説明

塗料組成物および硬質塗膜の製造方法

【解決手段】シリカアルコキシドとアクリロイル基含有化合物を混合し、酸性条件或いは塩基性条件でゾル反応を行い、このゾル組成物と光開始剤を含むことを特徴とする塗料組成物、前記アルコキジトがトリ或いはテトラアルコキシドであり、また、これらの方法とする。
【効果】シリカゾルを含むアクリロイル基含有化合物塗料を短い工程で、かつ揮発性の有機溶媒を含まず、簡便な方法にて得ることができ高硬度、耐傷性が高い塗膜が得られる特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬度向上、耐傷性を向上させる塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、PET樹脂などから製造された合成樹脂成形品は、ガラス製品に比べて軽量で耐衝撃性に優れるばかりでなく、透明性も良好で成形加工が容易であるなどの種々の利点を生かして、近年、種々の分野で利用されている。しかし反面、これらの合成樹脂成形品は、その表面の耐摩耗性が不足しているため、他の硬い物体との接触、摩擦、ひっかきなどによって表面に損傷を受けやすく、表面に発生した損傷はその商品価値を著しく低下させたり、短期間で使用不能にさせたりするので表面の耐摩耗性を改良することが強く要求されている。
【0003】
一次粒子径300nm以下の金属酸化物超微粒子、紫外線硬化型樹脂として1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有し、かつ硬化後の収縮率が10%未満であるウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有する多官能アクリレート(B)、有機溶剤、及び光重合開始剤から成り、さらに金属酸化物超微粒子の配合量が塗料組成物の硬化時の固形分に対して5.0重量%〜20.0重量%である塗料組成物を用いてハードコート層を形成したハードコートフィルムとし、透明性、耐擦傷性、耐薬品性に優れ、かつカール防止にも優れることが開示されている。(特許文献1)
【0004】
分散媒中に100℃以下の沸点(1気圧)を有する親水性溶媒を25〜100質量%含有する親水性無機酸化物ゾルに、珪素原子に結合したアルコキシル基を2個以上有する珪素アルコキシド、又は1個以上の珪素原子に結合したヒドロキシル基と1個以上の珪素原子に結合したアルコキシル基を有する珪素アルコキシドを添加して、該ゾル中の無機酸化物粒子を表面処理する工程、及び炭素数3〜12の1級アルコールの共存下に、前工程で得られた表面処理された無機酸化物ゾルの分散媒を非アルコール性有機溶媒にて置換する工程を含む有機溶媒分散無機酸化物ゾルの製造方法で、分散性が良く低粘度で透明性に優れ、樹脂溶液との相溶性も良い有機溶媒分散無機酸化物ゾルが開示されている。(特許文献2)
【0005】
(A)少なくとも1種の多官能性アクリレートと、(B)(a)アルコキシ官能性有機金属化合物、(b)アルコキシシラン及び(c)水から生成された反応生成物とから調製される。アルコキシシラン(b)は、当該アルコキシシランを多官能性アクリレート(A)と共重合可能にする少なくとも一つの官能基を含む。好ましい態様では、アルコキシ官能性有機金属化合物(a)とアルコキシシラン(b)はシロキサン重合触媒(d)の存在下で共加水分解と共縮合を受ける。前記配合中にコロイダルシリカを含まずに、硬化
すると高い耐摩耗性を示す有機変性された放射線硬化性シロキサン樹脂組成物が開示されている。(特許文献3)
【0006】
透明な基体にポリアルキレングリコールメタクリレートの重合体、ポリアルキレングリコールアクリレートの重合体及び/又はこれらの共重合体を含有する二酸化ケイ素薄膜を被覆してなる表面硬質透明シート;テトラアルコキシシラン及び/又はトリアルコキシシラン、ポリアルキレングリコールメタクリレート及び/又はポリアルキレングリコールアクリレート並びに重合開始剤を含有するヒドロゾル液を透明な基体に塗布し、該塗布膜を乾燥させると同時に、又は該塗布膜を乾燥させた後、ポリアルキレングリコールメタクリレート及び/又はポリアルキレングリコールアクリレートの重合処理を行うことを特徴とする表面硬質透明シートの製造方法が開示されている。(特許文献4)
【0007】
一般的に微粒子は凝集力が強く、特に10μm以下の粒子径を持つものは樹脂への再分散が極めて困難であり、強いせん断力による混練・分散ができるニーダーや三本ロールなど特別の装置を必要とする。また、アクリロイル基含有化合物とシリカゾルを共存させる組成物はあるがゾル組成物とアクリロイル基含有化合物とを混合したもの、或いは化学的な結合によるもので組成的な相溶性の制約や量の制約を伴い改質効果として満足のいくものではなかった。さらに有機溶剤を含むものは、基材の耐溶剤性による溶剤成分の制限があるため、塗料としての汎用性を損なわせていた。
【0008】
【特許文献1】特開2005−288787号公報
【特許文献2】特開2005−200294号公報
【特許文献3】特開平8−253708号公報
【特許文献4】特開2002−166488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、耐擦傷性、硬度の高い塗料組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、シリカアルコキシドとアクリロイル基含有化合物を混合し、酸性条件或いは塩基性条件でゾル反応を行い、このゾル組成物と光開始剤を含むことを特徴とする塗料組成物で、光硬化で、耐傷性、硬度の高い塗膜が得られる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のシリカアルコキシドがトリ或いはテトラアルコキシドであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物で、耐傷性、硬度を高める酸化ケイ素を含む塗料組成物が容易に得られる。
【0012】
請求項3の発明は、上記アクリロイル基含有化合物に対してシリカアルコキシドが10重量%〜100重量%を混合されることを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載の塗料組成物で、耐傷性、硬度を高める為の十分な量の酸化ケイ素を含む塗料組成物が容易に得られる。
【0013】
請求項4の発明は、前記アクリロイル基含有化合物が、水酸基を有するものが40重量%以上含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の塗料組成物で、安定性が高く塗料組成物となる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の塗料組成物を塗布し、硬化させることを特徴とする硬質塗膜の製造方法で、簡単に高硬度、耐傷性の高い塗膜が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、シリカゾルを含むアクリロイル基含有化合物塗料を短い工程で、かつ揮発性の有機溶媒を含まず、簡便な方法にて得ることができ高硬度、耐傷性が高い塗膜が得られる特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、アクリロイル基含有化合物中で、アルコキシシランを用いたゾル反応を酸性条件或いは塩基性条件で行うことにより、アクリロイル基含有化合物中にシリカゾルが均一分散したシリカゾル組成物が得られ、この組成物に光開始剤を配合することにより光硬化塗料組成物となり、塗布・硬化させることにより耐擦傷性が良く、硬度があり透明性のある薄膜を形成することができる。
また水酸基を有するアクリロイル基含有化合物を含むことで、組成物が安定して得られる。
なお、光硬化以外にも電子線等のエネルギー線でも硬化させることができる。電子線硬化の場合は光開始剤は不要となる。
【0017】
水酸基を有する持つアクリロイル基含有化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ―3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、β―カルボキシエチルアクリレート、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。
【0018】
上記、水酸基を有するアクリロイル基含有化合物は、コーティング剤の全てのアクリロイル基含有化合物100重量部のうち、40重量部から100重量部、望ましくは50重量部から100重量部である。前記範囲内であると、加水分解されたゾル組成物が相溶が良く、凝集・沈殿することがない。
【0019】
水酸基を有するアクリロイル基含有化合物以外のアクリロイル基含有化合物については特に制限はない。例えば、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ―3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の1官能(メタ)アクリレート等の単官能化合物。
【0020】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート等の2官能化合物。
【0021】
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアク、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の三官能化合物。
【0022】
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の四官能以上の多官能化合物が挙げられる。
【0023】
これらは塗膜の硬さ、反応速度等で適宜組み合わせて配合される。
【0024】
シランアルコキシドは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが挙げられる。これらを単独あるいは複数を併用することができる。
【0025】
ケイ素原子に結合するアルコキシル基が3個未満であると、ゾルゲル反応によって酸化ケイ素が密な状態とすることができず、塗布硬化後の薄膜を形成させたときに、十分な耐擦傷性を得ることができない。
アクリロイル基含有化合物100重量部に対して、トリアルコキシシラン或いはテトラアルコキシシランは10重量部から100重量部を好ましくは15重量部から80重量部を混合してゾルゲル反応を行うことができる。
【0026】
この範囲の配合では塗膜の耐擦傷性の向上が十分に確認でき、また、組成物が安定である。
【0027】
ゾル組成物を得るための酸性条件にするための酸性化物としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸や酢酸、乳酸、ギ酸、蓚酸等の有機酸を単独または併用して使用できる。酸の濃度は電離した水素イオンとして、5×10−4〜5×10−1mol/Lの範囲にあるのが望ましい。5×10−4 mol/L以下の濃度だと触媒の効果が十分ではなく、ゾルゲル反応がほとんど進行しない。また、5×10−1mol/L以上の場合は、酸化ケイ素粒子が急激に成長する為、溶液がゲル化してしまう。
【0028】
ゾル組成物を得るための塩基性条件にするための塩基性化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどを単独または併用して使用できる。塩基の濃度は電離したヒドロキシイオンとして、5×10−4〜5×10−1mol/Lの範囲にあるのが望ましい。5×10−4mol/L以下の濃度だと触媒の効果が十分ではなく、ゾルゲル反応がほとんど進行しない。また、5×10−1mol/L以上の場合は、酸化ケイ素粒子が急激に成長する為、溶液がゲル化してしまう。
【0029】
加水分解を促す為の水を、単独もしくは上記酸性化物または塩基性化物と同時に加えることができる。水の量としてはトリまたはテトラアルコキシドに対して1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。トリまたはテトラアルコキシドに対して水の量が1重量%以下の場合には、加水分解反応が起こらず、20重量%より多い水を加えた場合には過剰な水が膜の物性を低下させてしまう。
【0030】
その他、必要に応じて消泡剤、レベリング剤、減粘剤等の添加剤を、目的に応じた添加量で加えることができる。
【0031】
下記に実施例・比較例を示し、評価結果を表1に記す。
【実施例1】
【0032】
2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部にテトラ−n−ブトキシシラン25重量部を混合し、撹拌しながら50%酢酸水溶液2重量部を1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を70℃となるよう加熱して還流しながら4時間撹拌を行った。その後、常温へ戻して光重合開始剤IRGACURE2959(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ、商品名)を3重量部加えて溶解させ、実施例1の塗料組成物とした。
【実施例2】
【0033】
EBECRYL112(ダイセル・サイテック(株)、脂肪族エポキシアクリレート、商品名)100重量部に、テトラエトキシシラン80重量部を混合し、撹拌しながら10%塩酸を0.1重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、23℃30分撹拌を続けた後、23℃で7日間静置してから、光重合開始剤DAROCURE1173(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ、商品名)を5重量部加えて、実施例2の塗料組成物とした。
【実施例3】
【0034】
SR−604(SARTOMER社、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、商品名)60重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部にKBM−403(信越化学工業、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、商品名)を15重量部加えて撹拌した後、50%ギ酸水溶液を3重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を70℃となるよう加熱して還流しながら4時間撹拌を行った。その後、常温へ戻して光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、実施例3の塗料組成物とした。
【実施例4】
【0035】
SR−604を60重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部にKBM−403を15重量部加えて撹拌した後、20%水酸化ナトリウム水溶液を0.5重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を90℃となるよう加熱して還流しながら4時間撹拌を行った。その後、常温へ戻して光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、実施例4の塗料組成物とした。
【実施例5】
【0036】
EBECRYL112を100重量部に、KBE−103(信越化学工業(株)、フェニルトリエトキシシラン、商品名)を40重量部を混合し、撹拌しながら25%アンモニア水を0.5重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、23℃30分撹拌を続けた後、23℃で7日間静置してから、光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、実施例5の塗料組成物とした。
【0037】
比較例1
2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部に光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、比較例1の塗料組成物とした。
【0038】
比較例2
EBECRYL112を100重量部に、DAROCURE1173を5重量部加えて、比較例2の塗料組成物とした。
【0039】
比較例3
SR−604を60重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部に光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、比較例3の塗料組成物とした。
【0040】
比較例4
2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部にテトラ−n−ブトキシシラン120重量部を混合し、撹拌しながら50%酢酸水溶液20重量部を1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を70℃となるよう加熱して還流しながら6時間撹拌を行ったところ、ゲル化が起こり流動性が無くなった。
【0041】
比較例5
2−ヒドロキシエチルメタクリレート70重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部にテトラ−n−ブトキシシラン25重量部を混合し、撹拌しながら50%酢酸水溶液0.05重量部を1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を70℃となるよう加熱して還流しながら6時間撹拌を行った。その後、常温へ戻して光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、比較例5の塗料組成物とした。
【0042】
比較例6
SR−604を60重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部にKBM−403を5重量部加えて撹拌した後、50%ギ酸水溶液を3重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を70℃となるよう加熱して還流しながら4時間撹拌を行った。その後、常温へ戻して光重合開始剤IRGACURE2959を3重量部加えて溶解させ、比較例6の塗料組成物とした。
【0043】
比較例7
SR−604を60重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40重量部にKBM−403を15重量部加えて撹拌した後、20%水酸化ナトリウム水溶液を10重量部、1重量部/分の流量で添加した。その後、反応液全体を90℃となるよう加熱して還流しながら撹拌を行ったところ、全体がゲル化して流動性が無くなった。
【0044】
【表1】

<塗料組成物性状>
塗料組成物性状:透明液状を○、ゲル状を×として 下記の評価は行えず−を付した。
<コーティング膜の形成>
実施例・比較例の塗料組成物を7mm厚(未乾燥)でPETフィルムへ塗布した後、80℃3分の乾燥を行ってから、UVランプ装置LIGHT HAMMER6:無電極Hバルブ(フュージョンUVシステムズ製)を用いて、積算光量700mJ/cmで硬化させた。
<鉛筆硬度評価>
JIS K5600−5−4に従い、荷重1kgで評価を行った。
<耐擦傷性評価>
0000番のスチールウールを用い、硬質塗膜上で200g/cmの荷重をかけて5往復させた。この試験により硬質塗膜に傷が生じるがそれを目視により5段階に分けて評価した。
【0045】
下記に評価基準を記す、
5:0〜5本の浅い傷が観察される
4:5〜10本の浅い傷が観察される
3:10〜15本の浅い傷が観察されるものの実用的には問題がない
2:15本以上の傷が目視ではっきりと見える
1:多くの傷がつく
【産業上の利用可能性】
【0046】
高い耐傷性および硬度をもつ塗料を簡便な方法で得ることが出来るので、フィルム、成形品などの表面保護材として利用できる。特に有機溶剤を含まない為、耐薬品性の弱い基材への利用が好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカアルコキシドとアクリロイル基含有化合物を混合し、酸性条件或いは塩基性条件でゾル反応を行い、このゾル組成物と光開始剤を含むことを特徴とする塗料組成物
【請求項2】
請求項1記載のシリカアルコキシドがトリ或いはテトラアルコキシドであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物
【請求項3】
上記アクリロイル基含有化合物に対してシリカアルコキシドが10重量%〜100重量%を混合されることを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載の塗料組成物
【請求項4】
前記アクリロイル基含有化合物が、水酸基を有するものが40重量%以上含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の塗料組成物
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の塗料組成物を塗布し、硬化させることを特徴とする硬質塗膜の製造方法

【公開番号】特開2009−79177(P2009−79177A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251029(P2007−251029)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】