説明

塗料用中和剤

本発明は、塗料用配合物中和剤としての、少なくとも、および好ましくは、1個の「スペーサー」基Spにより一緒に結合されている、少なくとも1個の中和基Nおよび少なくとも1個の窒素含有会合性基Aを含む少なくとも1種の会合性中和剤の使用に関する。本発明はまた、少なくとも1種のこのような会合性中和剤を含有する顔料濃縮物および塗料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料であれ溶剤系塗料であれ、塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
水性塗料、例えば、アクリル系ラテックスを使用する塗料においては、一般に、ラテックスを安定化させるためにpHの調整が必要とされる。この調整は、中和と呼ばれる。さらに、顔料濃縮物が、白色塗料または白色ベース中で、これらが水性であれ溶剤系であれ、希釈される場合、この顔料濃縮物を中和(即ち、顔料濃縮物のpHを調整)することも必要である。
【0003】
典型的には、ラテックスのpHは、理想的には、8から10、好ましくは、8.5から9.5の値に調整される。この調整は、好ましくは、中和すべき塗料の重量に対して0.1から0.5重量%の量で添加される中和アミン(調整アミン)を使用して実施される。顔料濃縮物中では、中和剤の量は、好ましくは、3.5重量%未満に保持される。
【0004】
使用される第1の中和剤は、例えば、水酸化アンモニウムまたはアルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムであった。
【0005】
今日では、中和剤の揮発性または得られた塗膜による吸水の理由のため、他の中和剤、特にアミン、特にAngusによりそれぞれAMP(登録商標)90およびAMP(登録商標)95の名称で水中90または95%において商標名AMP(登録商標)で販売されている2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(CAS番号124−68−5)を使用することが好ましい。
【0006】
このように、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールは、良好な中和作用を有する。しかしながら、この生成物により中和された顔料濃縮物、ラテックスおよびより一般には塗料は、貯蔵の間に不安定性を示すことがあり、ある場合においては、離漿(表面における液体滲出物を伴う相分離)が出現し、使用前に機械的な再均質化が要求される。
【0007】
さらに、塗膜、特にAMP(登録商標)により中和されたラテックスおよび顔料濃縮物を含む塗膜は湿潤雰囲気に感受性であり、この皮膜がこの条件下で膨れ現象を示すことが多いことが観察されており、この現象により、塗料の塗層の第2の塗布が困難になることが多い。
【0008】
さらに、このアミノアルコールは、約165℃の沸点を有するので、今日では、特に欧州において、現行の法制に関して揮発性有機化合物とみなされている。
【0009】
実際、今日では、施行中の規制により、塗料、ラテックスおよび一般には任意のタイプの硬化性皮膜形成コーティング剤中には、「非VOC」化合物と称される化合物、即ち、揮発性有機化合物を含まず、またはほとんど含まない化合物を使用することが課されている。
【0010】
しかしながら、今日研究されている非VOC中和剤は、塗料の仕様に極めて好適であることが証明されていない。従って、例えば、皮膜中でのこれらの中和剤の持続性は、許容されない塗料の可塑化を惹起することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうして、上記欠点を克服することを可能にする一方、現規制の要求を満たす、今日使用される中和剤に対する代替物を研究することが必要とされている。
【0012】
従って、本発明の第1の目的は、特に水性もしくは溶剤系塗料用の、または前記塗料調製用の顔料濃縮物用の中和剤を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、特に水性もしくは溶剤系塗料用の、または前記塗料調製用の顔料濃縮物用の非VOC中和剤を提案することである。
【0014】
さらに別の目的によれば、本発明は、水性もしくは溶剤系塗料または顔料濃縮物の良好な貯蔵安定性を可能にする非VOC中和剤を提案する。
【0015】
他の目的は、以下の本発明の説明から明らかになる。
【0016】
これらの目的は、部分的に、または完全に、本出願人により実施された研究作業により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の1つの対象は、第1に、塗料配合物中での中和剤としての、少なくとも、および好ましくは、1個の「スペーサー」基Spにより互いに連結されている、少なくとも1個の中和基Nおよび少なくとも1個の窒素含有会合性基Aを含む少なくとも1種の化合物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従って、本発明による中和剤は、以下の本明細書において「会合性中和剤」(associative neutralizing agent)またはより簡単に「会合性中和剤」(associative neutralizer)と称される。
【0019】
表現「塗料用配合物」は、任意のタイプの塗料用配合物、ウッドステイン、ワニス、顔料濃縮物、白色塗料ベースおよび一般には水性または溶剤系コーティング剤の生産において取り込ませることができ、中和が要求される、より正確には、pHを上記の値に増加させることが必要である任意のタイプの配合物を包含する。
【0020】
本発明の会合性中和剤において、中和基は、自体公知の任意のタイプのもの、好ましくは、第1級、第2級または第3級アミン基であってよい。この基は、水性または溶剤系、好ましくは水性塗料配合物中で直面する、見込まれる酸官能基を中和する役割を有する。上記の通り、用語「中和する」は、一般に、8超、好ましくは、8から10、好ましくは、8.5から9.5の値にpHを調整することを意味するものと解される。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、中和基は、−NH、−NHRまたは−NRにより表され、RおよびRは、同一であり、または異なり、互いに独立して、ヒドロキシル(−OH)およびチオール(−SH)基から選択される1個以上の置換基により任意に置換されている1から10個、好ましくは、1から6個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環式アルキル基を表す。極めて好ましくは、本発明による会合性中和剤の中和基は、−NH基、または−NHR基であり、Rは、上記定義の通りである。
【0022】
「スペーサー」基は、少なくとも1個の中和基および/または少なくとも1個の会合性基を連結することを可能にし、従って、自体公知の任意のタイプのものであってよい。しかしながら、「スペーサー」基は、化合物の中和基および会合性基を干渉してはならず、またはほんのわずかに干渉するにすぎないものでなければならない。
【0023】
従って、前記「スペーサー」基は、中和基および「スペーサー」基に関して不活性である基とみなされる。表現「中和基に関して不活性である「スペーサー」」は、「スペーサー」が中和基と、このプロトン化により反応することができる酸官能基を有しないことを意味するものと解される。表現「会合性基に関して不活性である「スペーサー」」は、「スペーサー」が本発明により定義される会合性官能基を含まないことを意味するものと解される。
【0024】
「スペーサー」基は、好ましくは、1個以上の芳香族基、および/または1個以上のヘテロ原子を含有することができる直鎖、分枝鎖または環式炭化水素鎖である。前記鎖は、置換基が中和基および会合性基に関して不活性である限り、任意に置換されていてよい。
【0025】
1つの好ましい実施形態によれば、「スペーサー」基は、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル鎖である。
【0026】
本発明による会合性中和剤に存在する表現「会合性基」は、非永久物理的相互作用、例えば、イオン相互作用、水素結合、イオン−双極子または双極子−双極子相互作用により別のものと会合することができる窒素含有基を意味するもの解される。
【0027】
本発明の1つの好ましい態様によれば、窒素含有会合性基は、1個以上の水素結合を形成することができる基である。極めて好ましくは、会合性基は、鎖または環中に含まれる少なくとも1個の−C(Z)−N−結合、より好ましくは、少なくとも1個の−N−C(Z)−N−結合、および/または少なくとも1個の−N=CH−N−結合を含み、Zは、酸素、硫黄または=NH基を表す。Zが酸素を表す−N−C(Z)−N−結合が好ましい。
【0028】
少なくとも1個の−C(Z)−N−結合を含む会合性基の中で、非限定的な例として、任意に置換されている以下の基:ウレア、ビスウレア、アミド、アミドピリジン、ウレイドピリミジノン、ウラゾール、トリアゾリジンジオン、ウラシル、およびイミダゾリドンを挙げることができる。
【0029】
本発明において使用される会合性中和剤中に含まれてよい他の会合性基は、環式イミン(−C=N−)を含む会合性基、例えば、トリアゾリンであり、より一般には、以下の単位(A1)および(A2):
【0030】
【化1】

を含む会合性基である。
【0031】
別の好ましい実施形態において、会合性基は、一般に、1、2、3または4個の窒素原子を環中に、好ましくは、2個の窒素原子を環中に含む5または6個の環員を有する少なくとも1個の窒素含有複素環を含む。本発明のこの好ましい実施形態による会合性基の例は、イミダゾリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビスレニルおよびウレイドピリミジル基である。イミダゾリジニル基が好ましい。
【0032】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の範囲内で使用することができる会合性基は、少なくとも1個の以下の単位(A3)から(A7):
【0033】
【化2】

を含み、Rは、置換基、例えば、1から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表し、Zは、上記定義の通りであり、酸素もしくは硫黄原子または=NH基、好ましくは、酸素原子を表す。
【0034】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、会合性中和剤は、以下の特徴:
・pK(25℃において測定されたプロトン化アミンの解離定数)が、8.5以上、好ましくは、9以上であり、12を超過せず、好ましくは、11を超過しないこと;
・溶解率が、極性溶剤、好ましくは、水および/またはアルコール100g当たり10gから1000gのアミン、好ましくは、10gから500gのアミン、より好ましくは、10gから100gのアミンの範囲であること;
・沸点が、大気圧において250℃超、好ましくは、300℃超、より好ましくは、320℃超であること
の1個、好ましくは2個、およびより好ましくは全てを有する。
【0035】
1個の中和基、1個の「スペーサー」基および1個の会合性基を含む会合性中和剤は、例えば、以下の式(1a):
N−Sp−A(1a)
により表すことができる。
【0036】
1個の中和基、1個の「スペーサー」基および2個の会合性基を含む会合性中和剤は、例えば、以下の式(1b):
【0037】
【化3】

により表すことができる。
【0038】
同様に、2個の中和基、1個の「スペーサー」基および1個の会合性基を含む会合性中和剤は、例えば、以下の式(1c):
【0039】
【化4】

により表すことができる。
【0040】
同一の原理によれば、2個の中和基、1個の「スペーサー」基および2個の会合性基を含む会合性中和剤は、例えば、以下の式(1d):
【0041】
【化5】

により表すことができる。
【0042】
本発明による他の会合性中和剤は、以下の式(1e)から(1l):
【0043】
【化6】

により表すこともでき、nは、1、2または3を表す。
【0044】
会合性中和剤において、特に式(1a)から(1l)の会合性中和剤において、1個超の中和基が存在する場合、これらの中和基は、同一であっても異なってもよいことを理解されたい。同様に、1個超の会合性基が存在する場合、これらの会合性基は、同一であっても異なってもよい。最後に、1個超の「スペーサー」基が存在する場合、これらの「スペーサー」基は、同一であっても異なってもよい。
【0045】
一般に、および非限定的に、本発明の会合性中和剤は、好ましくは、多くとも4個の中和基および/または多くとも4個の会合性基を含む。1、2または3個、好ましくは、1個の「スペーサー」基が存在する。
【0046】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、会合性中和剤は、上記式(1a)に対応する。
【0047】
会合性中和剤の好ましい例は、
・中和基、好ましくは、第1級、第2級または第3級アミン、好ましくは、第1級アミン、
・スペーサー基、好ましくは、1から6個の炭素原子、好ましくは、2から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖、および
・上記定義の式(A1)から(A7)の会合性基
を含む会合性中和剤である。
【0048】
従って、本発明の範囲内で使用される会合性中和剤の非限定的な例は、1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチルアミノ]エチル}アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、N−(6−アミノヘキシル)−N’−(6−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリミジン−2−イル)ウレア(UPy)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(3−ATA)および4−アミノ−1,2,4−トリアゾール(4−ATA)ならびにこれらの混合物である。本発明における使用には、UDETAが好ましい。
【0049】
会合性中和剤は、市販されており、または公知であり、または当業者に公知の合成プロセスに従って、直接的に、または簡単な適合により得られ、これらのプロセスは科学文献、特許文献、Chemical Abstractsに、またはオンラインデータベースもしくはインターネットにより記載されている。
【0050】
例として、UDETA、UTETAおよびUTEPAは、ウレアを、それぞれ、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレントリアミン(TETA)およびテトラエチレンペンタミン(TEPA)と反応させることにより調製することができる。
【0051】
本発明の対象である使用にとりわけ好ましい1種の会合性中和剤は、UDETAである。
【0052】
実際、UDETAは、非VOCアミン(沸点>300℃)であり、このアミンは、水、およびさらには多数の有機溶剤、例えば、アルコールおよびポリオール中で高度に溶解性であり、有利には、塗料、特に水性塗料用の配合物中で、従来の中和剤、例えば、慣用されるアミンまたはアルカノールアミンの代替物としてのpH調整剤として使用することができる。
【0053】
驚くべきことに、本発明による会合性中和剤が、中和される種々の配合物(顔料濃縮物、白色ベース、塗料および他のコーティング剤、例えば、ウッドステイン)に、特に粘度に関して非常に有利なレオロジー特性を付与することを発見し:本発明において使用される会合性中和剤は、配合物の粘度を増加させることができることが観察された。
【0054】
従って、本発明の別の態様によれば、本発明の会合性中和剤は、有利には、中和剤としてだけでなく、補助増粘剤として、または増粘剤としてさえ使用することもできる。
【0055】
本発明による会合性中和剤、特にUDETAにより中和される塗料用配合物に与えられる経時的安定性は、例えば、今日では最良の水性アクリル塗料用中和剤の1種とみなされているが、VOCと分類されるアミノ−2−メチル−1−プロパノール(Angus製AMP(登録商標))により提供される安定性よりも大きい。
【0056】
この安定性能は7ヵ月後に観察され、このとき、pHが安定していること、顔料(TiO)および炭酸カルシウム不透明充填剤の分散の安定性が良好であること(離漿の不存在を介して)、粘度(撹拌後)の変化が小さいことを観察することができた。本発明による会合性中和剤を水性梨地仕上げ塗料配合物に添加することにより、AMP(登録商標)により中和された同一配合物と比べて大幅に低い乾燥皮膜の水感受性も提供される。
【0057】
さらに、本発明において使用される中和剤の会合性成分は、AMP(登録商標)を用いる場合よりも高い粘度により表現されるレオロジー的な強化に関して非常に有利な性能を提供する。この直接的な結果は、塗料配合物に慣用的に添加される増粘剤の量の低下の見込み、ならびにさらには全てのタイプの支持材へのより良好な塗布性、特に、より良好な垂直塗布性および金属支持材へのより良好な塗布性であり、これらの性能は産業用塗料に極めて需要が高い。
【0058】
さらに、本発明の非VOC会合性中和剤は、この中和剤が使用される塗膜の可塑化をもたらさない。このことは、特に、従来使用される中和剤により中和された塗料から得られた皮膜を用いて観察されるものと完全に比肩する、乾燥皮膜の粘着外観の不存在または弱い粘着効果により実証された。この可塑化の制限は、乾燥皮膜の硬度試験により評価することもできる。梨地仕上げ塗料の乾燥皮膜は、中和剤が本発明による会合性中和剤である場合、従来の中和アミンと比較して20℃において同一の硬度を有する。
【0059】
驚くべきことに、本発明による会合性中和剤は、中和される種々の配合物(顔料濃縮物、白色ベース、特にインクおよびワニス用の塗料ならびに母材中での充填剤または顔料の分散が要求される他の配合物)に、補助分散特性を付与することを発見し:本発明において使用される会合性中和剤は、充填剤または顔料が両親媒性ポリマーとの組合せで使用される場合、充填剤または顔料の分散を増加させることができることを観察された。
【0060】
従って、本発明の別の態様によれば、本発明の会合性中和剤は、有利には、補助分散剤として使用することもできる。
【0061】
本発明の会合性中和剤との組合せで使用される分散剤は、好ましくは、疎水性および親水性不飽和エチレン性モノマー、例えば、スチレンおよびこの誘導体、アクリル酸ならびにこのエステルおよびアミド、メタクリル酸ならびにこのエステルおよびアミドのラジカル重合から得られ、少なくとも、本発明の会合性中和剤により中和することができる酸基の一部を含むポリマーまたはコポリマーであり得る両親媒性ポリマーである。これらの両親媒性ポリマーは、従来の、または制御ラジカル重合技術により調製することができる。
【0062】
本発明の範囲内で使用される会合性中和剤は、当該分野において一般に使用される他の中和剤と使用することもできる。さらに、2種以上の本発明による会合性中和剤の全比率の混合物を、1種の同一の塗料配合物中で使用することができる。
【0063】
上記の通り、本発明は、塗料配合物中での中和剤としての、上記定義の少なくとも1種の会合性中和剤の使用に関する。
【0064】
塗料配合物は、水性塗料、例えば、アクリル系ラテックス塗料(前記アクリルベースは、例えば、スチレン−アクリルラテックス、ビニル−アクリルラテックスまたは完全アクリルラテックスであると考えられる。)、または溶剤系塗料、例えば、アルキドまたはグリセロフタル酸型塗料の生産の当業者に公知の様式において使用することができる。
【0065】
従って、本発明の別の態様は、上記定義の少なくとも1種の会合性中和剤を中和剤として含む、塗料、特に、水性もしくは溶剤系塗料および/または顔料濃縮物のための塗料用配合物に関する。
【0066】
本発明による着色または非着色の水性または溶剤系塗料は、とりわけ有利には、表面、壁および他の建築表面を、これらが内装であれ外装であれ、コーティングするための製品として使用される。
【0067】
有利には、本発明による塗料配合物は、配合物の全重量に対して0.05から5重量%、好ましくは、0.05から2重量%、より好ましくは、0.1から0.5重量%、よりいっそう好ましくは、0.1から0.3重量%の少なくとも1種の会合性中和剤を含有する。
【0068】
(1種以上の)会合性中和剤は、塗料配合物の唯一の(1種以上の)中和剤であってよく、または塗料は、当業者により一般に使用され、当業者に公知の中和剤から、特に、アンモニア水、水酸化ナトリウム、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、sec−ブチルアミノエタノールおよび2−n−ブチルアミノエタノールから選択される少なくとも1種の他の中和剤を含んでよい。
【0069】
好ましくは、(1種以上の)会合性中和剤は、中和剤の混合物の少なくとも1%、よりいっそう好ましくは、中和剤の混合物の少なくとも50重量%を表す。
【0070】
本発明の別の対象は、100重量部当たり:
・1から4重量部の上記定義の少なくとも1種の会合性中和剤;
・1から4重量部の少なくとも1種の分散剤;
・0から4重量部の少なくとも1種の増粘剤;
・20から50重量部の少なくとも1種の顔料または染料;
・40から70重量部の水;
・1から10重量部の乾燥遅延剤、例えば、ポリエチレングリコール200;および
・0.1から0.8重量部の慣用の添加剤および補助剤、例えば、消泡剤および殺生物剤
を含む顔料濃縮物(PC1)を、1000重量部当たり:
・80から150重量部の添加水;
・1から2重量部の少なくとも1種の分散剤;
・1から3重量部の少なくとも1種の中和剤、例えば、必須ではないが、上記定義の会合性中和剤;
・80から150重量部の白色顔料、例えば、二酸化チタン(TiO);
・400から550重量部の少なくとも1種の他の白色顔料;
・100から200重量部の少なくとも1種の結合剤、例えば、アクリルエマルジョンまたはアクリル樹脂;
・150から250重量部の少なくとも1種の増粘剤、例えば、セルロースエーテル;ならびに
・2から5重量部の慣用の添加剤および補助剤、例えば、消泡剤、融合助剤および殺生物剤
を含む水性白色艶消塗料ベース(MP1)中で希釈することにより得られたという事実を特徴とする着色塗料である。
【0071】
別の態様によれば、本発明の追加の対象は、上記定義の顔料濃縮物(PC1)を、1000重量部当たり:
・70から150重量部の添加水;
・1から3重量部の少なくとも1種の分散剤;
・1から3重量部の少なくとも1種の中和剤、例えば、必須ではないが、上記定義の会合性中和剤;
・80から300重量部の白色顔料、例えば、二酸化チタン(TiO);
・40から90重量部の少なくとも1種の他の白色顔料;
・400から550重量部の少なくとも1種の結合剤、例えば、アクリルエマルジョンまたはアクリル樹脂;
・1から20重量部の少なくとも1種の増粘剤;ならびに
・10から40重量部の慣用の添加剤および補助剤、例えば、消泡剤、融合助剤および殺生物剤
を含む水性白色梨地仕上げ塗料(SP1)中で希釈することにより得られたという事実を特徴とする着色塗料である。
【0072】
さらに別の態様によれば、本発明の追加の対象は、上記定義の顔料濃縮物(PC1)を、1000重量部当たり:
・80から150重量部の添加水;
・200から250重量部の少なくとも1種の結合剤、例えば、アクリル樹脂;
・1から3重量部の少なくとも1種の分散剤;
・1から3重量部の少なくとも1種の中和剤、例えば、必須ではないが、上記定義の会合性中和剤;
・160から250重量部の白色顔料、例えば、二酸化チタン(TiO);
・300から400重量部の少なくとも1種の他の白色顔料;
・120から200重量部の少なくとも1種の増粘剤、例えば、セルロースエーテル;ならびに
・2から5重量部の慣用の添加剤および補助剤、例えば、消泡剤および殺生物剤
を含む水性白色外壁塗料(EWP1)中で希釈することにより得られたという事実を特徴とする着色塗料である。
【0073】
さらに別の態様によれば、本発明の追加の対象は、上記定義の顔料濃縮物(PC1)を、1000重量部当たり:
・500から650重量部のアルキド樹脂;
・230から350重量部の少なくとも1種の白色顔料;
・4から8重量部の少なくとも1種の湿潤剤;
・15から25重量部の少なくとも1種の乾燥剤;
・6から10重量部の慣用の添加剤および補助剤、例えば、沈降防止剤および皮張り防止剤;ならびに
・80から120重量部の炭化水素溶剤、例えば、ホワイトスピリットなど
を含む白色溶剤系塗料ベース(PSolv)中で希釈することにより得られたという事実を特徴とする着色塗料である。
【0074】
上記塗料のそれぞれにおいて、顔料濃縮物は、一般に、得られる塗料の0.1から8重量%を表す。
【0075】
本発明の別の対象は、上記定義の少なくとも1種の会合性中和剤を含む顔料濃縮物である。本発明の顔料濃縮物は、さらに、一般に、主分散剤、1種以上の顔料、水ならびに1種以上の慣用の添加剤および補助剤を含む。
【0076】
本発明の顔料濃縮物は、有利には、水性または溶剤系白色塗料ベースを着色することが意図されてよい。
【0077】
顔料濃縮物は、特に、当業者により一般に使用され、当業者に公知の中和剤から選択される1種以上の他の中和剤、特に、アンモニア水、水酸化ナトリウム、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、sec−ブチルアミノエタノールおよび2−n−ブチルアミノエタノールから選択される中和剤を含むこともできる。
【0078】
前記顔料濃縮物は、有利には、0.05から10重量部の少なくとも1種の会合性中和剤を含むことができ、(1種以上の)会合性中和剤が少なくとも1種の他の中和剤との混合物中で使用される場合、(1種以上の)会合性中和剤は、有利には、前記混合物(全ての中和剤)の少なくとも1重量%、好ましくは、少なくとも50重量%を表す。
【0079】
上記の種々の塗料用配合物、白色ベース、顔料濃縮物および他のものは、本発明による少なくとも1種の会合性中和剤の他に、1種以上の一般的な分散剤、例えば、親水性改質PUオリゴマー(例えば、Borchi(登録商標)Gen 0451、Borchi(登録商標)Gen SN 95)を含有することができる。
【0080】
非常に驚くべきことに、顔料濃縮物、水性または溶剤系塗料、およびより一般には中和すべき任意のコーティング配合物を中和するために使用される会合性中和剤は、レオロジー改質剤としても挙動することが観察され:実際、会合性中和剤は、補助増粘剤の特性、または増粘剤の特性さえ有するが、補助チキソトロープ剤の特性、またはチキソトロープ剤の特性さえも有する。
【0081】
以下の実施例は、本発明を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。これらの実施例において、部およびパーセントは、特に記載のない限り、重量基準である。
【実施例1】
【0082】
タイプPC1の顔料濃縮物
【0083】
【表1】

【0084】
これらの顔料濃縮物のそれぞれを調製するため、顔料を、1.5mm直径ボールミル中で水、主分散剤、中和剤および消泡剤と、1000rpmにおいて1時間30分の間粉砕した。粒子のサイズは、Northゲージを使用して制御し、20μmに設定する。
【0085】
殺生物剤、PEG200乾燥遅延剤および増粘剤を、粉砕時間の終了時に添加する。濃縮物を、各配合物について24時間の静止時間後に50および100rpmにおける濃縮物のブルックフィールド粘度(スピンドル番号2)により比較した。結果を以下の表2に提示する:
【0086】
【表2】

【0087】
本実施例は、本発明による会合性中和剤を含む顔料濃縮物が、所与の剪断について、AMP(登録商標)95を用いて調製された顔料濃縮物の粘度よりも大きい粘度を有することを示す。
【0088】
さらに、48時間経過してから、PCamにおいて大量の沈降が出現し、この沈降により、1週間の終了時に機械的再分散が要求される。他方、PCuは、1週間の貯蔵の終了時に極めてわずかな沈降を示すにすぎず、再分散は、手作業により容易に実施される。
【実施例2】
【0089】
タイプSP1の白色水性梨地仕上げベース
2種の白色ベースWBuおよびWBamを、以下の表2に提示する種々の構成成分を指定の割合(重量基準)で、当業者に公知のラテックス配合の技術に従って混合することにより調製する。
【0090】
最初に、水、消泡剤、分散剤、中和剤および抗細菌剤を、分散機を使用して500rpmにおいて5分間混合する。得られた混合物は液状である。
【0091】
次いで、「ペースト化」(充填剤を導入する工程)を、事前に得られた混合物中に顔料ならびにレオロジー改質剤および光沢改質剤(二酸化チタン、炭酸カルシウムおよびタルク)を撹拌しながら800rpmにおいて20分間導入することにより実施する。充填剤の導入はゆっくりと実施し、剪断力に起因して混合物の発熱が観察されることが多い。
【0092】
次いで、撹拌を500rpmに減らして樹脂および融合助剤を添加する。次いで、粘度を、増粘剤(PU、セルロースまたはポリエーテル/ポリオールタイプ)を添加することにより任意に制御する。
【0093】
【表3】

【0094】
上記白色ベースを、これらの初期pHおよびこれらの初期粘度(配合後24時間の静止時間後)ならびに数ヵ月間の周囲条件における貯蔵時のこれらのpHおよび粘度の変化に従って比較した。ブルックフィールド粘度を、スピンドル番号6により10および100rpmにおいて測定した。
【0095】
結果を以下の表3に提示する。
【0096】
【表4】

【0097】
pHおよび粘度(ブルックフィールド、スピンドル番号6、10および100rpm、周囲温度)の測定は、増粘剤が配合の終了後しばらく依然として作用し得るので、配合して少なくとも24時間後に行う。pH値は、2種の配合物について同等であり、8.6から8.9である。
【0098】
貯蔵後(周囲条件において7ヵ月)、pHは、配合物のそれぞれについて、ほとんど低下しなかったが、AMPを用いて配合された塗料は、大きい離漿を示す(貯蔵安定性を有しない。)。
【0099】
対照的に、本発明による会合性中和剤(UDETA)を使用して中和された配合物は、優良な経時的安定性と、さらには高粘度の両方を示し、こうして、本発明の中和剤のレオロジー改質特性が確認される。
【0100】
本実施例はさらに、従来の中和剤または本発明による会合性中和剤の使用に応じて観察される粘度の差異が大きいことを示し:本発明による会合性中和剤は、従来の中和剤を使用して中和された塗料と比べて、新たに配合された塗料の高い粘度をもたらす。
【0101】
周囲温度において7ヵ月貯蔵した後、この粘度差は残存する。さらに、本発明の会合性中和剤を用いて配合された白色塗料は、7ヵ月貯蔵した後のポットの開封時にクリーム状のままである一方、従来の中和剤を使用して中和された塗料は、機械的再分散が要求される顕著な離漿を示す(粘度は再分散後に測定した)。
【実施例3】
【0102】
吸水試験
上記白色塗料WBuおよびWBamを、100μmの皮膜としてガラス板上に塗布し、48時間乾燥させておいた。次に、20滴の水(それぞれ約50μl)を、WBuおよびWBamにより塗装された各表面の中央に堆積させる。
【0103】
次いで、直径5cmのペトリ皿または時計皿を、ペトリ皿または時計皿がカバーを形成するように、こうして濡らした領域にわたって置く。試験は、時間に応じて吸水から生じる膨れを観察し、計数することであり、観察には、ガラスカバーを通して拡大鏡を5分毎に使用する。
【0104】
WBuおよびWBamを用いた吸水の結果を、以下の表4にまとめる。
【0105】
【表5】

【0106】
本実施例は、従来の中和剤と比べて本発明の会合性中和剤が白色ベースに付与する疎水性質を説明する。
【実施例4】
【0107】
「ブロッキング」試験
本発明により中和された塗料の皮膜が乾燥した後の可塑化の見込み(この可塑化は、本発明による会合性中和剤の高い沸点に起因して、皮膜中での本発明による会合性中和剤の滞留時間が長いことから生じ得る。)を評価するため、ASTM D4946法と同様のブロッキング試験として知られている試験を、WBuおよびWBamについて比較として実施した。
【0108】
上記塗料(WBuまたはWBam白色ベース)を、100μmの厚さで、2枚のLeneta(登録商標)コントラストカードに塗布する。周囲温度において48時間乾燥させた後、2枚のカードを、これらの塗装面で互いに接して置く。この集合体上にガラス板を重ね、このガラス板上に1キログラムの重りを置く。
【0109】
集合体を24時間乾燥させておいてから、重りおよびガラス板を除去する。2枚のLeneta(登録商標)カードを手作業で慎重に分離する。試験は、カードのそれぞれに堆積した皮膜の剥離領域を目視で観察することである。
【0110】
WBu白色ベース中で使用される本発明による会合性中和剤は、参照中和剤(AMP(登録商標90)よりも大きい剥離の領域を生じさせないことが観察される。この観察は、本発明による会合性中和剤が、高い沸点(約300℃)を有するが、VOCとみなされる参照中和剤(AMP(登録商標)の沸点:約165℃)よりも大きい可塑化性質を示さないことを示す。
【実施例5】
【0111】
ペルゾー硬度試験
乾燥塗膜の可塑化は、塗料に添加されるこの可塑化を担う作用物質を有しない塗料よりも低い硬度ももたらすことが公知である。結果的に、本発明による会合性中和剤を塗料中に取り込んだ場合に顕著な可塑化が存在しないことを確かめるため、BS3900:e5:1973、DIN 53157およびISO 152規格に従うペルゾー硬度の測定を実施することができる。
【0112】
ペルゾー硬度試験を、WBuおよびWBam白色ベースの乾燥皮膜について上記規格に従って実施した。本発明による会合性中和剤を用いて作製された塗料の皮膜のペルゾー硬度は、参照中和剤AMP(登録商標)を用いて観察される硬度と同じ大きさの程度(即ち、約78のペルゾー硬度)であることが観察される。
【0113】
この観察により、本発明による中和剤の非可塑化性質も確認される。
【実施例6】
【0114】
顔料濃縮物に対する補助分散効果
スチレン、α−メチルスチレンおよびアクリル酸をベースとする両親媒性コポリマーの粉末、例えば、BASFにより販売されているJoncryl 678(登録商標)を、磁気撹拌しながらビーカー中で、脱塩水中10重量%において分散させる。最初に、95重量%の純度を有する中和剤アミノエチルイミダゾリドン(UDETA)を水中で20重量%に希釈し、ビーカーにゆっくりと添加(滴加)する。分散液のpHを、参照pH538およびガラス電極を有するWTW商標pHメータを使用して追跡する。分散液が撹拌停止時に安定的な透明または半透明溶液になったとき、およびpHがもはや変化せず、8.5から10.5の値であるときに、中和が完了したとみなす。参照として、同一コポリマーの溶液を、脱塩水中10%のポリマーの分散液を10重量%の水酸化ナトリウム溶液を徐々に添加することにより中和することにより同一の手法において調製する。この場合、分散液が撹拌停止時に安定的な透明または半透明溶液になったとき、およびpHがもはや変化せず、11超の値に達したときに中和が完了したとみなす。
【0115】
顔料濃縮物を、会合性中和剤により中和されたこの分散剤を使用して、さらには水酸化ナトリウムにより中和された同一の分散剤により調製する。プラスチック容器(1kgのポリプロピレンバケット)中に、脱塩水130.74g、CECAにより販売されているSellig S4(登録商標)消泡剤0.74gおよびUDETAにより中和された分散剤調製物8.52gを混合する。Rayneriにより販売されているタービン混合機を使用して、300rpmの速度における撹拌を開始し、CIBAにより販売されているIrgalite Blue PG(登録商標)顔料60gをゆっくりと添加する。顔料を添加する間、撹拌を全ての顔料が添加されたときの最終速度である800rpmに徐々に増加させる。撹拌を15分間継続し、次いで顔料濃縮物を静止させておく。同様の様式において、濃縮物を脱塩水128.43g、Sellig S4(登録商標)0.74g、UDETAにより中和された分散剤調製物10.83gおよびIrgalite Blue PG(登録商標)顔料60gを用いて調製する。
【0116】
顔料濃縮物を、静止させた後の24時間の最小時間後に観察する。24時間後、UDETAを有する分散剤の濃縮物は、ヨーグルトの外観を有し、スパチュラを使用して手作業により得られるものを含む穏やかな撹拌の再開により容易に再分散させることができる。水酸化ナトリウムにより中和された濃縮物は、バケットの底部に大きい堆積物を有し、この堆積物は、分散させることがより困難である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料中での、白色塗料ベース中での、顔料濃縮物中での中和剤としての、少なくとも、および好ましくは、1個(1)の「スペーサー」基Spにより互いに連結されている、少なくとも1個の中和基Nおよび少なくとも1個の窒素含有会合性基Aを含む少なくとも1種の会合性中和剤の使用。
【請求項2】
中和基が、好ましくは、−NH、−NHRまたは−NRにより表される第1級、第2級または第3級アミン基であり、RおよびRは、同一であり、または異なり、互いに独立して、ヒドロキシル(−OH)およびチオール(−SH)基から選択される1個以上の置換基により任意に置換されている1から10個、好ましくは、1から6個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環式アルキル基を表し、極めて好ましくは、中和基が、−NH基、または−NHR基であり、Rは、上記定義の通りである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
「スペーサー」基が、少なくとも1個の中和基および/または少なくとも1個の会合性基を連結しており、ならびに好ましくは、1個以上の芳香族基、および/または1個以上のヘテロ原子を含有することができる直鎖、分枝鎖または環式炭化水素鎖であり、前記鎖は、置換基が中和基および会合性基に関して不活性である限り、任意に置換されていてよい、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
「スペーサー」基が、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル鎖である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
会合性基が、鎖または環中に含まれる少なくとも1個の−C(Z)−N−結合、好ましくは、少なくとも1個の−N−C(Z)−N−結合、および/または少なくとも1個の−N=CH−N−結合を含み、Zは、酸素、硫黄または=NH基を表し、Zが酸素を表す−N−C(Z)−N−結合が特に好ましい、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
会合性基が、任意に置換されている以下の基:ウレア、ビスウレア、アミド、アミドピリジン、ウレイドピリミジノン、ウラゾール、トリアゾリジンジオン、ウラシル、およびイミダゾリドンから選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
会合性基が、以下の基(A1)から(A7):
【化1】

から選択され、Rは、1から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表し、およびZは、酸素もしくは硫黄原子または=NH基、好ましくは、酸素原子を表す、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
会合性中和剤が、以下の特徴:
・pK(25℃において測定されたプロトン化アミンの解離定数)が、8.5以上、好ましくは、9以上であり、12を超過せず、好ましくは、11を超過しないこと;
・溶解率が、極性溶剤、好ましくは、水および/またはアルコール100g当たり10gから1000gのアミン、好ましくは、10gから500gのアミン、より好ましくは、10gから100gのアミンの範囲であること;
・沸点が、大気圧において250℃超、好ましくは、300℃超、より好ましくは、320℃超であること
の1個、好ましくは2個、およびより好ましくは全てを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
会合性中和剤が、1−(2−アミノエチル)イミダゾリジン−2−オン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチルアミノ]エチル}アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、N−(6−アミノヘキシル)−N’−(6−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリミジン−2−イル)ウレア(UPy)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(3−ATA)および4−アミノ−1,2,4−トリアゾール(4−ATA)ならびにこれらの混合物から選択され、会合性中和剤が、好ましくは、UDETAである、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
塗料が、水性または溶剤系着色塗料である、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
塗料が着色塗料であり、1種以上の顔料を、顔料濃縮物を白色塗料ベース中で希釈することにより配合物中に導入し、前記顔料濃縮物は、主分散剤、水ならびに慣用の添加剤および補助剤も含有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
増粘剤としての、少なくとも1種の会合性中和剤の、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
補助分散剤としての、少なくとも1種の会合性中和剤の、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項で定義する少なくとも1種の会合性中和剤を含む、塗料、特に、水性または溶剤系塗料および/または顔料濃縮物のための塗料用配合物。
【請求項15】
会合性中和剤の量が、配合物の全重量に対して0.05から5重量%、好ましくは、0.05から2重量%、より好ましくは、0.1から0.5重量%、よりいっそう好ましくは、0.1から0.3重量%である、請求項14に記載の塗料用配合物。
【請求項16】
白色ベース、顔料濃縮物または色付塗料である、請求項14または15に記載の配合物。

【公表番号】特表2012−504184(P2012−504184A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529598(P2011−529598)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051818
【国際公開番号】WO2010/037953
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】