説明

基材処理装置および基材処理方法

【課題】プラスチック基材上に供給された第1液を十分に液切りした後、プラスチック上に第2液を供給する。
【解決手段】基材処理装置10は連続的に供給される帯状のカラーフィルター用プラスチック基材2に対して第1液Aを供給する第1液供給ノズル13を含む第1液室11と、第1液室11内で第1液Aが供給されたプラスチック基材2に対して第2液Bを供給する第2液供給ノズル23を含む第2液室21との間に、第1液室11からの第1処理位置P1にあるプラスチック基材2を第1処理位置P1より高い上昇位置P3まで上昇させる段差形成江アリ30が設けられている。段差形成エリア30において上昇位置P3をとるプラスチック基材2は、その後第2液室21へ送られて第2処理位置P2まで降下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用基材上に、例えば現像液(第1液)と例えばリンス液(第2液)を供給する基材処理装置および基材処理方法に係り、とりわけ第1液を十分液切りした後基材に対して第2液を供給することができる基材処理装置および基材処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルにおいて、プラスチック材料を基材として、その一面に、パターニングされたブラックマトリックス、並びに、複数の赤色画素、緑色画素、および青色画素を配設したカラーフィルターが開発されている。このように、基材をプラスチック製とすることにより、カラーフィルターを薄型化、低コスト化するとともに、基材が割れることを防止している(特許文献1および2参照)。
【0003】
このようなカラーフィルターはプラスチック基材に対して感光性材料を塗布し、感光性材料を露光し現像して赤色画素、緑色画素および青色画素を形成することにより得られる。カラーフィルターの製造にあたり、上述のようにプラスチック基材上に設けられた感光性材料に対して露光し現像する必要があるが、現像工程においてプラスチック基材上に現像液(第1液)を供給した後、プラスチック基材上にリンス液(第2液)を供給してプラスチック基材を洗浄している。
【0004】
しかしながら、プラスチック基材上の現像液が十分に液切りされない場合、この現像液がプラスチック基材上で乾燥し、乾燥した現像液がリンス液によって十分に除去できないことがある。
【0005】
あるいはプラスチック基材上にある薬液(第1液)を供給した後、プラスチック基材上に他の薬液(第2液)を供給した場合、第1液と第2液が混合してプラスチック基材に対して十分な処理を行なうことができない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−177551号公報
【特許文献2】特開2003−66423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基材上に、第1液を供給した後、この第1液を十分に液切りした後、基材上に第2液を供給することができる基材処理装置および基材処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、連続的に供給される帯状のカラーフィルター用基材に対して第1液を供給する第1液供給部を含む第1液室と、前記第1液室内で前記第1液が供給された前記基材に対して第2液を供給する第2液供給部を含む第2液室を備え、前記第1液室と前記第2液室は互いに水平方向に並んで配置され、前記第1液室において前記基材は第1処理位置をとり、前記第2液室において前記基材は第2処理位置をとり、前記第1液室と前記第2液室との間に、前記第1液室からの前記基材を前記第1処理位置および前記第2処理位置より高い上昇位置までもってきて前記基材上の第1液を液切りした後、前記第2液室へ送る段差形成エリアを設けたことを特徴とする基材処理装置である。
【0009】
本発明は、前記第1液室は前記基材を前記第1処理位置において搬送する複数の第1搬送ローラを有し、前記第2液室は前記基材を前記第2処理位置において搬送する複数の第2搬送ローラを有し、前記段差形成エリアには、前記第1搬送ローラおよび前記第2搬送ローラより高い位置にある上昇ローラが設けられ、前記段差形成エリアにおいて前記基材を上昇位置までもってくることを特徴とする基材処理装置である。
【0010】
本発明は、前記第1液室は前記基材を前記第1処理位置において搬送する複数の第1搬送ローラを有し、前記第2液室は前記基材を前記第2処理位置において搬送する複数の第2搬送ローラを有し、前記第1液室内の出口側に前記第1搬送ローラより高い位置にある第1上昇ローラを設け、前記第2液室内の入口側に前記第2搬送ローラより高い位置にある第2上昇ローラを設け、前記段差形成エリアにおいて前記基材を上昇位置までもってくることを特徴とする基材処理装置である。
【0011】
本発明は、上記記載の基材処理装置を用いた基材処理方法において、第1液室内に連続的に供給され第1処理位置をとる帯状のカラーフィルター用基材に対して第1液供給部から第1液を供給する工程と、前記第1液室内で前記第1液が供給された前記基材を前記段差形成エリアへ送り前記第1処理位置より高い上昇位置までもってきて、前記基材上の前記第1液を液切りする工程と、前記段差形成エリア内の基材を第2液室へ送り、前記上昇位置より低い第2処理位置まで降下させた後、第2液供給部から第2液を供給する工程と、を備えたことを特徴とする基材処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1液室内で第1液が供給された基材を段差形成エリアへ送り、この段差形成エリア内で基材を第1液室の第1処理位置より高い上昇位置までもってくることができる。このため基材上の第1液を十分液切りした後、第2液室へ送り、第2液室内において基材上に第2液を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における基材処理装置を示す図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における段差形成エリアを示す斜視図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態における基材処理装置の第1液室を示す概略断面図。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態における基材処理装置の第1液室を示す正面図。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態において得られるカラーフィルターを示す図。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態における基材処理装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1乃至図5は、本発明の第1の実施の形態における基材処理装置および基材処理方法を示す図である。
【0015】
まず、図5により本実施の形態における基材処理装置および基材処理方法により得られるカラーフィルター1の断面構成について説明する。
【0016】
図5に示すように、本実施の形態における基材処理装置および基材処理方法により得られるカラーフィルター1は、プラスチック基材2と、このプラスチック基材2上に形成され、複数のバンク(隔壁)3bを含むブラックマトリックス3とを備えている。このうちブラックマトリックス3は、複数のバンク3bによって形成された略矩形状の複数の開口部3cを有している。このような、ブラックマトリックス3は、感光性を有する感光性樹脂材料(以下、「感光性材料」とも言う)によりパターニングされた感光性材料層3aからなっている。
【0017】
通常、プラスチック基材2上のブラックマトリックス3の各開口部3c内に、複数色の画素が形成されている。すなわち、ブラックマトリックス3の各開口部3c内に、赤色(R)画素用感光性材料、緑色(G)画素用感光性材料、および青色(B)画素用感光性材料により、複数の赤色画素4、緑色画素5、および青色画素6が形成されている。各画素4、5、6の配列は、図示しないが、ストライプ配列、デルタ配列(トライアングル配列)、正方配列(四画素配列)等の公知の配列とすることができる。このように異なる色を有した三つの隣り合う画素によって、画面上における一つの表示画素が形成されるようになっている。更に、黄色画素(図示せず)等を追加して4色以上の画素が形成されるようにしても良い。
【0018】
また、これらの画素4、5、6は、保護層7で覆われている。この保護層7上に、インジウム錫酸化物(ITO(Indium Tin Oxide))からなる透明電極膜8が形成されている。
【0019】
このようなカラーフィルター1は、例えば、各画素4、5、6に対応して配列されたTFT等のスイッチング素子と液晶層とを含む液晶素子、および面光源と組み合わされて、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」とも言う)、または電子ペーパー等に用いられる。この構成において、液晶はスイッチング素子によって制御されてシャッターとして機能し、面光源からの光を所望の色の画素のみを介して出射させる。このようにして、画面上にカラー映像が表示されるにようになっている。
【0020】
次に、カラーフィルター1の各構成部材の材料について説明する。
【0021】
プラスチック基材2に用いる材料としては、LCD用途では、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートが、高耐熱性、低吸水率、低リタデーションのため好ましい。電子ペーパー用途では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが、量産品で低コストのため好ましい。これ以外にも、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンナフトール、ポリイミド、有機無機複合樹脂が、高耐熱性を有しているため用いることができる。また、プラスチック基材2の厚さは、50〜300μmであることが好ましく、とりわけ、ハンドリングのしやすさから、100μm程度であることが好ましい。このことにより、製造工程を終了したプラスチック基材2をロール状に巻き付けることができるとともに、必要な強度を確保することができる。
【0022】
感光性材料層3aを形成する感光性材料としては、遮光性を有する黒色の顔料と溶剤と接合性樹脂(バインダー)とを含む顔料分散型の感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。また、各色の画素用感光性材料としては、同様にして、各色の顔料を分散させた感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0023】
このようなカラーフィルター1を製造する場合、まずプラスチック基材2上にブラックマトリック3を形成する。この場合プラスチック基材2上に感光性材料を塗布し、感光性材料を露光した後、現像液を感光性材料に供給する。そしてリンス液によりプラスチック基材を洗浄する。このことによりプラスチック基材2上にブラックマトリック3を形成することができる。
【0024】
同様にしてプラスチック基材2上に、順次赤色画素4、緑色画素5および青色画素6を形成することができる。
【0025】
本発明による基材処理装置および基材処理方法は、上述したプラスチック基材上の感光性材料を現像液で現像し、リンス液を用いてリンスするものである。あるいはカラーフィルターの製造工程において、本発明による基材処理装置および基材処理方法を用いて、プラスチック基材上の配線層に対してエッチング処理を行ってもよい。
【0026】
以下、本発明による基材処理装置および基材処理方法について述べる。
【0027】
図1乃至図4に示すように、基材処理装置10は連続的に供給される帯状のカラーフィルター用プラスチック基材2を受け入れるとともに、プラスチック基材2に対して、例えば現像液等の第1液Aを供給する第1液供給ノズル(第1液供給部)13を含む第1液室11と、第1液室11内で第1液Aが供給されたプラスチック基材2を受け入れるとともに、プラスチック基材2に対して、例えば水等のリンス液(第2液)Bを供給する第2液供給ノズル(第1液供給部)13を含む第2液室21とを備えている。
【0028】
この場合、第1液室11内に供給されるプラスチック基材2上には予め感光性材料が塗布されており、第1液室11の前工程において感光性材料に対して所望パターンを有するマスクを用いて露光処理が施されている。
【0029】
次に第1液室11および第2液室21について詳述する。
【0030】
第1液室11と第2液室21は、略同一の構造をもっているため、ここでは、第1液室11について説明する。
【0031】
図3および図4に示すように、第1液室11は、密閉タイプの第1液室本体11Aと、第1液室本体11Aに配置されプラスチック基材2を搬送する複数の第1搬送ローラ12aとを有している。また第1液室本体11A内上部には上述したように、第1液Aをプラスチック基材2に対して供給する複数の第1液供給ノズル13が配置され、各液供給ノズル13は第1液供給ヘッダー14に取り付けられている。
【0032】
また第1液室本体11Aには、プラスチック基材2が供給される供給口11aと、プラスチック基材2が排出される排出口11bとが設けられている。
【0033】
さらに第1液室本体11Aの底部には、第1液室本体11Aからの第1液Aを受け、この第1液Aを貯留する第1液タンク16が接続されており、第1液タンク16内の第1液Aはポンプ17を有する送りライン18を介して第1液供給ヘッダー14に送られる。そして第1液供給ヘッダー14に取付けられた各第1液供給ノズル13から第1液Aがプラスチック基材2上に供給される。
【0034】
なお、第1液室11の第1液室本体11Aおよび第2液室21の第2液室本体21Aは、いずれも覆いカバー10Aにより一体として覆われている。
【0035】
また第1液室11内において、プラスチック基材2は第1搬送ローラ12aによって第1処理位置P1をとるとともに、水平方向に搬送され、この間プラスチック基材2に対して第1液供給ノズル13から第1液Aが供給される。
【0036】
同様に第2液室21内において、プラスチック基材2は第2搬送ローラ22aによって第2処理位置P2をとるとともに、水平方向に搬送され、この間プラスチック基材2に対して第2液供給ノズルから第2液Bが供給される。この場合、第1液室11内の第1処理位置P1と、第2液室21内の第2処理位置P2は同一の高さをもつが、この第1処理位置P1と第2処理位置P2は互いに異なっていてもよい。
【0037】
また第1液室11の第1液室本体11Aと第2液室21の第2液室本体21Aは、水平方向に並んで配置されている。
【0038】
また第1液室11の第1液室本体11Aと第2液室21の第2液室本体21Aとの間に、第1液室本体21Aから排出されたプラスチック基材2を第1処理位置P1および第2処理位置P2より高い上昇位置P3までもってきて、プラスチック基材2上の第1液Aを第1液室11の第1液室本体11A側へ戻す段差形成エリア30が設けられている。
【0039】
そして段差形成エリア30内の上昇位置P3をとるプラスチック基材2は、その後降下して第2液室21の第2液室本体21A側へ送られ、第2処理位置P2をとるようになっている。
【0040】
すなわち、図1および図2に示すように、第1液室11の第1液室本体11A内にはプラスチック基材2を第1処理位置P1において搬送する複数の第1搬送ローラ12aが設けられ、出口側の第1搬送ローラ12a上に、この第1搬送ローラ12aとともにプラスチック基材2を狭持する押えローラ12bが設けられている。そして出口側の第1搬送ローラ12aおよび押えローラ12bの下流側であって押えローラ12bより上方の第1液室本体11A内にプラスチック基材2を上昇位置P3まで上昇させる上昇ローラ31が設けられている。
【0041】
また第2液室21は、密閉タイプの第2液室本体21Aと、第2液室本体21Aに配置されプラスチック基材2を搬送する複数の第2搬送ローラ22aとを有している。また第2液室本体21A内上部には上述したように、第2液Bをプラスチック基材2に対して供給する複数の第2液供給ノズル23が配置され、各液供給ノズル23は第2液供給ヘッダー24に取り付けられている。
【0042】
第2液室21のその他の構成は、第1液室11の構成と略同一である。
【0043】
また図1および図2に示すように、第2液室21の第2液室本体21A内にはプラスチック基材2を第2処理位置P2において搬送する複数の第2搬送ローラ22aが設けられ、入口側の第2搬送ローラ22a上にこの第2搬送ローラ22aとともにプラスチック基材2を狭持する押えローラ22bが設けられている。そして入口側の第2搬送ローラ22aおよび押えローラ22bの上流側であって押えローラ22bより上方の第2液室本体21A内にプラスチック基材2を上昇位置P3に保つ上昇ローラ32が設けられている。
【0044】
このように第1液室11の第1液室本体11A内に上昇ローラ31を設け、第2液室21の第2液室本体21A内に上昇ローラ32を設けることにより、第1液室本体11Aと第2液室本体21Aとの間の段差形成エリア30においてプラスチック基材2を第1処理位置P1および第2処理位置P2のいずれもよりも高い上昇位置P3までもってくることができる。このため、第1プラスチック基材2上の第1液Aを第1液室11の第1液室本体11A側へ戻すことができる。
【0045】
同様にして第2液室21の第2液室本体21A内において供給された第2液Bが、プラスチック基材2を伝って第1液室11の第1液室本体11A側へ移行することもない。
【0046】
次のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0047】
まず前工程においてプラスチック基材2上に感光性材料が塗布され、この感光性材料に対して所望パターンを有するマスクを用いて露光処理が行われる。
【0048】
次にプラスチック基材2が第1液室11の第1液室本体11A内に供給口11aを介して供給され、第1液室本体11A内においてプラスチック基材2は第1搬送ローラ12aにより第1処理位置P1をとって搬送される。この間、第1液室本体11A内において、プラスチック基材2に対して第1液供給ノズル13から現像液(第1液)Aが供給され、プラスチック基材2上の感光性材料が現像される。
【0049】
次に第1液室本体11A内のプラスチック基材2は、出口側の第1搬送ローラ12aと押えローラ12bとの間で狭持された後、上昇ローラ31により第1液室本体11A内で上昇位置P3まで上昇する。
【0050】
第1液室本体11Aにおいてプラスチック基材2が第1処理位置P1から上昇位置P3まで上昇する間、プラスチック基材2上の第1液Aを下流側に戻し、このことによりプラスチック基材2上の第1液Aを効果的に水切り(あるいは液切りともいう)することができる。
【0051】
次に第1液室本体11A内のプラスチック基材2は、排出口11bから段差形成エリア30側へ送られ、この段差形成エリア30内において上昇位置P3を維持する。
【0052】
その後、プラスチック基材2は段差形成エリア30から第2液室21の第2液室本体21A内に供給され、第2液室本体21A内の上昇ローラ32を通った後、第2液室本体21A内の搬送ローラ22aおよび押えローラ22bにより狭持されて第2処理位置P2をとる。
【0053】
第2液室本体21A内において、プラスチック基材2は第2搬送ローラ22aにより第2処理位置P2をとって搬送される。この間、第2液室21A内において、プラスチック基材2に対して第2液供給ノズル23から水等のリンス液(第2液)Bが供給され、プラスチック基材2上に不要な感光性材料等の不純物が洗浄される。
【0054】
この場合、第2液室本体21A内において、プラスチック基材2は第2処理位置P2をとるので、第2液室本体21A内でプラスチック基材2に対して供給された第2液Bがプラスチック基材2を伝って第1液室本体11A側へ移行することもない。
【0055】
以上のように本実施の形態によれば、第1液室11の第1液室本体11A内で第1処理位置P1をとって搬送されたプラスチック基材2に対して第1液Aを供給する。その後プラスチック基材2を第1液室本体11A内で第1処理位置P1より高い上昇位置P3までもってくることにより、プラスチック基材2上に残る第1液Aを下流側に戻し、プラスチック基材2上の第1液Aを効果的に水切り(あるいは液切りともいう)することができる。
なお、上記実施の形態において、カラーフィルター用基材として、プラスチック基材2を用いた例を示したが、これに限らず、プラスチック基材2の代わりにガラス基材を用いても良い。
このようなガラス基材としては、例えば、無アルカリガラス(日本電気硝子製 OA−10G)のような材料を用いることができる。
【0056】
第2の実施の形態
本発明において、第1液室11内で第1液Aが供給された基材2を段差形成エリアへ送り、この段差形成エリア30内で基材2を第1液室11の第1処理位置P1より高い上昇位置P3までもってくることができ、基材2上の第1液Aを十分液切りした後、第2液室21へ送り、第2液室21内において基材2上に第2液Bを供給することができれば、上記第1の実施の形態に限られない。次に図6により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0057】
図6に示す第2の実施の形態は、第1液室本体11Aおよび第2液室本体21Aの各々に上昇ローラ31、32を設ける代わりに、第1液室本体11Aと第2液室本体21Aとの間の段差形成エリア30内に、第1液室本体11Aおよび第2液室本21Aの外方に位置する上昇ローラ33を設けたものであり、他の構成は図1乃至図5に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0058】
図6に示す第2の実施の形態において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図6に示す第2の実施の形態において、まず前工程においてプラスチック基材2上に感光性材料が塗布され、この感光性材料に対して所望パターンを有するマスクを用いて露光処理が行われる。
【0060】
次にプラスチック基材2が第1液室11の第1液室本体11A内に供給口11aを介して供給され、第1液室本体11A内においてプラスチック基材2は第1搬送ローラ12aにより第1処理位置P1をとって搬送される。この間、第1液室本体11A内において、プラスチック基材2に対して第1液供給ノズル13から現像液(第1液)Aが供給され、プラスチック基材2上の感光性材料が現像される。
【0061】
次に第1液室本体11A内のプラスチック基材2は、出口側の第1搬送ローラ12aと押えローラ12bとの間で狭持された後、排出口11bから段差形成エリア30側へ送られ、上昇ローラ33により段差形成エリア30において上昇位置P3まで上昇する。
【0062】
第1液室本体11Aにおいて第1処理位置P1をとるプラスチック基材2が段差形成エリア30内において上昇位置P3まで上昇する間、プラスチック基材2上の第1液Aを下流側に戻し、このことによりプラスチック基材2上の第1液Aを効果的に水切りすることができる。
【0063】
その後、プラスチック基材2は段差形成エリア30から第2液室21の第2液室本体21A内に供給され、第2液室本体21A内の搬送ローラ22aおよび押えローラ22bにより狭持されて第2処理位置P2をとる。
【0064】
第2液室本体21A内において、プラスチック基材2は第2搬送ローラ22aにより第2処理位置P2をとって搬送される。この間、第2液室21A内において、プラスチック基材2に対して第2液供給ノズル23から水等のリンス液(第2液)Bが供給され、プラスチック基材2上に不要な感光性材料等の不純物が洗浄される。
【0065】
この場合、第2液室本体21A内において、プラスチック基材2は第2処理位置P2をとるので、第2液室本体21A内でプラスチック基材2に対して供給された第2液Bがプラスチック基材2を伝って第1液室本体11A側へ移行することもない。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、第1液室11の第1液室本体11A内で第1処理位置P1をとって搬送されたプラスチック基材2に対して第1液Aを供給する。その後プラスチック基材2を段差形成エリア30内において第1処理位置P1より高い上昇位置P3までもってくることにより、プラスチック基材2上に残る第1液Aを下流側に戻し、プラスチック基材2上の第1液Aを効果的に水切りすることができる。また、上記第1の実施の形態に比べて、段差形成エリア30の構造が簡素化されており、そのため設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0067】
なお、上記各実施例において、第1液Aとして現像液を用い、第2液Bとしてリンス液を用いた例を示したが、これに限らず基材処理装置をプラスチック基材2上に形成された配線層を感光性材料をマスクとしてエッチングするエッチング処理装置として用いてもよい。この場合第1液Aとしてエッチング液を用いることができ、第2液Bとして不要な配線層を除去するリンス液を用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
10 基材処理装置
10A 覆いカバー
11 第1液室
11A 第1液室本体
12a 第1搬送ローラ
12b 押えローラ
13 第1液供給ノズル
14 第1液供給ヘッダー
16 第1液タンク
17 ポンプ
18 送りライン
21 第2液室
21A 第2液室本体
22a 第1搬送ローラ
22b 押えローラ
23 第1液供給ノズル
24 第1液供給ヘッダー
30 段差形成エリア
31、32、33 上昇ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給される帯状のカラーフィルター用基材に対して第1液を供給する第1液供給部を含む第1液室と、
前記第1液室内で前記第1液が供給された前記基材に対して第2液を供給する第2液供給部を含む第2液室を備え、
前記第1液室と前記第2液室は互いに水平方向に並んで配置され、前記第1液室において前記基材は第1処理位置をとり、前記第2液室において前記基材は第2処理位置をとり、
前記第1液室と前記第2液室との間に、前記第1液室からの前記基材を第1処理位置および前記第2処理位置より高い上昇位置までもってきて前記基材上の第1液を液切りした後、前記第2液室へ送る段差形成エリアを設けたことを特徴とする基材処理装置。
【請求項2】
前記第1液室は前記基材を前記第1処理位置において搬送する複数の第1搬送ローラを有し、前記第2液室は前記基材を前記第2処理位置において搬送する複数の第2搬送ローラを有し、
前記段差形成エリアには、前記第1搬送ローラおよび前記第2搬送ローラより高い位置にある上昇ローラが設けられ、前記段差形成エリアにおいて前記基材を上昇位置までもってくることを特徴とする請求項1記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記第1液室は前記基材を前記第1処理位置において搬送する複数の第1搬送ローラを有し、前記第2液室は前記基材を前記第2処理位置において搬送する複数の第2搬送ローラを有し、
前記第1液室内の出口側に前記第1搬送ローラより高い位置にある第1上昇ローラを設け、前記第2液室内の入口側に前記第2搬送ローラより高い位置にある第2上昇ローラを設け、前記段差形成エリアにおいて前記基材を上昇位置までもってくることを特徴とする請求項1記載の基材処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の基材処理装置を用いた基材処理方法において、
第1液室内に連続的に供給され第1処理位置をとる帯状のカラーフィルター用基材に対して第1液供給部から第1液を供給する工程と、
前記第1液室内で前記第1液が供給された前記基材を段差形成エリアへ送り前記第1処理位置より高い上昇位置までもってきて、前記基材上の前記第1液を液切りする工程と、
前記段差形成エリア内の基材を第2液室へ送り、前記上昇位置より低い第2処理位置まで降下させた後、第2液供給部から第2液を供給する工程と、
を備えたことを特徴とする基材処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220936(P2012−220936A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90245(P2011−90245)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】