説明

塗装用バケット

【課題】原材料の節約と全体の軽量化を図ること。
【解決手段】開口枠11を設けるとともにこの開口枠11間に縦横に掛け渡した複数の枠片12〜14で構成してなる樹脂製のバケット本体Aと、このバケット本体Aにぴったりと挿入される樹脂製のインナーとからなる。上記のようにバケット本体は、その開口部分以外を枠片で構成したので、開口部分を除いてその周囲全体を完全に囲った従来のバケットに比べて原材料が極端に少なくてすむ。このように原材料の使用量が少ないので、その分、原材料費を少なくしてコストダウンを図ることができる。また、原材料の使用量が少なくなったので、軽量化が可能になり、その分、塗装作業者の負担が軽くなって作業性も向上することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗装中に塗料を入れて持ち運ぶ塗装用バケットに関する。
【背景技術】
【0002】
図5,6は従来のバケット本体を示すもので、図6に示す樹脂製のバケット本体1は、開口部分を除いてその周囲全体を完全に囲ったもので、その中に直接塗料を入れられるようにしている。そして、塗装作業者は、一方の手で塗料を入れたバケットを持ち、もう一方の手に持った塗装用ローラにバケット内の塗料を含ませながら塗装作業を行う。つまり、この種のバケットは、塗装作業者がほとんどそれを持ち続けながら塗装作業を行うものである。
【0003】
また、上記のようにしたバケット本体1に塗料を直接入れると、色の違う塗料を入れ替えるときや、塗装作業終了後などに、当該バケット本体1をいちいち洗わなければならなくなる。そこで、従来は、上記バケット本体1に、図6に示す薄い樹脂からなるインナー2を挿入して、このインナー2に塗料を入れるようにしていた。このインナー2は、一度使用したら、それを捨ててしまういわゆる使い捨てのもので、上記のように色の違う塗料をバケット本体に入れ替えるときや、あるいは塗装作業終了後などの作業を楽するためのものである。
【特許文献1】特開2004−344799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いずれにしても従来の塗装用バケットは、そのバケット本体1が開口部分を除いて周囲全体を樹脂材料で完全に囲っているので、その分、原材料の使用量が多くなったり、原材料費がかさんでコストアップにつながったりするという問題があった。
また、上記のように原材料の使用量が多くなれば、その分、全体の重さも重くなる。しかし、上記したようにこの種のバケットは、塗装作業者が作業中に持ち続けるものなので、その重さが重くなればなるほど作業者の負担が大きくなる。特に、当該バケットには塗料を入れるので、その塗料の重さも加算されて塗装作業者の負担が大きくなる。
【0005】
この発明の目的は、バケット本体の原材料使用量を極端に少なくして、上記従来の問題を解決した塗装用バケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、開口枠を設けるとともにこの開口枠間に縦横に掛け渡した複数の枠片で構成してなる樹脂製のバケット本体と、このバケット本体にぴったりと挿入される樹脂製インナーとから構成した点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、バケット本体は、その開口部分以外を枠片で構成したので、開口部分を除いてその周囲全体を完全に囲った従来のバケットに比べて原材料が極端に少なくてすむ。このように原材料の使用量が少ないので、その分、原材料費を少なくしてコストダウンを図ることができる。
また、原材料の使用量が少なくなったので、軽量化が可能になり、その分、塗装作業者の負担が軽くなって作業性も向上することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜4に示した実施形態は、開口を構成する長方形の開口枠11を設けるとともに、この開口枠11の短辺11a,11b間には1本の枠片12を掛け渡し、長辺11c,11d間には2本の枠片13,14を掛け渡すとともに、底部において上記枠片12と、枠片13,14とを交差させて、全体としてほぼ直方体のバケット本体Aを構成している。つまり、このバケット本体Aは、上記3本の枠片12〜14以外の部分は、すべて空間としたもので、樹脂材料は、上記開口枠11と3本の枠片12〜14とを形成する分だけで足りることになる。
なお、上記バケット本体Aは、ポリエチレン、生分解性樹脂あるいは天然樹脂からなるものである。
【0009】
上記のようにバケット本体Aの一方の長辺11dは、それを平面から見た厚さを、他の辺の厚さよりも厚くするとともに、この長辺11dの両側には後で説明する馴らしネットNのフック15の位置決めをする一対の位置決め片16,16を設けている。
また、上記両位置決め片16,16の中間には、ローラ引っ掛け片17を形成しているが、このローラ引っ掛け片17は、図示していない塗装用ローラの取っ手に設けた爪を引っ掛けて、当該塗装用ローラを一時的に保持するためのものである。
なお、図中符号18,19は、短辺11a,11bに回動自在に取付けた手提げ用取っ手である。
また、符号a,bは、枠片13,14の両側のコーナー部分に掛け渡した把持片で、この把持片a,bを、手のひらに乗せるようにして、親指と、薬指および小指ではさみ持つためのものである。つまり、この把持片a,bは、バケット本体Aを片手で持って、塗装作業ができるようにするためのものである。
【0010】
図3に示したインナーIは、薄い樹脂からなるもので、上記開口枠11にぴったりとはまる開口部20を有し、その一方の長辺側における底部21の深さに対して、他方の長辺側における底部22の深さを浅くするとともに、底部21,22間を斜面23としている。
なお、図中符号24はリブの機能を発揮する補強用凹凸部である。
【0011】
上記のようにした塗装用バケットを使用するためには、先ず、バケット本体AにインナーIを挿入するが、このときには、図2,4に示すように、一方の底部22を長辺11d側に位置させる。
このようにしてから、馴らしネットNのフック15を、インナーIの縁の上から開口枠11の位置決め片16に沿って掛け止める。
なお、この馴らしネットNは、図示していない塗装用ローラを塗料につけてから、それをこの馴らしネットN上で転がし、当該塗装用ローラに塗料を満遍なく含ませるようにするためのものである。
【0012】
上記のようにしたこの実施形態の塗装用バケットによれば、バケット本体Aが、開口枠11、枠片12〜14で構成されているので、原材料の使用量が極端に少なくなるとともに、バケット本体A全体の軽量化を図ることができる。
原材料の使用量が少なくなるので、大幅なコストダウンが可能になる。また、軽量化を図れるので、塗装作業者の作業性を著しく向上させることができる。
さらに、上記バケット本体Aが、インナーIの形状保持枠としても機能するので、当該インナーIをかなり薄くできる。インナーIを薄くすることが可能なので、その分、さらなる軽量化が可能であるとともに、原材料の使用量も少なくてすむ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】バケット本体の斜視図である。
【図2】バケット本体にインナーを挿入した状態の側面図である。
【図3】インナーの斜視図である。
【図4】バケット本体にインナーを挿入するとともに馴らしネットをセットした状態の断面図である。
【図5】従来のバケット本体の斜視図である。
【図6】従来のインナーの斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
A バケット本体
11 開口枠
12〜14 枠片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口枠を設けるとともにこの開口枠間に縦横に掛け渡した複数の枠片で構成してなる樹脂製のバケット本体と、このバケット本体にぴったりと挿入される樹脂製インナーとからなる塗装用バケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−46638(P2010−46638A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215064(P2008−215064)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000206934)株式会社マルテー大塚 (26)
【Fターム(参考)】