説明

基板又はシートの接着装置

【課題】基板又はシートを密着貼り合わせする際に、脱気又は脱泡して接着する基板又はシートの接着装置に関する。
【解決手段】
基板又はシートを複数の上下圧着又は加熱圧着ロールの間を通して、脱気又は脱泡して密着貼り合わせする基板又はシートの接着装置であって、
前記密着貼り合わせする基材又はシートが挿入側から排出側に向かって走行する走行方向の上下圧着又は加熱圧着ロールの上方方向の該ロールの、左右の幅が順次広く形成されていることを特徴とする基板又はシートの接着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板又はシートを密着貼り合わせする際に、脱気又は脱泡して接着する基板又はシートの接着装置に関する。基材としては、カラーフイルター、防犯用積層ガラス、合板等が例示できる。また、シートとしては、プラスチック積層シート、感光用フイルムシート、積層シート等が例示できる。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤を用いて2枚の基板等の貼り合わせは、図4に示すようなロールコータ100等を用いて、大気中でいずれか一方の基板101に接着剤102を塗工する。そして、図5に示すように接着剤102が塗工された基板101と他の基板103等が重ね合わされ大気中で平圧式加圧装置200等により密着貼り合わせされる。
【0003】
また、基板にシート等を貼り合わせする場合には、図には示していないが、ロール幅が同じ一対の上下圧着又は加熱圧着ロールか、あるいは複数本の上下圧着又は加熱圧着ローラー等で圧着又は加熱圧着により密着貼り合わせする方法も行われている。
【0004】
また、近年、大気中で接着剤を塗工した後、2枚の基板を真空中で加圧貼り合わせする真空加圧装置も知られている。
【0005】
この真空加圧装置300は、図6に示すように、大気中で接着剤が塗工された基板104、105を真空チャンバー106内で加圧シリンダー107により加圧される。そして、真空ポンプ108により真空チャンバー106内が真空引きされる。
【0006】
この方法で密着貼り合わせされた2枚の基板104、105間には、接着剤等の気泡混入が避けられるといはれている。
【0007】
さらに、図7に示すような真空加圧装置400も知られている。この真空加圧装置400は、ゲートバルブ113を開きディスペンサー112を真空チャンバー110内に挿入して基板111に接着剤を大気中で塗工する。
【0008】
そして、ディスペンサー112を外に移動しゲートバルブ113を閉鎖した後、真空ポンプ109で真空チャンバー110を真空引きし、真空度が所定に達した時基板の貼り合わせを行う。
【0009】
前記真空雰囲気中で2枚の基板を貼り合わせた密着貼り合わせ構造の光記録媒体の製造方法(例えば、特許文献1参照。)も知られている。
【0010】
この製造方法は基板の一主面に形成されている情報記録層部を内面にして2枚の基板を貼り合わせた密着貼り合わせ構造の光記録媒体の製造方法で、前記基板の上に接着剤を塗工する工程と真空雰囲気中で前記基板を貼り合わせる工程を含む光記録媒体の製造方法である。
【0011】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平10−188374号公報(1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
2枚の基板を接着剤等で貼り合わせる際には、上記のように真空中での接着工程が多く採用されてきている。特に基板がガラス基板の場合には、局所的に圧力をかけることが難しい。そして、ガラス基板間に気泡等が残存する。
【0013】
前記気泡の残存によって、完成品によっては、気泡の残存で未接着部分が生じたり、ぬけが発生したり、あるいは、誘電体層にクラック等を引き起こすという問題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、安価で、大きなスペースが不要で、連続して生産ができ、且つ、貼り合わせる基板又はシート間の気泡が完璧に防止することができる基板又はシートの接着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
基板又はシートを複数の上下圧着又は加熱圧着ロールの間を通して、脱気又は脱泡して密着貼り合わせする基板又はシートの接着装置であって、
前記密着貼り合わせする基材又はシートが挿入側から排出側に向かって走行する走行方向の上方方向の圧着又は加熱圧着ロールの、左右の幅が順次広く形成されていることを特徴とする基板又はシートの接着装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基板又はシートの接着装置は貼り合わせする基板又はシート間に気泡等が混入することがない。
【0017】
また、高額で大掛かりな真空装置などの設備が不要である。そして、安価な設備で、且つ、大気中で連続して基板又はシートを密着貼り合わせすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の基板又はシートの接着装置を実施の形態に沿って以下図面を参照にしながら詳細に説明する。図1〜図5は本発明の基板又はシートの接着装置の実施の状態を示す説明図である。
図1は本発明の基板又はシートの接着装置の概略を説明するための斜視図である。
【0019】
図1に示すように本発明の基材又はシートの接着装置20は上下圧着又は加熱圧着する一対のロールが複数設けられている。
【0020】
また、下方方向の各ロール5の、左右のロール幅は、密着貼り合わせされる基材又はシート1の左右の幅よりも多少短いか、あるいは略同じ幅に形成されている。そして、下方方向の各ロール5は、図には示していないが駆動装置によって回転駆動する。
【0021】
また、上方方向の各ロール6の、左右のロール幅は、図1〜図3(a)に示すように基材又はシート1が挿入される挿入側3から排出される排出側4方向に向かって順次左右のロール幅が広く形成されている。そして、接着剤2を前方方向及び左右方向に順次広げ、且つ、基材又はシート1間の気泡10等も順次左右方向に移動し、さらに排出されて密着貼り合わせされる。
【0022】
また、下方方向のロール5と上方方向のロール6の間隔(隙間)は貼り合わせする2枚の基材又はシート1の厚さ等により適宜間隔(隙間)が調整される。
【0023】
また、基材又はシート1を貼り合わす際には、接着剤2が下方方向の基板又はシート1の上面の挿入方向中央端縁近傍に滴下される。そして、下方方向の基板又はシート1の挿入方向の先端と上方方向の基板又はシート1の挿入方向の先端が位置合わせされる。
【0024】
また、接着剤2が充填され、位置合わせされた基板又はシート1は図2(a)又は(b)に示すように上下圧着又は加熱圧着ロールが複数設けられている、加圧又は加熱加圧部7に挿入側3から排出側4に向けて挿入される。
【0025】
前記上下圧着又は加熱圧着ロールは基板又はシート1あるいは接着剤2等の種類又は材質によって上方方向又は下方方向のいずれか一方の方向か、あるいは上下方向のいずれのロールにも、適宜の温度を施すことができる。
【0026】
次に、図3(a)又は(b)に示すように、加圧又は加熱加圧部7に挿入側3から排出側4に向けて挿入された基板又はシート1は基材又はシート間に注入された接着剤2が排出側4方向に向かって扇状に広がる。そして、同時に接着剤2等に含まれていた気泡10等が基板又はシート1の進行方向の左右方向に移動し、基板又はシート1の左右方向端面から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の基板又はシートの接着装置は大気中で基板又はシートを接着剤を用いて貼り合わせる。そして、真空雰囲気中で密着貼り合わせすると同様に接着剤等の気泡を貼り合わされ基板又はシートの外にだせる。さらに該接着装置は安価で、連続生産できる基板又はシートの接着装置として優れていることはもとより、木目板の貼り合わせや合板等、建築分野や、焼き菓子等の製菓分野にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の基板又はシートの接着装置の概略を説明するための斜視図である。
【図2】(a)は本発明の基板又はシートの接着装置の概略を説明するための概略平面図、(b)は(a)の側面の概略を示す概略図である。
【図3】(a)は本発明の基板又はシートの接着装置の概略を説明するための概略平面図、(b)は(a)の側面の概略を示す概略図である。
【図4】従来の基板接着装置の接着剤の塗工方法を説明するための概略図である。
【図5】従来の基板接着装置の概略を説明するための概略図である。
【図6】従来の基板接着装置の概略を説明するための概略図である。
【図7】従来の真空加圧装置の概略を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0029】
1…基板
2…接着剤
3…挿入側
4…排出側
5…下方方向ロール
6…上方方向ロール
7…加圧又は加熱加圧部
10…気泡
20…本発明の基板又はシートの接着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板又はシートを複数の上下圧着又は加熱圧着ロールの間を通して、脱気又は脱泡して密着貼り合わせする基板又はシートの接着装置であって、
前記密着貼り合わせする基材又はシートが挿入側から排出側に向かって走行する走行方向の上下圧着又は加熱圧着ロールの上方方向の該ロールの、左右の幅が順次広く形成されていることを特徴とする基板又はシートの接着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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