説明

塗装機

【課題】 安全性が高く作業効率のよい手塗り式の塗装機の提供。
【解決手段】 塗装機1は、塗料Pを貯留する貯留槽3と、貯留槽3内の塗料Pを汲み出す電動ポンプ4と、電動ポンプ4に給電する電源装置6とを備えて成り、塗料Pを保液する刷毛部および把手部を有する手塗り用具40の前記刷毛部と、電動ポンプ4の吐出口25とが給液管52を介して連結され、電動ポンプ4を駆動、停止させるための操作スイッチが手塗り用具40の把手部に設けられている。手塗り用具40としては、多数の毛材を束ねて成る刷毛部を備える塗装ハケが用いられる。貯留槽3、電動ポンプ4、および電源装置6を内蔵する本体ケーシング2は携帯可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料を保液する刷毛部および把手部を有する手塗り用具を備えた塗装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来汎用の塗装方法としては、次に述べる吹付け塗装が知られている。例えば、塗装ガンで圧搾空気により塗料を霧化して吹き付ける方法、塗料を貯留した定置型塗料タンク内を圧搾空気で加圧して塗料のみを塗装ガンから吹き付ける方法、定置型塗料タンクからダイヤフラムポンプやプランジャポンプにより塗料を圧送しエアレスガンで吹き付ける方法などである。ところが、上記した吹付け塗装の場合、屋内や囲いのできる場所ではよいが、屋外では塗料および溶剤が飛散して付近の物に付着したり環境問題を引き起こすことがある。
【0003】
そのために、屋外での塗装はほとんどが塗装ローラまたは塗装ハケを用いた手作業となっている。しかしながら、塗装ローラによる手塗り塗装では、ローラを収容できる大きめの塗料バケツと、ローラに付き過ぎた塗料を絞り落とすスライドパンとが必要であり、用具が大きくなって手持ちできないという問題がある。
【0004】
一方で、塗装ハケによる手塗り塗装では、片手に塗料缶、他方の手に塗装ハケといったように、両手を必要とする。また、塗料缶にハケを浸漬させた後に、含み過ぎた余剰の塗料を塗料缶の内周縁で擦って刷毛部での保液量を調整しながら塗装作業をしなければならないことから、大変な作業となり周囲を汚しやすい。そして、橋梁、高架構造物、船舶など高所での作業、足元の悪い足場上やハシゴ上での作業は、両手がふさがるために大変危険であり多大な注意を払う必要がある。また、塗料缶は手で持たなければならず少量の塗料しか入れられない。そのために、作業の途中で頻繁に塗料の補給をしなければならず、作業効率が悪い。そして、調色塗料を用いる場合は顔料同士が比重差で分離しやすいことから、塗装に色ムラが生じることを防ぐために適時撹拌を必要とし、これが作業をいっそう困難にしている。
【0005】
【特許文献1】実開平6−38662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
他方で、多数の毛材を束ねた刷毛部を把手部の先端に設け、把手部内に塗料を貯留する小型タンクを備えた塗装ハケが、上記の特許文献1に開示されている。この塗装ハケは、刷毛部と小型タンクとが開閉弁を介して連通しており、開閉弁と連結されたレバーが把手部の末端に設けられている。この塗装ハケでは、一方の手で把手部を持ち他方の手でレバーを操作して小型タンクから刷毛部へ塗料を送るようになっている。ところで、この塗装ハケは重力利用の自然流下式であることから、小型タンク内の塗料残量により刷毛部へ流下する塗料の量が変わるために、均一な厚さの塗装ができない。また、手で持つ大きさの把手部内には容量の小さなタンクしか配備できないので、タンクに頻繁に塗料を補給しなければならないことは上記と同じである。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、安全性が高く作業効率のよい手塗り式の塗装機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る塗装機は、塗料を貯留する貯留槽と、貯留槽内の塗料を汲み出す電動ポンプと、電動ポンプに給電する電源装置とを備えて成り、塗料を保液する刷毛部および把手部を有する手塗り用具の前記刷毛部と、電動ポンプの吐出口とが給液管を介して連結され、電動ポンプを駆動、停止させるための操作スイッチが手塗り用具の把手部に設けられたものである。
【0009】
また、前記構成において、手塗り用具として、多数の毛材を束ねて成る刷毛部を備える塗装ハケを用いたものである。
【0010】
そして、前記した各構成において、貯留槽、ポンプ、および電源装置を内蔵する本体ケーシングが携帯可能に形成されているものである。
【0011】
更に、前記した各構成において、電源装置として、充電式の蓄電池を用いたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る塗装機によれば、手塗り用具の刷毛部に塗料を送る電動ポンプを駆動、停止させるための操作スイッチが手塗り用具の把手部に設けられているので、手塗りをしている手で把手部の操作スイッチを押したり離したりするだけで必要量の塗料を刷毛部に供給できる。従って、作業効率よく仕上がりの綺麗な塗装を行なうことができ、周囲を著しく汚したりしない。また、他方の手は自由に使えることから、安全な塗装作業を行なうことができる。
【0013】
また、多数の毛材を束ねて成る刷毛部を備える塗装ハケを塗り用具として用いる場合は、刷毛部が被塗装物の表面を円滑に滑るので塗料を丁寧に塗布でき、被塗装物表面の微細な隙間や窪みまで毛材が入り込む。従って、木目細やかで美しい塗装を施すことができる。
【0014】
そして、手塗り用具はもとより、それ以外の機器を携帯可能に構成した場合は、塗装機の使用場所にほとんど制限がなくなり、例えば高所や足場の悪い場所であっても支障なく携帯できて塗装作業を行なうことができる。
【0015】
更に、充電式の蓄電池を電源装置に用いた場合は、電源コードが不要であるので、携帯性よく機動性の高い塗装機が提供され、電源コードに気を取られることなく塗装作業に集中できる。また、蓄電池は充電済みの予備品を用意しておけば、取り替えながら連続して塗装作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る塗装機を示す一部断面を含む正面図、図2は前記塗装機の本体ケーシングを示す平面図である。
各図において、この実施形態に係る塗装機1は、人が背負ったり肩に掛けたり手で持ったりできる携帯可能な大きさおよび形状に形成された本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内は、塗料Pを貯留する貯留槽3と種々の機器類を内蔵した機械室37とに上下区画されている。
【0017】
本体ケーシング2は例えば合成樹脂で一体成型されており、貯留槽3上方の上面に3つの突口8,9,10が設けられている。注入口8は塗料原液や希釈液を出し入れするために形成されておりキャップ11で蓋止される。取付口9は撹拌羽根19付きの撹拌軸18を貯留槽3内に装入するために形成されておりキャップ12で蓋止される。撹拌軸18はキャップ12の上面に固設された直流モータ13の駆動軸と一体に連結されておりキャップ12を貫通して設けられている。取出口10は導液管15を貯留槽3内に装入するために形成されており、キャップ14で蓋止される。導液管15はキャップ14を貫通して設けられており下端にストレーナ17が取り付けられ上端に管コネクタ16が取り付けられている。更に、本体ケーシング2上面の左右後部には、背負い用の肩ベルト(図示省略)を掛ける通し金具35,35が設けられている。
【0018】
本体ケーシング2の機械室37には、貯留槽3内の塗料Pを汲み出す電動ポンプ4、電動ポンプ4の直流モータ5に給電する電源装置6、および、直流モータ5を駆動制御する電気回路を備えた制御ボックス7が配備されている。電源装置6としては充電式の蓄電池が使用され、この蓄電池は取外しレバー53の操作により本体ケーシング2から取り出せるようになっている。導液管15の管コネクタ16と電動ポンプ4の吸入口24(図4参照)とは、可撓ホースなどから成る導液管20を介して連結されている。電動ポンプ4の吐出口25と手塗り用具40の管コネクタ47(図3参照)とは、可撓ホースなどから成る給液管52で連結されている。
【0019】
手塗り用具40は、図3に示すように、多数の毛材を束ねて形成された毛材ハケ(刷毛部の例)42および把手部41を備える塗装ハケ40aが例示されている。すなわち、塗装ハケ40aの毛材ハケ42の部分と電動ポンプ4の吐出口25とは、給液管52、塗装ハケ40aの管コネクタ47、給液管46、および貯留空間44を介して連結される。毛材ハケ42は把手部41に筒帯状の保持金具43でかしめ固定されている。貯留空間44内には、搬送路46aと毛材ハケ42の間で適量の塗料Pを一時貯留する含浸材45が充填されている。塗装ハケ40aの把手部41には、電動ポンプ4のモータ5を駆動、停止させるための操作スイッチ48が配備されている。操作スイッチ48はコード49を介してコードコネクタ50と配線接続されている。
【0020】
電動ポンプ4は、内部を図4に示すように、内周面の一部に内向きに突出した膨出部26を有して有底円筒状に形成されたポンプケーシング21と、ポンプケーシング21内に収容されて水平軸心回りに回転するロータ38と、ポンプケーシング21の側面開口を蓋止する鏡板22とから主として構成されている。鏡板22はポンプケーシング21の雌ネジ部36,36,36に螺着される蝶ボルト23,23,23(図1参照)によりポンプケーシング21に取り付けられる。本体ケーシング21内の吸入側のポンプ室33iと連通する吸入口24が膨出部26における実線矢印34方向の下流側に設けられている。本体ケーシング21内の吐出側のポンプ室33pと連通する吐出口25は膨出部26における実線矢印34方向の上流側に設けられている。尚、ロータ38正転(矢印34方向)時の吐出口25は逆転(矢印34の反対方向)時に吸入口となり、ロータ38正転時の吸入口24は逆転時に吐出口となる。
【0021】
ロータ38は例えばNBR製であり、軸穴30を有するボス29の外周に複数のラバー羽根32,32,32,・・・が周方向に所定間隔で設けられている。これらのラバー羽根32,32,32,・・・は弾性変形自在であり、先端が本体ケーシング21の内周面を周方向(矢印34方向またはその反対方向)に摺動する。そして、ボス29の軸穴30のスプライン突起31、31,31,・・・と、水平軸心である直流モータ5の駆動軸27のスプライン溝28,28,28,・・・とを嵌合させることにより、駆動軸27とロータ38とが連結される。ロータ38は容易に駆動軸27から着脱できるので、塗装終了後の洗浄時に便利である。
【0022】
続いて、塗装機1に係る電気回路を図5に示す。この電気回路において、符号の51は手塗り用具40側のコードコネクタ50と着脱自在に連結されるコードコネクタ、54は電源装置6とつながる電源スイッチ、55は撹拌モードを手動モードとタイマ自動モードとに切り替えるための撹拌モード切替スイッチ、56Aはタイマ調整つまみ56Bから設定された時刻に達したときに直流モータ13への通電を入切するサイクルタイマ用スイッチ、57Aはタイマ調整つまみ57Bから設定された時間だけサイクルタイマ用スイッチ56Aが入のときに直流モータ13への通電を行なう撹拌時間タイマ用スイッチ、58は直流モータ5の駆動軸27の回転方向を正逆切り替えるための正転逆転切替スイッチである。また、符号の59は直流モータ5に供給される給電量を調整して手塗り用具40に対する塗料Pの送り量を設定するための塗料送り量設定器、60は塗料送り量設定器59に配備された抵抗器のスライダレバーである。
【0023】
上記した、コードコネクタ51、電源スイッチ54、撹拌モード切替スイッチ55、サイクルタイマ用スイッチ56Aのタイマ調整つまみ56B、撹拌時間タイマ用スイッチ57Aのタイマ調整つまみ57B、正転逆転切替スイッチ58、塗料送り量設定器59、および、スライダレバー60は、図6に示すように、本体ケーシング2下部の側面に配置された制御ボックス7に設けられている。タイマ調整つまみ56Bはサイクルタイマ用スイッチ56Aにおける設定時刻を設定するものである。タイマ調整つまみ57Bは撹拌時間タイマ用スイッチ57Aにおける作動時間を設定するものである。
【0024】
上記した構成の塗装機1を使用するに際し、各種スイッチ類は、例えば図6に示したように設定されている。すなわち、撹拌モード切替スイッチ55は「自動撹拌モード」になっている。「自動撹拌モード」時に利用される撹拌開始時刻および撹拌停止時刻は、サイクルタイマ用スイッチ56Aのタイマ調整つまみ56Bを操作して予め設定されている。同様に、「自動撹拌モード」における撹拌実行時に利用される撹拌時間も、撹拌時間タイマ用スイッチ57Aのタイマ調整つまみ57Bを操作して予め設定されている。正転逆転切替スイッチ58は「逆転」、「ニュートラル」、「正転」の3つのモードに切り替え可能に構成されており、ここでは直流モータ5の正転・逆転に無関係な切電の状態である「ニュートラル」モードに設定されている。塗料送り量設定器59のスライダレバー60は最小送り量の位置にある。
【0025】
そこで、塗装作業者は貯留槽3に適量の塗料Pを収容した本体ケーシング2を肩ベルトで背負い、電源スイッチ54を入にする。そして、正転逆転切替スイッチ58を「正転」にする。続いて、手塗り用具40を片手に持ち、その手で操作スイッチ48を入にする。すると、電源装置6からの電源の電力量が塗料送り量設定器59で調整され正転逆転切替スイッチ58で電流方向が定められて直流モータ5へ供給される。すると、直流モータ5の駆動により電動モータ4のロータ38が回転し、貯留槽3の塗料Pがストレーナ17、導液管15、導液管20、吸入口24を経てポンプ室33iに吸入される。吸入された塗料Pはロータ38の回転に伴って吐出側のポンプ室33pに移動して吐出口25から吐出され、給液管52を通って塗装ハケ40aに送られる。更に、塗料Pは給液管46内の搬送路46aを通って貯留空間44に至り含浸材45に染み込んで保液される。それ以降の塗料Pは含浸材45を通過して毛材ハケ42に到達する。塗装作業者は、十分な量の塗料Pが毛材ハケ42に保持されたときに、操作スイッチ48を切にする。これにより、毛材ハケ42への塗料Pの供給が停止される。塗装作業者はこの状態の手塗り用具40を用いて被塗装物の表面に塗料Pを塗布する。そうして、毛材ハケ42に保持されている塗料Pの量が減ってきたときは、操作スイッチ48の入切を繰り返して、毛材ハケ42に塗料Pを補給すればよい。広い面を短時間で塗装したい場合などは、制御ボックス7にある塗料送り量設定器59のスライダレバー60を「多」の方向にスライドさせることにより、直流モータ5の回転速度を大きくして塗料Pの送り速度を速くすることができる。また、毛材ハケ42の大きさや後述する塗装ローラ40bのローラハケ72(図7参照)の大きさに適合する塗料Pの送り量を調整する際にも、塗料送り量設定器59のスライダレバー60がスライド操作される。
【0026】
塗装作業を終えて、毛材ハケ42、給液管46、給液管52、直流モータ5、導液管20、導液管15の経路を洗浄する場合は、本体ケーシング2の正転逆転切替スイッチ58を「逆転」に切り替えたのち塗装ハケ40aの操作スイッチ48を入にする。すると、前記の経路内に充満していた塗料Pが逆流して貯留槽3内に回収される。回収された貯留槽3内の塗料Pは注入口8から取り出して別の塗料容器に移しておく。その後、塗装ハケ40aの毛材ハケ42を溶剤中に漬けた状態で、溶剤を上記経路内に逆流させて洗浄する。洗浄に供した溶剤はそのまま貯留槽3に収容される。更に、毛材ハケ42を貯留槽3の回収溶剤中に浸漬すると、経路内の循環洗浄ができる。
【0027】
以上述べたように、この実施形態の塗装機1によれば、手塗りをしている手で把手部41の操作スイッチ48を押したり離したりするだけで適量の塗料Pを毛材ハケ42に供給したり停止したりできるので、作業効率がよく仕上がりの綺麗な塗装を行なうことができ、従前のように塗料缶にハケを浸漬したのちに毛材ハケをしごいて保液量を調整するといった作業が必要でなくなり周囲を汚さない。また、他方の手は自由に使えることから、安全に塗装作業を行なうことができる。そして、本体ケーシング2が背負い型であり電源装置6が蓄電池であるから、使用場所の制限がほとんどなく高所や足場の悪い場所に携帯できる。更に、蓄電池は予備を用意しておけば、取り替えながら連続して塗装作業をすることができる。
【0028】
また、塗装機1は貯留槽3に撹拌羽根19が配備されているので、サイクルタイマ用スイッチ56Aの作動により定期的に貯留槽3の塗料Pを自動撹拌しながら塗装作業をすることができ、長時間の塗装作業中に顔料の分離を生じることがない。一方で、塗料Pを溶剤で希釈する際には、撹拌モード切替スイッチ55を手動に切り替えて強制撹拌することができる。そして、塗装ハケ40aは毛材ハケ42を備えているので、下記で述べるローラハケを備える塗装ローラと比べると、被塗装物の表面で円滑に滑るので塗料Pを丁寧に塗布することができ、被塗装物表面の微細な隙間や窪みまで毛先が入り込むので木目細やかで美しい塗装を施すことができる。
【0029】
尚、前記の塗装ハケ40aを用いた塗装機において、貯留槽3を密封状に構成し、別途用意したエアポンプ(不図示)の吐出管を貯留槽3内に連結し、貯留槽3からの給液管を塗装ハケ40aの毛材ハケ42に連結し、塗装ハケ40aの把手部41に、給液管を開閉して塗料Pを供給停止するレバー付きの開閉弁(不図示)を設けてもよい。かかる構成では、エアポンプから送り込まれた圧搾空気により貯留槽3内が一定の圧力に保持され、把手部41を持った手でレバーを引いて開閉弁を開くことにより、貯留槽3の塗料Pが空気圧により給液管を通って毛材ハケ42に圧送されるのである。この場合も、片手で開閉弁のレバーを操作して塗料送出し量を調整することができる。
【0030】
そして、前記した塗装ハケ40a以外に、図7に示すように、例えば刷毛部として毛材をローラ状に成型したローラハケ72を有する塗装ローラ40bも、本発明の手塗り用具に含まれる。
この塗装ローラ40bは、把手部41までは先述した塗装ハケ40aと同じ構成である。そして、塗装ローラ40bは、正面略マの字状に形成された金属製の中空軸部63が把手部41の先端に取り付けられている。中空軸部63内は給液管46から連続する搬送路46aとなっている。中空軸部63先端側の直線部63aには、円筒状の回転フレーム68が回動自在に装着される。回転フレーム68の途中には、硬質スポンジなどの含浸材70がはめ込まれている。中空軸部63において回転フレーム68で被われた部分には、塗料Pを通す多数の通孔73,73,73,・・・が穿設されている。水平部63aの根元に固定リング64が固設され、続いて順にスライドワッシャ65、シール押え66、シール材67、回転フレーム68、シール材67、シール押え66、スライドワッシャ65が装着され、最後にナット69が水平部63a先端の雄ネジ部に螺着される。ローラハケ72は回転フレーム68および含浸材70の外周面に被着されている。また、回転フレーム68および含浸材70の内周面と中空軸部63の直線部63aの外周面との間は、塗料Pを一時貯留する貯留空間71となっている。
この塗装ローラ40bにおいても、前記の塗装ハケ40aと同様の作用、効果が得られることはいうまでもなく、ローラハケ72の転動により塗装がしやすいので、面積の広い被塗装物を手塗りする場合に好適である。
【0031】
また、この実施形態では電源装置として充電式の蓄電池を用いた例を示したが、本発明はそれに限らず、電源装置として蓄電池と商用電源を用い、これらを切り替えて使用するように構成してもよい。そして、消費電力量が比較的小さい塗装作業時は蓄電池を用い、電動ポンプの高速回転を必要とする洗浄時は商用電源に切り替えて使用するといった使い方も可能である。また、電動ポンプとしては、塗料を送るうえで、正転逆転による塗料送り方向の変更が可能なポンプを用いることが望ましい。これにより、ポンプの吐出口と吸入口に対し給液管をつなぎ換える作業を必要としない。特に、上記したラバー羽根式のポンプは小型軽量で分解洗浄しやすく、携帯式の塗装機に好適に使用可能であり、吸入弁、吐出弁、または逆止弁などを備えていない。因みに、吸入弁、吐出弁、または逆止弁などを備えるポンプを用いた場合は、これらの弁類において、異物による作動不良、洗浄不足時の塗料の固まりによる作動不良などを引き起こすことがある。
【0032】
そして、本発明の本体ケーシングは背負い式、肩掛け式、手持ち式のような携帯可能なものに限らない。すなわち、床や地上に塗料の貯留槽を設置し、この貯留槽と手塗り用具とを長い給液管を介して接続したものであってもよい。かかる場合も、手塗り用具を持った手で操作スイッチを操作して塗料送出し量を調整できるので、残った手は自由に使えるのである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る塗装機を示す一部断面を含む正面図である。
【図2】前記塗装機の本体ケーシングを示す平面図である。
【図3】前記塗装機の手塗り用具である塗装ハケを示す正面図である。
【図4】前記塗装機のポンプの内部構成を示す側面図である。
【図5】前記塗装機の電気回路構成を主に示す構成図である。
【図6】前記塗装機の制御ボックスを示す側面図である。
【図7】前記塗装機の手塗り用具である塗装ローラを示す正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 塗装機
2 本体ケーシング
3 貯留槽
4 電動ポンプ
5 直流モータ
6 電源装置
24 吸入口
25 吐出口
40 手塗り用具
40a 塗装ハケ
41 把手部
42 毛材ハケ(刷毛部)
44 貯留空間
46 給液管
48 操作スイッチ
52 給液管
72 ローラハケ(刷毛部)
P 塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を貯留する貯留槽と、貯留槽内の塗料を汲み出す電動ポンプと、電動ポンプに給電する電源装置とを備えて成り、塗料を保液する刷毛部および把手部を有する手塗り用具の前記刷毛部と、電動ポンプの吐出口とが給液管を介して連結され、電動ポンプを駆動、停止させるための操作スイッチが手塗り用具の把手部に設けられていることを特徴とする塗装機。
【請求項2】
手塗り用具が、多数の毛材を束ねて成る刷毛部を備える塗装ハケである請求項1に記載の塗装機。
【請求項3】
貯留槽、電動ポンプ、および電源装置を内蔵する本体ケーシングが携帯可能に形成されている請求項1または請求項2に記載の塗装機。
【請求項4】
電源装置が充電式の蓄電池である請求項3に記載の塗装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−7545(P2007−7545A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191189(P2005−191189)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(596124139)
【Fターム(参考)】