説明

埋設ボックス用蓋装置

【課題】埋設ボックスの上部開口を、施錠具を付設した蓋体の固定装着によって、施錠具を付設していない他の各蓋体の取り外しをも不能にして安全性、安定性を確保する。
【解決手段】埋設ボックス1の上部開口を所定数で分割した1個のロック蓋体11、適数個のスライド蓋体15によって閉蓋する。ロック蓋体11にはロック片14を備えた施錠具12を、スライド蓋体15には係合フック16をそれぞれ設け、埋設ボックス1の上部開口の支持縁3にスライドガイド部20を設ける。このスライドガイド部20は、位置決めしたロック蓋体11のロック片14及びスライド蓋体15の係合フック16の直上位置で係合するロックスライド21と、ロックスライド21の側方の空所側に係合フック16を移動許容させた後に上方への、あるいは上部開口上方からのロックスライド21の下方へのスライド移動を案内させるガイドスライド22とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ケーブル、電力ケーブル等の各種ケーブルの分岐、集約、それらの点検その他のために地中に埋設される例えば電線共同溝の如き埋設ボックスにおいて、その地上面である上部開口における作業員の出入りのため等に開閉される埋設ボックス用蓋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の電線共同溝において、内部の保守、点検その他のために作業員が出入り可能となるように開閉蓋がその上部開口である地上面に設けられている。開閉蓋自体は、地上の歩行者の往来その他を考慮して堅牢に、しかもある程度の重量があるものとして構成され、その開口面が広い場合には適当数に分割された複数にして構成配置される。また、管理上の点から特定の管理者しか開放できないように施錠されるものとされ、分割構成されているそれぞれの蓋体がロックされている。
【0003】
このようにそれぞれの分割蓋体がロックされるとき、それぞれに施錠具を備えさせるとすれば、施錠具自体が特殊構造であることと相俟ち、その費用は相当程度に嵩張るものとなる。こうした点を解消すべく、例えば特許文献1に示される共同溝用蓋施錠装置が提案されており、並列配置される複数の分割蓋体の内の1個である特定の蓋にのみ施錠具を設け、他の分割蓋体である他の蓋は、上部開口面で形成した蓋棚受に分割蓋体自体に形成されている開放防止金具を係合支持させることで外れないようにしておくと共に、係合状態のままで蓋棚受に沿って共同溝の上部開口面でスライド移動させて、前記の特定の蓋を除去した空間側の蓋棚受の所定位置に設けてある切欠部を経て取り外しできるようにし、その切欠部にはストッパーを形成することで、スライドする他の蓋を切欠部位置で停止させて、切欠部を経ての取り外しが円滑にできるようにして成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3103811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の特許文献1による蓋施錠装置によると、特定の蓋のみに施錠具を具備させれば良く、全体としてのコスト・メンテナンスの低減を図ることができ、蓋開閉の作業性が向上するとする。ところが、スライドして取り外す他の蓋は、特定の蓋の除去空間まで移動させる必要があり、また、取り外しのための切欠部位置が蓋自体によって隠蔽されるために、移動の終点がストッパーで停止される位置とされても、その移動距離・間隔は目測で測らざるを得ない不都合がある。そればかりでなく、蓋自体は相当な重量があるためにその移動作業に際しストッパーに突き当たるときには、蓋に加わる移動時の慣性作用でストッパー自体を損傷させる虞もある。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は電線共同溝の如き埋設ボックスの上部開口を開閉する蓋装置において、分割構成された各蓋体の内の1個のみに施錠具を付設することで、施錠具が付設されていない他の各蓋体の取り外しを不可能にして安全性、安定性等を確保すると共に、各蓋体ではその閉蓋位置付近での僅かな移動で簡単に取り外し、取付が可能となるよう取り扱いが容易な埋設ボックス用蓋装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、地中に埋設される埋設ボックス1の上部開口を閉塞するよう複数の蓋体11,15に分割され、上部開口に設けられた支持縁3上に載置される開閉蓋10であって、分割された各蓋体11,15の内の1個は上部開口の所定位置で直接に取り外し固定されるロック蓋体11とされ、他の蓋体は支持縁3に沿って移動可能で、所定位置で固定されるスライド蓋体15とされる埋設ボックス用蓋装置において、ロック蓋体11に設けた施錠具12による施錠時のロック片14及びスライド蓋体15に設けた係合フック16をこれらの直上位置で係合するロックスライド21と、ロックスライド21の側方で、係合フック16をスライド蓋体15を取り外すときの側方にほぼ水平方向に沿っての移動を許容させた後に、あるいは埋設ボックス1の上部開口を施蓋するときの側方から移動スライドする側で、係合フック16がその上面でスライドするよう傾斜しているガイドスライド22とから成るスライドガイド部20を備えたことを特徴とする。
地中に埋設される埋設ボックス1の上部開口を所定数で分割された1個のロック蓋体11、適数個のスライド蓋体15によって閉蓋する埋設ボックス用蓋装置において、ロック蓋体11の辺縁下面には、その側外方に揺動自在に出没するロック片14を備えた施錠具12を設け、スライド蓋体15の辺縁下面には、側外方側に向かう係合フック16を設けておき、各蓋体11,15の辺縁を載置支持する支持縁3にはスライドガイド部20を設け、このスライドガイド部20は、上部開口で位置決めされたロック蓋体11のロック片14及びスライド蓋体15の係合フック16それぞれの直上位置で係合するロックスライド21と、このロックスライド21の側方であるロック蓋体11あるいはスライド蓋体15を取り外し後の空所側に、係合フック16をほぼ水平方向に沿っての移動を許容させた後に上方への、あるいは埋設ボックス1の上部開口上方からロックスライド21の下方へのスライドを案内させるガイドスライド22とから成ることを特徴とする。
ロックスライド21下面には、持ち上げられたスライド蓋体15の係合フック16をガイドスライド22側に上昇スライド案内させるスライド傾斜面21Aを形成することができる。
係合フック16をスライド案内させるようにガイドスライド22の上面に形成したスライドガイド傾斜面22Aは、ロックスライド21のスライド傾斜面21Aに比し、急峻な傾斜面に形成することができる。
ロックスライド21とガイドスライド22とは、隣接配置されるロック蓋体11あるいはスライド蓋体15側に対し左右対称に形成することができ、また、ガイドスライド22は、隣接配置されるロック蓋体11あるいはスライド蓋体15それぞれのスライドガイド部20のガイドスライド22と水平方向に沿う載置セットスライド23によって連続させて構成することができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係る埋設ボックス用蓋装置にあって、スライドガイド部20におけるロックスライド21は、支持縁3によって所定の位置で支持配置されたロック蓋体11の施錠具12のロック片14及びスライド蓋体15の係合フック16それぞれを直上で係合することで、位置決めされた各蓋体11,15それぞれの、位置決めされた場所での直接の上方への取り外しを阻止させる。
また、施錠具12に対する解錠操作によるロック片14のロックスライド21との係合解除は、ロック蓋体11を埋設ボックス1の上部開口上方への直接的な持ち上げ、取り外しを可能にさせる一方、上部開口に閉蓋装着させるとき、ロック蓋体11を位置決め固定する部位のロックスライド21を回避して直接に載置させる。
スライドガイド部20それぞれは、ロック蓋体11、スライド蓋体15のいずれでも装着させることで、いずれの部位のスライドガイド部20であっても、これにロック蓋体11を固定位置決めさせる。しかも、ロック蓋体11を取り外してのスライド蓋体15の側方への移動を許容させる空所が得られればよいことで、左右対称に形成されたロックスライド21、ガイドスライド22と相俟ち、ロック蓋体11、スライド蓋体15のいずれでもそれらの配置の自由度を増大させる。
スライドガイド部20のガイドスライド22は、施蓋状態にあるスライド蓋体15が側方に僅かにでもスライドされて、その係合フック16が当接されるとき、係合フック16をスライドガイド傾斜面22Aに沿って上方に持ち来し、スライド蓋体15を載置セットスライド23上に案内させることで、スライド蓋体15を上部開口から取り外させる。この係合フック16のスライドは、スライド蓋体15における隣接するロック蓋体11あるいはスライド蓋体15が取り外されたときに空所が生じたときに、その空所側へのスライドのみを可能とさせることで、ロック蓋体11の取り外し後にのみ、スライド蓋体15の取り外しを可能にさせる。
ロックスライド21下面のスライド傾斜面21Aは、持ち上げられたスライド蓋体15を、これの側方に空所がない場合にはそのまま係合させて取り外しを阻止し、側方に空所がある場合ではその空所側にスライド案内させ、ガイドスライド22のスライドガイド傾斜面22Aに沿って取り外し方向に持ち上げさせる。また、スライド傾斜面21Aに比し急峻なガイドスライド22のスライドガイド傾斜面22Aは、側方に移動されたスライド蓋体15の上部開口上方への取り外し、逆に上部開口上方からロックスライド21下方への装着案内を速やかにさせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、電線共同溝の如き埋設ボックス1の上部開口を開閉する分割構成された各蓋体11,15においての1個のロック蓋体11における施錠具12の解錠、施錠によって他のスライド蓋体15をも固定し、また取り外すことができ、高価な施錠具12の各蓋体(15)への装備を不要にする。しかも、施錠具12に対する操作で位置決め固定されるロック蓋体11の直接の装着、取り外しを可能にする一方、他のスライド蓋体15にあっては、これの側方に僅かにでも空所があればその僅かなスライド移動だけで上部開口からの取り外し、更には装着ができるから、作業の迅速性、簡易性を実現できる。そればかりでなく、ロック蓋体11に備えられている施錠具12に対する操作で、施錠具12が付設されていない他のスライド蓋体15の取り外しを不可能にして安全性、安定性等を確保できる。
【0010】
すなわちこれは、本発明において、ロック蓋体11の施錠具12のロック片14及びスライド蓋体15の係合フック16を直上位置で係合するロックスライド21と、ロックスライド21の側方で、スライド蓋体15側方の空所側への移動を許容させた後に、あるいはその空所における側方からの係合フック16をスライド移動させる傾斜したガイドスライド22とから成るスライドガイド部20を備えたからである。これによって、施錠具12が付設された1個のロック蓋体11によって他の施錠具12が付設されていないスライド蓋体15の固定位置決め、その直接の取り外しの不能化、スライド蓋体15の僅かなスライド移動による取り外しと装着との簡易化及び迅速化が可能となり、総じてこれらの作業の能率化を図り得るのである。
【0011】
また、スライドガイド部20におけるロックスライド21には、ロック蓋体11に付設の施錠具12が施錠されたときのロック片14を係合させるから、施錠具12が解錠されない限り、ロック蓋体11の取り外し、更にはスライド蓋体15をも移動させないことでこれ等の取り外しを不能にできる。そればかりでなく、ロックスライド21には、施錠具12のロック片14あるいはスライド蓋体15の係合フック16のいずれでも係合可能であるから、いずれの部位のロックスライド21にロック蓋体11、スライド蓋体15を位置決めしても良い。そのため、埋設ボックス1の上部開口が複数に分割されるときのいずれの部位にロック蓋体11を位置決めしても良く、取り外し後に再び上部開口を閉蓋すべく装着するとき、ロックスライド21、ガイドスライド22が左右対称に形成されていることと相俟ち、先ずスライド蓋体15を位置決めさせた後であれば、最後の空所にロック蓋体11を直接に装着すればよくなることで、閉蓋時の作業性を飛躍的に向上できる。
【0012】
ロックスライド21の下面には、スライド蓋体15を取り外すべくこれが持ち上げられたとき、スライド蓋体15の係合フック16を、スライド蓋体15側方の空所側にあるガイドスライド22側に上昇スライド案内させるスライド傾斜面21Aを形成してあるから、取り外し時のスライド蓋体15を迅速にガイドスライド22側に移動でき、スライドガイド傾斜面22Aに沿う取り外し方向への移動を円滑にしている。
【0013】
しかも、ガイドスライド22のスライドガイド傾斜面22Aは、ロックスライド21のスライド傾斜面21Aに比しその傾斜は急峻に形成してあるから、スライド蓋体15を側方に移動して取り外すときでは、側方に移動されたスライド蓋体15の上部開口上方への取り外しを速やかにし、また逆に上部開口上方からスライド蓋体15で閉蓋すべく係合フック16にて位置決めさせてガイドスライド22に沿って移動させるとき、ロックスライド21下方への装着案内を速やかにさせる。
【0014】
スライドガイド部20のガイドスライド22は、隣接配置される蓋体11,15それぞれのスライドガイド部20のガイドスライド22と水平方向に沿う載置セットスライド23によって連続させてあるから、この載置セットスライド23上にスライド蓋体15の係合フック16を載置させてスライド移動させることで、所定部位のガイドスライド22、ロックスライド21への案内を円滑に行え、スライド蓋体15を簡単に位置決め装着できる。
【0015】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は図面中の符号によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す一部切欠斜視図である。
【図2】同じく蓋受枠を示し、その(A)は一部省略の要部平面図、(B)は一部省略の要部正面図である。
【図3】同じくロック蓋体における付設された施錠具部分を示し、その(A)はロック時における要部側面図、(B)は取り外し時における要部側面図である。
【図4】同じくスライド蓋体における係合フック部分を示し、その(A)は係合時における要部側面図、(B)は同要部正面図、(C)は取り外し中における要部側面図、(D)は同要部正面図、(E)は取り外し後における要部側面図、(F)は同要部正面図である。
【図5】同じくスライド蓋体の係合フックと蓋受枠のロックガイド部との係合、取り外しの作動原理を示す要部正面図で、その(A)はロツク状態時からスライドして取り外しを開始するとき、(B)はスライドガイド面に沿ってスライド蓋体が持ち上がり、取り外されるとき、(C)はスライド蓋体を閉蓋すべく、係合スライドするとき、(D)はロツク状態時でロック蓋体あるいはスライド蓋体を上方に引き上げる場合に係合し、取り外しが不能であるとき、(E)はロツクガイド面に沿って持ち上がり、取り外されるときそれぞれを示す。
【図6】同じくスライド蓋体における係合フック部分を示し、その(A)は側断面図、(B)は(A)におけるB−B線断面図、(C)は係合バー部分を示す要部平面図である。
【図7】同じくスライド蓋体における係合フックの他例を示し、施錠具に交換可能に取り付けられる場合に好適なものとした場合の側断面図である。
【図8】同じく係合フックにおける係合部分のみを取り付けるものとした場合の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は通信ケーブル、電力ケーブル等の各種ケーブルの分岐、集約その他のために各種機器と共に収納されるよう、地中に埋設される電線共同溝の如き埋設ボックスであり、この埋設ボックス1の上部開口には、これらの機器等の点検、保守等のために作業員が出入りする分割式の開閉蓋10が設けられている。この開閉蓋10は、埋設ボックス1の上部開口縁に形成された蓋受枠2に取り外し自在に支持される例えば鋳物製で、表面には、必要に応じ、例えば周囲の歩道面等と同様な化粧が石材、コンクリート材等によって施されることもある。
【0018】
開閉蓋10自体の全体では、埋設ボックス1の上部開口の大きさ、形状等に対応していると共に、複数の分割された蓋体11,15、すなわち施錠具12が付設された1個のロック蓋体11と、施錠具12は付設されておらず、スライド上下動される適数のスライド蓋体15とから成る。図例にあっては、蓋受枠2はボルト、ナットにてネジ止め連結されることで平面で長方形状を呈するように構成され、また、この蓋受枠2に施蓋される開閉蓋10は分割された6枚構成のものとしてあって、ロック位置は2箇所として構成されている。もとより、ロック位置は1箇所とすることも可能であると共に、蓋受枠2に施蓋される開閉蓋10は分割された3枚構成のものとし、また蓋受枠2はボルト、ナットにてネジ止め連結されることで、1箇所のロック位置であるそれぞれのものの2連構成とすることも可能である。このように、開閉蓋10の分割数、連結数、蓋受枠2の大きさ、ロック位置及びその数等は図示例に限定されないことは勿論である。
【0019】
ロック蓋体11、スライド蓋体15それぞれは平面から見て、一辺は埋設ボックス1の上部開口における一方の辺、通常は短辺の長さに対応した長辺を、他辺は同じく他方の辺における分割されたときの各長さにそれぞれ対応する長さの短辺をそれぞれ有する長方形状を呈する。これらのロック蓋体11、スライド蓋体15を1組で並列配置したときに開閉蓋10全体を構成し、埋設ボックス1の上部開口の支持縁3上面に、各蓋体11,15の辺縁下面に配したパッキンが当接することできっちりと閉塞するものとなっている。
【0020】
そして、ロック蓋体11では、その短辺のほぼ中央部位置に施錠具12を備えており、ロック蓋体11の表面に設けた着脱自在な錠カバー13を取り外し、所定の鍵による解錠操作によってロック蓋体11の下方で少なくとも90度で揺動するロック片14を、側方に突出させる施錠位置、突出位置外に収容する解錠位置に変位操作できるようにしてある。すなわち、このロック蓋体11は、上部開口における所定位置、開閉蓋10全体が施錠されるべき固定位置で直接に取り外し固定できるようにしてある。
【0021】
一方、スライド蓋体15では、同じくその短辺のほぼ中央部位置に係合フック16を備えており、この係合フック16はスライド蓋体15本体の下方位置で側方外に突出するように側面から見てほぼJ字あるいはL字形を呈し、側方外に突出する水平部分は、先端に至るに伴い僅かでも次第に小径となる裁頭円錐形状に形成されている(図6参照)。このように円錐形状に形成することで、後述するスライドガイド部20のスライドガイド22、ロックガイド21のいずれに当接するもそれとのスライド移動を円滑にさせる利点が得られる。
【0022】
また、この係合フック16自体はスライドガイド部20に対しスライド可能な状態で当接すれば良いから、このようなスライド蓋体15本体との一体状の円錐形状であることに限定されない。例えば図7に示すように、ロック蓋体11における施錠具12の外郭形状を備えた筒状本体17下端にほぼ水平状に突出部分を形成することで係合フック16としたり、図8に示すように突出部分を有する部材をスライド蓋体15の側部下面にネジ止めすることで係合フック16としたりしても良い。要は、スライド蓋体15本体との一体形状に拘泥されず、その断面形も円柱状、矩形状その他であるとを問わない。
【0023】
前記蓋受枠2には、その内側面に埋設ボックス1の内方に所定幅員で張り出し状になっている支持縁3が形成されており、この支持縁3上に開閉蓋10の周側縁部が載置されることで開閉蓋10が蓋受枠2に支持される。また、蓋受枠2にロック蓋体11が載置されるときではこのロック蓋体11を係合ロックさせる一方、同様にスライド蓋体15が載置されるときではこのスライド蓋体15をスライド位置決めさせ、ロック蓋体11によるロックと共に固定支持させるスライドガイド部20を設けてある。
【0024】
このスライドガイド部20は、支持縁3において、図2に示すようにロック蓋体11を係合ロックしあるいはそれを解除する部位、あるいはスライド蓋体15をスライド案内し、固定位置決めさせる部位にそれぞれ設けられ、ロック蓋体11、スライド蓋体15の合計数に対応する。また、このスライドガイド部20は、蓋受枠2においての対向する左右側縁に、これらのロック蓋体11、スライド蓋体15が載置される部位において、それぞれの蓋体11,15における側縁のほぼ中央部位置に合致する位置に設けられ、後述するロック蓋体11の施錠具12、スライド蓋体15の係合フック16それぞれがその側縁のほぼ中央部位置に配置形成されることに対応する。このようにすることで、いずれのスライドガイド部20にも施錠具12、係合フック16が対応合致し、蓋体11,15の左右の逆配置、任意の配列順序の自由度が得られ、作業能率の向上に役立つ。
【0025】
スライドガイド部20自体は、図2に示すように、正面から見て、ロック蓋体11、スライド蓋体15それぞれが所定位置に載置され、位置決めされたときの施錠具12、係合フック16の直上に位置するロックスライド21と、このロックスライド21の側方で、スライド蓋体15を取り外すときの側方にほぼ水平方向に沿っての移動を許容させた後に、あるいは埋設ボックス1の上部開口に対してこれを施蓋するときに、側方から移動スライドする側で、係合フック16がその上面でスライドするよう傾斜しているガイドスライド22とを備える。
【0026】
ロックスライド21は、蓋受枠2に載置されるロック蓋体11、スライド蓋体15の側縁のほぼ中央部位置に対応する部位で設けられ、埋設ボックス1内方に向かって突出しているように形成配置される。また、図4に示すようにその下面はガイドスライド22側に至るに伴い次第に上昇、すなわちスライド蓋体15の表面側に向かうように上昇するスライド傾斜面21Aとなっており、スライド蓋体15の係合フック16がロックスライド21下面に当接したときで、このスライド蓋体15の側方に他のスライド蓋体15あるいはロック蓋体11が存在しない、あるいは既に僅かでも移動された後の空所となっているときには、スライド傾斜面21Aに沿ってその空所側に移動させながらのスライド蓋体15自体の上昇・持ち上げ操作を可能にしている(図4(C)乃至(F)参照)。
【0027】
このロックスライド21において、隣接する他のスライド蓋体15あるいはロック蓋体11が密接して配置されているときには、スライド蓋体15自体の上昇は、係合フック16とロックスライド21との間隙に相当する間隔で可能とはしてあっても、上記のような空所が側方になく、側方への移動が僅かでも可能でない状態では、スライド蓋体15自体の側方へのスライド上昇は不能なものとして、スライド蓋体15自体の取り外しは不可能にしている(図4(A)、(B)及び図5(D)参照)。これは、ロック蓋体11における施錠具12が施錠状態にあるときのロック片14がロックスライド21に係合することで、ロック蓋体11の上昇、取り外しが不能となっていることと同様である(同じく図5(D)参照)。
【0028】
また、ガイドスライド22は、スライド蓋体15の側方への、上記の空所がある場合に僅かにでもスライド蓋体15を側方に移動させた後に、当接する係合フック16をこのガイドスライド22の上面に沿って上方に案内させることでスライド蓋体15を埋設ボックス1の上部開口上方への取り外しを可能にしている。
【0029】
このガイドスライド22は、係合フック16が持ち上げられ、また側方への移動が許容された空隙をロックスライド21下面との間に形成する余裕空間として、また、その余裕空間は係合フック16の幅員長さを考慮して、設定することでロックスライド21下面と所定の間隙を隔てるように位置決めされたスライドガイド傾斜面22Aを上面に形成することで配置形成されている。これらを考慮して、例えば図示のように、スライド傾斜面21Aは緩やかな傾斜角度に設定され、これに比しスライドガイド傾斜面22Aは急峻な傾斜角度に設定される。
【0030】
これらのロックスライド21、ガイドスライド22から成るスライドガイド部20は、正面からみて左右で対称的に形成されており、スライド蓋体15をいずれの側からでも装着セットし、また取り外しが可能なようにしてある。こうすることで、ロック蓋体11の固定セット位置を特定せずに済むと共に、スライド蓋体15をいずれの側からでも装着セットし、取り外しを可能にすることで、設置作業現場の状況に応じてスライド蓋体15に対する作業方向を選択することによってロック蓋体11の固定セット位置をも任意に変更できる自在性を得る。
【0031】
また、ガイドスライド22には、ほぼ水平方向に沿ってガイドスライド22と連続されている載置セットスライド23が形成されていて、この載置セットスライド23は、隣のガイドスライド22にも連続している。この載置セットスライド23の高さ位置は、ロックスライド21の高さ位置とほぼ同一とし、ロックスライド21及び載置セットスライド23それぞれの上面で蓋体11,15それぞれの辺縁を載置支持する前記の支持縁3とすることで、蓋受枠2の構成を簡素化できる。もとより、支持縁3とスライドガイド部20とを別個に構成することも可能である。
【0032】
スライドガイド部20においては、図5(C)に示すように、例えば載置セットスライド23上に載置されたスライド蓋体15の係合フック16が、ガイドスライド22側に移動スライドされることでガイドスライド22に至ると、これに沿ってロックスライド21側の下方に落ち込ませるようにしている。そして、ロックスライド21直下に係合フック16が位置されることでスライド蓋体15自体が所定位置に位置決めされ、埋設ボックス1の上部開口を閉塞する位置に装着されるものとしてある。
【0033】
尚、図中符号5は、埋設ボックス1において開閉蓋10が開放されたときの作業員、機材等の落下を防止する保護ネット等を支持するガード部材4を上部開口で架装係合させるよう、蓋受枠2の内側面に形成された溝状のガード支持部である。また符号19は、ロック蓋体11、スライド蓋体15それぞれを持ち上げ、スライドさせるときの運搬器具等によるフック等を掛けるために、例えば施錠具12位置、係合フック16位置それぞれに対応して、蓋体11,15の表面それぞれに形成された係合バーである。
【0034】
次にこれの使用の一例を説明する。各種ケーブルの分岐、集約その他のために埋設される埋設ボックス1の上部開口を開閉蓋10によって閉塞するにつき、埋設ボックス1の上部開口に蓋受枠2を固定し、この蓋受枠2における支持縁3すなわちスライドガイド部20にスライド蓋体15、ロック蓋体11を順次に装着し、セット固定する。この装着、セットは、先ず上部開口における端部に載置すべきスライド蓋体15を、その係合フック16を載置セットスライド23上に載置してガイドスライド22側にスライドさせ、ガイドスライド22に沿って降ろしながら係合フック16をロックスライド21直下に位置させる(図5(C)参照)。こうすることで、スライド蓋体15はいずれの方向にもスライドせず、スライド蓋体15の側縁はロックスライド21、載置セットスライド23上に載置され、位置決めされる。同様にして、これに隣接する他のスライド蓋体15をスライドガイド部20に沿って案内させて載置し、位置決めする。そして、最終的にロック蓋体11を装着載置するもので、その施錠具12のロック片14を解錠位置にセットしておいて、ロック蓋体11をセットする位置でロックスライド21を回避させた状態で直上から降ろし、位置決めし、その後、施錠具12のロック片14を揺動させてロックスライド21下で係合させることで施錠する。こうすることで、ロック蓋体11は他のスライド蓋体15の移動を阻止した状態で固定位置決めされ、ロック蓋体11は上方への取り外しが不能となり、また、スライド蓋体15はその係合フック16がロックスライド21で阻止されることで上方への取り外しは不能なものとなるから、これらの蓋体11,15はいずれも上方には取り外しが不能な状態で固定される(図5(D)参照)。
【0035】
一方、取り外す場合には逆の作業手順ですすめれば良く、先ず施錠具12のロック片14を所定の鍵によって解錠位置に変位させることで、ロック蓋体11をそのまま上方に取り外す。次いで、ロック蓋体11を取り外した空所となった場所側に隣接するスライド蓋体15を移動し(図5(A)参照)、その係合フック16をガイドスライド22に沿って移動させることで載置セットスライド23上にまで持ち来たし、埋設ボックス1の上部開口から取り外す(図5(B)参照)。同様に他のスライド蓋体15もその係合フック16をスライドガイド部20から取り外すように、順次に隣接するスライド蓋体15を取り外した後の空所側に移動し、持ち上げるようにして埋設ボックス1の上部開口から取り外せば良い。また、取り外すべきスライド蓋体15の側方に空所がある場合では、それを持ち上げれば、係合フック16がロックスライド21の下面に当接し、スライド傾斜面21Aに沿って空所側にスライド蓋体15を移動させるから、そのままで持ち上げを可能にし、取り外すことができる(図5(E)参照)。
【符号の説明】
【0036】
1…埋設ボックス 2…蓋受枠
3…支持縁 4…ガード部材
5…ガード支持部
10…開閉蓋 11…ロック蓋体
12…施錠具 13…錠カバー
14…ロック片 15…スライド蓋体
16…係合フック 17…筒状本体
19…係合バー
20…スライドガイド部 21…ロックスライド
21A…スライド傾斜面 22…ガイドスライド
22A…スライドガイド傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される埋設ボックスの上部開口を閉塞するよう複数の蓋体に分割され、上部開口に設けられた支持縁上に載置される開閉蓋であって、分割された各蓋体の内の1個は上部開口の所定位置で直接に取り外し固定されるロック蓋体とされ、他の蓋体は支持縁に沿って移動可能で、所定位置で固定されるスライド蓋体とされる埋設ボックス用蓋装置において、ロック蓋体に設けた施錠具による施錠時のロック片及びスライド蓋体に設けた係合フックをこれらの直上位置で係合するロックスライドと、ロックスライドの側方で、係合フックをスライド蓋体を取り外すときの側方にほぼ水平方向に沿っての移動を許容させた後に、あるいは埋設ボックスの上部開口を施蓋するときの側方から移動スライドする側で、係合フックがその上面でスライドするよう傾斜しているガイドスライドとから成るスライドガイド部を備えたことを特徴とする埋設ボックス用蓋装置。
【請求項2】
地中に埋設される埋設ボックスの上部開口を所定数で分割された1個のロック蓋体、適数個のスライド蓋体によって閉蓋する埋設ボックス用蓋装置において、ロック蓋体の辺縁下面には、その側外方に揺動自在に出没するロック片を備えた施錠具を設け、スライド蓋体の辺縁下面には、側外方側に向かう係合フックを設けておき、各蓋体の辺縁を載置支持する支持縁にはスライドガイド部を設け、このスライドガイド部は、上部開口で位置決めされたロック蓋体のロック片及びスライド蓋体の係合フックそれぞれの直上位置で係合するロックスライドと、このロックスライドの側方であるロック蓋体あるいはスライド蓋体を取り外し後の空所側に、係合フックをほぼ水平方向に沿っての移動を許容させた後に上方への、あるいは埋設ボックスの上部開口上方からロックスライドの下方へのスライドを案内させるガイドスライドとから成ることを特徴とする埋設ボックス用蓋装置。
【請求項3】
ロックスライド下面には、持ち上げられたスライド蓋体の係合フックをガイドスライド側に上昇スライド案内させるスライド傾斜面を形成してある請求項1または2に記載の埋設ボックス用蓋装置。
【請求項4】
係合フックをスライド案内させるようにガイドスライドの上面に形成したスライドガイド傾斜面は、ロックスライドのスライド傾斜面に比し、急峻な傾斜面に形成してある請求項1乃至3のいずれかに記載の埋設ボックス用蓋装置。
【請求項5】
ロックスライドとガイドスライドとは、隣接配置されるロック蓋体あるいはスライド蓋体側に対し左右対称に形成してある請求項1乃至4のいずれかに記載の埋設ボックス用蓋装置。
【請求項6】
ガイドスライドは、隣接配置されるロック蓋体あるいはスライド蓋体それぞれのスライドガイド部のガイドスライドと水平方向に沿う載置セットスライドによって連続させてある請求項1乃至5のいずれかに記載の埋設ボックス用蓋装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−163770(P2010−163770A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5561(P2009−5561)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【特許番号】特許第4422196号(P4422196)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000151184)株式会社土井製作所 (21)
【Fターム(参考)】