説明

基板搬送・支持装置および電気部品装着システム

【課題】2組のベルトコンベヤと基板支持装置とを備えた基板搬送・支持装置の大形化を回避しつつ大形のプリント基板の搬送・支持を可能とする。
【解決手段】幅の可変なベルトコンベヤ24,26を2組互いに並列に配設するとともに、それら2組のベルトコンベヤの一方24のガイドレール112を2組のベルトコンベヤの間の中央位置を越えて他方のベルトコンベヤ26の領域へ移動可能とする。それら2組のベルトコンベヤの各々に対して基板支持装置150を1つずつ設けるとともに、2組のベルトコンベヤの一方24の幅が上記中央位置を越えて広くされた状態では、その広くされた側のベルトコンベヤ24により搬送されるプリント基板を、2組のベルトコンベヤ24,26に対応して設けた2つの基板支持装置150に互いに共同して支持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板,プリント回路板等のプリント基板を搬送するベルトコンベヤとそのベルトコンベヤにより搬送されたプリント基板をベルトから持ち上げて支持する基板支持装置とを備えた基板搬送・支持装置に関するものであり、特に、互いに並列に配設された2組のベルトコンベヤとそれぞれに対応する2つの基板支持装置とを備えた基板搬送・支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板搬送・支持装置は、例えば、プリント配線板に電気部品を装着してプリント回路板を組み立てる電気部品装着システムに設けられる。電気部品装着システムの中には、(1)基板搬送装置と、(2)基板支持装置と、(3)複数種類の電気部品を選択的に供給する部品供給装置と、(4)その部品供給装置から電気部品を受け取り、前記基板支持装置により支持されたプリント基板に電気部品を装着する部品装着装置とを含むものがあり、この種の電気部品装着システムに、2組のベルトコンベヤおよび2つの基板支持装置を備えた基板搬送・支持装置が設けられるのである。
【0003】
電気部品装着システムにおいては、基板搬送装置により搬入され、基板支持装置により支持されたプリント配線板に部品装着装置により電気部品が装着されるのであるが、電気部品の装着が終了した完成状態のプリント回路板あるいは半完成状態のプリント配線板が、基板搬送装置により搬出され、次に電気部品が装着されるべきプリント配線板が搬入される間は、部品装着装置が電気部品の装着を行うことができない。これが組立作業の能率低下の一因となるため、プリント配線板を搬送するベルトコンベヤを2組並列に配設し、一方のベルトコンベヤにおいてプリント基板の搬出,搬入が行われている間に、他方のベルトコンベヤに対応する基板支持装置に支持されているプリント配線板に対する電気部品の装着が行われるようにすれば、電気部品の装着作業を休みなく行うことが可能となり、装着作業の能率が向上するのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この構成の基板搬送・支持装置を含む電気部品装着システムにおいて、大形のプリント基板に対する電気部品の装着を可能にする場合には、幅の広いベルトコンベヤを2組並列に配設することが必要であり、基板搬送・支持装置が大形化し、電気部品装着システムが大形となって、所要設置面積が大きくなることを避け得ない。それに対し、大形のプリント配線板に対する電気部品の装着が必要になることは比較的少なく、その少ない必要性のために電気部品装着システムが大形化し、所要設置面積が大きくなることは望ましいことではない。このような問題は、電気部品装着システムのみならず、例えば、プリント配線板に電気部品接着用の接着剤をディスペンサにより塗布する接着剤塗布システムや、プリント回路板の検査を行う回路板検査システム等、プリント基板に対して何らかの作業を行う対基板作業システムにおいても同様に発生する。
本発明は、以上の事情を背景とし、2組のベルトコンベヤと基板支持装置とを備えた基板搬送・支持装置の大形化を回避しつつ大形のプリント基板の搬送・支持を可能とすることを課題としてなされたものである。
【課題解決手段および効果】
【0005】
そして、本発明によって、(a)2本のガイドレールと各ガイドレールに案内されて周回する2本のベルトとを備え、前記2本のガイドレールの接近・離間により前記2本のベルトの間隔が変更され、それら2本のベルトにより幅が複数種類に異なるプリント基板の両縁部を支持して搬送する幅の変更可能なベルトコンベヤと、(b)前記2本のベルトに支持されたプリント基板を下方から持ち上げて支持する基板支持装置とを含む基板搬送・支持装置であって、前記ベルトコンベヤが2組互いに並列に配設されるとともに、それら2組のベルトコンベヤの一方のガイドレールが2組のベルトコンベヤの間の中央位置を越えて他方のベルトコンベヤの領域へ移動可能とされ、かつ、前記2組のベルトコンベヤの各々に対して前記基板支持装置が1つずつ設けられるとともに、前記2組のベルトコンベヤの一方の幅が前記中央位置を越えて広くされた状態では、その広くされた側のベルトコンベヤにより搬送されるプリント基板を、前記2組のベルトコンベヤに対応して設けられた2つの基板支持装置が互いに共同して支持するように構成されたことを特徴とする基板搬送・支持装置が得られる。
本基板搬送・支持装置によれば、搬送すべきプリント基板が比較的小形である場合には、2組のベルトコンベヤの幅を共に搬送すべきプリント基板に合わせておき、一方のベルトコンベヤの停止中に他方のベルトコンベヤを作動させてプリント基板を搬送させることができる。したがって、例えば、本基板搬送・支持装置を、下記のプリント基板に電気部品を装着する電気部品装着システムに採用すれば、一方のベルトコンベヤにより搬入されたプリント基板に対して電気部品の装着作業が行われており、その一方のベルトコンベヤが停止している間に、他方のベルトコンベヤに装着済みのプリント基板の搬出と次のプリント基板の搬入とを行わせることにより、その電気部品装着システムの作業能率を向上させることができる。
そして、大形のプリント基板を搬送し、支持することが必要な場合には、2組のベルトコンベヤのうちの一方の幅を狭くする一方、他方のベルトコンベヤの幅を、2組のベルトコンベヤの間の中央位置を越えて、上記一方のベルトコンベヤの領域にまで拡げ、そのように幅が広くされたベルトコンベヤにより搬送される大形のプリント基板は、2組のベルトコンベヤに対して設けられている2つの基板支持装置に共同で支持させることができる。
したがって、基板搬送・支持装置の大形化を回避しつつ、比較的小形のプリント基板に対する作業を能率よく行うことを可能とするとともに、大形のプリント基板も搬送でき、かつ、安定に支持することができる基板搬送・支持装置が得られる。
また、本発明によって、(1)上記基板搬送・支持装置と、(2)前記2組のベルトコンベヤの各々に対応して設けられ、それぞれ複数種類の電気部品を選択的に供給する2組の部品供給装置と、(3)それら2組の部品供給装置により供給される電気部品を、前記基板支持装置により支持されたプリント基板に装着する電気部品装着装置とを含み、その電気部品装着装置が、(i)少なくとも2個の装着ヘッドと、(ii)それら2個の装着ヘッドに、前記2組のベルトコンベヤにより搬送され、それぞれのベルトコンベヤに対応する前記基板支持装置に支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第一制御モードと、2組のベルトコンベヤのうち前記中央位置を越えて幅が広くされたベルトコンベヤにより搬送され、前記2つの基板支持装置に共同で支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第二制御モードとの両方で選択的に作動可能な装着制御装置とを含む電気部品装着システムが得られる。
【補足説明】
【0006】
特許請求の範囲に記載されている発明の他に、本願の出願時において特許請求が可能と認識されている発明が存在し、その発明により、下記各態様の基板搬送装置および基板作業システムも得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
(1)それぞれ2本ずつのガイドレールと各ガイドレールに案内されて周回する2本ずつのベルトとを備えて互いに並列に配設され、それぞれ2本ずつのベルトによりプリント基板の両縁部を支持して搬送する2組のベルトコンベヤを含む基板搬送装置であって、
前記2組のベルトコンベヤの、互いに平行に延びる4本のガイドレールのうち互いに最も離れた2本が各ベルトコンベヤの固定ガイドレールとされ、互いに隣接する2本が各ベルトコンベヤの可動ガイドレールとされ、各可動ガイドレールの固定ガイドレールへの接近・離間により2組のベルトコンベヤの幅が変更可能であり、かつ、2組のベルトコンベヤの一方の幅が他方の幅より大きく、その幅が大きい方のベルトコンベヤの可動ガイドレールが、2本の固定ガイドレールの間の中央位置を越えて幅の狭い方のベルトコンベヤの固定ガイドレールに接近可能とされたことを特徴とする基板搬送装置。
本基板搬送装置によれば、搬送すべきプリント基板が比較的小形である場合には、2組のベルトコンベヤの幅を共に搬送すべきプリント基板に合わせておき、一方のベルトコンベヤの停止中に他方のベルトコンベヤを作動させてプリント基板を搬送させることができる。したがって、例えば、本基板搬送装置を、後述するようにプリント基板に対して何らかの作業を行う基板作業システムに採用すれば、一方のベルトコンベヤにより搬入されたプリント基板に対して作業が行われており、その一方のベルトコンベヤが停止している間に、他方のベルトコンベヤに作業済みのプリント基板の搬出と次のプリント基板の搬入とを行わせることにより、その基板作業システムの作業能率を向上させることができる。
(2)前記2組のベルトコンベヤの幅を互いに等しくする同幅状態実現装置を含む (1)項に記載の基板搬送装置。
2組のベルトコンベヤの幅を互いに異ならせて、2種類のプリント基板を交互に搬送させることも可能であるが、多くの場合、2組のベルトコンベヤの幅を同じにして、同種のプリント基板を交互に搬送可能とすることが要求される。その場合に同幅状態実現装置が必要になる。同幅状態実現装置は、2組のベルトコンベヤの幅を個別に変更可能な2つの個別幅変更装置により構成することも可能であるが、次項に記載のように同期幅変更装置により構成することが望ましい。
(3)前記同幅状態実現装置が、前記2組のベルトコンベヤのそれぞれの可動ガイドレールを、対応する固定ガイドレールからの距離を互いに等しく保ちつつ同期して移動させることにより、2組のベルトコンベヤの幅を同期して変更する同期幅変更装置を含む (2)項に記載の基板搬送装置。
同期幅変更装置は、例えば、2組のコンベヤの幅を個々に変更する個別幅変更装置の駆動源(例えば電動モータ)を互いに同期して作動させる同期制御装置により構成することも、 (6)項に記載の構成とすることも可能である。
(4)前記2組のベルトコンベヤの一方の幅を他方の幅より広くする幅相違状態実現装置を含む (1)項ないし (3)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置。
幅相違状態実現装置は、2組のベルトコンベヤの幅を個別に変更可能な2つの個別幅変更装置により構成することも可能であるが、以下の (5)項ないし (7)項のいずれかに記載の構成とすることが望ましい。
(5)前記2組のベルトコンベヤの一方の幅を他方の幅より広くする幅相違状態実現装置を含み、その幅相違状態実現装置が、前記同期幅変更装置による前記2組のベルトコンベヤのそれぞれの可動ガイドレールの同期移動状態を解除する同期解除装置を含む (4)項に記載の基板搬送装置。
同期幅変更装置を作動させれば、2組のベルトコンベヤの幅を同じに保ちつつ両コンベヤの幅を変更することができ、その同期幅変更装置の同期移動状態を解除すれば、一方のベルトコンベヤの幅のみを変更することができる。
(6)前記同期幅変更装置が、前記2組のベルトコンベヤの幅をそれぞれ変更する個別幅変更装置と、それら個別幅変更装置を互いに接続する接続装置とを含み、同期解除装置がその接続装置を接続解除状態とする接続解除装置を含む (5)項に記載の基板搬送装置。
このようにすれば、同期幅変更装置と幅相違状態実現装置との両方を簡単な構成で実現することができる。
(7)前記個別幅変更装置の各々が、前記可動カイドレールの長手方向に直角な方向に延び、回転可能かつ軸方向に移動不能に配設された2本以上の送りねじと、それら送りねじに螺合され、各々可動ガイドレールに固定されたナットと、前記2本以上の送りねじを同期回転させる回転伝達機構とを含み、前記接続装置が、一方の個別幅変更装置の回転伝達機構に属する回転体と他方の個別幅変更装置の回転伝達機構に属する回転体との間に配設され、接続状態と接続解除状態とに切り換え可能なクラッチを含み、かつ、前記接続解除装置がそのクラッチを解除するクラッチ解除装置を含む (6)項に記載の基板搬送装置。
このようにすれば、同期幅変更装置と幅相違状態実現装置との両方を特に簡単な構成で実現することができる。
(8)前記接続装置を接続状態に保って前記同期幅変更装置を作動させることにより、前記2組のベルトコンベヤの幅を減少させた後、前記接続装置を接続解除状態とし、前記個別幅変更装置の一方のみを作動させてその個別幅変更装置に対応するベルトコンベヤの幅を変更する幅変更制御を自動で行う自動幅変更制御装置を含む (6)項または (7)項に記載の基板搬送装置。
このようにすれば、基板搬送装置の同期幅変更装置としての作動と、幅相違状態実現装置としての作動とを共に自動で簡単に制御することができる。
(9) (1)項ないし (8)項のいずれか1つに記載の基板搬送装置と、
その基板搬送装置により搬送されたプリント基板を位置決めして支持する基板支持装置と、
その基板支持装置により支持されたプリント基板に対して予め定められた作業を行う作業装置と
を含む基板作業システム。
(10)さらに、複数種類の電気部品を選択的に供給する部品供給装置を含み、かつ、前記作業装置が、部品供給装置から電気部品を受け取り、前記基板支持装置により支持されたプリント基板に装着する部品装着装置である (9)項に記載の基板作業システム。
(11)前記電気部品装着装置が、
少なくとも2個の装着ヘッドと、
それら2個の装着ヘッドに、前記2組のベルトコンベヤにより搬送され、それぞれのベルトコンベヤに対応する前記基板支持装置に支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第一制御モードと、2組のベルトコンベヤのうち幅が広い方のベルトコンベヤにより搬送され、その幅の広い方のベルトコンベヤに対応する前記基板支持装置に支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第二制御モードとの両方で選択的に作動可能な装着制御装置と
を含む(10)項に記載の電気部品装着システム。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の一実施例である基板搬送・支持装置を備えた電気部品装着システムを図面に基づいて説明する。
本電気部品装着システム10は、図示は省略するが、プリント基板としてのプリント配線板の搬送方向において上流側に設けられた上流側装置であって、塗布システムの一種であり、プリント配線板にペースト状半田を印刷するスクリーン印刷システムと、下流側に設けられた下流側装置たるリフローシステム(半田を溶融させて電気部品をプリント配線板に電気的に接続するシステム)と共に基板作業システムの一種である電気部品組立ラインを構成している。
【0008】
本電気部品装着システム10の基台12上には、図1に示すように、配線板コンベヤ14,2個ずつの電気部品供給装置16,18および電気部品装着装置20,22が設けられている。配線板コンベヤ14は、2つのメインコンベヤ24,26と、1つずつの搬入コンベヤ28および搬出コンベヤ30とを備えている。メインコンベヤ24,26はそれぞれ、プリント配線板32を位置決め支持する配線板位置決め支持装置を備えており、プリント配線板32の搬送方向(以下、配線板搬送方向と称する。配線板搬送方向は図1において左右方向であり、配線板搬送方向をX軸方向とする)と水平面内において直角な方向(Y軸方向とする)に並んで配設されている。搬入コンベヤ28は、配線板搬送方向において、メインコンベヤ24,26の上流側に設けられており、図示しない搬入コンベヤシフト装置により、メインコンベヤ24につらなる第1シフト位置と、メインコンベヤ26につらなる第2シフト位置とにシフトさせられる。搬入コンベヤ28は、配線板搬送方向上流側に設けられたスクリーン印刷システムからスクリーン印刷後のプリント配線板を受け取り、メインコンベヤ24あるいは26に搬入する。これらメインコンベヤ24,26については後に説明する。
【0009】
搬出コンベヤ30は、プリント配線板32の搬送方向において、メインコンベヤ24,26の下流側に設けられており、図示しない搬出コンベヤシフト装置により、メインコンベヤ24につらなる第1シフト位置と、メインコンベヤ26につらなる第2シフト位置とにシフトさせられる。搬出コンベヤ30は、メインコンベヤ24あるいは26から、電気部品の装着が済んだプリント配線板32を受け取り、下流側に設けられたリフローシステムへ搬出する。
これら搬入コンベヤ28および搬出コンベヤ30は、幅変更装置をそれぞれ備え、幅変更装置の駆動源を制御装置により互いに同期して作動させることにより、各搬送幅を同時に同じ大きさに変更可能である。
【0010】
電気部品供給装置16,18はそれぞれ、フィーダ支持台40上に着脱可能に固定された複数の電気部品供給フィーダ42(以下、フィーダ42と略称する)を備えている。フィーダ42により供給される電気部品は、キャリヤテープにより保持されており、それら電気部品およびキャリヤテープを含む部品保持テープは、フィーダ42に設けられたテープ送り装置により送られ、電気部品が1個ずつ部品供給部へ送られる。複数のフィーダ42は、各部品供給部がX軸方向に平行な一直線上に並ぶ状態でフィーダ支持台40に固定されている。
【0011】
電気部品装着装置20,22はそれぞれ、装着ヘッド50,52と、それぞれX軸スライド54,56およびY軸スライド58,60を備えて装着ヘッド50,52を水平面内の任意の位置へ移動させる水平移動装置62,64とを有している。これら装着ヘッド50,52は同様に構成され、水平移動装置62,64は同様に構成されており、装着ヘッド50および水平移動装置62を代表的に説明する。
【0012】
Y軸スライド58は基台12上にY軸方向に移動可能に設けられ、X軸スライド54はY軸スライド58上にX軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド58は、サーボモータ66(図5参照)を駆動源とし、サーボモータ66の回転を直線運動に変換してY軸スライド58に伝達する運動変換装置を含むY軸スライド移動装置によりY軸方向に移動させられる。X軸スライド54も同様に、サーボモータ68(図5参照)を駆動源とし、運動変換装置を含むX軸スライド移動装置によりX軸方向に移動させられる。
【0013】
装着ヘッド50は、X軸スライド54に垂直軸線まわりに間欠回転可能に取り付けられた間欠回転体(図示省略)を有している。間欠回転体は、サーボモータ70(図5参照)を駆動源とする回転駆動装置により、正逆両方向に任意の角度回転させられる。サーボモータ66,68,70は、電動モータの一種である電動回転モータであって、回転角度および回転速度の精度の良い制御が可能なモータである。間欠回転体には、複数個の保持具たる部品吸着ノズルが等角度間隔に設けられている。これら部品吸着ノズルはそれぞれ、図示しない保持具ホルダを介して、間欠回転体に、間欠回転体の回転軸線に平行な方向に移動可能かつ自身の軸線まわりに回転可能に間欠回転体に保持されている。部品吸着ノズルは、例えば負圧により電気部品を吸着するものとすることができる。
【0014】
メインコンベヤ24,26を説明する。基台12の搬入コンベヤ28と搬出コンベヤ30との間の部分には、図2および図3に示すように、静止部材の一種であるコンベヤ支持台100が固定されている。コンベヤ支持台100は、Y軸方向においてメインコンベヤ2個分の大きさを有し、コンベヤ支持台100のY軸方向に平行な両端部にはそれぞれ、案内部材たる直線状のガイドレール102がY軸方向に平行に固定されている。
【0015】
メインコンベヤ24,26は、それぞれ互いに平行に延びる固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113を有する。互いに最も離れた2本のガイドレールが固定ガイドレール110,111であり、互いに隣接する2本のガイドレールが可動ガイドレール112,113である。これらガイドレール110,111,112,113はそれぞれ、図3に固定ガイドレール110を代表的に示すように、一対の脚部114と、それら脚部114の上端部を連結する連結部116とを有する門形を成し、固定ガイドレール110は一対の脚部114においてコンベヤ支持台100に固定されている。可動ガイドレール112,113の一対の脚部114にはそれぞれ、被案内部材たるガイドブロック118が固定されるとともに、ガイドレール102に図示しないボールを介して移動可能に嵌合されており、これらガイドブロック118およびガイドレール102が案内装置の一種であるリニアボールガイドを構成している。固定ガイドレール110,111と可動ガイドレール112,113との幅である搬送幅は、後に詳しく説明する幅変更装置により変更可能である。
【0016】
固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113の各連結部116の互いに対向する面にはそれぞれ、配線板搬送方向において隔たった両端部を始めとし、複数箇所に図示しないプーリが回転可能に取り付けられるとともに、無端のコンベヤベルト(図示省略)が巻きかけられている。これらコンベヤベルトはそれぞれ、固定ガイドレール110,111と可動ガイドレール112,113とによって回転可能に支持されたスプライン軸120が回転させられることにより周回させられる。
【0017】
メインコンベヤ24のスプライン軸120は、固定ガイドレール110によって回転可能に支持されるとともに、可動ガイドレール112に回転可能かつ軸方向に移動不能に取り付けられたスプライン筒122が相対回転不能かつ軸方向に移動可能に嵌合されており、スプライン軸120,スプライン筒122はボールスプラインを構成している。スプライン軸120の固定ガイドレール110側の端部と、スプライン筒122とにはそれぞれ、図示しないプーリが一体的に設けられ、前記コンベヤベルトが巻きかけられている。
【0018】
メインコンベヤ26のスプライン軸120は、メインコンベヤ24と同様に、固定ガイドレール111により回転可能に支持され、可動ガイドレール113に回転可能かつ軸方向に移動不能に取り付けられたスプライン筒122が相対回転不能かつ軸方向に移動可能に嵌合されている。スプライン軸120の固定ガイドレール111側の端部と、スプライン筒122とにはそれぞれ、図示しないプーリが一体的に設けられ、コンベヤベルトが巻きかけられている。メインコンベヤ24に設けられたスプライン軸120とメインコンベヤ26に設けられたスプライン軸120とは互いに連結され、一体のものとして回転させられる。スプライン軸120の固定ガイドレール111側端部にはスプロケット126が固定されるとともに、支持部材128に取り付けられた駆動源としての配線板搬送用モータ130の出力軸に固定のスプロケット132に図示しないチェーンによって連結されている。配線板搬送用モータ130は、電動モータの一種である電動回転モータたるAC三相モータの一種であるスピードコントロールモータである。
【0019】
したがって、配線板搬送用モータ130が起動されれば、メインコンベヤ24,26のスプライン軸120が一体的に回転させられ、プーリの回転によりコンベヤベルトが移動させられてプリント配線板32が送られる。なお、コンベヤベルトの移動は、固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113に固定のベルトガイドにより案内される。また、プリント配線板32の移動は、固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113にそれぞれ固定の長手形状の案内部材(図示省略)の垂直な案内面により、幅方向の両側から案内される。固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113には、コンベヤベルト上へ延び出す押さえ部134,136が一体的に設けられ、プリント配線板32のコンベヤベルトからの浮上がりを防止する。押さえ部134,136とコンベヤベルトの上面との間には、プリント配線板32の厚さより大きい隙間があり、コンベヤベルト上に載置されたプリント配線板32と押さえ部134,136との間には僅かに隙間が設けられる。搬送幅の変更時に、スプライン筒122はスプライン軸120に対して軸方向に移動するが、スプライン嵌合した状態に保たれ、搬送幅が変更されてもプーリに配線板搬送用モータ130の回転が伝達され、プリント配線板32が搬送される。
【0020】
固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113の互いに対向する面には更に、図3に示すように、保持部材140が昇降可能に取り付けられている。保持部材140の下面の長手方向に隔たった両端部にはそれぞれ、係合部材142(図3には一方の係合部材142のみ図示)が下向きに突設されている。保持部材140は、前記連結部116との間に配設された付勢手段の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング144により下方へ付勢されており、保持部材140に固定された突上部材(図示省略)が、常には、上端面がプリント配線板32の搬送面(環状に配設されたコンベヤベルトの上側の水平部の上面を含む面)より下方であって、プリント配線板32と干渉しない退避位置に退避させられている。
【0021】
前記コンベヤ支持台100上にはまた、昇降台150および昇降台昇降装置152が設けられている。図3には、昇降台150および昇降台昇降装置152の詳細な図示が省略されている。なお、前記可動ガイドレール112の前記一対の脚部114間の距離は、昇降台150のX軸方向の寸法より大きくされ、搬送幅の変更時に昇降台150と干渉しないようにされている。また、昇降台150上には、基板支持部材としての配線板支持部材が位置調節可能に設けられている。
【0022】
昇降台150が上昇させられるとき、配線板支持部材がプリント配線板32を支持面において下方から支持する。配線板支持部材は、例えば、負圧によりプリント配線板32を吸着するものとすることができる。また、昇降台150は係合部材142に係合し、保持部材140、ひいては突上部材を圧縮コイルスプリング144の付勢力に抗して上昇させ、プリント配線板32をコンベヤベルト上から突き上げさせる。プリント配線板32は配線板支持部材により下方から支持されるとともに、コンベヤベルトから持ち上げられて突上部材と押さえ部134,136とに挟まれ、上方あるいは下方への反りが修正された状態でメインコンベヤ24,26に固定される。プリント配線板32が小さい場合には、配線板支持部材は省略される場合もある。
【0023】
メインコンベヤ24,26の配線板搬送方向において下流側にはそれぞれ、基板検知装置としての減速開始位置センサ160,配線板到着確認センサ162および配線板停止装置164(それぞれ図5参照)が設けられている。減速開始位置センサ160および配線板到着確認センサ162はそれぞれ、発光部および受光部を有する反射型の光電センサにより構成され、プリント配線板32からの光の反射によりプリント配線板32の減速開始位置への到達、配線板到着確認位置への到達を検出する。昇降台150には、切欠166が設けられ、光がプリント配線板32に当たるようにされている。減速開始位置センサ160,配線板到着確認センサ162は、反射型の光電センサに限らず、透過型の光電センサ,近接スイッチ,リミットスイッチ等により構成してもよい。
【0024】
配線板停止装置164は、図示は省略するが、両センサ160,162より下流側に設けられ、ストッパ部材と、ストッパ部材を昇降させる昇降装置とを含むものである。昇降装置の駆動源は、例えばエアシリンダ等の流体圧シリンダにより構成することができる。ストッパ部材は昇降装置により、搬送面より上方へ突出してプリント配線板32の移動を止める作用位置と、搬送面の下方へ退避させられてプリント配線板32の通過を許容する非作用位置とに移動させられる。
【0025】
メインコンベヤ24の固定ガイドレール110の一対の脚部114にはそれぞれ、送りねじたるボールねじ170の一端部が回転可能かつ軸方向に移動不能に取り付けられている。これら一対のボールねじ170はそれぞれ、メインコンベヤ24の可動ガイドレール112の配線板搬送方向に平行な方向の両端部にそれぞれ固定されたナット172に螺合されるとともに、可動ガイドレール112から突出した他端部は、メインコンベヤ26の固定ガイドレール111により回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。
【0026】
上記一対のボールねじ170のメインコンベヤ24の固定ガイドレール110からの突出端部にはそれぞれ、図2および図3に示すように、スプロケット176が固定されている。これらスプロケット176と、固定ガイドレール110に回転可能に取り付けられた複数のスプロケット178と、ブラケット180に回転可能に支持されたスプロケット182とにチェーン184が巻きかけられている。186はテンションスプロケットである。チェーン184は、サーボモータ188の出力軸に固定のスプロケット190に連結されている。サーボモータ188は、駆動源の一種である電動モータとしての電動回転モータであって、回転角度および回転速度の精度の良い制御が可能なモータである。
【0027】
メインコンベヤ26の固定ガイドレール111の一対の脚部114にはそれぞれ、送りねじたるボールねじ200の一端部が回転可能かつ軸方向に移動不能に取り付けられている。これら一対のボールねじ200はそれぞれ、メインコンベヤ26の可動ガイドレール113の配線板搬送方向に平行な方向の両端部にそれぞれ固定されたナット202に螺合されるとともに、可動ガイドレール113から突出した他端部は、メインコンベヤ24の固定ガイドレール110により回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。
【0028】
上記一対のボールねじ200のメインコンベヤ26の固定ガイドレール111からの突出端部にはそれぞれ、スプロケット206が固定されている。スプロケット206と、固定ガイドレール111に回転可能に取り付けられた複数のスプロケット(図示省略)と、ブラケット210に後述する回転軸を介して回転可能に支持されたスプロケット212とにチェーン214が巻きかけられている。216はテンションスプロケットである。
【0029】
チェーン214は、接続・接続解除装置230を介してメインコンベヤ24のチェーン184と接続されている。接続・接続解除装置230は、ガイドレール110〜113とは配線板搬送方向に隔たった位置に設けられ、ボールねじ170,200に平行に延び、基台12に固定されたブラケット180,210に回転可能に支持された回転軸234と、クラッチ236とを備えている。回転軸234の軸方向に隔たった一方の端部にはチェーン214が巻きかけられたスプロケット212が一体的に回転可能に取り付けられるとともに、他端部にはチェーン184が巻きかけられたスプロケット182がクラッチ236を介して接続されている。クラッチ236は、手動操作により接状態と断状態とに切り換え可能なものとすることも可能であるが、本実施形態においては電磁クラッチとされている。電磁クラッチは公知のものであるので詳細な構成の図示および説明は省略するが、電流供給の制御によって、スプロケット182と共に回転するクラッチ部材の回転が、回転軸234と共に回転するクラッチ部材に伝達される接状態と、伝達されない断状態とに切り換えられるものである。本実施形態においては、電流の遮断により電磁クラッチが接状態となり、電流の供給により断状態となるようにされているが、逆にすることも可能である。電磁クラッチは全体が回転するため、電流の供給は、図示を省略するスリップリングを介して行われる。
【0030】
上記クラッチ236の接状態が接続・接続解除装置230の接続状態に、電磁クラッチの断状態が接続・接続解除装置230の接続解除状態に当たる。接続状態において、サーボモータ188の起動によりチェーン184が周回させられれば、それと同期してチェーン214が周回させられ、ボールねじ170とボールねじ200とが同期回転させられてメインコンベヤ24,26の各可動ガイドレール112,113が固定ガイドレール110,111からの距離を互いに等しく保ちつつ移動させられ、固定ガイドレール110,111に対して同期的に接近,離間させられる。これによって、各メインコンベヤ24,26の各搬送幅が同時に同じ大きさに変更される。また、接続解除状態においては、チェーン184の周回がチェーン204には伝達されず、ボールねじ170のみが回転させられ、メインコンベヤ24の可動ガイドレール112のみが固定ガイドレール110に対して接近,離間させられる。
【0031】
本電気部品装着システム10は、図5に示す制御装置250により制御される。制御装置250は、PU(プロセッシングユニット)252,ROM254,RAM256およびそれらを接続するバス258を有するコンピュータ260を主体とするものである。バス258には入力インタフェース262が接続されるとともに、減速開始センサ160,配線板到着確認センサ162等が接続されている。バス258にはまた、出力インタフェース266が接続されるとともに、駆動回路270,271,272,273,274,275,276を介してサーボモータ66,68,70,昇降台昇降装置152,配線板停止装置164,サーボモータ188,クラッチ236等が接続されている。ROM254には、電気部品の供給,吸着,装着,プリント配線板の搬入,搬出等に必要な種々のプログラムが格納されている。なお、図5において図示は省略するが、制御装置250は、この他に、前記搬入コンベヤシフト装置,搬出コンベヤシフト装置,搬入コンベヤ28,搬出コンベヤ30,フィーダ42のテープ送り装置等を制御する。
【0032】
次に作動を説明する。
搬送すべきプリント配線板32が比較的小形である場合には、メインコンベヤ24,26の搬送幅が同幅状態でともに搬送すべきプリント配線板32に合わせられる。クラッチ236は前記接続状態にあり、メインコンベヤ24,26の搬送幅は、搬送すべきプリント配線板32の大きさに基づいて互いに等しい幅を保って同期して変更される。また、搬入コンベヤ28,搬出コンベヤ30の各搬送幅についても、前述の幅変更装置によりメインコンベヤ24,26と等しい幅で同期して変更される。2個の電気部品装着装置20,22は、図2に示すようにメインコンベヤ24とメインコンベヤ26とのいずれか一方により位置決め支持されたプリント配線板32に交互に電気部品を装着する。1枚のプリント配線板32について、本電気部品装着システム10において装着が予定された全部の電気部品を電気部品装着装置20,22が共同して装着するのである。これが電気部品装着装置20,22の第1制御モードである。メインコンベヤ24,26のうち、一方のメインコンベヤにおいて位置決め支持されたプリント配線板32について電気部品の装着が行われている間、他方のメインコンベヤにおいてはプリント配線板32の搬出,搬入および位置決め支持が行われ、搬入されたプリント配線板32は電気部品の装着に備えてメインコンベヤ上で待機させられる。一方のメインコンベヤにより支持されたプリント配線板32への電気部品の装着が終了すれば、そのプリント配線板32は搬出コンベヤ30により搬出されるとともに、他方のメインコンベヤにおいて待機させられているプリント配線板32への電気部品の装着が開始される。
【0033】
プリント配線板32の搬入,位置決め支持および搬出を説明する。なお、プリント配線板32への装着は既に開始され、定常装着状態にあるものとする。
プリント配線板32は、本電気部品装着システム10の上流側に設けられたスクリーン印刷システムから搬入コンベヤ28へ搬入される。この搬入は、搬入コンベヤ28が第1シフト位置に位置する状態で行われる。そして、搬入コンベヤ28がメインコンベヤ24にプリント配線板32を搬入するのであれば、搬入コンベヤ28は第1シフト位置に位置させられたままとされる。
【0034】
メインコンベヤ24上のプリント配線板32が搬出コンベヤ30へ搬出され、メインコンベヤ24へのプリント配線板32の搬入が可能であれば、搬入コンベヤ28はメインコンベヤ24にプリント配線板32を搬入する。メインコンベヤ24へのプリント配線板32への搬入が可能であるか否かは、例えば、配線板到着確認センサ162がプリント配線板32を検出しているか否かによりわかる。メインコンベヤ24へのプリント配線板32の搬入時には、配線板到着確認センサ162の検出信号に基づいてプリント配線板32がメインコンベヤ24に搬入されたか否かが判定され、搬入時以外のときは、配線板到着確認センサ162がプリント配線板32を検出しなければ、メインコンベヤ24上にプリント配線板32がなく、メインコンベヤ24にプリント配線板32を搬入し得ることがわかる。
【0035】
搬入時には、搬入コンベヤ28の配線板搬送用モータおよびメインコンベヤ24,26の配線板搬送用モータ130が起動され、コンベヤベルト等が移動させられてプリント配線板32がメインコンベヤ24へ搬入される。このとき、メインコンベヤ24に設けられた配線板停止装置164のストッパ部材は作用位置へ移動させられている。プリント配線板32が搬入され、減速開始位置センサ160によって検出されれば搬送速度が減速され、配線板到着確認センサ162によって検出されれば、配線板搬送用モータ130が止められる。このとき、プリント配線板32はストッパ部材に当接して移動を止められており、搬送速度の減速によりプリント配線板32はストッパ部材に衝撃少なく当接する。
【0036】
配線板搬送用モータ130の停止後、昇降台150が上昇させられ、配線板支持部材がプリント配線板32を下方から支持するとともに、前記突上部材がプリント配線板32をコンベヤベルトから持ち上げて押さえ部134,136に押し付ける。このようにプリント配線板32はメインコンベヤ24により位置決め支持された状態で電気部品の装着に備えて待機させられる。そのため、メインコンベヤ26により位置決め支持されたプリント配線板32への電気部品の装着が終了すれば、最後に電気部品を装着していた電気部品装着装置の退避(電気部品供給装置への移動)と並行して他方の電気部品装着装置が待機させられているプリント配線板32上へ移動させられ、電気部品の装着を開始する。プリント配線板32の交替に要する時間が実質的に0となり、プリント配線板32への電気部品の装着が能率良く行われるのである。
【0037】
配線板搬送用モータ130は2つのメインコンベヤ24,26に共通であり、その起動によりメインコンベヤ24,26の各コンベヤベルトがいずれも移動させられるが、上記のように電気部品装着時にはプリント配線板32はコンベヤベルトから持ち上げられているため、コンベヤベルトの移動により送られることはなく、プリント配線板32の電気部品の装着とプリント配線板32の搬入および後述する搬出とを並行して行うことができる。
【0038】
電気部品の装着が終了すれば、プリント配線板32の保持が解除される。昇降台150が下降させられ、プリント配線板32がコンベヤベルト上に載置された後、搬出コンベヤ30の配線板搬送用モータおよびメインコンベヤ24,26の配線板搬送用モータ130が起動され、プリント配線板32が搬出コンベヤ30へ搬出される。搬出コンベヤ30は、メインコンベヤ24からのプリント配線板32の搬出時には第1シフト位置にシフトさせられている。また、配線板停止装置164のストッパ部材が非作用位置へ移動させられている。プリント配線板32が搬出コンベヤ30へ搬出され、搬出コンベヤ30上で待機させられる。リフローシステムに直ちに引渡しが可能であれば、プリント配線板32はそのままリフローシステムに引き渡される。
【0039】
搬入コンベヤ28は、メインコンベヤ24にプリント配線板32を引き渡した後、スクリーン印刷システムから次のプリント配線板32を受け取る。そして、第2シフト位置へシフトさせられ、メインコンベヤ26へのプリント配線板32の搬入に備えて待機させられる。メインコンベヤ26でのプリント配線板32への電気部品の装着が終了し、プリント配線板32が搬出された後、搬入コンベヤ28からメインコンベヤ26へプリント配線板32が搬入される。
【0040】
搬出コンベヤ30は、メインコンベヤ24から搬出されたプリント配線板32を下流側に設けられたリフローシステムへ渡した後、第2シフト位置にシフトさせられてプリント配線板32の搬出に備えて待機させられる。搬出コンベヤ30はプリント配線板32を受け取った後、第1シフト位置へシフトさせられ、リフローシステムへプリント配線板32を引き渡す。
【0041】
搬入コンベヤ28からメインコンベヤ26へのプリント配線板32の搬入後、プリント配線板32はメインコンベヤ26において、メインコンベヤ24におけると同様にして位置決め支持され、電気部品の装着に備えて待機させられる。メインコンベヤ24において位置決め支持されたプリント配線板32への電気部品の装着終了後、メインコンベヤ26において位置決め支持されたプリント配線板32への電気部品の装着が開始され、装着終了後、搬出コンベヤ30へ搬出される。
【0042】
プリント配線板32の種類が変わり、例えば図4に示す大形のプリント配線板32を搬送,位置決め支持する場合には、メインコンベヤ24,26の搬送幅が互いに異なる状態に変更される。各コンベヤ24,26のいずれもがプリント配線板32を支持していない状態で、かつ、クラッチ236の前記接続状態において、各コンベヤ24,26の搬送幅が減少するようにサーボモータ188の起動によりチェーン184および214を周回させてボールねじ170,200を回転させる。それにより各コンベヤ24,26の可動ガイドレール112,113が同期的に固定ガイドレール110,111に接近させられ、互いに等しい幅を保ちつつ搬送幅が減少させられる。次に、クラッチ236が前記接続解除状態とされ、メインコンベヤ24のみにサーボモータ188の駆動が伝達される状態に切り換えられる。そして、チェーン184が上記幅減少時とは逆方向に周回させられてボールねじ170が逆方向に回転させられることにより、可動ガイドレール112が固定ガイドレール110から離間させられ、固定ガイドレール110,111間の中央位置(各コンベヤ24,26の昇降台150の境界でもある)を越えてメインコンベヤ26の可動ガイドレール113に接近する方向に移動させられる。なお、搬入コンベヤ28および搬出コンベヤ30の搬送幅もメインコンベヤ24の搬送幅の変更と同時に同じ大きさに変更される。
【0043】
このようにして搬送幅が広くされたメインコンベヤ24に、大形のプリント配1板32が搬入コンベヤ28から搬入される。プリント配線板32の搬入,位置決め支持,搬出等については前述の同幅状態の場合と同様であるため説明を省略する。ただし、この幅相違状態の場合、2つの昇降台150が共に上昇させられてプリント配線板32を下方から支持するようにされる。なお、プリント配線板32の大きさによっては、メインコンベヤ24側の昇降台150のみが上昇させられてもよい。そして、2個の電気部品装着装置20,22が、位置決め支持されたプリント配線板32に共同して電気部品を装着する。これが電気部品装着装置20,22の第二制御モードである。電気部品装着装置20,22は、前記第一制御モードとこの第二制御モードとに選択的に作動可能である。
【0044】
以上の説明から明らかなように、本実施形態における基板搬送装置は、メインコンベヤ24,26を含むものであり、また、配線板支持部材を含む昇降台150,昇降台昇降装置152,基板停止装置164等が固定ガイドレール110,111および可動ガイドレール112,113とともに基板支持装置を構成し、それら基板搬送装置と基板支持装置とが基板搬送・支持装置を構成している。また、電気部品装着装置20,22が作業装置を構成している。回転体としてのスプロケット176,178,182,190およびチェーン184と、回転体としてのスプロケット206,212およびチェーン214とがそれぞれ回転伝達機構を構成し、ボールねじ170,ナット172および上記回転伝達機構と、ボールねじ200,ナット202および上記回転伝達機構とがそれぞれ個別幅変更装置を構成している。さらに、上記個別幅変更装置および接続・接続解除装置230は、前記接続状態において、同期幅変更装置ないし同幅状態実現装置として作動し、前記接続解除状態においては、幅相違状態実現装置として作動する。接続・接続解除装置230は、接続状態において接続装置として作動し、接続解除状態においてクラッチ解除装置ないし接続解除装置(同期解除装置)として作動するのである。
【0045】
本実施形態によれば、搬送すべきプリント配線板32が比較的小形の場合は、プリント配線板32に合わせて2つのメインコンベヤ24,26を同幅状態とし、一方のコンベヤにおいて電気部品の装着を行うとともに、他方のコンベヤにおいてプリント配線板32の搬入,位置決め,搬出を行うことができ、作業能率が向上する。また、大形のプリント配線板32の場合には、メインコンベヤ24の幅をメインコンベヤ26の幅より広くして大形のプリント配線板32も搬送,位置決め支持することができる。したがって、搬送すべきプリント配線板32の最も大形のものに対応して各メインコンベヤ24,26の幅をそれぞれ広いものとする必要がなく、ひいては電気部品装着システム10の大形化を回避できる。また、2組のコンベヤの同幅状態と幅相違状態とをクラッチ236等の簡単な構成で切り換えることができる。さらに、クラッチ236の接続状態と接続解除状態とを自動で切り換えることができるため、搬送すべきプリント配線板32の大きさに応じて迅速に対応することができ、作業能率が向上する。
【0046】
本実施形態においては、搬入コンベヤ28,メインコンベヤ24および搬出コンベヤ30がそれぞれ別個の幅変更装置の駆動源を備え、同期して幅が変更されるように制御されていたが、これら搬入コンベヤ28,メインコンベヤ24,搬出コンベヤ30をチェーン等により連結し、共通の駆動源を作動させて搬送幅を同期して変更する構成としてもよい。
また、本実施形態においては、装着ヘッド50,52の移動等、種々の作動に、駆動源としての電動モータの一種である電動回転モータたるサーボモータ66,68等が用いられていたが、サーボモータ以外にも回転角度の制御精度が高い電動回転モータ、例えばステップモータを用いてもよい。また、電動モータの一種であるリニアモータを駆動源として用いてもよい。
本発明を、部品装着システム以外にも、接着剤塗布システムや、回路板検査システム等の基板作業システムに適用することも可能である。
【0047】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕ならびに〔発明の補足説明〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態である基板搬送・支持装置を備える部品装着システムを示す平面図である。
【図2】基板搬送・支持装置を構成するメインコンベヤを示す平面図である。
【図3】上記メインコンベヤの正面図である。
【図4】上記メインコンベヤの別の作動状態を示す平面図である。
【図5】上記部品装着システムを制御する制御装置のうち、本発明に関連の深い部分を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
10:電気部品装着システム 20,22:電気部品装着装置 24,26:メインコンベヤ 32:プリント配線板 50,52:装着ヘッド 110,111:固定ガイドレール 112,113:可動ガイドレール 150:昇降台 152:昇降台昇降装置 164:基板停止装置 170,200:ボールねじ 172,202:ナット 176,178,182,190,206,212:スプロケット 184,214:チェーン 230:接続・接続解除装置 234:回転軸 236:クラッチ 250:制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のガイドレールと各ガイドレールに案内されて周回する2本のベルトとを備え、前記2本のガイドレールの接近・離間により前記2本のベルトの間隔が変更され、それら2本のベルトにより幅が複数種類に異なるプリント基板の両縁部を支持して搬送する幅の変更可能なベルトコンベヤと、
前記2本のベルトに支持されたプリント基板を下方から持ち上げて支持する基板支持装置と
を含む基板搬送・支持装置であって、
前記ベルトコンベヤが2組互いに並列に配設されるとともに、それら2組のベルトコンベヤの一方のガイドレールが2組のベルトコンベヤの間の中央位置を越えて他方のベルトコンベヤの領域へ移動可能とされ、かつ、前記2組のベルトコンベヤの各々に対して前記基板支持装置が1つずつ設けられるとともに、前記2組のベルトコンベヤの一方の幅が前記中央位置を越えて広くされた状態では、その広くされた側のベルトコンベヤにより搬送されるプリント基板を、前記2組のベルトコンベヤに対応して設けられた2つの基板支持装置が互いに共同して支持するように構成されたことを特徴とする基板搬送・支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送・支持装置と、
前記2組のベルトコンベヤの各々に対応して設けられ、それぞれ複数種類の電気部品を選択的に供給する2組の部品供給装置と、
それら2組の部品供給装置により供給される電気部品を、前記基板支持装置により支持されたプリント基板に装着する電気部品装着装置と
を含み、その電気部品装着装置が、
少なくとも2個の装着ヘッドと、
それら2個の装着ヘッドに、前記2組のベルトコンベヤにより搬送され、それぞれのベルトコンベヤに対応する前記基板支持装置に支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第一制御モードと、2組のベルトコンベヤのうち前記中央位置を越えて幅が広くされたベルトコンベヤにより搬送され、前記2つの基板支持装置に共同で支持されているプリント基板に互いに共同して電気部品を装着させる第二制御モードとの両方で選択的に作動可能な装着制御装置と
を含む電気部品装着システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−63025(P2007−63025A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336526(P2006−336526)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【分割の表示】特願平11−356164の分割
【原出願日】平成11年12月15日(1999.12.15)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】