説明

基材被覆用のポリアミドベースの多層構造体

【課題】基材被覆用のポリアミドベースの多層構造物と、この構造物で被覆された基材から成る物品。
【解決手段】下記の(a)〜(c)の層をこの順番で有し、各層は互いに十分に近い熱機械的挙動(温度を関数とする剛性)を有し、加熱下に容易に成形して構造物にすることができる多層構造物:
(a)少なくとも9個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸の縮合か、少なくとも一方が少なくとも9個の炭素原子を有するジアミンと二酸との縮合かのいずれかで得られる透明なポリアミドから成る上側層、
(b)基材と接着可能な下側層、および
(c)上側層と下側層との間に配置される任意成分としての中間結合層(中心層ともよばれる)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材を被覆するためのポリアミドベースの多層構造体に関するものである。
本発明の多層構造体は審美性および耐久性に優れ、予め熱成形された状態またはされていない状態でオーバーモールド(多色成形)または積層操作等によって基材(一般にリジッドな基材)上に一体化および/または固定できる。
【背景技術】
【0002】
上記の多層構造体は上側層(または面)と基材と接する下側層(または面)とを有する。厚さが約0.5〜1mm以下の場合、その多層構造体はフィルムまたはシートともよばれる。この多層構造体を上側層が金型内壁と接した状態で射出成型用金型内に配置し、溶融状態の基材を下側層の側に射出する。多層構造体を予め熱成形した後に金型内に配置することもできる。冷却後、金型を開い本発明の多層構造体で被覆された基材を取り出す。
こうした多層構造体は下記の特性を全て有していなければならない:
(1)多層構造体の上側面は外観に優れ、例えば光沢またはその逆の艶消し模様、(粒状表面または鏡面表面)の外観を有する必要がある。すなわち、平滑・光沢表面(十分に高温の平滑金属金型壁と接触)にするか、艶消し表面(十分に高温の艶消し・粒状金属金型壁と接触)にするか、ブラシ処理状の外観にする必要がある。この表面外観は一般に物品の製造中、例えばシート多色成形の好ましくは最後段階に(Tg以上の温度で)に与えるのが好ましい。
【0003】
(2)多層構造体の上側面は美しい彩色を有していなければならない(従って、透明性に優れ、下側の着色が奥行きのある効果およびワニスをかけたような外観を示す必要がある)。
(3)多層構造体の上側面は機械的な攻撃すなわち衝撃、摩耗(紙ヤスリ、たわし)、ノック、切断に耐えなければならない(表面の火炎−ブラシ処理で修復/再光沢化ができることを要求される場合もある)。この耐久性は審美的観点から材料のロスが少ない、換言すれば機械的攻撃、例えばほつれ(effilochage)が全く目に見えないとういことを意味している。
(4)多層構造体の上側面は化学的攻撃および応力亀裂に耐えなければならない。耐薬品性としては例えば洗剤、溶剤、油、例えば自動車のエンジンオイル、自動車のフロントガラス洗浄液、バッテリー液等に対する耐久性を意味する。
(5)多層構造体の上側面は紫外線、太陽光による攻撃に耐えなければならない(黄変せず、機械的挙動が維持される)。
【0004】
(6)多層構造体の上側面は後で修復可能でなければならない。より正確には、簡単な表面加熱操作、例えば火炎ブラシ処理で再度光沢を出すことができなければならない。これは好ましい利点であるが、必須ではない。
(7)多層構造体は熱成形に適した加熱機械挙動を有していなければならない。特に融点以下で容易に熱間変形できることが必要である。
(8)多層構造体の上側面は高温環境下で許容できない程度に変形してはならない。
(9)多層構造体の上側面は湿気の作用で許容できない程度に変形してはならず、その物理的および化学的特性は湿気変化に対して緩やかでなくてはならない。
【0005】
(10)多層構造体の下側面は基材と接着できなければならない。基材は一般に多色成形段階で形成される。基材は一般にPP、PA6またはスチレンポリマー、例えばABSで、これらのポリマーは一般にガラス繊維または鉱物繊維で強化される。この基材は十分にリジッドな完成部品(ボディウイング、エンジンカバー、ダッシュボードの一部)を得るのに必要である。他の基材や他の技術を使用することもでき、例えば基材はメタルメッシュ、マット、繊維、複合材料で作ることができ、シートと基材との結合技術としては例えばラミネーションを使うことができる。
(11)多層構造体のシートは全ての層が互いに良く接着し、接着が耐久性を有していなければならない。
【0006】
必ずしも必要ではないが、上側面を昇華印刷(その他任意の方法)で装飾できることが有利である。
必ずしも必要ではないが、下側面を昇華印刷またはスクリーン印刷(その他任意の方法)で装飾できることが有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来法には外側面(上側面)が非晶質ポリマー、例えばポリカーボネート(PC)、PMMAおよびMABS(MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)から成る部品(pieces d'aspect)がある。しかし、この部品は耐薬品性、耐応力亀裂性および紫外線抵抗性が不十分である。
従来法には外側面が塗料および/またはワニスから成る部品(pieces d'aspect)がある。衝撃強度は上記の従来法よりも高いが、ワニスに関係する溶剤の問題が存在する。
【0008】
従来法には外側面がPA−6、PA−6,6またはこれらのアロイから成るタイプの半結晶ポリマーから成る部品(pieces d'aspect)がある。しかし、この部品ではC6ポリアミドの水の吸収量が多いため、寸法のばらつきが過度に大きく、表面外観が美しくない。さらに、上記PAの耐ZnCl2性には限界がある。
従来法には外側面がPVDFまたはそのPMMAとのアロイからなるタイプの半結晶ポリマーから成る部品(pieces d'aspect)がある。しかし、この部品は粒状表面仕上げまたは鏡面仕上げができない。しかも、耐スクラッチ性がポリアミドよりも劣っている。
従来法には外側面がポリプロピレン、ポリアセタール(POM)、PBTまたはこれらのアロイからなるタイプの半結晶ポリマーから成る部品(pieces d'aspect)がある。しかし、この部品は表面外観が美しくなく、耐薬品性も低い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、下記(a)〜(c)の層:
(a)少なくとも9個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸の縮合か、少なくとも一方が少なくとも9個の炭素原子を有するジアミンと二酸との縮合かのいずれかで得られる透明なポリアミドから成る上側層、
(b)基材と接着可能な下側層、および、
(c)上側層と下側層との間の任意成分としての中間結合層(中心層ともよばれる)、
をこの順番で有し、各層は互いに十分に近い熱機械的挙動(温度を関数とする剛性)を有し、加熱下に容易に成形して構造物にすることができることを特徴とするポリアミドベースの多層構造物にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上側層は炭素数が多いポリアミド(一種または複数)にして水の取込み量を制限し、寸法のばらつきを減らし、耐薬品性を高くする。上側層は透明性(外観の)が高いのが有利である。「透明性が高い」とは2mm厚さのサンプルを560ナノメートルの光で測定したときの光透過係数(ISO 13468参照)が80%以上であることを意味する。「透明」という用語は2mm厚さのサンプルを560ナノメートルの光で測定したときの光透過係数(ISO 13468参照)が50%以上であることを意味する。上側層は半結晶で、優れた耐薬品性、紫外線抵抗性および耐摩耗性を有するのが好ましい。この上側層は広範囲の温度で十分に延性、可撓性(衝撃、熱成形性、粒状表面加工または鏡面加工)があり、しかも十分にリジッド(耐スクラッチ性)である。しかも、この上側層は融点(融点のない場合にはガラス転移温度)が十分に高く、高温で過度にクリープしない。特に、透明なマイクロ結晶性PA(例えば下記特許文献1、2に記載の組成物)が有利である。これは完全透明であるという利点の外に、極めて美しい表面仕上げができるという利点を有し、それによって金型の鏡面を極めて正確に再現できる。
【特許文献1】欧州特許第EP1,227,131号公報
【特許文献2】欧州特許第EP1,227,132号公報
【0011】
鏡面加工した金型の場合には最終表面仕上げ面は極めて平滑で、艶のある光沢面である。艶消し加工した金型の場合には最終表面仕上げ面は艶消し面になる。粒状表面加工した金型の場合には最終表面仕上げ面は粒状表面になる。ブラシ処理された金型の場合には最終表面仕上げ面はブラシ処理面になる。従って、表面仕上げ面を優れた金属表面、木材表面等にすることができる。
【0012】
下側層は基材と同じ種類にする(従って、高温または溶融状態で基材と接着する)か、基材と化学的または物理的に接着することができる。基材は例えばPPや、PA−6またはPA−6,6、またはスチレンポリマー、例えばABSにすることができる。さらに、熱硬化樹脂および複合材料(例えばエポキシ/ガラス繊維複合材料)、ガラス繊維、炭素繊維、その他の繊維から成る織布または不織布、金網およびラッカーおよび塗料が塗布された基材(エポキシ、ポリウレタン等)を挙げることもできる。
任意成分としての中間結合層は上側層と下側層との間の接着を促進するものである。下側層および/または上側層が互いに直接接着する場合にはこの中間層は必須ではない。
【0013】
各層は十分に類似した熱機械的挙動(温度を関数とする剛性)を示し、温度の作用下(熱成形または多色成形)で容易に構造物を成形でき、しかも、部品の使用寿命中に許容できない程度に変形しないようにする。この熱機械的挙動はDMA(動的機械的分析)または所定温度で測定した曲げ弾性率によって定義される(ISO178)。各層の融点またはガラス転移温度の差は25〜50℃以内であるのが有利である。一つの層が上記の有利な基準を十分に厳密に満たさない場合には、その層の挙動が多層構造体全体の挙動にほとんど影響を与えないようにするために、その層の厚さを十分に薄くする。熱機械的挙動の差が大きい場合でも、一つの層の相対厚さを厚くして構造体内でその層の熱機械的挙動が優勢になるようにすることができるということは理解できよう。
【0014】
多層構造体は押出−カレンダ加工(厚さ50〜3000μm)または押出−流延成形(フィルム流延ともよばれる、厚さ10〜500μm)またはインフレーション(バブル)法(厚さ10〜300μm)を用いて製造するのが好ましい。一般に、構造体を次に熱成形する(構造体の厚さが十分な場合、下流段階で熱成形を必要とする場合)。通常は、構造体を射出成型機の金型内に設置し、その上に基材を多色成形(インサート成形)する(構造体を予め熱成形してもしなくてもよいが、極めて厚い構造体の場合には熱成形が好ましい)。多色成形が一般的な方法であるが、その他の方法でフィルムと基材とを組み合わせることもできる。
【0015】
本発明のさらに他の対象は、構造体で被覆された上記基材から成る物品(下側層が基材に接する)にある。
【0016】
第1実施例では上側層のポリアミドを例えば脂肪族、芳香族、アリール脂肪族および脂環式ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと脂肪族、芳香族、アリール脂肪族および脂環式二酸(ジアシッド)の中から選択される少なくとも一種の二酸との縮合で得られるポリアミド (ジアミンまたは二酸の少なくとも一方は芳香族、アリール脂肪族または脂環式)にすることができる。
【0017】
第1実施例の例(タイプ1)としては、少なくとも一種の芳香族二酸と、ジアミンと、任意成分としてのラクタム(またはα,ω−アミノ酸)との縮合で得られるポリアミドが挙げられる。芳香族二酸はイソフタル酸およびテレフタル酸の中から選択できる。このポリアミドは下記文献に記載されている。
【特許文献3】欧州特許第313,436号公報
【特許文献4】欧州特許第553,581号公報
【特許文献5】欧州特許第550,308号公報
【特許文献6】欧州特許第550,315号公報
【0018】
これらのポリアミドは一般に非晶質で、脂肪族モノマーを高い比率で含む場合にはわずかに結晶性を有する。
この第1実施例の例(タイプ2)としては、芳香族、アリール脂肪族および脂環式ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと、少なくとも8個、好ましくは少なくとも9個の炭素原子を有する脂肪族二酸の縮合で得られる透明な非晶質ポリアミドが挙げられる。
【0019】
2つの脂環式リングを有する脂環式ジアミンが好ましい。このジアミンは下記一般式(I)に対応する:
【化1】

【0020】
(ここで、R1〜R4は水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、Xは単結合または下記の中から選択される二価の基を表す:
(a)1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族鎖、
(b)6〜12個の炭素原子を有する脂環式基、
(c)6〜8個の炭素原子を有する脂環式基で置換されていてもよい1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族鎖、
(d)シクロヘキシルまたはベンジル基を有する直鎖または分岐鎖のジアルキルからなる8−12個の炭素原子を有する基)
【0021】
例としては一般にPACMとよばれる4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)またはp−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンが挙げられる。さらに、2,2’−ジメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)またはビス(3−メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン (一般にBMACMとよばれる) が挙げられる。ポリアミドの例としてはPACM.12およびBMACM.12が挙げられる(ここで「12」とはドデカンジオン酸を意味する)。
これらのポリマーは下記文献に記載されている。
【特許文献7】欧州特許725 101号公報公報
【特許文献8】欧州特許619 336号公報
【特許文献9】欧州特許136 9447号公報
【0022】
類似する他のポリアミドは下記特許に記載されている。
【特許文献10】欧州特許第1,341,849号公報
【特許文献11】欧州特許第1,130,059号公報
【特許文献12】欧州特許第985,709号公報
【特許文献13】欧州特許第885,930号公報
【特許文献14】欧州特許第848,034号公報
【特許文献15】欧州特許第725,100号公報
【特許文献16】欧州特許第603,813号公報
【特許文献17】フランス国特許第2,606,416号公報
【特許文献18】フランス国特許第2,575,756号公報
【特許文献19】米国特許第6,277,911号明細書
【特許文献20】米国特許第6,008,288号明細書
【特許文献21】米国特許第5,886,087号明細書
【特許文献22】米国特許第5,696,202号明細書
【特許文献23】米国特許第5,684,120号明細書
【特許文献24】米国特許第5,773,558号明細書
【特許文献25】米国特許第5,700,900号明細書
【特許文献26】米国特許第5,288,799号明細書
【特許文献27】米国特許第5,177,177号明細書
【特許文献28】米国特許第5,321,119号明細書
【特許文献29】米国特許第4,847,356号明細書
【特許文献30】米国特許第4,731,421号明細書
【0023】
第2実施例では、上側層のポリアミドの例として半結晶PAが挙げられる。半結晶ポリアミドの例としては、脂肪族ポリアミドが挙げられる。脂肪族ポリアミドはPA−11、PA−12、6〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンと9〜12個の炭素原子を有する脂肪族二酸との縮合で得られる脂肪族ポリアミドおよび11単位が90%以上であるか、12単位が90%以上である11/12コポリアミドの中から選択できる。
6〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンと9〜12個の炭素原子を有する脂肪族二酸との縮合で得られる脂肪族ポリアミドの例としては下記を挙げることができる:
ヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカンジオン酸の縮合で得られるPA−6,12;
C9ジアミンと1,12ドデカンジオン酸との縮合で得られるPA−9,12;
C10ジアミンと1,10−デカン二酸の縮合で得られるPA−10,10;
C9ジアミンと1,12−ドデカンジオン酸の縮合で得られるPA−10,12。
11単位が90%以上であるか、12単位が90%以上である11/12コポリアミドは1−アミノウンデカン酸とラウリルラクタム(または、C12のα、ω−アミノ酸)の縮合で得られる。
【0024】
ポリアミド層はポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーをさらに含むことができるが、この層の透明性を損なわない比率にするのが有利である。
この半結晶ポリアミドはそのTg(ガラス転移温度)とTm(融点)との間で成形される。この成形は例えば熱成形および多色成形を含む。例えばTgは約60℃で、融点は約190℃である。この半結晶ポリアミドは使用温度、すなわちTg以下の温度、例えば−40℃〜60℃ではリジッド(剛体)である。
【0025】
この第2実施例の半結晶ポリアミドの中ではマイクロ結晶性(micro-crystalline)ポリアミド、すなわち光を回折せず、従って優れた透明性を有するような小さい結晶構造(スフェルライト、spherolite)から成るポリアミドが好ましい。本明細書では、これらを「マイクロ結晶性」ポリアミドとよぶ。これらのマイクロ結晶性ポリアミドの中では、Tg(ガラス転移温度)が40〜90℃であり、Tm(融点)が150〜200℃であり、結晶化度(40℃/分でのISO11357に準じる第1DSC加熱)が10%以上であり、溶融エンタルピー(40℃/分でのISO11357に準じる第1DSC加熱)が25J/g以上であるマイクロ結晶性ポリアミドであるものを用いるのが好ましい。
【0026】
これらのマイクロ結晶性ポリアミドは可鍛性、可撓性および加工可能であり、Tg(ガラス転移温度)とTm(融点)との間の温度、例えば60〜190℃で、高温時に成形される。この温度範囲は熱成形と多色成形とが行われる範囲である。結晶ポリアミドはこの温度では過度にリジッドであり、多くの非晶質ポリアミドはこの温度では溶融する。このマイクロ結晶性ポリアミドは利用/使用温度であるTg(この温度Tgは例えば−40℃〜+60℃)以下の温度ではリジッドで、硬く(耐摩耗性)、耐久性がある。
【0027】
このタイプのポリマーは完全透明であるという利点と極めて美しい外観を有し、金型表面状態を正確に再現できるとという利点もあるので特に好ましい。鏡面加工の金型の場合には最終仕上げ表面は極めて艶があり、滑らかで、光沢のある面であり、艶消し金型の場合には最終仕上げ表面は艶消し面である。また、粒状表面加工(graine)の金型の場合には最終仕上げ表面は粒状表面加工になり、ブラシ処理(brosse)された金型の場合には最終仕上げ表面はブラシ処理面になる。従って、金属や木材等の表面を優れた状態で作ることができるという利点がある。
【0028】
マイクロ結晶性ポリアミドの例としては、下記組成(合計100重量%)から成る透明な組成物が挙げられる:
(1)基本的に下記の縮合で得られる非晶質ポリアミド(B) 5〜40%:
a)脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと、脂環式二酸および脂肪族二酸の中から選択される少なくとも一種の二酸(これらのジアミンまたは二酸単位の少なくとも一つは脂環式化合物)
b)脂環式のα、ω−アミノカルボン酸、
c)上記2つの可能な組み合せ
d)必要な場合には、α、ω−アミノカルボン酸または対応ラクタム、脂肪族二酸および脂肪族ジアミンの中から選択される少なくとも一つのモノマーをさらに含むことができる、
(2)ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーおよびコポリアミドの中から選択される可撓性ポリアミド(C) 0〜40%
(3)(A)と(B)の相溶化剤(D) 0〜20%
(4)可撓性改質剤(M) 0〜40%
(ただし、(C)+(D)+(M)=0〜50%)
(5)100%への残部は半結晶ポリアミド(A)。
【0029】
本明細書では簡単にするためにこのポリアミドを「タイプ1のマイクロ結晶性ポリアミド」とよぶことにする。この透明なポリアミド材料の成形温度の下限は低いので容易に製造できる。すなわち、成形温度の下限は(A)の通常の配合温度(押出機または混練機での溶融混合温度)に極めて近いか、同じか、この温度よりも低くなる。一般に、この温度は約270℃である。この温度は(D)の量が多くなればなる程、低くなる。このような温度にするこきによって得られる利点は上記材料を標準的な配合条件下で製造できることと、分解がなく、組成物が黄変せず、黒色斑点またはゲルがほとんど(或いは全く)なく、組成物のリサイクルが容易(再利用が容易)であることにある。この組成物はマイクロ結晶性である。
【0030】
以下、「タイプ1のマイクロ結晶性ポリアミド」についてさらに詳細に説明する。半結晶ポリアミド(A)の例としては(i)脂肪族α,ω−アミノカルボン酸、ラクタムの縮合で得られる脂肪族ポリアミドまたは脂肪族ジアミンと脂肪族二酸との縮合で得られる脂肪族ポリアミドおよび(ii)半結晶である上記以外のポリアミドが挙げられる。この上記以外のポリアミドの中ではほぼ透明になるように十分に小さい結晶構造を有するポリアミドを用いるのが好ましい。
脂肪族α,ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸が挙げられる。ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタムおよびラウリラクタムが挙げられる。脂肪族ジアミンの例としてはヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。脂肪族二酸の例としてはアジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボンル酸が挙げられる。
【0031】
脂肪族ポリアミドの中ではポリウンデカンアミド(PA−11)、ポリラウリルラクタム(PA−12)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(PA−6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(PA−6,12)、ポリデカメチレンドデカンアミド(PA−10,12)、ポリデカメチレンセバカンアミド(PA−10,10)およびポリドデカメチレンドデカンアミド(PA−12,12)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
(A)は少なくとも9個の炭素原子を有するラクタムと、少なくとも9個の炭素原子を有するα,ω−アミノ酸との縮合、または、ジアミンまたは二酸のいずれかが少なくとも9個の炭素原子を有するジアミンと二酸との縮合で得られる。(A)はPA−11およびPA−12、好ましくはPA−12であるのが有利である。(A)が脂肪族ポリアミドのブレンドであっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0033】
脂環式単位(B)を有する非晶質ポリアミドの脂環式ジアミンはビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)およびpara−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体にすることができる。上記以外の一般的なジアミンはイソフォロンジアミン(IPDA)および2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)にすることができる。脂肪族二酸は上記で既に説明したものである。例としてはイソフォロンジアミンとドデカンジカルボン酸との縮合で得られるPA−IPDA,12を挙げることができる。非晶質ポリアミド(B)は必要に応じて下記の中から選択される少なくとも一種のモノマーをさらに含むことができる:
α,ω−アミノカルボン酸、
脂肪族二酸、
脂肪族ジアミン。
これらは上記で既に説明したものである。(B)の例としては、PA−IPDA,10、coPA−IPDA,10/12、および、PA−IPDA,12を挙げることができる。(B)が複数の非晶質ポリアミドのブレンドであっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0034】
可撓性ポリアミド(C)としてはまず第一にポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーが挙げられる。このコポリマーは下記(1)〜(3)のような反応性末端基を有するポリアミドブロックと反応性末端基を有するポリエーテルブロックとの共重縮合で得られる:
(1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ジカルボン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック、
(2)ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシル化α,ω−ポリオキシアルキレンブロックをシアノエチル化および水素添加して得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック、
(3)ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオール(この場合に得られる生成物を特にポリエーテルエステルアミドという)。
これらのコポリマー(C)を用いるのが好ましい。
【0035】
ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックは例えば連鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でのα,ω−アミノカルボン酸、ラクタムまたはジカルボン酸とジアミンとの縮合で得られる。
ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは300〜15,000、好ましくは600〜5000である。ポリエーテルブロックの分子量Mnは100〜6000、好ましくは200〜3000である。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーはランダムに分散する単位を含んでいてもよい。これらのポリマーはポリエーテルおよびポリアミドブロック先駆体の同時反応で製造することができる。
例えば、ポリエーテルジオールと、ラクタム(またはα,ω−アミノ酸)と、連鎖制限剤の二酸とを少量の水の存在下で反応させることができる。基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られるが、各種成分がランダムに反応し、ポリマー鎖中に分散したものも含まれる。
【0036】
予め作成したポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを共重合して得られる場合でも1段階の反応で得られる場合でも、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むこれらのポリマーは例えばDショアー硬度が20〜75、好ましくは30〜70で、初期濃度0.8g/100ml、25℃のメタクレゾール中で測定した固有粘度は0.8〜2.5である。MFI値は5〜50(235℃、1kgの荷重下)にすることができる。
ポリエーテルジオールブロックをそのまま用い、カルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと共重合するか、アミノ化してポリエーテルジアミンに変換し、カルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと縮合する。ポリエーテルジオールブロックはポリアミド先駆体および連鎖制限剤と混合してランダムに分散した単位を有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーにすることもできる。
【0037】
コポリアミドから成る可撓性ポリアミド(C)は少なくとも1種のα,ω−アミノカルボン酸(またはラクタム)と少なくとも1種のジアミンと少なくとも1種のジカルボン酸との縮合、または、少なくとも2種類のα,ω−アミノカルボン酸(または2種類のラクタムまたは1種のラクタムと1種のα,ω−アミノカルボン酸と)の縮合で得られる。これらの成分は上記で既に説明したものである。
コポリアミドの例としてはカプロラクタムとラウリルラクタムとのコポリマー(PA6/12)、カプロラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA6/6-6)、カプロラクタムとラウリルラクタムとアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA6/12/6,6)、カプロラクタムとラウリルラクタムと11-アミノウンデカノン酸とアゼライン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA6/6,9/11/12)、カプロラクタムとラウリルラクタムと11-アミノウンデカン酸とアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA6/6,6/11/12)、およびラウリルラクタムとアゼライン酸とヘキサメチレンジアミンとのコポリマー(PA6,9/12)が挙げられる。好ましいコポリアミドはコポリマー特性が顕著なもの、すなわち各種コモノマーの比率がほぼ等しいコポリアミドで、これによって対応するポリアミドホモポリマーから最もかけ離れた特性が得られる。(C)がポリアミドとポリエーテルブロックとを有する複数のコポリマーのブレンドまたは複数のコポリアミドのブレンドまたはこれらの任意の組み合せであっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0038】
(A)と(B)を相溶化するための相溶化剤(D)は(A)と(B)とのブレンドを透明にするのに要する温度を下げる任意の化合物である。これはポリアミドであるのが有利である。例えば、(A)がPA−12の場合、(D)はPA−11である。これは触媒を添加した脂肪族ポリアミドであるのが好ましい。
この触媒添加ポリアミド(D)は(A)の所で述べたようなポリアミドであるが、無機または有機酸、例えば燐酸のような重縮合触媒を含んでいる。ポリアミド(D)を任意の方法で製造した後に、このポリアミド(D)に触媒を添加することもできる。これはポリアミド(D)の製造で用いた触媒の残りにすることができ、それが容易で且つ好ましい。「触媒添加ポリアミド」はベース樹脂の合成段階が過ぎたその後の段階の本発明組成物の製造時にも化学反応が続くということを意味する。ポリアミド(A)と(B)と(C)とを混合して本発明組成物を調製する際に実質的な重合および/または解重合反応が起こることになる。本出願人は重合(鎖延長)および分岐(例えば燐酸を介した架橋)が起こり続けていると考えているが、この説明に縛られるものではない。これは重合平衡の再平衡、従って一種の均質化へ向かう傾向とみなすことができる。しかし、全ての解重合を防止するためにポリアミドを完全に乾燥するのが望ましく(且つ含水率を正しく制御するのが有利である)。触媒の量は、樹脂(D)に対して5ppm〜15,000ppmの燐酸にすることができる。上記以外の触媒、例えば硼酸では含有率が異なり、ポリアミドの重縮合で一般的な技術に従って選択できる。
【0039】
可撓性改質剤(M)の例としては官能化ポリオレフィン、グラフト化脂肪族ポリエステル、ポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するコポリマー(必要に応じてグラフト化されていてもよい)、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートおよび/または飽和カルボン酸ビニルエステルとのコポリマーが挙げられる。ポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するコポリマーは(C)で挙げたものの中から選択でき、可撓性コポリマー、すなわち曲げ弾性率が200MPa以下のものを選択するのが好ましい。
上記改質剤はポリアミドまたはポリアミドオリゴマーグラフトを有するポリオレフィン鎖にすることもできる。従って、この改質剤はポリオレフィンおよびポリアミドと親和性がある。
【0040】
可撓性改質剤は(A)と相溶性のある少なくとも一種のブロックと、(B)と相溶性にある少なくとも一種のブロックとを有するブロックコポリマーにすることもできる。
可撓性改質剤の例としては下記が挙げられる:
(1)エチレンと、不飽和エポキシド、必要に応じてさらに不飽和カルボン酸のエステルまたは塩、または、飽和カルボン酸のビニルエステルとのコポリマー、例えばエチレン/酢酸ビニル/グリシジル(メタ)アクリレートコポリマーまたはエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー。
(2)エチレンと不飽和無水カルボン酸および/または不飽和カルボン酸とのコポリマー(この官能基の一部を金属(Zn)またはアルカリ金属(Li)で中和することもできる)または必要に応じてさらに不飽和カルボン酸のエステルまたは飽和カルボン酸のビニルエステルとのコポリマー。例えばエチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸コポリマーまたはエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマーまたはエチレン/ZnまたはLi(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマー。
(3)不飽和無水カルボン酸をグラフトまたは共重合した後にモノアミンポリアミド(またはポリアミドオリゴマー)(下記文献に記載の化合物)と縮合したポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー。
【特許文献31】欧州特許第0,342,066号公報
【0041】
官能化ポリオレフィンは下記の中から選択するのが有利である:
(1)エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマー、
(2)エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸コポリマー、
(3)無水マレイン酸をグラフトした後にカプロラクタムのモノアミンポリアミド6またはモノアミンオリゴマーと縮合させたプロピレンが主成分のエチレンプロピレンコポリマー。
このコポリマーはアルキル(メタ)アクリレートを40重量%以下、無水マレイン酸を10重量%以下含むエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマーであるのが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−アクリル酸ブチル、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルの中から選択することができる。
【0042】
グラフト化脂肪族ポリエステルの例としては無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、ビニルエステルまたはスチレンをグラフトしたポリカプロラクトン(下記文献に記載の化合物)が挙げられる。
【特許文献32】欧州特許出願第711,791号公報
【0043】
組成物の透明性を低下させない可撓性改質剤を選択することが望まれる。上記組成物(A)+(B)、(A)+(B)+(C)、(A)+(B)+(C)+(D)の利点は上記改質剤(M)にほぼ近い屈折率が得られる点にある。従って、同じ(またはほぼ同じ)屈折率を有する改質剤(M)を添加することができる。従来技術に記載の透明なポリアミド組成物の場合はそうではなく、一般に屈折率は最も一般的な改質剤(M)の屈折率より高い。
【0044】
一般に、改質剤(M)は透明性、低温製造性および昇華能力等の有利な特性を損なわずに特定特性を与えるのに有用である(従って改質剤とよばれる)。改質剤が与える追加の特性としては下記のものが挙げられる:耐衝撃性を向上させる衝撃改質特性、材料の基材への接着性を向上させるための反応性官能基を有する改質特性、艶消し外観を与えるための改質特性、絹のようなまたはつるつるした手触りを与えるための改質特性、材料を吹込成形でするために材料をより粘性にするための改質特性。
各種改質剤を混合してそれらの効力を組み合わせるのが有利である。
【0045】
[表1]に示す下記成分比率(合計100重量%)を有する組成物が有利である。
【表1】

【0046】
これらの組成物は各成分を熱可塑性樹脂で標準的な技術(二軸スクリュー、BUSS(登録商標)または単軸押出機)を用いて溶融混合して製造できる。各組成物は次の用途のためにペレット化(再溶融)するか、金型で射出成形するか、押出機または共押出装置でシートまたはフィルムに製造できる。当業者は透明な材料を得るための配合温度を容易に調整できる。一般には配合温度を例えば約280または290℃に上げるだけでよい。
上記組成物は熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤を含むことができる。
【0047】
マイクロ結晶性ポリアミドの例として、下記組成(合計100重量%)の透明な組成物をさらに挙げらることができる:
(1)脂環式でもよい少なくとも一種のジアミンと、少なくとも一種の芳香族二酸との縮合、必要な場合にはさらにα,ω−アミノカルボン酸、脂肪族二酸、脂肪族ジアミンの中から選択される少なくとも一種のモノマーとの縮合で得られる非晶質ポリアミド(B) 5〜40%
(2)ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマーおよびコポリアミドの中から選択される可撓性ポリマー(C) 0〜40%
(3)(A)と(B)の相溶化剤(D) 0〜20%
(ただし、(C)+(D)=2〜50%、(B)+(C)+(D)は30%以下ではなく、100重量%の残部は半結晶ポリアミド(A)である)
【0048】
上記ポリアミドを本明細書では簡単のために「タイプ2のマイクロ結晶性ポリアミド」とよぶ。このポリアミドは(B)の種類と成分比率とが上記の「タイプ1」とは本質的に異なる。このポリアミドは「タイプ1」と同じ方法で調製され、マイクロ結晶性である。
(B)の比率は10〜40%、好ましくは20〜40%であるのが有利である。(C)+(D)の比率は5〜40%、好ましくは10〜40%であるのが有利である。
【0049】
タイプ2のマイクロ結晶性ポリアミド組成物中の非晶質ポリアミド(B)は基本的に脂環式でもよい少なくとも一種のジアミンと少なくとも一種の芳香族二酸との縮合で得られる。脂肪族ジアミンの例は上記で既に説明したものである。脂環式ジアミンはビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、および、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体にすることができる。一般に使用される上記以外のジアミンはイソフォロンジアミン(IPDA)および2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)にすることができる。芳香族二酸の例としてはテレフタル(T)酸およびイソフタル(I)酸が挙げられる。
非晶質ポリアミド(B)は必要に応じてさらに下記の中から選択される少なくとも一種のモノマーを含むことができる:
α,ω−アミノカルボン酸、
脂肪族二酸、
脂肪族ジアミン。
これらの化合物は上記で既に説明したものである。
(B)の例としては、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、ラウリルラクタム(L12)およびイソフタル酸およびテレフタル酸(IAおよびTA)を用いる溶融重縮合によって合成される半芳香族ポリアミドPA−12/BMACM、TA/BMACM,IAが挙げられる。(B)が複数の非晶質ポリアミドのブレンドであっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0050】
タイプ1およびタイプ2のいずれにおいても、上側層のポリアミドの鎖末端比[NH2]/[COOH]が>1であるポリアミドを用いるのが好ましい。このポリアミドは透明性が高く、2mmの厚さのサンプルを560ナノメートルの光で測定したときの光透過係数(ISO 13468参照)が80%以上であるのが有利である。
基材はPP(ポリプロピレン)、PA−6またはPA−6,6、スチレンポリマー、例えばABSから成るのが有利であり、その種類によって下側層および任意成分としての中間層は違ってくる。
【0051】
以下、基材がポリプロピレンである場合を考える。基材のポリプロピレンとはポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、PPのブレンドおよびアロイ、ガラスおよび/または鉱物繊維が充填されたPPを意味する。
下側層がポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーまたはPPベースのアロイまたはブレンドの場合、残りの2層の間の結合層の役目をする中心層は一種または複数のポリマーから成り、無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸を完全または部分的にグラフトまたは共重合したポリオレフィンまたはコポリオレフィンをベースにする。この中心層は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸を完全または部分的にグラフトまたは共重合したポリオレフィンにするのが有利である。ポリオレフィンはPPのホモポリマーまたはコポリマーであるのが好ましい。
【0052】
別の形態では、中心層は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸を完全または部分的にグラフトしたPPを主として含むPP/PEブレンドである。
さらに別の形態では、中心層はPPを主成分とするのでなく、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーおよびエチレンとアクリル酸または無水マレイン酸またはエポキシとのコポリマーの群の中から選択されるPPに十分に接着するコポリオレフィンで構成される。
変形例では、中心層は存在せず、下側層が無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸を完全または部分的にグラフトしたポリプロピレンから成る。
下側層の融点、上側層の融点、任意成分としての中心層の融点の範囲は50℃以下、好ましくは25℃以下以内にある。
【0053】
以下では基材がポリアミドの場合を考える。ポリアミド基材は脂肪族ポリフタルアミドまたは脂肪族ポリアミド、例えばPA−6または8個以下の炭素原子を有する二酸とジアミンとの縮合で得られるポリマー、例えばPA−6,6、PA−4,6、coPA−6/他のモノマーおよびcoPA−6,6/他のモノマーである。ポリフタルアミドの例としてはPA−6/6.T、PA−6,6/6.T、PA−6,6/6.I/6.T、PA−6.I/6.T、PA−9.T、PA−MXD.6、PA−6.I、これらのブレンドおよびアロイおよびガラス繊維および鉱物繊維が充填されたものが挙げられる。下側層は基材のポリアミドと同じ群または基材のポリアミドによく接着することができる群のポリアミドから成る。このポリアミドは例えばPA−6、PA−6,6、PA−4,6、ポリフタルアミドまたはこれらのポリアミドのアロイである。他の2層の間の結合層の役目をする中心層は一種または複数のポリマーから成る。
【0054】
以下、下側層についてさらに詳細に説明する。下側層は鎖末端比[NH2]/[COOH]が1以上となるポリアミドから成るのが有利である。
下側層は最後にフィルムに接着させる基材のポリアミドと同じまたは同様なポリアミドから成るのが有利である。「同様なポリアミド」とは他のポリマーに比べて大部分がこのポリアミドであるブレンドまたは大部分が基材のポリアミドのモノマーと同じモノマーであるコポリマーを意味する。これら全てのポリマーは一般に用いられる添加物を含むことができるということは理解できよう。
【0055】
基材がPA−6から成るか、大部分がPA−6である場合、下側層はPA−6またはcoPA−6/その他のモノマーから成る。この「その他のモノマー」はPA−6基材への接着を確実にするために極めて少量(<30%)である。この「その他のモノマー」はラクタム(例えばラウリルラクタム)またはカプロラクタム以外のα,ω−アミノカルボン酸またはジアミンと二酸とのブレンドのいずれかにすることができる。従って、coPA−6/その他のモノマーは6を多く含むcoPA−6/12(カプロラクタム/ラウリルラクタムコポリマー)またはカプロラクタムを多く含むカプロラクタムとヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とのコポリマーであるcoPA−6/6,6にすることもできる。
【0056】
基材がPA−6,6から成るか、大部分がPA−6,6である場合、下側層はPA−6,6またはcoPA−6,6/その他のモノマーから成り、この「その他のモノマー」はPA−6,6基材への接着を確実にするために極めて少量(<30%)である。この「その他のモノマー」はラクタム(例えばラウリルラクタム)またはα,ω−アミノカルボン酸またはジアミンと二酸とのブレンドのいずれかにすることができる。従って、coPA−6,6/その他のモノマーは6,6を多く含むcoPA−6,6/12(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とラウリルラクタムとのコポリマー)にすることができる。6,6を多く含むcoPA−6,6/6(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とカプロラクタムとのコポリマー)にすることができる。
【0057】
基材がPA−4,6から成るか、大部分がPA−4,6である場合、下側層はPA−4,6またはcoPA−4,6/その他のモノマーから成り、この「その他のモノマー」はPA−4,6基材への接着を確実にするために極めて少量(<30%)である。この「その他のモノマー」はラクタム(例えばラウリルラクタム)またはα,ω−アミノカルボン酸またはジアミンと二酸とのブレンドにすることができる。従って、coPA−4,6/その他のモノマーは6,6を多く含むcoPA−4,6/12(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とラウリルラクタムとのコポリマー)にすることができる。6,6を多く含むcoPA−4,6/6(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とカプロラクタムとのコポリマー)にすることもできる。
【0058】
基材がポリフタルアミドであるか、大部分がポリフタルアミドである場合、下側層はcoPA−6.I/その他のモノマーまたはcoPA−6.T/その他のモノマーから成り、この「その他のモノマー」はポリフタルアミド基材への接着を確実にするために極めて少量(<30%)である。この「その他のモノマー」はラクタム(例えばラウリルラクタム)またはα,ω−アミノカルボン酸、または、ジアミンと二酸とのブレンドにすることができる。従って、coPA−6.I/その他のモノマーは6,Iを多く含むcoPA−6.I/12(ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とラウリルラクタムとのコポリマー)にすることができる。6,Iを多く含むcoPA−6.I/6(ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とカプロラクタムとのコポリマー)にすることもできる。
【0059】
別の形態では下側層は大部分が基材と同じポリアミドと触媒添加されたポリアミドとで構成され、任意成分として可塑剤および耐衝撃改質剤を含んでいる。
基材がPA−6,6とPPO(ポリフェニレンオキシド)とのアロイである場合、下側層はPA−6,6から成るか、大部分がPA−6,6のブレンドから成る。
基材がPA−6から成るか、大部分がPA−6の場合、下側層は大部分がPA−6であるPA−6/ABSブレンドまたは大部分がPA−6であるPA−6/ポリカーボネートブレンドのいずれかから成る。
【0060】
別の形態では、下側層は下記のブレンドである:
(1)少なくとも9個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸の縮合か、少なくとも一方が少なくとも9個の炭素原子を有するジアミンと二酸との縮合のいずれかで得られるポリアミド、および
(2)基材のポリアミドと反応可能な官能基、例えば無水マレイン酸を有する上記以外のポリマー。
例としては、PA−12とエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸コポリマーとのブレンドが挙げられる。
別の形態では、下側層はポリアミド/ABSアロイである。
【0061】
次に、中心層についてさらに詳細に説明する。
中心層は官能化ポリマーで構成され、コポリアミド、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマー、官能化ポリオレフィンまたはポリアミドと官能化ポリオレフィンとのブレンドまたはスチレンポリマーの中から選択するのが有利である。
コポリアミドは、上側層のポリアミドの≧C9モノマー(すなわち9個以上の炭素原子を含む)と、下側層のポリアミドの≦C8モノマーとで構成される。例えば、上側層がPA−12をベースにし、且つ、下側層がPA−6をベースにしている場合、中心層のコポリアミドはcoPA−6/12(カプロラクタム/ラウリルラクタムコポリマー)である。
【0062】
有利な形態では、コポリアミドは大部分が≧C9モノマーである一方のコポリアミドと、大部分が≦C8モノマーである他方のコポリアミドの2種のコポリアミドのブレンドである。≧C9モノマーは上側層に存在するモノマーで、≦C8モノマーは下側層に存在するモノマーであるのが有利である。
別の有利な形態では、コポリアミドは大部分が≧C9モノマーで且つ少量の≦C8モノマーを含む一方のコポリアミドと、大部分が≦C8モノマーで且つ少量の≧C9モノマーを含む他方のコポリアミドの2種のコポリアミドのブレンドであり、これらの2種のコポリアミドは同一の≧C9コモノマーおよび/または同一の≦C8コモノマーを有する。≧C9モノマーは上側層に存在するモノマーで、≦C8モノマーは下側層に存在するモノマーであるのが有利である。
【0063】
例えば、上側層がPA−11をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合、コポリアミドブレンドは12を多く含むcoPA−12/6(ラウリルラクタム単位70%)/6を多く含むcoPA−6/12(カプロラクタム単位70%)50/50ブレンド(重量表記)にすることができる。
例えば、上側層がPA−12をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合、コポリアミドブレンドは11を多く含むcoPA−11/6(70%のアミノウンデカン酸単位)/6を多く含むcoPA−6/12(70%のカプロラクタム単位)50/50ブレンド(重量表記)にすることができる。
【0064】
例えば、上側層がPA−12をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合は、コポリアミドブレンドは12を多く含むcoPA−12/6,10(70%のラウリルラクタム単位)/6を多く含むcoPA−6,10/6(80%のカプロラクタム単位)50/50ブレンド(重量表記)にすることができる。
例えば、上側層がPA−12をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合は、コポリアミドブレンドは12を多く含むcoPA−12/6(ラウリルラクタム単位70%)/6を多く含むcoPA−6/12(カプロラクタム単位80%)50/50ブレンド(重量表記)にすることができる。
【0065】
変形例では中心層が2種のコポリアミドのブレンドから成り、2つの互いに隣接する層を用いる。一方の層は大部分が≧C9モノマーであるコポリアミドをから成る外層に接する層であり、他方の層は大部分が≦C8モノマーであるコポリアミドをから成る下側層に接する層である。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーは、より正確には、大部分が≧C9モノマーであるポリアミドブロックを有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーと、大部分が≦C8モノマーであるポリアミドブロックを有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含む別のコポリマーとのブレンドである。ポリエーテルブロックはPTMG(ポリテトラメチレングリコール)から成るのが有利である。
【0066】
例えば、上側層がPA−12をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーのブレンドはPA−12ブロックとPTMGブロックとを有するコポリマー/PA−6ブロックとPTMGブロックとを有するコポリマー50/50(重量比率)のブレンドにすることができる。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーのブレンドから成る中心層の変形例では、中心層の代わりに2つの互いに隣接する層を用いる。一方の層は大部分が≧C9モノマーであるポリアミドブロックを含むポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーからなる外層に接する層であり、他方の層は大部分が≦C8モノマーであるポリアミドブロックを含むポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマーから成る下側層に接する層である。
【0067】
官能化ポリオレフィンまたはポリアミド/官能化ポリオレフィンブレンドは、ポリアミドとその他のポリマー、好ましくはポリオレフィンとのブレンドであるのが有利であり、この「その他のポリマー」は隣接する層のポリアミドと反応可能な化学官能基を完全または部分的にグラフトまたは共重合する。これらの官能基は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸である。
【0068】
上側層がPA−11をベースにし且つ下側層がPA−6をベースにしている場合、中心層は70%(重量比率)の上側層の組成物と、30%のエチレンとアルキル(メタ)アクリレート、例えばブチルアクリレートと、無水マレインとのコポリマーとのブレンドにすることができる。
別の形態では、中心層は無水物、好ましくは無水マレイン酸を完全または部分的にグラフトしたポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、およびこれらのブレンドおよびアロイから成る群のポリマーから成る。
別の形態では、中心層は無水物を完全または部分的にグラフトするか、または、無水物、好ましくは無水マレイン酸と共重合した、基本的にはPPではない(コ)ポリオレフィンの群の中から選択されたポリマーから成る。
別の形態では、中心層はエチレンと、好ましくは4〜12個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート(例えばブチルアクリレート)と、無水マレイン酸との少なくとも一種のコポリマーから成る。無水物の代わりにアクリル酸を用いても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0069】
別の形態では、エポキシド、特にGMAをグラフトまたは共重合した(コ)ポリオレフィンの群の中から選択されるポリマーから成る。例としては、エチレンと、グリシジルメタクリレートと、好ましくは4〜12個の炭素原子を含む任意成分としてのアルキル(メタ)アクリレート(例えばブチルアクリレート)とのコポリマーが挙げられる。
別の形態では、中心層はポリオレフィン、または、オレフィン/酢酸ビニル/無水マレイン酸のコポリマーの群の中から選択されるポリマーから成る。例としては、エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸のコポリマーが挙げられる。
中心層の官能化ポリマーは無水マレイン酸または隣接する層のPA鎖末端鎖と反応する別の官能基をグラフトしたポリマーから成る。
一つの有利な形態では、中心層は無水マレイン酸または隣接する層のPA鎖末端鎖と反応可能な別の官能基をグラフトしたスチレンポリマーの群の中から選択されるポリマーから成る。例としては水素化されていてもよいSBS型(ポリスチレン/ポリブタジエン/ポリスチレントリブロック)のブロックコポリマーに無水マレイン酸がグラフトされたものが挙げられる。
【0070】
変形例では基材がポリアミドで、中間(中心)層は存在しない。
その一つの有利な形態では、下側層は≦C8 PA(≦C8 PA基材への接着を確実にする)と、その他のポリマー、好ましくはポリオレフィンとのブレンドから成り、このポリマーには上側層の≧C9ポリアミドと反応可能な化学官能基を完全または部分的にグラフトまたは共重合されている。これらの官能基は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸である。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がPA−6から成る場合、下側層は65%(重量比率)のPA−6と、25%のHDPEと、10%の無水マレイン酸をグラフトしたポリエチレン(MAH−g−PE)とのブレンドにすることができる。PA−6はPA−11に接着せず、PA−11に接着するのはMAH−g−PEである。
【0071】
別の有利な形態では、下側層は≧C9 PA(≧C9 PA上側層への接着を確実にする)と、その他のポリマー、好ましくはポリオレフィンとのブレンドから成り、このポリマーには基材の≦C8ポリアミドと反応可能な化学官能基を完全または部分的にグラフトまたは共重合されている。この官能基は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸である。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がPA−6から成る場合、下側層は70%(重量比率)の上側層の組成物と、30%のエチレン/ブチルアクリレート/無水マレイン酸コポリマー(PA−11はPA−6に接着せず、PA−6に接着するのはMAHコポリマーである)とのブレンドにすることができる。
【0072】
別の有利な形態では、下側層は基材のポリアミドと反応可能な化学官能基を完全または部分的にグラフトまたは共重合したポリマー(好ましくはポリオレフィン、さらに好ましくはポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー)から成る。この官能基は無水物、エポキシドまたは酸、好ましくは無水マレイン酸である。これらのポリマーは上側層の融点に近い融点、すなわち、これらの融点の差が50℃以下、好ましくは25℃以下である融点を有するのが有利である。
【0073】
別の有利な形態では、下側層は<C8 coPA(コポリアミド)(そのアミドNCO基数に対するメチレンCH2基数は8以下)、例えば<C8 PAに接着するcoPAと、≧C9 PA基材への接着を確実にする≧C9 coPA(そのアミドNCO基数に対するメチレンCH2基数は9以下)とのブレンドから成り、これらのcoPAは≧C9 PAと接着し、<C8 coPAと相溶性にある。下側層が十分に高い融点を有し且つ上側層の融点に近い融点を有するためには、<C8モノマーを多く含むcoPAを主成分とし、各coPAのモノマーをこれらのcoPAの融点に関して上側層の融点との差が50℃以下、好ましくは少なくとも25℃以下にするのに十分な含有率にする。
例えば、上側層がPA−12をベースにし、基材がPA−6をベースにしている場合、コポリアミドブレンドは12を多く含むcoPA−12/6(70%のラウリルラクタム単位)/6を多く含むcoPA−6/12(70%のカプロラクタム単位)50/50(重量比率)ブレンドにすることができる。
【0074】
以下では、基材がスチレンポリマーから成る場合を考える。スチレンポリマーの例としてはポリスチレン、エラストマー変性ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルコポリマー(SAN)、エラストマー変性SAN、ポリブタジエンまたはブタジエン−アクリロニトリルコポリマーの骨格にスチレンとアクリロニトリルをグラフト(グラフト重合)して得られるABS、SAN/ABSブレンドが挙げられる。ここで挙げたエラストマーは例えばEPR(エチレン−プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレンエラストマー)、EPDM(エチレン-プロピレン−ジエンゴムまたはエチレン-プロピレン−ジエンエラストマー)、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー、ポリイソプレンとイソプレン-アクリロニトリルコポリマーである。
【0075】
上記のスチレンポリマーのスチレンの一部はスチレンと共重合可能な不飽和モノマー、例えばα-メチルスチレンおよび(メタ)アクリルエステルで置換できる。スチレンコポリマの例としてはクロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン-クロロスチレンコポリマー、スチレン-プロピレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−塩化ビニルコポリマー、スチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−アルキルアクリレート(メチル、エチル、ブチル、オクチルまたはフェニルアクリレート)コポリマー、スチレン−アルキルメタクリル酸エステル(メチル、エチル、ブチルまたはフェニルメタクリレート)コポリマー、スチレン−メチルクロロアクリレートコポリマーおよびスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸アルキルコポリマーを挙げることができる。これらのコポリマーでのコモノマーの含有量は一般に20重量%以下である。本発明では高融点を有するメタロセンポリスチレンでもよい。2種以上の上記ポリマーのブレンドであっても本発明の範囲を逸脱するものではない。これらのポリマーはガラス繊維および鉱物繊維で充填することができる。これらのポリマーはポリカルボネート(PC)と混合することができる。
【0076】
下側層は基材と同じポリマーの中から選択され、中心層は他の2層の間の結合層の役目をする一種または複数のポリマーから成る。
次に、下側層についてさらに詳細に説明する。
下側層はABSまたはMABSから成るのが有利である。別の形態では、下側層はポリカーボネート/ABSブレンドから成る。
中心層はピペラジン類のモノマー、官能化ポリオレフィン、官能化スチレンポリマー、アクリルポリマーまたはポリウレタンを有するポリアミドにすることができる。
ピペラジン類のモノマーを有するポリアミドでの「ピペラジン類のモノマー」とは下記式のジアミンを意味する。
【化2】

【0077】
(ここで、
1はHまたは−Z1−NH2を表し、Z1は15個以下の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールを表し、
2はHまたは−Z2−NH2を表し、Z2は15個以下の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールを表し、
1およびR2は同一でも異なっていてもよい)
一つの有利な形態ではピペラジン類のモノマーと、二酸と、ラクタムまたはα,ω−アミノカルボン酸との縮合で得られるコポリアミドである。
【0078】
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はcoPA−PIP.10/12(ピペラジン、C10二酸(セバシン酸)およびラウリルラクタムの縮合)から成る。
中心層の官能化ポリオレフィンは全てに無水マレイン酸がグラフトされたエチレンと、アルキルアクリレートと、カルボニル基を与える第3のモノマーとのコポリマーで構成するのが好ましい。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はMAH−官能化E/BA/CO(無水マレイン酸がグラフトされた、エチレンと、ブチルアクリレートと、一酸化炭素とのコポリマー)から成る。
別の形態では中心層はE/VA/MAH(エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸)型、または、無水物、エポキシドによってまたは上側層のポリアミドのアミンおよび/または酸の末端鎖と反応可能な別の化学基によって官能化されたE/VA型の一種または複数のコポリマーから成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はE/VA/MAH(Orevac(登録商標)9314(10重量%の酢酸ビニル)またはOrevac(登録商標)9304(25重量%の酢酸ビニル))から成る。
【0079】
別の形態では、無水物またはエポキシドによってまたは上側層のポリアミドのアミンおよび/または酸の末端鎖と反応可能な別の化学基によって官能化されたエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸型またはエチレン/アルキル(メタ)アクリレート型の一種または複数のコポリマーから成る。アルキルアクリレートの中では、MA(メチルアクリレート)のような軽いアルキルを有し且つ高含有率(>20重量%のコポリマー)のアルキルアクリレートが好ましい。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はエチレン/MA/GMA(25%MA、8%GMA)コポリマーから成り、GMAはグリシジルメタクリレートを表す。
【0080】
中心層の官能化スチレンポリマーは無水マレイン酸または上側層のポリアミドのアミンおよび/または酸の末端鎖と反応可能な別の化学基によって官能化された一種または複数のスチレンコポリマーから成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合は、中心層はSMA(Bayer(登録商標)Cadon)から成る。SMAはスチレン/無水マレイン酸コポリマーを表す。
中心層のアクリルポリマーは無水マレイン酸またはアクリル酸または上側層のポリアミドのアミンおよび/または酸の末端鎖と反応可能な別の化学基を共重合またはグラフトした一種または複数のアクリルコポリマーから成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はPMMA/AA/MAH、すなわち酸官能基と酸無水物官能基(Oroglas HT 121)とを含むPMMAから成る。
【0081】
別の形態では、中心層はコア−シェル型の一種または複数のポリマー、例えばPMMAシェルとブチルアクリレートコアとを有する全アクリルポリマー、例えば、Rohm&Haas社のParalloid(登録商標)EX3300、または、アクリルシェルとMBSコアとを有するParalloid(登録商標)EXL3847またはParalloid(登録商標)EXL3691から成る。MBSはメチルメタクリレート/ブタジエン/スチレンコポリマーである。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はEXL 3847コア−シェルである。
【0082】
中心層のポリウレタンは一種または複数のTPUポリマー、特にPEBA、ABSまたはMABSポリマーと混合したものから成る。TPUは熱可塑性ポリウレタンである。このTPUはポリエーテルジオールの残基であるポリエーテルのソフトブロックと少なくとも一種のジイソシアナートと少なくとも一種の短いジオールとの反応で得られるリジッドなブロック(ポリウレタン)とからなる。鎖延長剤の短いジオールはネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、式:HO(CH2nOHの脂肪族グリコール(ここで、nは2〜10の整数)から成る群の中から選択できる。ポリウレタンブロックとポリエーテルブロックはイソシアネート官能基とポリエーテルジオールのOH基との反応で得られる連結部を介して結合される。
【0083】
さらに、例えばジイソシアナート単位と、非晶質ポリエステルジオールから得られる単位と、鎖延長剤の短いジオールから得られる単位とからなるポリエステルウレタンを挙げることもできる。これは可塑剤を含むことができる。
TPUはポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーおよび/またはスチレン樹脂のブレンドでもよい。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、下側層がABSから成る場合、中心層はElastollan(登録商標)1185AエーテルベースのTPUである。
【0084】
変形例では基材がスチレンポリマーから成り、中間(中心)層は存在しない。この場合、下側層の融点は上側層の融点に近く、その差は50℃以下、好ましくは25℃を超えてはならない。
一つの有利な形態では、下側層は無水物またはエポキシド、好ましくは無水マレイン酸のようなポリアミドのアミン(またはカルボン酸)基と反応可能な化学基によって完全または部分的に官能化した一種または複数のスチレンポリマー、好ましくはABSまたはSANまたはASA(アクリロニトリル/スチレン/アルキルアクリレートコポリマー)から成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、基材がABSから成る場合、下側層はABSと無水マレイン酸がグラフトされたABSとのブレンドにすることができる。
【0085】
別の形態では、下側層は、≧C9ポリアミドと、無水物またはエポキシド、好ましくは無水マレイン酸のようなポリアミドのアミン(またはカルボン酸)基と反応可能な化学基によって完全または部分的に官能化した10〜50%の一種または複数のスチレンポリマー、好ましくはABSまたはSANまたはASAとのブレンドから成る。
別の形態では、下側層は、≧C9ポリアミドと、無水物またはエポキシド、好ましくは無水マレイン酸のようなポリアミドのアミン(またはカルボン酸)基と反応可能な化学基によって完全または部分的に(共重合またはグラフトによって)官能化したエチレンとアルキルアクリレートまたは酢酸ビニル型の極性モノマーとの一種または複数のコポリマー、10〜50%とのブレンドから成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、基材がABSから成る場合、下側層はE/VA/MAH(25重量%の酢酸ビニルを含むOrevac(登録商標)9304)から成る。
【0086】
別の形態では、下側層は、≧C9ポリアミドと、ピペラジン類のモノマーを含む10〜50%の一種または複数のコポリアミドとのアロイから成る。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、基材がABSから成る場合、下側層は65%のPA−11および35%のcoPA−PIP.10/12(重量比率)から成るブレンドである。
別の形態では、下側層は無水物、例えば無水マレイン酸またはエポキシドまたは上側ポリアミド層のアミンまたは酸の末端鎖と反応可能な任意の他の基と完全または部分的に官能化または共重合されたアルキルアクリレートまたは酢酸ビニルを含む極性コポリオレフィンから成る。アルキルアクリレートまたは酢酸ビニルの含有率が高いのが好ましい。アルキルアクリレートの中では、メチルアクリレートのような軽アクリレートから成るものが好ましい。
例えば、上側層がPA−11をベースにし、基材がABSから成る場合、中心層はエチレン/MA/GMAコポリマー(25%MAと8%GMAとを含む)から成り、GMAはグリシジルメタクリレートを表す。
別の形態では、下側層は必要に応じてポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むコポリマー、または、ABSまたはMABSと混合した一種または複数のTPUポリマーから成る。
【0087】
本発明の構造体は共押出で製造するのが有利である。次いで、構造体を多色成形すなわち上側層が金型の壁に接した状態で構造体を射出成型機の金型中に配置し、下側層上にポリマー基材を射出するのが有利である。構造体を最初に熱成形した後に多色成形するのが有利である。すなわち、構造体を射出成型機の金型中に配置し、ポリマー基材を下側層上に射出する。
十分に厚いおよび/またはリジッドである完成部品を得るためには、高温で構造体を基材に接着させる。
中心層自体を互いに接着した複数の層にすることもでき、その最外側の層をそれぞれ上側層および下側層と接着させる。
【0088】
構造体と基材とを組み合わせる技術としてラミネーションおよびホットプレスも挙げられる。
各層のポリマーはシート状に押出できるもの、すなわち、粘性が高く、従って、高分子量であるポリマーから選択するのが有利である。
昇華装飾をする場合には、昇華面を予め火炎−ブラシ処理して基材への接着力を良くするのが好ましい。
本発明構造体の各層の厚さは200/300/100μmである。各厚さは各種の特性をバランスさせるために調整できる。
例えば、可撓性を高めるためには中心層の厚さを厚くすることができ、その逆も可能である。
【実施例】
【0089】
下記の材料を用いた:
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
表中のパラメターの説明
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(c)の層:
(a)少なくとも9個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸の縮合か、少なくとも一方が少なくとも9個の炭素原子を有するジアミンと二酸との縮合かのいずれかで得られる透明なポリアミドから成る上側層、
(b)基材と接着可能な下側層、および
(c)上側層と下側層との間に配置される任意成分としての中間結合層(中心層ともよばれる)
をこの順番で有し、各層は互いに十分に近い熱機械的挙動(温度を関数とする剛性)を有し、加熱下に容易に成形して構造物にすることができることを特徴とするポリアミドベースの多層構造物。
【請求項2】
上側層のポリアミドが脂肪族、芳香族、アリール脂肪族および脂環式ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと脂肪族、芳香族、アリール脂肪族および脂環式の二酸の中から選択される少なくとも一種の二酸との縮合で得られ、ジアミンまたは二酸の少なくとも一方が芳香族、アリール脂肪族または脂環式である請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
ポリアミドが少なくとも一種の芳香族二酸と、ジアミンと、任意成分としてのラクタム(またはα,ω−アミノ酸)との縮合で得られる請求項2に記載の構造物。
【請求項4】
ポリアミドが芳香族、アリール脂肪族および脂環式ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと少なくとも8個、好ましくは少なくとも9個の炭素原子を有する脂肪族二酸との縮合で得られる透明な非晶質ポリアミドである請求項2に記載の構造物。
【請求項5】
上側層のポリアミドが、PA−11、PA−12、6〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンと9〜12個の炭素原子を有する脂肪族二酸との縮合で得られる脂肪族ポリアミドおよび11単位が90%以上か、12単位が90%以上である11/12コポリアミドの中から選択される脂肪族半結晶ポリアミドである請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
上側層のポリアミドがマイクロ結晶性(micro-crystalline)ポリアミドである請求項1に記載の構造物。
【請求項7】
上記マイクロ結晶性ポリアミドのTg(ガラス転移温度)が40〜90℃で、Tm(融点)が150〜200℃で、結晶化度(ISO11357に従って40℃/分で加熱した最初のDSC)が10%以上で、溶融エンタルピー(ISO11357に従って40℃/分で加熱した最初のDSC)が25J/g以上である請求項6に記載の構造物。
【請求項8】
上記マイクロ結晶性ポリアミドが下記重量組成(合計100重量%)を有する透明な組成物である請求項7に記載の構造物:
(1)下記a)〜d)の縮合で得られる非晶質ポリアミド(B) 5〜40%:
a)脂環式ジアミンおよび脂肪族ジアミンの中から選択される少なくとも一種のジアミンと、脂環式二酸および脂肪族二酸の中から選択される少なくとも一種の二酸、ただし、ジアミンまたは二酸の少なくとも一方は脂環式化合物、
b)脂環式のα、ω−アミノカルボン酸、
c)上記2つの可能な組み合せ
d)α、ω−アミノカルボン酸またはその対応ラクタム、脂肪族二酸および脂肪族ジアミンの中から選択される必要に応じて用いられる少なくとも一種のモノマー
(2)ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーおよびコポリアミドの中から選択される可撓性ポリアミド(C) 0〜40%
(3)(A)と(B)の相溶化剤(D) 0〜20%
(4)可撓性改質剤(M) 0〜40%
ただし、(C)+(D)+(M)=0〜50%
(5) 100%への残部は半結晶ポリアミド(A)。
【請求項9】
マイクロ結晶性ポリアミドが、下記重量組成(合計100重量%)を有する透明な組成物である請求項7に記載の構造物:
(1)脂環式でもよい少なくとも一種のジアミンと、少なくとも一種の芳香族二酸(必要な場合にはさらにα、ω−アミノカルボン酸、脂肪族二酸および脂肪族ジアミンの中から選択される少なくとも一種のモノマー)との縮合で得られる非晶質ポリアミド(B) 5〜40%
(2)ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマーおよびコポリアミドの中から選択される可撓性ポリマー(C) 0〜40%
(3)(A)と(B)の相溶化剤(D) 0〜20%
ただし、(C)+(D)=2〜50%、(B)+(C)+(D)は30%以下ではなく、100%の残部は半結晶ポリアミド(A)である。
【請求項10】
ポリアミド(A)がPA−11またはPA−12である請求項8または9に記載の構造物。
【請求項11】
上側層のポリアミドの鎖末端の比[NH2]/[COOH]が1以上である請求項1〜10のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項12】
上側層のポリアミドの透明性が高く、2mm厚さのサンプルを560ナノメートルの光で測定したときの透過度または光透過係数(ISO 13468参照)が80%以上である請求項1〜11のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項13】
基材がPP(ポリプロピレン)から成るか、PA−6またはPA−6,6から成るか、スチレンポリマーから成る請求項1〜12のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項14】
熱成形時の加熱下での各層の可撓性および機械特性を類似している請求項1〜13のいずれか一項に記載の構造物。
【請求項15】
熱成形時の加熱下(熱成形操作時の温度条件下で)での可撓性および機械特性が類似していない層の厚さが、組立体全体の熱成形性を損なわないように、他の層に比べて十分に薄くなっている請求項1〜13のいずれか一項に記載の構造物。

【公表番号】特表2008−503371(P2008−503371A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517343(P2007−517343)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001405
【国際公開番号】WO2006/008357
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】