説明

埋込型照明器具

【課題】効率的に空間の気密性及び遮音性を確保することができる埋込型照明器具を提供する。
【解決手段】ソケットパッキン49には、ソケット43が挿入されるソケット挿入孔52と、取付ボルト58が挿通される取付孔53と、ソケット挿入孔52及び取付孔53を囲むようにして反射板32の外面と接触する接触片54・55とが形成されている。接触片54及び接触片55の先端は、反射板32の外面に押圧されて僅かに変形し、全周に渡って反射板32の外面と密着する。更に、ソケット挿入孔52は、ソケット43の円筒部45の外周面に接触するように設定され、取付孔53は取付ボルト58の軸部分の外周面に接触するように設定されている。したがって、1つの部品であるソケットパッキン49により、ソケット挿入孔52及び取付孔53を介しての空間側と器具本体21側との間の空気の流出入が遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は埋込型照明器具に関し、特に空間を照明する埋込型照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内等の空間の天井板に形成された埋込孔に埋設される埋込型照明器具がある。例えば、特許文献1に開示された埋込型照明器具は、器具本体と、下面に開口を有し器具本体に取り付けられる反射板と、反射板の内方に向かうように器具本体に取り付けられたソケットとを備えている。反射板にはソケットを挿通させるための第1孔と、反射板を器具本体に取り付けるための取付ボルトを挿通させるための第2孔が形成されている。ソケットは第1孔に挿通され、ソケットの反射板より外方部分には、その部分の周面を覆うようにソケットパッキンが取り付けられている。ソケットパッキンは、反射板側の肉厚である開口端が反射板の外面に密着し、反射板側の反対側に形成された円筒部がソケットの周面と密着している。このソケットパッキンにより、反射板に形成された上記第1孔とソケットとの隙間が塞がれ、第1孔を介しての空間側と天井裏との空気の流れが遮断される。このようにして空間の気密性が確保されている。
【0003】
例えば、特許文献2に開示された埋込型照明器具は、下面に第1開口を有する器具本体と、下面に第2開口を有し、第1開口から挿入されて取付ボルトにより器具本体に取り付けられる反射板とを備えている。器具本体には第1開口の周縁から水平に外方に延びるように鍔部が形成され、反射板には、第2開口の周縁から水平に外方に延びるように鍔部が形成されている。そして、天井板と器具本体の鍔部とが接触するように器具本体が天井板に取り付けられ、器具本体の第1開口周縁部分と反射板の鍔部が接触するように反射板が器具本体に取り付けられている。天井板と器具本体の鍔部との間には気密性を確保するためのパッキンが環状に取り付けられている。
【特許文献1】特開2005−285362号公報
【特許文献2】特許2934585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の埋込型照明器具では、例えば特許文献1に開示された埋込型照明器具の場合、反射板に形成された取付ボルトを挿通させるための第2孔と取付ボルトとの隙間が密閉されていない。そのため、その隙間を介して空間側と天井裏とを空気が流出入してしまい、空間の気密性及び遮音性が低下してしまう。ここで、ソケットパッキンと同様に別部品として取付ボルトにもパッキンを取り付けて気密性を確保することも考えられる。しかし、この場合は部品の種類が増え効率的ではなく、照明器具の施工性を低下させてしまうおそれもある。
【0005】
又、例えば特許文献2に開示された埋込型照明器具の場合、上記第1開口周縁において、器具本体と反射板との間にパッキンが取り付けられていない。そのため、部品の成形精度や施工精度等から器具本体と反射板との間に隙間が生じた場合は、器具本体と反射板との隙間から空気が流出入して、空間の気密性が低下してしまう。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、効率的に空間の気密性及び遮音性を確保することができる埋込型照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、空間を照明する埋込型照明器具であって、空間側に第1開口を有し、空間の仕上板に形成された埋込孔に埋設される器具本体と、空間側に第2開口を有し、第1開口から挿入されて固定具により器具本体に取り付けられた反射板と、反射板の内方に向かうように器具本体に取り付けられたソケットと、反射板の外面の一部を覆うように配置され、ソケットの外周面に接触するようにソケットが挿入されるソケット挿入孔と、固定具の外周面に接触するように固定具が挿通される取付孔と、ソケット挿入孔及び取付孔を囲むようにして反射板の外面と接触する接触片とを有するソケットパッキンとを備え、反射板には、ソケット又はソケットに挿着されるランプが挿通される孔と、固定具が挿通される孔とが形成されたものである。
【0008】
このように構成すると、1つのソケットパッキンにより、反射板に形成されたソケット又はランプが挿通される孔と固定具が挿通される孔とを介しての、空間側と器具本体側との間の空気の流出入が遮断される。
【0009】
請求項2記載の発明は、空間に設置される埋込型照明器具であって、空間側に第1開口を有し、空間の仕上板に形成された埋込孔に埋設される器具本体と、空間側に第2開口を有し、第1開口から挿入されて固定具により器具本体に取り付けられた反射板と、器具本体と反射板との隙間を塞ぐようにその隙間に前記第1開口に沿って環状に取り付けられた反射板パッキンとを備え、器具本体は、第1開口の周縁から器具本体が埋設される方向に立ち上がる第1周壁と、第1開口の周縁から第1開口を含む面に沿って外方に延びるように第1周壁に接続される第1鍔部とを含み、反射板は、第2開口の周縁から埋設される方向に立ち上がる第2周壁と、第2開口の周縁から第2開口を含む面に沿って外方に延びるように第2周壁に接続される第2鍔部とを含み、反射板パッキンの断面は、第2周壁の外周面に沿って立ち上がる傾斜部と、傾斜部の空間側の端部から第2鍔部に沿って延びるように接続され、第1周壁と第2鍔部との間に挟まれる脚部と、傾斜部の中間部分から外方に延びるように接続され、器具本体に反射板が取り付けられたときに屈曲する腕部とを含むものである。
【0010】
このように構成すると、反射板パッキンの腕部と脚部とにより器具本体と反射板とが2重に密着される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、器具本体と反射板との隙間を塞ぐようにその隙間に第1開口に沿って環状に取り付けられた反射板パッキンと、器具本体と仕上板との隙間を塞ぐようにその隙間に埋込孔に沿って環状に取り付けられた枠パッキンとを更に備えたものである。
【0012】
このように構成すると、埋込孔全体を介しての、空間側と器具本体外方側との空気の流出入が遮断される。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項3記載の発明の構成において、ソケットパッキンには、反射板に向かって突出した係止部が更に形成され、反射板には、係止部が挿通される係止孔が更に形成されたものである。
【0014】
このように構成すると、反射板の固定具が挿通される孔に固定具が挿通され、係止孔に係止部が挿通されると、固定具を中心とした反射板の回転が阻止される。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1又は請求項3記載の発明の構成において、器具本体には、反射板に向かって突出した係止部が更に設けられ、ソケットパッキンには、係止部が挿通される貫通孔が更に形成され、反射板には、係止部が挿通される係止孔が更に形成され、貫通孔は、係止部の外周面に接触するように設定されたものである。
【0016】
このように構成すると、ソケットパッキンの取付孔及び反射板の固定具が挿通される孔に固定具が挿通され、ソケットパッキンの貫通孔及び反射板の係止孔に係止部が挿通されると、固定具を中心としたソケットパッキン及び反射板の回転が阻止される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、1つのソケットパッキンにより、反射板に形成されたソケット又はランプが挿通される孔と固定具が挿通される孔とを介しての、空間側と器具本体側との間の空気の流出入が遮断される。そのため、上記2つの孔の隙間を1つの部品で同時に密閉することができ、効率的に空間の気密性及び遮音性を確保することができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、反射板パッキンの腕部と脚部とにより器具本体と反射板とが2重に密着されるため、第1開口の周縁において、器具本体と反射板との間を介しての、空間の気密性及び遮音性を確実に確保することができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、埋込孔全体を介しての、空間側と器具本体外方側との空気の流出入が遮断されるため、埋込孔全体を介しての、空間の気密性及び遮音性を向上させることができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項3の発明の効果に加えて、反射板の固定具が挿通される孔に固定具が挿通され、係止孔に係止部が挿通されると、固定具を中心とした反射板の回転が阻止されるため、反射板の器具本体への取付けが容易となる。
【0021】
請求項5記載の発明は、ソケットパッキンの取付孔及び反射板の固定具が挿通される孔に固定具が挿通され、ソケットパッキンの貫通孔及び反射板の係止孔に係止部が挿通されると、固定具を中心としたソケットパッキン及び反射板の回転が阻止される。そのため、請求項1又は請求項3の発明の効果に加えて、ソケットパッキン及び反射板の器具本体への取付けが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0023】
図1はこの発明の第1の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した平面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの端面図であり、図3は図1で示したIII−IIIラインの端面図である。図1については、天井板40の記載を省略している。
【0024】
図1、図2及び図3を参照して、埋込型照明器具20は、空間を照明するように、空間の仕上板である天井板40に設置されている。天井板40には平面視円形形状の埋込孔41が形成されている。埋込型照明器具20は、空間側である下面に第1開口22を有すると共に埋込孔41に埋設される器具本体21と、下面に第2開口33を有すると共に第1開口22から挿入されて、固定具である取付ボルト58に取付ナット59を螺合させることにより器具本体21に取り付けられる反射板32とを備えている。器具本体21には取付ネジ47を介してソケット43が取り付けられ、ソケット43にはランプ42の口金が挿着されている。第1開口22及び第2開口33は平面視円形形状に形成されている。空間とは、事務室、店舗の室内、居間、食事室、寝室、和室、玄関、廊下、階段室、洗面室、便所、気密性を確保したい室内等である。
【0025】
器具本体21は、第1開口22を開口とする椀形状に形成され、第1開口22の周縁から器具本体21が埋設される方向に立ち上がる第1周壁24と、第1開口22の周縁から第1開口22を含む面に沿って外方に延びるように第1周壁24に一体的に接続される平面視円環状の第1鍔部25と、第1周壁24の上端から一体的に接続される奥壁23とを備えている。第1周壁24には、ソケット43が挿通される孔26と本体取付金具61が突出される突出口29が形成され、奥壁23には取付ボルト58が挿通される孔27が形成されている。孔27の周縁には、内周面が取付ボルト58の回り止めの役割を果たす形状からなる筒状部28が上方に突出するように形成されている。
【0026】
本体取付金具61は、器具本体21を埋込孔41に埋設して天井板40に固定するための部品である。本体取付金具61は例えば可撓性のある帯状の金属板からなり、両端にバネキャップ62が取り付けられ、中央に取付ボルト58を挿通させるための孔64が形成されている。突出口29は、本体取付金具61より僅かに幅を大きくした上下方向に伸びる帯状に形成されている。バネキャップ62には、バネキャップ62が器具本体21の内方から外方に向かって外れてしまわないように本体取付金具61の幅方向に延びる鍔部63が形成されている。本体取付金具61は、器具本体21を天井板40に取り付けた状態では、図3で示したように、器具本体21の内面にバネキャップ62の鍔部63が当接させながら突出口29から突出し、天井板40の上面を押圧しながら天井板40の上面に沿って延びた後、上方に湾曲し、突出口29の上端を押圧しながら器具本体21の内方に戻ってくる形状となっている。そして、本体取付金具61は、中央の取付ボルト58の軸を基準とした左右対称の形状に構成されている。
【0027】
反射板32は、第2開口33を開口とする椀形状に形成され、第2開口33の周縁から器具本体21が埋設される方向に立ち上がる第2周壁35と、第2開口33の周縁から第2開口33を含む面に沿って外方に延びるように第2周壁35に一体的に接続される平面視円環状の第2鍔部36と、第2周壁35の上端から一体的に接続される奥壁34とを備えている。第2周壁35には、ソケット43が挿通される孔37が形成され、奥壁34には取付ボルト58が挿通される孔38が形成されている。又、反射板32の内周面には、ランプ42から発せられる光を反射して空間へ好適に導く反射面が形成されている。
【0028】
ソケット43は、器具本体21に取り付けられるベース部44と、ベース部44から器具本体21の内方に向かって突出するように接続された円筒形状の円筒部45とから構成されている。円筒部45は、円筒部45の軸方向が反射板32の内方に向かうように、即ちランプ42の挿着口が反射板32の内方に向かうように配置されている。ベース部44の外面には図示しない電気配線が接続される端子台46が取り付けられている。ソケット43と端子台46とは電気的に接続し、電気配線からの電流が端子台46及びソケットを介してランプ42に伝わり、ランプ42が点灯する。
【0029】
更に、埋込型照明器具20は、反射板32の外面の一部を覆うように配置されたソケットパッキン49と、器具本体21と反射板32との隙間を塞ぐようにその隙間に第1開口22に沿って環状に取り付けられた反射板パッキン65と、器具本体21と天井板40との隙間を塞ぐようにその隙間に埋込孔41に沿って環状に取り付けられた枠パッキン69とを備えている。
【0030】
次にソケットパッキン49、反射板パッキン65及び枠パッキン69について説明する。
【0031】
図4は図2及び図3で示したソケットパッキンの概略斜視図であり、図5は図2で示したA部分の拡大図である。
【0032】
図4を参照して、ソケットパッキン49は、例えばシリコンゴムからなり、中央部で折り曲げられた形状を有し、水平部50と、水平部50と一体的に接続される傾斜部51とを備えている。折り曲げられた部分にはソケット43が挿入されるソケット挿入孔52が形成され、水平部50の中央には取付ボルト58が挿通される取付孔53が形成され、ソケット挿入孔52及び取付孔53を囲むようにして反射板32の外面と接触する接触片54・55とが形成されている。接触片54と接触片55とはソケットパッキン49の反射板32側の面の周縁に、接触片54が外側、接触片55が内側となるように平行に環状に、反射板32の外面に向かって突出して形成されている。水平部50の上方には、本体取付金具61を挿通させるための切欠56が形成されている。
【0033】
ここで、図2に戻って、ソケットパッキン49は、ソケットパッキン49全体、ソケット挿入孔52及び取付孔53の周縁部分が、器具本体21側へ向かって一体的に立ち上がるように形成されている。反射板32が取付ボルト58により器具本体に取り付けられるときに、各々の上記立上り部分は、器具本体21の内面、ソケット43のベース部44、本体取付金具61に当接し、ソケットパッキン49は安定して配置される。又、接触片54及び接触片55の先端は、反射板32の外面に押圧されて僅かに変形し、全周に渡って反射板32の外面と密着する。更に、ソケット挿入孔52は、ソケット43の円筒部45の外周面に接触して密着するように設定され、取付孔53は取付ボルト58の軸部分の外周面に接触して密着するように設定されている。したがって、1つの部品であるソケットパッキン49により、ソケット挿入孔52及び取付孔53を介しての空間側と器具本体21側との間の空気の流出入が遮断される。
【0034】
図5を参照して、反射板パッキン65は、例えばシリコンゴムからなり、断面が、第2周壁35の外周面に沿って立ち上がる傾斜部66と、傾斜部66の空間側の端部から第2鍔部36に沿って延びるように接続された脚部67と、傾斜部66の中間部分から外方に延びるように接続された腕部68とから構成されている。脚部67は、換言すれば、傾斜部66の下方端部から水平に外方に延びるように接続され、腕部68は、換言すれば、傾斜部66の中間部分から水平よりやや下方に向かって外方に延びるように接続されている。傾斜部66は、第2周壁35の外周面の傾斜に合わせて傾斜し、その外周面と接触するように形成されている。ところで、器具本体21の第1周壁24と第1鍔部25との角部には、反射板32の第2鍔部が嵌合する嵌合部30が第1開口22に沿って形成されている。そして、器具本体21に反射板32を取り付けるときには、第2鍔部36が嵌合部30に嵌合することにより、器具本体21に対して反射板32が適切に位置決めされる。器具本体21に反射板32を取り付けたときに、脚部67は第1周壁24と第2鍔部36との間に挟まれ、腕部68は、第1周壁24の内面に押圧されながら下方に屈曲する。このようにして、器具本体21と反射板32との隙間が腕部68と脚部67とにより、第1開口22に沿って環状に2重に密着される。反射板パッキン65は、傾斜部66、腕部68及び脚部67が上記のように構成されているため、反射板パッキン65により、第1開口22周縁において、器具本体21と反射板32との隙間を介しての空気の流出入が確実に遮断される。
【0035】
枠パッキン69は、例えばシリコンゴムからなり、断面が、第1鍔部25の上面に沿って水平に延びるベース部70と、ベース部70の内周側端部から上方に立ち上がる傾斜部71と、ベース部70の外周側端部から上方に立ち上がる接触片73と、ベース部70の中間部分から上方に立ち上がる接触片72とから構成されている。傾斜部71は、第1周壁24の傾斜より第1周壁24の内方に向かうように僅かに大きく傾斜している。よって、枠パッキン69を器具本体21の図5に示した所定の位置に取り付けると、傾斜部71の上端が第1周壁24の外周面に接触する。又、接触片73は、接触片72と比較して高さが僅かに高くなるように設定されている。
【0036】
このように構成される枠パッキン69が取り付けられた器具本体21が天井板40の埋込孔41に取り付けられると、ベース部70は天井板40の下面と第1鍔部25との間に挟まれる。そして、接触片73と接触片72とが天井板の下面に押圧され僅かに圧縮するように変形する。外周側である接触片73が僅かに高く設定されているため、枠パッキン69の外周部分で確実に天井板40と接触するようになっている。更に、接触片73に続いて接触片72が押圧されることにより接触片72も天井板40と接触し、埋込孔41に沿って環状に2重に接触される。したがって、枠パッキン69により、埋込孔41の周縁において、器具本体21と天井板40との隙間を介しての空気の流出入が確実に遮断される。
【0037】
次に、埋込型照明器具20の取付方法について説明する。
【0038】
図3に戻って、先ず、器具本体21の孔27に上方から取付ボルト58を挿通させる。又、枠パッキン69及びソケット43を器具本体21の所定の位置に取り付ける。次に、天井板40の所定の大きさの平面視円形形状に開口された埋込孔41に、器具本体21を第1開口22が下向きになるようにして挿入する。次に、本体取付金具61を中央の孔64が取付ボルト58に向かうように、両端近傍が突出口29に向かうように第1開口22から撓ませながら押し上げる。次に、孔64に取付ボルト58を挿通させ、本体取付金具61の両端近傍を、バネキャップ62の鍔部63が器具本体21の内周面に当接するまで突出口29から突出させる。そして、取付ボルト58に中間ナット60を螺合させて本体取付金具61を固定する。天井板40が、本体取付金具61と枠パッキン69を介した第1鍔部25とに押圧されながら挟まれることにより、器具本体21は天井板40に固定される。
【0039】
次に、ソケットパッキン49のソケット挿入孔52にソケット43の円筒部45を挿通させ、ソケットパッキン49の取付孔53に取付ボルト58を挿通させ、ソケットパッキン49を所定の位置に配置する。次に、反射板32の孔37にソケット43の円筒部45を挿通させ、反射板32の孔38に取付ボルト58を挿通させる。次に、取付ナット59を取付ボルト58に螺合させて、反射板パッキン65が取り付けられた反射板32を固定する。取付ナット59を所定の位置まで締め付けると、ソケットパッキン49の接触片54・55は反射板32の外周面に押し付けられて密着する。又、反射板パッキン65は、器具本体21の第1周壁24と反射板32の第2鍔部36とに押圧されながら挟まれた状態となる。このようにして、埋込型照明器具20は天井板40に埋設して取り付けられる。
【0040】
以上から上記のように構成される埋込型照明器具20では、1つのソケットパッキン49により、反射板32に形成されたソケット挿入孔52と取付孔53とを介しての、空間側と器具本体21側との間の空気の流出入が遮断される。ソケット挿入孔52と取付孔53に別々にパッキンを設けず、上記2つの孔の隙間を1つの部品で同時に密閉することができるため、効率的に空間の気密性及び遮音性を確保することができる。
【0041】
又、反射板パッキン65により、第1開口22周縁において、器具本体21と反射板32との隙間を介しての空気の流出入が確実に遮断される。そのため、第1開口22の周縁において、器具本体21と反射板32との間を介しての、空間の気密性及び遮音性を確実に確保することができる。
【0042】
又、枠パッキン69により、埋込孔41の周縁において、器具本体21と天井板40との隙間を介しての空気の流出入が確実に遮断される。そのため、器具本体21と天井板40との間を介しての、空間の気密性及び遮音性を確実に確保することができる。
【0043】
又、ソケットパッキン49、反射板パッキン65及び枠パッキン69により、埋込孔41全体を介しての、空間側と器具本体21外方側との空気の流出入が遮断される。そのため、埋込孔41全体を介しての、空間の気密性及び遮音性を向上させることができる。
【0044】
又、ソケット43の円筒部45が反射板32の孔37を挿通して反射板32の内方に突出しているため、反射板32を器具本体21に取り付けるときに、取付ボルト58の軸を中心とした反射板32の回転が阻止される。よって、反射板32を容易に取り付けることができる。
【0045】
図6は、この発明の第2の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した端面図であり、先の第1の実施の形態の図2に対応した図である。図7は図6で示したソケットパッキンの概略斜視図であり、先の第1の実施の形態の図4に対応した図である。第2の実施の形態は、基本的な構成は先の第1の実施の形態による埋込型照明器具20と共通するので異なる点を中心に説明する。
【0046】
図6を参照して、第2の実施の形態による埋込型照明器具80では、ランプ42、ソケット43及びソケットパッキン84の形状が異なる。特に、ソケットパッキン84には下方に柱状に突出した係止部86が形成されている。そして、反射板32にはその係止部86が挿通される係止孔83が更に形成されている。又、埋込型照明器具80では、反射板32及びソケット43が、天板81を介して器具本体21に取り付けられ、ソケット43は反射板32より外方に位置し、孔37を挿通して反射板32の内方に突出していない。
【0047】
天板81は、側面視L字状を有し、短辺側にソケット43が取り付けられ、長辺側の先端及びそれより所定の距離だけ後退した位置に折曲げ加工等による爪が形成されている。これらの爪が奥壁23に嵌合しながら器具本体21に取り付けられている。天板81には、反射板32を取り付けるための固定具である取付ネジ82を挿通させるための孔87が形成されている。
【0048】
ソケット43は、ランプ42の挿着孔が反射板32の内方に向かうように取り付けられ、反射板32側が円筒状に形成され、その先端部分はそれより大径とした円筒部88が構成されている。又、器具本体21と反射板32との間には、反射板32の外面を覆うようにソケットパッキン84が配置されている。
【0049】
図7を参照して、ソケットパッキン84は、例えばシリコンゴムからなり、一部が矩形形状に突出した矩形部分85を有する水平部50と、水平部50と一体的に接続される傾斜部51とを備えている。傾斜部51から水平部50に至る部分にはソケット43が挿入されるソケット挿入孔52が形成され、水平部50の矩形部分85には取付ネジ82が挿通される取付孔53と、下方に即ち反射板32に向かって柱状に突出した係止部86とが形成され、ソケット挿入孔52及び取付孔53を囲むようにして反射板32の外面と接触する接触片54・55とが形成されている。接触片54と接触片55とはソケットパッキン49の反射板32側の面の周縁に、接触片54が外側、接触片55が内側となるように環状に形成されている。反射板32の係止孔83の大きさは、上記係止部86を挿通することができるように、係止部86の軸に直交する断面における係止部86の外形より若干大きくなるように設定されている。
【0050】
ここで、図6に戻って、ソケットパッキン84は、ソケットパッキン49全体、矩形部分85の周縁部分が、器具本体21側へ向かって一体的に立ち上がるように形成されている。反射板32が取付ネジ82により器具本体21に取り付けられるときに、各々の上記立上り部分は、器具本体21の内面及び天板81の内面に当接し、ソケットパッキン49は安定して配置される。又、接触片54及び接触片55の先端は、反射板32の外面に押圧されて僅かに変形し、全周に渡って反射板32の外面と密着する。更に、ソケット挿入孔52は、ソケット43の円筒部88の外周面に接触するように設定され、ソケット挿入孔52の両開口端には、円筒部88が接触して所定の位置に嵌め合わされるように立上り部分89が環状に形成されている。ソケット挿入孔52がソケット43に対してこのように形成されているため、ソケットパッキン84は安定して配置される。又、取付孔53は取付ネジ82の軸部分の外周面に接触するように設定されている。したがって、ソケットパッキン49により、ソケット挿入孔52及び取付孔53を介しての空間側と器具本体21側との間の空気の流出入が遮断される。
【0051】
次に、埋込型照明器具80の取付方法について説明する。
【0052】
図6を参照して、孔87に取付ネジ82を挿通し、天板81を器具本体21に取り付けた状態で埋込型照明器具20と同様に、器具本体21を固定する。次に、ソケットパッキン84のソケット挿入孔52にソケット43の円筒部88を嵌め合わせ、ソケットパッキン49の取付孔53に取付ネジ82を挿通させ、ソケットパッキン84を所定の位置に配置する。次に、反射板32の孔38に取付ネジ82を挿通させ、反射板32の係止孔83にソケットパッキン84の係止部86を挿通させる。次に、取付ナット59を取付ネジ82に螺合させることにより、反射板パッキン65が取り付けられた反射板32を固定する。このとき、係止部86が係止孔83に挿通されているため、取付ネジ82の軸を中心とした反射板32の回転が阻止される。そして、取付ナット59を所定の位置まで締め付けると、ソケットパッキン84の接触片54・55は反射板32の外周面に押し付けられて密着する。このようにして、埋込型照明器具80は天井板40に埋設して取り付けられる。尚、反射板パッキン65及び枠パッキン69の取付状態は、埋込型照明器具20と同様である。
【0053】
以上から上記のように構成される埋込型照明器具80では、埋込型照明器具20と同様にソケットパッキン84、反射板パッキン65及び枠パッキン69により空間の気密性及び遮音性を確保することができることに加えて、取付ネジ82の軸を中心とした反射板32の回転が阻止されるため、反射板32の器具本体21への取付けが容易となる。
【0054】
図8は、この発明の第3の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した端面図であり、先の第2の実施の形態の図6に対応した図である。図9は図8で示したソケットパッキンの概略斜視図であり、先の第2の実施の形態の図7に対応した図である。第3の実施の形態は、基本的な構成は先の第2の実施の形態による埋込型照明器具80と共通するので異なる点を中心に説明する。
【0055】
図8及び図9を参照して、第2の実施の形態による埋込型照明器具80では、係止部86がソケットパッキン84に形成されていたが、第3の実施の形態による埋込型照明器具90では、係止部91が器具本体21に設けられている。それに伴い、ソケットパッキン94には、係止部86に代えて係止部91が挿通される貫通孔93が形成されている。尚、係止部91は、器具本体21と一体的に成形されても、別部材として器具本体21に取り付けられても、いずれの構成であってもよい。
【0056】
反射板32には、係止部91が挿通される係止孔83が形成されている。係止部91は、下方に即ち反射板32に向かって柱状に突出して形成され、ソケットパッキン94の貫通孔93は、係止部91に接触するように設定されている。そのため、ソケットパッキン94により、貫通孔93を加えて、ソケット挿入孔52及び取付孔53を介しての空間側と器具本体21側との間の空気の流出入が遮断される。又、反射板32の係止孔83の大きさは、上記係止部91を挿通することができるように、係止部91の軸に直交する断面における係止部91の外形より若干大きくなるように設定されている。そして、係止部91が係止孔83に挿通されているため、取付ネジ82の軸を中心とした反射板32の回転が阻止される。
【0057】
以上から上記のように構成される埋込型照明器具90では、埋込型照明器具20と同様にソケットパッキン94、反射板パッキン65及び枠パッキン69により空間の気密性及び遮音性を確保することができることに加えて、取付ネジ82の軸を中心とした反射板32の回転が阻止されるため、反射板32の器具本体21への取付けが容易となる。
【0058】
尚、上記の各実施の形態では、ソケットパッキン、反射板パッキン及び枠パッキンの3つのパッキンが取り付けられている構成となっているが、ソケットパッキンのみ、反射板パッキンのみの構成であってもよい。
【0059】
又、上記の各実施の形態では、第1開口及び第2開口が平面視円形形状に形成されているが、反射板パッキン及び枠パッキンを環状に配置することができれば、他の形状に形成されてもよい。
【0060】
更に、上記の各実施の形態では、器具本体が本体取付金具により天井に固定されているが、枠パッキンが天井板と第1鍔部との間に押圧されながら挟まれれば、他の取付方法により固定されてもよい。
【0061】
更に、上記の各実施の形態では、ソケットパッキンに接触片が環状に2つ形成されているが、ソケット挿入孔及び取付孔を囲んで反射板の外面と接触していれば、1つでもよい。
【0062】
更に、上記の各実施の形態では、埋込型照明器具が天井板に埋設されているが、空間の仕上板に埋設されれば、壁板や床板に埋設されてもよい。
【0063】
更に、上記の第2及び第3の実施の形態では、係止部とそれに伴う係止孔、貫通孔が形成されているが、それらはなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の第1の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した平面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの端面図である。
【図3】図1で示したIII−IIIラインの端面図である。
【図4】図2及び図3で示したソケットパッキンの概略斜視図である。
【図5】図2で示したA部分の拡大図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した端面図である。
【図7】図6で示したソケットパッキンの概略斜視図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態による埋込型照明器具の概略構成を示した端面図である。
【図9】図8で示したソケットパッキンの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
20,80,90 埋込型照明器具
21 器具本体
22 第1開口
24 第1周壁
25 第1鍔部
32 反射板
33 第2開口
35 第2周壁
36 第2鍔部
37,38,64 孔
40 天井板
41 埋込孔
42 ランプ
43 ソケット
49,84,94 ソケットパッキン
52 ソケット挿入孔
53 取付孔
54,55 接触片
58 取付ボルト
65 反射板パッキン
66 傾斜部
67 脚部
68 腕部
69 枠パッキン
82 取付ネジ
83 係止孔
86,91 係止部
93 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を照明する埋込型照明器具であって、
前記空間の側に第1開口を有し、前記空間の仕上板に形成された埋込孔に埋設される器具本体と、
前記空間の側に第2開口を有し、前記第1開口から挿入されて固定具により前記器具本体に取り付けられた反射板と、
前記反射板の内方に向かうように前記器具本体に取り付けられたソケットと、
前記反射板の外面の一部を覆うように配置され、前記ソケットの外周面に接触するように前記ソケットが挿入されるソケット挿入孔と、前記固定具の外周面に接触するように前記固定具が挿通される取付孔と、前記ソケット挿入孔及び前記取付孔を囲むようにして前記反射板の外面と接触する接触片とを有するソケットパッキンとを備え、
前記反射板には、前記ソケット又は前記ソケットに挿着されるランプが挿通される孔と、前記固定具が挿通される孔とが形成された、埋込型照明器具。
【請求項2】
空間を照明する埋込型照明器具であって、
前記空間の側に第1開口を有し、前記空間の仕上板に形成された埋込孔に埋設される器具本体と、
前記空間の側に第2開口を有し、前記第1開口から挿入されて固定具により前記器具本体に取り付けられた反射板と、
前記器具本体と前記反射板との隙間を塞ぐようにその隙間に前記第1開口に沿って環状に取り付けられた反射板パッキンとを備え、
前記器具本体は、前記第1開口の周縁から前記器具本体が埋設される方向に立ち上がる第1周壁と、第1開口の周縁から前記第1開口を含む面に沿って外方に延びるように前記第1周壁に接続される第1鍔部とを含み、
前記反射板は、前記第2開口の周縁から前記埋設される方向に立ち上がる第2周壁と、前記第2開口の周縁から第2開口を含む面に沿って外方に延びるように前記第2周壁に接続される第2鍔部とを含み、
前記反射板パッキンの断面は、前記第2周壁の外周面に沿って立ち上がる傾斜部と、前記傾斜部の前記空間側の端部から第2鍔部に沿って延びるように接続され、前記第1周壁と前記第2鍔部との間に挟まれる脚部と、前記傾斜部の中間部分から外方に延びるように接続され、前記器具本体に前記反射板が取り付けられたときに屈曲する腕部とを含む、埋込型照明器具。
【請求項3】
前記器具本体と前記反射板との隙間を塞ぐようにその隙間に前記第1開口に沿って環状に取り付けられた反射板パッキンと、
前記器具本体と前記仕上板との隙間を塞ぐようにその隙間に前記埋込孔に沿って環状に取り付けられた枠パッキンとを更に備えた、請求項1記載の埋込型照明器具。
【請求項4】
前記ソケットパッキンには、前記反射板に向かって突出した係止部が更に形成され、
前記反射板には、前記係止部が挿通される係止孔が更に形成された、請求項1又は請求項3記載の埋込型照明器具。
【請求項5】
前記器具本体には、前記反射板に向かって突出した係止部が更に設けられ、
前記ソケットパッキンには、前記係止部が挿通される貫通孔が更に形成され、
前記反射板には、前記係止部が挿通される係止孔が更に形成され、
前記貫通孔は、前記係止部の外周面に接触するように設定された、請求項1又は請求項3記載の埋込型照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−176627(P2009−176627A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15514(P2008−15514)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(592126016)株式会社光電器製作所 (8)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【Fターム(参考)】