埋設式ガス栓及び埋設式ガス栓用カバー
【課題】 壁板の背面側の空間内の空気が壁板の貫通孔を通って室内に流入することを阻止することができる埋設型ガス栓を提供する。
【解決手段】 柔軟性を有する膜状体からなるカバー3を用いる。カバー3の袋状をなす収容部3aに支持部材1及びガス栓部2を収容する。収容部3aの開口側の端部に固定板部3dを環状に形成する。固定板部3dを壁板Wの貫通孔Waを囲むように配置し、支持部材1のフランジ部1aと壁板Wとによって表面Wbに挟持固定する。収容部3aには、外側に向かって突出する筒状部3eを形成する。この筒状部3eの第1挿通部3jには、フレキシブルガス管Gを気密に挿通する。
【解決手段】 柔軟性を有する膜状体からなるカバー3を用いる。カバー3の袋状をなす収容部3aに支持部材1及びガス栓部2を収容する。収容部3aの開口側の端部に固定板部3dを環状に形成する。固定板部3dを壁板Wの貫通孔Waを囲むように配置し、支持部材1のフランジ部1aと壁板Wとによって表面Wbに挟持固定する。収容部3aには、外側に向かって突出する筒状部3eを形成する。この筒状部3eの第1挿通部3jには、フレキシブルガス管Gを気密に挿通する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、埋設式ガス栓及びそれに用いられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、埋設式ガス栓は、支持部材とガス栓部とを有している。支持部材は、貫通孔を有する壁板に取り付けられている。ガス栓部は、支持部材に取り付けられている。ガス栓部には、接続部及びプラグ部が設けられている。接続部には、フレキシブルガス管が接続され、フレキシブルガス管からガス栓部にガスが供給される。プラグ部は、壁板の貫通孔内に配置されている。そして、プラグ部にソケットが接続されると、フレキシブルガス管からガス栓部に供給されたガスがソケット及びガス管を介してガス器具に供給される。
【0003】
従来の埋設式ガス栓は、壁板に形成される貫通孔を閉じるための構成を有していなかった。このため、壁板の背面側に形成される空間(以下、背面側空間という。)が貫通孔を介して室内に連通し、背面側空間内の空気が貫通孔を通って室内に流入するという問題があった。
【0004】
そこで、下記特許文献1に記載の埋設式ガス栓においては、ボックス及び閉塞板が用いられている。ボックスは、貫通孔と対向する一端が開口しており、その内部には支持部材及びガス栓が開口部から挿入されている。しかも、ボックスは、その開口部が貫通孔を囲むようにして支持部材に取り付けられている。この結果、貫通孔がボックスによって閉じられている。また、ボックスには、ガス栓の接続部又はフレキシブルガス管が挿通される挿通孔が形成されている。この挿通孔と接続部又はフレキシブルガス管との間の隙間が閉塞板によって閉じられている。このようにして、室内と背面側空間との間が遮断されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2006−189122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の埋設式ガス栓においては、ボックス及び閉塞板は、剛性を有する材料によって構成されているため、貫通孔と背面側空間との間を十分に高い気密性をもって遮断することが困難であるという問題があった。特に、挿通孔と接続部との間に形成される隙間は、遮断することが困難であった。このため、背面側空間内の空気が室内に流入することを十分には阻止することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、第1の発明は、貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓に用いられる埋設式ガス栓用カバーであって、全体が柔軟性を有する膜状体によって構成され、一端部に形成された開口部から上記支持部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されることを特徴としている。
この場合、上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることが望ましい。
上記筒状部が、上記接続部が挿入される基部と、この基部の先端部に設けられ、上記フレキシブルガス管が挿入されるガス管挿通部とを有していることが望ましい。
上記ガス管挿通部が、上記基部の先端部に設けられ、上記基部より小径の第1挿通部と、この第1挿通部の先端部に設けられ、上記第1挿通部より小径の第2挿通部とを有していることがさらに望ましい。
上記の問題を解決するために、第2の発明は、貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓において、柔軟性を有する膜状体からなるカバーをさらに備え、上記カバーが、一端部に形成された開口部から上記取付部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されていることを特徴としている。
この場合、上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることが望ましい。
上記支持部材には、上記貫通孔の周方向に延びるフランジ部が形成され、上記フランジ部と上記仕切板とによって上記固定部を挟持することにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることが望ましい。
上記フランジ部が上記貫通孔の周方向に沿って互いに離間して複数設けられ、各フランジ部が上記仕切板の表面の上記貫通孔に沿う複数個所にそれぞれ固定され、上記支持部材には、上記フランジ部及び上記貫通孔を遮蔽する化粧蓋が取り付けられ、上記固定部の一部が上記フランジ部と上記仕切板とによって挟持され、上記固定部の他の一部が上記化粧プレートと上記仕切板とによって挟持されることにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、カバーの固定部が開口部を囲むようにして仕切板に押圧固定されるとともに、筒状部に接続部又はフレキシブルガス管が気密に挿通される。したがって、カバーは、室内と背面側空間とを十分に高い気密性をもって遮断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図3は、この発明に係る埋設式ガス栓の第1実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Aは、壁埋設タイプのガス栓であり、埋設式ガス栓Aが取り付けられる壁板(仕切板)Wには、これを水平方向に貫通する貫通孔Waが形成されている。貫通孔Waは、四角形状に形成されているが、円形に形成してもよい。一方、埋設式ガス栓Aは、支持部材1、ガス栓部2及びカバー3を備えている。
【0010】
埋設式ガス栓Aの支持部材1は、本体部1Aと一対の挟持板1B,1Bとを有している。本体部1Aは、その一端部に環状に延びるフランジ部1aが形成されている。このフランジ部1aは、貫通孔Waと同様に四角形状をなしているが、外形は貫通孔Waより大きく形成されている。フランジ部1aは、次に述べる方法により、壁板Wの室内Iに面する表面Wbに貫通孔Waに沿って環状に押圧固定されている。
【0011】
すなわち、支持部材1には、4本のボルト4が設けられている。2本のボルト4,4は、一方の挟持板1Bに螺合されている。他の2本のボルト4,4は、他方の挟持板1Bに螺合されている。各挟持板1Bは、壁板の背面Wcと対向している。したがって、挟持板1Bが背面Wcに接近するようにボルト4を回転させると、フランジ部1aと一対の挟持板1B,1Bとが壁板Wを挟持する。その状態で各ボルト4をさらに締め付けることにより、フランジ部1aが壁板Wの表面Wbに押圧固定され、ひいては支持部材1が壁板Wに固定されている。支持部材1の壁板Wに対する固定法は、上記の固定法に限定されるものでなく、後述する方法、その他各種の公知の方法を採用することができる。
【0012】
ガス栓部2は、本体部2aを有している。本体部2aは、ボルト5によって支持部材1に固定されている。本体部2aには、接続部2b及びプラグ部2cが設けられている。接続部2bは、本体部2aの下側部から壁板Wの背面Wcに沿って下方に向かって突出しているが、左右の側部から壁板Wに沿って水平方向に突出させてもよく、あるいは本体部2aの背部から後方に向かって突出させてもよい。接続部2bには、一次側のフレキシブルガス管Gが接続されており、フレキシブルガス管Gからガス栓部2にガスが供給される。接続部2bは、ガス管Gを単に挿入するだけで接続することができるように構成されているが、その構造は周知のものであるので詳細な説明を省略する。プラグ部2cは、本体部2aの貫通孔Waと対向する前面に設けられている。プラグ部2cは、その長手方向を貫通孔Waの長手方向に向けた状態で貫通孔Waのほぼ中央部に配置されている。プラグ部2cには、室内Iから貫通孔Wa内に挿入されたソケット(図示せず)が着脱可能に接続される。すると、フレキシブルガス管Gからガス栓部2に供給されたガスがソケット及びガス管を介してガス器具(いずれも図示せず)に供給される。
【0013】
フランジ部1aには、化粧板6が着脱可能に取り付けられている。化粧板6は、フランジ部1aより大きい寸法を有しており、フランジ部1aが室内I側から目視されることがないよう、フランジ部1a全体を覆っている。したがって、貫通孔Waも化粧板6によって覆われている。化粧板6の中央部には、窓孔6aが形成されている。この窓孔6aには、蓋体6bが開位置と閉位置との間を回動可能に設けられている。蓋体6bを開位置に回動させると、窓孔6aから貫通孔Wa内にソケットが挿入可能になり、ソケットをプラグ部2cに接続することができる。ソケットのプラグ部2cへの接続後、蓋体6bを壁板W側へ押圧移動させると、ソケットのプラグ部2cへの接続が外れる。このような作用をなす構造は、周知のものであるのでその詳細な説明は省略する。
【0014】
カバー3は、室内Iと背面側空間Sとが貫通孔Waを介して連通することを阻止するためのものであり、厚さが0.5mm程度の柔軟性を有する膜状体によって構成されている。そのような膜状体は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂によって形成することがでる。そして、カバー3は、樹脂からなる膜状体を各種の成形法によって一体に成形することが可能である。
【0015】
図2〜図8に示すように、カバー3は、収容部3aを有している。収容部3aは、フランジ部1aを除く支持部材1及びガス栓部2を内部に収容することができるだけの大きさを有しており、収容部3aの壁板W側の一端部に開口部3bが形成されている。この開口部3bから収容部3a内に支持部材1及びガス栓部2が挿入可能になっている。収容部3aは、支持部材1及びガス栓部2を収容することができる範囲においてできる限り小さくすることが望ましい。
【0016】
収容部3aの開口部3bに隣接する部分には、挿入部3cが形成されている。挿入部3cは、貫通孔Waとほぼ相似な断面形状を有しており、貫通孔Waに挿入することができる範囲においてできる限り大きく形成することが望ましい。挿入部3cは、蛇腹状に形成されている。したがって、挿入部3cは、その長手方向へ伸縮可能であり、それによって厚さの異なる各種の壁板Wに対応することがきるようになっている。つまり、壁板Wの厚さが厚い場合には挿入部3cが伸張され、壁板Wの厚さが薄い場合には挿入部3cが短縮される。
【0017】
カバー3の開口部3b側の端部、つまり挿入部3cの開口部3b側の端部には、挿入部3cの径方向外側に向かって突出する固定板部(固定部)3dが環状に形成されている。固定板部3dの外形寸法は、貫通孔Waより大きいが、その一部(角部)を除いてフランジ部1aより小さくなっている。そして、固定板部3dは、壁板Wの表面Wbとフランジ部1aとによって挟持されている。つまり、フランジ部1aによって表面Wbに押圧固定されている。しかも、固定板部3dは、貫通孔Wa全体を囲っている。この結果、貫通孔Waがカバー3によって閉じられ、室内Iと背面側空間Sとの間がカバー3によって遮断されている。固定板部3dは、フランジ部1aより大きくしてもよい。ただし、室内Iから固定板部3dが目視されることを回避するために、化粧板6より小さくすることが望ましい。
【0018】
収容部3aの一側部、つまりガス栓部2の接続部2bが形成された下側部と対向する下側部には、筒状部3eが形成されている。この筒状部3eは、図4〜図6に示すように、挿入部3cとほぼ直交するようにして下方に延びており、収容部3aに連設された基部3fと、この基部3fの先端部にテーパ部3g及びストレート部3hを介して連設されたガス管挿通部3iとを有している。
【0019】
基部3fは、収容部3a側の基端部に接続部2bが挿入され、先端部にフレキシブルガス管Gが挿通されるような長さを有している。ただし、基部3fは、必ずしもそのような長さにする必要がなく、接続部2bを収容することができるだけの長さを有していればよい。その場合にも、接続部2bとほぼ同等の長さにしてもよく、接続部2bより僅かだけ長くしてもよい。基部3fの内径は、接続部2bを挿入することができるよう、接続部2bの外径より若干大径になっている。しかし、基部3fの外径は、基部3fを弾性的に拡径することによって接続部2bを基部3fに挿入することができる範囲であれば、接続部2bの外径より小径にしてもよい。
【0020】
ガス管挿通部3iは、基端側の第1挿通部3jとこの第1挿通部3jの先端部に連設された第2挿通部3kとを有している。第1挿通部3jの内径は、弾性的に拡径することによってフレキシブルガス管Gを挿通することができる範囲においてフレキシブルガス管Gの外径より小径になっている。したがって、第1挿通部3jの内周面がフレキシブルガス管Gの外周面に全周にわたって押圧接触しており、それによって第1挿通部3jの内周面とフレキシブルガス管Gの外周面との間が気密に封止されている。第1挿通部3jの内径は、フレキシブルガス管Gの外径と同一ないしは若干大径にしてもよい。その場合には、例えば第1挿通部3jの先端部とフレキシブルガス管Gとの両者にわたって接着テープ(図示せず)を巻回することにより、第1挿通部3jとフレキシブルガス管Gとの間を気密に封止することができる。
【0021】
第2挿通部3kは、フレキシブルガス管Gに代えてそれより小径の他のフレキシブルガス管が用いられる場合のためのものであり、第2挿通部3kの内径と当該他のフレキシブルガス管の外径との関係は、第1挿通部3jとフレキシブルガス管Gとの関係と同様である。したがって、当該他のフレキシブルガス管が用いられる場合には、第2挿通部3kに当該他のフレキシブルガス管が気密に挿通される。
【0022】
なお、この実施の形態では、フレキシブルガス管Gが用いられているため、ガス管挿通部3iが第1挿通部3jの先端部(図4において想像線で示す部分)において切断されている。したがって、第2挿通部3kは用いられていない。勿論、フレキシブルガス管Gに代えて他のフレキシブルガス管が用いられる場合には、ガス管挿通部3iが第2挿通部3kの先端部において切断される。また、第2挿通部3kの先端部が底部3lによって閉じられているが、底部3lは必ずしも形成する必要がなく、第2挿通部3kの先端部を開口させておいてもよい。
【0023】
上記構成の埋設式ガス栓Aは、例えば次のようにして壁板Wに取り付けることができる。ガス栓Aの壁板Wへの取り付けに際しては、壁板Wに貫通孔Waを予め形成しておく。まず、空間S内に配置されたフレキシブルガス管Gの先端部(下流側端部)を貫通孔Waから室内Iに引き出す。その後、フレキシブルガス管Gの先端部を第1挿通部3jにその外部から挿通し、収容部3aを通って開口部3bからカバー3の外部に引き出す。そして、フレキシブルガス管Gの先端部を接続部2bに挿入して接続する。
【0024】
その後、フレキシブルガス管Gを第1挿通部3jの先端側へ戻しつつ、支持部材1及びガス栓部2を開口部3bから収容部3a内に挿入する。そして、フランジ部1aを固定板部3dに押し付ける。次に、フレキシブルガス管G及び筒状部3eを貫通孔Waから空間S内に挿入し、続けて支持部材1及びガス栓部2を収容した収容部3aを貫通孔Waから背面側空間Sに挿入する。そして、固定板部3dが壁板Wの表面Waに突き当てる。このとき、挿入部3cが蛇腹状をなしているので、図2に示すように、挿入部3cが弛むことなく、筒状部3eの基部3fを壁板Wの背面Wcに接触させることができる。
【0025】
その後、ボルト4を締め付け、フランジ部1a及び挟持板1Bとで壁板Wを挟持させる。これにより、支持部材1を壁板Wに固定する。このとき、カバー3の固定板部3dが貫通孔Waを囲むように位置し、しかもフランジ部1aによって表面Wbに押圧接触させられる。したがって、室内Iと空間Sとの間がカバー3によって遮断される。しかも、第1挿通部3jの内周面とフレキシブルガス管Gの外周面との間が気密に封止されているので、室内Iと空間Sとがカバー3の内部を介して連通することもない。したがって、室内Iと空間Sとの間がカバー3によって気密に遮断される。よって、冬季に空間S内の冷気が室内Iに流入したり、夏季に空間S内の暖気が室内Iに流入したりすることを防止することができる。
【0026】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態に関しては、上記実施の形態と異なる構成についてのみ説明し、上記実施の形態と同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図9は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態の埋設型ガス栓Bは、厚さが薄い壁板Wに取り付けられるものであり、厚さが薄い壁板Wに対応して挿入部3cが折り畳まれ短縮させられている。なお、壁板Wの厚さが薄い分だけガス栓部2が壁板Wから離間している。これに対応するために、収容部3aの深さが上記実施の形態の収容部3aより深くなっているとともに、テーパ部3gの背面Wcと対向する部分の長さが長くなっている。
【0028】
図10は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Cにおいては、筒状部3eが基部3fにおいて切断されており、基部3fの内径が接続部2bの外径より僅かに小径になっている。そして、弾性的に拡径した基部3fに接続部2bが圧入されることにより、基部3fの内周面と接続部2bの外周面との間が気密に封止されている。勿論、基部3fの内径は、接続部2bの外径と同等かそれ以上にし、基部3fと接続部2bとの両者にわたって接着テープを巻回することにより、基部3fと接続部2bとの間を気密に封止してもよい。
【0029】
図11〜図13は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Dは、床板(仕切板)Fに取り付けられるものであり、貫通孔Faが床板Fを上下に貫通している。この埋設式ガス栓Dにおいては、フランジ部1aが環状に形成されておらず、対向する2辺にのみ設けられている。しかも、各フランジ部1aは、それを貫通する木ねじ8によって床板Fの室内Iに臨む表面Fbに押圧固定されている。また、化粧板6がフランジ部1aではなく、本体部1Aに着脱可能に取り付けられている。
【0030】
フランジ部1aが環状に形成されていないため、固定板部3dは、その一部だけがフランジ部1aによって表面Fbに押圧固定されている。固定板部3dの残りの部分は、化粧板6によって表面Fbに押圧固定されている。また、基部3eに接続部2が気密に挿通されている。なお、この実施の形態においては、挿入部3cが蛇腹状ではなく、ストレートに形成されているが、蛇腹状に形成してもよい。これは、次に述べる第5実施の形態においても同様である。
【0031】
図14は、この発明の第5実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Eは、図11〜図13に示す埋設式ガス栓Dを変形したものであり、第1挿通部3jにフレキシブルガス管Gが気密に挿通されている。
【0032】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、カバー3の固定板部3dをフランジ部1a又はフランジ部1a及び化粧板6によって仕切板W,Fの表面Wb,Fbに押圧固定しているが、表面Wb,Fbに接着固定してもよい。また、固定板部3dは、背面Wc,Fcに固定してもよく、貫通孔Wa,Faの内周面に固定してもよい。固定板部3dの固定方法は、上記実施の形態に限定されることなく、任意の固定方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の第1実施の形態を、化粧板を省略した状態で示す平面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1のY−Y線に沿う断面図である。
【図4】この発明の第1実施の形態において用いられているカバーを示す平面図である。
【図5】同カバーの側面図である。
【図6】図4のX−X線に沿う断面図である。
【図7】同カバーの底面図である。
【図8】図4のY−Y線に沿う断面図である。
【図9】この発明の第2実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【図10】この発明の第3実施の形態を示す図1と同様の平面図である。
【図11】この発明の第4実施の形態を示す図1と同様の平面図である。
【図12】図11のX−X線に沿う断面図である。
【図13】図12のX−X線に沿う断面図である。
【図14】この発明の第5実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
A 埋設式ガス栓
B 埋設式ガス栓
C 埋設式ガス栓
D 埋設式ガス栓
E 埋設式ガス栓
F 床板(仕切板)
Fa 貫通孔
Fb 表面
Fc 背面面G フレキシブルガス管
W 壁板(仕切板)
Wa 貫通孔
Wb 表面
Wc 背面
1 支持部材
1a フランジ部
2 ガス栓部
2b 接続部
3 カバー(埋設式ガス栓用カバー)
3a 収容部
3b 開口部
3c 挿入部
3d 固定板部(固定部)
3e 筒状部
3f 基部
3i ガス管挿通部
3j 第1挿通部
3k 第2挿通部
【技術分野】
【0001】
この発明は、埋設式ガス栓及びそれに用いられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、埋設式ガス栓は、支持部材とガス栓部とを有している。支持部材は、貫通孔を有する壁板に取り付けられている。ガス栓部は、支持部材に取り付けられている。ガス栓部には、接続部及びプラグ部が設けられている。接続部には、フレキシブルガス管が接続され、フレキシブルガス管からガス栓部にガスが供給される。プラグ部は、壁板の貫通孔内に配置されている。そして、プラグ部にソケットが接続されると、フレキシブルガス管からガス栓部に供給されたガスがソケット及びガス管を介してガス器具に供給される。
【0003】
従来の埋設式ガス栓は、壁板に形成される貫通孔を閉じるための構成を有していなかった。このため、壁板の背面側に形成される空間(以下、背面側空間という。)が貫通孔を介して室内に連通し、背面側空間内の空気が貫通孔を通って室内に流入するという問題があった。
【0004】
そこで、下記特許文献1に記載の埋設式ガス栓においては、ボックス及び閉塞板が用いられている。ボックスは、貫通孔と対向する一端が開口しており、その内部には支持部材及びガス栓が開口部から挿入されている。しかも、ボックスは、その開口部が貫通孔を囲むようにして支持部材に取り付けられている。この結果、貫通孔がボックスによって閉じられている。また、ボックスには、ガス栓の接続部又はフレキシブルガス管が挿通される挿通孔が形成されている。この挿通孔と接続部又はフレキシブルガス管との間の隙間が閉塞板によって閉じられている。このようにして、室内と背面側空間との間が遮断されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2006−189122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の埋設式ガス栓においては、ボックス及び閉塞板は、剛性を有する材料によって構成されているため、貫通孔と背面側空間との間を十分に高い気密性をもって遮断することが困難であるという問題があった。特に、挿通孔と接続部との間に形成される隙間は、遮断することが困難であった。このため、背面側空間内の空気が室内に流入することを十分には阻止することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、第1の発明は、貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓に用いられる埋設式ガス栓用カバーであって、全体が柔軟性を有する膜状体によって構成され、一端部に形成された開口部から上記支持部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されることを特徴としている。
この場合、上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることが望ましい。
上記筒状部が、上記接続部が挿入される基部と、この基部の先端部に設けられ、上記フレキシブルガス管が挿入されるガス管挿通部とを有していることが望ましい。
上記ガス管挿通部が、上記基部の先端部に設けられ、上記基部より小径の第1挿通部と、この第1挿通部の先端部に設けられ、上記第1挿通部より小径の第2挿通部とを有していることがさらに望ましい。
上記の問題を解決するために、第2の発明は、貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓において、柔軟性を有する膜状体からなるカバーをさらに備え、上記カバーが、一端部に形成された開口部から上記取付部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されていることを特徴としている。
この場合、上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることが望ましい。
上記支持部材には、上記貫通孔の周方向に延びるフランジ部が形成され、上記フランジ部と上記仕切板とによって上記固定部を挟持することにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることが望ましい。
上記フランジ部が上記貫通孔の周方向に沿って互いに離間して複数設けられ、各フランジ部が上記仕切板の表面の上記貫通孔に沿う複数個所にそれぞれ固定され、上記支持部材には、上記フランジ部及び上記貫通孔を遮蔽する化粧蓋が取り付けられ、上記固定部の一部が上記フランジ部と上記仕切板とによって挟持され、上記固定部の他の一部が上記化粧プレートと上記仕切板とによって挟持されることにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、カバーの固定部が開口部を囲むようにして仕切板に押圧固定されるとともに、筒状部に接続部又はフレキシブルガス管が気密に挿通される。したがって、カバーは、室内と背面側空間とを十分に高い気密性をもって遮断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図3は、この発明に係る埋設式ガス栓の第1実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Aは、壁埋設タイプのガス栓であり、埋設式ガス栓Aが取り付けられる壁板(仕切板)Wには、これを水平方向に貫通する貫通孔Waが形成されている。貫通孔Waは、四角形状に形成されているが、円形に形成してもよい。一方、埋設式ガス栓Aは、支持部材1、ガス栓部2及びカバー3を備えている。
【0010】
埋設式ガス栓Aの支持部材1は、本体部1Aと一対の挟持板1B,1Bとを有している。本体部1Aは、その一端部に環状に延びるフランジ部1aが形成されている。このフランジ部1aは、貫通孔Waと同様に四角形状をなしているが、外形は貫通孔Waより大きく形成されている。フランジ部1aは、次に述べる方法により、壁板Wの室内Iに面する表面Wbに貫通孔Waに沿って環状に押圧固定されている。
【0011】
すなわち、支持部材1には、4本のボルト4が設けられている。2本のボルト4,4は、一方の挟持板1Bに螺合されている。他の2本のボルト4,4は、他方の挟持板1Bに螺合されている。各挟持板1Bは、壁板の背面Wcと対向している。したがって、挟持板1Bが背面Wcに接近するようにボルト4を回転させると、フランジ部1aと一対の挟持板1B,1Bとが壁板Wを挟持する。その状態で各ボルト4をさらに締め付けることにより、フランジ部1aが壁板Wの表面Wbに押圧固定され、ひいては支持部材1が壁板Wに固定されている。支持部材1の壁板Wに対する固定法は、上記の固定法に限定されるものでなく、後述する方法、その他各種の公知の方法を採用することができる。
【0012】
ガス栓部2は、本体部2aを有している。本体部2aは、ボルト5によって支持部材1に固定されている。本体部2aには、接続部2b及びプラグ部2cが設けられている。接続部2bは、本体部2aの下側部から壁板Wの背面Wcに沿って下方に向かって突出しているが、左右の側部から壁板Wに沿って水平方向に突出させてもよく、あるいは本体部2aの背部から後方に向かって突出させてもよい。接続部2bには、一次側のフレキシブルガス管Gが接続されており、フレキシブルガス管Gからガス栓部2にガスが供給される。接続部2bは、ガス管Gを単に挿入するだけで接続することができるように構成されているが、その構造は周知のものであるので詳細な説明を省略する。プラグ部2cは、本体部2aの貫通孔Waと対向する前面に設けられている。プラグ部2cは、その長手方向を貫通孔Waの長手方向に向けた状態で貫通孔Waのほぼ中央部に配置されている。プラグ部2cには、室内Iから貫通孔Wa内に挿入されたソケット(図示せず)が着脱可能に接続される。すると、フレキシブルガス管Gからガス栓部2に供給されたガスがソケット及びガス管を介してガス器具(いずれも図示せず)に供給される。
【0013】
フランジ部1aには、化粧板6が着脱可能に取り付けられている。化粧板6は、フランジ部1aより大きい寸法を有しており、フランジ部1aが室内I側から目視されることがないよう、フランジ部1a全体を覆っている。したがって、貫通孔Waも化粧板6によって覆われている。化粧板6の中央部には、窓孔6aが形成されている。この窓孔6aには、蓋体6bが開位置と閉位置との間を回動可能に設けられている。蓋体6bを開位置に回動させると、窓孔6aから貫通孔Wa内にソケットが挿入可能になり、ソケットをプラグ部2cに接続することができる。ソケットのプラグ部2cへの接続後、蓋体6bを壁板W側へ押圧移動させると、ソケットのプラグ部2cへの接続が外れる。このような作用をなす構造は、周知のものであるのでその詳細な説明は省略する。
【0014】
カバー3は、室内Iと背面側空間Sとが貫通孔Waを介して連通することを阻止するためのものであり、厚さが0.5mm程度の柔軟性を有する膜状体によって構成されている。そのような膜状体は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂によって形成することがでる。そして、カバー3は、樹脂からなる膜状体を各種の成形法によって一体に成形することが可能である。
【0015】
図2〜図8に示すように、カバー3は、収容部3aを有している。収容部3aは、フランジ部1aを除く支持部材1及びガス栓部2を内部に収容することができるだけの大きさを有しており、収容部3aの壁板W側の一端部に開口部3bが形成されている。この開口部3bから収容部3a内に支持部材1及びガス栓部2が挿入可能になっている。収容部3aは、支持部材1及びガス栓部2を収容することができる範囲においてできる限り小さくすることが望ましい。
【0016】
収容部3aの開口部3bに隣接する部分には、挿入部3cが形成されている。挿入部3cは、貫通孔Waとほぼ相似な断面形状を有しており、貫通孔Waに挿入することができる範囲においてできる限り大きく形成することが望ましい。挿入部3cは、蛇腹状に形成されている。したがって、挿入部3cは、その長手方向へ伸縮可能であり、それによって厚さの異なる各種の壁板Wに対応することがきるようになっている。つまり、壁板Wの厚さが厚い場合には挿入部3cが伸張され、壁板Wの厚さが薄い場合には挿入部3cが短縮される。
【0017】
カバー3の開口部3b側の端部、つまり挿入部3cの開口部3b側の端部には、挿入部3cの径方向外側に向かって突出する固定板部(固定部)3dが環状に形成されている。固定板部3dの外形寸法は、貫通孔Waより大きいが、その一部(角部)を除いてフランジ部1aより小さくなっている。そして、固定板部3dは、壁板Wの表面Wbとフランジ部1aとによって挟持されている。つまり、フランジ部1aによって表面Wbに押圧固定されている。しかも、固定板部3dは、貫通孔Wa全体を囲っている。この結果、貫通孔Waがカバー3によって閉じられ、室内Iと背面側空間Sとの間がカバー3によって遮断されている。固定板部3dは、フランジ部1aより大きくしてもよい。ただし、室内Iから固定板部3dが目視されることを回避するために、化粧板6より小さくすることが望ましい。
【0018】
収容部3aの一側部、つまりガス栓部2の接続部2bが形成された下側部と対向する下側部には、筒状部3eが形成されている。この筒状部3eは、図4〜図6に示すように、挿入部3cとほぼ直交するようにして下方に延びており、収容部3aに連設された基部3fと、この基部3fの先端部にテーパ部3g及びストレート部3hを介して連設されたガス管挿通部3iとを有している。
【0019】
基部3fは、収容部3a側の基端部に接続部2bが挿入され、先端部にフレキシブルガス管Gが挿通されるような長さを有している。ただし、基部3fは、必ずしもそのような長さにする必要がなく、接続部2bを収容することができるだけの長さを有していればよい。その場合にも、接続部2bとほぼ同等の長さにしてもよく、接続部2bより僅かだけ長くしてもよい。基部3fの内径は、接続部2bを挿入することができるよう、接続部2bの外径より若干大径になっている。しかし、基部3fの外径は、基部3fを弾性的に拡径することによって接続部2bを基部3fに挿入することができる範囲であれば、接続部2bの外径より小径にしてもよい。
【0020】
ガス管挿通部3iは、基端側の第1挿通部3jとこの第1挿通部3jの先端部に連設された第2挿通部3kとを有している。第1挿通部3jの内径は、弾性的に拡径することによってフレキシブルガス管Gを挿通することができる範囲においてフレキシブルガス管Gの外径より小径になっている。したがって、第1挿通部3jの内周面がフレキシブルガス管Gの外周面に全周にわたって押圧接触しており、それによって第1挿通部3jの内周面とフレキシブルガス管Gの外周面との間が気密に封止されている。第1挿通部3jの内径は、フレキシブルガス管Gの外径と同一ないしは若干大径にしてもよい。その場合には、例えば第1挿通部3jの先端部とフレキシブルガス管Gとの両者にわたって接着テープ(図示せず)を巻回することにより、第1挿通部3jとフレキシブルガス管Gとの間を気密に封止することができる。
【0021】
第2挿通部3kは、フレキシブルガス管Gに代えてそれより小径の他のフレキシブルガス管が用いられる場合のためのものであり、第2挿通部3kの内径と当該他のフレキシブルガス管の外径との関係は、第1挿通部3jとフレキシブルガス管Gとの関係と同様である。したがって、当該他のフレキシブルガス管が用いられる場合には、第2挿通部3kに当該他のフレキシブルガス管が気密に挿通される。
【0022】
なお、この実施の形態では、フレキシブルガス管Gが用いられているため、ガス管挿通部3iが第1挿通部3jの先端部(図4において想像線で示す部分)において切断されている。したがって、第2挿通部3kは用いられていない。勿論、フレキシブルガス管Gに代えて他のフレキシブルガス管が用いられる場合には、ガス管挿通部3iが第2挿通部3kの先端部において切断される。また、第2挿通部3kの先端部が底部3lによって閉じられているが、底部3lは必ずしも形成する必要がなく、第2挿通部3kの先端部を開口させておいてもよい。
【0023】
上記構成の埋設式ガス栓Aは、例えば次のようにして壁板Wに取り付けることができる。ガス栓Aの壁板Wへの取り付けに際しては、壁板Wに貫通孔Waを予め形成しておく。まず、空間S内に配置されたフレキシブルガス管Gの先端部(下流側端部)を貫通孔Waから室内Iに引き出す。その後、フレキシブルガス管Gの先端部を第1挿通部3jにその外部から挿通し、収容部3aを通って開口部3bからカバー3の外部に引き出す。そして、フレキシブルガス管Gの先端部を接続部2bに挿入して接続する。
【0024】
その後、フレキシブルガス管Gを第1挿通部3jの先端側へ戻しつつ、支持部材1及びガス栓部2を開口部3bから収容部3a内に挿入する。そして、フランジ部1aを固定板部3dに押し付ける。次に、フレキシブルガス管G及び筒状部3eを貫通孔Waから空間S内に挿入し、続けて支持部材1及びガス栓部2を収容した収容部3aを貫通孔Waから背面側空間Sに挿入する。そして、固定板部3dが壁板Wの表面Waに突き当てる。このとき、挿入部3cが蛇腹状をなしているので、図2に示すように、挿入部3cが弛むことなく、筒状部3eの基部3fを壁板Wの背面Wcに接触させることができる。
【0025】
その後、ボルト4を締め付け、フランジ部1a及び挟持板1Bとで壁板Wを挟持させる。これにより、支持部材1を壁板Wに固定する。このとき、カバー3の固定板部3dが貫通孔Waを囲むように位置し、しかもフランジ部1aによって表面Wbに押圧接触させられる。したがって、室内Iと空間Sとの間がカバー3によって遮断される。しかも、第1挿通部3jの内周面とフレキシブルガス管Gの外周面との間が気密に封止されているので、室内Iと空間Sとがカバー3の内部を介して連通することもない。したがって、室内Iと空間Sとの間がカバー3によって気密に遮断される。よって、冬季に空間S内の冷気が室内Iに流入したり、夏季に空間S内の暖気が室内Iに流入したりすることを防止することができる。
【0026】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態に関しては、上記実施の形態と異なる構成についてのみ説明し、上記実施の形態と同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図9は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態の埋設型ガス栓Bは、厚さが薄い壁板Wに取り付けられるものであり、厚さが薄い壁板Wに対応して挿入部3cが折り畳まれ短縮させられている。なお、壁板Wの厚さが薄い分だけガス栓部2が壁板Wから離間している。これに対応するために、収容部3aの深さが上記実施の形態の収容部3aより深くなっているとともに、テーパ部3gの背面Wcと対向する部分の長さが長くなっている。
【0028】
図10は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Cにおいては、筒状部3eが基部3fにおいて切断されており、基部3fの内径が接続部2bの外径より僅かに小径になっている。そして、弾性的に拡径した基部3fに接続部2bが圧入されることにより、基部3fの内周面と接続部2bの外周面との間が気密に封止されている。勿論、基部3fの内径は、接続部2bの外径と同等かそれ以上にし、基部3fと接続部2bとの両者にわたって接着テープを巻回することにより、基部3fと接続部2bとの間を気密に封止してもよい。
【0029】
図11〜図13は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Dは、床板(仕切板)Fに取り付けられるものであり、貫通孔Faが床板Fを上下に貫通している。この埋設式ガス栓Dにおいては、フランジ部1aが環状に形成されておらず、対向する2辺にのみ設けられている。しかも、各フランジ部1aは、それを貫通する木ねじ8によって床板Fの室内Iに臨む表面Fbに押圧固定されている。また、化粧板6がフランジ部1aではなく、本体部1Aに着脱可能に取り付けられている。
【0030】
フランジ部1aが環状に形成されていないため、固定板部3dは、その一部だけがフランジ部1aによって表面Fbに押圧固定されている。固定板部3dの残りの部分は、化粧板6によって表面Fbに押圧固定されている。また、基部3eに接続部2が気密に挿通されている。なお、この実施の形態においては、挿入部3cが蛇腹状ではなく、ストレートに形成されているが、蛇腹状に形成してもよい。これは、次に述べる第5実施の形態においても同様である。
【0031】
図14は、この発明の第5実施の形態を示す。この実施の形態の埋設式ガス栓Eは、図11〜図13に示す埋設式ガス栓Dを変形したものであり、第1挿通部3jにフレキシブルガス管Gが気密に挿通されている。
【0032】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、カバー3の固定板部3dをフランジ部1a又はフランジ部1a及び化粧板6によって仕切板W,Fの表面Wb,Fbに押圧固定しているが、表面Wb,Fbに接着固定してもよい。また、固定板部3dは、背面Wc,Fcに固定してもよく、貫通孔Wa,Faの内周面に固定してもよい。固定板部3dの固定方法は、上記実施の形態に限定されることなく、任意の固定方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の第1実施の形態を、化粧板を省略した状態で示す平面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1のY−Y線に沿う断面図である。
【図4】この発明の第1実施の形態において用いられているカバーを示す平面図である。
【図5】同カバーの側面図である。
【図6】図4のX−X線に沿う断面図である。
【図7】同カバーの底面図である。
【図8】図4のY−Y線に沿う断面図である。
【図9】この発明の第2実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【図10】この発明の第3実施の形態を示す図1と同様の平面図である。
【図11】この発明の第4実施の形態を示す図1と同様の平面図である。
【図12】図11のX−X線に沿う断面図である。
【図13】図12のX−X線に沿う断面図である。
【図14】この発明の第5実施の形態を示す図2と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
A 埋設式ガス栓
B 埋設式ガス栓
C 埋設式ガス栓
D 埋設式ガス栓
E 埋設式ガス栓
F 床板(仕切板)
Fa 貫通孔
Fb 表面
Fc 背面面G フレキシブルガス管
W 壁板(仕切板)
Wa 貫通孔
Wb 表面
Wc 背面
1 支持部材
1a フランジ部
2 ガス栓部
2b 接続部
3 カバー(埋設式ガス栓用カバー)
3a 収容部
3b 開口部
3c 挿入部
3d 固定板部(固定部)
3e 筒状部
3f 基部
3i ガス管挿通部
3j 第1挿通部
3k 第2挿通部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓に用いられる埋設式ガス栓用カバーであって、
全体が柔軟性を有する膜状体によって構成され、
一端部に形成された開口部から上記支持部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されることを特徴とする埋設式ガス栓用カバー。
【請求項2】
上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項3】
上記筒状部が、上記接続部が挿入される基部と、この基部の先端部に設けられ、上記フレキシブルガス管が挿入されるガス管挿通部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項4】
上記ガス管挿通部が、上記基部の先端部に設けられ、上記基部より小径の第1挿通部と、この第1挿通部の先端部に設けられ、上記第1挿通部より小径の第2挿通部とを有していることを特徴とする請求項3に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項5】
貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓において、
柔軟性を有する膜状体からなるカバーをさらに備え、
上記カバーが、一端部に形成された開口部から上記取付部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されていることを特徴とする埋設式ガス栓。
【請求項6】
上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の埋設式ガス栓。
【請求項7】
上記支持部材には、上記貫通孔の周方向に延びるフランジ部が形成され、上記フランジ部と上記仕切板とによって上記固定部を挟持することにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の埋設式ガス栓。
【請求項8】
上記フランジ部が上記貫通孔の周方向に沿って互いに離間して複数設けられ、各フランジ部が上記仕切板の表面の上記貫通孔に沿う複数個所にそれぞれ固定され、上記支持部材には、上記フランジ部及び上記貫通孔を遮蔽する化粧蓋が取り付けられ、上記固定部の一部が上記フランジ部と上記仕切板とによって挟持され、上記固定部の他の一部が上記化粧プレートと上記仕切板とによって挟持されることにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることを特徴とする請求項7に記載の埋設式ガス栓。
【請求項1】
貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓に用いられる埋設式ガス栓用カバーであって、
全体が柔軟性を有する膜状体によって構成され、
一端部に形成された開口部から上記支持部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されることを特徴とする埋設式ガス栓用カバー。
【請求項2】
上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項3】
上記筒状部が、上記接続部が挿入される基部と、この基部の先端部に設けられ、上記フレキシブルガス管が挿入されるガス管挿通部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項4】
上記ガス管挿通部が、上記基部の先端部に設けられ、上記基部より小径の第1挿通部と、この第1挿通部の先端部に設けられ、上記第1挿通部より小径の第2挿通部とを有していることを特徴とする請求項3に記載の埋設式ガス栓用カバー。
【請求項5】
貫通孔を有する仕切板に取り付けられる支持部材と、ガス供給用のフレキシブルガス管が接続される接続部を有し、上記支持部材に取り付けられたガス栓部とを備えた埋設式ガス栓において、
柔軟性を有する膜状体からなるカバーをさらに備え、
上記カバーが、一端部に形成された開口部から上記取付部材及び上記ガス栓が挿入される収容部と、この収容部に上記開口部に沿って環状に設けられた固定部と、上記収容部から外部に延び出す筒状部とを有し、上記収容部が上記貫通孔を閉じるよう、上記固定部が上記仕切板に上記貫通孔に沿って環状に、かつ気密に固定され、上記筒状部に上記接続部又は上記フレキシブルガス管が気密に挿通されていることを特徴とする埋設式ガス栓。
【請求項6】
上記収容部の上記貫通孔に挿入される部分が筒状をなす挿入部とされ、この挿入部が、上記貫通孔の長手方向へ伸縮することができるように、蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の埋設式ガス栓。
【請求項7】
上記支持部材には、上記貫通孔の周方向に延びるフランジ部が形成され、上記フランジ部と上記仕切板とによって上記固定部を挟持することにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の埋設式ガス栓。
【請求項8】
上記フランジ部が上記貫通孔の周方向に沿って互いに離間して複数設けられ、各フランジ部が上記仕切板の表面の上記貫通孔に沿う複数個所にそれぞれ固定され、上記支持部材には、上記フランジ部及び上記貫通孔を遮蔽する化粧蓋が取り付けられ、上記固定部の一部が上記フランジ部と上記仕切板とによって挟持され、上記固定部の他の一部が上記化粧プレートと上記仕切板とによって挟持されることにより、上記固定部が上記仕切板に押圧固定されていることを特徴とする請求項7に記載の埋設式ガス栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−78071(P2010−78071A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247766(P2008−247766)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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