基板実装型端子台構造
【課題】電子制御機器のカバーケースに端子台の回り止めリブ等を施施すことや端子台に別体の補強ピンを設けるようなことをすることなく、接続ピンの強度不足を充分補って、接続金具への電線の接続時に電子部品実装基板に対して端子台が回転しないようにして、端子台延いては電子制御機器の大型化を抑制した。
【解決手段】端子台2を構成する端子ケーシング3に電線を接続するための端子金具4を配設し、端子金具4の接続ピン4aを電子部品実装基板1に実装するに際し、端子ケーシング3の下面に保持脚片3aを突出形成し、保持脚片3aを電子部品実装基板1に形成した挿し込み開口1bに挿着することによって端子台2における電子部品実装基板1に対する回り止め構造とした。
【解決手段】端子台2を構成する端子ケーシング3に電線を接続するための端子金具4を配設し、端子金具4の接続ピン4aを電子部品実装基板1に実装するに際し、端子ケーシング3の下面に保持脚片3aを突出形成し、保持脚片3aを電子部品実装基板1に形成した挿し込み開口1bに挿着することによって端子台2における電子部品実装基板1に対する回り止め構造とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、この端子金具を電源装置、温度調節器、デジタルパネルメータ或いはタイマー等の電子制御機器を構成する電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来例えば電源装置を構成する電子制御機器aは、図8に示すように、台座b上に略箱状のカバーケースcを組み合わせることにより構成した機器ケース体dを有して構成している。
【0003】
台座b上には、電子部品実装基板eが設置されており、電子部品実装基板eには、不図示のトランスやトランジスタ或いはコンデンサ等の電子部品が実装されていると共に、外側一側部には、例えば複数の端子台f−1、f−2が実装されている。
【0004】
そして、図9及び図10に示すように、端子台f−1、f−2は、略箱型に形成された端子ケーシングg内に不図示の電線を接続するための端子金具hを収容設置して構成している。
【0005】
端子金具hには、それぞれ一対組の接続ピンiが突出形成され、接続ピンiを端子ケーシングgの下方に突出させ、突出した接続ピンiを、電子部品実装基板eに設けたスルーホールjに挿通した後半田付けにより電子部品実装基板eに実装して構成しており、端子台f−1、f−2は、接続ピンiがスルーホールeに挿入され半田付けされることによって、電子部品実装基板eに保持されるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−121111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、端子金具hに電線を接続する場合、接続金具hは、ネジkを螺動させることによって端子ケーシングgに対してスライドし、接続ピンiを不図示の電線に圧接して電気的に接続することになるが、この場合、ねじkの螺動により端子金具hを介して端子ケーシングgにトルクが伝達され、このトルクによって端子ケーシングgが電子部品実装基板eに対して回転してしまい、この結果、強度的に不足がちな接続ピンiが端子ケーシングgの回転により電子部品実装基板eに対して捻回され折曲されてしまい、接続ピンiが折曲されてしまうと、当該端子台fは隣接する他の端子台等の実装部品に寄り掛かってしまう当の不具合が発生してしまう。
【0007】
このような端子ケーシングgが回転して接続ピンiが捻回折曲されるのを防止するために、従来、例えば図11に示すように、電子制御機器aのカバーケースg側に、L字状リブn−1や直状のリブn−2等からなる回り止めリブnを形成して、回り止めリブnにより端子ケーシングgを収容することによって、端子台fの回る止めを施していた。
【0008】
しかし、電子制御機器の種類によって、端子台fの設置個数或い配置レイアウト等は異なることになって、これに適合するために、カバーケースcの形状を複数種用意する必要があり、このために、カバーケースcの成形金型費が嵩むことになってしまう。
【0009】
また、端子台f−1、f−2を電子部品実装基板aに対して回り止めを施すために、端子ケーシングgの側壁に別体の補強ピン(不図示)を突出設置して、この補強ピンを電子部品実装基板eに接続ピンiとは別に実装することによって、接続ピンiの強度不足を補っているものがある。
【0010】
しかし、このような補強ピンを電子部品実装基板eに実装する方式では、端子台fの電子部品実装基板eに対する実装占有面積が端子台f−1、f−2の外方に補強ピンがはみ出した状態で電子部品実装基板eに実装される分大きくなってしまい、延いては、電子制御機器a全体を大型化する要因となってしまう。
【0011】
そこで、本発明はかかる従来の課題を改善するために案出されたもので、電子制御機器のカバーケースに端子台の回り止めリブ等を施すことや端子台に別体の補強ピンを設けるようなことをすることなく、接続ピンの強度不足を充分補って、接続金具への電線の接続時に電子部品実装基板に対して端子台が回転しないように構成して、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制した基板実装型端子台構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板実装型端子台構造は、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、該端子金具の接続ピンを電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造であって、前記端子ケーシングの下面に保持脚片を突出形成し、該保持脚片を前記電子部品実装基板に形成した挿し込み開口に挿着することによって前記端子台に前記電子部品実装基板に対する回り止め構造を施したことを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成により、端子台は、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができる。
【0014】
さらに、かかる構成により、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。
【0015】
また、本発明に係る基板実装型端子台構造は、前記端子ケーシングに別体の回り止めスペーサを設けて、該回り止めスペーサに前記保持脚片を形成し、前記端子ケーシングと前記電子部品実装基板との間に前記回り止めスペーサを介在させた状態で前記保持脚片を前記電子部品実装基板の挿し込み開口に挿着するように構成してもよい。
【0016】
かかる構成により、別体の回り止めスペーサを端子ケーシングに設けて、回り止めスペーサ荷形成した保持脚片により端子台の回る止め構造としてことにより、端子台として従来品を使用することができることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る基板実装型端子台構造によれば、端子台は、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができる。
【0018】
更に、本発明に係る基板実装型端子台構造によれば、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片の一部又は全部を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0020】
図1は本発明に係る基板実装型端子台構造を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図、図2は図1の基板実装型端子台構造をA方向から描画した斜視図、図3は図1におけるB−B断面図である。
【0021】
例えば電源装置を構成する電子制御機器は、図示しないが従来と同様に、台座上に略箱状のカバーケースを組み合わせることによって構成した機器ケースを有して構成している。
【0022】
前記台座上には、図1に示すような電子部品実装基板1が設置されており、電子部品実装基板1には、不図示のトランスやトランジスタ或いはコンデンサ等の電子部品が実装されていると共に、外側一側部には、例えば複数の端子台2が実装されている。
【0023】
端子台2は、図2に示すように、略箱型に形成された端子ケーシング3内に不図示の電線を接続するための端子金具4を収容設置して構成している。
【0024】
端子金具4は、ネジ9の螺動により端子ケーシング3内をスライド可能に構成しており、その先端には接続ピン4aが形成され、接続ピン4aは図3に示すように電子部品実装基板1に形成したスルーホール1aに挿通させた後、半田付けすることによって、電子部品実装基板1に実装されている。
【0025】
更に、図2に示すように、端子ケーシング3における電子部品実装基板1に対向している下面の4箇所の隅角部には、保持脚片3aがそれぞれ一体に突出形成されている。
【0026】
一方、図1に示すように、電子部品実装基板1には、保持脚片3aがそれぞれ挿着される4つの挿し込み開口1bが互いに点対象となるように穿設されている。
【0027】
4つの挿し込み開口1bのうち、電子部品実装基板1の内側に形成した一対の挿し込み開口1b−1、1b−2は孔形状の貫通孔に形成されているが、外側に形成された一対の挿し込み開口1b−3、1b−4は、外方が開口するコ字状の切欠き溝形状に形成されている。
【0028】
上記のように構成する場合、端子台2は、接続ピン4aをスルーホール1aに挿し込むと共に、保持脚片3aをそれぞれ挿し込み開口1bに挿着し、接続ピン4aとスルーホール1aに半田を溶着することによって、電子部品実装基板1に実装されることになる。
【0029】
しかる後、端子ケーシング3に形成した電線挿入孔3bより不図示の電線を挿入すると共に、ネジ9を螺動させることにより端子金具4を下動させて電線に圧着させ、当該電線を接続ピン4aを介して電子部品実装基板1に電気的に接続することになる。
【0030】
かかる構成により、端子台2は、電子部品実装基板1に対して、接続ピン4aと共に保持脚片3aが実装されて接続ピン4aの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用して、接続ピン4aの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片3aは端子ケーシング3の下面に接続ピン4aと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板1における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台2延いてはこれを使用する電子制御機器1の大型化を抑制することができる。
【0031】
なお、電子部品基板1に形成した挿し込み開口1b−1乃至1dは、互いに点対象に形成していることから、端子台2を180度回転させたとしても、取付けることができることから、誤装着を防止するために、互いに点対称とならないようにずらして形成することが考えられ、これに関連して、保持脚片3aの同様にずらした状態で、端子ケーシング3に形成することになる。
【0032】
また、上記のように構成する端子台構造において、電子部品実装基板1側に設けた挿し込み開口1bは4個形成しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて形成個数を選択することができ、例えば、電子部品実装基板1の外側に一対形成した挿込開口1b−3、1b−4を廃止して、内側に一対形成した挿し込み開口1b−1、1b−2のみにしてよい。
【0033】
この場合、図4に示すように、挿し込み開口1b−1、1b−2を電子部品実装基板1の外側にずらして形成しておけば、端子台2に設けた4つの保持脚片3aのうち一方における一対の保持脚片3a―1をそれぞれ挿し込み開口1b−1、1b−2に挿着すると共に、他方の保持脚片3a―2をそれぞれ電子部品実装基板1の外側端面に添設することによって、端子台2の回り止め構造を構成することができる。この結果、他方の保持脚片3a―2の廃止により、電子部品実装基板1の構造を簡略化でき、その実装面積の有効利用を図ることができると共に、電子制御機器自体の外形を小型化することにつながる。
【0034】
更に、もしユーザーが、電子部品実装基板1に挿し込み口開口1bを形成することを好まない場合には、図5に示すように、保持脚片3aの一部又は全部を不図示のニッパー等により切除すると共に、接続ピン4aの長さ寸法を長めに予め設定することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。もし、この場合、接続ピン4aの長さ寸法が長過ぎる場合には、電子部品実装基板1に実装した後に、やはり接続ピン4aの余分寸法をやはりニッパー等により切除すればよい。
【0035】
次に、図6及び図7を用いて、本発明に係る他の実施の形態を説明する。
【0036】
図6は、端子台を電子部品実装基板に実装する前の分解斜視図である。
【0037】
図6において、この実施の形態においては、端子台2とは別体に構成した回り止めスペーサ6を端子台2と電子部品実装基板1との間に介装することによって、端子台2の回り止めを施したものである。
【0038】
すなわち、回り止めスペーサ6は、平板状の基台6aを有し、基台6aの略中央部に端子金具4の接続ピン4aを挿通させる一対の接続ピン挿通孔6bを穿設すると共に、接続ピン挿通孔6bを挟んで、基台6aの上面側の4つの隅角部のやや内側に端子台保持突起6cを突設し、更に、基台6aの下面側の4つの隅角部には、保持脚片6dを突設して構成している。
【0039】
したがって、端子台2を電子部品実装基板1に実装する場合、先ず、接続ピン4aを回り止めスペーサ6側の接続ピン挿通孔6bにそれぞれ差し込んで挿通させると共に、各端子台保持突起6cを端子ケーシング3の内側壁3c内に挿入するように配設しておく。
【0040】
しかる後、接続ピン4aを電子部品実装基板1のスルーホール1aに挿し込むと共に、保持脚片6dを電子部品実装基板1側の挿し込み開口1bにそれぞれ挿着し、接続ピン4aとスルーホール1aに半田を溶着することによって、端子台2は電子部品実装基板1に実装されることになる(図7参照)。
【0041】
かかる構成により、端子台2は、端子台保持突起6cが端子ケーシング3の内側壁3c内に挿し込まれると共に、回り止めスペーサ6側の保持脚片6dが電子部品実装基板1側の挿し込み開口1bに挿着されて、電子部品実装基板1に対して回り止めされることになって接続ピン4aの補強不足を充分補って、電線の接続に際して接続ピン4aの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片6dは回り止めスペーサ6の下面に突出形成されていることから、電子部品実装基板1における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台2延いてはこれを使用する電子制御機器1の大型化を抑制することができる。
【0042】
更に、端子ケーシング3を別体の回り止めスペーサ6に配設して、回り止めスペーサ6に形成した保持脚片6dにより端子台2の回る止め構造としてことにより、端子台2として従来品を使用することができることになり、しかも、回り止めスペーサ6は簡単な構造ゆえに、従来のようなカバーケースgの成形金型よりはるかに安価な成形金型を使用することができ、電子制御機器全体のコストアップがある程度のところで抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る基板実装型端子台構造は、端子台が、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができ、しかも、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができることから、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、この端子金具を電源装置、温度調節器、デジタルパネルメータ或いはタイマー等の電子制御機器を構成する電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る基板実装型端子台構造を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図である。
【図2】図1の基板実装型端子台構造をA方向から描画した斜視図である。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】図1の基板実装型端子台構造の他の使用例を描画したB−B断面図である。
【図5】図1の基板実装型端子台構造の更に他の使用例を描画したB−B断面図である。
【図6】本発明に係る基板実装型端子構造の他の実施の形態を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】従来における基板実装型端子構造を採用した電子制御機器の一部を切欠いて描画した斜視図である。
【図9】6における基板実装型端子構造の斜視図である。
【図10】5のD−D断面図である。
【図11】図9に示す基板実装型端子構造の支持構造を備えた電子制御機器のカバーケースの要部を描画した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電子部品実装基板
2 端子台
3 端子ケーシング
3a 保持脚片
4 端子金具
4a 接続ピン
6 回り止めスペーサ
6c 端子台保持突起
6d 保持脚片
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、この端子金具を電源装置、温度調節器、デジタルパネルメータ或いはタイマー等の電子制御機器を構成する電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来例えば電源装置を構成する電子制御機器aは、図8に示すように、台座b上に略箱状のカバーケースcを組み合わせることにより構成した機器ケース体dを有して構成している。
【0003】
台座b上には、電子部品実装基板eが設置されており、電子部品実装基板eには、不図示のトランスやトランジスタ或いはコンデンサ等の電子部品が実装されていると共に、外側一側部には、例えば複数の端子台f−1、f−2が実装されている。
【0004】
そして、図9及び図10に示すように、端子台f−1、f−2は、略箱型に形成された端子ケーシングg内に不図示の電線を接続するための端子金具hを収容設置して構成している。
【0005】
端子金具hには、それぞれ一対組の接続ピンiが突出形成され、接続ピンiを端子ケーシングgの下方に突出させ、突出した接続ピンiを、電子部品実装基板eに設けたスルーホールjに挿通した後半田付けにより電子部品実装基板eに実装して構成しており、端子台f−1、f−2は、接続ピンiがスルーホールeに挿入され半田付けされることによって、電子部品実装基板eに保持されるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−121111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、端子金具hに電線を接続する場合、接続金具hは、ネジkを螺動させることによって端子ケーシングgに対してスライドし、接続ピンiを不図示の電線に圧接して電気的に接続することになるが、この場合、ねじkの螺動により端子金具hを介して端子ケーシングgにトルクが伝達され、このトルクによって端子ケーシングgが電子部品実装基板eに対して回転してしまい、この結果、強度的に不足がちな接続ピンiが端子ケーシングgの回転により電子部品実装基板eに対して捻回され折曲されてしまい、接続ピンiが折曲されてしまうと、当該端子台fは隣接する他の端子台等の実装部品に寄り掛かってしまう当の不具合が発生してしまう。
【0007】
このような端子ケーシングgが回転して接続ピンiが捻回折曲されるのを防止するために、従来、例えば図11に示すように、電子制御機器aのカバーケースg側に、L字状リブn−1や直状のリブn−2等からなる回り止めリブnを形成して、回り止めリブnにより端子ケーシングgを収容することによって、端子台fの回る止めを施していた。
【0008】
しかし、電子制御機器の種類によって、端子台fの設置個数或い配置レイアウト等は異なることになって、これに適合するために、カバーケースcの形状を複数種用意する必要があり、このために、カバーケースcの成形金型費が嵩むことになってしまう。
【0009】
また、端子台f−1、f−2を電子部品実装基板aに対して回り止めを施すために、端子ケーシングgの側壁に別体の補強ピン(不図示)を突出設置して、この補強ピンを電子部品実装基板eに接続ピンiとは別に実装することによって、接続ピンiの強度不足を補っているものがある。
【0010】
しかし、このような補強ピンを電子部品実装基板eに実装する方式では、端子台fの電子部品実装基板eに対する実装占有面積が端子台f−1、f−2の外方に補強ピンがはみ出した状態で電子部品実装基板eに実装される分大きくなってしまい、延いては、電子制御機器a全体を大型化する要因となってしまう。
【0011】
そこで、本発明はかかる従来の課題を改善するために案出されたもので、電子制御機器のカバーケースに端子台の回り止めリブ等を施すことや端子台に別体の補強ピンを設けるようなことをすることなく、接続ピンの強度不足を充分補って、接続金具への電線の接続時に電子部品実装基板に対して端子台が回転しないように構成して、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制した基板実装型端子台構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板実装型端子台構造は、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、該端子金具の接続ピンを電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造であって、前記端子ケーシングの下面に保持脚片を突出形成し、該保持脚片を前記電子部品実装基板に形成した挿し込み開口に挿着することによって前記端子台に前記電子部品実装基板に対する回り止め構造を施したことを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成により、端子台は、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができる。
【0014】
さらに、かかる構成により、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。
【0015】
また、本発明に係る基板実装型端子台構造は、前記端子ケーシングに別体の回り止めスペーサを設けて、該回り止めスペーサに前記保持脚片を形成し、前記端子ケーシングと前記電子部品実装基板との間に前記回り止めスペーサを介在させた状態で前記保持脚片を前記電子部品実装基板の挿し込み開口に挿着するように構成してもよい。
【0016】
かかる構成により、別体の回り止めスペーサを端子ケーシングに設けて、回り止めスペーサ荷形成した保持脚片により端子台の回る止め構造としてことにより、端子台として従来品を使用することができることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る基板実装型端子台構造によれば、端子台は、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができる。
【0018】
更に、本発明に係る基板実装型端子台構造によれば、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片の一部又は全部を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0020】
図1は本発明に係る基板実装型端子台構造を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図、図2は図1の基板実装型端子台構造をA方向から描画した斜視図、図3は図1におけるB−B断面図である。
【0021】
例えば電源装置を構成する電子制御機器は、図示しないが従来と同様に、台座上に略箱状のカバーケースを組み合わせることによって構成した機器ケースを有して構成している。
【0022】
前記台座上には、図1に示すような電子部品実装基板1が設置されており、電子部品実装基板1には、不図示のトランスやトランジスタ或いはコンデンサ等の電子部品が実装されていると共に、外側一側部には、例えば複数の端子台2が実装されている。
【0023】
端子台2は、図2に示すように、略箱型に形成された端子ケーシング3内に不図示の電線を接続するための端子金具4を収容設置して構成している。
【0024】
端子金具4は、ネジ9の螺動により端子ケーシング3内をスライド可能に構成しており、その先端には接続ピン4aが形成され、接続ピン4aは図3に示すように電子部品実装基板1に形成したスルーホール1aに挿通させた後、半田付けすることによって、電子部品実装基板1に実装されている。
【0025】
更に、図2に示すように、端子ケーシング3における電子部品実装基板1に対向している下面の4箇所の隅角部には、保持脚片3aがそれぞれ一体に突出形成されている。
【0026】
一方、図1に示すように、電子部品実装基板1には、保持脚片3aがそれぞれ挿着される4つの挿し込み開口1bが互いに点対象となるように穿設されている。
【0027】
4つの挿し込み開口1bのうち、電子部品実装基板1の内側に形成した一対の挿し込み開口1b−1、1b−2は孔形状の貫通孔に形成されているが、外側に形成された一対の挿し込み開口1b−3、1b−4は、外方が開口するコ字状の切欠き溝形状に形成されている。
【0028】
上記のように構成する場合、端子台2は、接続ピン4aをスルーホール1aに挿し込むと共に、保持脚片3aをそれぞれ挿し込み開口1bに挿着し、接続ピン4aとスルーホール1aに半田を溶着することによって、電子部品実装基板1に実装されることになる。
【0029】
しかる後、端子ケーシング3に形成した電線挿入孔3bより不図示の電線を挿入すると共に、ネジ9を螺動させることにより端子金具4を下動させて電線に圧着させ、当該電線を接続ピン4aを介して電子部品実装基板1に電気的に接続することになる。
【0030】
かかる構成により、端子台2は、電子部品実装基板1に対して、接続ピン4aと共に保持脚片3aが実装されて接続ピン4aの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用して、接続ピン4aの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片3aは端子ケーシング3の下面に接続ピン4aと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板1における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台2延いてはこれを使用する電子制御機器1の大型化を抑制することができる。
【0031】
なお、電子部品基板1に形成した挿し込み開口1b−1乃至1dは、互いに点対象に形成していることから、端子台2を180度回転させたとしても、取付けることができることから、誤装着を防止するために、互いに点対称とならないようにずらして形成することが考えられ、これに関連して、保持脚片3aの同様にずらした状態で、端子ケーシング3に形成することになる。
【0032】
また、上記のように構成する端子台構造において、電子部品実装基板1側に設けた挿し込み開口1bは4個形成しているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて形成個数を選択することができ、例えば、電子部品実装基板1の外側に一対形成した挿込開口1b−3、1b−4を廃止して、内側に一対形成した挿し込み開口1b−1、1b−2のみにしてよい。
【0033】
この場合、図4に示すように、挿し込み開口1b−1、1b−2を電子部品実装基板1の外側にずらして形成しておけば、端子台2に設けた4つの保持脚片3aのうち一方における一対の保持脚片3a―1をそれぞれ挿し込み開口1b−1、1b−2に挿着すると共に、他方の保持脚片3a―2をそれぞれ電子部品実装基板1の外側端面に添設することによって、端子台2の回り止め構造を構成することができる。この結果、他方の保持脚片3a―2の廃止により、電子部品実装基板1の構造を簡略化でき、その実装面積の有効利用を図ることができると共に、電子制御機器自体の外形を小型化することにつながる。
【0034】
更に、もしユーザーが、電子部品実装基板1に挿し込み口開口1bを形成することを好まない場合には、図5に示すように、保持脚片3aの一部又は全部を不図示のニッパー等により切除すると共に、接続ピン4aの長さ寸法を長めに予め設定することによって、従来と同様な使用形態にすることができる。もし、この場合、接続ピン4aの長さ寸法が長過ぎる場合には、電子部品実装基板1に実装した後に、やはり接続ピン4aの余分寸法をやはりニッパー等により切除すればよい。
【0035】
次に、図6及び図7を用いて、本発明に係る他の実施の形態を説明する。
【0036】
図6は、端子台を電子部品実装基板に実装する前の分解斜視図である。
【0037】
図6において、この実施の形態においては、端子台2とは別体に構成した回り止めスペーサ6を端子台2と電子部品実装基板1との間に介装することによって、端子台2の回り止めを施したものである。
【0038】
すなわち、回り止めスペーサ6は、平板状の基台6aを有し、基台6aの略中央部に端子金具4の接続ピン4aを挿通させる一対の接続ピン挿通孔6bを穿設すると共に、接続ピン挿通孔6bを挟んで、基台6aの上面側の4つの隅角部のやや内側に端子台保持突起6cを突設し、更に、基台6aの下面側の4つの隅角部には、保持脚片6dを突設して構成している。
【0039】
したがって、端子台2を電子部品実装基板1に実装する場合、先ず、接続ピン4aを回り止めスペーサ6側の接続ピン挿通孔6bにそれぞれ差し込んで挿通させると共に、各端子台保持突起6cを端子ケーシング3の内側壁3c内に挿入するように配設しておく。
【0040】
しかる後、接続ピン4aを電子部品実装基板1のスルーホール1aに挿し込むと共に、保持脚片6dを電子部品実装基板1側の挿し込み開口1bにそれぞれ挿着し、接続ピン4aとスルーホール1aに半田を溶着することによって、端子台2は電子部品実装基板1に実装されることになる(図7参照)。
【0041】
かかる構成により、端子台2は、端子台保持突起6cが端子ケーシング3の内側壁3c内に挿し込まれると共に、回り止めスペーサ6側の保持脚片6dが電子部品実装基板1側の挿し込み開口1bに挿着されて、電子部品実装基板1に対して回り止めされることになって接続ピン4aの補強不足を充分補って、電線の接続に際して接続ピン4aの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片6dは回り止めスペーサ6の下面に突出形成されていることから、電子部品実装基板1における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台2延いてはこれを使用する電子制御機器1の大型化を抑制することができる。
【0042】
更に、端子ケーシング3を別体の回り止めスペーサ6に配設して、回り止めスペーサ6に形成した保持脚片6dにより端子台2の回る止め構造としてことにより、端子台2として従来品を使用することができることになり、しかも、回り止めスペーサ6は簡単な構造ゆえに、従来のようなカバーケースgの成形金型よりはるかに安価な成形金型を使用することができ、電子制御機器全体のコストアップがある程度のところで抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る基板実装型端子台構造は、端子台が、電子部品実装基板に対して、接続ピンと共に保持脚片を実装することによって接続ピンの補強不足を充分補って、電線の接続に際しての回り止めとして作用し、接続ピンの折曲を防止できることとなり、しかも、保持脚片が端子ケーシングの下面に接続ピンと共に突出形成されていることから、電子部品実装基板における端子台2の実装占有面積を拡大することがなく、端子台延いてはこれを使用する電子制御機器の大型化を抑制することができ、しかも、もしユーザーが、電子部品実装基板側に挿し込み開口を形成することを好まない場合には、保持脚片を切除することによって、従来と同様な使用形態にすることができることから、端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、この端子金具を電源装置、温度調節器、デジタルパネルメータ或いはタイマー等の電子制御機器を構成する電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る基板実装型端子台構造を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図である。
【図2】図1の基板実装型端子台構造をA方向から描画した斜視図である。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】図1の基板実装型端子台構造の他の使用例を描画したB−B断面図である。
【図5】図1の基板実装型端子台構造の更に他の使用例を描画したB−B断面図である。
【図6】本発明に係る基板実装型端子構造の他の実施の形態を採用した電子制御機器の要部を描画した分解斜視図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】従来における基板実装型端子構造を採用した電子制御機器の一部を切欠いて描画した斜視図である。
【図9】6における基板実装型端子構造の斜視図である。
【図10】5のD−D断面図である。
【図11】図9に示す基板実装型端子構造の支持構造を備えた電子制御機器のカバーケースの要部を描画した斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電子部品実装基板
2 端子台
3 端子ケーシング
3a 保持脚片
4 端子金具
4a 接続ピン
6 回り止めスペーサ
6c 端子台保持突起
6d 保持脚片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、該端子金具の接続ピンを電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造であって、前記端子ケーシングの下面に保持脚片を突出形成し、該保持脚片を前記電子部品実装基板に形成した挿し込み開口に挿着することによって前記端子台に前記電子部品実装基板に対する回り止め構造を施したことを特徴とする基板実装型端子台構造。
【請求項2】
前記端子ケーシングに別体の回り止めスペーサを設けて、該回り止めスペーサに前記保持脚片を形成し、前記端子ケーシングと前記電子部品実装基板との間に前記回り止めスペーサを介在させた状態で前記保持脚片を前記電子部品実装基板の挿し込み開口に挿着するように構成したことを特徴とする請求項1記載の基板実装型端子台構造。
【請求項1】
端子台を構成する端子ケーシングに電線を接続するための端子金具を配設し、該端子金具の接続ピンを電子部品実装基板に実装するようにした基板実装型端子台構造であって、前記端子ケーシングの下面に保持脚片を突出形成し、該保持脚片を前記電子部品実装基板に形成した挿し込み開口に挿着することによって前記端子台に前記電子部品実装基板に対する回り止め構造を施したことを特徴とする基板実装型端子台構造。
【請求項2】
前記端子ケーシングに別体の回り止めスペーサを設けて、該回り止めスペーサに前記保持脚片を形成し、前記端子ケーシングと前記電子部品実装基板との間に前記回り止めスペーサを介在させた状態で前記保持脚片を前記電子部品実装基板の挿し込み開口に挿着するように構成したことを特徴とする請求項1記載の基板実装型端子台構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−97951(P2008−97951A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277333(P2006−277333)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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