塗装液供給システム
【課題】枝管路内壁を、枝管用ピグによりカキ取り清掃することができ、メンテナンスコストが安価な塗装液供給システムの提供。
【解決手段】分岐ホルダー4内の枝管用ピグ7を洗浄液圧力で押して取出ブロック5内へ移動させ、主管路10内の洗浄液圧力をゼロにした後に洗浄液を枝管路40内へ注入し、取出ブロック5内の枝管用ピグ7を洗浄液圧力で押して分岐ホルダー4内へ移動させる。枝管用ピグ7が枝管路40内を移動する際に、枝管路内壁がカキ取り清掃される。枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7によりカキ取り清掃するため、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【解決手段】分岐ホルダー4内の枝管用ピグ7を洗浄液圧力で押して取出ブロック5内へ移動させ、主管路10内の洗浄液圧力をゼロにした後に洗浄液を枝管路40内へ注入し、取出ブロック5内の枝管用ピグ7を洗浄液圧力で押して分岐ホルダー4内へ移動させる。枝管用ピグ7が枝管路40内を移動する際に、枝管路内壁がカキ取り清掃される。枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7によりカキ取り清掃するため、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループテッドエンド式の塗装液供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示す、従来のループテッドエンド式の塗装液供給システムが知られている。
【非特許文献1】日本ピーシーエス株式会社のインターネットWebページ インターネット<URL:http://www.j-pcs.com/pcsystem/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術は、下記に示す課題がある。
枝管路の内壁に塗料カスが付着するので、定期的に洗浄業者に依頼して管路内壁を洗浄する必要があり、メンテナンスコストが高いという課題がある。
【0004】
本発明の目的は、枝管路内壁を、枝管用ピグによりカキ取り清掃することができ、メンテナンスコストが安価な塗装液供給システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1について)
主管路は、塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる。
【0006】
枝管路は、電動塗料ポンプの出口と塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブを連結した分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブを連結した取出ブロックを枝管路先端に接続している。そして、取出ブロックと分岐ホルダーとの間の枝管路内に枝管用ピグを配し、水密的に移動可能にしている。
【0007】
以下の様にして、分岐ホルダーより下流の枝管路内を洗浄する。
主管路内および枝管路内に洗浄液または塗料を充填した状態で、電動塗料ポンプを作動状態にし、塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げる。
【0008】
分岐部取出口バルブを開き、取出ブロックの、洗浄液注入バルブ、およびブース取出バルブを閉じ、ドレンバルブを開き、分岐ホルダー内の枝管用ピグを、主管路内の洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させることにより、枝管路内の洗浄液をドレンバルブを介して排出する。そして、洗浄液の排出後にドレンバルブを閉じる。
分岐ホルダー内の枝管用ピグが取出ブロック内へ移動する際に、枝管路内壁が枝管用ピグによりカキ取り清掃される。
【0009】
つぎに、電動塗料ポンプを停止し、塗料背圧弁を開放して主管路内の液圧力をゼロにする。そして、洗浄液注入バルブを開き、洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させ、移動完了後に分岐ホルダーの排出バルブを閉める。
取出ブロック内の枝管用ピグが分岐ホルダー内へ移動する際に、枝管路内壁が枝管用ピグによりカキ取り清掃される。
【0010】
枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用のピグによりカキ取り清掃するので、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【0011】
(請求項2について)
枝管用のピグは、両端に位置する一対の球形部と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部と、各球形部とボビン状部の左右端とを連結する円柱部とからなる。
両端の球形部により、枝管路内をピグが円滑に移動することができ、ボビン状部の径大な端により、枝管路内壁に付着したカスを確実にカキ取ることができる。
【0012】
(請求項3について)
枝管用のピグの円柱部に磁性体を埋設し、取出ブロックおよび分岐ホルダーに、磁性体を検出可能なピグセンサを配している。
ピグセンサが出力するセンサ信号により、取出ブロックまたは分岐ホルダー内へ枝管用のピグが到達したか否かを容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
塗装液供給システムは、塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路と、電動塗料ポンプの出口と塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブが付いた分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブが付いた取出ブロックを管路先端に接続した枝管路と、取出ブロックから分岐ホルダーの間の枝管路内を水密的に移動可能な枝管用ピグとを備える。
【0014】
枝管路内の洗浄は、以下の様にして行う。
各管路内に洗浄液または塗料を充填した状態で、電動塗料ポンプを作動状態にし、塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げ、分岐部取出口バルブおよびドレンバルブを開き、分岐ホルダー内の枝管用ピグを、主管路内の洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させ、枝管路内の洗浄液をドレンバルブを介して排出し、洗浄液の排出後にドレンバルブを閉じる。
【0015】
つぎに、電動塗料ポンプを停止し、塗料背圧弁を開放して主管路内の洗浄液圧力をゼロにする。そして、洗浄液注入バルブを開き、洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させ、分岐ホルダーの排出バルブを閉める。
【0016】
枝管用のピグが枝管路内を移動する際に、枝管路内壁がカキ取り清掃される。枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグによりカキ取り清掃するため、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1の塗装液供給システムTを図1〜図4に基づいて説明する。
塗装液供給システムTは、塗料タンク11、電動塗料ポンプ12、および塗料背圧弁13を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路10と、管路途中にランチャー側バルブ21とピグランチャー管2とを介設したランチャー管路20と、管路途中にキャッチャー側バルブ31とピグキャッチャー管3とを介設したキャッチャー管路30と、分岐部取出口バルブ41、分岐ホルダー4、および取出ブロック5を順に接続した枝管路40と、主管路ピグ6と、枝管用ピグ7と、制御器(図示せず)とを備える。また、主管路10には、管路内を循環する塗料の圧力を検出するための圧力センサと、管路内を循環する塗料の循環量を検出するための流量センサとが配されている。
【0018】
塗料タンク11は、塗装を行うための塗料が入れられている。
電動塗料ポンプ12は、塗料を主管路10内で循環させるためのものであり、塗料を循環させることにより、主管路10内の塗料に圧力がかかる。
塗料背圧弁13は、エアオペレート式であり、通電量により開度を増減することができる。
【0019】
ランチャー管路20は、電動塗料ポンプ12の出口より下流の主管路10に基端を接続し、管路先端を他の塗装ユニット(図示せず)に連結している。
ピグランチャー管2は、ランチャードレインバルブ(図示せず)を配設したドレイン管22と、圧抜き弁23とを連結している(図2参照)。
【0020】
キャッチャー管路30は、枝管路40の基端接続部位より下流位置の主管路10に管路一方端を接続し、管路他方端にドレン管32を接続している。
ピグキャッチャー管3には、主管路ピグ6の磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチs1(ピグセンサ)と、リードスイッチの接点が閉成すると作動するパトライト33とが配設されている。また、洗浄液バルブを配設した洗浄液管が接続されている。
分岐ホルダー4は、一方側が分岐部取出口バルブ41の下流に接続され、排出バルブ42を配設した排出管43をホルダー途中に接続している。
【0021】
取出ブロック5は、洗浄液注入バルブ51を配設した洗浄液注入管52と、ブース取出バルブ53を配設したブース取出配管54と、ドレンバルブ55を配設したドレン管56とを接続している。ブース取出バルブ53の下流のブース取出配管54には、塗装装置(図示せず)が接続され、塗装時には、塗装装置から塗装指令信号が送出される。
なお、分岐ホルダー4および取出ブロック5にも、枝管用ピグ7の磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチ(ピグセンサ)が配設されている。
【0022】
主管路ピグ6は、両端に位置する球形部61、61と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部62と、球形部61、61とボビン状部62の左右端とを連結する円柱部63とからなる。なお、主管路ピグ6内には磁石(磁性体)が埋設されている。
【0023】
枝管用ピグ7は、両端に位置する球形部71、71と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部72と、球形部71、71とボビン状部72の左右端とを連結する円柱部73とからなる。なお、主管路ピグ6内には磁石(磁性体)が埋設されている。
制御器は、電動塗料ポンプの能力および塗料背圧弁13の開度制御を司る。
【0024】
つぎに、枝管路の塗料抜き、主管路の塗料抜き、および枝管路の洗浄を、利点とともに述べる。
(枝管路40の塗料抜き)
塗装作業が終了し、塗料循環の停止が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。
圧力ゼロ&流量ゼロ状態であることを、圧力センサおよび流量センサからのセンサ信号により制御器が確認する。
【0025】
塗料回収開始準備として、ブース取出バルブ53を手動で閉弁する。
つぎに、洗浄液注入バルブ51を手動で開弁して、洗浄液注入管52から洗浄剤(親水シンナー)を枝管路40内へ加圧注入する。
【0026】
加圧注入する洗浄剤により枝管用ピグ7が主管路10方向へ押し戻され、これにより、枝管路40内の塗料が主管路10内へ回収される。
枝管用ピグ7が分岐ホルダー4へ到達したことを、分岐ホルダー4内のリードスイッチ(ピグセンサ)が検知すると、塗料回収が完了したと見なす。
洗浄液注入バルブ51を手動で閉弁(洗浄剤の注入終了)し、枝管路の塗料抜きを終える。
【0027】
(主管路10の塗料抜き)
塗装作業が終了し、塗料循環の停止が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。
送り側バルブ14、戻り側バルブ15を手動で閉弁状態にする。
【0028】
洗浄剤(親水シンナー)の主管路10内への加圧注入を、ピグランチャー管2のドレイン管22から開始するとともに、ランチャー側バルブ21およびキャッチャー側バルブ31を手動で開放状態にする。そして、分岐部取出口バルブ41を手動で閉弁する。
【0029】
ピグランチャー管2内の主管路ピグ6が洗浄剤により押され、ドレン管32から塗料を回収する。
主管路ピグ6がピグキャッチャー管3に到達したことをリードスイッチs1が検出すると、主管路10の塗料抜きが終了したと見なす。
そして、ランチャー側バルブ21を手動で閉弁状態にし、ランチャー側圧抜き弁を手動で開弁し、キャッチャー側バルブ31を手動で閉弁状態にし、キャッチャー側圧抜き弁を手動で開弁する。
主管路圧抜き弁を手動で開弁状態にし、主管路内圧をゼロにする。
【0030】
(枝管路40の洗浄)
枝管用ピグ7は分岐ホルダー4内にあり、主管路ピグ6は、ピグキャッチャー管3にあり、分岐部取出口バルブ41は開弁状態にある。
枝管路40の洗浄が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を作動(通電)し、塗料背圧弁13を絞った状態(通電)にし、主管路10内の洗浄剤の圧力を上げる。
【0031】
主管路内圧力>枝管路内圧力となるため、主管路10内の洗浄剤の圧力により、分岐ホルダー4内の枝管用ピグ7が取出ブロック5方向へ押され、ドレンバルブ55を手動開弁しているドレン管56からドレン管内洗浄剤(廃液)が排出される。
【0032】
この際、枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7がカキ取るので、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。なお、枝管用ピグ7は、球形部71、71と、ボビン状部72と、円柱部73とからなるため、両端の球形部71、71により、枝管路40内を枝管用ピグ7が円滑に移動することができ、ボビン状部72の径大な端により、枝管路40の内壁に付着したカスを確実にカキ取ることができる。
【0033】
枝管用ピグ7が取出ブロック5に到達したことを取出ブロック5のリードスイッチ(ピグセンサ)が検出すると、枝管路40の洗浄(往路)が終了したと見なし、制御器が電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。 圧力ゼロ&流量ゼロ状態であることを、圧力センサおよび流量センサからのセンサ信号により制御器が確認する。
【0034】
洗浄液注入バルブ51を手動で開弁して、洗浄剤(親水シンナー)の枝管路40内への加圧注入を開始し、洗浄剤により取出ブロック5の枝管用ピグ7を分岐ホルダー4方向へ押し出す(復路洗浄)。この際、枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7がカキ取る。
【0035】
つぎに、洗浄液注入バルブ51からの洗浄剤の枝管路40内への加圧注入を停止し、主管路10の洗浄液圧力により枝管用ピグ7を取出ブロック5方向へ押し出す。
枝管用ピグ7が取出ブロック5に到達したことを取出ブロック5のリードスイッチ(ピグセンサ)で確認する。ドレン管56のドレンバルブ55を手動で閉弁し、枝管路40の洗浄(復路洗浄)が終了する。
【0036】
主管路ピグ6内に磁石(磁性体)を埋設し、磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチ(ピグセンサ)を分岐ホルダー4および取出ブロック5に配設している。
このため、ピグセンサが出力するセンサ信号により、取出ブロック5または分岐ホルダー4内へ枝管用ピグ7が到達したか否かを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1に係る塗装液供給システムの配管図である。
【図2】その塗装液供給システムに用いるピグランチャー管の構造を示す説明図である。
【図3】その塗装液供給システムに用いるピグキャッチャー管の構造を示す説明図である。
【図4】その塗装液供給システムに用いる取出ブロックの構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
T 塗装液供給システム
2 ピグランチャー管
3 ピグキャッチャー管
4 分岐ホルダー
5 取出ブロック
6 主管路ピグ
7 枝管用ピグ
10 主管路
11 塗料タンク
12 電動塗料ポンプ
13 塗料背圧弁
20 ランチャー管路
21 ランチャー側バルブ
30 キャッチャー管路
31 キャッチャー側バルブ
40 枝管路
41 分岐部取出口バルブ
55 ドレンバルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループテッドエンド式の塗装液供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示す、従来のループテッドエンド式の塗装液供給システムが知られている。
【非特許文献1】日本ピーシーエス株式会社のインターネットWebページ インターネット<URL:http://www.j-pcs.com/pcsystem/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術は、下記に示す課題がある。
枝管路の内壁に塗料カスが付着するので、定期的に洗浄業者に依頼して管路内壁を洗浄する必要があり、メンテナンスコストが高いという課題がある。
【0004】
本発明の目的は、枝管路内壁を、枝管用ピグによりカキ取り清掃することができ、メンテナンスコストが安価な塗装液供給システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1について)
主管路は、塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる。
【0006】
枝管路は、電動塗料ポンプの出口と塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブを連結した分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブを連結した取出ブロックを枝管路先端に接続している。そして、取出ブロックと分岐ホルダーとの間の枝管路内に枝管用ピグを配し、水密的に移動可能にしている。
【0007】
以下の様にして、分岐ホルダーより下流の枝管路内を洗浄する。
主管路内および枝管路内に洗浄液または塗料を充填した状態で、電動塗料ポンプを作動状態にし、塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げる。
【0008】
分岐部取出口バルブを開き、取出ブロックの、洗浄液注入バルブ、およびブース取出バルブを閉じ、ドレンバルブを開き、分岐ホルダー内の枝管用ピグを、主管路内の洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させることにより、枝管路内の洗浄液をドレンバルブを介して排出する。そして、洗浄液の排出後にドレンバルブを閉じる。
分岐ホルダー内の枝管用ピグが取出ブロック内へ移動する際に、枝管路内壁が枝管用ピグによりカキ取り清掃される。
【0009】
つぎに、電動塗料ポンプを停止し、塗料背圧弁を開放して主管路内の液圧力をゼロにする。そして、洗浄液注入バルブを開き、洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させ、移動完了後に分岐ホルダーの排出バルブを閉める。
取出ブロック内の枝管用ピグが分岐ホルダー内へ移動する際に、枝管路内壁が枝管用ピグによりカキ取り清掃される。
【0010】
枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用のピグによりカキ取り清掃するので、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【0011】
(請求項2について)
枝管用のピグは、両端に位置する一対の球形部と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部と、各球形部とボビン状部の左右端とを連結する円柱部とからなる。
両端の球形部により、枝管路内をピグが円滑に移動することができ、ボビン状部の径大な端により、枝管路内壁に付着したカスを確実にカキ取ることができる。
【0012】
(請求項3について)
枝管用のピグの円柱部に磁性体を埋設し、取出ブロックおよび分岐ホルダーに、磁性体を検出可能なピグセンサを配している。
ピグセンサが出力するセンサ信号により、取出ブロックまたは分岐ホルダー内へ枝管用のピグが到達したか否かを容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
塗装液供給システムは、塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路と、電動塗料ポンプの出口と塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブが付いた分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブが付いた取出ブロックを管路先端に接続した枝管路と、取出ブロックから分岐ホルダーの間の枝管路内を水密的に移動可能な枝管用ピグとを備える。
【0014】
枝管路内の洗浄は、以下の様にして行う。
各管路内に洗浄液または塗料を充填した状態で、電動塗料ポンプを作動状態にし、塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げ、分岐部取出口バルブおよびドレンバルブを開き、分岐ホルダー内の枝管用ピグを、主管路内の洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させ、枝管路内の洗浄液をドレンバルブを介して排出し、洗浄液の排出後にドレンバルブを閉じる。
【0015】
つぎに、電動塗料ポンプを停止し、塗料背圧弁を開放して主管路内の洗浄液圧力をゼロにする。そして、洗浄液注入バルブを開き、洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させ、分岐ホルダーの排出バルブを閉める。
【0016】
枝管用のピグが枝管路内を移動する際に、枝管路内壁がカキ取り清掃される。枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグによりカキ取り清掃するため、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1の塗装液供給システムTを図1〜図4に基づいて説明する。
塗装液供給システムTは、塗料タンク11、電動塗料ポンプ12、および塗料背圧弁13を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路10と、管路途中にランチャー側バルブ21とピグランチャー管2とを介設したランチャー管路20と、管路途中にキャッチャー側バルブ31とピグキャッチャー管3とを介設したキャッチャー管路30と、分岐部取出口バルブ41、分岐ホルダー4、および取出ブロック5を順に接続した枝管路40と、主管路ピグ6と、枝管用ピグ7と、制御器(図示せず)とを備える。また、主管路10には、管路内を循環する塗料の圧力を検出するための圧力センサと、管路内を循環する塗料の循環量を検出するための流量センサとが配されている。
【0018】
塗料タンク11は、塗装を行うための塗料が入れられている。
電動塗料ポンプ12は、塗料を主管路10内で循環させるためのものであり、塗料を循環させることにより、主管路10内の塗料に圧力がかかる。
塗料背圧弁13は、エアオペレート式であり、通電量により開度を増減することができる。
【0019】
ランチャー管路20は、電動塗料ポンプ12の出口より下流の主管路10に基端を接続し、管路先端を他の塗装ユニット(図示せず)に連結している。
ピグランチャー管2は、ランチャードレインバルブ(図示せず)を配設したドレイン管22と、圧抜き弁23とを連結している(図2参照)。
【0020】
キャッチャー管路30は、枝管路40の基端接続部位より下流位置の主管路10に管路一方端を接続し、管路他方端にドレン管32を接続している。
ピグキャッチャー管3には、主管路ピグ6の磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチs1(ピグセンサ)と、リードスイッチの接点が閉成すると作動するパトライト33とが配設されている。また、洗浄液バルブを配設した洗浄液管が接続されている。
分岐ホルダー4は、一方側が分岐部取出口バルブ41の下流に接続され、排出バルブ42を配設した排出管43をホルダー途中に接続している。
【0021】
取出ブロック5は、洗浄液注入バルブ51を配設した洗浄液注入管52と、ブース取出バルブ53を配設したブース取出配管54と、ドレンバルブ55を配設したドレン管56とを接続している。ブース取出バルブ53の下流のブース取出配管54には、塗装装置(図示せず)が接続され、塗装時には、塗装装置から塗装指令信号が送出される。
なお、分岐ホルダー4および取出ブロック5にも、枝管用ピグ7の磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチ(ピグセンサ)が配設されている。
【0022】
主管路ピグ6は、両端に位置する球形部61、61と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部62と、球形部61、61とボビン状部62の左右端とを連結する円柱部63とからなる。なお、主管路ピグ6内には磁石(磁性体)が埋設されている。
【0023】
枝管用ピグ7は、両端に位置する球形部71、71と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部72と、球形部71、71とボビン状部72の左右端とを連結する円柱部73とからなる。なお、主管路ピグ6内には磁石(磁性体)が埋設されている。
制御器は、電動塗料ポンプの能力および塗料背圧弁13の開度制御を司る。
【0024】
つぎに、枝管路の塗料抜き、主管路の塗料抜き、および枝管路の洗浄を、利点とともに述べる。
(枝管路40の塗料抜き)
塗装作業が終了し、塗料循環の停止が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。
圧力ゼロ&流量ゼロ状態であることを、圧力センサおよび流量センサからのセンサ信号により制御器が確認する。
【0025】
塗料回収開始準備として、ブース取出バルブ53を手動で閉弁する。
つぎに、洗浄液注入バルブ51を手動で開弁して、洗浄液注入管52から洗浄剤(親水シンナー)を枝管路40内へ加圧注入する。
【0026】
加圧注入する洗浄剤により枝管用ピグ7が主管路10方向へ押し戻され、これにより、枝管路40内の塗料が主管路10内へ回収される。
枝管用ピグ7が分岐ホルダー4へ到達したことを、分岐ホルダー4内のリードスイッチ(ピグセンサ)が検知すると、塗料回収が完了したと見なす。
洗浄液注入バルブ51を手動で閉弁(洗浄剤の注入終了)し、枝管路の塗料抜きを終える。
【0027】
(主管路10の塗料抜き)
塗装作業が終了し、塗料循環の停止が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。
送り側バルブ14、戻り側バルブ15を手動で閉弁状態にする。
【0028】
洗浄剤(親水シンナー)の主管路10内への加圧注入を、ピグランチャー管2のドレイン管22から開始するとともに、ランチャー側バルブ21およびキャッチャー側バルブ31を手動で開放状態にする。そして、分岐部取出口バルブ41を手動で閉弁する。
【0029】
ピグランチャー管2内の主管路ピグ6が洗浄剤により押され、ドレン管32から塗料を回収する。
主管路ピグ6がピグキャッチャー管3に到達したことをリードスイッチs1が検出すると、主管路10の塗料抜きが終了したと見なす。
そして、ランチャー側バルブ21を手動で閉弁状態にし、ランチャー側圧抜き弁を手動で開弁し、キャッチャー側バルブ31を手動で閉弁状態にし、キャッチャー側圧抜き弁を手動で開弁する。
主管路圧抜き弁を手動で開弁状態にし、主管路内圧をゼロにする。
【0030】
(枝管路40の洗浄)
枝管用ピグ7は分岐ホルダー4内にあり、主管路ピグ6は、ピグキャッチャー管3にあり、分岐部取出口バルブ41は開弁状態にある。
枝管路40の洗浄が指示されると、制御器は、電動塗料ポンプ12を作動(通電)し、塗料背圧弁13を絞った状態(通電)にし、主管路10内の洗浄剤の圧力を上げる。
【0031】
主管路内圧力>枝管路内圧力となるため、主管路10内の洗浄剤の圧力により、分岐ホルダー4内の枝管用ピグ7が取出ブロック5方向へ押され、ドレンバルブ55を手動開弁しているドレン管56からドレン管内洗浄剤(廃液)が排出される。
【0032】
この際、枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7がカキ取るので、業者に定期的に枝管路内壁の洗浄を依頼する必要がなく、メンテナンスコストが安価である。なお、枝管用ピグ7は、球形部71、71と、ボビン状部72と、円柱部73とからなるため、両端の球形部71、71により、枝管路40内を枝管用ピグ7が円滑に移動することができ、ボビン状部72の径大な端により、枝管路40の内壁に付着したカスを確実にカキ取ることができる。
【0033】
枝管用ピグ7が取出ブロック5に到達したことを取出ブロック5のリードスイッチ(ピグセンサ)が検出すると、枝管路40の洗浄(往路)が終了したと見なし、制御器が電動塗料ポンプ12を停止(通電停止)し、塗料背圧弁13を開放状態(通電停止)にする。 圧力ゼロ&流量ゼロ状態であることを、圧力センサおよび流量センサからのセンサ信号により制御器が確認する。
【0034】
洗浄液注入バルブ51を手動で開弁して、洗浄剤(親水シンナー)の枝管路40内への加圧注入を開始し、洗浄剤により取出ブロック5の枝管用ピグ7を分岐ホルダー4方向へ押し出す(復路洗浄)。この際、枝管路内壁に付着した塗料カスを枝管用ピグ7がカキ取る。
【0035】
つぎに、洗浄液注入バルブ51からの洗浄剤の枝管路40内への加圧注入を停止し、主管路10の洗浄液圧力により枝管用ピグ7を取出ブロック5方向へ押し出す。
枝管用ピグ7が取出ブロック5に到達したことを取出ブロック5のリードスイッチ(ピグセンサ)で確認する。ドレン管56のドレンバルブ55を手動で閉弁し、枝管路40の洗浄(復路洗浄)が終了する。
【0036】
主管路ピグ6内に磁石(磁性体)を埋設し、磁石(磁性体)を検出するためのリードスイッチ(ピグセンサ)を分岐ホルダー4および取出ブロック5に配設している。
このため、ピグセンサが出力するセンサ信号により、取出ブロック5または分岐ホルダー4内へ枝管用ピグ7が到達したか否かを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1に係る塗装液供給システムの配管図である。
【図2】その塗装液供給システムに用いるピグランチャー管の構造を示す説明図である。
【図3】その塗装液供給システムに用いるピグキャッチャー管の構造を示す説明図である。
【図4】その塗装液供給システムに用いる取出ブロックの構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
T 塗装液供給システム
2 ピグランチャー管
3 ピグキャッチャー管
4 分岐ホルダー
5 取出ブロック
6 主管路ピグ
7 枝管用ピグ
10 主管路
11 塗料タンク
12 電動塗料ポンプ
13 塗料背圧弁
20 ランチャー管路
21 ランチャー側バルブ
30 キャッチャー管路
31 キャッチャー側バルブ
40 枝管路
41 分岐部取出口バルブ
55 ドレンバルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路と、
前記電動塗料ポンプの出口と前記塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブを連結した分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブを連結した取出ブロックを枝管路先端に接続した枝管路と、
前記取出ブロックと前記分岐ホルダーとの間の枝管路内を水密的に移動可能な枝管用ピグとを備え、
洗浄液または塗料を各管路内に充填した状態で、前記電動塗料ポンプを作動状態にし、前記塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げ、
前記分岐部取出口バルブおよび前記取出ブロックの前記ドレンバルブを開いて、分岐ホルダー内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させ、枝管路内の洗浄液を排出した後に前記ドレンバルブを閉じ、
前記電動塗料ポンプを停止し、前記塗料背圧弁を開放して主管路内の液圧力をゼロにし、
前記洗浄液注入バルブを開き、前記洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の前記枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させることにより枝管路内を洗浄することを特徴とする塗装液供給システム。
【請求項2】
前記枝管用のピグは、両端に位置する一対の球形部と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部と、各球形部と前記ボビン状部の左右端とを連結する円柱部とからなることを特徴とする請求項1に記載の塗装液供給システム。
【請求項3】
前記枝管用のピグ内に磁性体を埋設し、
前記取出ブロックおよび前記分岐ホルダーに、前記磁性体を検出可能なピグセンサを配したことを特徴とする請求項2に記載の塗装液供給システム。
【請求項1】
塗料タンク、電動塗料ポンプ、および塗料背圧弁を管路中に介設し、管路を環状に接続してなる主管路と、
前記電動塗料ポンプの出口と前記塗料背圧弁の入口との間に位置する主管路に枝管路基端を接続し、分岐部取出口バルブと、排出バルブを連結した分岐ホルダーとを枝管路中に介設し、洗浄液注入バルブ、ブース取出バルブ、およびドレンバルブを連結した取出ブロックを枝管路先端に接続した枝管路と、
前記取出ブロックと前記分岐ホルダーとの間の枝管路内を水密的に移動可能な枝管用ピグとを備え、
洗浄液または塗料を各管路内に充填した状態で、前記電動塗料ポンプを作動状態にし、前記塗料背圧弁を絞って主管路内の液圧力を上げ、
前記分岐部取出口バルブおよび前記取出ブロックの前記ドレンバルブを開いて、分岐ホルダー内の枝管用ピグを洗浄液圧力で押して取出ブロック内へ移動させ、枝管路内の洗浄液を排出した後に前記ドレンバルブを閉じ、
前記電動塗料ポンプを停止し、前記塗料背圧弁を開放して主管路内の液圧力をゼロにし、
前記洗浄液注入バルブを開き、前記洗浄液を枝管路内へ注入し、取出ブロック内の前記枝管用ピグを洗浄液圧力で押して分岐ホルダー内へ移動させることにより枝管路内を洗浄することを特徴とする塗装液供給システム。
【請求項2】
前記枝管用のピグは、両端に位置する一対の球形部と、中央に位置するピグ検出用のボビン状部と、各球形部と前記ボビン状部の左右端とを連結する円柱部とからなることを特徴とする請求項1に記載の塗装液供給システム。
【請求項3】
前記枝管用のピグ内に磁性体を埋設し、
前記取出ブロックおよび前記分岐ホルダーに、前記磁性体を検出可能なピグセンサを配したことを特徴とする請求項2に記載の塗装液供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−119926(P2010−119926A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294027(P2008−294027)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(592001403)株式会社IEC (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(592001403)株式会社IEC (5)
【Fターム(参考)】
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