塵取り
【課題】簡単な操作で塵受け部を変形可能に構成し、塵芥収集時では塵受け部の底板を確実に展開して塵芥を掃き入れられる様にし、塵芥排出時では塵受け部を窄めて寄せ集めた塵芥をゴミ箱へ確実に投入できる様にした塵取りを提供する。
【解決手段】左右対称な方形平板状に形成した塵受け部4の底板中央部2aと、該底板中央部2aの左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部2bと、底板中央部2aの後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部2aと相互に弾性復帰可能と成した把手5と、該把手5の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部2bの外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板3とから成り、該操作板3は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部2aと同一平面上に各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する様に設定する。
【解決手段】左右対称な方形平板状に形成した塵受け部4の底板中央部2aと、該底板中央部2aの左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部2bと、底板中央部2aの後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部2aと相互に弾性復帰可能と成した把手5と、該把手5の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部2bの外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板3とから成り、該操作板3は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部2aと同一平面上に各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する様に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵取りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多種多様な構造の塵取りが見受けられる。
例えば、特許文献1に開示される塵取りは、略半円錐形状に湾曲形成した塵受け部と、その尻窄み状の基端に取付けた把手とを弾性体にて一体成形している。
そして、使用時には、把手をもって塵受け部の底を床面に押し付けることにより、湾曲している塵受け部を床面に沿って平坦状に弾性変形させ、箒で塵芥を塵受け部上に取り込み、その後塵受け部への押し付け力を解除して弾性復帰させ、塵受け部をゴミ箱の開口部よりも窄めて取り込んだ塵芥を中央に寄せ集め、その先端から塵芥をゴミ箱へ投入する様にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−7277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の塵取りは、弾性体で形成されているが、半円状の塵受け部のほぼ全体を平坦に弾性変形するのは困難であると共に、その力加減によって変形状態が異なるので、塵受け部に塵芥を一気に掃き入れることができなかった。
又、塵受け部に塵芥を収集した後に塵取り形態から弾性復帰させると、塵芥が塵受け部上で撥ね上がり、外部へ飛散する欠点を有している。
そこで、本発明では、上記従来品に比しもっと簡単な操作で塵受け部を変形可能に構成し、塵芥収集時では塵受け部の底板を確実に展開して塵芥を掃き入れられる様にし、塵芥排出時では塵受け部を窄めて寄せ集めた塵芥をゴミ箱へ確実に投入できる様にした塵取りを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の塵取りは、左右対称な方形平板状に形成した塵受け部の底板中央部と、該底板中央部の左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部と、底板中央部の後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部と相互に弾性復帰可能と成した把手と、該把手の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部の外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板とから成り、該操作板は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部と同一平面上に各底板側部が倒伏した底板展開状態を保持する様に設定したことを特徴とする。
又、上記塵取りにおいて、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、底板側部が倒伏した底板展開状態で、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢しても良い。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、上記構成より成るので、把手の左右に有する操作板に外力を作用させない無負荷状態では、底板中央部とその左右の各底板側部は同一平面上に展開して広大な底板が保持され、該底板とその外側縁で屈曲して立ち上がる側壁(操作板)とによって構成される塵受け部に従前通りの手法で掃き集めた塵芥を収集できる。
この様に、通常は、操作板に何ら外力を作用させない無負荷状態で、塵取りの形態を自然に保持できるため、塵取りの形態に変形保持させることに気を配りながら箒等で掃き集めた塵芥を塵受け部上に収集せねばならない従来品に比し、作業が手軽に行える。
そして、塵受け部に収集した塵芥をゴミ箱へ投入する際には、把手の左右の操作板を相対する様に内側へ振り動かすと、操作板に底板側部が追従し、屈曲状態の操作板と底板側部は伸長しながら底板中央部に対し屈曲し側壁として立ち上がり、塵受け部を間口の狭い凹溝状に変形させられ、これにより塵芥は底板中央部上に寄せ集められ、例え投入口の小さいゴミ箱であっても難なく確実に塵芥を廃棄できる。
その後は、操作板に作用させた外力を解除するだけで、上記変形状態で屈曲角が広げられた底板中央部と把手とが相互に弾性復帰して底板側部を底板中央部と同一平面上に倒伏させ、操作板を底板側部に対し屈曲させて何らの手間なく簡単に塵取り形態へ復元させることができる。
【0007】
又、底板側部が倒伏した底板展開状態で、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢することにより、底板中央部と把手相互の弾性的な復元力と合わせて塵取り形態への復元及びその形態保持をより一層確実にして安定させられ、塵芥を手間取ることなく収集できる等実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】塵取りの平面図である。
【図2】同上正面図である。
【図3】同上側面図である。
【図4】同上斜視図である。
【図5】同上変形状態を示す斜視図である。
【図6】同上変形状態を示す側面図である。
【図7】塵取りの変形例を示す平面図である。
【図8】同上正面図である。
【図9】同上中央縦断面図である。
【図10】同上斜視図である。
【図11】同上変形状態を示す斜視図である。
【図12】同上変形状態を示す中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る塵取り1は、前端が塵芥出入口と成る底板2と、該底板2の左右側縁に立設した側壁3とから成る塵受け部4と、該塵受け部4の後部に突設した把手5とを、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂にて一体形成して成る。
【0010】
底板2は、左右対称な方形平板状に形成した底板中央部2aと、該底板中央部2aの左右側縁の夫々に薄肉部から成る継ぎ目Jを介して俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る左右一対の底板側部2bとから成る。
底板中央部2aと底板側部2bは同肉厚の平板から成り、底板中央部2aは前端が後端より長い細長な等脚台形に形成され、底板側部2bは継ぎ目Jを介して連設される底板中央部2aの左右側縁と同長の一側縁と、該一側縁に隣接すると共に底板中央部2aの前端と同長にして同一直線上に位置する前端と、該前端と一側縁の夫々に隣接して傾斜する外側縁とから成る三角形に形成され、底板中央部2aと左右の底板側部2bを同一平面上に配して成る底板2は等脚台形に形成される。
【0011】
把手5は、底板中央部2aの後端に所定角度(図示例では鈍角)を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部2aと相互に弾性復帰可能と成しており、その基端は底板中央部2aの後端と同幅にして、先端(上端)へ向かうに従い徐々に幅小となる先細り帯板状に形成されている。
【0012】
各側壁3は、その後端縁を把手5の左右側縁に薄肉部から成る継ぎ目J1を介して左右揺動自在に連設すると共に、その底辺を底板側部2bの外側縁に薄肉部から成る継ぎ目J2を介して屈伸自在に連設した方形平板状の操作板(以下、操作板3とも称する。)であって、該操作板3は、その底辺と後端縁との内角を底板中央部2aと把手5とが連続する屈曲部の角度に合致させ、底辺を底板側部2bの外側縁と同長に形成し、後端縁を把手5の左右側縁の適宜高さに対応形成し、後端縁の上端から、底辺前端に対し垂直立設した短尺な前端縁へ前方降下状の斜辺を形成している。
【0013】
尚、本実施例にあっては、継ぎ目J、J1、J2は、底板中央部2aと底板側部2b、底板側部2bと側壁3、及び、側壁3と把手5との各境界に形成したV字溝の溝底をその材質特性により屈曲可能に薄肉状に形成したものであるが、前記各構成部材2a、2b、3、5が屈伸自在に構成されるのであれば、継ぎ目J、J1、J2は薄肉な溝底を有するV字溝状に形成しなくても良い。
【0014】
上記の様に塵取り1を構成することにより、操作板3は、これらに何ら外力を作用させない無負荷状態で、外向きに指向(把手5と操作板3とが鈍角を成す)して底板中央部2aと同一平面上に各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する様に設定される(図1〜4参照)。
この様に、底板中央部2aに対し左右の底板側部2bが同一平面上に倒伏されることで広大に展開保持された底板2と、該底板2との継ぎ目J2で屈曲して立ち上がる側壁(操作板)3とにより構成される塵受け部4は、通常は何らの操作を要とすることなく塵取り形態を自然に保持する。
かかる状態において塵受け部4に従前通り箒等で掃き集めた塵芥を収集する。
【0015】
そして、塵受け部4に収集した塵芥をゴミ箱へ投入する際には、把手5を操作板3の後部と共に握ることにより、把手5の左右の操作板3を相対する様に内側へ押圧して振り動かす。
これにより、操作板3に底板側部2bが追動し、塵取り形態で屈曲状態であった操作板3と底板側部2bは伸長しながら底板中央部2aに対し継ぎ目Jで屈曲し側壁2b、3として立ち上がると共に、底板中央部2aと把手5とはその屈曲角が更に広げられる様に、即ち底板中央部2aに対し把手5が仰け反る様に変形する(図5、6参照)。
【0016】
すると、塵受け部4は間口の狭い凹溝状に変形し、これにより塵芥は底板中央部2a上に寄せ集められる。
又、塵取り1の上記変形によって、底板中央部2aの左右には側壁側部2bと操作板3が伸長した高い側壁2b、3が聳えているので、ゴミ箱までの塵芥運搬中に底板中央部2a上の塵芥が吹き上がったり、舞い上がったり、脱落せず、塵芥の外部への飛散を防止すると共に、塵受け部4からゴミ箱へ塵芥を投入する時にも方向性が安定し、例えゴミ箱の投入口が小さくても、塵受け部4上の塵芥をゴミ箱の外部へ零してしまうこともなく、その塵芥全てを塵受け部4からゴミ箱内へ確実に排出できる。
【0017】
そして、把手5に対する握りを緩めて、操作板3に作用させた外力を解除することにより、上記変形状態で屈曲角が広げられた底板中央部2aと把手5とが相互に弾性復帰、即ち底板中央部2aに対し把手5が起き上がり、これにより底板側部2bが底板中央部2aと同一平面上に倒伏すると共に、操作板(側壁)3は底板側部2bに対し屈曲して夫々に復位し、塵取り形態に復帰する。
【0018】
次に、塵取り1の変形例を図7〜12を基に説明する。この塵取り1は上記第一実施例(図1〜6に示す塵取り)における底板2を変形したものであり、その他の構成は第一実施例と同一のため、第一実施例と同一又は相当部分に同じ符号を図中に付し説明は省略する。
そして、この変形例では、底板側部2bが倒伏した底板展開状態で、底板中央部2aと底板側部2bの前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面6a、6bを弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面6a、6bへ屈曲変形する様に付勢している。
【0019】
この様に構成することにより、特に底板中央部2a前方の傾斜面6aはその傾斜形態を保持すべく常に下方へ屈曲変形する様に付勢されているため、傾斜面6aの左右に連設している底板側部2bを常にその倒伏方向(下方)に付勢すると共に、該底板側部2bを介して側壁3及び把手5をも塵取り形態へ変形する様に付勢しており、かかる傾斜面6aの付勢力は、底板中央部2aと把手5相互の弾性的な復元力と合わさることにより、塵取り形態への復元及びその形態保持を第一実施例に比してより一層確実にして安定させられる。
又、傾斜面6b自身もその前方の傾斜形態を傾斜面6aと同様に保持すべく常に屈曲変形する様に付勢されることにより、その倒伏による底板展開状態で傾斜面6aと同一勾配に屈曲変形し、底板2の前方に塵芥導入用のスロープ6(傾斜面6a、6b)を構成する。
【0020】
よって、本実施例における塵取り1にあっては、操作板3に何ら外力を作用させない無負荷状態で、操作板3は第一実施例と同様に外向きに指向し、更に底板2の前方にスロープ6が形成されて、各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する塵取り形態をとる。
この塵取り形態が第一実施例と同様に何らの操作を要とすることなく自然に保持されるので、塵取り形態に変形保持させることに気を配りながら箒等で塵芥を塵受け部上に収集する必要がない。
【0021】
又、把手5を操作板3の後部と共に握って操作板3を相対する様に内側へ押圧して振り動かすことにより、該操作板3に底板側部2bが追動し、塵取り形態で屈曲変形していた傾斜面6bは伸長すると共に、同様に屈曲状態であった操作板3と底板側部2bは伸長しながら底板中央部2aに対し継ぎ目Jで屈曲し側壁2b、3として立ち上がり、かかる変形に伴って傾斜面6bと共に屈曲変形していた傾斜面6aも伸長すると共に、底板中央部2aに対し把手5が仰け反る様に変形する。
この変形状態では、底板中央部2a及び底板側部2bは前方の傾斜面6a、6bが同一平面上に有する様に伸展状態にあるため、第一実施例と同様に、塵受け部4は底板中央部2aの左右に伸長した側壁側部2bと操作板3が聳え立った間口の狭い凹溝状に変形しており、塵取り形態で収集した塵芥は底板中央部2a上に寄せ集められ、ゴミ箱までの塵芥運搬中やゴミ箱への塵芥投入中に外部へ飛散したり、零してしまうこともなく、その塵芥全てを塵受け部4からゴミ箱内へ確実に排出できる。
【0022】
そして、把手5に対する握りを緩めて、操作板3に作用させた外力を解除することにより、上述の通り底板中央部2aと把手5相互の弾性復元力及び傾斜面6a、6bの付勢力にて塵受け部4前方にスロープ6を有する塵取り形態に復帰する。
【符号の説明】
【0023】
2a 底板中央部
2b 底板側部
3 操作板(側壁)
4 塵受け部
5 把手
6a 傾斜面
6b 傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵取りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多種多様な構造の塵取りが見受けられる。
例えば、特許文献1に開示される塵取りは、略半円錐形状に湾曲形成した塵受け部と、その尻窄み状の基端に取付けた把手とを弾性体にて一体成形している。
そして、使用時には、把手をもって塵受け部の底を床面に押し付けることにより、湾曲している塵受け部を床面に沿って平坦状に弾性変形させ、箒で塵芥を塵受け部上に取り込み、その後塵受け部への押し付け力を解除して弾性復帰させ、塵受け部をゴミ箱の開口部よりも窄めて取り込んだ塵芥を中央に寄せ集め、その先端から塵芥をゴミ箱へ投入する様にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−7277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の塵取りは、弾性体で形成されているが、半円状の塵受け部のほぼ全体を平坦に弾性変形するのは困難であると共に、その力加減によって変形状態が異なるので、塵受け部に塵芥を一気に掃き入れることができなかった。
又、塵受け部に塵芥を収集した後に塵取り形態から弾性復帰させると、塵芥が塵受け部上で撥ね上がり、外部へ飛散する欠点を有している。
そこで、本発明では、上記従来品に比しもっと簡単な操作で塵受け部を変形可能に構成し、塵芥収集時では塵受け部の底板を確実に展開して塵芥を掃き入れられる様にし、塵芥排出時では塵受け部を窄めて寄せ集めた塵芥をゴミ箱へ確実に投入できる様にした塵取りを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の塵取りは、左右対称な方形平板状に形成した塵受け部の底板中央部と、該底板中央部の左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部と、底板中央部の後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部と相互に弾性復帰可能と成した把手と、該把手の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部の外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板とから成り、該操作板は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部と同一平面上に各底板側部が倒伏した底板展開状態を保持する様に設定したことを特徴とする。
又、上記塵取りにおいて、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、底板側部が倒伏した底板展開状態で、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢しても良い。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、上記構成より成るので、把手の左右に有する操作板に外力を作用させない無負荷状態では、底板中央部とその左右の各底板側部は同一平面上に展開して広大な底板が保持され、該底板とその外側縁で屈曲して立ち上がる側壁(操作板)とによって構成される塵受け部に従前通りの手法で掃き集めた塵芥を収集できる。
この様に、通常は、操作板に何ら外力を作用させない無負荷状態で、塵取りの形態を自然に保持できるため、塵取りの形態に変形保持させることに気を配りながら箒等で掃き集めた塵芥を塵受け部上に収集せねばならない従来品に比し、作業が手軽に行える。
そして、塵受け部に収集した塵芥をゴミ箱へ投入する際には、把手の左右の操作板を相対する様に内側へ振り動かすと、操作板に底板側部が追従し、屈曲状態の操作板と底板側部は伸長しながら底板中央部に対し屈曲し側壁として立ち上がり、塵受け部を間口の狭い凹溝状に変形させられ、これにより塵芥は底板中央部上に寄せ集められ、例え投入口の小さいゴミ箱であっても難なく確実に塵芥を廃棄できる。
その後は、操作板に作用させた外力を解除するだけで、上記変形状態で屈曲角が広げられた底板中央部と把手とが相互に弾性復帰して底板側部を底板中央部と同一平面上に倒伏させ、操作板を底板側部に対し屈曲させて何らの手間なく簡単に塵取り形態へ復元させることができる。
【0007】
又、底板側部が倒伏した底板展開状態で、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢することにより、底板中央部と把手相互の弾性的な復元力と合わせて塵取り形態への復元及びその形態保持をより一層確実にして安定させられ、塵芥を手間取ることなく収集できる等実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】塵取りの平面図である。
【図2】同上正面図である。
【図3】同上側面図である。
【図4】同上斜視図である。
【図5】同上変形状態を示す斜視図である。
【図6】同上変形状態を示す側面図である。
【図7】塵取りの変形例を示す平面図である。
【図8】同上正面図である。
【図9】同上中央縦断面図である。
【図10】同上斜視図である。
【図11】同上変形状態を示す斜視図である。
【図12】同上変形状態を示す中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る塵取り1は、前端が塵芥出入口と成る底板2と、該底板2の左右側縁に立設した側壁3とから成る塵受け部4と、該塵受け部4の後部に突設した把手5とを、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂にて一体形成して成る。
【0010】
底板2は、左右対称な方形平板状に形成した底板中央部2aと、該底板中央部2aの左右側縁の夫々に薄肉部から成る継ぎ目Jを介して俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る左右一対の底板側部2bとから成る。
底板中央部2aと底板側部2bは同肉厚の平板から成り、底板中央部2aは前端が後端より長い細長な等脚台形に形成され、底板側部2bは継ぎ目Jを介して連設される底板中央部2aの左右側縁と同長の一側縁と、該一側縁に隣接すると共に底板中央部2aの前端と同長にして同一直線上に位置する前端と、該前端と一側縁の夫々に隣接して傾斜する外側縁とから成る三角形に形成され、底板中央部2aと左右の底板側部2bを同一平面上に配して成る底板2は等脚台形に形成される。
【0011】
把手5は、底板中央部2aの後端に所定角度(図示例では鈍角)を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部2aと相互に弾性復帰可能と成しており、その基端は底板中央部2aの後端と同幅にして、先端(上端)へ向かうに従い徐々に幅小となる先細り帯板状に形成されている。
【0012】
各側壁3は、その後端縁を把手5の左右側縁に薄肉部から成る継ぎ目J1を介して左右揺動自在に連設すると共に、その底辺を底板側部2bの外側縁に薄肉部から成る継ぎ目J2を介して屈伸自在に連設した方形平板状の操作板(以下、操作板3とも称する。)であって、該操作板3は、その底辺と後端縁との内角を底板中央部2aと把手5とが連続する屈曲部の角度に合致させ、底辺を底板側部2bの外側縁と同長に形成し、後端縁を把手5の左右側縁の適宜高さに対応形成し、後端縁の上端から、底辺前端に対し垂直立設した短尺な前端縁へ前方降下状の斜辺を形成している。
【0013】
尚、本実施例にあっては、継ぎ目J、J1、J2は、底板中央部2aと底板側部2b、底板側部2bと側壁3、及び、側壁3と把手5との各境界に形成したV字溝の溝底をその材質特性により屈曲可能に薄肉状に形成したものであるが、前記各構成部材2a、2b、3、5が屈伸自在に構成されるのであれば、継ぎ目J、J1、J2は薄肉な溝底を有するV字溝状に形成しなくても良い。
【0014】
上記の様に塵取り1を構成することにより、操作板3は、これらに何ら外力を作用させない無負荷状態で、外向きに指向(把手5と操作板3とが鈍角を成す)して底板中央部2aと同一平面上に各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する様に設定される(図1〜4参照)。
この様に、底板中央部2aに対し左右の底板側部2bが同一平面上に倒伏されることで広大に展開保持された底板2と、該底板2との継ぎ目J2で屈曲して立ち上がる側壁(操作板)3とにより構成される塵受け部4は、通常は何らの操作を要とすることなく塵取り形態を自然に保持する。
かかる状態において塵受け部4に従前通り箒等で掃き集めた塵芥を収集する。
【0015】
そして、塵受け部4に収集した塵芥をゴミ箱へ投入する際には、把手5を操作板3の後部と共に握ることにより、把手5の左右の操作板3を相対する様に内側へ押圧して振り動かす。
これにより、操作板3に底板側部2bが追動し、塵取り形態で屈曲状態であった操作板3と底板側部2bは伸長しながら底板中央部2aに対し継ぎ目Jで屈曲し側壁2b、3として立ち上がると共に、底板中央部2aと把手5とはその屈曲角が更に広げられる様に、即ち底板中央部2aに対し把手5が仰け反る様に変形する(図5、6参照)。
【0016】
すると、塵受け部4は間口の狭い凹溝状に変形し、これにより塵芥は底板中央部2a上に寄せ集められる。
又、塵取り1の上記変形によって、底板中央部2aの左右には側壁側部2bと操作板3が伸長した高い側壁2b、3が聳えているので、ゴミ箱までの塵芥運搬中に底板中央部2a上の塵芥が吹き上がったり、舞い上がったり、脱落せず、塵芥の外部への飛散を防止すると共に、塵受け部4からゴミ箱へ塵芥を投入する時にも方向性が安定し、例えゴミ箱の投入口が小さくても、塵受け部4上の塵芥をゴミ箱の外部へ零してしまうこともなく、その塵芥全てを塵受け部4からゴミ箱内へ確実に排出できる。
【0017】
そして、把手5に対する握りを緩めて、操作板3に作用させた外力を解除することにより、上記変形状態で屈曲角が広げられた底板中央部2aと把手5とが相互に弾性復帰、即ち底板中央部2aに対し把手5が起き上がり、これにより底板側部2bが底板中央部2aと同一平面上に倒伏すると共に、操作板(側壁)3は底板側部2bに対し屈曲して夫々に復位し、塵取り形態に復帰する。
【0018】
次に、塵取り1の変形例を図7〜12を基に説明する。この塵取り1は上記第一実施例(図1〜6に示す塵取り)における底板2を変形したものであり、その他の構成は第一実施例と同一のため、第一実施例と同一又は相当部分に同じ符号を図中に付し説明は省略する。
そして、この変形例では、底板側部2bが倒伏した底板展開状態で、底板中央部2aと底板側部2bの前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面6a、6bを弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面6a、6bへ屈曲変形する様に付勢している。
【0019】
この様に構成することにより、特に底板中央部2a前方の傾斜面6aはその傾斜形態を保持すべく常に下方へ屈曲変形する様に付勢されているため、傾斜面6aの左右に連設している底板側部2bを常にその倒伏方向(下方)に付勢すると共に、該底板側部2bを介して側壁3及び把手5をも塵取り形態へ変形する様に付勢しており、かかる傾斜面6aの付勢力は、底板中央部2aと把手5相互の弾性的な復元力と合わさることにより、塵取り形態への復元及びその形態保持を第一実施例に比してより一層確実にして安定させられる。
又、傾斜面6b自身もその前方の傾斜形態を傾斜面6aと同様に保持すべく常に屈曲変形する様に付勢されることにより、その倒伏による底板展開状態で傾斜面6aと同一勾配に屈曲変形し、底板2の前方に塵芥導入用のスロープ6(傾斜面6a、6b)を構成する。
【0020】
よって、本実施例における塵取り1にあっては、操作板3に何ら外力を作用させない無負荷状態で、操作板3は第一実施例と同様に外向きに指向し、更に底板2の前方にスロープ6が形成されて、各底板側部2bが倒伏した底板展開状態を保持する塵取り形態をとる。
この塵取り形態が第一実施例と同様に何らの操作を要とすることなく自然に保持されるので、塵取り形態に変形保持させることに気を配りながら箒等で塵芥を塵受け部上に収集する必要がない。
【0021】
又、把手5を操作板3の後部と共に握って操作板3を相対する様に内側へ押圧して振り動かすことにより、該操作板3に底板側部2bが追動し、塵取り形態で屈曲変形していた傾斜面6bは伸長すると共に、同様に屈曲状態であった操作板3と底板側部2bは伸長しながら底板中央部2aに対し継ぎ目Jで屈曲し側壁2b、3として立ち上がり、かかる変形に伴って傾斜面6bと共に屈曲変形していた傾斜面6aも伸長すると共に、底板中央部2aに対し把手5が仰け反る様に変形する。
この変形状態では、底板中央部2a及び底板側部2bは前方の傾斜面6a、6bが同一平面上に有する様に伸展状態にあるため、第一実施例と同様に、塵受け部4は底板中央部2aの左右に伸長した側壁側部2bと操作板3が聳え立った間口の狭い凹溝状に変形しており、塵取り形態で収集した塵芥は底板中央部2a上に寄せ集められ、ゴミ箱までの塵芥運搬中やゴミ箱への塵芥投入中に外部へ飛散したり、零してしまうこともなく、その塵芥全てを塵受け部4からゴミ箱内へ確実に排出できる。
【0022】
そして、把手5に対する握りを緩めて、操作板3に作用させた外力を解除することにより、上述の通り底板中央部2aと把手5相互の弾性復元力及び傾斜面6a、6bの付勢力にて塵受け部4前方にスロープ6を有する塵取り形態に復帰する。
【符号の説明】
【0023】
2a 底板中央部
2b 底板側部
3 操作板(側壁)
4 塵受け部
5 把手
6a 傾斜面
6b 傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右対称な方形平板状に形成した塵受け部の底板中央部と、該底板中央部の左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部と、底板中央部の後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部と相互に弾性復帰可能と成した把手と、該把手の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部の外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板とから成り、該操作板は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部と同一平面上に各底板側部が倒伏した底板展開状態を保持する様に設定したことを特徴とする塵取り。
【請求項2】
底板側部が倒伏した底板展開状態で、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢したことを特徴とする請求項1記載の塵取り。
【請求項1】
左右対称な方形平板状に形成した塵受け部の底板中央部と、該底板中央部の左右側縁の夫々に俯仰自在に連設した同一形状の平板から成る底板側部と、底板中央部の後端に所定角度を以て屈曲する様に連続形成し、かかる屈曲状態を保持する様に底板中央部と相互に弾性復帰可能と成した把手と、該把手の左右側縁に後端縁を左右揺動自在に連設すると共に、底板側部の外側縁に底辺を屈伸自在に連設した塵受け部側壁兼用の左右一対の操作板とから成り、該操作板は無負荷状態で外向きに指向して底板中央部と同一平面上に各底板側部が倒伏した底板展開状態を保持する様に設定したことを特徴とする塵取り。
【請求項2】
底板側部が倒伏した底板展開状態で、底板中央部と底板側部の前方の夫々は、同一勾配を有する前方降下状の傾斜面を弾性的に屈伸可能に屈曲形成すると共に、該傾斜面へ屈曲変形する様に付勢したことを特徴とする請求項1記載の塵取り。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−193985(P2010−193985A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40101(P2009−40101)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000219657)東海化工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000219657)東海化工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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