少なくとも1本の導電ピンは、直線的であるか、又は角度がつけられている。
【0017】
別の側面において、上導体は涙滴形状であり、涙滴形状の狭い端は、環状又はトロイド状のフェライト材料の中心に配置された内側導電素子に接続され、涙滴形状の広い端は、環状又はトロイド状のフェライト材料の外部の周囲に配置された外側導電素子に接続される。ここで、トランスインダクタ同士は、0〜1の結合係数で互いに結合される。ここで、結合は、i)導電素子間の間隔、ii)涙滴形状導体間の間隔、iii)環状又はトロイド状フェライトにおける開放スパン、iv)一次及び二次の相互巻線の比、又はi)、ii)、iii)及びiv)に従う。ここで、開放スパンは空隙を有し、空隙は少なくとも1個の接地バイアを有する。
【0018】
本発明の別の側面において、電子部品は、分離又は電磁機能を要するいかなるコネクタであってもよい。ここで、コネクタは、平面トランスの少なくとも1個の端子に接続された少なくとも1個の電気コンタクトを有する。
【0019】
本発明の一側面において、少なくとも1個の広帯域平面トランスは、広帯域平面トランスのアレーからなる。
【0020】
本発明の別の側面において、少なくとも1個の電子部品はコネクタのアレーからなる。
【0021】
本発明の別の側面において、少なくとも1個の電子部品は印刷回路基板のアレーからなる。
【0022】
他の側面によれば、一体化された平面トランス及び電子部品の下面は、半田パッドを有する。
【0023】
さらに別の側面において、熱コンジットは、相互巻回された導体で発生した熱を抜き出すよう配置される。ここで、熱コンジットは、熱伝導性金属でめっきされたバイア、少なくとも1個の熱伝導性金属層、少なくとも1本の信号トレースに配置された追加の熱導電性金属、一体化された平面トランスデバイスの一縁に配置された少なくとも1個の熱伝導タブ、又は一体化された平面トランス及び電子部品の縁の周りの熱伝導材料からなっていてもよい。
【0024】
別の一側面において、少なくとも1個の中央タップは、広帯域平面トランスの上面に配置される。
【0025】
別の側面によれば、電子部品は、平面基板の上面に配置され、中央タップ電流に所望の整合を与えるよう、間の距離を最小にする。
【0026】
本発明の別の側面において、広帯域平面トランスは、i)各コモンモードチョークが信号の整形及び条件を提供する少なくとも1個のコモンモードチョーク、ii)M回路、又はi)及びii)をさらに具備する。ここで、M回路は、特定の機能及び用途用に、埋め込み型広帯域平面トランスの機能を支える電気回路である。ここで、M回路により支えられる機能には、フィルタ機能、クロストーク相殺機能、高電圧抑制、EMI抑制、デジタル制御、LED制御、バラン制御(Balun controls)及び電力管理機能が含まれる。
【0027】
別の一側面において、一体化は積重ねで構成され、積重ねは、第2広帯域平面トランス及び第2チョークの上に少なくとも1個の第1広帯域平面トランス及び第1チョークを積み重ねること、第1広帯域平面トランス及び第1チョークの上にフィルタ及びインピーダンス整合素子を積み重ねることが含まれる。ここで、積重ねにおける広帯域平面トランスの数は、所望の用途に従う。
【0028】
本発明のさらに別の側面によれば、一体化は積重ねで構成され、積重ねはフィルタの上面のチョークからなり、フィルタはインピーダンス整合素子の上面に配置され、インピーダンス整合素子は広帯域平面トランス上に配置される。
【0029】
本発明の別の一側面において、弾性非導電性材料は少なくとも1個のフィラーからなり、フィラーを有する弾性非導電性材料は、最大で平面基板の熱膨張係数までの熱膨張係数を有する。
【0030】
本発明のさらに別の側面において、基板にはドリル穴が設けられ、一体化された平面トランス及び電子部品の熱膨張係数は、ドリル穴により制御される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の半田付け法を用いてコネクタハウジングに一体化された手巻き磁石を使用して形成された従来技術のコネクタを示す図である。
【図2】本発明に係る、小型のアレーとして提供された平面トランスを示す図である。
【図3】本発明に係る、コネクタ製造業者に様々なチャンネルオプションを可能にする、小型化アレーユニットに形成されたコネクタを示す図である。
【図4】本発明に係る、磁性構造体の上面に直接載置された終端抵抗及び中央タップの構成を示す図である。
【図5】本発明に係る、導体が平面磁性基板の穴内に摺動する平面磁性素子に実装されたジャックを示す図である。
【図6】本発明に係る、追加のヘッダがデバイスの下面に追加して示される、平面磁性部品を印刷回路基板に接続するよう構成された印刷回路基板に実装されたコネクタを示す図である。
【図7】本発明のデバイス及び方法の様々な実施形態及び側面を示す図である。
【図8】本発明のデバイス及び方法の様々な実施形態及び側面を示す図である。
【図9】本発明のデバイス及び方法の様々な実施形態及び側面を示す図である。
【図10】本発明のデバイス及び方法の様々な実施形態及び側面を示す図である。
【図11】本発明に係る平面磁性構造の一実施形態を製造する工程を示す図である。
【図12】本発明に係る平面基板としての液晶ポリマ(LCP)及び積層の層の使用を示す図である。
【図13】本発明に係る平面磁性デバイス用の極めて高電圧の容量を示す図である。
【図14】本発明に係る、磁性部品用のFR−4のベース片に精密な開口が形成された場合、印刷回路基板の赤外線リフロー作業で見られる熱膨張中のフェライトの高レベルストレスを示す図である。
【図15】本発明に係る、ベースのFR−4とは大いに異なる追加のゴム引き誘導体を有する第1低ストレス接着剤からなる層が、リフロー、積層、他の圧力、温度工程の結果としてFR−4の熱膨張からの大きなストレスを吸収し、バイアに必要なドリル穿孔用に安定したベース材料を提供することを示す図である。
【図16】本発明に係るフェライトを保持するベースFR−4の上面及び下面に銅層を接着することに使用される、追加のゴム引き誘導体のない、低ストレスエポキシ樹脂の層を示す図である。
【図17】本発明に従って取り付けられた積層の層及び半田ボールを有する、一体化された磁性素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的及び利点は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読めば理解できよう。
【0033】
以下の詳細な説明は例示目的として多くの詳細を含むが、当業者であれば、以下に例示する詳細に対する多くの変形・変更は本発明の範囲内であることを容易に理解するであろう。従って、以下の本発明の好適な実施形態は、一般化を喪失することなく、且つ特許請求の範囲に記載された発明に限定を課すことなく説明される。
【0034】
本発明は、予め開口が形成された誘電材料のベースにフェライト又は磁石が部品として埋め込まれた平面磁性素子からなる。ここで、予め形成された開口は、磁性(フェライト)ユニットを成形、機械的ドリル加工、又はパンチ加工して形成される。次に、平面磁性素子は、適切な電気環境を与えるよう配置された低ストレスエポキシ樹脂等の低ストレス接着剤で密閉される。バイアに連結された銅層は、手巻きにより以前に形成された磁性構造体をICに類似する小さな部品のユニットにすることができる。これらのユニットは、個別のチャンネル又はチャンネルのグループ用に形成することができる。図2の(a)〜(e)は、アレー状に配置された平面トランス200を示す。ここで、図2(a)は、完全に硬化した剛性状態にある平面基板202を示す。平面基板202は、この図では例えば環状で示されたフェライト材料206を受容するために精密な許容差を有する、例えば丸穴として図示されたポケット204を有して示される。穴は、貫通したドリル孔、又は所望の厚さまで制御された深さを有する穴であってもよい。図2(b)は、上面電極が涙滴形状に形成された平面トランス200のアレーを示す。ここで、図示されるのは、図2(a)の環状フェライトの内側縁及び外側縁に配置された導電バイア210である。図2(b)にさらに図示されるのは、絶縁接着剤212を使用して平面基板202に接合された上導体210である。ここで、図2(c)に示される下導体214を接合するために、平面基板202の底面に配置された絶縁接着剤212がさらに示される。図2(c)は、埋め込み型フェライト206の周りに導体が巻回されると上導体208が一様でない涙滴形状を有する楕円形平面トランス200のアレーを示す。図示されるように、涙滴形状の上導体208は、その間及び隣接する平行且つ所定間隔に合致するよう配列され、埋め込み型フェライト材料206の周りの巻線数を最大にするよう配置され、巻線寄生インダクタンス及び漏れインダクタンスを下げる。
【0035】
図2(d)及び(e)は、多チャンネル用途(図2(e)参照)用に配列された平面トランスのアレーを示す。ここで、図2(d)は、円形の環状/トロイドフェライト206が使用され、上導体208は上述したようにその間の平行且つ所定間隔を有する比較的一様な涙滴形状であることを示す。
【0036】
図3(a)及び(b)は、例えば、平面トランス200がコネクタ302(図3(b))の背面へ垂直方向に積み重ねられ、1個の一体化コネクタユニット304を形成するのに必要な空間を最小にする、積み重ねられた平面トランス300の配置を示す。多くの一体化されたコネクタは、例えばコネクタ302の4個信号チャンネルをカバーするように8個の個別に巻回されたフェライトすなわち磁性材料の形状が使用されることを要するので、本発明に係る平面トランス202の小型で耐久性のある性質により、製造業者からのコネクタ302の小型アレー(すなわち、1x4ユニット又は2x6ユニット)は、拡大された部品オプションを有する(積重ねの詳細については図17参照)。
【0037】
本発明の別の実施形態は、チャンネル磁性ユニットの底面にパッドを追加するものである。これらのパッドは、一体化された磁性ユニット200をコネクタ又は別の印刷回路基板上のパッドにリフローできるようにするQFN又はLGA(リードレスグリッドアレー)のパッケージと同様にすることができる。高温半田が使用される場合、コネクタ302は、コネクタに影響を与えることなくOEMのリフロー工程でリフローできる能力を依然として有する。他の一側面は、磁性ユニット200の底面に追加されたBGAパッドを有してもよい。また、これらは、コネクタに必要とされるチャンネルの積重ねを可能にする。
【0038】
産業界におけるコネクタは、機器用に信号経路を提供するのみならず、外部機器に電力を提供する。これらの用途における手巻きフェライトに伴う困難は、熱伝導性が低い空気及び低ストレスポッティング材料で取り囲まれているので、使用されている巻線から熱を引き出すことが極めて困難であることである。本発明は、別の銅層、別の銅めっきバイア、又は巻線に発生する熱を引き出す熱コンジットとして作用する厚い信号トレースを提供する。さらに、銅又は他の導電材料は、平面デバイスの縁の周りに配置又はコーティングされることが可能である。基板の縁にバイア又はパッドを追加することにより、コネクタ製造業者は、熱効率を強化するために基板にヒートシンクを提供するようコネクタハウジングの一部として組み込まれた金属タブを基板に取り付けることができる。
【0039】
これらのコネクタに関係する別の課題は、濾波及びEMI制御に要する追加の受動部品である。EMI除去を有効にするために、コモンモード電流の中央タップは、本発明に係る広帯域平面トランスに一体化される。これらの中央タップは差動インピーダンスの50%にインピーダンス整合されるので、いかなる非差動電流もこの経路を取って適当な接地に戻る。インピーダンスが信号よりも良好に差動インピーダンスの50%に整合すると、より多くの電流が取り除かれる。これにより、放射がより少なくなる。本発明以前は、コモンモードトレースが磁性素子から適当な接地まで長距離延びていることが多い。さらに、銅トレースの若干の変動が、最適なコモンモード排除(rejection)及び電磁障害(EMI)性能にインダクタンスを発生するおそれがある。また、本発明は、個別部品を使用することを含むコモンモードノイズを減少させるための機構を提供する。
【0040】
本発明によれば、図4(a)〜(e)は、磁性構造体200の上面に終端抵抗402が直接載置された、終端抵抗及び磁性構造体400の組合せを示す。フェライトは図示されるように手巻きであるので、一体化されたコネクタに使用される現在の磁性素子にこの組合せは可能ではない。平面基板に埋め込まれたフェライトの表面に他の部品を直接載置でき、この距離を最短にして中央タップ電流用に完全な合致を提供することを理解されたい。また、これは、設計形状をより小型にする。
【0041】
図4(c)は、項目11として開放スタブ(非物理的部品)又は相互入り込み指部又は物理的な表面実装キャパシタを使用して実現可能な0.2〜2.5pFの範囲の容量接続部との抵抗接続部の置換を有する中央タップ接続回路404の概略図である。この新規な変更は、所望の周波数での伝送を形成するためにキャパシタ(C)を用いてコモンモード変換で共振するよう1〜15μHの範囲内で制御された良好に制御された漏れインダクタンス(L)を可能にする。より具体的には、このような周波数は、システムのクロックの第1又は第2の高調波であることが多い。キャパシタCは高絶縁破壊電圧を有する態様で実施されることに留意することは重要である。これは、分離を達成するために接地又はシールドが誘電体又は空気の存在で合理的に離間されるスタブとして実施することができる。共振周波数は決定され、L及びCの積の平方根に反比例する。
【0042】
図4(d)は、シリーズLCトラップの強化した濾波の概略図である。ここで、図4(c)の部品は、通過帯域の機能性を低下させることなく、選択した周波数で伝送経路における強化された排除を提供する。これは、一次オーダーからn次オーダーの楕円ローパスフィルタを可能にする、入力部及び出力部に又はチョーク及びトランス間に介在する図示のLCトラップ408で達成される。図4(e)は、トランス及びチョークの組合せ回路の上面に追加された2個のLCトラップの応答410のグラフである。ここで、通過帯域は600MHzまで平坦であり、携帯機器及び移動体用途が放射しエネルギーが漏れがちな所望の700〜800MHzで急激に下がる。
【0043】
今日の高速コネクタは、数百MHzで伝送される信号に信号経路を提供する。これらの信号は、GSM(Global System for Mobile communications)方式の電話のように外部ノイズ源からの干渉を最小にするよう外部で濾波しなければならないことが多い。平面実装において、外部フィルタ、及びシリコン機器及びRJ−45コネクタを含むコネクタに対するインピーダンス整合部は、ユーザに一貫して精密で高性能の解決策を提供する埋め込み型平面トランス上の実際の信号経路で実行できる。また、これは、バイア又は試験点を追加する能力のような印刷回路基板の設計での問題を無くす。手巻きの解決策ではこれらはできなかった。
【0044】
これらのコネクタのフェライトにおけるクロストークは、手巻き部品では間隔がうまく制御できないので、重大な問題である。本発明の一側面によれば、間隔は、極めて正確に制御される基板リソグラフィにより定められる。多チャンネルコネクタに使用される多層積重ねにおいて、間隔は、層間のスペーサ、BGAボールの厚さ、又は中間層で使用される半田ペーストにより定められる。ここで、多層積重ね構成における接地平面は、トランス及びチョークの間、又はトランス・チョーク及びトランス・チョークの間に電気クロストークを提供するために使用される。クロストークは、トレース間の距離の2乗で出るので、本発明では容易に維持される。チョーク及びトランス間の各列のバイアに10〜15dBの分離が生ずることで改良される。これは、より高い排除、及びコモンモードエネルギーへの差動の下方変換に対して各チャンネル内で有益であり、逆もまた同様である。しかし、本発明が提供する緊密な結合及び最小の制御された漏れのため、このバイアフェンスは、実施の際に要求されることは稀である。
【0045】
さらに、部品が積み重ねされると、隣接する部品のコネクタの高さが制約されるので、上チャンネル及び下チャンネル間の無限の距離を追加することは実現可能なことではない。一次巻線及び二次巻線間の涙滴及び密接する相互巻線は、機器の上下の漏れを最小にし、部品又はシールドがある場合のチャンネル性能に対する衝撃を最小にする。
【0046】
一体化されたコネクタは、図1(b)に図示されたRJ−45に類似するジャックからなり、金属、プラスチック又は印刷回路基板製のシェルハウジングと、一体化された磁性素子とを有する。今日の一体化されたコネクタにおいて、これらの磁性素子は、トランス銅線で手巻きされた単なるフェライトである。次に、銅線は磁性素子が動かぬようコネクタ基部に半田付けされ、設置後にポッティング材料がフェライトに射出される。この材料は、シリコーンの一種等の低ストレスでなければならない。
【0047】
図5(a)〜(e)は、コネクタ500と共に実施された平面磁性インダクタを示す。本発明の一側面によれば、ジャック502の背面は平面磁性素子200に実装される。この実施形態における相互接続部は、平面磁性基板202の穴506内に摺動する導体504である。この実施形態が多チャンネルの原因となる2層以上の磁性層を要する場合、追加の磁性層を追加し、バイア、半田パッド又はBGAボールを介して相互接続することができる。印刷回路基板に接続するために、図5(e)のデバイスの下面に示されるように、追加のヘッダ508を追加してもよい。より厚い銅トレースを使用することにより、この基板への接続は、コネクタから熱を引き出すのに極めて効率的な熱チャンネルになる。このことは、PoE(Power over Ethernet)等の配電コネクタ用途において重要である。図5(c)及び(d)は、本実施形態のそれぞれ側面図及び斜視図である。この場合、これらのコネクタに使用されることが多い終端抵抗及びキャパシタは、図5(e)に示されるように実装されるであろう。
【0048】
このユニットを形成するために、プラスチック又は金属製のベース枠が使用される。個別の基板は、所定位置へ垂直方向に摺動し、終端/濾波に要する受動部品又はクロストーク距離を維持するのに要するスペーサと共に予め組み立てられる。図5(a)〜(e)に示されるコネクタ導体組立体は前から後ろに挿入できるので、導体は平面磁性基板の適当な開口内に摺動する。ジャック導体を基板のバイアに取り付けるために、半田又は導電性エポキシ樹脂を使用することができる。次に、この組立体は、最終的に取り付けるためにリフローされる。
【0049】
本発明の別の実施形態として、平面磁性素子を水平方向の基部として使用することができる。平面磁性素子を垂直方向に取り付けて図5(a)〜(e)のようにコネクタ導体をバイアに摺動させるのではなく、水平方向の基板と接触できるように、導体をより長く形成し、さらに90°曲げてもよい。次に、平面基板は従前のように積み重ねられる。しかし、これは、コネクタの全長を長くしてしまう。
【0050】
別の一実施形態において、導体ピンは、若干長く形成され、次に端部で曲げられてもよい。次に、これらの端部は、図7に示されるようにプラスチック製インサートで保持されながら、水平方向の基板と面一に半田付けされてもよい。
【0051】
さらに、埋め込み型エッジ磁性モジュールは、一体化されたコネクタを形成するために電気的基部及び機械的基部として使用される。この埋め込み型エッジ磁性デバイスは、又は図7ないし図9に示されるように埋め込まれたエッジ磁性デバイスが垂直又は1〜179°の間の角度で、ソケット、スルーホールピンとの直接接続、又は他の接続方法を用いて親基板に直接接続される。図7は、単一ポート二重高さ積重ね構造を示す。図8は、EMI接地シールド及びPoE+電力接続部を有する、単一ポート二重高さ積重ね構造を示す。図9(a)は、PoE+電力接続部を有する、二重ポートに積み重ねられた埋め込み型エッジ磁性素子を示す。積み重ねられた埋め込み型平面磁性部は、主な埋め込み型エッジモジュール/基板に対して多くの異なるフォームファクタにある。埋め込み型エッジ磁性モジュール/基板は、1x1、1x2、2x1、1x4、2x4、2x6等の多くの構成で使用することができる。さらに、埋め込み型エッジ磁性モジュール/基板は、業界標準の19インチラック実装システム内により高密度のスイッチを形成するようコネクタの幅及び高さを小さくすることができる。また、埋め込み型エッジ磁性素子は、開放した背面側を有する高電力用途(PoE+)を可能にし、磁性素子が発生する熱を、システムの空気の流れを越えて高密度一体化された埋め込み型磁性平面コネクタから熱を適切に逃がすフィン付きヒートシンク又は他の熱伝導手段に受け渡すことを可能にする。埋め込み型エッジ磁性モジュールは、その上に追加の埋め込み型平面磁性素子を積み重ねることができ、追加の機能を可能にし、スモールフォームファクタ構造を可能にする。この積み重ねられた埋め込み型平面磁性素子は、信号を整形及び調整するためのコモンモードチョーク及びM回路を組み込むことができる。M回路は、特定の機能及び用途用の埋め込み型平面磁性素子の機能性を支える電気回路である。これらのM回路の例には、図4(c)及び(d)で説明した例のように、フィルタ機能、クロストーク相殺機能、高電圧抑制、EMI抑制、デジタル制御、LED制御、バラン制御(Balun controls)及び電力管理機能等が含まれるが、これらには限定されない。このM回路は、個別部品、シリコンダイ取付(フリップチップ又はワイヤボンディング技法)、及び電気ネットワーク機能性を形成する他の構造を使用して実施可能である。図8は、熱伝導性を有する電気分離がPoE+等の高電力用途を支えることを可能にする唯一の積層工程を介して放熱を可能にしながら、最適なEMIシールドを可能にする埋め込み型エッジモジュール/基板の構造を示す。さらに、フェライトの周囲からの放熱を補助するよう熱エポキシ及び他の熱伝導封入材料を使用してもよい。中央タップ接続部は、親基板内の電力平面を支持しないシステム内での最適な電力分布を可能にする。これは、埋め込み型エッジモジュール/基板の上面の中央タップ接続部への電力ケーブルにより可能になる。積重ねの組合せは以下の通りである。すなわち、トランス及びチョークの上にトランス及びチョークの積重ね、トランス及びチョークの上にフィルタ及びインピーダンス整合部の積重ね、又は、フィルタ、インピーダンス整合部及びトランスの上にチョークの積重ねである。図9(b)は、フェライトチョーク902と結合されたフェライトベースのトランス200の例を示す。ここで、チョーク902の上巻線904及び下巻線906は、コモンモード減衰に対する高レベルのコモンモードを与える。図9(c)は、環状形状、トロイド形状、犬骨状の中心壁、U状、E状を有するトロイド形状、或いは棒形状のいくつかの典型的なフェライト形状を示す。図4(c)及び図4(d)の接続スキームが使用される場合、フェライトチョークの必要を無くしてもよい。このような実施形態は図9(e)に示され、フェライトのないチョークが25MHzを超えるコモン・ツー・コモンモードを提供する。
【0052】
上述の説明は、0.9より大きく且つ1.0未満の結合係数を有する密に結合したインダクタであるトランスに及ぶ。これは、インピーダンス又は変圧のない1:1トランスに要求される事項である。別の実施形態は、M:Nトランスを達成する一次側がM巻線及び二次側がN巻線である。しかし、結合係数は、結合が0〜0.9の間となるよう操作するためにインダクタを離間又はフェライト内の空隙を形成することにより、調整することができる。インダクタ同士を減結合する別の技法は、各インダクタに対して個別のフェライトを使用することである。これは、インダクタ及びトランスが、EMIフィルタ、コモンモードチョーク、方向性結合器、バラン等の部品を形成するよう結合可能であり、多くの構造用の構築ブロックであり、これらの機能に限定されない実施形態で説明されたように構築されることを可能にする。これらの機能は、イーサネット(登録商標)、セットトップボックス、高周波ルータ、モバイルインタネット、携帯電話並びにモジュール又は副システム機能を要する他の電子機器等の用途用のシステムレベルの機能を形成するために、埋め込まれた平面磁性部品と組み合わせることができる。図9(c)(i)〜(iii)は、このようなデバイス及び部品を製作するためにベース板に挿入できる異なる形状のフェライトの例である。フェライトの異なる脚間の空間は、異なる副インダクタ間の結合を変えるために接地バイアで挿入される。この先の主な説明は、イーサネット(登録商標)用途に最も有用であるので、環状又はトロイド状フェライトの使用についてである。図9(d)において、一次の一側が接地された3端子デバイスであるバランの一実施形態が示される。反対側の端から生ずるエネルギーは、完全に分割され、位相は逆である。バランは、インピーダンスを整合させるために差動出力にシングルエンドの入力を提供し、また逆も同様であり、多くの高周波用途に使用される。
【0053】
埋め込まれたエッジ基板/モジュールは、メモリソケット内に挿入された、垂直又は傾斜した45°、或いはその間のいずれかに配置された1列のデバイスを有する。埋め込まれたエッジ磁性デバイスは、「親基板」PCBに直接取付ける自身のスルーホールピンを有する。しかし、メモリチップと同様のソケットコネクタ構造を使用した同様の構造も、或いは、垂直取付けの信頼性の高い要求事項に合致する他の取付け構造も可能である。この基本構造に加えて、ソケット又は他の接続部が中央タップ又は他の回路接続部用に上縁に載置できる特殊な構造も、本発明の範囲内である。このデバイスもコネクタに一体化可能であり、コネクタ全体を母基板PCBに実装する際に機械的強度を与える。本発明の一側面は、従来の方法では達成できなかった96ポート高密度ギガビットイーサネットスイッチや低コストのPoE+イーサネットスイッチ等の用途を可能にするので、上縁接続部を有する適切な電力分離を有する母基板PCBの層を最小にする。
【0054】
磁性部品の周りに手巻きされた銅線により電磁部品を製作するための従前の技法は、性能、再現性、コスト及び品質に深刻な限界があった。ここで、性能は、作業者個人がピンセットを使用して顕微鏡下で作業しながら、磁性部品の周囲にいかに一定に銅線ループを巻回できるかで決定される。イーサネットの市場用に製造されたトランスに関して、これは、時間当たり、作業者当たり20部品未満の処理量に制限してしまう。この作業を遂行する自動機は、通信業界で使用されるスモールフォームファクタには低コストになると証明されていない。強磁性体材料をどのくらい厚くするかについての課題を解決しようとする従前の試みは、FR−4(剛性を与えるためにガラス撚り線が埋め込まれたタイプの低誘電定数エポキシ樹脂)の層間に挟むことであるが、使用される強磁性体材料のタイプが高価且つ脆弱で、ストレスを極めて受けやすいので、成功が限定されていた。また、これらは、性能、再現性及び信頼性を保証するために必要な埋め込まれた材料に磁性材料を整合させるための使用可能な方法を提供していない。必要なレベルのインダクタンスを得るために、このフェライト材料は十分に厚くなければならない。薄く配置されたフェライト材料は、低過ぎるレベルのインダクタンスを与える。この方法で必要なレベルのインダクタンスを部品に形成することは、多数の個別部品を一緒にまとめる必要があるので、通常の用途で小型コネクタの背後に納めるには部品が大き過ぎる。通常のトランスに使用されるフェライトは、ユニットへのより密集した機械的圧力により形成される。しかし、これらフェライトは極端に脆弱である。この材料は、その性質によりストレスに対して極めて敏感である。これらの材料を埋め込むための問題は、印刷回路基板材料に使用されるエポキシ樹脂が銅パターン化の追加層及び取り付けられた一体化回路のために基礎を与えるよう固く設計されていることである。
【0055】
本発明は、通常の製造許容差の主原因となるように、磁性部品(フェライト)より大きく形成された磁性部品(フェライト)用の開口を提供するために、ルーチング/ドリル加工、パンチ加工、又は、FR−4、熱硬化性又は熱可塑性プラスチック等の固く完全に硬化した材料である平面基板への予形成により形成された穴を提供する。熱可塑性プラスチックは、高いガラス転移点(Tg)、銅に合致した低い熱膨張係数(CTE)を与えるセラミック粒子で充填されたハイドロカーボンであってもよく、エポキシ樹脂はフェライトを包むのに使用される。磁性片(フェライト)は、開口内に一旦配置されると、エポキシ受信で取り囲まれ、包まれ、精確に配置される。磁性片の中心穴は、穴を充填するプラグであるエポキシ樹脂、プラスチック又は他の材料で充填される。本発明の一側面によれば、充填物を有する低ストレスエポキシ樹脂の中間層は、FR−4ベース及びフェライト間の中間層として使用される。次に、フェライトを所定位置に固定するのに供しながら製造過程又は使用時の温度範囲にわたってフェライトにストレスを与えない低ストレスエポキシ層が設けられる。一側面によれば、中間層は、その層を貫通してドリル穿孔されバイアがめっきされるに十分なだけ固い。これは、混合物に剛性を付加するために追加のシリカが装填された樹脂ベースのビスフェノールを必要とする。フェライトに低ストレス環境を提供するためにブタジエンが添加される。エポキシ樹脂を作る重要な要素は、泡を形成することなく各成分を添加することである。これは、材料をゆっくり混合し、次に使用に先立ち泡を無くすよう真空内に置かれることを要する。本明細書を通して記載される製造工程を達成する他の接着材料も使用可能であることは明白である。
【0056】
また、本発明は、ベース基板の上下に単純な銅層をさらに追加するための低ストレス方法を提供し、これにより磁性部品上の追加のFR−4積層の有害な影響を回避する。この材料は、ベース基板が完成し銅が付けられる前に、不均一な表面上に広げられる。平面基板は、上面及び下面に、低ストレスエポキシ樹脂、高温熱可塑性プラスチック又はハイドロカーボン材料で充填された高流動性セラミックを用いて導電材料で積層される。一定の性能を有する部品を形成するために、磁性部品(フェライト)は、巻線を完成させるバイア穴が形成される際にフェライトに干渉したり接触したりし内ように、正確に載置されなければならない。図10(a)は、穴及びフェライト1000の関係を示す平面図である。図示されるように、理想的な設置穴1002は、フェライト壁1004から適度に離間する。50μmより大きい距離が望ましい。図示の実施形態において、穴1002は、内壁1004から150μmである。バイアがフェライトに近過ぎると、フェライトにクラックが生じ、インダクタンス及び性能の低下の原因となる。図10(b)は、不適切にドリル穿孔されてフェライトに近過ぎたバイアを有する、クラックが生じたこのようなフェライトを示す。バイアのドリル穿孔又は性能変動の間、穴配置後のいかなる部品の移動もフェライトにクラックを生じさせるおそれがある。フェライトのクラック、又はフェライト材料にドリル穿孔がされる場所でのバイア「エッジング」は、部品の性能を損なう。平面基板は、低ストレスエポキシ樹脂、高温熱可塑性プラスチック(LCP)、又はハイドロカーボン材料で充填された高横流動性セラミックを使用して導電材料で上面及び下面が積層される。図10(c)は、典型的な配置として、フェライト素子1004の内側及び外側に位置する導電バイア1002に接続された上導体1006のレイアウトの平面図である。
【0057】
図11(a)〜(i)は、本発明の一側面に係る平面トランス200を製造する工程1100を示す。図11(a)に示されるように、完全に硬化した固い基板1104に切削孔1102が配置される。図11(b)は、切削孔1102に配置されたフェライト材料1106を示す。次に、フェライト材料は、図11(c)に示されるように、弾性非導電性材料1108に包まれる。図11(d)は、絶縁接着剤1114を用いて上導体1110及び下導体1112が平面基板1104に接合された状態を示す。図11(e)は、上導体1110、上接合層1114、弾性非導電性材料1108、平面基板1104、下接合層1114及び下導体1112を貫通してドリル穿孔されたスルーホール1116を示す。図11(f)は、導電バイア1118を形成するためにスルーホール1112が金属コーティングされた状態を示す。次に、図11(g)に示されるように、導電層(1110/1112)の上面及び下面にも導電バイア1118が形成される。図11(h)は、リソグラフィマスク又は他の両立し得る方法からエッチングすることにより、導電層(1110/1112)に上導体1120及び下導体1122が形成される状態を示す。図11(i)は、完成した広帯域平面トランス1100の断面図である。ここで、全ての外面は、絶縁層1124でコーティングされている。
【0058】
微小バイアを用いて互いに接続された導体層(1110/1112)の上面及び下面に追加層を積層することにより、追加層を追加することができる。高横流動セラミックで充填されたハイドロカーボンセラミックで充填された複合材料の例は、追加絶縁物及び高密度手順通りの送りの追加層を追加するのに理想的なロジャー社の4450Fである。平面基板はまた、フェライト及び低ストレスエポキシ樹脂が嵌まったトラフを形成するよう一側面に4450Fのシート又は他の銅の積層により作成してもよい。後述する低ストレスエポキシ樹脂の成分は、積層圧力がフェライトの性能を抑止することを緩和するよう補助する。
【0059】
本発明の別の方法は、使用者が液晶ポリマ(LCP)等の有機ポリマベースを使用することを可能にする。ここで、穴は予め形成され、フェライトが存在するポストを有する。フェライトは、傾斜したインサートを使用して所定位置に機械的に振り出すか、吸着装置で載置することができる。この場合、LCPベース及びポストは、構造体用の支持枠を提供する。次に、バイアがLCPを通って載置されるので、フェライトを取り囲むためにシリコーン等の超低ストレス材料を使用することができる。FR−4の厚い層をフェライトの上に積層した後、上述した標準的印刷回路基板工程のように全体の工程を処理することができる。LCPを使用する際に、この層は平面基板よりも高いTgとして使用できるので、その下の材料が流動する際に流れが制約される。
【0060】
図12(a)及び(b)には、平面基板及び積層層としてLCPを用いた別の構造体1200が示される。ここで、平面基板1202は図示されたようにドリル深さが制御され、フェライト1204が挿入される。ここで、低温LCP1202については、穴深さは下面から0.1mmの低さである。LCPのような熱可塑性材料は、整形された形態又は回路積層形態で使用されてもよい。平面基板1202として低温LCPを使用すると、上述した他の材料を無くすことができ、不均質なインタフェースを防止することができる。LCPは、フェライトの周りの成形を可能にするよう圧力の存在下又は無圧力下で高温に持っていくことができる。環状又はトロイド状フェライト1204の中心において、LCP製の内部穴の寸法にポストを挿入することができる(図14(b)及び図16参照)。熱可塑性プラスチック材料は、その温度係数を超えて(〜180℃)流れ始め、次に、代表的には280〜350℃であるガラス転移点(Tg)で高流動状態に至る。高温LCP1208又は高温熱可塑性プラスチックは、上面及び下面に銅1206を積層しながら剛性を維持し積層するのに使用される。次に、LCPのベース板上のバイア及びトレースの形成部を仕上げるために前に示した工程を使用することができる。
【0061】
上面及び下面に銅で追加の接合材料を使用することにより、追加の銅層1206を追加することができる。また、個別SMTの形態のM回路1208、ダイ及びパッケージダイは、同一の工程を用いてフェライト1204に近接して埋め込むことができる。図12(b)は、フェライトの隣のこのような回路を示す。図12(a)は、制御された深さのドリル穿孔された微小バイアを用いたM回路1208に形成された接続部を示す。これらのバイアは、機械的ドリル又はレーザドリルを用いて形成することができる。二酸化炭素レーザは、特にエポキシ樹脂等の柔らかい材料を貫通し、銅及び半田パッド等の硬い材料で貫通を停止する。
【0062】
さらに、バイア穴が一旦ドリル穿孔されると、銅で覆われたFR−4又はプリプレグの追加層は、フェライトを支持するために使用される層の上面に積層されてもよい。ここで、この積層工程は、その達成に圧力及び熱を要する。この積層工程において、樹脂でコーティングされたフェライトが破壊される。追加の平面化がない場合、通常のFR−4は、平面基板の凸凹を覆うのに十分な液体接着剤を提供しない。追加の積層は、通常の信頼性試験で剥離される開放空隙を残す。これはまた、信頼性問題を引き起こすフェライト材料に接着しない。上述の技法は平面性の問題を防止する。銅が一旦取り付けられると、代表的には2層の半田マスク又は電圧保護用の特殊材料である厚い等角(conformal)の半田マスクは絶縁破壊電圧を伴う問題を改善することを要し、バイア全体がめっきされる。従来技術に記載されているように、印刷回路基板工程は、追加の新たな方法が無くては、必要な磁性材料に容易に順応しない。
【0063】
トランスとして作動する部品の重要な要求事項は、電気的分離を提供することである。イーサネット(登録商標)部品は、交流実効値1500Vを1分間支持できなければならない。これは、導電性のために絶縁を形成する半田マスク又は他の材料の層を用いて達成される。代表的には、2層の半田マスクを要する。さらに、バイアを非導電性材料で充填することが重要である。
【0064】
電磁部品を形成することは、多数のバイアが不規則形状の周囲に配置されることを要する。これはでこぼこの表面を生じさせる。これらの突条及び多数の重要なバイアは、高電圧ストレスの下で絶縁破壊する空隙を可能にする。さらに、エポキシ樹脂又は封入材料内に存在する泡が硬化工程前に除去されることを確保することが重要である。追加の技法が無い場合、これらの部品は、この種の部品に要求される規格に合格しない。
【0065】
図13は、平面磁性デバイスに極めて高い電圧能力を形成する実施技法1300を示す。薄い絶縁破壊材料層1302は、直流阻止又は濾波/整合の用途の減結合のための平行な板状キャパシタを形成するため、且つ実効値1500Vで絶縁破壊する回路に先立って高電圧絶縁破壊を形成するために、同時に使用することができる。この構造は、回路間に使用される材料により、実効値500〜10000Vの範囲の絶縁破壊電圧に対して支持できる。絶縁破壊材料を載置することは重要である。FR−4又は基板材料は手順通り送られ又は穿孔され、絶縁破壊材料は浮動すると共に積層工程の前に硬化される。別の実施形態では、印刷回路基板半田マスク内のパッドを広げ、表面にわたって絶縁破壊材料を付着させる。
【0066】
フェライトの寸法及び要求される開放回路インダクタンスを得るのに必要な巻線数と、閉じた磁気ループ経路を有する所定形状で達成できる実際の巻線数との間には二律背反がある。別の側面によれば、周囲に焦点を当てることにより、閉じたループ経路を依然として有する新規形状が形成され、インダクタンスを最大にするのに十分なバイアを有することができる。ここで、バイアは、複数のチャンネル部品(チャンネル当たりの複数のフェライト及び複数のチャンネル)を容易にするよう極めて狭く作成される。
【0067】
FR−4は一般的なエポキシ樹脂であり、印刷回路基板ベース材料に使用されるガラス複合材料は、フェライト磁性材料の6倍の熱膨張係数を有する。これは、図14(a)に図示されるように磁性部品用のFR−4のベース片に精密な開口が形成されるなら、フェライトは印刷回路基板赤外線リフロー作業で見られる熱膨張の間、高レベルのストレスを受けることを意味する。フェライトは極端に脆弱であるので、高レベルストレスはコアのクラック発生、電磁部品の性能の破壊をもたらす。図14(b)は、穴寸法に対するフェライトの良好な整合の一例を示す。図14(c)は、フェライト寸法に対して穴寸法がうまく整合しない一例を示す。代替として、フェライトの製造誤差及びストレス問題に対処するために間隙を設けるよう大きな開口を形成してもよい。しかし、これらは、構造体の空隙により生ずる剥離、又は意図されるバイアとの構造体の不適当な整合からの信頼性の問題をもたらし、本発明に係る方法で部品を形成することの大きな利点の一つを無くしてしまう。この空隙を埋めるのに棚(shelf)エポキシ樹脂を使用しないことは、ポリマに高ストレスの連鎖が形成されることにより、フェライトに過度のストレスを生じさせる。シリコーンのような低ストレス形成は、ドリル穿孔しバイアを形成するのに十分に固いプラットフォームを提供しない。
【0068】
本発明の別の側面によれば、より高いCTEを有するFR−4と敏感で脆弱なフェライトとの間に、低ストレスエポキシインタフェースが設けられる。この層は、ベースのFR−4とは大いに異なる追加のゴム派生物を有する、低ストレスエポキシ等の第1の低ストレス接着剤からなる。これはかなり低い膨張係数を提供するので、基板上の温度が上がる際に、ゴムのようになり、FR−4の膨張からこの層に置かれるストレスの多くを吸収し、さらに、図15(a)及び(b)に見られるようにバイアに必要なドリル穿孔のための安定したベース材料を提供する。そして、材料に形成されたバイアバレル及びトレースを保護するのに十分な剛性を有する。これは、磁性フェライトを支持するために印刷回路基板ベースを用いることに対する能力には重要である。これが無いと、このような開発は可能ではない。
【0069】
エポキシ樹脂等の接着剤は、フェライトの開口に最初に分配し、又は、低ストレス材料を最初に分配し、次にフェライトが所与の開口内に定着することを可能にすることにより開口の載置の後に分配することができる。部品は、エポキシ樹脂が全ての面で均一になるように自己整合する傾向がある。部品は、定着した後、半硬化されることができるので、上述した整合問題を無くす。フェライトが所定位置に一旦固定されると、フェライト開口をドリル穿孔する前に形成された、基板の縁の整合ターゲットを用いることにより、更なる処理をすることができる。これは、作動電磁部品を完成させるのに重要である標準的印刷回路基板処理を可能にする。
【0070】
いくつかの場合、ストレスリリーフ穴すなわちストレスリリーフスロットは、フェライト開口の中心にドリル穿孔され、殆ど問題なく材料が膨張又は収縮することを可能にする。また、フェライトの中心穴を充填するプラグとして、プラスチック又は同様の材料を使用することができる。
【0071】
さらに、ゴム派生物を追加した低ストレスエポキシ層は、フェライトを保持するベースFR−4の上面及び下面に銅層を付着するのに使用できる。この材料は、スクリーン印刷又は単純なスキージ散布等の多数の簡単な処理により、付けることができる。泡の除去が重要である。この材料は、銅をFR−4に結合させ、FR−4積層に見られる通常の温度及びストレスを引き起こすことなく、埋め込まれたフェライト上に等角面を提供するよう作用する。これはまた、電圧絶縁破壊の要求事項に必要な、工程後半の半田マスクに平坦面を設けることについて重要である。
【0072】
図16は、平面トランス1600の断面図である。ここで、埋め込まれたフェライト1602は、例えば特殊低ストレスエポキシ接合積層等の接合積層1604に包まれる。導電バイア1606は、フェライト1602の各面に配置されて図示される。例えばFR−4又は他の固い基板材料等の完全に硬化した固い基板1608の一部が図示され、絶縁積層1610が導電層1612を接合している状態が図示される。
【0073】
基板の平面化を補助し絶縁破壊電圧の問題を無くす本発明に係る追加方法は、銅又は他の材料でバイアを完全にめっきすることである。この方法は、バイアバレルに覆われない場合に絶縁破壊イオン化点を生じさせる高強度場の問題を無くし、先行技術で説明したものと大いに異なる。
【0074】
これに対処する新規な一方法は、部品の上面及び下面にボールグリッドアレー(BGA)を形成することである。下面において、部品は、BGAパッドレイアウトで設計されている。これら部品は、顧客の印刷回路基板に取り付けられるよう通常はリフローすることができる。細かいピッチのボールは従来の手巻きトランスで使用される通常のリード線よりもずっと低いインダクタンス及び抵抗を提供するので、これは高周波数での問題の多くを無くす。
【0075】
多くの用途において、使用に必要な最終製品は、プラスチックパッケージ内の集積回路と同様の寸法の部品である。印刷回路基板の1%のみを占める部品のために製造業者が複雑な印刷回路基板工程を使用することは、一般的に望ましくない。本発明の一側面は、製造業者が大きな基板に高電圧工程を使用し続け、必要なときに印刷回路基板フォーマットで本発明の処理ユニットの利点を用いることを可能にするICフォーマットのデバイスである。基板を、クワッド・フラット・ノーリード・パッケージ(QFN)又はリードレス・ゲート・アレー(LGA)と同様のBGAボール又はパッドを有する個別の小さなユニットに薄く切ることにより、解決策全体が劇的に改善される。
【0076】
本発明の一側面において、工程は、FR−4であることが多い誘電体製のベース材料で始まるが、高周波部品については、これは別の材料であってもよい。この材料は、標準的な寸法及び厚さで製造され、シートとして供給される。埋め込まれた磁性部品の製造業者は、使用されるフェライトより大きなシートに開口を手順通り送られることで始める。これらの開口は、熱サイクルの間に見られる膨張の原因となる、フェライト及びFR−4間の間隙を維持するのに十分に大きく形成されなければならない。
【0077】
この開口が一旦形成されると、基盤は、フェライト開口に底面を形成する一面にしっかりと載置される。接着促進剤、材料の堅さを付加するためのシリカ、ストレスを下げるためのブタジエンを有する低ストレスエポキシ樹脂は、各開口に付加される。フェライトは、標準的な吸着装置により、又は傾斜した案内穴を有するオーバレイの態様の機械的振出し器で載置される。エポキシ樹脂に定着できるようにすると、フェライトは、エポキシ材料がその周囲に均等に分配されるように自己整合する傾向がある。これは、信頼性の低下を招くであろう、構造体の空隙を確実に無くすること、性能を保証するのに必要な適正配置に対して重要である。フェライトを所定位置に固定し、低ストレスポリマ連鎖構造を形成するために、低温硬化が使用される。
【0078】
エポキシ樹脂内にフェライトを有するこの基板が一旦硬化すると、低ストレスエポキシ樹脂の追加の薄層がベースに付けられる。この材料セットは、柔軟材料が残される点を除き、フェライトの開口を充填するのに使用されるものと同じである。この材料は、機械的ワイパ又はスクリーン印刷工程のいずれかで基板にわたって均等に広げられ又は押される。次に、銅層が上面に付けられる。基板は、銅の下の空気泡を抜き出すために、真空箱の中に載置される。この工程が銅の下面についても繰り返された後、基板は積み重ねられ、ポリマの低ストレス構造体に固定されるようより高い温度で硬化される。
【0079】
バイアは機械的にドリル穿孔され、又はレーザ穿孔されてもよい。機械的にドリル穿孔されたバイアの場合、エポキシ樹脂の過剰加熱を防止するよう注意しなければならない。過剰加熱は、エポキシ樹脂をべとべとにし、ドリルのビットを破損させるからである。ドリルのビットを多段階でつつくことは、ビットを破損したり、穴に大量の屑を残したりすることなく、材料を通ってこの方法を機能させるために必要である。エポキシ屑は、不適切にめっきされたバイアや信頼性の問題をもたらす可能性がある。バイア開口を形成するのに紫外線レーザ穿孔も使用可能である。
【0080】
いくつかの場合において、フェライトの質量は、その中心内にエポキシ樹脂の膨張に対して敏感にさせるおそれがある。温度範囲の拡大が必要な場合、フェライトにクラックを発生させることなく、又は印刷回路基板のトレースの剥離を生じさせることなく、内部エポキシ樹脂が膨張することを可能にするために、ストレスリリーフを設けなければならない。これは、ドリル穿孔工程の間、追加のダミーバイアをドリル穿孔することにより防止できる。これらダミーバイアは、ブロックされるがめっきされない。しかし、デバイスが極端な温度にさらされると、これはエポキシが膨張する余地を与える。
【0081】
標準的な印刷回路基板処理は、無電解めっき、電解めっき及び基板のパターン化のために使用することができる。しかし、薄いバイアバレル内の極めて高いポテンシャル場による絶縁破壊電圧に対して保護するために、これらのバイアは完全に充填される。これはまた、導電ポリマを用いて行われる。これは、半田マスクのウィッキングのための「谷」が無い固い上面を残す。これは、広い幅の材料にわたって場を広げ、半田マスクが空隙無くコーティングされるように平坦な表面を提供する。これが一旦行われると、半田マスクの二重層を基板に追加しなければならない。これは、高電圧絶縁破壊試験(ハイポット)に対して保護するために使用され、試験で絶縁破壊を生ずるおそれがある空隙が形成されないように、基板と等角でなければならない。
【0082】
シルクスクリーン部品により、製造業者はその顧客に対して部品を識別することができる。デバイス情報を容易に識別するために、追加の即時生産情報を部品の上面に追加することができる。
【0083】
基板が一旦完成すると、完全性能試験(ラインでの試験におけるインサーキットテスタ)を基板全体に一度にすることができ、大きなコスト節約を提供する。部品には、半田ボールが取り付けられてもよい。QFNパッケージが利用される場合、キャッスレーション(城壁のようなぎざぎざ)になる大きな追加バイアがドリル穿孔及びめっき工程に追加される。基板は、個別のユニットを提供するよう手順通りに送ることができる。これらのユニットは積み重ねられ、水平方向又は垂直方向いに使用され、或いは、様々な機械的エンクロージャ又はケーブル組立体に垂直方向に挿入することができるので、無数の可能な解決策が利用可能である。さらに、簡単な圧入である「スナップイン」構成も実施することができる。図17(a)〜(c)は積重ねのオプション1700を示す。ここで、半田ボール1702は、一体化されたトランス及び電子部品1704の下面及び上面に配置される。図17(b)は、積み重ねるため配置された一体化部品1704上の下面パッド1706及び上面パッド1708を示す。図17(c)は、上面にパッドが無く絶縁層を有する一体化部品1704に積み重ねるため一体化部品1704上の下面パッド1706を示す。
【0084】
全ての側面において限定するのではなく例示することを意図したいくつかの典型的な実施形態に従って本発明を説明した。このため、本発明は、詳細な実施において、当業者により本明細書の記載から導き出すことができる多くの変形をすることができる。例えば、3M、デュポン、ロジャー等の製造業者から2〜1000の範囲のより高い誘電定数を有する他の積層材料をベース基板又は積層材料として使用することができる。使用する導体材料を変更することができる。ここで、導電性を増大させ、損失を減少させるために、銅をアルミニウム、銀、金に置換してもよい。発明者は、ダイ取付け、バンプ取付け、ワイヤ接合され得るダイ取付け技法を示さなかった。他の実施形態では、フェライト穴は、フェライトキャビティ又はフェライト材料の内部にM回路を埋め込むのに十分に大きい。アンテナや他のEMI収集技法等の用途は、エネルギー取り込みや超広帯域に実施することができる。
【0085】
このような変形例の全ては本発明の範囲内と考えられ、本発明の真髄は、特許請求の範囲及びその等価物により定義される。
【符号の説明】
【0086】
200 平面トランス
202 平面基板
206 フェライト材料
208 上導体
210 導電バイア
212 絶縁接着剤
214 下導体
1002 導電バイア
1006 上導体
1100 平面トランス
1104 平面基板
1106 フェライト材料
1108 弾性非導電性材料
1110 上導体
1112 下導体
1114 絶縁接着剤
1118 導電バイア
1120 上導体
1122 下導体
1202 平面基板
1600 平面トランス
1602 フェライト
1606 導電バイア
1704 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板内に配置された少なくとも1個の広帯域平面トランスと、該広帯域平面トランスの少なくとも1個の端子に接続された少なくとも1個の電子部品とを具備する、一体化された平面トランス及び電子部品であって、
前記広帯域平面トランスの各々は、
完全に硬化した剛性状態にある平面基板と、
該完全に硬化した剛性平面基板内に埋め込まれたフェライト材料と、
前記埋め込まれたフェライト材料の周りに配置された相互巻回された導体と、
少なくとも1本の該相互巻回された導体に接続された少なくとも1個の中央タップと
を具備し、
埋込みは、弾性非導電性材料内に包まれた前記フェライト材料からなり、
前記相互巻回された導体は、前記完全に硬化した剛性基板の上面に第1接合層により接合された上導体と、前記完全に硬化した剛性基板の下面に第2接合層により接合された下導体とを具備し、
前記接合層は絶縁接着剤を具備し、
前記上導体及び前記下導体は、前記フェライト材料の各側に配置された導電バイアにより相互接続パターンで接続され、
前記導電バイアは、前記接合層同士を通り、前記相互巻回された導体を形成する前記完全に硬化した剛性平面基板を通って延びることを特徴とする一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項2】
前記平面基板は、FR−4、熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチックからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項3】
互いに隣接する前記上導体及び前記下導体は、それらの間の平行な所定の空間に合うように配置され、
前記互いに隣接する上導体及び下導体は、巻線寄生インダクタンス及び漏れインダクタンスを下げるよう、前記埋め込まれたフェライト材料の周りの巻線数を最大にするよう配置されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項4】
前記上導体及び前記下導体間の間隔は、10〜500μmの範囲内にあることを特徴とする請求項3記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項5】
前記導電層は、可撓性エポキシ樹脂、高温熱可塑性プラスチック、及び高流動性セラミック充填ハイドロカーボンからなるグループから選択された積層材料を使用して前記平面基板に積層されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項6】
前記中央タップは、差動インピーダンスの50%にインピーダンス整合されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項7】
前記フェライト材料は、環状、トロイド状、U形状、E形状及びバー状からなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項8】
前記環状フェライト材料又は前記トロイド状フェライト材料の中心は、内部に配置された寸法的に安定したポッティング複合材料を具備することを特徴とする請求項7記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項9】
前記環状フェライト材料又は前記トロイド状フェライト材料の中心は、内部に配置された熱可塑性要素を具備し、
該熱可塑性要素は、前記平面基板の材料特性に合致する材料特性、及び環状中心又はトロイド中心の形状に合致する形状を有することを特徴とする請求項7記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項10】
前記広帯域平面トランスの少なくとも2個の端子にわたって絶縁破壊材料が配置され、
該絶縁破壊材料は、実効値500〜10000Vの範囲内の電圧にさらされると作動することを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項11】
前記一体化された平面トランスの全ての外側面は絶縁層でコーティングされ、
前記一体化された平面トランスの少なくとも1個の端子が露出することを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項12】
前記広帯域平面トランス及び前記電子部品間の接続部は、前記基板の少なくとも1個の穴を通って配置された少なくとも1本の導電ピンを有し、
該少なくとも1本の導電ピンは、直線的であるか、又は角度がつけられていることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項13】
前記上導体は涙滴形状であり、
該涙滴形状の狭い端は、環状又はトロイド状の前記フェライト材料の中心に配置された内側導電素子に接続され、
前記涙滴形状の広い端は、前記環状又はトロイド状のフェライト材料の外部の周囲に配置された外側導電素子に接続されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項14】
トランスインダクタ同士は、0〜1の結合係数で互いに結合され、
該結合は、i)前記導電素子間の間隔、ii)前記涙滴形状導体間の間隔、iii)前記環状又はトロイド状フェライトにおける開放スパン、iv)一次及び二次の相互巻線の比、又はi)、ii)、iii)及びiv)に従い、
前記開放スパンは空隙を有し、
該空隙は少なくとも1個の接地バイアを有することを特徴とする請求項13記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項15】
前記電子部品は、分離又は電磁機能を要するコネクタであることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項16】
前記コネクタは、前記平面トランスの少なくとも1個の端子に接続された少なくとも1個の電気コンタクトを具備することを特徴とする請求項15記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項17】
前記少なくとも1個の広帯域平面トランスは、広帯域平面トランスのアレーからなることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項18】
前記少なくとも1個の電子部品はコネクタのアレーからなることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項19】
前記少なくとも1個の電子部品は印刷回路基板のアレーからなることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項20】
前記一体化された平面トランス及び電子部品の下面は、半田パッドを具備することを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項21】
前記熱コンジットは、前記相互巻回された導体で発生した熱を抜き出すよう配置されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項22】
前記熱コンジットは、熱伝導性金属でめっきされたバイア、少なくとも1個の熱伝導性金属層、少なくとも1本の信号トレースに配置された追加の熱導電性金属、前記一体化された平面トランスデバイスの一縁に配置された少なくとも1個の熱伝導タブ、及び前記一体化された平面トランス及び電子部品の縁の周りの熱伝導材料からなるグループから選択されることを特徴とする請求項21記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項23】
前記少なくとも1個の中央タップは、前記広帯域平面トランスの上面に配置されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項24】
前記電子部品は、前記平面基板の上面に配置され、中央タップ電流に所望の整合を与えるよう、間の距離を最小にすることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項25】
前記広帯域平面トランスは、i)各コモンモードチョークが信号の整形及び条件を提供する少なくとも1個のコモンモードチョーク、ii)M回路、又はi)及びii)をさらに具備し、
前記M回路は、特定の機能及び用途用に、埋め込み型広帯域平面トランスの機能を支える電気回路であることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項26】
前記M回路により支えられる機能は、フィルタ機能、クロストーク相殺機能、高電圧抑制、EMI抑制、デジタル制御、LED制御、バラン制御及び電力管理機能からなるグループから選択されることを特徴とする請求項25記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項27】
前記一体化は積重ねで構成され、
該積重ねは、第2広帯域平面トランス及び第2チョークの上に少なくとも1個の第1広帯域平面トランス及び第1チョークを積み重ねること、前記第1広帯域平面トランス及び前記第1チョークの上にフィルタ及びインピーダンス整合素子を積み重ねることからなり、
前記積重ねにおける前記広帯域平面トランスの数は、所望の用途に従うことを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項28】
前記一体化は積重ねで構成され、
前記積重ねはフィルタの上面のチョークからなり、
前記フィルタはインピーダンス整合素子の上面に配置され、
該インピーダンス整合素子は前記広帯域平面トランス上に配置されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項29】
前記弾性非導電性材料は少なくとも1個のフィラーからなり、
該フィラーを有する前記弾性非導電性材料は、最大で前記平面基板の熱膨張係数までの熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。
【請求項30】
前記基板にはドリル穴が設けられ、
前記一体化された平面トランス及び電子部品の熱膨張係数は、前記ドリル穴により制御されることを特徴とする請求項1記載の一体化された平面トランス及び電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−510725(P2012−510725A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539504(P2011−539504)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/006346
【国際公開番号】WO2010/065113
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.ETHERNET
【出願人】(509263180)プラナーマグ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】