基板包囲具
【課題】電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具を提供する。
【解決手段】電子回路基板30の電磁波シールドを行う基板包囲具100であって、電子回路基板30を内部に収容して固定する骨組構造体10と、樹脂織布を金属メッキした導電性織布21からなり、骨組構造体10に保持されて電子回路基板30を覆う基板包囲布20とからなる基板包囲具100とする。
【解決手段】電子回路基板30の電磁波シールドを行う基板包囲具100であって、電子回路基板30を内部に収容して固定する骨組構造体10と、樹脂織布を金属メッキした導電性織布21からなり、骨組構造体10に保持されて電子回路基板30を覆う基板包囲布20とからなる基板包囲具100とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器においては、EMI(ElectroMagnetic Interferenc、電磁干渉)への対策のため、すなわち内部からの電磁波の漏洩および外部からの電磁波の侵入を防ぐため、種々の電磁波シールド手段が講じられている。代表的な電磁波シールド手段の一つは、金属筐体を用いる方法や、プラスチックス筐体の内面に無電解メッキ等で導電性層を設ける方法である。他の一つは、例えば特開平7−245496号公報(特許文献1)に開示されている方法で、筐体内部に装備する電子回路基板を導電性のシートや袋で覆う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−245496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁波シールド手段の一つである金属筐体を用いる方法は、筐体自体が重くなってしまい、軽量化の要求に反してしまう。また、プラスチックス筐体の内面に無電解メッキ等で導電性層を設ける方法は、金属筐体に較べて軽量化することができる反面、メッキ等による導電性層が製造中の擦れ等によって剥がれ易く、導電性層が剥がれると電磁波シールド効果がなくなる。
【0005】
一方、電子回路基板を導電性のシートや袋で覆う方法は、全体としての基板容積が増大するため、筐体自体も大きくしなければならず、コンパクト化の趨勢に逆行することになる。
【0006】
そこで本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、前記電子回路基板を内部に収容して固定する骨組構造体と、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、前記骨組構造体に保持されて前記電子回路基板を覆う基板包囲布とからなることを特徴としている。
【0008】
上記基板包囲具は、骨組構造体と基板包囲布とで構成されている。該骨組構造体と基板包囲布は、従来の金属筐体や内面に無電解メッキ等で導電性層が設けられたプラスチックス筐体と同様に、全体として電子回路基板を収容するケース(筐体)の役割を果たす。上記基板包囲具において、骨組構造体の材料は、樹脂(プラスチックス)であってよく、壁面に相当する基板包囲布の主材料は、樹脂織布である。このため、上記基板包囲具は、従来のプラスチックス筐体に較べても、格段に軽量化することができる。
【0009】
上記基板包囲具において、電磁波シールドの役割を担うのは、電子回路基板を覆う導電性を有した基板包囲布である。該基板包囲布は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、金属メッキされた樹脂繊維が立体的に絡み合った構造となっている。従って、該基板包囲布における金属メッキ層は、従来のプラスチックス筐体に設けられた導電性層のような筐体表面にだけあるものではない。このため、製造途中に擦れ等があっても、該基板包囲布の金属メッキ層が大きく剥がれることがなく、電磁波シールド効果も損なわれ難い。
【0010】
また、骨組構造体と基板包囲布からなる上記基板包囲具は、前述したように全体として電子回路基板を収容するケースの役割を果たすため、従来の導電性のシートや袋で電子回路基板を覆う方法と異なり、それらを収容するための新たなケースを必要としない。
【0011】
以上のようにして、上記基板包囲具は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具とすることができる。
【0012】
上記基板包囲具における前記骨組構造体は、例えば請求項2に記載のように、軽量で安価に製造できる、プラスチックスからなる一体成形品であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、金属等の別材料であってもよいし、棒状骨や平面枠状骨等を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0013】
上記基板包囲具における前記樹脂織布は、例えば請求項3に記載のように、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなるものが好ましい。
【0014】
また、上記基板包囲具における前記樹脂織布は、例えば請求項4に記載のように、荒い織り目で織られており、前記導電性織布の透光率が、10%以上、90%以下であることが好ましい。これによれば、該基板包囲具に電子回路基板を収容するに際して、該基板包囲具の内部の様子が透視できるため、容易に組み付けることができる。尚、導電性織布の透光率が10%より小さい場合には、内部の様子をよく見ることができず、導電性織布の透光率が90%より大きい場合には、電磁波シールド性能が悪化してしまう。
【0015】
上記基板包囲具における前記基板包囲布は、請求項5に記載のように、前記導電性織布と透明樹脂シートの積層構造からなるようにしてもよい。これによれば、例えば上記のように荒い織り目で織られた樹脂織布を採用する場合においても、十分な強度を確保することができる。
【0016】
前記基板包囲布は、例えば請求項6に記載のように、開口部を有する袋状に形成されてなる構成とすることが好ましい。これによれば、電子回路基板が固定された骨組構造体を前記開口部より挿入するだけで、容易に骨組構造体(従って電子回路基板)を内部に収容することができる。また、骨組構造体を内部に収容した後で、前記開口部を例えば縫製して閉じることにより、全方位に亘る電磁波シールド性が得られる。
【0017】
また、前記基板包囲布は、請求項7に記載のように、前記基板包囲布が、1枚布から折り曲げ構成されてなるようにすることもできる。これによれば、1枚布の導電性織布を所定形状に切り出し、電子回路基板および搭載されている電子部品の位置を確認しながら骨組構造体に沿って折り曲げるだけで、容易かつ確実に該基板包囲布を構成することができる。
【0018】
前述した骨組構造体との組み付け性を考慮すると、前記基板包囲布は、請求項8に記載のように、前記骨組構造体の外側に保持されてなることが好ましい。しかしながら逆に、前記基板包囲布が前記骨組構造体の内側に保持されてなる構成とすることも可能である。この場合には、例えば電子回路基板とのグランド接続が容易になる。
【0019】
また、請求項9に記載のように、前記基板包囲布に、前記保持のための穴を形成する場合には、前記穴に、ほつれ防止金具が嵌め込まれてなる構成とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一例である基板包囲具100を示す図である。(a)は、基板包囲具100の上面図であり、(b)は、(a)における一点鎖線A−Aでの断面図であり、(c)は、(a)における一点鎖線B−Bでの断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100の構成要素である骨組構造体10を示す図である。(a)は、骨組構造体10の上面図であり、(b)は、骨組構造体10の前面図であり、(c)は、骨組構造体10の右側面図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100のもう一つの構成要素である基板包囲布20を示す図である。(a)は、基板包囲布20の上面図であり、(b)は、基板包囲布20の前面図であり、(c)は、基板包囲布20の右側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、図1の基板包囲具100に電子回路基板30を収容した状態を示す図である。(a)は、上面図であり、(b)は、(d)における一点鎖線C−Cでの断面図であり、(c)は、(a)における一点鎖線D−Dでの断面図であり、(d)は、右側面図である。
【図5】図1の基板包囲具100の変形例で、電子回路基板30を収容する基板包囲具101の上面図である。
【図6】別の基板包囲具を示す図で、電子回路基板30を収容する基板包囲具102の上面図である。
【図7】基板包囲布50(導電性織布51)に形成されている穴52の周りを拡大して示した断面図である。
【図8】1枚布の導電性織布61を示した上面図である。
【図9】別の骨組構造体70を用いた基板包囲具103の一部を拡大して示した断面図である。
【図10】基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図で、(a)は、基板包囲具104の一部を拡大して示した断面図であり、(b)は、(a)の導電性織布21だけを取り出して示した上面図である。
【図11】基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図で、基板包囲具105の一部を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具に関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0022】
図1(a)〜(c)は、本発明の一例である基板包囲具100を示す図である。図1(a)は、基板包囲具100の上面図であり、図1(b)は、図1(a)における一点鎖線A−Aでの断面図であり、図1(c)は、図1(a)における一点鎖線B−Bでの断面図である。
【0023】
図2(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100の構成要素である骨組構造体10を示す図である。図2(a)は、骨組構造体10の上面図であり、図2(b)は、骨組構造体10の前面図であり、図2(c)は、骨組構造体10の右側面図である。また、図3(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100のもう一つの構成要素である基板包囲布20を示す図である。図3(a)は、基板包囲布20の上面図であり、図3(b)は、基板包囲布20の前面図であり、図3(c)は、基板包囲布20の右側面図である。
【0024】
図4(a)〜(d)は、図1の基板包囲具100に電子回路基板30を収容した状態を示す図である。図4(a)は、上面図であり、図4(b)は、図4(d)における一点鎖線C−Cでの断面図であり、図4(c)は、図4(a)における一点鎖線D−Dでの断面図であり、図4(d)は、右側面図である。
【0025】
図1に示す基板包囲具100は、骨組構造体10と基板包囲布20とで構成されている。
【0026】
図2に示す骨組構造体10は、図4に示すように、電子回路基板30を内部に収容して固定すると共に、電子回路基板30を覆う基板包囲布20を保持するための機能を有している。このため、図2に示すように、骨組構造体10には、電子回路基板30を固定するための穴11や基板包囲布20を保持するための穴12が開けられている。上記穴11を介して、図4(b)に示すように、電子回路基板30は、ネジ34で骨組構造体10に固定される。しかしながら、電子回路基板の骨組構造体への固定はこれに限らず、例えば接着剤で接合するようにしてもよい。
【0027】
図2に示す骨組構造体10は、軽量で安価に製造できる、プラスチックスからなる一体成形品である。しかしながらこれに限らず、金属等の別材料であってもよいし、棒状骨や平面枠状骨等を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0028】
図3に示す基板包囲布20は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布21からなる。 金属メッキを施す樹脂織布には、例えば、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなるものが好ましい。
【0029】
図3の基板包囲布20は、開口部Kを有する袋状に形成されている。これは、導電性織布21を所定形状に切り出し、袋状となるように対応する周辺部を縫製して形成する。この袋状にした基板包囲布20により、図4に示すように、電子回路基板30が固定された骨組構造体10を開口部Kより挿入するだけで、容易に骨組構造体10(従って電子回路基板30)を内部に収容することができる。
【0030】
図3に示す基板包囲布20には、骨組構造体10に保持するための穴22が形成されている。図1に示す基板包囲具100では、図2(a)に示す骨組構造体10の穴12、図3(a)に示す基板包囲布20の穴22および図4(b)に示す電子回路基板30に形成された穴32にネジを貫通させて、基板包囲布20を骨組構造体10に保持するようにしている。しかしながら、基板包囲布の骨組構造体への保持はこれに限らず、例えばワイヤ等による別の保持方法を用いてもよい。
【0031】
図4に示すように、基板包囲布20は、骨組構造体10を内部に収容した状態で、電子回路基板30を覆う。図1〜図4に示す基板包囲具100の骨組構造体10は、電子回路基板30および搭載されている電子部品31と導電性織布21とが直接接触しないように、基板包囲布20を支持する役割を有している。この電子回路基板30を覆う基板包囲布20によって、内部の電子回路基板30からの電磁波の漏洩、および外部からの電磁波の侵入を防ぐことができる。
【0032】
以上説明したように、図1〜図4に示す基板包囲具100は、骨組構造体10と基板包囲布20とで構成されている。該骨組構造体10と基板包囲布20は、従来の金属筐体や内面に無電解メッキ等で導電性層が設けられたプラスチックス筐体と同様に、全体として電子回路基板30を収容するケース(筐体)の役割を果たす。上記基板包囲具100において、骨組構造体10の材料は、樹脂(プラスチックス)であってよく、壁面に相当する基板包囲布20の主材料は、樹脂織布である。このため、上記基板包囲具100は、従来のプラスチックス筐体に較べても、格段に軽量化することができる。
【0033】
上記基板包囲具100において、電磁波シールドの役割を担うのは、電子回路基板30を覆う導電性を有した基板包囲布20である。該基板包囲布20は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、金属メッキされた樹脂繊維が立体的に絡み合った構造となっている。従って、該基板包囲布20における金属メッキ層は、従来のプラスチックス筐体に設けられた導電性層のような筐体表面にだけあるものではない。このため、製造途中に擦れ等があっても、該基板包囲布20の金属メッキ層が大きく剥がれることがなく、電磁波シールド効果も損なわれ難い。
【0034】
また、骨組構造体10と基板包囲布20からなる上記基板包囲具100は、前述したように全体として電子回路基板30を収容するケースの役割を果たすため、従来の導電性のシートや袋で電子回路基板を覆う方法と異なり、それらを収容するための新たなケースを必要としない。
【0035】
以上のようにして、上記基板包囲具100は、電子回路基板30の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具とすることができる。
【0036】
次に、図1〜図4に示した基板包囲具100の細部について、より好ましい実施形態を説明する。
【0037】
図5は、図1の基板包囲具100の変形例で、電子回路基板30を収容する基板包囲具101の上面図である。尚、図5の基板包囲具101において、図4(a)における基板包囲具100と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0038】
図5に示す基板包囲具101では、図4に示した基板包囲具100と同様に電子回路基板30を固定した骨組構造体10を内部に収容した後、外部接続するためのハーネス33を開口部Kから引き出し、開口部Kを樹脂糸23で縫製して閉じている。これにより、全方位に亘る電磁波シールド性が得られることとなる。
【0039】
図6は、別の基板包囲具を示す図で、電子回路基板30を収容する基板包囲具102の上面図である。尚、図6の基板包囲具101においても、図4(a)における基板包囲具100と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0040】
図6の基板包囲具102における基板包囲布40の樹脂織布(導電性織布41)は、図1〜図4に示した基板包囲具100における基板包囲布20の樹脂織布(導電性織布21)に較べて、荒い織り目で織られておられている。このため、該基板包囲具102に電子回路基板30を収容するに際して、該基板包囲具102の内部の様子が透視できるため、容易に組み付けることができる。尚、基板包囲布40の導電性織布41については、透光率が、10%以上、90%以下であることが好ましい。導電性織布41の透光率が10%より小さい場合には、内部の様子をよく見ることができず、導電性織布41の透光率が90%より大きい場合には、電磁波シールド性能が悪化してしまう。
【0041】
また、図1〜図6に示した基板包囲具100〜102における基板包囲布20,40は、それぞれ、導電性織布21,41と透明樹脂シートの積層構造からなるようにしてもよい。これによれば、例えば図6の基板包囲布40のように荒い織り目で織られた樹脂織布を採用する場合においても、十分な強度を確保することができる。
【0042】
図7は、基板包囲布50(導電性織布51)に形成されている穴52の周りを拡大して示した断面図である。
【0043】
図7の基板包囲布50においては、穴52に導電性織布51のほつれ防止金具53が嵌め込まれている。このように、基板包囲布に骨組構造体へ保持するための穴を形成する場合には、該穴にほつれ防止金具を嵌め込むことが好ましい。
【0044】
次に、基板包囲具の別の構成例について説明する。
【0045】
図8は、1枚布の導電性織布61を示した上面図である。
【0046】
上述した骨組構造体に保持されて電子回路基板を覆う基板包囲布は、袋状に形成したものに限らない。例えば、図8に示す1枚布の導電性織布61を用い、電子回路基板30および搭載されている電子部品31の位置を確認しながら、骨組構造体10に沿って図中の破線で折り曲げて構成するようにしてもよい。このように、1枚布の導電性織布を所定形状に切り出し、電子回路基板および搭載されている電子部品の位置を確認しながら骨組構造体に沿って折り曲げるだけで、容易かつ確実に、電子回路基板を覆う基板包囲布を構成することができる。
【0047】
図9は、別の骨組構造体70を用いた基板包囲具103の一部を拡大して示した断面図である。尚、図9の基板包囲具103において、図4における基板包囲具100および電子回路基板30と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0048】
図4に示した基板包囲具100に用いられている骨組構造体10は、全体として電子回路基板30および搭載されている電子部品31と導電性織布21とが直接接触しないようにして、電子回路基板30を内部に収容して固定するものであった。これに対して、図9の基板包囲具103における骨組構造体70は、個々の電子部品31毎に導電性織布21が直接接触しないようにして、電子回路基板30を内部に収容して固定する構造となっている。このように、個々の電子部品に対応した骨組構造体を有する基板包囲具とすることも可能で、これによれば電子部品を全体として覆う基板包囲具に較べて、より小型化することができる。
【0049】
図1に示した基板包囲具100に用いられている基板包囲布20(導電性織布21)は、骨組構造体10の外側に保持されている。骨組構造体との組み付け性を考慮すると、基板包囲布は、図1に示した基板包囲具100のように、骨組構造体の外側に保持されてなることが好ましい。しかしながら逆に、基板包囲布が骨組構造体の内側に保持されてなる構成とすることも可能である。
【0050】
図10と図11は、基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図である。図10(a)は、基板包囲具104の一部を拡大して示した断面図であり、図10(b)は、図10(a)の導電性織布21だけを取り出して示した上面図である。また、図11は、基板包囲具105の一部を拡大して示した断面図である。尚、図10と図11の基板包囲具104,105において、図4における基板包囲具100および電子回路基板30と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0051】
図10の基板包囲具104においては、図10(a)に示すように、導電性織布21が骨組構造体80の内側に保持されている。また、骨組構造体80の柱状部81付近では、図10(b)に示すように導電性織布21が切り起こされ、図10(a)に示すように柱状部81の上端面に配置されて、電子回路基板30と電気的にグランド接続されている。また、図11の基板包囲具105においては、電子回路基板30に設けられたバネ状の金属接続部材35により、骨組構造体80の内側に保持されている導電性織布21と電気的にグランド接続されている。
【0052】
図10と図11の基板包囲具104,105に示すように、導電性織布が骨組構造体の内側に保持される基板包囲具においては、電子回路基板とのグランド接続が容易になる。
【0053】
以上に示したように、図1〜図11で例示した基板包囲具100〜105は、いずれも、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具となっている。
【符号の説明】
【0054】
100〜105 基板包囲具
10,70,80 骨組構造体
20,40,50 基板包囲布
21,41,51,61 導電性織布
53 ほつれ防止金具
30 電子回路基板
31 電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器においては、EMI(ElectroMagnetic Interferenc、電磁干渉)への対策のため、すなわち内部からの電磁波の漏洩および外部からの電磁波の侵入を防ぐため、種々の電磁波シールド手段が講じられている。代表的な電磁波シールド手段の一つは、金属筐体を用いる方法や、プラスチックス筐体の内面に無電解メッキ等で導電性層を設ける方法である。他の一つは、例えば特開平7−245496号公報(特許文献1)に開示されている方法で、筐体内部に装備する電子回路基板を導電性のシートや袋で覆う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−245496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁波シールド手段の一つである金属筐体を用いる方法は、筐体自体が重くなってしまい、軽量化の要求に反してしまう。また、プラスチックス筐体の内面に無電解メッキ等で導電性層を設ける方法は、金属筐体に較べて軽量化することができる反面、メッキ等による導電性層が製造中の擦れ等によって剥がれ易く、導電性層が剥がれると電磁波シールド効果がなくなる。
【0005】
一方、電子回路基板を導電性のシートや袋で覆う方法は、全体としての基板容積が増大するため、筐体自体も大きくしなければならず、コンパクト化の趨勢に逆行することになる。
【0006】
そこで本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、前記電子回路基板を内部に収容して固定する骨組構造体と、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、前記骨組構造体に保持されて前記電子回路基板を覆う基板包囲布とからなることを特徴としている。
【0008】
上記基板包囲具は、骨組構造体と基板包囲布とで構成されている。該骨組構造体と基板包囲布は、従来の金属筐体や内面に無電解メッキ等で導電性層が設けられたプラスチックス筐体と同様に、全体として電子回路基板を収容するケース(筐体)の役割を果たす。上記基板包囲具において、骨組構造体の材料は、樹脂(プラスチックス)であってよく、壁面に相当する基板包囲布の主材料は、樹脂織布である。このため、上記基板包囲具は、従来のプラスチックス筐体に較べても、格段に軽量化することができる。
【0009】
上記基板包囲具において、電磁波シールドの役割を担うのは、電子回路基板を覆う導電性を有した基板包囲布である。該基板包囲布は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、金属メッキされた樹脂繊維が立体的に絡み合った構造となっている。従って、該基板包囲布における金属メッキ層は、従来のプラスチックス筐体に設けられた導電性層のような筐体表面にだけあるものではない。このため、製造途中に擦れ等があっても、該基板包囲布の金属メッキ層が大きく剥がれることがなく、電磁波シールド効果も損なわれ難い。
【0010】
また、骨組構造体と基板包囲布からなる上記基板包囲具は、前述したように全体として電子回路基板を収容するケースの役割を果たすため、従来の導電性のシートや袋で電子回路基板を覆う方法と異なり、それらを収容するための新たなケースを必要としない。
【0011】
以上のようにして、上記基板包囲具は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具とすることができる。
【0012】
上記基板包囲具における前記骨組構造体は、例えば請求項2に記載のように、軽量で安価に製造できる、プラスチックスからなる一体成形品であることが好ましい。しかしながらこれに限らず、金属等の別材料であってもよいし、棒状骨や平面枠状骨等を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0013】
上記基板包囲具における前記樹脂織布は、例えば請求項3に記載のように、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなるものが好ましい。
【0014】
また、上記基板包囲具における前記樹脂織布は、例えば請求項4に記載のように、荒い織り目で織られており、前記導電性織布の透光率が、10%以上、90%以下であることが好ましい。これによれば、該基板包囲具に電子回路基板を収容するに際して、該基板包囲具の内部の様子が透視できるため、容易に組み付けることができる。尚、導電性織布の透光率が10%より小さい場合には、内部の様子をよく見ることができず、導電性織布の透光率が90%より大きい場合には、電磁波シールド性能が悪化してしまう。
【0015】
上記基板包囲具における前記基板包囲布は、請求項5に記載のように、前記導電性織布と透明樹脂シートの積層構造からなるようにしてもよい。これによれば、例えば上記のように荒い織り目で織られた樹脂織布を採用する場合においても、十分な強度を確保することができる。
【0016】
前記基板包囲布は、例えば請求項6に記載のように、開口部を有する袋状に形成されてなる構成とすることが好ましい。これによれば、電子回路基板が固定された骨組構造体を前記開口部より挿入するだけで、容易に骨組構造体(従って電子回路基板)を内部に収容することができる。また、骨組構造体を内部に収容した後で、前記開口部を例えば縫製して閉じることにより、全方位に亘る電磁波シールド性が得られる。
【0017】
また、前記基板包囲布は、請求項7に記載のように、前記基板包囲布が、1枚布から折り曲げ構成されてなるようにすることもできる。これによれば、1枚布の導電性織布を所定形状に切り出し、電子回路基板および搭載されている電子部品の位置を確認しながら骨組構造体に沿って折り曲げるだけで、容易かつ確実に該基板包囲布を構成することができる。
【0018】
前述した骨組構造体との組み付け性を考慮すると、前記基板包囲布は、請求項8に記載のように、前記骨組構造体の外側に保持されてなることが好ましい。しかしながら逆に、前記基板包囲布が前記骨組構造体の内側に保持されてなる構成とすることも可能である。この場合には、例えば電子回路基板とのグランド接続が容易になる。
【0019】
また、請求項9に記載のように、前記基板包囲布に、前記保持のための穴を形成する場合には、前記穴に、ほつれ防止金具が嵌め込まれてなる構成とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一例である基板包囲具100を示す図である。(a)は、基板包囲具100の上面図であり、(b)は、(a)における一点鎖線A−Aでの断面図であり、(c)は、(a)における一点鎖線B−Bでの断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100の構成要素である骨組構造体10を示す図である。(a)は、骨組構造体10の上面図であり、(b)は、骨組構造体10の前面図であり、(c)は、骨組構造体10の右側面図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100のもう一つの構成要素である基板包囲布20を示す図である。(a)は、基板包囲布20の上面図であり、(b)は、基板包囲布20の前面図であり、(c)は、基板包囲布20の右側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、図1の基板包囲具100に電子回路基板30を収容した状態を示す図である。(a)は、上面図であり、(b)は、(d)における一点鎖線C−Cでの断面図であり、(c)は、(a)における一点鎖線D−Dでの断面図であり、(d)は、右側面図である。
【図5】図1の基板包囲具100の変形例で、電子回路基板30を収容する基板包囲具101の上面図である。
【図6】別の基板包囲具を示す図で、電子回路基板30を収容する基板包囲具102の上面図である。
【図7】基板包囲布50(導電性織布51)に形成されている穴52の周りを拡大して示した断面図である。
【図8】1枚布の導電性織布61を示した上面図である。
【図9】別の骨組構造体70を用いた基板包囲具103の一部を拡大して示した断面図である。
【図10】基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図で、(a)は、基板包囲具104の一部を拡大して示した断面図であり、(b)は、(a)の導電性織布21だけを取り出して示した上面図である。
【図11】基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図で、基板包囲具105の一部を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具に関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0022】
図1(a)〜(c)は、本発明の一例である基板包囲具100を示す図である。図1(a)は、基板包囲具100の上面図であり、図1(b)は、図1(a)における一点鎖線A−Aでの断面図であり、図1(c)は、図1(a)における一点鎖線B−Bでの断面図である。
【0023】
図2(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100の構成要素である骨組構造体10を示す図である。図2(a)は、骨組構造体10の上面図であり、図2(b)は、骨組構造体10の前面図であり、図2(c)は、骨組構造体10の右側面図である。また、図3(a)〜(c)は、図1の基板包囲具100のもう一つの構成要素である基板包囲布20を示す図である。図3(a)は、基板包囲布20の上面図であり、図3(b)は、基板包囲布20の前面図であり、図3(c)は、基板包囲布20の右側面図である。
【0024】
図4(a)〜(d)は、図1の基板包囲具100に電子回路基板30を収容した状態を示す図である。図4(a)は、上面図であり、図4(b)は、図4(d)における一点鎖線C−Cでの断面図であり、図4(c)は、図4(a)における一点鎖線D−Dでの断面図であり、図4(d)は、右側面図である。
【0025】
図1に示す基板包囲具100は、骨組構造体10と基板包囲布20とで構成されている。
【0026】
図2に示す骨組構造体10は、図4に示すように、電子回路基板30を内部に収容して固定すると共に、電子回路基板30を覆う基板包囲布20を保持するための機能を有している。このため、図2に示すように、骨組構造体10には、電子回路基板30を固定するための穴11や基板包囲布20を保持するための穴12が開けられている。上記穴11を介して、図4(b)に示すように、電子回路基板30は、ネジ34で骨組構造体10に固定される。しかしながら、電子回路基板の骨組構造体への固定はこれに限らず、例えば接着剤で接合するようにしてもよい。
【0027】
図2に示す骨組構造体10は、軽量で安価に製造できる、プラスチックスからなる一体成形品である。しかしながらこれに限らず、金属等の別材料であってもよいし、棒状骨や平面枠状骨等を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0028】
図3に示す基板包囲布20は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布21からなる。 金属メッキを施す樹脂織布には、例えば、高強度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなるものが好ましい。
【0029】
図3の基板包囲布20は、開口部Kを有する袋状に形成されている。これは、導電性織布21を所定形状に切り出し、袋状となるように対応する周辺部を縫製して形成する。この袋状にした基板包囲布20により、図4に示すように、電子回路基板30が固定された骨組構造体10を開口部Kより挿入するだけで、容易に骨組構造体10(従って電子回路基板30)を内部に収容することができる。
【0030】
図3に示す基板包囲布20には、骨組構造体10に保持するための穴22が形成されている。図1に示す基板包囲具100では、図2(a)に示す骨組構造体10の穴12、図3(a)に示す基板包囲布20の穴22および図4(b)に示す電子回路基板30に形成された穴32にネジを貫通させて、基板包囲布20を骨組構造体10に保持するようにしている。しかしながら、基板包囲布の骨組構造体への保持はこれに限らず、例えばワイヤ等による別の保持方法を用いてもよい。
【0031】
図4に示すように、基板包囲布20は、骨組構造体10を内部に収容した状態で、電子回路基板30を覆う。図1〜図4に示す基板包囲具100の骨組構造体10は、電子回路基板30および搭載されている電子部品31と導電性織布21とが直接接触しないように、基板包囲布20を支持する役割を有している。この電子回路基板30を覆う基板包囲布20によって、内部の電子回路基板30からの電磁波の漏洩、および外部からの電磁波の侵入を防ぐことができる。
【0032】
以上説明したように、図1〜図4に示す基板包囲具100は、骨組構造体10と基板包囲布20とで構成されている。該骨組構造体10と基板包囲布20は、従来の金属筐体や内面に無電解メッキ等で導電性層が設けられたプラスチックス筐体と同様に、全体として電子回路基板30を収容するケース(筐体)の役割を果たす。上記基板包囲具100において、骨組構造体10の材料は、樹脂(プラスチックス)であってよく、壁面に相当する基板包囲布20の主材料は、樹脂織布である。このため、上記基板包囲具100は、従来のプラスチックス筐体に較べても、格段に軽量化することができる。
【0033】
上記基板包囲具100において、電磁波シールドの役割を担うのは、電子回路基板30を覆う導電性を有した基板包囲布20である。該基板包囲布20は、樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、金属メッキされた樹脂繊維が立体的に絡み合った構造となっている。従って、該基板包囲布20における金属メッキ層は、従来のプラスチックス筐体に設けられた導電性層のような筐体表面にだけあるものではない。このため、製造途中に擦れ等があっても、該基板包囲布20の金属メッキ層が大きく剥がれることがなく、電磁波シールド効果も損なわれ難い。
【0034】
また、骨組構造体10と基板包囲布20からなる上記基板包囲具100は、前述したように全体として電子回路基板30を収容するケースの役割を果たすため、従来の導電性のシートや袋で電子回路基板を覆う方法と異なり、それらを収容するための新たなケースを必要としない。
【0035】
以上のようにして、上記基板包囲具100は、電子回路基板30の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具とすることができる。
【0036】
次に、図1〜図4に示した基板包囲具100の細部について、より好ましい実施形態を説明する。
【0037】
図5は、図1の基板包囲具100の変形例で、電子回路基板30を収容する基板包囲具101の上面図である。尚、図5の基板包囲具101において、図4(a)における基板包囲具100と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0038】
図5に示す基板包囲具101では、図4に示した基板包囲具100と同様に電子回路基板30を固定した骨組構造体10を内部に収容した後、外部接続するためのハーネス33を開口部Kから引き出し、開口部Kを樹脂糸23で縫製して閉じている。これにより、全方位に亘る電磁波シールド性が得られることとなる。
【0039】
図6は、別の基板包囲具を示す図で、電子回路基板30を収容する基板包囲具102の上面図である。尚、図6の基板包囲具101においても、図4(a)における基板包囲具100と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0040】
図6の基板包囲具102における基板包囲布40の樹脂織布(導電性織布41)は、図1〜図4に示した基板包囲具100における基板包囲布20の樹脂織布(導電性織布21)に較べて、荒い織り目で織られておられている。このため、該基板包囲具102に電子回路基板30を収容するに際して、該基板包囲具102の内部の様子が透視できるため、容易に組み付けることができる。尚、基板包囲布40の導電性織布41については、透光率が、10%以上、90%以下であることが好ましい。導電性織布41の透光率が10%より小さい場合には、内部の様子をよく見ることができず、導電性織布41の透光率が90%より大きい場合には、電磁波シールド性能が悪化してしまう。
【0041】
また、図1〜図6に示した基板包囲具100〜102における基板包囲布20,40は、それぞれ、導電性織布21,41と透明樹脂シートの積層構造からなるようにしてもよい。これによれば、例えば図6の基板包囲布40のように荒い織り目で織られた樹脂織布を採用する場合においても、十分な強度を確保することができる。
【0042】
図7は、基板包囲布50(導電性織布51)に形成されている穴52の周りを拡大して示した断面図である。
【0043】
図7の基板包囲布50においては、穴52に導電性織布51のほつれ防止金具53が嵌め込まれている。このように、基板包囲布に骨組構造体へ保持するための穴を形成する場合には、該穴にほつれ防止金具を嵌め込むことが好ましい。
【0044】
次に、基板包囲具の別の構成例について説明する。
【0045】
図8は、1枚布の導電性織布61を示した上面図である。
【0046】
上述した骨組構造体に保持されて電子回路基板を覆う基板包囲布は、袋状に形成したものに限らない。例えば、図8に示す1枚布の導電性織布61を用い、電子回路基板30および搭載されている電子部品31の位置を確認しながら、骨組構造体10に沿って図中の破線で折り曲げて構成するようにしてもよい。このように、1枚布の導電性織布を所定形状に切り出し、電子回路基板および搭載されている電子部品の位置を確認しながら骨組構造体に沿って折り曲げるだけで、容易かつ確実に、電子回路基板を覆う基板包囲布を構成することができる。
【0047】
図9は、別の骨組構造体70を用いた基板包囲具103の一部を拡大して示した断面図である。尚、図9の基板包囲具103において、図4における基板包囲具100および電子回路基板30と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0048】
図4に示した基板包囲具100に用いられている骨組構造体10は、全体として電子回路基板30および搭載されている電子部品31と導電性織布21とが直接接触しないようにして、電子回路基板30を内部に収容して固定するものであった。これに対して、図9の基板包囲具103における骨組構造体70は、個々の電子部品31毎に導電性織布21が直接接触しないようにして、電子回路基板30を内部に収容して固定する構造となっている。このように、個々の電子部品に対応した骨組構造体を有する基板包囲具とすることも可能で、これによれば電子部品を全体として覆う基板包囲具に較べて、より小型化することができる。
【0049】
図1に示した基板包囲具100に用いられている基板包囲布20(導電性織布21)は、骨組構造体10の外側に保持されている。骨組構造体との組み付け性を考慮すると、基板包囲布は、図1に示した基板包囲具100のように、骨組構造体の外側に保持されてなることが好ましい。しかしながら逆に、基板包囲布が骨組構造体の内側に保持されてなる構成とすることも可能である。
【0050】
図10と図11は、基板包囲布(導電性織布)が骨組構造体の内側に保持されている基板包囲具の例を示す図である。図10(a)は、基板包囲具104の一部を拡大して示した断面図であり、図10(b)は、図10(a)の導電性織布21だけを取り出して示した上面図である。また、図11は、基板包囲具105の一部を拡大して示した断面図である。尚、図10と図11の基板包囲具104,105において、図4における基板包囲具100および電子回路基板30と同様の部分については、同じ符号を付した。
【0051】
図10の基板包囲具104においては、図10(a)に示すように、導電性織布21が骨組構造体80の内側に保持されている。また、骨組構造体80の柱状部81付近では、図10(b)に示すように導電性織布21が切り起こされ、図10(a)に示すように柱状部81の上端面に配置されて、電子回路基板30と電気的にグランド接続されている。また、図11の基板包囲具105においては、電子回路基板30に設けられたバネ状の金属接続部材35により、骨組構造体80の内側に保持されている導電性織布21と電気的にグランド接続されている。
【0052】
図10と図11の基板包囲具104,105に示すように、導電性織布が骨組構造体の内側に保持される基板包囲具においては、電子回路基板とのグランド接続が容易になる。
【0053】
以上に示したように、図1〜図11で例示した基板包囲具100〜105は、いずれも、電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、小型・軽量で、製造中の擦れ等があってもシールド性が損なわれ難い基板包囲具となっている。
【符号の説明】
【0054】
100〜105 基板包囲具
10,70,80 骨組構造体
20,40,50 基板包囲布
21,41,51,61 導電性織布
53 ほつれ防止金具
30 電子回路基板
31 電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、
前記電子回路基板を内部に収容して固定する骨組構造体と、
樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、前記骨組構造体に保持されて前記電子回路基板を覆う基板包囲布とからなることを特徴とする基板包囲具。
【請求項2】
前記骨組構造体が、プラスチックスからなる一体成形品であることを特徴とする請求項1に記載の基板包囲具。
【請求項3】
前記樹脂織布が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなることを特徴とする請求項1または2に記載の基板包囲具。
【請求項4】
前記樹脂織布が、荒い織り目で織られており、
前記導電性織布の透光率が、10%以上、90%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項5】
前記基板包囲布が、前記導電性織布と透明樹脂シートの積層構造からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項6】
前記基板包囲布が、開口部を有する袋状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項7】
前記基板包囲布が、1枚布から折り曲げ構成されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項8】
前記基板包囲布が、前記骨組構造体の外側に保持されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項9】
前記基板包囲布に、前記保持のための穴が形成され、
前記穴に、ほつれ防止金具が嵌め込まれてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項1】
電子回路基板の電磁波シールドを行う基板包囲具であって、
前記電子回路基板を内部に収容して固定する骨組構造体と、
樹脂織布を金属メッキした導電性織布からなり、前記骨組構造体に保持されて前記電子回路基板を覆う基板包囲布とからなることを特徴とする基板包囲具。
【請求項2】
前記骨組構造体が、プラスチックスからなる一体成形品であることを特徴とする請求項1に記載の基板包囲具。
【請求項3】
前記樹脂織布が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルまたはポリイミドからなることを特徴とする請求項1または2に記載の基板包囲具。
【請求項4】
前記樹脂織布が、荒い織り目で織られており、
前記導電性織布の透光率が、10%以上、90%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項5】
前記基板包囲布が、前記導電性織布と透明樹脂シートの積層構造からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項6】
前記基板包囲布が、開口部を有する袋状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項7】
前記基板包囲布が、1枚布から折り曲げ構成されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項8】
前記基板包囲布が、前記骨組構造体の外側に保持されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【請求項9】
前記基板包囲布に、前記保持のための穴が形成され、
前記穴に、ほつれ防止金具が嵌め込まれてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板包囲具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−165867(P2010−165867A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6981(P2009−6981)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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