説明

基材上で付着金属をパターン化する方法

物品は、主表面を有する高分子フィルムと、主表面上の触媒材料の不連続層と、触媒材料上の金属パターンとを含む。触媒材料の不連続層の平均厚さは200オングストローム未満である。これらの物品を形成する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、基材上で付着金属をパターン化する方法及びこのような方法で形成された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料のパターンを有する基材は、広範な商業用途を有する。場合によっては、導電性グリッドは、肉眼で見えないほど十分に微小であり、透明な高分子基材によって支持されていることが望ましい。透明な導電性シートは様々な用途があり、例としては、抵抗加熱される窓、電磁干渉(EMI)遮蔽層、静電散逸構成成分、アンテナ、コンピュータディスプレイ用タッチスクリーン、エレクトロクロミックウインドウ用の表面電極、光電池デバイス、エレクトロルミネセンスデバイス、及び液晶ディスプレイが挙げられる。
【0003】
EMI遮蔽のような用途では本質的に透明な導電性グリッドの使用が知られている。グリッドは、透明シート間に挟まれた若しくは積層された、又は基材中に埋め込まれた、金属線の網状組織又はスクリーンから形成され得る(米国特許第3,952,152号、同第4,179,797号、同第4,321,296号、同第4,381,421号、及び同第4,412,255号)。ワイヤスクリーン使用の1つの欠点は、非常に微細なワイヤの取扱い又は非常に微細なワイヤスクリーンの作成及び取扱いが困難なことである。例えば、直径20μmの銅線は、引張り強度がわずか0.27N(1オンス(28グラム重))しかなく、したがって容易に破損される。直径20μmのワイヤで作製されたワイヤスクリーンが入手できるが、非常に微細なワイヤの取扱いが困難であるために高額である。
【0004】
既存のワイヤスクリーンを基材中に埋め込むよりもむしろ、最初に基材に溝又はチャネルのパターンを形成し、続いてこの溝又はチャネルに導電性材料を充填することによって、導電性パターンを作製できる。この方法は、様々な手段による導電回路の線及びパターンの作製に使用されてきたが、これは通常は比較的粗いスケールの線及びパターンである。溝は、成形、型押し、又はリソグラフ技術によって基材中に形成できる。溝は、その後導電性インキ又はエポキシ(米国特許第5,462,624号)で、蒸発、スパッタリング、若しくはめっきされた金属(米国特許第3,891,514号、同第4,510,347号、及び同第5,595,943号)で、溶融金属(米国特許第4,748,130号)で、又は金属紛(米国特許第2,963,748号、同第3,075,280号、同第3,800,020号、同第4,614,837号、同第5,061,438号、及び同第5,094,811号)で、充填することができる。高分子フィルム上の導電性グリッドは、導電性ペーストの印刷によって(米国特許第5,399,879号)又はフォトリソグラフ及びエッチング(米国特許第6,433,481号)によって作製された。これらの先行技術の方法には制限がある。例えば、導電性インキ又はエポキシの問題の1つは、その導電性が隣接する導電性粒子間の接触の形成に依存し、全体的導電性が通常は固体金属のそれよりもはるかに低いことである。金属の蒸着又は電気めっきは、一般に低速であり、後で、溝と溝との間に付着した過剰な金属を除去するための工程を必要とすることが多い。溶融金属は、溝の中に配置されことができるが、通常は金属を濡らす多少の材料が溝に付着することを必要とする。そうしなければ、溶融金属の表面張力により、溶融金属は溝に浸透しない又は留まらないであろう。
【0005】
導電性グリッドに加えて、電気回路の形で導電性材料のパターンを支持する基材も有用である。フレキシブル回路は、電子的構成要素の支持及び相互接続において、並びにセンサーの製造において使用される。センサーの例としては、環境センサー、医療用センサー、化学センサー、及び生物測定センサーが挙げられる。いくつかのセンサーは、好ましくは透明である。導電性グリッドの場合のように、高分子フィルム基材上のフレキシブル回路は、しばしば、フォトリソグラフを用いて製造され、これはフォトレジスト配置、露光、現像、及び除去という複数の工程を包含する。このような高額な装置及びそうした多数の製造プロセス工程を必要としない代替法が産業界で望まれる。
【0006】
回路は、金属粉末を溝に入れた後、この粉末を圧縮して、粒子間の電気的接触を増強することによって作製された。リリー(Lillie)ら(米国特許第5,061,438号)及びケーン(Kane)ら(米国特許第5,094,811号)は、この方法を使用してプリント基板を形成した。しかし、これらの方法は微小回路及び微小金属パターンの作製に実用的ではない。微小スケールでは、金属圧縮を実施するためにエンボス加工されたパターン上で工具を交換又は再登録することが困難となり得る。例えば、幅20μmのチャネルのパターンを有するシートは、工具がパターン上でシートの一方から他方まで約3μmの精度で配置されることを必要とする。多くの用途で、シートは約30cm×30cmであってもよい。熱可塑性シートの熱収縮による寸法変化は、典型的には成形温度から室温までの冷却の間に約1%以上である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、30cm×30cmのシートの場合、1%の収縮により、全収縮は0.3cmとなる。この値は、必要とされる3μmの配置精度よりも1000倍大きく、工具の正確な位置変更を困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、基材上で付着金属をパターン化する方法に関する。特に、本開示は、例えば印刷プレートを用いて、金属蒸気を触媒とする基材の領域上に機能化分子を選択的に転写し、その後機能化されていない領域に金属を無電解析出することによって、高分子フィルム上又は基材上で付着金属をパターン化する方法に関する。この方法により、後でエッチング工程を行うことなく、電気的に絶縁され、光学的にほぼ透明な領域で補完された、微小スケールで追加にパターン化される導電性付着が可能になる。
【0009】
第1の実施形態では、基材上で付着金属をパターン化する方法は、主表面を有する基材を提供する工程と、基材の主表面上に、触媒材料を60オングストローム未満の平均厚さで蒸着して、活性化された基材表面を形成する工程と、活性化された基材表面上に機能化分子のパターンを印刷して、少なくとも1つの機能化された領域と少なくとも1つの機能化されていない領域とを形成する工程と、機能化されていない領域上に付着金属を選択的に無電解析出させて、付着金属でパターン化された基材を形成する工程とを含んでなる。
【0010】
別の実施形態では、基材上で付着金属をパターン化する方法は、主表面を有する基材を提供する工程と、基材の主表面上に触媒材料の不連続層を200オングストローム未満の平均厚さで付着させて、活性化された基材表面を形成する工程と、活性化された基材表面上に機能化分子のパターンを印刷して、少なくとも1つの機能化された領域と少なくとも1つの機能化されていない領域とを形成する工程と、機能化されていない領域上に付着金属を選択的に無電解析出させて、付着金属でパターン化された基材を形成する工程とを含んでなる。
【0011】
別の実施形態では、物品は、主表面を有する高分子フィルムと、主表面上の触媒材料の不連続層と、触媒材料上の金属パターンとを含む。触媒材料の不連続層の平均厚さは200オングストローム未満である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面と関連して以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することにより、本発明は、より完全に理解される可能性がある。
【図1A】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図1B】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図1C】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図1D】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図1E】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図1F】高分子基材上で材料をパターン化する例証的方法の概略図。
【図2A】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2B】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2C】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2D】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2E】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2F】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2G】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図2H】高分子基材上で材料をパターン化する別の例証的方法の概略図。
【図3】実施例において形成された、基材上でパターン化された付着金属の走査電子顕微鏡写真。
【0013】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で用いた類似の番号は、類似の構成要素及び工程等を表す。ただし、特定の図面で構成要素を表すために用いた番号は、別の図面で同じ番号の付いた構成要素を限定するものではないことは理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、例として幾つか特定の実施形態を示す。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、その他の実施形態が検討され、作成され得ることを理解されたい。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味に取るべきではない。
【0015】
本開示は、基材上で付着金属をパターン化する方法に関する。特に、本開示は、例えば印刷プレートを用いて、金属蒸気を触媒とする基材の領域上に機能化分子を選択的に転写し、その後機能化されていない領域に金属を無電解析出させることによって、高分子フィルム上又は基材上で付着金属をパターン化する方法に関する。この方法により、後でエッチング工程を行うことなく、電気的に絶縁され、光学的にほぼ透明な領域で補完された、微小スケールで追加にパターン化される導電性付着が可能になる。本発明はそれだけには限定されないが、下記で提供する実施例の考察を通じて本発明の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0016】
本開示は、絶縁された透明な高分子フィルム基材上で無電解析出させた金属をパターン化する方法において、ほとんど認識されていない問題を少なくとも1つ解決する。問題は、機能化分子で接触マスクした触媒金属を有する透明基材上に無電解析出した金属をパターン化しようとする場合、及びエッチング工程を用いることなく伝導体領域間の領域を光透過性及び非導電性にすることが望ましい場合に生じる。このことは、一般に、できるだけ少ないプロセス工程を用いて電気絶縁基材上に金属伝導体パターンを作製する場合に製造効率の理由から望ましい。頻繁に用いられるプロセス工程には、エッチングがある。しかしながら、エッチングは、有害化学物質を取り扱う必要があり、更に腐食液が製品の別の材料を損傷する可能性があるため、好ましくないプロセスである。伝導体間の領域が光透過性及び非導電性である必要がある用途では、先行の報告されている方法に比べて、本発明はこれらの領域の触媒材料にエッチング工程を用いなくてもよい。特に、本開示は、本明細書で規定する平均厚さを有する触媒材料を使用して、高いシート抵抗(Rs)、明所視透過率(Tvis)に対する低い影響力、及び十分な化学活性という特に有用な組み合わせを提供し、連続的な無電解金属析出を生じさせ、パターン化される金属付着領域間の領域から触媒材料をエッチングする必要をなくす。
【0017】
本明細書で使用するすべての科学技術用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般に用いられる意味を有する。本明細書で規定する定義は、本明細書で頻繁に使用される特定用語の理解を助けるためのものであり、本開示の範囲を制限するものではない。
【0018】
「領域」は、全表面、例えば基材表面に接している断片部分を指す。隆起領域は、主表面の隣接領域から突出した、高さを有する表面領域を指す。陥凹領域は、主表面の隣接領域に対して内部に伸張した、深さを有する表面領域を指す。隆起領域及び/又は陥凹領域は、別個の領域であり得、隣接する陥凹及び/又は隆起領域は(それぞれ)、別個の領域の全周を囲む。あるいは、隆起又は陥凹領域は、一般に、表面の長さ又は幅に沿って全体的に線状に伸張する近接する領域であり得、主表面の隣接領域は近接領域の全周を囲むわけではない。基材の隆起表面領域は、一般に、基材表面と別の物体の平坦面(すなわち、構造化されておらず平面)が接触したときに別の物体の平坦面に接触する基材表面の部分であり、このとき平坦な物体の面積は隆起領域及びいかなる隣接する陥凹領域よりも大きい。基材の陥凹表面領域又は領域類は、一般に、上述のように、隆起表面領域に対して補完的な表面領域である。補完的とは、1つ又は複数の隆起表面領域のすべてと1つ又は複数の陥凹表面領域とのすべてが組み合わさって本質的に全主表面を画定することを意味する。
【0019】
機能化分子のパターンを印刷するとは、機能化分子の層を1つの表面領域に付着し、別の表面領域には機能化分子の層を付着しないことを指す。機能化分子の層が基材表面にパターンとして印刷される場合、層は基材表面全体には付着されない。すなわち、機能化分子の層は基材表面にパターンを形成する。機能化分子が基材表面上の不連続層である蒸着触媒材料を機能化する場合、機能化分子の層が付着した領域は、機能化された触媒材料(例えば、機能化された触媒材料の粒子)の複数の隣接する島部を含んでいてもよく、機能化分子の層が付着していない領域は、機能化されていない触媒材料(例えば、機能化されていない触媒材料の粒子)の複数の隣接する島部を含んでいてもよい。
【0020】
高分子「フィルム」基材は、ロール・ツー・ロール形式で加工されるのに十分に可撓性で強力な平面シートの形態の高分子材料である。平面シートの形態の高分子材料は、一方又は両方の主表面にミクロ構造、すなわちレリーフ構造を有することができる。ロール・ツー・ロールは、材料が支持体に巻取られるか又は支持体から巻出され、加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリッティング、放射線曝露等が挙げられる。高分子フィルム類は、一般に約5μm〜1000μmの範囲の種々の厚さで製造できる。多数の実施形態で、高分子フィルムの厚さは約25μm〜約500μm、又は約50μm〜約250μm、又は約75μm〜約200μmの範囲である。一方又は両方の主表面にレリーフ構造を包含するフィルムの場合、フィルムの厚さとは、フィルムの面積を横切る平均の厚さを意味する。
【0021】
金属を「選択的に」付着するとは、金属を1つの表面領域に付着し、別の表面領域には金属を付着しないことを指す。基材表面に金属が選択的に付着されるには、金属は基材表面全体には付着されない。すなわち、付着金属は基材表面にパターンを形成する。
【0022】
用語「付着金属」及び「金属付着」及び「付着された金属」は、相互交換可能に使用され、基材上に付着された金属を指す。付着金属は、通常は無電解めっき溶液から形成される。付着金属は、電気回路、電気デバイス上の接触パッド、又は大面積のコーティングの線状トレースのようなパターンの形態であることができる。付着金属は、いずれか有用な厚さを有していてもよい。多くの実施形態では、付着金属の厚さは、0.1〜10μm、又は0.1〜5μmの範囲であり得る。
【0023】
「無電解析出された金属」は、無電解析出によって付着された金属(例えば、無電解析出のミクロ構造形跡を包含する)である。例えば、ホルムアルデヒド浴から無電解析出された銅は、特に結晶粒界において、透過電子顕微鏡を用いて観察可能な、微視的な水素ボイドを含む。ほとんどの商業用無電解ニッケル浴は、次亜リン酸塩、ホウ化水素、又はホウ酸アミンボランに基づく還元剤類を含み、その結果付着物中にホウ素又はリンが存在する。無電解析出されたニッケルコーティングは、光学顕微鏡で観察可能であった成長方向に垂直な帯状ミクロ構造を含むと報告されている。次亜リン酸塩浴から無電解析出されたニッケルは、本質的に純粋なニッケルによって分離された、リンに富む孤立領域を包含すると報告されている。アニールされた無電解ニッケル付着は、観察可能なホウ化ニッケル又はリン化ニッケルの含有物を包含すると報告されており、これは透過電子顕微鏡を用いて観察可能である。
【0024】
「機能化分子」は、基材表面(又はコーティングされた基材表面)に化学結合によって結合する分子を指す。機能化分子は、結合した表面領域を不活性化することができる。不活性化するとは、機能化分子が表面に結合することで、表面の化学活性(例えば、無電解析出を引き起こす触媒活性)が低下することを意味する。多数の実施形態で、機能化分子類は自己集成された単層を形成する。材料を活性化された基材表面に印刷し、パターン化された無電解めっきのマスクとして機能させる実施形態では、材料には、バルク液体(例えば、バルク液体インキ)をエラストマープレートから基材表面へ転写する必要なくエラストマープレートを用いて印刷可能なことから、機能化分子が好ましい。一方、機能化分子は、分子がプレート内からプレートと基材表面との境界面へ分子拡散することでエラストマープレートから転写可能であり、高いパターン忠実度をもたらす。このような高いパターン忠実度は、バルクインキを印刷して達成するには比較的困難である。
【0025】
「自己集成された単層」は、表面に(例えば、化学結合によって)結合する、及び表面に対して好ましい配向で受け入れられて互いに対して平坦である、分子類の単一層を指す。自己集成された単層類は、表面を非常に完全に被覆するため、その表面の特性が変更されることが明らかにされている。例えば、自己集成された単層の適用は、エネルギーの低下を生じ得る。
【0026】
表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに好適な化学種の例としては、有機イオウ化合物類、シラン類、ホスホン酸類、ベンゾトリアゾール類、及びカルボン酸類などの有機化合物が挙げられる。このような化合物の例は、ウルマン(Ulman)による報告書に記載されている(A.ウルマン(A. Ulman)著、「自己集成された単層の形成及び構造(Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers)」、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、第96巻、1533〜1554ページ(1996年))。有機化合物に加えて、特定の有機金属化合物も表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに有用である。表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに好適な有機イオウ化合物類の例としては、アルキルチオール類、ジアルキルジスルフィド類、ジアルキルスルフィド類、アルキルキサントゲン酸塩類、及びジアルキルチオカルバメート類が挙げられる。表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに好適なシラン類の例としては、オルガノクロロシラン類及びオルガノアルコキシシラン類が挙げられる。表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに好適なホスホン酸分子類の例は、ペレリット(Pellerite)らにより論じられている(M.J.ペレリット(Pellerite)、T.D.ダンバー(Dunbar)、L.D.ボードマン(Boardman)、及びE.J.ウッド(Wood)著「アルミニウム上のアルカンホスホン酸からの自己集成された単層の形成におけるフッ素処理の効果:動力学及び構造(Effects of Fluorination on Self-Assembled Monolayer Formation from Alkanephosphonic Acids on Aluminum: Kinetics and Structure)」、ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリーB(Journal of Physical Chemistry B)、第107巻、11726〜11736ページ(2003年))。表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに好適な化学種としては、例えば、炭化水素化合物類、部分フッ素化炭化水素化合物類、又は全フッ素化化合物類が挙げられ得る。有用な自己集成された単層は、2つ以上の異なる化学種を包含できる。2つ以上の異なる化学種の使用において、化学種は自己集成された単層中に混合物として又は相分離したモルホロジーで存在してもよい。表面を(例えば、自己集成された単層の形で)機能化するのに有用な例証的分子には、例えば、(C〜C20)アルキルチオール類、又は(C10〜C20)アルキルチオール類、又は(C15〜C20)アルキルチオール類が挙げられる。アルキル基類は、直鎖又は分枝鎖であることができ、置換又は非置換であることができる。置換基は、自己集成された単層の形成を妨げないことが好ましい。
【0027】
用語「無電解析出」は、金属の自己触媒めっきのためのプロセスを指す。これは、可溶性形態の付着金属を還元剤と共に含有する無電解めっき溶液の使用を伴う。可溶性形態の付着金属は、通常は、イオン種又は無機錯体(すなわち、1つ以上の配位子に配位した金属種)である。無電解析出は、コーティングされている加工物への電流印加を必要としない。無電解めっきに伴う工程は、触媒表面(例えば、金属を触媒とする高分子フィルム基材表面)を有するフィルム基材の調製と、その後の適切なめっき浴への高分子フィルム基材の浸漬とを包含する。触媒表面は、溶液からの金属付着に触媒作用をもたらす。めっきは、一旦開始されると、溶液の金属源の連続的な還元によって進行し、それ自体の金属表面による触媒作用、つまり用語「自己触媒」を受ける。無電解析出を用いて形成可能な金属付着物には、銅、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、コバルト、亜鉛、並びにこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との合金、及びこれらの金属の相互の又はリン若しくはホウ素との化合物が挙げられる。好適な還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、アミノボラン、及び次亜リン酸塩が挙げられる。無電解析出の触媒に好適な金属表面の例としては、パラジウム、白金、ロジウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト、鉄、及びスズ、並びにこれら元素の相互の又はその他の元素との合金若しくは化合物が挙げられる。
【0028】
特に明記しない限り、本明細書と請求項で用いられている特徴的なサイズ、量、及び、物理的特性を表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって変更されることを理解されたい。したがって、特に記載のない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書で開示する教示を利用する当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0029】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及び、その範囲内のあらゆる範囲が含まれる。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容によって明確に別段の指示がなされていない場合は、複数の指示対象を有する実施形態にも及ぶ。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0031】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば二種以上の異なるモノマー類を使用して形成されたポリマー)、オリゴマー及びそれらの組み合わせ、並びに混和性ブレンド中に形成可能であるポリマー、オリゴマー又はコポリマーを含むものとして理解される。
【0032】
「レリーフパターン」を有するとは、表面が地形的パターン、例えば陥凹領域のパターン(例として、チャネル、壁、溝)又は隆起領域のパターン(例として、隆起線、柱、半球)を含むことを意味する。
【0033】
本開示は、基材上で付着金属をパターン化する方法、及び付着パターン化された物品に関する。幾つかの実施形態では、基材はその主表面の両方で平面であるか形状がなく、機能化分子は平面上にパターンとして印刷される。幾つかの実施形態では、基材はその主表面の一方又は両方にレリーフパターン(又は構造若しくはミクロ構造)を有し、機能化分子はレリーフパターンの隆起部分に印刷され、機能化分子のパターンを形成する。
【0034】
機能化分子は、レリーフパターンを有する印刷プレートを用いて、主表面の両方で平面であるか形状のない基材上に選択的に印刷され得る。印刷プレートのレリーフパターンの隆起部分によって、機能化分子は平面基材上に選択的に転写され、機能化分子のパターンが形成される。これらの印刷方法は、コンタクト又はマイクロコンタクトプリンティングとして知られており、エラストマーの印刷プレートを利用する。機能化分子類は、例えば無電解めっきにより、その後の追加にパターン化するマスクとして機能する。
【0035】
主表面にレリーフパターンを有する高分子フィルム基材は、構造化又はミクロ構造化されていると言われる。高分子フィルム基材は、例えば米国特許第5,932,150号、同第6,737,170号、同第6,788,463号、及び同第4,576,850号に記載されているような、成型及び硬化によるミクロ複製(cast-and-cure microreplication)又は型押しによって構造化され得る。これらの構造化されたフィルム基材は、構造化されたフィルム基材の隆起領域に選択的に配置(又は印刷)された機能化分子を有していてもよい。機能化分子類は、例えば無電解めっきにより、その後の追加にパターン化するマスクとして機能する。追加にパターン化すると、レリーフパターンの陥凹領域に金属が選択的に無電解析出する。このような付着金属をパターン化する方法は、レリーフパターンにより画定された金属パターン化の方法として説明される。これらの実施形態では、その中又はその上に機能化分子が配置された印刷プレートは、形状がなくてもよく、高分子フィルム基材上の機能化分子の印刷パターンは、高分子フィルム基材の隆起表面領域によって画定される。形状がないとは、プレートがフィルム基材表面上のレリーフ構造のスケールで平滑である(レリーフ構造を欠く)ことを意味する。これらの実施形態では、フィルム基材に対するプレートの滑りを制限する必要なく、機能化分子(例えば、自己集成された単層)を高分子フィルム表面上にパターンとして配置できる。マイクロコンタクトプリンティングでは、パターン忠実度を保つために、レリーフ構造化されたスタンプと平坦な基材とが滑りなく接触及び分離される。これは、非常に小さい形状寸法をロール・ツー・ロールで可撓性高分子フィルム基材上に連続的にマイクロコンタクトプリントしようとする場合に、困難なことがある。高分子フィルム基材及び小さい形状寸法のパターン(例えば、10μm未満、又は1μm未満)の連続マイクロコンタクトプリンティングをロール・ツー・ロールで実施することは、同期化(例えば、印刷プレート回転に関するウェブの前進の制御)に幾らかの困難を呈する。構造化された高分子フィルム基材を含む実施形態は、転写された機能化分子のパターンが印刷プレートのレリーフの組み合わせや基材との接触及び分離の詳細ではなくフィルム基材のレリーフ構造によって画定されるようにすることで、これらの同期化の問題を克服する。また、エラストマー材料は、機能化分子類(例えば、自己集成された単層類)の表面への転写に特に有用であるが、微小スケールのレリーフパターンで構造化されたときに印刷動作下で変形する傾向があり得る。構造化された高分子フィルム基材を含む実施形態は、高分子フィルム基材上の機能化分子のパターンが、潜在的により硬質な材料(エラストマーの印刷プレートではなく基材自体)によって画定されるようにし、機能化分子、その次には付着金属の最終的なパターン忠実度を一層確実とする。
【0036】
(形状のない又はレリーフパターンを有する)印刷プレートの形成に有用なエラストマーとしては、シリコーン類、ポリウレタン類、EPDMゴム類、並びに既存の市販のフレキソ印刷プレート材料の範囲(例えば、デュポン社(E. I. du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州ウィルミントン)から商標名シレル(Cyrel)(登録商標)として市販されている)が挙げられる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)は特に有用である。プレートは、複合材料から作製できる。エラストマーは、ゲル材料(例えば、共連続液体及び固体相)、例えばヒドロゲルであることができる。プレートは、別の材料、例えば、使用中にプレートの形状及び寸法を固定するためのより剛直な材料で、支持することができる。プレートは、機能化分子の転写中に活性化する(例えば、加熱する、又は超音波で推進する)ことができる。
【0037】
触媒材料(例えば、金属)は、高分子フィルム基材上に付着され、活性化された基材表面を形成する。触媒材料の付着物は、連続的又は不連続的であってもよく、例えば、元素金属、合金、金属間化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、及びこれらの組み合わせを含んもよい。機能化分子で(例えば、自己集成された単層の形で)選択的に不活性化され得る代表的な触媒表面(例えば、金属表面)としては、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、タンタル、並びにこれらの元素の混合物、合金、及び化合物が挙げられる。本開示で好ましい触媒材料は、パラジウム、金、白金、及び銀である。化学的耐久性(例えば、耐食性)の理由から、銀は、パラジウム、金、又は白金に比べて好ましくない。白金は、本開示で使用可能であるが、アルキルチオールでの機能化に時間がかかる可能性があり、不完全に終わることが多く、それによって印刷速度を遅らせ、しばしば非特異的なめっきを生じるため、パラジウム又は金に比べて好ましくない。パラジウムは、本開示において非常に薄い蒸着物(例えば、平均厚さが60オングストローム未満、又は50オングストローム未満、又は10オングストローム未満、又は5オングストローム未満)が発見されており、高い光学的透過性、無電解めっきに対する高い触媒活性、及びコンタクトプリンティングによる迅速な選択的機能化という好ましい組み合わせを提供し、非常に選択的で連続的な無電解めっきによる付着をもたらし、後でエッチング工程を行うことなく、付着金属パターンを光学的に透明な領域によって補完し得るため、金より好ましい。これらの高分子フィルム基材上の触媒金属コーティングの付着物は、例えば、1〜75オングストローム若しくは60オングストローム未満、又は50オングストローム未満、又は10オングストローム未満、又は5オングストローム未満など、いずれか有用な平均厚さを有することができる。多くの実施形態では、触媒金属コーティングの付着物は、連続的又は不連続的であり、1〜10オングストロームの範囲、好ましくは1〜5オングストロームの範囲の平均厚さを有する。幾つかの実施形態では、触媒金属コーティングは、不連続的であり、200オングストローム未満、又は100オングストローム未満、又は75オングストローム未満、又は60オングストローム未満の平均厚さを有する。触媒材料コーティングは、いずれか便利な方法を使用して付着可能である。多くの実施形態では、触媒材料コーティングは、例えば、スパッタリング、蒸発、又は化学蒸着などの蒸着法を使用して付着される。
【0038】
事前の研究により、液体から基材上に付着された触媒材料は、レリーフパターン化されたスタンプを用いたマイクロコンタクトプリンティングにより選択的に機能化され、その後ニッケル系伝導体のパターン化された無電解めっきに使用され得ることが示されている。無電解めっき用に触媒材料を付着するための液体としては、金属塩の溶液及びコロイド状分散が挙げられる。特定の基材、特にロール・ツー・ロール処理される高分子フィルム基材では、非常に薄い触媒材料の溶液付着は、蒸着よりも問題が多い場合がある。特に、触媒材料の高分子フィルム上への溶液付着は、液体を接触させた後、高分子フィルムの広大な表面積から液体を除去する必要がある。これに対し、蒸着(例えば、蒸発、スパッタリング、化学蒸着)は、大量の液体溶剤を取り扱うことなく、望ましい平均厚さに合わせて高比率で便利に用いることができる。また、蒸着は、金属混合物を含む組成物などの、触媒材料のより広範な組成物の付着に容易に適用可能である。
【0039】
図1A〜図1Fは、高分子フィルム基材105上で付着金属165をパターン化する例証的方法の概略図である。例示の実施形態では、高分子フィルム基材105は、平面又は形状のない主表面104を有する。多くの実施形態では、触媒材料の連続又は不連続層110は、60オングストローム未満、又は10オングストローム未満、又は5オングストローム未満の平均厚さで主表面104上に蒸着され(100)、活性化された基材表面106を形成する。幾つかの実施形態では、触媒材料の不連続層110は、200オングストローム未満、又は60オングストローム未満、又は10オングストローム未満、又は5オングストローム未満の平均厚さで主表面104上に付着され(100)、活性化された基材表面106を形成する。これらの実施形態の多くでは、触媒材料の不連続層110は主表面104上に蒸着され(100)、活性化された基材表面106を形成する。
【0040】
高分子フィルム基材105は、有用ないかなるポリマー材料からも形成することができる。多くの実施形態では、高分子フィルム基材105は、透明な高分子フィルム基材105である。高分子フィルム基材105は、ロール・ツー・ロール装置で加工されるための十分な機械的特性(例えば、強度及び可撓性)を有する好適な高分子材料から作製することができる。このようなポリマー類の例としては、熱可塑性ポリマー類が挙げられる。本開示で有用な熱可塑性ポリマー類の例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、及びビフェノール系又はナフタレン系の液晶ポリマーが挙げられる。有用な熱可塑性樹脂の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。これらのポリマー類のいくつかは、特にポリカーボネート及びポリエステルであるパターン化された伝導体(例えば、EMI遮蔽フィルム)を支持する特定のディスプレイ及びセンサー用途にとりわけ好適なものとする、光学的特性(例えば、透明性)も有する。これらのポリマーのその他は、特にポリイミド及び液晶ポリマーである、パターン化された伝導体(例えば、電子構成要素の支持及び相互接続)を支持する特定の電気回路用途にとりわけ好適なものとする、熱的及び電気的特性を有する。
【0041】
多くの実施形態では、基材の主表面104上に付着又は蒸着された触媒材料の連続又は不連続層110は、200オングストローム未満、又は60オングストローム未満、又は10オングストローム未満、又は5オングストローム未満の平均厚さを有する。平均厚さとは、基材の単位表面積あたりの蒸着材料の質量(例えば、グラム/平方センチメートル)を材料の密度(例えば、グラム/立方センチメートル)で割ることで算出した厚さを意味する。平均厚さは、基材ベースから材料を除去して溶解し、溶解溶液中の材料の濃度を原子吸光分光法で測定することで算出してもよい(V.シュボルチーク(V. Svorcfk)、P.スレピチカ(P. Slepicka)、J.シュボルチーコバ(J. Svorcfkova)、M.シュピールコバ(M. Spirkova)、J.ゼヘンター(J. Zehenter)、及びV.ナトビッチ(V. Hnatowicz)著、「ポリ(エチレンテレフタレート)上に蒸発及びスパッタ形成した金(Au)薄層の特性付け(Characterization of Evaporated and Sputtered Thin Au Layers on Poly(ethylene terephthalate))」、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)、第99巻、1698〜1704ページ(2006年)参照)。触媒材料の好ましい平均厚さは多くの要因に基づく。本明細書に記載の触媒材料の連続又は不連続層は、触媒材料上に機能化分子のマスクをコンタクトプリントした後、金属パターンを無電解めっきすることで金属をパターン化するプロセスに適用した場合、有用な光学的、電気的、及び化学的特性の組み合わせを示す。特に、付着された触媒材料の連続又は不連続層により、下に位置する基材が、高いシート抵抗(Rs)を有し、透明な基材に適用した場合、明所視透過率(Tvis)を最小限しか低下させず、高い触媒活性を示して連続的な無電解金属析出をもたらし得ることが望ましい。
【0042】
好ましくは、蒸着された触媒種材料(例えば、金属)のシート抵抗(Rs)は、10オーム/□より大きく、又は10オーム/□より大きく、又は1012オーム/□より大きい。10オーム/□より大きいRsを達成するには、触媒金属の形態の触媒材料は、基材の主表面上の適用範囲において好ましくは不連続である。金の平均厚さが約40オングストローム未満の場合のポリエステル基材上の金薄膜に関し、不連続モルホロジーが報告されている(V.シュボルチーク(V. Svorcfk)、P.スレピチカ(P. Slepicka)、J.シュボルチーコバ(J. Svorcfkova)、M.シュピールコバ(M. Spirkova)、J.ゼヘンター(J. Zehenter)、及びV.ナトビッチ(V. Hnatowicz)著、「ポリ(エチレンテレフタレート)上に蒸発及びスパッタ形成した金(Au)薄層の特性付け(Characterization of Evaporated and Sputtered Thin Au Layers on Poly(ethylene terephthalate))」、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)、第99巻、1698〜1704ページ(2006年))。多くの実施形態では、触媒材料の不連続的な付着を形成する触媒材料の別個の領域は、横方向にいずれの寸法を有していてもよいが、好ましい寸法は1オングストローム未満〜1000オングストローム、又は1オングストローム〜100オングストロームの範囲である。
【0043】
好ましくは、表面上透明な基材の明所視透過率(Tvis)は、触媒材料の付着により10%未満低下する(例えば、90%の初期Tvis値から80%以上の最終Tvis値へ低下する)、又は5%未満低下する(例えば、90%の初期Tvis値から85%以上の最終Tvis値へ低下する)、又は2%未満低下する(例えば、90%の初期Tvis値から88%以上の最終Tvis値へ低下する)、又は1%未満低下する(例えば、90%の初期Tvis値から89%以上の最終Tvis値へ低下する)。平均厚さが60オングストロームの金薄膜を表面上透明な基材ベース(例えば、基材ベースのTvis=90%)に追加すると、Tvisは約10%低下する。厚さが60〜0オングストロームの範囲の金の薄膜コーティングは、Tvisを約10%〜0%の値まで連続的に低下させる。
【0044】
(例えば、Rs又はTvisを最大限にするために)厚さを減らした触媒材料(例えば、金属)を使用するという上述の動機とは異なり、無電解めっきにはかなりの触媒活性が必要なことから、より厚い触媒材料を使用することが動機付けされる。驚くべきことに、本開示に従って蒸着された、平均厚さが60オングストローム未満の触媒材料は、高いRs、透明基材上に配置された場合のTvisに対する低い影響力、及び機能化分子のコンタクトプリンティングによりマスク可能な無電解めっきの高い活性を同時に示す。これらの非常に異なる特性にもかかわらず、厚さの成功範囲は特定されている。したがって、触媒材料の平均厚さは、60オングストローム未満であり、触媒材料の層が不連続層の場合は200オングストローム未満である。好ましくは、平均厚さは1オングストローム〜20オングストロームである。より好ましくは、平均厚さは2オングストローム〜10オングストロームである。厚さは、上述したような、薄膜蒸発器に制御システムを内蔵した水晶振動子マイクロバランスを用いて測定可能である。
【0045】
付着した触媒材料は、乾燥洗浄工程を用いて洗浄してもよい。このような洗浄工程は、触媒表面が使用前の保存中に汚染された場合に特に有用である。有用な乾燥洗浄工程(図示せず)の例としては、UVオゾン洗浄及びプラズマ洗浄(例えば、酸素プラズマ洗浄)が挙げられる。
【0046】
機能性材料131のパターンは、活性化された基材表面106上に選択的に形成又は印刷され(111)、機能化された領域132と機能化されていない領域133とを形成する。機能性材料131のパターンは、エラストマーであってもよいレリーフパターンを有する印刷プレート103を用いて、活性化表面106に選択的に印刷又は適用され得る。印刷プレート130は、印刷プレート130の隆起部分が活性化表面106と接触する部分で、機能性材料131を活性化表面106に転写する。多くの実施形態では、機能性材料131は、活性化表面106に適用されると、上述したような、自己集成された単層になる。
【0047】
選択的に機能化された高分子フィルム基材112は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液160に曝露される(113)。付着金属は、機能化されていない領域133上に選択的に付着されて(114)付着金属パターン165を形成することができる。1つの実施形態では、付着金属165は銅を包含し、触媒材料110はパラジウムから形成される。幾つかの実施形態では、機能性材料131の少なくとも一部は、付着金属165の付着後に除去できる(115)。
【0048】
図2A〜2Hは、高分子フィルム基材205上で付着材料265をパターン化する別の例証的方法の概略図である。例示の実施形態では、高分子フィルム基材205は、レリーフパターン又は構造化表面を備えた主表面204を有する。高分子フィルム基材205は機械工具220を使って複製され(200)、陥凹領域208と隣接する隆起領域206とを包含するレリーフパターンを備えた主表面204を有する構造化された高分子フィルム基材を形成する(211)。機械工具220は、高分子基材205の主表面204に(下向き矢印で示されるように)適用することができる。例示の実施形態では、機械工具220は、基材205内に延びるレリーフパターンの陥凹領域208を形成する。幾つかの実施形態では、陥凹領域208は一般に、0.1〜10μmの範囲の深さ及び0.25〜50μmの範囲の幅を有する平行なチャネルであり、隣接する平行な陥凹領域208との間の距離は100μm〜1cmの範囲である。
【0049】
高分子フィルム基材205は、上述したような、いかなる有用な高分子材料であってもよい。多くの実施形態では、高分子フィルム基材205は、ロール・ツー・ロール装置で利用可能な可撓性の高分子フィルムである。幾つかの実施形態では、高分子フィルム基材205は、上述したような、ロール・ツー・ロール装置で利用可能な可撓性の透明な高分子フィルムである。
【0050】
触媒材料210は、高分子フィルム基材205の隆起領域206と陥凹領域208とを包含する主表面204上に付着され(212)、活性化された基材表面203を形成する。多くの実施形態では、上述のように、触媒材料210は金属層であり、上述のように適用される。
【0051】
機能化分子231のパターンは、隆起領域206上に選択的に形成又は印刷され(213)、機能化された隆起領域232と機能化されていない陥凹領域233とを形成する。機能化分子231の層は、エラストマーであり得る形状のないプレート230で選択的に隆起領域206に適用され得る。形状のないプレート230は、形状のないプレート230が隆起領域206と接触する場所で、機能性材料231を隆起領域206に転写する。形状のないプレート230は陥凹領域208の表面と接触しないことから、形状のないプレート230は機能性材料231を陥凹領域208に転写しない。したがって、高分子フィルム基材205のレリーフ構造により、機能性材料231が高分子フィルム基材205に選択的に転写される領域が規定又は画定される。多くの実施形態では、機能化分子231は、活性化表面203に適用されると、上述したような、自己集成された単層の形になる。
【0052】
選択的に機能化された高分子フィルム基材214は、続いて可溶性形態の付着金属を包含する無電解めっき溶液260に曝露される(215)。付着金属は、機能化されていない陥凹領域233上に選択的に付着されて(216)付着金属パターン265を形成することができる。1つの実施形態では、付着金属265は銅を包含し、触媒材料210はパラジウムから形成される。幾つかの実施形態では、機能性材料231の少なくとも一部は、付着金属265の付着後に除去できる(217)。
【0053】
いずれの実施形態でも、高分子フィルム基材上の付着金属は、高分子フィルム表面上の領域形状及び領域寸法、並びに厚さを有するものとして表すことができる。幾つかの実施形態では、付着金属の領域形状は、高分子フィルム上に規則的な又は繰返しの幾何学的配置を示すことができ、例えば付着金属多角形の配列、又は多角形の配列を包含する別個の非付着領域の境界を画定する付着金属トレースのパターンを示すことができる。別の実施形態では、付着金属の形状は、基材上に無秩序な配置、例えば非付着領域の無定形形状の境界を画定するトレースの無秩序な網を示してもよい。更に他の実施形態では、付着金属の形状は、定形でも、繰返しでも、又は無秩序でもなく、対称又は繰返しの幾何学的要素を含むあるいは欠く特定のデザインの配置を示してもよい。1つの実施形態では、光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するための有用な付着金属の形状は、正方形のグリッドであり、これは幅、厚さ、及びピッチによって特徴づけられる付着金属のトレースを含む。光透過性の、EMI遮蔽材料を作製するためのその他の有用な形状としては、規則的な六角形(付着金属パターンが六角形の網である)を有し、密集して配置された開放領域を画定する連続金属トレースが挙げられる。正方形のグリッド状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した正方形領域の正方形の配列(グリッドに平行に配向)を含む。六角形の網状に連続金属トレースを製造するため、高分子フィルム基材のための有用なレリーフパターンは、隆起した六角形領域の(縁部が網状トレース方向に平行に配向された)六角形の配列を含む。要約すると、付着された伝導体のEMI遮蔽パターンを製造するためのいくつかの有用なレリーフパターンは、連続する陥凹領域によってそれぞれが囲まれる別個の隆起領域の配列を含む。
【0054】
いくつかの実施形態で、付着金属形状の最小領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの幅の場合、100nm〜1mm、又は500nm〜50μm、又は1μm〜25μm、又は1μm〜15μm、又は0.5〜10μmの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料の作製の例証的実施形態の1つでは、付着金属の線状トレースの幅は5μm〜15μm、又は0.25〜10μmの範囲であり、厚さは0.25〜10μm、又は1μm〜5μmの範囲であり、ピッチは25μm〜1mm、又は100〜500μmの範囲である。上記の付着金属形状の最大領域寸法は、例えば付着金属の線状トレースの長さの場合、1μm〜5m、又は10μm〜1mの範囲をとることができる。光透過EMI遮蔽材料、EMI遮蔽材料のシートを作製するには、例えば、付着金属の線状トレースの長さは1cm〜1mの範囲をとることができる。
【0055】
いくつかの実施形態で、高分子フィルム基材の主表面のレリーフパターンは、連続する隆起領域によって互いに隔離された線状トレースの形態の複数の陥凹領域を含む。上述のレリーフパターンを用いて本発明に従って製造できる付着金属のパターンは、電子的構成要素の支持又はセンシング用途に有用な、電気回路の形成に有用である。線状トレースとは、陥凹領域の少なくとも一部がその幅を少なくとも5倍超える長さによって特徴づけられる幾何学的形状を包含することを意味する。線状トレースは、直線又は曲線であってもよく、ある角度の湾曲を有してもよい。好ましくは、線状トレースは0.25〜50μmの幅及び0.1〜10μmの深さを有する。
【0056】
特定の用途では、付着金属でパターン化された基材は、導電性の形状又はトレース間に光を透過する領域を有する。このような用途の例には、パターン化された金属構造を備える透明な遮蔽フィルム、ディスプレイ用コンポーネント、及び透明なセンサーが挙げられる。材料、構成要素、アセンブリ、又は装置の光を透過する能力の有用な基準としては、明所視透過率(Tvis)が挙げられる。Tvisは、0%〜100%のパーセンテージで表され、明所視反応関数によって加重した、材料、構成要素、アセンブリ、又は装置を通過可能な可視スペクトル内の光の量を表す。Tvisは、光学式濃度計又は可視光線分光計を用いて測定することができる。Tvisは、通常、本質的に平坦な材料、構成要素、アセンブリ、又は装置について測定又は表示される。本質的に平坦な試料を透過する可視光線透過率は、正反射、吸収、散乱、及び導波によって低下し得る。散乱のない本質的に平坦な試料に一般に入射する光では、正反射及び吸収がTvis特性を決定する。正反射は、光が屈折率の異なる2つの媒体間の平坦な境界面を通過する場合に生じる。吸収は、通常は電子遷移又は原子振動遷移を介して、光エネルギーが別のエネルギー形態(例えば、熱)に変換される場合に生じる。バルク金属(例えば、センチメートルサイズの金属物)は透明ではない。しかしながら、金属を薄膜の形態(例えば、高分子フィルム基材上で100nm未満の厚さ)に調製すると、光は金属薄膜を通過することができる。金属薄膜を通過した光量は100%ではない。むしろ、光は正反射又は吸収によって減衰される。つまり、試料の材料、構成要素、アセンブリ、又は装置上の光路に金属が存在しても、必ずしも試料を通過する可視透過性が見込めないわけではない。金属が十分に薄い場合、相当量の光が透過可能である。
【0057】
基材の表面上でパターン化された伝導体を含む多くの用途では、伝導体の領域又はトレース間がある程度電気的に絶縁されることが望ましい。したがって、パターン化される伝導体は、通常は電気絶縁体上又は誘電体上に作製される。より導電性の低い基材上に支持された伝導体パターンの別個の導電領域の電気絶縁特性は、定量可能である。材料特性としてのバルク伝導度に加えて、パターン化される伝導体を作製可能な表面の電気伝導特性を有効に説明するのは、シート抵抗(Rs)と呼ばれる工学用語である。Rsは、オーム/□の単位で表される。導電性コーティングでは、Rsはバルク固有抵抗を厚さで除算することで求められる。絶縁基材上のコーティングのRsは、通常、多くの桁数(例えば、0.01〜1011オーム/□)にわたって異なる。伝導体パターンの導電領域間に必要な最低水準の絶縁、及びこれをもとにした伝導体パターンを支持する表面の最低限のシート抵抗は、用途に応じて異なる。最低でも、基材上でパターン化される導電性コーティングを包含する導電性パターンでは、(所望により基材ベースと導電性パターンとの間に配置された1つ以上のコーティングを包含する)基材のシート抵抗は、パターン化された伝導体コーティングのシート抵抗より少なくとも1桁高いべきである。好ましくは、基材のシート抵抗は、パターン化された伝導体のシート抵抗より2桁高く、更には3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12桁、又はそれ以上高いであろう。蒸着触媒層を含む絶縁基材上で伝導体パターンを作製し、このパターン化された伝導体の領域が、蒸着触媒材料層を含む基材のシート抵抗より低い、4桁を超えるシート抵抗を有することは、本開示の範囲内である。シート抵抗は、シート抵抗の大きさによって、非接触式渦電流プローブ、4点接触式プローブ、及び静電減衰器を用いて測定することができる。
【0058】
平行な付着金属のトレースを有するワイヤ偏光子構造の作製では、付着金属のトレースは、偏光される光の波長よりそれぞれ小さい、又は偏光される光の波長の3分の1よりそれぞれ小さい、幅及び間隔を有する必要がある。例えば、可視光線を偏光するには、トレース、及びトレース間の間隔は、400nm未満、又は150nm未満である必要がある。このような平行な付着金属のトレースは、本開示に従って平坦な基材上又は構造化された基材上のいずれにも作製可能である。後者の場合では、付着金属のパターンは、構造化された基材の陥凹領域によって画定されることができる。
【実施例】
【0059】
基材の調製
パラジウムをポリエチレンナフタレートのシート(デュポン社(E. I. du Pont de Nemours and Company)(デラウェア州ウィルミントン)から商品名テイジン(TEIJIN)及びテオネックス(TEONEX)Q65FAとして入手可能)上に蒸発器(CVCプロダクツモデル(Products Model)SC−4500、ビーコ・インストルメンツ社(Veeco Instruments, Inc.)(ニューヨーク州ウッドベリー))を用いて付着させた。付着の厚さは、6MHz金被覆水晶体(部品番号008−010−G10、インフィコン(Inficon)(ニューヨーク州イーストシラキュース))を備えた内蔵型水晶振動子マイクロバランスセンサー(クリスタルセンサー(Crystal Sensor)750−211−G1、インフィコン(Inficon)(ニューヨーク州イーストシラキュース))を有する付着コントローラ(インフィコン付着コントローラ(Inficon Deposition Controller)、インフィコン(Inficon)(ニューヨーク州イーストシラキュース))を用いて制御した。平均厚さは5オングストロームにプログラムした。明所視透過率は、光学式濃度計(ジョナサン・アレン(Jonathan Allen)、ニュージャージー州タイタスビル)で測定した結果、パラジウムの付着によって90%から88%に低下した。シート抵抗は、パラジウムの付着前後で10,000オーム/□を超えて測定された(モデル707Bコンダクタンスメータ(Model 707B Conductance Meter)、デルコン・インストルメンツ社(Delcon Instruments, Inc.)(ミネソタ州セントポールパーク))。
【0060】
機能化分子の印刷
約5cm×5cmの寸法を取ったポリジメチルシロキサンスタンプ(PDMS、ダウ・コーニング社(Dow Corning, Inc.)(ミシガン州ミッドランド)から商品名シルガード(SYLGARD)184として入手可能)を、同面積の原型工具で成型することにより作製した。原型工具は、フォトレジスト(SU−8、マイクロケム社(MicroChem Corporation)(マサチューセッツ州ニュートン))のパターンを支持するガラス板(コーニング(Corning)1737、コーニング社(Corning Inc.)(ニューヨーク州コーニング))であった。フォトレジストは、標準的なフォトリソグラフ法を用いてパターン化された。フォトレジストのパターンは、50μm以下の様々な幅及び間隔の線形状を包含した。PDMSを原型工具で成型し、室温で1週間硬化して、レリーフパターン化された表面を有するスタンプを得た。レリーフパターン化されたスタンプ表面を1−ヘキサデシルチオール機能化分子(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー))の7.9mMエチルアルコール溶液に5分間浸漬し、インキ処理したスタンプを得た。インキ処理したスタンプを、パラジウムを付着させた基材表面に30秒間接触させ、印刷処理した基材を得た。
【0061】
パターン化された無電解めっき
印刷処理した基材を46℃の無電解銅めっき浴(M−コッパー(M-COPPER)85C、マクダーミッド社(Mac Dermid, Inc.)(コネチカット州ウォーターベリー))に2分間浸漬した。無電解析出させた銅を、機能化分子で印刷されていない領域に選択的にめっきし、パターン化された金属物品を得た。機能化分子が印刷されていない領域では、無電解析出させた銅金属は連続的であった。機能化分子が印刷されていて、したがって無電解銅が付着していない領域は、めっき後も透明なままであった。走査電子顕微鏡を用いて得られた図3の顕微鏡写真に示すように、約2μmまでの幅を有する隔離された線状付着銅の形状が作製された。顕微鏡写真の明るい領域は、付着した銅である。
【0062】
上述したように、基材上で付着金属をパターン化する方法の実施形態が開示される。当業者には、開示された実施形態以外の実施形態も想定されることは理解されるであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基材を提供する工程と、
前記基材の主表面上に、触媒材料を60オングストローム未満の平均厚さで蒸着して、活性化された基材表面を形成する工程と、
前記活性化された基材表面上に機能化分子のパターンを印刷して、少なくとも1つの機能化された領域と少なくとも1つの機能化されていない領域とを形成する工程と、
前記機能化されていない領域上に付着金属を選択的に無電解析出させて、付着金属でパターン化された基材を形成する工程と、
を含んでなる、基材上で付着金属をパターン化する方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、透明な高分子フィルム基材を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸着する工程が、前記基材の前記主表面上に触媒材料を10オングストローム未満の平均厚さで蒸着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記提供する工程が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、及び液晶ポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成される高分子フィルム基材を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蒸着する工程が、前記基材の前記主表面上に、触媒材料の不連続層を60オングストローム未満の平均厚さで蒸着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸着する工程が、前記基材の前記主表面上に、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、並びにこれらの混合物、合金、及び化合物の群から選択される触媒材料を、60オングストローム未満の平均厚さで蒸着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷する工程が、前記活性化された基材表面上に自己集成された単層として機能化分子のパターンを印刷して、少なくとも1つの機能化された領域と少なくとも1つの機能化されていない領域とを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記蒸着する工程が、前記基材の明所視透過率Tvisを5%未満低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸着する工程が、10オーム/□より大きい前記活性化された基材のシート抵抗を生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記主表面がレリーフパターンを含み、前記レリーフパターンによって前記機能化分子のパターンが画定される基材の提供を、前記提供する工程が含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷する工程の前に前記活性化された基材表面を洗浄する工程を更に含み、そして前記洗浄する工程が、UVオゾン洗浄又はプラズマ洗浄を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷する工程が、エラストマープレートを用いて前記基材の前記主表面に機能化分子を接触転写することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
主表面を有する基材を提供する工程と、
前記基材の主表面上に触媒材料の不連続層を200オングストローム未満の平均厚さで付着させて、活性化された基材表面を形成する工程と、
前記活性化された基材表面上に機能化分子のパターンを印刷して、少なくとも1つの機能化された領域と少なくとも1つの機能化されていない領域とを形成する工程と、
前記機能化されていない領域に付着金属を選択的に無電解析出させて、付着金属でパターン化された基材を形成する工程と、
を含んでなる、基材上で付着金属をパターン化する方法。
【請求項14】
前記付着する工程が、前記基材の前記主表面上に触媒材料の不連続層を60オングストローム未満の平均厚さで蒸着して、活性化された基材表面を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
主表面を有する高分子フィルムと、
前記主表面上の触媒材料の不連続層と、
触媒材料の不連続層は、200オングストローム未満の平均厚さを有する、
前記触媒材料上の金属パターンと、
を含んでなる、物品。
【請求項16】
前記触媒材料の不連続層が、60オングストローム未満の平均厚さを有する、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記高分子フィルムが、透明な高分子フィルムである、請求項15に記載の物品。
【請求項18】
前記触媒材料が、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、並びにこれらの混合物、合金、及び化合物の群から選択される、請求項15に記載の物品。
【請求項19】
前記触媒材料の不連続層が、前記高分子フィルムの明所視透過率 Tvisを5%未満低下させる、請求項15に記載の物品。
【請求項20】
前記触媒材料の不連続層が、10オーム/□より大きいシート抵抗を有する、請求項15に記載の物品。
【請求項21】
前記主表面がレリーフパターンを含み、そして前記金属パターンが前記レリーフパターンによって画定される、請求項15に記載の物品。
【請求項22】
前記高分子フィルムが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、及び液晶ポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項15に記載の物品。
【請求項23】
前記金属パターンを支持していない領域の前記触媒材料が、機能化分子を支持する、請求項15に記載の物品。
【請求項24】
前記金属パターンを支持していない領域の前記触媒材料が、自己集成された単層を支持する、請求項15に記載の物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−513721(P2010−513721A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543037(P2009−543037)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/086577
【国際公開番号】WO2008/079617
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】