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塗料組成物及び塗膜形成方法
説明

塗料組成物及び塗膜形成方法

【課題】
各種工業製品、特に自動車の外板に適用できる耐候性に優れ、ハイライト(正反射光近傍)において高明度、シェード(斜め方向)では明度が低く、ハイライトからシェードにおいて黄味を感じない塗膜を形成可能な塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、一次粒子径が5nm以上100nm以下の複合金属酸化物顔料を及び鱗片状アルミニウム顔料を含む塗料組成物並びに、基材上に上記塗料組成物を塗装しさらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、耐候性に優れ、ハイライト(正反射光近傍)において高明度、シェード(斜め方向)では明度が低く、ハイライトからシェードにおいて黄味を感じない塗膜を形成可能な塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の工業製品において、シルバーやグレーのメタリック塗色は人気が高いものとなっている。その中で、ハイライト(正反射光近傍)では高明度、シェード(斜め方向)では明度が低く、ハイライトからシェードにおいて黄味を感じない塗色への要求がある。これまで、メタリック塗色において、明度や色相を調整する場合には、通常、着色顔料が使用される。特にシルバーメタリック塗色において、明度を調整する場合には、着色顔料として小粒径の高漆黒性カーボンブラック顔料を、鱗片状光輝性顔料であるアルミニウムフレーク顔料に併用して使用する場合があった。この場合、ハイライトにおいては中明度のグレー、シェードにおいては黒いフリップフロップ性がある塗色が得られるが、塗膜に黄味が感じられたり、ハイライトの明度が低下しすぎる問題点があった。
【0003】
また、色相を調整することを目的として、カーボンブラック顔料と有機着色顔料を併用する手法も一般的であるが、カーボンブラック顔料と有機着色顔料の耐候性が異なるため、長期間の曝露により、有機着色顔料が変色して、塗膜の色が変化してしまう場合がある問題点があった。
【0004】
特許文献1は、塗膜を斜めに見た場合のシェード部で白ボケを起こさない高漆黒性で干渉性を発現する漆黒性塗料組成物に関する出願であって、2種以上の金属元素からなる金属混合酸化物フレーク顔料、カーボンブラック顔料およびヒビクルを含有する漆黒性塗料組成物が開示されている。特許文献1に開示された塗料組成物による塗膜は、黒に近い色を呈する複合金属酸化物フレーク顔料と黒色のカーボンブラック顔料を併用することで、漆黒性と干渉性を両立する塗膜を得ようとするものであるが、ハイライトにおける明度も低いものとなって、全体の明度が低くなる問題点があった。
【0005】
特許文献2は、シェードでの色味及び彩度の強い色残り性が良好で、かつハイライト部でも彩度が高いソリッド調光輝性塗料、塗装方法及び塗装物に関する出願であって、ビヒクル、複合酸化物焼成顔料及び光輝性顔料とを含有することを特徴とする光輝性塗料組成物が開示されている。しかし、平均粒度が0.1〜50μmの複合酸化物焼成顔料を使用するものであるため、塗装されて得られた塗膜の彩度が低下したり、塗膜の黄みが増してしまう問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−275425号公報
【特許文献2】特開2000−86944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐候性に優れ、ハイライト(正反射光近傍)において高明度、シェード(斜め方向)では明度が低く、ハイライトからシェードにおいて黄味を感じない塗膜を形成可能な塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
1.一次粒子径が5nm以上100nm以下の黒色複合金属酸化物顔料及び鱗片状アルミニウム顔料を含む塗料組成物、
2.黒色複合金属酸化物顔料が、銅、マンガン、鉄、コバルト、クロム及びニッケルから選択される二種類以上の金属元素を含むものである1項に記載の塗料組成物、
3.塗装して得られる塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*15が80〜160の範囲内、正反射光に対して110度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*110が5〜30の範囲内であり、次式FF=L*15/L*110によって計算されるFF値が4.0〜12.0の範囲内であって且つ正反射光に対して45度で受光して得られた色相h*45が235〜280の範囲内である1項又は2項に記載の塗料組成物
4.鱗片状アルミニウム顔料の平均粒子径D50が7−25μmの範囲内、D10をD50で除したD10/D50が0.5〜1.0の範囲内であって且つD90をD50で除したD90/D50が1.0〜1.8の範囲内である、1〜3項のいずれか1項に記載の塗料組成物
5.基材に、1〜4項のいずれか1項に記載された塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の目的は、耐候性に優れ、ハイライト(正反射光近傍)において高明度、シェード(斜め方向)では明度が低く、ハイライトからシェードにおいて黄味を感じない塗膜を形成可能なメタリック塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜のハイライトにおける明度を高くすることを目的として、鱗片状アルミニウム顔料を含有する。
【0011】
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
【0012】
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、タンク・ダクト・配管類および屋上ルーフィングをはじめ各種建築材料などに利用されることが多い。本発明の塗料組成物においては塗装して得られる塗膜のハイライトの明度や、耐水性の点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
【0013】
上記鱗片状アルミニウム顔料の大きさは、平均粒子径D50が7〜25μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が8〜23μmの範囲内のもの、特に好ましくは10〜22μmの範囲内のものである。厚さは0.05〜1.0μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味し、厚さは、鱗片状アルミニウム顔料を含むクリヤー塗膜断面を、透過型電子顕微鏡で撮像した画像を観察して測定された数値を意味する。
【0014】
本発明の塗料組成物における鱗片状アルミニウム顔料は、塗装して得られる塗膜のフリップフロップ性の点から、累積分布の累積10%の粒子径D10を前記D50で除したD1O/D50が0.5〜1.0の範囲内であって且つ累積分布の累積90%の粒子径D90をD50で除したD90/D50が1.0〜1.8の範囲内となる粒子径範囲内のものを使用することが、塗装して得られる塗膜のハイライトの明度やフリップフロップ性の点から好ましい。
【0015】
本発明の塗料組成物における鱗片状アルミニウム顔料としては、アルミニウム表面をシランカップリング剤や金属酸化物等で処理したものや、樹脂コートされたものを使用してもよい。
【0016】
また、鱗片状アルミニウム顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.1〜25質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは1.0〜20質量部の範囲内、特に好ましくは3.0〜18質量部の範囲内である。
【0017】
本発明の塗料組成物は、塗膜の明度や色相を調整するために、複合金属酸化物顔料を含有する。複合金属酸化物顔料とは、2種以上の元素の金属酸化物の複合体から成る焼成顔料で、色を発現する金属元素として、(a)Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Cr等を必須とし、(b)Ti、Sb、As、Bi等を条件により色を発現する金属元素として、(c)Al、Si、Ca、Mg、Ba等を補助金属元素として用い、これらの金属元素の酸化物の組み合わせと配合比率を変えることにより所望の焼成顔料を得ることができる。これらの複合金属酸化物顔料は、上記の金属元素から成る金属酸化物を金属塩に沈殿剤としてアルカリ水溶液を過剰に加えて、共沈物を生成せしめ、この生成物を析出と同時又は析出後に液相中で酸化処理し、微粒子顔料の前駆体を得た後、水洗、ろ過及び乾燥後、焼成することで得られたものである。一次粒子径の平均が5〜100nmの範囲内のものが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内のものである。
【0018】
本発明の塗料組成物における複合金属酸化物顔料の一次粒子径は、該複合金属酸化物顔料を透過型電子顕微鏡を使用して撮像した画像を測定した数値として定義するものとする。
【0019】
本発明の塗料組成物に配合せしめることができる複合金属酸化物顔料としては、Black25:Co−Ni、Black26:Cu−Mn−Fe、Black27:Co−Cr−Fe、Black28:Cu−Crなどを挙げることができる。
【0020】
本発明の塗料組成物においては特に、金属元素として銅、マンガン及び鉄を含むものを使用することが、塗装して得られる塗膜の色相の点から好ましい。
【0021】
本発明の塗料組成物における複合金属酸化物顔料の含有量は、塗膜のハイライトにおける明度や色相の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.2〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0022】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜の色相を微調整することを目的として、上記複合金属酸化物顔料以外の着色顔料を含有することができる。着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料、カーボンブラック顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の塗料組成物に着色顔料を配合せしめる場合その含有量は、塗膜のハイライトにおける白さの点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25質量部、特に好ましくは0.2〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
【0024】
本発明の塗料組成物には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0025】
さらに、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0026】
本発明の塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、10〜60質量%、好ましくは12〜50質量%に、また、粘度を塗装に最適な状態に調整しておくことが望ましい。
【0027】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜の色を、塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*15°が80〜160の範囲となるように、上記鱗片状アルミニウム顔料や複合金属酸化物顔料等の着色材の種類や量を決定することが好ましい。
【0028】
また、正反射光に対して110度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*110°が5〜30の範囲内、次式FF=L*15°/L*110°によって計算されるFF値が4.0〜12.0の範囲内、且つ正反射光に対して45度で受光して得られた色相h*45°が235〜280の範囲内とすることが好ましい。
【0029】
本明細書におけるL*15及びL*110は、多角度分光光度計X−Rite社製のMA−68II(商品名)を用いて測定した分光反射率から計算した数値として定義するものとする。得られた塗膜のFF値は、塗膜に対して45°から照射した光を正反射光に対して15度で受光したときのLa*b*表色系における明度L*15と、110度で受光したときのL*110とから次式FF=L*15/L*110によって計算することができる。
得られた塗膜の色相h*45°が235以下となると黄味に感じ、280以上になると赤味と感じる。
【0030】
次に本発明の塗膜形成方法について説明する。本発明の塗膜形成方法においては、上記の如き塗料組成物を基材に塗装し、さらに得られた塗膜上にクリヤー塗料を塗装する。
【0031】
基材としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。さらにこれらの素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理を行なったものを基材とすることができる。さらに、上記基材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて基材とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
【0032】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0033】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与したり、複層塗膜における明度を調整するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0034】
特に基材として、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させる場合においては、下塗り
塗膜及び中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に前述の塗料組成物を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に中塗り塗膜を形成せしめ、中塗り塗膜が未硬化の状態で、前述の塗料組成物を塗装することもできる。又は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜が未硬化の状態で前述の塗料組成物を塗装してもよい。
【0035】
本発明の塗料組成物は、上記各種基材に静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて3〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができるが、未硬化の状態で後述するクリヤー塗料を塗装することができる。本発明の塗料組成物の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
【0036】
本発明方法におけるクリヤー塗料は、前述の塗料組成物の未硬化もしくは硬化させてなる塗面に塗装する塗料であり、樹脂成分および溶剤を主成分とし、さらに必要に応じてその他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料である。
【0037】
本発明方法におけるクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例
えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基
体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性
官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレ
タン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基
と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物、ブロックポリイソシ
アネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水
物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や
有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、酸化
防止剤、表面調整剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0038】
本発明方法におけるクリヤー塗料には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料
を適時配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔
料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決
定されて良いが、クリヤー塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して、固形分として30
質量部以下、好ましくは0.01〜15質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部の範
囲内である。
【0039】
本発明方法におけるクリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜70μmの範囲内とするのが好ましい。クリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜7、比較例1〜3
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
【0041】
(塗料組成物の調製)
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料及び着色顔料を表1に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調整し、実施例及び比較例に使用する塗料組成物を調製した。
【0042】
【表1】

【0043】
調製した塗料組成物を予めグレー(N−6)色の中塗り塗膜を形成せしめたブリキ板にエアスプレーを使用して硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温にて15分間放置した後に、「ルーガベーククリヤー」(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて、測定に供する塗板を作成した。各々の塗板について、L*a*b*表色系における明度L*15、正反射光に対して110度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*110、次式FF=L*15/L*110によって計算されるFF値及び色相h*45をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して測定した分光反射率にも素づいて計算し、結果を表1に示した。
(試験板の作成)
基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0044】
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ル−ガベ−ク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を基材とした。
塗装
上記基材に実施例1〜7及び比較例1〜3にて調製した塗料組成物をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にクリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント株式会社製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(評価)
上記試験板の意匠性を以下の要領にて評価し、結果を表1に示した。
(1)目視評価
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、シェードの彩度と鮮明性を目視にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が行ない、平均点を採用した。
シェードの濁り:
4:シェードで濁りがなく、黒さが強い。
3:シェードで僅かに濁るが、黒さがある。
2:シェードで濁り、黒さが弱い。
1:シェードで白濁し、黒さがない。
鮮映性:
4:塗膜表面にチカチカが見られず、艶が良好。
3:塗膜表面にわずかにチカチカがあるが、艶は良好。
2:塗膜表面にチカチカが多数見られ、艶が不良。
1:塗膜全面にチカチカが見られ、艶引け。
チカチカ:鱗片状アルミニウム顔料が塗膜中で不規則に配向したため、塗膜表面から鱗片状アルミニウム顔料の端片が露出することによって生じる。
(2)耐候性:スーパーキセノンウェザオメーター(スガ試験機株式会社製)で1000
時間の促進耐候性試験を行った後、塗膜の変色を目視評価した。
4:塗膜に変色が認められない。
3:塗膜に変色が僅かに認められる。
2:塗膜が変色している。
1:塗膜が大きく変色している。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の塗料組成物及び塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車外板に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子径が5nm以上100nm以下の黒色複合金属酸化物顔料及び鱗片状アルミニウム顔料を含む塗料組成物。
【請求項2】
黒色複合金属酸化物顔料が、銅、マンガン、鉄、コバルト、クロム及びニッケルから選択された二種類以上の金属元素を含むものである請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
塗装して得られる塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*15が80〜160の範囲内、正反射光に対して110度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*110が5〜30の範囲内であり、次式FF=L*15/L*110によって計算されるFF値が4.0〜12.0の範囲内であって且つ正反射光に対して45度で受光して得られた色相h*45が235〜280の範囲内である請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
鱗片状アルミニウム顔料の平均粒子径D50が7−25μmの範囲内、D10をD50で除したD10/D50が0.5〜1.0の範囲内であって且つD90をD50で除したD90/D50が1.0〜1.8の範囲内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
基材に、請求項1〜4のいずれか1項に記載された塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法。

【公開番号】特開2013−40257(P2013−40257A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176934(P2011−176934)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】