基材のパターニング方法
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、およびイオン化可能置換基とイオン性種との間のイオン交換を行う工程を含む基材のパターニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年7月2日に出願された米国仮特許出願番号第60/947、527号明細書の利益を主張し、その内容を全て本明細書中に取り込む。
【0002】
本開示は、基材上へのパターン、さらに特に、金属化パターンの調製に間する。
【背景技術】
【0003】
マイクロスケール形状の形成は、これまで、製造プロセスの進歩のために変わってきた目標である。物品の導電特性は全く異なっておらず、そしてまた、導電性トレースを提供する小スケールのパターニングを必要とすることができる。無電解析出法は、マイクロスケール形状の製造に使用されるめっき法である。無電解析出法の薬品および加工は、かなり長い間確立されており、そして一般的に市販されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、およびイオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程を含む、基材のパターニング方法が開示される。
【0005】
ジアクリル酸亜鉛を含む有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、UV放射を用いて有機組成物を重合させる工程、少なくとも55℃の脱イオン水を用いて重合した有機組成物をすすぐ工程、重合した有機組成物と、銀塩を含む浴との間でイオン交換を行う工程、イオン交換された重合した有機組成物を脱イオン水中ですすぐ工程、およびイオン交換された重合した有機組成物に無電解銅メッキを行う工程を含む、基材上への金属パターンの形成方法が開示される。
【0006】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、パターン化された基材をすすぐ工程;イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程;イオン交換された基材をすすぐ工程;イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程;および基材をすすぐ工程を含む、基材をパターニングする方法が開示される。
【0007】
基材に放射線硬化性組成物を適用する工程;有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程;硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程、およびイオン交換を行って、イオン化可能置換基をイオン性種で置換させる工程を含む、基材をパターニングする方法が開示される。
【0008】
基材、パターン化された有機組成物、およびパターン化された金属性被膜を含む、物品であって、このパターン化された有機組成物が全体形状を形成するパターン化された金属性被膜を用いて覆われ、そしてこの全体形状は、幅で少なくとも約1μmおよび高さで少なくとも20nmである幅を有する。この金属性被膜が、少なくとも約1Åの厚さを有する、物品が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図2】図2は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図3】図3は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図4】図4は、本明細書中に開示された方法が基材の上で行われた後の基材を具体的に示す。
【図5】図5は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図6a】図6aは、例1に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図6b】図6bは、例1に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図7a】図7aは、例2に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図7b】図7bは、例2に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図8】図8は、例3に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9a】図9aは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9b】図9bは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9c】図9cは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9d】図9dは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図10a】図10aは、例5に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図10b】図10bは、例5に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当然のことながら、本明細書中で挙げたものを超えた態様が、本開示の範囲または精神を離れることなく考えられ、そして行うことができる。したがって、以下の詳細な記載は、限定的な意味で取られない。
【0011】
本明細書中で使用されるすべての科学的および技術的用語は、ほかに特定しない限り、一般的に業界で使用される意味を有する。本明細書中で与えられる定義は、本明細書中でしばしば使用される、ある用語の理解を促進するために提供され、そして本開示の範囲を制限することを意図しない。
【0012】
特に断らなければ、本明細書および請求項で使用される、形状のサイズ、量、および物理的特性を表わす全ての数は、すべての場合で「約」によって修飾されていると解される。従って、そうでないと示さない限り、先の明細書および付属の請求項に記述されている数値パラメーターは、本明細書中に開示された教示を利用することによって、当業者によって得ようとされる所望の特性によって変化できる近似である。
【0013】
終点による数値範囲の詳述は、範囲(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む。)内に含まれる全ての数およびその範囲内の任意の範囲を含む。
【0014】
本明細書および付属の請求項において使用されるように、単数形「一つ」、「一つの」、および「この」、「それ」、「前記」は、そうでないと明らかに内容を示さない限り、複数の指示物を含む態様を包含する。本明細書および付属の請求項において使用されるように、「または」用語は、その内容がそうでないと明らかに示さない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に用いられる。
【0015】
本明細書中に開示されているのは、基材のパターニング方法である。基材のパターニングは、一般的に、表面上の一定の厚さを有さない被覆をいう。一態様では、基材のパターニングは、一般的に、より薄い領域とより厚い領域のパターンということができる。一態様では、基材のパターニングは、一般的に、材料を用いた、基材の選択された領域のみの被覆をいう。この選択された領域は、基材上での規則正しいもしくは繰り返しの幾何学的配置、基材上でのランダムな配置、またはランダムでも繰り返しでもないが対称の形もしくは繰り返す形を含むか、またはこれらがない特定のデザインのいずれかである配置を示すことができる。パターン化された基材は、基材表面のある領域上のみに材料を有することができ、またはパターン化された基材は、基材の両面の1つ以上の領域に存在できるが、パターン化された基材は、基材表面の全ての領域上に材料を有さない。
【0016】
本明細書中に開示された方法で使用される基材または本明細書中に開示された物品の一部は、任意の好適な材料から調製されていることができる。本明細書中に開示された方法において使用される基材は、柔軟であるか、または剛体であることができる。いくつかの態様において、基材は、金属でできていることができる。基材中に含まれることのできる金属材料の例は、インジウム、および鉛を含むがこれらに限られない。
【0017】
基材はまた、1種のポリマー材料または1種より多いのポリマー材料から調製できる。基材中に含まれることのできるポリマー材料の例は、熱可塑性ポリマーを含むがこれらに限られない。熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエステルを含むがこれらに限られない。熱可塑性ポリマーのさらなる例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ビスフェノール Aのポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびポリビニリデンフルオライドを含む。
【0018】
基材はまた、ガラス材料、ガラスセラミック、セラミック、半導体、またはそれらの組み合わせから調製できる。有用なガラスの例は、シリケート、ゲルマネート(germanates)、ホスフェート、およびカルコゲニドを含むがこれらに限られない。結晶化微細構造を含むガラスセラミックはまた、基材材料として有用であることができる。ガラスセラミックは、高い強度および強靱性と共に、ガラス形成能の容易さを提供する。基材はまた、セラミックを含むことができる。有用なセラミックの例は、酸化物、窒化物、ホウ化物、および炭化物を含む。基材はまた、半導体を含むことができる。有用な半導体の例は、第IV族元素、第II属元素と第VI属元素の二成分化合物、第III属元素と第V属元素の二成分化合物、およびそれらの種々の合金を含むがこれらに限られない。基材はまた上記のものを含むがこれらに限られない1超のクラスの材料から調製できる。例えば、基材は、ガラスまたはセラミック材料の被膜を有する半導体結晶を含むことができる。
【0019】
利用される特別なタイプの基材は、利用されるであろうパターニング方法、製造される物品の最終用途、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない少なくとも部分的に多くの因子に基づいて選択できる。
【0020】
図1は、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程100、およびイオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う次の工程105を含む基材のパターニングの例示的な方法を具体的に示す。
【0021】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程100は、所定のパターンで基材上に組成物を適用する当業者に公知の任意の技術の使用を伴うことができる。本明細書中において、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程はまた、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程をいう。本明細書を読んだ当業者は、この工程で利用できる種々の技術を知っているであろう。
【0022】
基材上にパターンを作る例示的な技術は、ダイコーティング、スタンピング、マイクロ複製、(インクジェット印刷等の)ジェット印刷、スクライビング、スクリーン印刷、接着、フレキソ印刷、エンボス加工、熱転写、レーザー誘起サーマルイメージング(LITI)、フォトリソグラフィー、フォトパターニング、および成形を含むがこれらに限られない。ある態様では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、スタンピング、インクジェット印刷、マイクロフレキソ印刷、マイクロ複製、レーザー誘起サーマルイメージング、および成形を含む。
【0023】
1つの例では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、基材上で行われるあらゆる差し引き工程を含まない。例えば、例示的な態様では、所定のパターンで組成物を適用する工程は、層の一部を除去するために、エッチング、または全層の適用の次に、全層のパターニングを含まない。
【0024】
ある例では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程100は、1より多い工程を含む。基材上に組成物のパターンを作るための多段階工程の例が、図2に具体的に説明されている。この例示的な多段階工程における第一工程は、パターンのない基材に放射線硬化性組成物を適用する工程101、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程102、そして次に硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程103を含む。所定のパターンで組成物を適用する工程のそうした方法は、紫外(UV)放射の適用により硬化する有機組成物を用いて、有利に利用できる。
【0025】
そうした態様では、放射線硬化性有機組成物を適用する工程101は、スピンコーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングまたはダイコーティング等のコーティング方法を含むがこれらに限られない当業者に公知の任意の方法によって達成できる。有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程102は、一部の有機組成物のみが硬化できるであろう放射線遮断材料を使用して達成できる。これらの範囲から放射線遮断材料を除くか、または有機組成物を硬化できるように放射線遮断材料に影響を与えることによってこの部分のみを硬化させることができる。一態様では、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程は、パターンが最終的に存在するであろう範囲にない放射線遮断材料を利用することによって達成できる。硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程103は、適当な溶媒中で基材をすすぐ工程によって達成できる。硬化される有機組成物の一部は、架橋され、そしてそれによって溶媒に不溶性になるであろうが、一方、硬化されない有機組成物の一部は、架橋されず、したがって溶媒に可溶性であろう。
【0026】
上記に記載したもの等の技術を使用して所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、本明細書を読んだ当業者に公知であるので、達成できるであろう。
【0027】
上に記載したように、本明細書中に開示された方法中の第一工程は、有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程を含む。一態様では、本明細書中において利用される有機組成物は、放射線硬化性有機組成物である。放射線硬化性有機組成物は、熱放射、UV放射、および電子ビーム(e−beam)放射を含む任意の種類の放射線により硬化または架橋するものを含む。例示的な放射線硬化性有機組成物は、UV放射で硬化する有機組成物を含むことができる。ある例では、本明細書中において利用できる有機組成物は、放射線硬化性である必要はない。
【0028】
本明細書中において一般的に利用できる有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体を含む。有機組成物が放射線硬化性有機組成物である場合、この組成物は、一般的にイオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体および少なくとも1種の光開始剤を含む。本明細書中で利用できる組成物はまた、イオン化可能置換基を含まない1種または2種以上のポリマー前駆体を含むことができる。本明細書中において利用されるいくつかの有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体、およびイオン化可能置換基を含まない少なくとも1種のポリマー前駆体を一般的に含む。本明細書中において一般的に利用されるいくつかの放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体、イオン化可能置換基を含まない少なくとも1種のポリマー前駆体、および少なくとも1種の光開始剤を含む。
【0029】
本明細書中で利用できる有機組成物はまた、イオン化可能置換基を含む1種より多くのポリマー前駆体を含むことができる。イオン化可能置換基を含む1種より多いポリマー前駆体を有する組成物では、少なくとも2種のポリマー前駆体は、異なるポリマー前駆体部分、異なるイオン化可能置換基、または異なるポリマー前駆体部分および異なるイオン化可能置換基を含むことができる。有機組成物が放射線硬化性有機組成物である態様では、ポリマー前駆体は、放射線硬化性有機組成物中に含まれた場合に放射線の適用によって硬化できる任意の種類のポリマー前駆体を含むことができる。放射線の適用によって硬化できるポリマー前駆体は、放射線の適用によって部分的に硬化できるものを含む。放射線硬化性であることが必要ない有機組成物は、基材およびパターン化された有機組成物が曝される次の処理工程において、分解されないポリマー前駆体を含むことができる。
【0030】
放射線硬化性有機組成物において使用可能である例示的なポリマー前駆体(イオン化可能置換基を含むことができるもの、およびイオン化可能置換基を含まないもの)は、UV硬化性組成物を含むがこれに限られない。ある態様では、放射線硬化性有機組成物は、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、オレフィンおよびそれらの組み合わせ等の材料を含むことができる。一態様では、アクリレートポリマー前駆体は、放射線硬化性有機組成物中で利用される。
【0031】
必ずしも放射線硬化性でない有機組成物において使用可能である例示的なポリマー前駆体(イオン化可能置換基を含むことができるもの、およびイオン化可能置換基を含まないもの)は、UV硬化性組成物を含むがこれに限られない。ある態様では、放射線硬化性有機組成物は、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、オレフィンおよびそれらの組み合わせ等の材料を含むことができる。
【0032】
ポリマー前駆体は、モノマー、オリゴマー、またはモノマーとオリゴマーとの両方の組み合わせを含むことができる。少なくとも1種のモノマーおよび少なくとも1種のオリゴマーは、本明細書中で利用できる有機組成物中で利用できる。1つの例では、オリゴマーが有機組成物中に含まれる場合、モノマーは、オリゴマーの溶解度を高めるために利用できる。少なくとも1種のモノマーおよび少なくとも1種のオリゴマーを含む組成物において、この組成物は、組成物の重合を開始させるために固化できる。
【0033】
本明細書中において利用される有機組成物中の少なくとも1種のポリマー前駆体は、少なくとも1種のイオン化可能置換基を含む。イオン化可能置換基は、イオン交換工程に参加できる化合物の一部分である。イオン交換工程に酸化できる化合物の一部分は、一般的にカチオンまたはアニオン、またはカチオン性またはアニオン性となることができる部分を含む。カチオンの例は、H+、Zn+2を含むがこれらに限られない。イオン化可能置換基の例は、カルボン酸、ホスホン酸、およびアクリル酸を含むがこれらに限られない。本明細書中において利用されるように、カルボン酸のイオン化可能置換基は、−COOH基、−COOZnOOC−基、−COOMOOC−基(式中、Mは、正の2電荷を有する金属イオンをいう。)を含む。−COOZnOOC−基を含むポリマー前駆体において、このZnは、+2の電荷を有し、そしてイオン交換工程に参加できる。
【0034】
一般的に、イオン化可能置換基は、無電解析出法用触媒として機能できない材料を含まないか、または無電解析出法用触媒として機能できない材料でない。無電解析出法用の触媒として機能できる多くの材料は、比較的高価である。本明細書中に開示された方法は、最終の材料が無電解析出法の工程により堆積されるであろう基材に比較的高価な無電解析出法の触媒が付着するだけであるので、処理コストにおける利点を提供する。触媒を含む組成物で表面の全部を被覆し、次にその大部分を除去して触媒を廃棄する工程と比較した場合、これは経済的に好都合である。
【0035】
有機組成物において利用できるイオン化可能置換基を含む特別なポリマー前駆体の例は、CN2404の商標名の下でSartomer Inc.(Exton PA)から市販されているジアクリル酸亜鉛等の金属アクリル酸塩オリゴマーを含むがこれらに限られない。Sartomer(Exton PA)から入手可能である金属アクリル酸塩オリゴマーCN2400をまた利用できる。
【0036】
放射線硬化性有機組成物において利用できるイオン化可能置換基を含まない特別なポリマー前駆体の例は、層分離しない任意のモノマーまたはオリゴマーを含むがこれらに限られない。イオン化可能置換基を含まない例示的なポリマー前駆体は、ウレタンアクリレート、超分岐オリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含むがこれらに限られない。ある態様は、ポリエステルとウレタンとの組み合わせを含む。利用できる他の特異的ポリマー前駆体は、SR444としてSartomer、Inc.(Exton PA)から商業的に入手可能であるペンタエリスリトールトリアクリレート、SR238としてSartomer、Inc.(Exton PA)から市販されている1、6ヘキサンジオールジアクリレート、およびCognis(Cincinnati、OH)から入手可能であるウレタンアクリレートオリゴマーを含むがこれらに限られない。これら2種の例示的な前駆体は、金属性アクリレートの溶解度を高めるために、CN2404および/またはCN2400が利用される組成物中で有利に利用される。
【0037】
一般的に、ポリマー前駆体(単数種または複数種)は、パターン化されている基材に少なくとも部分的に基づいて選択できる。最終的に特別な基材に所望の付着力を有する有機組成物を生成するポリマー前駆体は、望ましい特性を有する最終物品を提供する上で好都合であることができる。ポリマー前駆体はまた、物品が使用される最終用途に少なくとも部分的に基づいて選択でき、そうした状況では、このポリマー前駆体は、最終物品における所望の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択できる。
【0038】
本明細書中に開示された方法において利用できる有機組成物は、固体または液体であることができる。有機組成物の形態は、組成物を作るために使用される材料、基材上に組成物をパターニングするために使用されるであろう特別な技術、他の処理工程、さらなる任意選択的処理工程、またはいくつかのそれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて決定できる。有機組成物が液体である、ある例では、有機組成物を基材に接着させるために、液体有機組成物は固化できる。ある例では、液体有機組成物は、溶媒を蒸発させることによって固化できる。
【0039】
イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の量は、利用される化合物の分子量、および利用される化合物の官能性に少なくとも部分的に依存する。本明細書中で利用できる有機組成物は、100wt%のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有することができる。本明細書中で利用できる有機組成物は、一般的に30wt%以下のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有する。本明細書中で利用できる有機組成物はまた、一般的に20wt%以下のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有することができる。
【0040】
イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体をまた含む有機組成物は、一般的にイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体より、イオン化可能でない置換基を有するポリマー前駆体を、(重量で)多く有することができる。イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体およびイオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を含む有機組成物は、一般的に、イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を、イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の(重量で)少なくとも2倍有することができる。イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体およびイオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を含む有機組成物は、一般的に、イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を、イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の(重量で)約4倍有することができる。
【0041】
放射線硬化性有機組成物である有機組成物はまた、少なくとも1種の光開始剤を含む。光開始剤は、光の吸収下で、光反応を受けて、反応性種を生成する化合物である。これらの種は、放射線硬化性有機組成物中の重合可能な成分の重合を開始できる。当業者に一般的に使用される光開始剤は、本明細書中に開示された方法において利用される放射線硬化性有機組成物において使用できる。本明細書中で使用できる光開始剤の例は、DARACUR 1173、DAROCUR 4265、IRGACURE 651、IRGACURE 1800、IRGACURE 369、IRGACURE 1700、およびIRGACURE 907、IRGACURE 819の商品名でCiba Geigyから商業的に入手可能なもの;BASF(Charlotte、NC)から入手可能である2、4、6−トリメチルベンゾイ(benzoy)ジフェニルホスフィンオキサイドであるLUCIRIN TPOを含むホスフィンオキサイド誘導体;およびSartomer(Exton PA)から入手可能であるEsacure One 75等のEsacure製品ラインで市販されているものを含むがこれらに限られない。1種より多い光開始剤をまた、放射線硬化性有機組成物において使用できる。
【0042】
放射線硬化性有機組成物は、一般的に約0.1〜10重量%の濃度で少なくとも1種の光開始剤を含む。放射線硬化性有機組成物はまた、一般的に約0.1〜5重量%の濃度で少なくとも1種の光開始剤を含むことができる。
【0043】
本明細書中に記載された有機組成物はまた、当業者に認識されるであろうように、そうした組成物において有用であることができる1種または2種以上の他の有用な成分を含むことができる。そうした添加物の例は、界面活性剤、顔料、フィラー、重合阻害剤、酸化防止剤、および帯電防止剤を含むがこれらに限られない。そうした成分は、含まれる場合、効果的であるとして知られる量で含まれることができる。
【0044】
本明細書中に記載された有機組成物はまた、1種または2種以上の溶媒を含むことができる。特別な溶媒およびそれらの量は、特別なタイプの適用技術、組成物が適用される基材、およびそれらの組み合わせに、少なくとも部分的に依存することができる。用いられる特別なパターニング技術に基づいた溶媒の量、および有機組成物の所望の特徴は、本明細書を読んだ当業者に公知であろう。
【0045】
有機組成物がインクジェット印刷を使用して基材に適用される場合、高沸点溶媒を有利に利用できる。高沸点溶媒、例えば、DGMEA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)は、有機組成物中で利用できる。有機組成物がスタンピング技術を使用して基材に適用される場合、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロパノール、またはそれらの組み合わせを有利に利用できる。1種または2種以上の溶媒の混合物を利用することがまた好都合であることができる。例えば、トルエンとイソプロパノールとの混合物は、トルエンの乾燥特徴およびイソプロパノールによる静電荷を消失させる能力に基づいて良好な被膜性能を提供できる。他の適用技術はまた、特別な溶媒、または利用される場合好都合な特性を提供できるタイプの溶媒を用いることができる。当業者は、この技術、およびこれらの技術を用いて好都合な結果を提供できるであろうタイプの溶媒を知っているであろう。
【0046】
(もし溶媒が利用される場合)有機組成物中で利用される溶媒(単数種または複数種)の量は、利用される適用技術のタイプ、組成物が適用される基材、またはそれらのいくつかの組み合わせに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0047】
有機組成物の粘度が重要であるある例では、ジアクリレート等のポリマー前駆体は、有機組成物の粘度を低下させるために有利に使用できる。ジアクリレート等のポリマー前駆体はまた、無電解析出法後のパターン化された組成物、および/または最終のパターン化された構造の収縮を制御するために、有機組成物中において有利に利用できる。同様に、表面を官能化されたシリカの使用は、無電解析出法後のパターン化された組成物、および/または最終のパターン化された構造の収縮を低下させるために、有機組成物に加えることができる。より長鎖のアクリレートを含む有機組成物はまた、例えば、パターン化された組成物、および/または無電解析出法後の最終のパターン化された構造の可撓性および機械的な特性を高めることができる。
【0048】
本明細書中に記載されたような方法において利用できる例示的な放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基、1種または2種以上のモノマー、および光開始剤を含むオリゴマーを含むことができる。本明細書中に記載されたような方法において利用できる別の例示的な放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基、2種のモノマー、および光開始剤を含むオリゴマーを含むことができる。この組成物において、モノマー、またはモノマーは、多くの場合、溶解させることが難しい場合があるオリゴマーの溶解度を高めるために選択できる。
【0049】
図1を再び参照すると、有機組成物が基材に適用された後で、この方法における次の工程は、イオン化可能置換基とイオン性種との間のイオン交換を行う工程105である。一般的に、イオン交換工程の目的は、イオン化可能置換基を、無電解析出法を触媒できる材料であるイオン性種で置き換えることである。本明細書を読んだ当業者は、イオン交換工程を行う技術を知っている。一般的に、イオン交換は、あるイオンを別のイオンと交換することによって起こる。一般的に、本明細書中に開示された方法において、イオン交換は、カチオン交換である。さらに具体的に言うと、ポリマー前駆体中のイオン化可能置換基は、無電解析出法を触媒できる別のイオンと置き換えられる。
【0050】
イオン交換工程は、イオン性種がイオン化可能置換基との置き換わりを生じるであろう条件下で、イオン性種を含む溶液中に、パターン化された基材を浸すことによって起こることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、暖められることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、少なくとも約50℃であることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、一般的に、約50℃〜約55℃である。
【0051】
一般的に、この条件は、溶液中のイオン性種の濃度、溶液の温度、他の成分または溶液中のこれら以外のもの、および溶液中の溶媒を含むがこれらに限られない。これら、および他の条件はまた、工程の速度、工程の有効性、および他のパラメーターに影響を与えるために、選択できる。本明細書を読んだ当業者は、イオン交換工程を行うのに必要な適当なパラメーターをどう決定するかを知っているであろう。
【0052】
一般的に、イオン性種は、無電解析出法を触媒するのに好適であるものであり、または無電解析出法を触媒するために好適にすることができる。好適なイオン性種の例は、パラジウム(Pd+2)、白金(Pt+2)、ロジウム(Rh+2)、銀(Ag+2またはAg+1)、金(Au+1)、銅(Cu+2)、ニッケル(Ni+2)、コバルト(Co+2)、鉄(Fe+2)、および錫(Sn+2)を含むがこれらに限られない。ある例では、好適なイオン性種は、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムを含むがこれらに限られない。銀(Ag+1)がイオン性種として利用される場合、イオン交換溶液は、硝酸銀(I)(AgNO3)であることができる。イオン性種はまた、基材上に種のパターン化された被膜を作るために減少できる。
【0053】
図3は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示し、この図は、イオン交換工程が行われた105後で、次に基材が無電解析出法工程110に曝されて、イオン性種を銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金、または合金等の別の金属イオンと置き換えることができることを具体的に示す。図4は、図3中で具体的に説明された例示的な方法が基材の上で行われた後の基材200を具体的に示す。図4を見ると分かるように、基材200は、(第2の表面210とは反対側の)第1の表面205の上にパターン化された有機組成物220を有し、そしてパターン化された有機組成物220は、無電解析出法により金属性被膜225で被覆されている。
【0054】
「無電解析出法」の用語は、金属の自己触媒的めっきのための方法をいう。この方法は、典型的には還元剤と共に、可溶性形態の堆積金属を含む無電解めっき溶液の使用を含む。可溶性形態の堆積金属は、通常、イオン性種または金属錯体(すなわち、1つまたは2つ以上の配位子に配位した金属種)である。一般的に、無電解析出法は、被覆される加工中の製品への電流の適用を含まない。MalloryおよびHajduによる書籍は、この方法を詳細に記載する(Electroless Plating−Fundamentals and Applications、Ed.G.O.Mallory andJ.B.Hajdu、William Andrew Publishing、Norwich(1990))。いったん基材がイオン性種を含むためにイオン交換されると、基材は、適当なめっき浴中に浸漬される。触媒とも呼ばれるイオン性種は、めっき溶液からの堆積金属の堆積を触媒する。いったん開始すると、めっきは、それ自身の金属表面により触媒される、溶液の金属源の連続した還元により進行し、それ故に「自己触媒的」という。
【0055】
無電解析出法を使用して生成できる金属性堆積物は、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、亜鉛、およびこれらの金属同士またはこれらの金属とリンまたはホウ素との合金、およびこれらの金属同士またはこれらの金属とリンまたはホウ素との化合物を含む。1つの例では、金属性の堆積金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、またはそれらいくつかの組み合わせを含む。堆積金属およびイオン性種は、同一であるか、または相違なることができる。
【0056】
堆積金属の触媒成長と別に、イオン性種の還元がまた行われることができる。そうした工程は、より速い速度で起こることができる利点を提供でき、処理の利点を可能にする。イオン性種は、光還元、化学的還元、熱還元、または電子ビーム還元により還元できる。化学的還元が利用されるある例では、好適な還元剤は、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、およびハイポホスファイトを含むがこれらに限られない。
【0057】
図5は、本明細書中に開示された方法の別の例示的な態様を具体的に示す。この方法は、任意選択的なすすぎ工程を含む。第1のすすぎ工程120は、有機組成物が基材の上にパターン化された後で起こることができる。第1のすすぎ工程120は、硬化されていないか、基材に接着していないか、所望のパターン内でないか、またはそれらの組み合わせである有機組成物を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。第1のすすぎ工程120はまた、この方法の後の工程で妨害するであろうしっかりと結合していないイオンを除去するように機能できる。この第1のすすぎ工程120は、一般的に溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行うことができる。1つの例では、第1のすすぎ工程120は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は暖かいことができ、1つの例では、DI水は少なくとも約50℃である。さらにある例では、DI水は、少なくとも約55℃である。さらにある例では、DI水は、少なくとも約57℃である。第1のすすぎ工程120はまた、メチルエチルケトン(MEK)、またはイソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶媒を用いて行うことができる。第1のすすぎ工程120は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第1のすすぎ工程120は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、すすぎ工程120は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内に基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0058】
いくつかの態様において、第1のすすぎ工程120は、次に脱イオン化(DI)水ですすぐことによって、塩基水溶液を使用した塩基すすぎとして最初に行うことができる。いくつかの態様において、すすぎ工程120は、次にDI水ですすぐことによって水酸化アンモニウムの3%水溶液を使用した、第2のすすぎとして行うことができる。また他の態様では、次に脱イオン化(DI)水ですすぐことによって、水酸化ナトリウム水溶液は、典型的には、0.2〜10wt%の濃度で、すすぎ工程120において使用できる。
【0059】
図5を見ると分かるように、例示的な方法はまた、イオン交換が行われた105の後で起こることができる任意選択的な第2のすすぎ工程130を含むことができる。第2のすすぎ工程130は、基材から非イオン的に結合したイオン化可能置換基を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。この第2のすすぎ工程130は、一般的に溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行われることができる。1つの例では、第2のすすぎ工程130は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は、一般的に室温であることができ、1つの例では、DI水は、約25℃である。第2のすすぎ工程130は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第2のすすぎ工程130は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、第2のすすぎ工程120は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内の基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0060】
また図5を見ると分かるように、例示的な方法はまた、無電解析出法が行われた110の後で起こることができる任意選択的な第3のすすぎ工程140を含むことができる。第3のすすぎ工程140は、基材上に残留する無電解析出法の薬品を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。この第3のすすぎ工程140は、一般的に、溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行われることができる。1つの例では、第3のすすぎ工程140は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は、一般的に、室温であることができ、1つの例では、DI水は、約25℃である。第3のすすぎ工程140は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第3のすすぎ工程140は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、第3のすすぎ工程140は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内に基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0061】
また、開示されているのは、パターンなしで基材に放射線硬化性組成物を適用する工程、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程、未高架の部分を除いて硬化した有機組成物のパターンを形成する工程、そして次にイオン交換を行って、イオン化可能置換基をイオン性種で置換させる工程を含む基材のパターニング方法である。
【0062】
また開示されているのは、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、パターン化された基材をすすぐ工程、イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程、イオン交換された基材をすすぐ工程、イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程、および基材をすすぐ工程の各ステップを含む基材のパターニング方法である。
【0063】
また本明細書中に開示されているのは、本明細書中に記載された方法を使用して形成される物品である。開示された方法を使用して加工できる例示的な物品は、一般的にパターン化された金属性形状で被覆されたパターン化された有機組成物形状を有することができる。ある態様では、パターン化された金属性形状、すなわち、金属性被膜で被覆されたパターン化された有機組成物形状は、全体形状と呼ばれる。一般的に、パターン化された有機組成物の形状およびパターン化された金属性形状、すなわち、全体形状は、任意のサイズであることができる。ある態様では、全体形状のサイズは、パターン化された有機組成物形状の高さと、パターン化された金属性形状の高さの両方を含む。このように、全体形状のサイズは、幅で約1マイクロメートル(μm)以上、および高さで約20ナノメートル(nm)以上であることができる。そうした物品では、パターン化された有機組成物形状のサイズは、幅で約1μm以上および高さで約20nm以上であることができる。一般的に、パターン化された有機組成物上にパターン化された金属性形状の深さは、約1オングストローム(Å)以上である。当業者は、パターン化された金属性材料のより厚い層が、より長期間での材料のめっきによって得ることができることを理解するであろう。
【0064】
本明細書中に記載され、そして形成された物品は、金属性材料のグリッドを有することができ、そしてそうした物品は、例えば、電磁波(EMI)シールドとして使用できる。本明細書中に記載され、そして形成された例示的な物品は、微量の金属性材料を有することができ、そしてそうした物品は、反射性表示(reflective indicia)を作るため、または(パターン化された金属性形状が親水性であることができ、そして非パターン化部分が疎水性であることができる)流体を流す(fluid flow)機器を作るために、例えば、タッチスクリーン、センサー用途、回路で使用できる。本明細書中に記載され、そして形成された例示的な物品は、繰り返す金属性材料の点または島を有することができ、そしてそうした物品は、例えば、遮蔽効果を作り出すために使用できる。この物品は、電流を伝えるために使用できる金属性被覆のパターンを含む。
【0065】
本明細書中に記載され、そして形成された物品は、物品全体の熱膨張特性が類似するように、基材、有機組成物、金属性材料、またはそれらいくつかの組み合わせを適合させて有利に有することができる。
【実施例】
【0066】
例1
Exton、PAのSartomer Company、Inc.からSR444として市販されている40重量部のペンタエリスリトールジアクリレート;SartomerからSR238として市販されている、40重量部の1、6ヘキサンジオールジアクリレート;およびSartomerからCN2404として市販されている20重量部の金属アクリル酸塩オリゴマーを混合することによって、イオン化可能置換基を有する有機組成物を調製した。この組成物に、Florham Park、NJのBASFからTPO−Lとして市販されている1〜2重量%のエチル2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート光開始剤を加えた。
【0067】
この有機組成物を、メチルエチルケトン(MEK)の30wt%固体溶液のレベルに希釈した、そして次にノッチバー(notch bar)を用いて平面、無孔性表面上に拡げた。MEKを蒸発させて、平面上に約20μm厚の有機組成物の被膜を生じた。次に、この被膜を、ゴム製手押し印の隆起した表面にインクを付けるために使用した(図6aを参照のこと)。
【0068】
インクを付けたスタンプを、3M Company St.Paul、MNからScotch par P56として市販されている2mil(50(μm))厚のポリエステルフィルムでできた基材に値して押しつけた。このように、イオン化可能な有機組成物は、所定のパターンで、基材に適用された。次に、Fusion UV Systems Corp.、Rockville、Md.から市販されており、30w/インチを提供するH−バルブを取り付けたFusion UV CuringシステムモデルMC−6RQNを通すことによってUV放射に曝すことにより、この組成物を固化させた。これは、透明な、硬いアクリレートパターンを基材上に有するポリエステルフィルム基材となった。
【0069】
次に、パターン化された基材を、脱イオン水(18MΩ)中、57℃で5分間すすいで(脱イオン水の容器が入っているオイルバスは57℃であるか、または特定の温度であった)、次の工程のためのパターン表面を用意した。次に、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を、57℃で5分間浸すことによりイオン交換を行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、手短に脱イオン水中で、室温において、すすぐことにより、余分なイオン交換溶液を除去した。
【0070】
μ−銅85A、μ−銅85B、μ−銅85D、およびμ−銅85Gとラベルされた製品として、Toryon Technologies(Itasca IL)から商業的無電解めっき溶液成分を購入した。きれいなガラスビーカーまたはジャーの中に330gのDI水を置くことにより浴を混合した。次に、磁性攪拌子を用いて攪拌する間に、成分を40mLのμ−銅85B、16mLのμ−銅85A、12mLのμ−銅85D、および0.8mLのμ−銅85Gの順番で加えた。これを30分間攪拌させ、次に2mLの37wt%ホルムアルデヒド溶液(VWRカタログ番号JT2106−4)を加え、そしてこの溶液をさらに15分間混合させた。溶液を使用するために、この溶液が約47℃に維持され、そしてこの溶液の温度が使用前に定常状態に到達するようにされた攪拌されているオイルバスの中にあるビーカーの中に入れた。
【0071】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、上記の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。図6bは、その半分を無電解銅めっき浴に入れず(図6bの左側)そしてその半分を無電解銅めっき浴に入れた(図6bの右側)基材を示す。パターン化された銅の電気的導通を、マルチメーターで試験し、そして約0.1Ω/cmであることを見いだした。
【0072】
例2
20G SR−444、20gのSR−238、15gのCN−2404、および2gのTPO−Lで組成物を製造した以外は例1のように組成物を調製した。組成物の20重量%のコーティング溶液を、80wt%の70:30(重量比)トルエン:イソプロピルアルコール溶液を加えることによって製造した。顕微鏡スライドガラスを、約1μmの乾燥被膜厚を残す0.5フィート/分の速度で引き上げて、ディップコートした。
【0073】
スタンプをCyrel(デュポン社)板の溶媒補助エンボス加工によって製造した。これは、際だったプリズム構造を有する滑らかな、平らな表面上に、3M(商標)輝度向上フィルム(BEF、突起点間で〜24μm間隔を有するバージョン)を配置することを含む。MEKをフィルム上に吹きかけ、溝を満たし、そしてCryel板を上に置き、そして約12時間(一晩)放置した。まだラミネートされたままで、この構造物をFusion UV硬化システムに通してCyrelを硬化させた。Cryel板を剥離した後で、さらにこの板を約12時間、黒色光下で硬化させて、板の完全硬化を確実にした。
【0074】
ガラスロールに両面テープでスタンプを貼り、そしてこの被覆されたスライドガラスにかけて、インクに(一回揺動させて)ロールさせた。次に、フィルムが横になっている間に。このインクの付いたスタンプを、3M(商標)Schotchpar(商標) P56 PET 2 milフィルムの非印刷面上に、(一回揺動させて)押しつけて、印刷ラインのパッチを残した。次に、印刷フィルムを、Fusion UV硬化システムを通して、印刷されたラインを硬化させた。
【0075】
次に、フィルムDI水中に、約60℃で約5分間浸した。次に、このフィルムを(水中)5wt%の硝酸銀に、約60℃で約5分間浸した。次に、このフィルムを素早く室温においてDI水ですすぎ、次にこのフィルムを(例1に示したように)銅無電解めっき浴に20分間置いた。図7aと図7bとの間に見える画像を最終のDI水のすすぎ、および空気乾燥させた後で、顕微鏡の下に持ったのが、サンプルエリアの代表的なものである。ラインの中心間は約24μmであり、形状の幅は、約1〜10μmであることを示す。図7aはバックライトで、そして図7bは、正面から光を当てている。
【0076】
例3
5.0グラムのDGMEA、4.0グラムのSR−444(Sartomer、Exton PA)、4.0グラムのSR−238(Sartomer、Exton PA)、1.8グラムのCN−2404(Sartomer、Exton PA)、および0.2グラムの Lucerin・TPO−L(BASF、Charlotte NC)を含む組成物を調製した。この混合物は、約15センチポイズの粘度および31mN/m近辺の表面張力を有することが見いだされた。この組成物を、Dimatix DMP 2831(Dimatix、Santa Clara CA)インクジェット印刷ユニット上に印刷して、異なる幅のラインのパターンを作った。基材は、Q65(DuPont Teijin、Hopewell VA)としてDuPont Teijinから入手可能である5mil厚のポリ[エチレンナフタレート](PEN)であった。印刷プラテンを60℃に設定して、いくらかの溶媒を蒸発させた。
【0077】
生じたパターン化されたアクリレートをH−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通して、硬化させた。生じた硬化した形状が、基材上で200〜500nmの高さを有すること見いだした。
【0078】
次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して、行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0079】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。銅パターンの付着力を、パターン上に3M(商標)ブランドのScotch(商標)テープの一片を置き、そして基材からテープ上へ銅が除去されるであろうかどうかをテストした。このテープは、銅パターンのいずれも除去しなかった。
【0080】
例4
4.0グラムのSR−444(Sartomer、Exton PA)、4.0グラムのSR−238(Sartomer、Exton PA)、1.8グラムのCN−2404(Sartomer、Exton PA)、および0.2グラムのLucerin・TPO−L(BASF、Charlotte NC)(組成物は、それぞれの成分の重量比で20:20:10:1を有した)を含む組成物を調製した。この混合物は、約15センチポイズの粘度および31mN/m近辺の表面張力を有することが見いだされた。この組成物を、Dimatix DMP 2831(Dimatix、Santa Clara CA)インクジェット印刷ユニット上に印刷して、異なる幅のラインパターンを作った。基材は、Q65(DuPont Teijin、 Hopewell VA)としてDuPont Teijinから入手可能である5mil厚のポリ[エチレンナフタレート](PEN)であった。印刷プラテンは室温であり、プリンターヘッドを70℃に設定して、一貫したインクジェット印刷のために溶液の粘度を下げた。
【0081】
生じたパターン化されたアクリレートをH−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通して、硬化させた。生じた硬化した形状が、基材上で1〜2μmの高さを有すること見いだした。
【0082】
次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して、行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0083】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。
【0084】
例5
親水性で、素早く固まる材料である(2組成物エポキシである)3M ESPE Express(商標)・ビニルポリシロキサン印象材から、鋳型を製造した。印象材を基材上に置き、そして(図9に示す)スタンプをエポキシの上に置いた。材料を固めた後で、鋳型をスタンプから除去した。図9bに、この工程を使用して形成した鋳型を示す。
【0085】
20:20:10:1の重量比のSR444(Sartomer、Exton PA)、SR238(Sartomer、Exton PA)、CN2404(Sartomer、Exton PA)、およびTPO−L(BASF、 Charlotte NC)を有する溶媒のない有機組成物を、ピペットで鋳型に適用した。次に、充填した鋳型を、10mil厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つのシートの間にラミネート加工した。10 mil PET/有機組成物/鋳型/10mil PETの構造を有する多層物品が得られた。
【0086】
ラミネート構造物を、H−バルブを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQN(Fusion UV Systems、Inc.Gaithersburg MD)を通過させた。この組成物を硬化させ、そして構造物を剥がして分離した。図9cは、鋳型から剥離した後の(10mil PETフィルムの1つに接着した)成形された材料を示す。構造物を引き離した際に、厚い硬化した材料の脆性により、いくらかの割れが生じていた。
【0087】
次に、PETフィルム上の硬化した材料を、無電解析出法に曝した。次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0088】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に45分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。めっきした成形された材料を図9dに見ることができる。サンプルが浴中に浸されなかった、または樹脂が気泡の存在により硬化されなかったところに銅メッキが存在しないことに注意のこと。
【0089】
例6
きれいにペイントした缶の蓋中に、図10aに示すような約1インチ間隔で格子パターンに千枚通しを通し、そして、穴を開けることによって、フォトマスクを形作った。このマスクを、20:20:10:1重量比でSR444 (Sartomer、Exton PA)、SR238(Sartomer、Exton PA)、CN2404(Sartomer、Exton PA)、およびTPO−L(BASF、Charlotte NC)を有する組成物で被覆した3M Scotchpar(商標)P56 2mil厚PETフィルムの一部の上に置いた。約6μm厚の被膜を形成するであろう2.5milのMayer棒を使用して手で組成物を適用した。
【0090】
その上にフォトマスクを有する被覆したフィルムを、H−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通した。生じた部分的に硬化した被覆された織物を、メチルエチルケトン(MEK)ですすいで、全ての未硬化のアクリレートを除いた。
【0091】
次に、フィルムのパターン化された領域の一部分を、イオン交換および無電解析出法に曝した。次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で7分間浸して行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0092】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に75分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。図10bは、生じためっきした点のいくつかの画像を示す。この「点」は、実際にH−バルブのパルスの性質の結果として丸い突起物を有することに注意のこと。また、硬化した領域は、光の回折の結果としてマスクの穴よりずっと大きい。
【0093】
開示はそれらの種々の態様を参照して特に示され、そして記載されたが、本開示の精神および範囲を離れることなく、形態および詳細における種々の他の変化を行うことができることが当業者により理解されるであろう。
【0094】
このように、基材のパターニング方法の態様が開示された。当業者は、本開示がこれらの開示された以外の態様で行われることができることを認識するであろう。開示された態様は、具体的な説明の目的で存在し、そして制限されず、そして本開示は、以下の請求項によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年7月2日に出願された米国仮特許出願番号第60/947、527号明細書の利益を主張し、その内容を全て本明細書中に取り込む。
【0002】
本開示は、基材上へのパターン、さらに特に、金属化パターンの調製に間する。
【背景技術】
【0003】
マイクロスケール形状の形成は、これまで、製造プロセスの進歩のために変わってきた目標である。物品の導電特性は全く異なっておらず、そしてまた、導電性トレースを提供する小スケールのパターニングを必要とすることができる。無電解析出法は、マイクロスケール形状の製造に使用されるめっき法である。無電解析出法の薬品および加工は、かなり長い間確立されており、そして一般的に市販されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、およびイオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程を含む、基材のパターニング方法が開示される。
【0005】
ジアクリル酸亜鉛を含む有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、UV放射を用いて有機組成物を重合させる工程、少なくとも55℃の脱イオン水を用いて重合した有機組成物をすすぐ工程、重合した有機組成物と、銀塩を含む浴との間でイオン交換を行う工程、イオン交換された重合した有機組成物を脱イオン水中ですすぐ工程、およびイオン交換された重合した有機組成物に無電解銅メッキを行う工程を含む、基材上への金属パターンの形成方法が開示される。
【0006】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、パターン化された基材をすすぐ工程;イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程;イオン交換された基材をすすぐ工程;イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程;および基材をすすぐ工程を含む、基材をパターニングする方法が開示される。
【0007】
基材に放射線硬化性組成物を適用する工程;有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程;硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程、およびイオン交換を行って、イオン化可能置換基をイオン性種で置換させる工程を含む、基材をパターニングする方法が開示される。
【0008】
基材、パターン化された有機組成物、およびパターン化された金属性被膜を含む、物品であって、このパターン化された有機組成物が全体形状を形成するパターン化された金属性被膜を用いて覆われ、そしてこの全体形状は、幅で少なくとも約1μmおよび高さで少なくとも20nmである幅を有する。この金属性被膜が、少なくとも約1Åの厚さを有する、物品が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図2】図2は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図3】図3は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図4】図4は、本明細書中に開示された方法が基材の上で行われた後の基材を具体的に示す。
【図5】図5は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示す。
【図6a】図6aは、例1に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図6b】図6bは、例1に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図7a】図7aは、例2に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図7b】図7bは、例2に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図8】図8は、例3に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9a】図9aは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9b】図9bは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9c】図9cは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図9d】図9dは、例4に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図10a】図10aは、例5に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【図10b】図10bは、例5に記載された例示的な方法の一部を具体的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当然のことながら、本明細書中で挙げたものを超えた態様が、本開示の範囲または精神を離れることなく考えられ、そして行うことができる。したがって、以下の詳細な記載は、限定的な意味で取られない。
【0011】
本明細書中で使用されるすべての科学的および技術的用語は、ほかに特定しない限り、一般的に業界で使用される意味を有する。本明細書中で与えられる定義は、本明細書中でしばしば使用される、ある用語の理解を促進するために提供され、そして本開示の範囲を制限することを意図しない。
【0012】
特に断らなければ、本明細書および請求項で使用される、形状のサイズ、量、および物理的特性を表わす全ての数は、すべての場合で「約」によって修飾されていると解される。従って、そうでないと示さない限り、先の明細書および付属の請求項に記述されている数値パラメーターは、本明細書中に開示された教示を利用することによって、当業者によって得ようとされる所望の特性によって変化できる近似である。
【0013】
終点による数値範囲の詳述は、範囲(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む。)内に含まれる全ての数およびその範囲内の任意の範囲を含む。
【0014】
本明細書および付属の請求項において使用されるように、単数形「一つ」、「一つの」、および「この」、「それ」、「前記」は、そうでないと明らかに内容を示さない限り、複数の指示物を含む態様を包含する。本明細書および付属の請求項において使用されるように、「または」用語は、その内容がそうでないと明らかに示さない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に用いられる。
【0015】
本明細書中に開示されているのは、基材のパターニング方法である。基材のパターニングは、一般的に、表面上の一定の厚さを有さない被覆をいう。一態様では、基材のパターニングは、一般的に、より薄い領域とより厚い領域のパターンということができる。一態様では、基材のパターニングは、一般的に、材料を用いた、基材の選択された領域のみの被覆をいう。この選択された領域は、基材上での規則正しいもしくは繰り返しの幾何学的配置、基材上でのランダムな配置、またはランダムでも繰り返しでもないが対称の形もしくは繰り返す形を含むか、またはこれらがない特定のデザインのいずれかである配置を示すことができる。パターン化された基材は、基材表面のある領域上のみに材料を有することができ、またはパターン化された基材は、基材の両面の1つ以上の領域に存在できるが、パターン化された基材は、基材表面の全ての領域上に材料を有さない。
【0016】
本明細書中に開示された方法で使用される基材または本明細書中に開示された物品の一部は、任意の好適な材料から調製されていることができる。本明細書中に開示された方法において使用される基材は、柔軟であるか、または剛体であることができる。いくつかの態様において、基材は、金属でできていることができる。基材中に含まれることのできる金属材料の例は、インジウム、および鉛を含むがこれらに限られない。
【0017】
基材はまた、1種のポリマー材料または1種より多いのポリマー材料から調製できる。基材中に含まれることのできるポリマー材料の例は、熱可塑性ポリマーを含むがこれらに限られない。熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエステルを含むがこれらに限られない。熱可塑性ポリマーのさらなる例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ビスフェノール Aのポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびポリビニリデンフルオライドを含む。
【0018】
基材はまた、ガラス材料、ガラスセラミック、セラミック、半導体、またはそれらの組み合わせから調製できる。有用なガラスの例は、シリケート、ゲルマネート(germanates)、ホスフェート、およびカルコゲニドを含むがこれらに限られない。結晶化微細構造を含むガラスセラミックはまた、基材材料として有用であることができる。ガラスセラミックは、高い強度および強靱性と共に、ガラス形成能の容易さを提供する。基材はまた、セラミックを含むことができる。有用なセラミックの例は、酸化物、窒化物、ホウ化物、および炭化物を含む。基材はまた、半導体を含むことができる。有用な半導体の例は、第IV族元素、第II属元素と第VI属元素の二成分化合物、第III属元素と第V属元素の二成分化合物、およびそれらの種々の合金を含むがこれらに限られない。基材はまた上記のものを含むがこれらに限られない1超のクラスの材料から調製できる。例えば、基材は、ガラスまたはセラミック材料の被膜を有する半導体結晶を含むことができる。
【0019】
利用される特別なタイプの基材は、利用されるであろうパターニング方法、製造される物品の最終用途、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない少なくとも部分的に多くの因子に基づいて選択できる。
【0020】
図1は、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程100、およびイオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う次の工程105を含む基材のパターニングの例示的な方法を具体的に示す。
【0021】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程100は、所定のパターンで基材上に組成物を適用する当業者に公知の任意の技術の使用を伴うことができる。本明細書中において、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程はまた、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程をいう。本明細書を読んだ当業者は、この工程で利用できる種々の技術を知っているであろう。
【0022】
基材上にパターンを作る例示的な技術は、ダイコーティング、スタンピング、マイクロ複製、(インクジェット印刷等の)ジェット印刷、スクライビング、スクリーン印刷、接着、フレキソ印刷、エンボス加工、熱転写、レーザー誘起サーマルイメージング(LITI)、フォトリソグラフィー、フォトパターニング、および成形を含むがこれらに限られない。ある態様では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、スタンピング、インクジェット印刷、マイクロフレキソ印刷、マイクロ複製、レーザー誘起サーマルイメージング、および成形を含む。
【0023】
1つの例では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、基材上で行われるあらゆる差し引き工程を含まない。例えば、例示的な態様では、所定のパターンで組成物を適用する工程は、層の一部を除去するために、エッチング、または全層の適用の次に、全層のパターニングを含まない。
【0024】
ある例では、所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程100は、1より多い工程を含む。基材上に組成物のパターンを作るための多段階工程の例が、図2に具体的に説明されている。この例示的な多段階工程における第一工程は、パターンのない基材に放射線硬化性組成物を適用する工程101、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程102、そして次に硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程103を含む。所定のパターンで組成物を適用する工程のそうした方法は、紫外(UV)放射の適用により硬化する有機組成物を用いて、有利に利用できる。
【0025】
そうした態様では、放射線硬化性有機組成物を適用する工程101は、スピンコーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングまたはダイコーティング等のコーティング方法を含むがこれらに限られない当業者に公知の任意の方法によって達成できる。有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程102は、一部の有機組成物のみが硬化できるであろう放射線遮断材料を使用して達成できる。これらの範囲から放射線遮断材料を除くか、または有機組成物を硬化できるように放射線遮断材料に影響を与えることによってこの部分のみを硬化させることができる。一態様では、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程は、パターンが最終的に存在するであろう範囲にない放射線遮断材料を利用することによって達成できる。硬化しなかった部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成させる工程103は、適当な溶媒中で基材をすすぐ工程によって達成できる。硬化される有機組成物の一部は、架橋され、そしてそれによって溶媒に不溶性になるであろうが、一方、硬化されない有機組成物の一部は、架橋されず、したがって溶媒に可溶性であろう。
【0026】
上記に記載したもの等の技術を使用して所定のパターンで組成物を基材上に適用する工程は、本明細書を読んだ当業者に公知であるので、達成できるであろう。
【0027】
上に記載したように、本明細書中に開示された方法中の第一工程は、有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程を含む。一態様では、本明細書中において利用される有機組成物は、放射線硬化性有機組成物である。放射線硬化性有機組成物は、熱放射、UV放射、および電子ビーム(e−beam)放射を含む任意の種類の放射線により硬化または架橋するものを含む。例示的な放射線硬化性有機組成物は、UV放射で硬化する有機組成物を含むことができる。ある例では、本明細書中において利用できる有機組成物は、放射線硬化性である必要はない。
【0028】
本明細書中において一般的に利用できる有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体を含む。有機組成物が放射線硬化性有機組成物である場合、この組成物は、一般的にイオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体および少なくとも1種の光開始剤を含む。本明細書中で利用できる組成物はまた、イオン化可能置換基を含まない1種または2種以上のポリマー前駆体を含むことができる。本明細書中において利用されるいくつかの有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体、およびイオン化可能置換基を含まない少なくとも1種のポリマー前駆体を一般的に含む。本明細書中において一般的に利用されるいくつかの放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基を含む少なくとも1種のポリマー前駆体、イオン化可能置換基を含まない少なくとも1種のポリマー前駆体、および少なくとも1種の光開始剤を含む。
【0029】
本明細書中で利用できる有機組成物はまた、イオン化可能置換基を含む1種より多くのポリマー前駆体を含むことができる。イオン化可能置換基を含む1種より多いポリマー前駆体を有する組成物では、少なくとも2種のポリマー前駆体は、異なるポリマー前駆体部分、異なるイオン化可能置換基、または異なるポリマー前駆体部分および異なるイオン化可能置換基を含むことができる。有機組成物が放射線硬化性有機組成物である態様では、ポリマー前駆体は、放射線硬化性有機組成物中に含まれた場合に放射線の適用によって硬化できる任意の種類のポリマー前駆体を含むことができる。放射線の適用によって硬化できるポリマー前駆体は、放射線の適用によって部分的に硬化できるものを含む。放射線硬化性であることが必要ない有機組成物は、基材およびパターン化された有機組成物が曝される次の処理工程において、分解されないポリマー前駆体を含むことができる。
【0030】
放射線硬化性有機組成物において使用可能である例示的なポリマー前駆体(イオン化可能置換基を含むことができるもの、およびイオン化可能置換基を含まないもの)は、UV硬化性組成物を含むがこれに限られない。ある態様では、放射線硬化性有機組成物は、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、オレフィンおよびそれらの組み合わせ等の材料を含むことができる。一態様では、アクリレートポリマー前駆体は、放射線硬化性有機組成物中で利用される。
【0031】
必ずしも放射線硬化性でない有機組成物において使用可能である例示的なポリマー前駆体(イオン化可能置換基を含むことができるもの、およびイオン化可能置換基を含まないもの)は、UV硬化性組成物を含むがこれに限られない。ある態様では、放射線硬化性有機組成物は、アクリレート、メタクリレート、エポキシ、オレフィンおよびそれらの組み合わせ等の材料を含むことができる。
【0032】
ポリマー前駆体は、モノマー、オリゴマー、またはモノマーとオリゴマーとの両方の組み合わせを含むことができる。少なくとも1種のモノマーおよび少なくとも1種のオリゴマーは、本明細書中で利用できる有機組成物中で利用できる。1つの例では、オリゴマーが有機組成物中に含まれる場合、モノマーは、オリゴマーの溶解度を高めるために利用できる。少なくとも1種のモノマーおよび少なくとも1種のオリゴマーを含む組成物において、この組成物は、組成物の重合を開始させるために固化できる。
【0033】
本明細書中において利用される有機組成物中の少なくとも1種のポリマー前駆体は、少なくとも1種のイオン化可能置換基を含む。イオン化可能置換基は、イオン交換工程に参加できる化合物の一部分である。イオン交換工程に酸化できる化合物の一部分は、一般的にカチオンまたはアニオン、またはカチオン性またはアニオン性となることができる部分を含む。カチオンの例は、H+、Zn+2を含むがこれらに限られない。イオン化可能置換基の例は、カルボン酸、ホスホン酸、およびアクリル酸を含むがこれらに限られない。本明細書中において利用されるように、カルボン酸のイオン化可能置換基は、−COOH基、−COOZnOOC−基、−COOMOOC−基(式中、Mは、正の2電荷を有する金属イオンをいう。)を含む。−COOZnOOC−基を含むポリマー前駆体において、このZnは、+2の電荷を有し、そしてイオン交換工程に参加できる。
【0034】
一般的に、イオン化可能置換基は、無電解析出法用触媒として機能できない材料を含まないか、または無電解析出法用触媒として機能できない材料でない。無電解析出法用の触媒として機能できる多くの材料は、比較的高価である。本明細書中に開示された方法は、最終の材料が無電解析出法の工程により堆積されるであろう基材に比較的高価な無電解析出法の触媒が付着するだけであるので、処理コストにおける利点を提供する。触媒を含む組成物で表面の全部を被覆し、次にその大部分を除去して触媒を廃棄する工程と比較した場合、これは経済的に好都合である。
【0035】
有機組成物において利用できるイオン化可能置換基を含む特別なポリマー前駆体の例は、CN2404の商標名の下でSartomer Inc.(Exton PA)から市販されているジアクリル酸亜鉛等の金属アクリル酸塩オリゴマーを含むがこれらに限られない。Sartomer(Exton PA)から入手可能である金属アクリル酸塩オリゴマーCN2400をまた利用できる。
【0036】
放射線硬化性有機組成物において利用できるイオン化可能置換基を含まない特別なポリマー前駆体の例は、層分離しない任意のモノマーまたはオリゴマーを含むがこれらに限られない。イオン化可能置換基を含まない例示的なポリマー前駆体は、ウレタンアクリレート、超分岐オリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含むがこれらに限られない。ある態様は、ポリエステルとウレタンとの組み合わせを含む。利用できる他の特異的ポリマー前駆体は、SR444としてSartomer、Inc.(Exton PA)から商業的に入手可能であるペンタエリスリトールトリアクリレート、SR238としてSartomer、Inc.(Exton PA)から市販されている1、6ヘキサンジオールジアクリレート、およびCognis(Cincinnati、OH)から入手可能であるウレタンアクリレートオリゴマーを含むがこれらに限られない。これら2種の例示的な前駆体は、金属性アクリレートの溶解度を高めるために、CN2404および/またはCN2400が利用される組成物中で有利に利用される。
【0037】
一般的に、ポリマー前駆体(単数種または複数種)は、パターン化されている基材に少なくとも部分的に基づいて選択できる。最終的に特別な基材に所望の付着力を有する有機組成物を生成するポリマー前駆体は、望ましい特性を有する最終物品を提供する上で好都合であることができる。ポリマー前駆体はまた、物品が使用される最終用途に少なくとも部分的に基づいて選択でき、そうした状況では、このポリマー前駆体は、最終物品における所望の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択できる。
【0038】
本明細書中に開示された方法において利用できる有機組成物は、固体または液体であることができる。有機組成物の形態は、組成物を作るために使用される材料、基材上に組成物をパターニングするために使用されるであろう特別な技術、他の処理工程、さらなる任意選択的処理工程、またはいくつかのそれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて決定できる。有機組成物が液体である、ある例では、有機組成物を基材に接着させるために、液体有機組成物は固化できる。ある例では、液体有機組成物は、溶媒を蒸発させることによって固化できる。
【0039】
イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の量は、利用される化合物の分子量、および利用される化合物の官能性に少なくとも部分的に依存する。本明細書中で利用できる有機組成物は、100wt%のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有することができる。本明細書中で利用できる有機組成物は、一般的に30wt%以下のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有する。本明細書中で利用できる有機組成物はまた、一般的に20wt%以下のイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体を有することができる。
【0040】
イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体をまた含む有機組成物は、一般的にイオン化可能置換基を有するポリマー前駆体より、イオン化可能でない置換基を有するポリマー前駆体を、(重量で)多く有することができる。イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体およびイオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を含む有機組成物は、一般的に、イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を、イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の(重量で)少なくとも2倍有することができる。イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体およびイオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を含む有機組成物は、一般的に、イオン化可能置換基を有さないポリマー前駆体を、イオン化可能置換基を有するポリマー前駆体の(重量で)約4倍有することができる。
【0041】
放射線硬化性有機組成物である有機組成物はまた、少なくとも1種の光開始剤を含む。光開始剤は、光の吸収下で、光反応を受けて、反応性種を生成する化合物である。これらの種は、放射線硬化性有機組成物中の重合可能な成分の重合を開始できる。当業者に一般的に使用される光開始剤は、本明細書中に開示された方法において利用される放射線硬化性有機組成物において使用できる。本明細書中で使用できる光開始剤の例は、DARACUR 1173、DAROCUR 4265、IRGACURE 651、IRGACURE 1800、IRGACURE 369、IRGACURE 1700、およびIRGACURE 907、IRGACURE 819の商品名でCiba Geigyから商業的に入手可能なもの;BASF(Charlotte、NC)から入手可能である2、4、6−トリメチルベンゾイ(benzoy)ジフェニルホスフィンオキサイドであるLUCIRIN TPOを含むホスフィンオキサイド誘導体;およびSartomer(Exton PA)から入手可能であるEsacure One 75等のEsacure製品ラインで市販されているものを含むがこれらに限られない。1種より多い光開始剤をまた、放射線硬化性有機組成物において使用できる。
【0042】
放射線硬化性有機組成物は、一般的に約0.1〜10重量%の濃度で少なくとも1種の光開始剤を含む。放射線硬化性有機組成物はまた、一般的に約0.1〜5重量%の濃度で少なくとも1種の光開始剤を含むことができる。
【0043】
本明細書中に記載された有機組成物はまた、当業者に認識されるであろうように、そうした組成物において有用であることができる1種または2種以上の他の有用な成分を含むことができる。そうした添加物の例は、界面活性剤、顔料、フィラー、重合阻害剤、酸化防止剤、および帯電防止剤を含むがこれらに限られない。そうした成分は、含まれる場合、効果的であるとして知られる量で含まれることができる。
【0044】
本明細書中に記載された有機組成物はまた、1種または2種以上の溶媒を含むことができる。特別な溶媒およびそれらの量は、特別なタイプの適用技術、組成物が適用される基材、およびそれらの組み合わせに、少なくとも部分的に依存することができる。用いられる特別なパターニング技術に基づいた溶媒の量、および有機組成物の所望の特徴は、本明細書を読んだ当業者に公知であろう。
【0045】
有機組成物がインクジェット印刷を使用して基材に適用される場合、高沸点溶媒を有利に利用できる。高沸点溶媒、例えば、DGMEA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)は、有機組成物中で利用できる。有機組成物がスタンピング技術を使用して基材に適用される場合、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロパノール、またはそれらの組み合わせを有利に利用できる。1種または2種以上の溶媒の混合物を利用することがまた好都合であることができる。例えば、トルエンとイソプロパノールとの混合物は、トルエンの乾燥特徴およびイソプロパノールによる静電荷を消失させる能力に基づいて良好な被膜性能を提供できる。他の適用技術はまた、特別な溶媒、または利用される場合好都合な特性を提供できるタイプの溶媒を用いることができる。当業者は、この技術、およびこれらの技術を用いて好都合な結果を提供できるであろうタイプの溶媒を知っているであろう。
【0046】
(もし溶媒が利用される場合)有機組成物中で利用される溶媒(単数種または複数種)の量は、利用される適用技術のタイプ、組成物が適用される基材、またはそれらのいくつかの組み合わせに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0047】
有機組成物の粘度が重要であるある例では、ジアクリレート等のポリマー前駆体は、有機組成物の粘度を低下させるために有利に使用できる。ジアクリレート等のポリマー前駆体はまた、無電解析出法後のパターン化された組成物、および/または最終のパターン化された構造の収縮を制御するために、有機組成物中において有利に利用できる。同様に、表面を官能化されたシリカの使用は、無電解析出法後のパターン化された組成物、および/または最終のパターン化された構造の収縮を低下させるために、有機組成物に加えることができる。より長鎖のアクリレートを含む有機組成物はまた、例えば、パターン化された組成物、および/または無電解析出法後の最終のパターン化された構造の可撓性および機械的な特性を高めることができる。
【0048】
本明細書中に記載されたような方法において利用できる例示的な放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基、1種または2種以上のモノマー、および光開始剤を含むオリゴマーを含むことができる。本明細書中に記載されたような方法において利用できる別の例示的な放射線硬化性有機組成物は、イオン化可能置換基、2種のモノマー、および光開始剤を含むオリゴマーを含むことができる。この組成物において、モノマー、またはモノマーは、多くの場合、溶解させることが難しい場合があるオリゴマーの溶解度を高めるために選択できる。
【0049】
図1を再び参照すると、有機組成物が基材に適用された後で、この方法における次の工程は、イオン化可能置換基とイオン性種との間のイオン交換を行う工程105である。一般的に、イオン交換工程の目的は、イオン化可能置換基を、無電解析出法を触媒できる材料であるイオン性種で置き換えることである。本明細書を読んだ当業者は、イオン交換工程を行う技術を知っている。一般的に、イオン交換は、あるイオンを別のイオンと交換することによって起こる。一般的に、本明細書中に開示された方法において、イオン交換は、カチオン交換である。さらに具体的に言うと、ポリマー前駆体中のイオン化可能置換基は、無電解析出法を触媒できる別のイオンと置き換えられる。
【0050】
イオン交換工程は、イオン性種がイオン化可能置換基との置き換わりを生じるであろう条件下で、イオン性種を含む溶液中に、パターン化された基材を浸すことによって起こることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、暖められることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、少なくとも約50℃であることができる。1つの例では、イオン性種を含む溶液は、一般的に、約50℃〜約55℃である。
【0051】
一般的に、この条件は、溶液中のイオン性種の濃度、溶液の温度、他の成分または溶液中のこれら以外のもの、および溶液中の溶媒を含むがこれらに限られない。これら、および他の条件はまた、工程の速度、工程の有効性、および他のパラメーターに影響を与えるために、選択できる。本明細書を読んだ当業者は、イオン交換工程を行うのに必要な適当なパラメーターをどう決定するかを知っているであろう。
【0052】
一般的に、イオン性種は、無電解析出法を触媒するのに好適であるものであり、または無電解析出法を触媒するために好適にすることができる。好適なイオン性種の例は、パラジウム(Pd+2)、白金(Pt+2)、ロジウム(Rh+2)、銀(Ag+2またはAg+1)、金(Au+1)、銅(Cu+2)、ニッケル(Ni+2)、コバルト(Co+2)、鉄(Fe+2)、および錫(Sn+2)を含むがこれらに限られない。ある例では、好適なイオン性種は、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムを含むがこれらに限られない。銀(Ag+1)がイオン性種として利用される場合、イオン交換溶液は、硝酸銀(I)(AgNO3)であることができる。イオン性種はまた、基材上に種のパターン化された被膜を作るために減少できる。
【0053】
図3は、本明細書中に開示された例示的な方法を具体的に示し、この図は、イオン交換工程が行われた105後で、次に基材が無電解析出法工程110に曝されて、イオン性種を銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金、または合金等の別の金属イオンと置き換えることができることを具体的に示す。図4は、図3中で具体的に説明された例示的な方法が基材の上で行われた後の基材200を具体的に示す。図4を見ると分かるように、基材200は、(第2の表面210とは反対側の)第1の表面205の上にパターン化された有機組成物220を有し、そしてパターン化された有機組成物220は、無電解析出法により金属性被膜225で被覆されている。
【0054】
「無電解析出法」の用語は、金属の自己触媒的めっきのための方法をいう。この方法は、典型的には還元剤と共に、可溶性形態の堆積金属を含む無電解めっき溶液の使用を含む。可溶性形態の堆積金属は、通常、イオン性種または金属錯体(すなわち、1つまたは2つ以上の配位子に配位した金属種)である。一般的に、無電解析出法は、被覆される加工中の製品への電流の適用を含まない。MalloryおよびHajduによる書籍は、この方法を詳細に記載する(Electroless Plating−Fundamentals and Applications、Ed.G.O.Mallory andJ.B.Hajdu、William Andrew Publishing、Norwich(1990))。いったん基材がイオン性種を含むためにイオン交換されると、基材は、適当なめっき浴中に浸漬される。触媒とも呼ばれるイオン性種は、めっき溶液からの堆積金属の堆積を触媒する。いったん開始すると、めっきは、それ自身の金属表面により触媒される、溶液の金属源の連続した還元により進行し、それ故に「自己触媒的」という。
【0055】
無電解析出法を使用して生成できる金属性堆積物は、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、亜鉛、およびこれらの金属同士またはこれらの金属とリンまたはホウ素との合金、およびこれらの金属同士またはこれらの金属とリンまたはホウ素との化合物を含む。1つの例では、金属性の堆積金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、またはそれらいくつかの組み合わせを含む。堆積金属およびイオン性種は、同一であるか、または相違なることができる。
【0056】
堆積金属の触媒成長と別に、イオン性種の還元がまた行われることができる。そうした工程は、より速い速度で起こることができる利点を提供でき、処理の利点を可能にする。イオン性種は、光還元、化学的還元、熱還元、または電子ビーム還元により還元できる。化学的還元が利用されるある例では、好適な還元剤は、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、およびハイポホスファイトを含むがこれらに限られない。
【0057】
図5は、本明細書中に開示された方法の別の例示的な態様を具体的に示す。この方法は、任意選択的なすすぎ工程を含む。第1のすすぎ工程120は、有機組成物が基材の上にパターン化された後で起こることができる。第1のすすぎ工程120は、硬化されていないか、基材に接着していないか、所望のパターン内でないか、またはそれらの組み合わせである有機組成物を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。第1のすすぎ工程120はまた、この方法の後の工程で妨害するであろうしっかりと結合していないイオンを除去するように機能できる。この第1のすすぎ工程120は、一般的に溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行うことができる。1つの例では、第1のすすぎ工程120は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は暖かいことができ、1つの例では、DI水は少なくとも約50℃である。さらにある例では、DI水は、少なくとも約55℃である。さらにある例では、DI水は、少なくとも約57℃である。第1のすすぎ工程120はまた、メチルエチルケトン(MEK)、またはイソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶媒を用いて行うことができる。第1のすすぎ工程120は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第1のすすぎ工程120は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、すすぎ工程120は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内に基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0058】
いくつかの態様において、第1のすすぎ工程120は、次に脱イオン化(DI)水ですすぐことによって、塩基水溶液を使用した塩基すすぎとして最初に行うことができる。いくつかの態様において、すすぎ工程120は、次にDI水ですすぐことによって水酸化アンモニウムの3%水溶液を使用した、第2のすすぎとして行うことができる。また他の態様では、次に脱イオン化(DI)水ですすぐことによって、水酸化ナトリウム水溶液は、典型的には、0.2〜10wt%の濃度で、すすぎ工程120において使用できる。
【0059】
図5を見ると分かるように、例示的な方法はまた、イオン交換が行われた105の後で起こることができる任意選択的な第2のすすぎ工程130を含むことができる。第2のすすぎ工程130は、基材から非イオン的に結合したイオン化可能置換基を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。この第2のすすぎ工程130は、一般的に溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行われることができる。1つの例では、第2のすすぎ工程130は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は、一般的に室温であることができ、1つの例では、DI水は、約25℃である。第2のすすぎ工程130は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第2のすすぎ工程130は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、第2のすすぎ工程120は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内の基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0060】
また図5を見ると分かるように、例示的な方法はまた、無電解析出法が行われた110の後で起こることができる任意選択的な第3のすすぎ工程140を含むことができる。第3のすすぎ工程140は、基材上に残留する無電解析出法の薬品を除去するように機能できると考えられているが、確かではない。この第3のすすぎ工程140は、一般的に、溶媒を用いて、例えば、溶媒浴中で行われることができる。1つの例では、第3のすすぎ工程140は、脱イオン化(DI)水を用いて行うことができる。DI水は、一般的に、室温であることができ、1つの例では、DI水は、約25℃である。第3のすすぎ工程140は、一般的に、少なくとも約5分間行うことができる。1つの例では、第3のすすぎ工程140は、一般的に、少なくとも約7分間行うことができる。一般的に、第3のすすぎ工程140は、すすぎ溶液の攪拌ありもしくはなし、またはすすぎ溶液内に基材ありもしくはなしで行うことができる。
【0061】
また、開示されているのは、パターンなしで基材に放射線硬化性組成物を適用する工程、有機組成物の少なくとも一部分を硬化させる工程、未高架の部分を除いて硬化した有機組成物のパターンを形成する工程、そして次にイオン交換を行って、イオン化可能置換基をイオン性種で置換させる工程を含む基材のパターニング方法である。
【0062】
また開示されているのは、イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、パターン化された基材をすすぐ工程、イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程、イオン交換された基材をすすぐ工程、イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程、および基材をすすぐ工程の各ステップを含む基材のパターニング方法である。
【0063】
また本明細書中に開示されているのは、本明細書中に記載された方法を使用して形成される物品である。開示された方法を使用して加工できる例示的な物品は、一般的にパターン化された金属性形状で被覆されたパターン化された有機組成物形状を有することができる。ある態様では、パターン化された金属性形状、すなわち、金属性被膜で被覆されたパターン化された有機組成物形状は、全体形状と呼ばれる。一般的に、パターン化された有機組成物の形状およびパターン化された金属性形状、すなわち、全体形状は、任意のサイズであることができる。ある態様では、全体形状のサイズは、パターン化された有機組成物形状の高さと、パターン化された金属性形状の高さの両方を含む。このように、全体形状のサイズは、幅で約1マイクロメートル(μm)以上、および高さで約20ナノメートル(nm)以上であることができる。そうした物品では、パターン化された有機組成物形状のサイズは、幅で約1μm以上および高さで約20nm以上であることができる。一般的に、パターン化された有機組成物上にパターン化された金属性形状の深さは、約1オングストローム(Å)以上である。当業者は、パターン化された金属性材料のより厚い層が、より長期間での材料のめっきによって得ることができることを理解するであろう。
【0064】
本明細書中に記載され、そして形成された物品は、金属性材料のグリッドを有することができ、そしてそうした物品は、例えば、電磁波(EMI)シールドとして使用できる。本明細書中に記載され、そして形成された例示的な物品は、微量の金属性材料を有することができ、そしてそうした物品は、反射性表示(reflective indicia)を作るため、または(パターン化された金属性形状が親水性であることができ、そして非パターン化部分が疎水性であることができる)流体を流す(fluid flow)機器を作るために、例えば、タッチスクリーン、センサー用途、回路で使用できる。本明細書中に記載され、そして形成された例示的な物品は、繰り返す金属性材料の点または島を有することができ、そしてそうした物品は、例えば、遮蔽効果を作り出すために使用できる。この物品は、電流を伝えるために使用できる金属性被覆のパターンを含む。
【0065】
本明細書中に記載され、そして形成された物品は、物品全体の熱膨張特性が類似するように、基材、有機組成物、金属性材料、またはそれらいくつかの組み合わせを適合させて有利に有することができる。
【実施例】
【0066】
例1
Exton、PAのSartomer Company、Inc.からSR444として市販されている40重量部のペンタエリスリトールジアクリレート;SartomerからSR238として市販されている、40重量部の1、6ヘキサンジオールジアクリレート;およびSartomerからCN2404として市販されている20重量部の金属アクリル酸塩オリゴマーを混合することによって、イオン化可能置換基を有する有機組成物を調製した。この組成物に、Florham Park、NJのBASFからTPO−Lとして市販されている1〜2重量%のエチル2、4、6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート光開始剤を加えた。
【0067】
この有機組成物を、メチルエチルケトン(MEK)の30wt%固体溶液のレベルに希釈した、そして次にノッチバー(notch bar)を用いて平面、無孔性表面上に拡げた。MEKを蒸発させて、平面上に約20μm厚の有機組成物の被膜を生じた。次に、この被膜を、ゴム製手押し印の隆起した表面にインクを付けるために使用した(図6aを参照のこと)。
【0068】
インクを付けたスタンプを、3M Company St.Paul、MNからScotch par P56として市販されている2mil(50(μm))厚のポリエステルフィルムでできた基材に値して押しつけた。このように、イオン化可能な有機組成物は、所定のパターンで、基材に適用された。次に、Fusion UV Systems Corp.、Rockville、Md.から市販されており、30w/インチを提供するH−バルブを取り付けたFusion UV CuringシステムモデルMC−6RQNを通すことによってUV放射に曝すことにより、この組成物を固化させた。これは、透明な、硬いアクリレートパターンを基材上に有するポリエステルフィルム基材となった。
【0069】
次に、パターン化された基材を、脱イオン水(18MΩ)中、57℃で5分間すすいで(脱イオン水の容器が入っているオイルバスは57℃であるか、または特定の温度であった)、次の工程のためのパターン表面を用意した。次に、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を、57℃で5分間浸すことによりイオン交換を行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、手短に脱イオン水中で、室温において、すすぐことにより、余分なイオン交換溶液を除去した。
【0070】
μ−銅85A、μ−銅85B、μ−銅85D、およびμ−銅85Gとラベルされた製品として、Toryon Technologies(Itasca IL)から商業的無電解めっき溶液成分を購入した。きれいなガラスビーカーまたはジャーの中に330gのDI水を置くことにより浴を混合した。次に、磁性攪拌子を用いて攪拌する間に、成分を40mLのμ−銅85B、16mLのμ−銅85A、12mLのμ−銅85D、および0.8mLのμ−銅85Gの順番で加えた。これを30分間攪拌させ、次に2mLの37wt%ホルムアルデヒド溶液(VWRカタログ番号JT2106−4)を加え、そしてこの溶液をさらに15分間混合させた。溶液を使用するために、この溶液が約47℃に維持され、そしてこの溶液の温度が使用前に定常状態に到達するようにされた攪拌されているオイルバスの中にあるビーカーの中に入れた。
【0071】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、上記の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。図6bは、その半分を無電解銅めっき浴に入れず(図6bの左側)そしてその半分を無電解銅めっき浴に入れた(図6bの右側)基材を示す。パターン化された銅の電気的導通を、マルチメーターで試験し、そして約0.1Ω/cmであることを見いだした。
【0072】
例2
20G SR−444、20gのSR−238、15gのCN−2404、および2gのTPO−Lで組成物を製造した以外は例1のように組成物を調製した。組成物の20重量%のコーティング溶液を、80wt%の70:30(重量比)トルエン:イソプロピルアルコール溶液を加えることによって製造した。顕微鏡スライドガラスを、約1μmの乾燥被膜厚を残す0.5フィート/分の速度で引き上げて、ディップコートした。
【0073】
スタンプをCyrel(デュポン社)板の溶媒補助エンボス加工によって製造した。これは、際だったプリズム構造を有する滑らかな、平らな表面上に、3M(商標)輝度向上フィルム(BEF、突起点間で〜24μm間隔を有するバージョン)を配置することを含む。MEKをフィルム上に吹きかけ、溝を満たし、そしてCryel板を上に置き、そして約12時間(一晩)放置した。まだラミネートされたままで、この構造物をFusion UV硬化システムに通してCyrelを硬化させた。Cryel板を剥離した後で、さらにこの板を約12時間、黒色光下で硬化させて、板の完全硬化を確実にした。
【0074】
ガラスロールに両面テープでスタンプを貼り、そしてこの被覆されたスライドガラスにかけて、インクに(一回揺動させて)ロールさせた。次に、フィルムが横になっている間に。このインクの付いたスタンプを、3M(商標)Schotchpar(商標) P56 PET 2 milフィルムの非印刷面上に、(一回揺動させて)押しつけて、印刷ラインのパッチを残した。次に、印刷フィルムを、Fusion UV硬化システムを通して、印刷されたラインを硬化させた。
【0075】
次に、フィルムDI水中に、約60℃で約5分間浸した。次に、このフィルムを(水中)5wt%の硝酸銀に、約60℃で約5分間浸した。次に、このフィルムを素早く室温においてDI水ですすぎ、次にこのフィルムを(例1に示したように)銅無電解めっき浴に20分間置いた。図7aと図7bとの間に見える画像を最終のDI水のすすぎ、および空気乾燥させた後で、顕微鏡の下に持ったのが、サンプルエリアの代表的なものである。ラインの中心間は約24μmであり、形状の幅は、約1〜10μmであることを示す。図7aはバックライトで、そして図7bは、正面から光を当てている。
【0076】
例3
5.0グラムのDGMEA、4.0グラムのSR−444(Sartomer、Exton PA)、4.0グラムのSR−238(Sartomer、Exton PA)、1.8グラムのCN−2404(Sartomer、Exton PA)、および0.2グラムの Lucerin・TPO−L(BASF、Charlotte NC)を含む組成物を調製した。この混合物は、約15センチポイズの粘度および31mN/m近辺の表面張力を有することが見いだされた。この組成物を、Dimatix DMP 2831(Dimatix、Santa Clara CA)インクジェット印刷ユニット上に印刷して、異なる幅のラインのパターンを作った。基材は、Q65(DuPont Teijin、Hopewell VA)としてDuPont Teijinから入手可能である5mil厚のポリ[エチレンナフタレート](PEN)であった。印刷プラテンを60℃に設定して、いくらかの溶媒を蒸発させた。
【0077】
生じたパターン化されたアクリレートをH−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通して、硬化させた。生じた硬化した形状が、基材上で200〜500nmの高さを有すること見いだした。
【0078】
次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して、行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0079】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。銅パターンの付着力を、パターン上に3M(商標)ブランドのScotch(商標)テープの一片を置き、そして基材からテープ上へ銅が除去されるであろうかどうかをテストした。このテープは、銅パターンのいずれも除去しなかった。
【0080】
例4
4.0グラムのSR−444(Sartomer、Exton PA)、4.0グラムのSR−238(Sartomer、Exton PA)、1.8グラムのCN−2404(Sartomer、Exton PA)、および0.2グラムのLucerin・TPO−L(BASF、Charlotte NC)(組成物は、それぞれの成分の重量比で20:20:10:1を有した)を含む組成物を調製した。この混合物は、約15センチポイズの粘度および31mN/m近辺の表面張力を有することが見いだされた。この組成物を、Dimatix DMP 2831(Dimatix、Santa Clara CA)インクジェット印刷ユニット上に印刷して、異なる幅のラインパターンを作った。基材は、Q65(DuPont Teijin、 Hopewell VA)としてDuPont Teijinから入手可能である5mil厚のポリ[エチレンナフタレート](PEN)であった。印刷プラテンは室温であり、プリンターヘッドを70℃に設定して、一貫したインクジェット印刷のために溶液の粘度を下げた。
【0081】
生じたパターン化されたアクリレートをH−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通して、硬化させた。生じた硬化した形状が、基材上で1〜2μmの高さを有すること見いだした。
【0082】
次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して、行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0083】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に15分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。
【0084】
例5
親水性で、素早く固まる材料である(2組成物エポキシである)3M ESPE Express(商標)・ビニルポリシロキサン印象材から、鋳型を製造した。印象材を基材上に置き、そして(図9に示す)スタンプをエポキシの上に置いた。材料を固めた後で、鋳型をスタンプから除去した。図9bに、この工程を使用して形成した鋳型を示す。
【0085】
20:20:10:1の重量比のSR444(Sartomer、Exton PA)、SR238(Sartomer、Exton PA)、CN2404(Sartomer、Exton PA)、およびTPO−L(BASF、 Charlotte NC)を有する溶媒のない有機組成物を、ピペットで鋳型に適用した。次に、充填した鋳型を、10mil厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの2つのシートの間にラミネート加工した。10 mil PET/有機組成物/鋳型/10mil PETの構造を有する多層物品が得られた。
【0086】
ラミネート構造物を、H−バルブを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQN(Fusion UV Systems、Inc.Gaithersburg MD)を通過させた。この組成物を硬化させ、そして構造物を剥がして分離した。図9cは、鋳型から剥離した後の(10mil PETフィルムの1つに接着した)成形された材料を示す。構造物を引き離した際に、厚い硬化した材料の脆性により、いくらかの割れが生じていた。
【0087】
次に、PETフィルム上の硬化した材料を、無電解析出法に曝した。次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で5分間浸して行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0088】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に45分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。金属性銅パターンを有する基材の画像を図8に見ることができる。めっきした成形された材料を図9dに見ることができる。サンプルが浴中に浸されなかった、または樹脂が気泡の存在により硬化されなかったところに銅メッキが存在しないことに注意のこと。
【0089】
例6
きれいにペイントした缶の蓋中に、図10aに示すような約1インチ間隔で格子パターンに千枚通しを通し、そして、穴を開けることによって、フォトマスクを形作った。このマスクを、20:20:10:1重量比でSR444 (Sartomer、Exton PA)、SR238(Sartomer、Exton PA)、CN2404(Sartomer、Exton PA)、およびTPO−L(BASF、Charlotte NC)を有する組成物で被覆した3M Scotchpar(商標)P56 2mil厚PETフィルムの一部の上に置いた。約6μm厚の被膜を形成するであろう2.5milのMayer棒を使用して手で組成物を適用した。
【0090】
その上にフォトマスクを有する被覆したフィルムを、H−バルブおよび窒素パージを取り付けたFusion UV硬化システムモデルMC−6RQNを通した。生じた部分的に硬化した被覆された織物を、メチルエチルケトン(MEK)ですすいで、全ての未硬化のアクリレートを除いた。
【0091】
次に、フィルムのパターン化された領域の一部分を、イオン交換および無電解析出法に曝した。次に、パターン化された基材を、57℃で、5分間、脱イオン水(18MΩ)中ですすぎ、次のステップのためのパターン用の表面を用意した。次に、イオン交換を、脱イオン水中硝酸銀(I)の5wt%溶液中に、パターン化された基材を57℃で7分間浸して行った。イオン交換浴の後で、イオン交換されたパターン化された基材を、脱イオン水中室温で手短にすすぐことによって、余分な交換溶液を除いた。
【0092】
次に、すすがれたイオン交換されパターン化された基材を、(例1のような)従来の無電解銅めっき浴に75分間入れた。この浴の終わりに、基材上のパターンで金属性銅の強い付着性層を堆積した。図10bは、生じためっきした点のいくつかの画像を示す。この「点」は、実際にH−バルブのパルスの性質の結果として丸い突起物を有することに注意のこと。また、硬化した領域は、光の回折の結果としてマスクの穴よりずっと大きい。
【0093】
開示はそれらの種々の態様を参照して特に示され、そして記載されたが、本開示の精神および範囲を離れることなく、形態および詳細における種々の他の変化を行うことができることが当業者により理解されるであろう。
【0094】
このように、基材のパターニング方法の態様が開示された。当業者は、本開示がこれらの開示された以外の態様で行われることができることを認識するであろう。開示された態様は、具体的な説明の目的で存在し、そして制限されず、そして本開示は、以下の請求項によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、および前記イオン化可能置換基とイオン性種との間のイオン交換を行う工程を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項2】
前記有機組成物が、液体であり、そして前記方法が、前記有機組成物を前記基材に接着させるために、前記有機組成物を固化させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機組成物が、溶媒を含み、そして前記固化が、前記溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機組成物が、有機モノマー、有機オリゴマーまたはそれらの混合物を含み、そして前記固化が、前記有機組成物の重合を開始する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記重合が、放射線により開始される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記イオン交換を行う工程の前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、脱イオン水中で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脱イオン水が、55℃超の温度である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン交換を行う工程の前の、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、塩基性水溶液中で行われて、次に脱イオン水中ですすぐ工程である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記塩基性水溶液が、水酸化アンモニウムの溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムの溶液である、請求項に9記載の方法。
【請求項12】
前記イオン交換を行った後で、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン交換された基材上で、無電解めっきを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程が、光還元、化学的還元、熱還元、および電子ビーム還元からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記無電解めっきが、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択された層を堆積させる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記金属塩が、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属塩が、銀である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記有機組成物が、アクリレートモノマーおよびオリゴマーからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記有機組成物が、ジアクリル酸亜鉛を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記所定のパターンでイオン化可能置換基を有する有機組成物を適用する工程が、スタンピング、ジェット印刷、スクライビング、フォトパターニング、成形、熱転写、スクリーン印刷、および接着からなる群から選択される方法によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ジアクリル酸亜鉛を含む有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、
前記有機組成物をUV放射で重合させる工程、
前記重合した有機組成物を、塩基性水溶液ですすぎ、次に少なくとも55℃の温度において脱イオン水中ですすぐ工程、
前記重合した有機組成物と、銀塩を含む浴との間でイオン交換を行う工程、
脱イオン水中で前記イオン交換された重合した有機組成物をすすぐ工程、および、
前記イオン交換された重合した有機組成物に無電解銅メッキを行う工程、
を含んで成る、基材上に金属パターンを形成する方法。
【請求項23】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、
前記パターン化された基材をすすぐ工程、
前記イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程。
前記イオン交換された基材をすすぐ工程、
前記イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程、および、
前記基材をすすぐ工程、
を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項24】
基材に放射線硬化性組成物を適用する工程、
前記有機組成物少なくとも一部分を硬化させる工程、
前記未硬化部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成する工程、および、
前記イオン化可能置換基をイオン性種で置き換えるために、イオン交換を行う工程、
を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項25】
前記有機組成物が、液体であり、そして前記方法が前記有機組成物を前記基材に接着させるために、前記有機組成物を固化させる工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記有機組成物が、溶媒を含み、そして前記固化が、前記溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記有機組成物が、有機モノマー、有機オリゴマーまたはそれらの混合物を含み、そして前記固化が、前記有機組成物の重合を開始する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記重合が、放射線を用いて開始される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、55℃超の温度において脱イオン水中で行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記イオン交換を行う前の、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、塩基性水溶液中で行われて、次に脱イオン水ですすぐ工程である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記塩基性水溶液が、水酸化アンモニウムの溶液である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムの溶液である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記イオン交換を行った後で、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記イオン交換された基材に、無電解めっきを行う工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記イオン交換された金属イオンの還元が、光還元、化学的還元、熱還元、および電子ビーム還元からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記無電解めっきが、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される層を堆積させる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記金属塩が、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記金属塩が、銀である、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記有機組成物が、アクリレートモノマーおよびオリゴマーからなる群から選択された化合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記有機組成物が、ジアクリル酸亜鉛を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記所定のパターンでイオン化可能置換基を有する有機組成物を適用する工程が、スタンピング、ジェット印刷、スクライビング、フォトパターニング、成形、熱転写、スクリーン印刷、および接着からなる群から選択される方法によって達成される、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
基材、
パターン化された有機組成物、および、
パターン化された金属性被膜、
を含んで成る、物品、
前記パターン化された有機組成物は、前記パターン化された金属性被膜で覆われて、全体形状を形成し、そして前記全体形状は、幅で少なくとも約1μmおよび高さで少なくとも20nmである幅を有する。
【請求項45】
前記パターン化された金属性被膜が、約1Å以上の厚さを有する、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
前記基材が、ポリマーを含む、請求項44に記載の物品。
【請求項47】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエステルを含み、熱可塑性ポリマーのさらなる例が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ビスフェノール Aのポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニリデンフルオライド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項44に記載の物品。
【請求項48】
前記基材が、ガラスを含む、請求項44に記載の物品。
【請求項1】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、および前記イオン化可能置換基とイオン性種との間のイオン交換を行う工程を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項2】
前記有機組成物が、液体であり、そして前記方法が、前記有機組成物を前記基材に接着させるために、前記有機組成物を固化させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機組成物が、溶媒を含み、そして前記固化が、前記溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機組成物が、有機モノマー、有機オリゴマーまたはそれらの混合物を含み、そして前記固化が、前記有機組成物の重合を開始する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記重合が、放射線により開始される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記イオン交換を行う工程の前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、脱イオン水中で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脱イオン水が、55℃超の温度である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン交換を行う工程の前の、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、塩基性水溶液中で行われて、次に脱イオン水中ですすぐ工程である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記塩基性水溶液が、水酸化アンモニウムの溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムの溶液である、請求項に9記載の方法。
【請求項12】
前記イオン交換を行った後で、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン交換された基材上で、無電解めっきを行う工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程が、光還元、化学的還元、熱還元、および電子ビーム還元からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記無電解めっきが、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択された層を堆積させる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記金属塩が、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属塩が、銀である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記有機組成物が、アクリレートモノマーおよびオリゴマーからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記有機組成物が、ジアクリル酸亜鉛を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記所定のパターンでイオン化可能置換基を有する有機組成物を適用する工程が、スタンピング、ジェット印刷、スクライビング、フォトパターニング、成形、熱転写、スクリーン印刷、および接着からなる群から選択される方法によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ジアクリル酸亜鉛を含む有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、
前記有機組成物をUV放射で重合させる工程、
前記重合した有機組成物を、塩基性水溶液ですすぎ、次に少なくとも55℃の温度において脱イオン水中ですすぐ工程、
前記重合した有機組成物と、銀塩を含む浴との間でイオン交換を行う工程、
脱イオン水中で前記イオン交換された重合した有機組成物をすすぐ工程、および、
前記イオン交換された重合した有機組成物に無電解銅メッキを行う工程、
を含んで成る、基材上に金属パターンを形成する方法。
【請求項23】
イオン化可能置換基を有する有機組成物を所定のパターンで基材上に適用する工程、
前記パターン化された基材をすすぐ工程、
前記イオン化可能置換基とイオン性種との間でイオン交換を行う工程。
前記イオン交換された基材をすすぐ工程、
前記イオン交換された基材上で無電解析出法を行う工程、および、
前記基材をすすぐ工程、
を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項24】
基材に放射線硬化性組成物を適用する工程、
前記有機組成物少なくとも一部分を硬化させる工程、
前記未硬化部分を除いて、硬化した有機組成物のパターンを形成する工程、および、
前記イオン化可能置換基をイオン性種で置き換えるために、イオン交換を行う工程、
を含んで成る、基材のパターニング方法。
【請求項25】
前記有機組成物が、液体であり、そして前記方法が前記有機組成物を前記基材に接着させるために、前記有機組成物を固化させる工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記有機組成物が、溶媒を含み、そして前記固化が、前記溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記有機組成物が、有機モノマー、有機オリゴマーまたはそれらの混合物を含み、そして前記固化が、前記有機組成物の重合を開始する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記重合が、放射線を用いて開始される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
イオン交換を行う前に、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、55℃超の温度において脱イオン水中で行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記イオン交換を行う前の、前記パターン化された基材をすすぐ工程が、塩基性水溶液中で行われて、次に脱イオン水ですすぐ工程である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記塩基性水溶液が、水酸化アンモニウムの溶液である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムの溶液である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記イオン交換を行った後で、前記パターン化された基材をすすぐ工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記イオン交換された基材に、無電解めっきを行う工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記イオン交換された金属イオンを還元する工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記イオン交換された金属イオンの還元が、光還元、化学的還元、熱還元、および電子ビーム還元からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記無電解めっきが、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される層を堆積させる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記金属塩が、銅、銀、ニッケル、金、白金、およびパラジウムからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記金属塩が、銀である、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記有機組成物が、アクリレートモノマーおよびオリゴマーからなる群から選択された化合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記有機組成物が、ジアクリル酸亜鉛を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記所定のパターンでイオン化可能置換基を有する有機組成物を適用する工程が、スタンピング、ジェット印刷、スクライビング、フォトパターニング、成形、熱転写、スクリーン印刷、および接着からなる群から選択される方法によって達成される、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
基材、
パターン化された有機組成物、および、
パターン化された金属性被膜、
を含んで成る、物品、
前記パターン化された有機組成物は、前記パターン化された金属性被膜で覆われて、全体形状を形成し、そして前記全体形状は、幅で少なくとも約1μmおよび高さで少なくとも20nmである幅を有する。
【請求項45】
前記パターン化された金属性被膜が、約1Å以上の厚さを有する、請求項44に記載の物品。
【請求項46】
前記基材が、ポリマーを含む、請求項44に記載の物品。
【請求項47】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリエステルを含み、熱可塑性ポリマーのさらなる例が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ビスフェノール Aのポリカーボネート、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニリデンフルオライド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項44に記載の物品。
【請求項48】
前記基材が、ガラスを含む、請求項44に記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【公表番号】特表2010−532429(P2010−532429A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514971(P2010−514971)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/067179
【国際公開番号】WO2009/006010
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/067179
【国際公開番号】WO2009/006010
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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