説明

境界ブロックおよび境界ブロックを用いた境界構造

【課題】 境界線間際まで栽植を施して土地を有効に活用する。
【解決手段】境界ブロック1は、縦長板状の表面部2および裏面部3と、表面部2および裏面部3と一体に接合された接続部4と、からなり、接続部4には、左右端面に上下方向にわたって凹部4aが形成されるとともに、左右方向に貫通する貫通穴4bが形成されている。このため、境界線に沿って境界ブロック1を配置した際、各境界ブロック1の表面部2および裏面部3との間に、栽植を施すための客土33を充填することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、境界ブロック、特に、花壇などに利用可能な境界ブロックおよび境界ブロックを用いた境界構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、花壇や縁石などを形成する場合、境界線に沿って基礎工を施工した後、境界線に沿ってコンクリートブロックやレンガをモルタルで固定しながら積み上げて構築することが行われている。また、このようなモルタルを用いる湿式工法に対して、モルタルを用いることのない乾式工法で花壇や縁石などを形成することも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるように、鉄板にボルトを立設して形成された敷板を境界線に沿って敷設した後、敷板のボルトに境界ブロックの縦穴を挿通して敷板に複数個の境界ブロックを順に配置するとともに、ボルトにナットを締結して境界ブロックを敷板に対して固定し、次いで、ナットにボルトを締結した後、延長されたボルトに新たな境界ブロックの縦穴を挿通して先に配置された境界ブロックに新たな境界ブロックを順に積み重ねるとともに、ボルトにナットを締結して新たな境界ブロックを固定し、以下、同様に作業して花壇などの境界を形成するものである。
【特許文献1】特開2001−69851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した境界ブロックによって花壇などの境界を形成するとともに、境界ブロックの内面によって区画された空間に客土を充填することにより、客土に栽植を施すことができる。しかしながら、境界ブロックは、全体が中実のブロック状に形成されていることから、境界ブロックそのものに客土を充填することはできない。このため、境界ブロックの天端面が露出し、見栄えが損なわれるとともに、境界ブロックの上面に相当する面積を栽植に利用することができず、土地を有効に活用できないという欠点があった。
【0005】
なお、栽植を施すために箱状に形成された花壇ブロックも種々提案されており、これらの花壇ブロックを左右方向に延設して境界を形成することも知られているが、隣接する花壇ブロックとは無関係に花壇ブロックを左右方向に延設したにすぎないことから、境界線に沿って正確に位置決めして境界ブロックを配置することが困難である他、長期にわたって境界を維持することもできない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、境界線間際まで栽植を施して土地を有効に活用することができる境界ブロックを提供するとともに、境界ブロックを用いて乾式工法もしくは湿式工法にて境界を形成することができ、また、形成された境界を長期にわたって維持することができる境界構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の境界ブロックは、表面部および裏面部と、これらの表面部および裏面部と一体に接合された接続部と、からなり、接続部には、左右端面に上下方向にわたって凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、境界線に沿って複数個の境界ブロックを順に配置し、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面の間に客土を一定深さにわたって充填することができる。
【0009】
この結果、境界ブロックに客土を充填して栽植を施すことが可能となり、境界線間際まで緑化して見栄えを損なうことなく土地を有効に活用することができる。
【0010】
ここで、境界ブロックの表面部および裏面部を同一幅で同一高さに形成してもよく、また、表面部および裏面部を同一幅に形成するとともに、裏面部を表面部よりも低く形成してもよい。裏面部が表面部よりも低い境界ブロックを利用して境界を形成した場合、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって形成される空間に加えて、表面部の高さ範囲内において、境界ブロックの裏面部を埋設するように、境界ブロックの裏面部外面によって区画された空間にも客土を充填することができる。この場合には、境界ブロックの裏面部を客土によって覆うことができ、境界ブロックの露出を最小限に抑えることができる。
【0011】
また、接続部の下面は、その上面を一定高さ位置に設定したときにおいて、表面部および裏面部の下面と同一位置に形成してもよく、また、表面部および裏面部の下面よりも高い位置に形成してもよい。接続部の下面を表面部および裏面部の下面と同一位置に形成した場合は、重量軽減のため、左右方向に貫通する貫通穴を形成することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記接続部の上面に左右方向に延びるガイド溝が形成されていると、このガイド溝を隣接する境界ブロックの位置決めに利用することが可能となり、好ましい。
【0013】
本発明の境界ブロックを用いた境界構造は、境界線に沿って配置され、ベース板に複数本のボルトが設定間隔をおいて立設された複数枚の敷板と、対向する凹部によって形成された空間にボルトが位置するように、敷板に順に配置された請求項1または2記載の複数個の境界ブロックと、複数個の境界ブロックにおける接続部の上面にわたって配置され、敷板の各ボルトに取付穴が挿通されるとともに、ナットを介して締結された連結レールと、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に充填された客土と、から構成され、客土に栽植が施されたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、境界線に沿って敷板を敷設した後、敷板に境界ブロックを順に配置し、境界ブロックの接続部の上面にわたって連結レールを配置する。次いで、連結レールの取付穴を、隣接する境界ブロックにおける接続部の凹部によって形成される空間から突出する敷板のボルトに挿通させた後、ボルトにナットを締結し、敷板のベース板に対して境界ブロックを固定する。境界ブロックを固定したならば、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に客土を充填した後、客土に栽植を施す。
【0015】
この際、充填された客土を転圧すれば、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間にも客土が充填されることから、栽植された植物の根が縦横にのびやすくなり、好ましい。
【0016】
この結果、栽植を施した境界ブロックによる境界を乾式工法によって簡単に、かつ、短時間に形成することができる。また、各境界ブロックは、敷板に対してボルトナットを介して固定されているため、長期にわたって境界を維持することができる。
【0017】
なお、境界線に沿って地面を掘削し、クラッシャランを敷き詰めた後、敷板を敷設してもよく、また、地面を掘削することなく舗装面や地面に敷板を直接敷設してもよい。地面を掘削したときには、土砂を埋め戻して敷板を覆うことが好ましい。
【0018】
本発明において、前記隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に複数本の支柱が設定間隔をおいて立設されていると、境界ブロックに建て込まれた支柱を利用して境界線上にフェンスなどを設けることが可能となり、好ましい。
【0019】
支柱を立設するには、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間のうち、ボルトの存在しない空間を適宜選択して支柱を差し込み、モルタルまたはコンクリートで固定すればよい。
【0020】
本発明の境界ブロックを用いた境界構造は、境界線に沿って施工され、設定間隔をおいてアンカー鉄筋が植設された基礎コンクリートを有する基礎工と、対向する凹部によって形成された空間にアンカー鉄筋が位置するように、基礎コンクリートに順に配置された請求項1記載の複数個の境界ブロックと、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に充填されたモルタルまたはコンクリートと、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に充填された客土と、から構成され、客土に栽植が施されたことを特徴とするものである。
【0021】
本発明によれば、境界線に沿って地面を掘削し、クラッシャランを敷き詰めた後、基礎コンクリートを打設する。この際、基礎コンクリートに設定間隔をおいてアンカー鉄筋を植設する。このような基礎工を施工した後、基礎コンクリートに境界ブロックを順に配置し、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間にモルタルまたはコンクリートを充填し、各境界ブロックを相互に、かつ、アンカー鉄筋を介して基礎コンクリートに対して固定する。境界ブロックを固定したならば、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に客土を充填した後、客土に栽植を施す。
【0022】
この結果、栽植を施した境界ブロックによる境界を湿式工法によって強固に形成することができる。また、各境界ブロックは、モルタルまたはコンクリートを介して相互に、かつ、基礎工に固定されているため、境界を長期にわたって維持することができる。
【0023】
本発明において、前記隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に複数本の支柱が設定間隔をおいて立設されていると、境界ブロックに建て込まれた支柱を利用して境界線上にフェンスなどを設けることが可能となり、好ましい。
【0024】
支柱を立設するには、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間にモルタルまたはコンクリートを充填するのに先立って、アンカー鉄筋の存在しない空間を適宜選択して支柱を差し込み、その後、凹部による空間にモルタルまたはコンクリートを充填すればよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の境界ブロックによれば、境界線間際まで栽植を施して土地を有効に活用することができる。
【0026】
また、境界ブロックを用いた境界構造によれば、境界ブロックを用いて乾式工法もしくは湿式工法にて境界を形成することができるとともに、形成された境界を長期にわたって維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1および図2には、本発明の境界ブロック1の一実施形態が示されている。
【0029】
この境界ブロック1は、コンクリートによって成形され、同一の大きさの縦長板状の表面部2および裏面部3と、表面部2および裏面部3と一体に接合された接続部4からなり、表面部2および裏面部3の左右方向の幅寸法と、表面部2の外面および裏面部3の外面間の前後方向の奥行き寸法とがほぼ同一に設定されている。
【0030】
表面部2の上端面および裏面部3の上端面は、いずれも湾曲面に形成されている他、それらの各上端部内面は、下方に向かって徐々に先窄まりとなるように傾斜面に形成されている。
【0031】
接続部4には、左右端面に内方に向かって湾曲した凹部4aが上下方向にわたって形成されるとともに、一方の端面から他方の端面にかけて左右方向に貫通するテーパー面形状の貫通穴4bが形成されている。また、接続部4の上面には、設定幅のガイド溝4cが左右方向に形成されている。
【0032】
なお、接続部4は、側方より見て、前述した表面部2の上端部内面に形成された傾斜面および裏面部3の上端部内面に形成された傾斜面にそれぞれ連続し、その上面まで延びる前後対称な傾斜面を有している。
【0033】
一方、境界線が設定角度をおいて交差するとき、例えば、直交するときに対応して、境界線に沿って配置された境界ブロック1間に配置されるコーナー用境界ブロック11が用意されているとともに、境界線の始端部および終端部にそれぞれ配置されるエンド用境界ブロック12が用意されている。
【0034】
コーナー用境界ブロック11は、図3に示すように、前述した境界ブロック1の右端面を左端面に対して設定角度傾斜する傾斜面に形成した左端ブロック1Lと、境界ブロック1の左端面を右端面に対して設定角度傾斜する傾斜面に形成した右端ブロック1Rと、境界ブロック1の左右端面を互いに設定角度傾斜する傾斜面に形成した中間ブロック1Cと、からなり、それぞれの表面部2の外面が直交するように配置された左端ブロック1Lおよび右端ブロック1Rの間に中間ブロック1Cを配置し、対向して突き合わされた傾斜端面同士を接着剤を介して一体に接合して形成されている。
【0035】
なお、境界線が設定角度で交差する際、左端ブロック1Lおよび右端ブロック1Rの左右端面をそれぞれ境界線の交差角に対応する傾斜角に形成し、中間ブロック1Cを用いることなく左端ブロック1Lの傾斜端面および右端ブロック1Rの傾斜端面を直接突き合わせて接合し、隣接する境界ブロック1を接続するコーナー用境界ブロック11に形成してもよい(図12参照)。
【0036】
また、エンド用境界ブロック12は、図4に示すように、境界ブロック1の表面部2の一方端面および該表面部2の一方端面と対向する側の裏面部3の端面をそれぞれ内方に向かって先窄まりとなるように設定角度傾斜する傾斜面に形成する一方、これらの表面部2の傾斜端面および裏面部3の傾斜端面に対応する傾斜面を左右の端面に有する、境界ブロック1の表面部2および裏面部3に相当する縦長板材121を成形し、境界ブロック1の、表面部2の傾斜端面および裏面部3の傾斜端面に縦長板材121の左右の傾斜端面を接着剤を介して一体に接合して形成されている。
【0037】
このように構成された境界ブロック1およびエンド用境界ブロック12を利用して乾式工法で形成された境界を図5に示す。
【0038】
以下、図5に示した境界を形成する施工要領について説明する。
【0039】
まず、ベース板22に設定間隔をおいて複数本のボルト23を立設してなる敷板21を用意する(図6参照)。ここで、敷板21のボルト23の間隔は、境界ブロック1の幅寸法の整数倍、例えば、2倍の間隔に設定され、その長さは、境界ブロック1の下端面から接続部4の上面を若干越えて先端が位置するように設定されている。
【0040】
次いで、境界線およびその近傍の地面を設定深さ掘削した後、一定深さにわたってクラッシャラン31(図5参照)を敷き詰めて整地する。次いで、クラッシャラン31にサンドクッション32(図5参照)を介して境界線に沿って複数枚の敷板21を順に敷設する。この際、敷板21のレベルを必要とするときには、プラスチック製のレベルプレート24(図6参照)をクラッシャラン31に配置し、敷板21の不陸を調整する。
【0041】
なお、サンドクッション32に代えて、空練りモルタルを用いることもできる。
【0042】
この後、境界線に沿うとともに、その始端部、例えば、右端部において、エンド用境界ブロック12を配置する。そして、配置されたエンド用境界ブロック1の左端面に右端面を突き合わせて、境界ブロック1を境界線に沿って順に左方向に配置する。この際、敷板21のボルト23が、隣接する境界ブロック1の左右端面を突き合わせることで形成される接続部4の凹部4aによる空間の略中心上に位置するように、境界ブロック1を配置する(図7参照)。
【0043】
境界線に沿って境界ブロック1を配置したならば、境界ブロック1における接続部4の上面に形成されたガイド溝4cの幅に相当する幅を有し、敷板21のボルト23の間隔に合わせて取付穴(図示せず)が形成された長尺な連結レール25を複数個の境界ブロック1の接続部4の上面にわたって配置する。そして、連結レール25の取付穴を各境界ブロック1における接続部4の上面から突出している敷板21のボルト23に挿通させながら、連結レール25を境界ブロック1における接続部4の上面に形成されたガイド溝4cに配設する。次いで、連結レール25の取付穴から突出されたボルト23の雄ねじにナット26を締結することにより、敷板21に対して境界ブロック1を固定する(図8参照)。
【0044】
この際、直線状の連結レール25に、境界ブロック1における接続部4の上面に形成されたガイド溝4cを沿わせることにより、境界ブロック1を境界線に沿って簡単に位置決めして配置することができる。
【0045】
境界線に沿って境界ブロック1を配置して固定したならば、境界線の終端部にエンド用境界ブロック12を接着剤を介して境界ブロック1に接合する。
【0046】
境界ブロック1およびエンド用境界ブロック12の固定が終了したならば、クラッシャラン31を覆うように掘削した土砂を埋め戻した後、境界ブロック1の表面部2と裏面部3との間に客土33を充填する。この際、客土33が接続部4の貫通穴4bにも入り込むように、客土を転圧する。その後、充填された客土33に栽植を施せばよい(図9参照)。
【0047】
この結果、境界線に沿って境界ブロック1を配置して簡単に、かつ、短時間に境界を形成することができるとともに、境界線間際まで栽植を施すことができ、見栄えを損なうことがない。しかも、各境界ブロック1は、敷板21に対してボルト23、ナット26を介して締結された連結プレート25によって固定されているため、境界を長期にわたって維持することができる。
【0048】
なお、境界ブロック1に栽植を施すとともに、フェンスなどを設ける場合は、例えば、図10に示すように、ベース板22に支柱34を立設するためのパイプ27を設定間隔をおいて設けた連結プレート25を用いることにより、隣接する一対の境界ブロック1における接続部4の凹部4aによって形成される空間のうち、設定間隔をおいた空間にパイプ27を配置することができる。したがって、客土33の充填に先立って各パイプ27に支柱34を差し込んでモルタルにて固定することにより、設定間隔をおいて立設された複数本の支柱34を利用してフェンスなどを設けることも可能となる。
【0049】
また、前述した実施形態においては、境界ブロック1を設置する境界線周囲の地面を掘削し、クラッシャラン31を敷き詰めて敷板21を敷設する場合を例示したが、例えば、歩道を区画して花壇を形成する場合などのように、歩道などの舗装面に敷板21を直接敷設し、境界ブロック1を配置してもよい。
【0050】
さらに、前述した実施形態においては、直線状の境界線に沿って境界ブロック1を用いて境界を乾式工法で形成する場合について説明したが、宅地などの全周にわたって連続するように境界ブロック1を配置してもよい。ここで、境界線が設定角度で交差する場合は、そのコーナーにコーナー用境界ブロック11を用いればよい。
【0051】
以下、境界ブロック1、コーナー用境界ブロック11およびエンド用境界ブロック12を用いて湿式工法で境界を形成する場合を図11および図12に基づいて説明する。
【0052】
まず、境界線およびその近傍の地面を設定深さ掘削した後、一定深さにわたってクラッシャラン31を敷き詰めた後、クラッシャラン31に基礎コンクリート35を打設して基礎工を施工する。この際、基礎コンクリート35には、境界ブロック1の幅寸法の整数倍、例えば、2倍の間隔をおいてL字状のアンカー鉄筋36の水平部分が埋設される。
【0053】
この後、境界線に沿うとともに、その始端部、例えば、右端部において、基礎コンクリート35に高さ調整モルタル37を介してエンド用境界ブロック12を配置する。そして、配置されたエンド用境界ブロック12の左端面に右端面を突き合わせて、境界ブロック1を境界線に沿って順に左方向に配置する。この際、アンカー鉄筋36の垂直部分が、隣接する境界ブロック1の左右端面を突き合わせることで形成される接続部4の凹部4aによる空間の略中心上に位置するように、境界ブロック1を配置する。
【0054】
ここで、境界線が設定角度で交差している場合は、コーナー用境界ブロック11を用いればよい。
【0055】
境界線に沿って境界ブロック1を配置したならば、隣接する境界ブロック1における接続部4の凹部4aによる空間にモルタル38を充填し、アンカー鉄筋36の垂直部分を埋設する。この際、モルタル38が接続部4の貫通穴4bにも入り込むように充填する。
【0056】
なお、境界ブロック1にフェンスなどを設ける場合は、隣接する一対の境界ブロック1における接続部4の凹部4aによって形成される空間のうち、アンカー鉄筋36の存在しない空間に設定間隔をおいて支柱34を差し込み、その後、モルタル38を充填して支柱34を固定すればよい。
【0057】
また、境界ブロック1の強度をより高めるためには、モルタル38の充填に先立って、アンカー鉄筋36の垂直部分を図示しない横筋を介して連結すればよい。このように、アンカー鉄筋36を横筋を介して相互に連結する場合は、アンカー鉄筋36の、基礎コンクリート35から突出する垂直部分の長さを、境界ブロック1の下端面から接続部4の上面を若干越えて先端が位置するように設定することが好ましい。そして、モルタル38は、各境界ブロック1における接続部2の上面から突出されるアンカー鉄筋36の上端部および接続部4の上面に配設される横筋を埋設するように、充填することが好ましい。
【0058】
さらに、モルタル38に代えて、コンクリートを用いることもできる。
【0059】
次いで、高さ調整コンクリート37を覆うように掘削した土砂を埋め戻した後、境界ブロック1の表面部2と裏面部3との間に客土33を充填した後、充填された客土33に栽植を施せばよい。
【0060】
この結果、境界線に沿って境界ブロック1を正確に位置決めしつつ強固に設置することができるとともに、境界線間際まで栽植を施すことができる。
【0061】
ところで、図13および図14には、他の実施形態の境界ブロック5が示されている。
【0062】
この境界ブロック5は、前述した境界ブロック1の裏面部3に代えて、該裏面部3よりも高さが低く形成されるとともに、その上端面が平坦面に形成され、さらに、上端面の内端縁から接続部4における上面の裏面部側端縁にかけて傾斜面が形成された裏面部6を用いた以外境界ブロック1と相違しないため、その他の詳細な説明を省略する。
【0063】
なお、この実施形態の境界ブロック5からなる左端ブロック5L、右端ブロック5Rおよび中間ブロック5Cを用いてコーナー用境界ブロックを形成する場合は、表面部2の外面が常に外面側に位置して配置されるため、左端ブロック5Lの表面部2の外面と右端ブロック5Rの表面部2の外面とが時計回り方向に270度で交差する場合のコーナー用境界ブロック13(図15参照)と、左端ブロック5Lの表面部2の外面と右端ブロック5Rの表面部2の外面とが時計回り方向に90度で交差する場合のコーナー用境界ブロック14(図16参照)との2種類が用意される。
【0064】
そして、境界ブロック5についても、先に説明した部材に同一の符号を付して図17に示すように、乾式工法で施工して境界を形成することもできるし、先に説明した部材に同一の符号を付して図18に示すように、湿式工法で施工して境界を形成することもできる。
【0065】
境界ブロック5を用いて境界を形成した場合、各境界ブロック5の表面部2内面および裏面部6内面によって形成される空間に加えて、境界ブロック5の裏面部6外面によって区画された空間において、裏面部6の高さを越えて客土33を充填することができる。このため、境界ブロック5の裏面部6を客土33によって覆うことができ、境界ブロック5の露出を最小限に抑えることができるとともに、境界ブロック5の内方側も栽植を施して緑化することができる。したがって、例えば、歩道などに境界ブロック5を用いて島状の花壇などを簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の境界ブロックの一実施形態を示す正面図、側面図および平面図である。
【図2】図1の境界ブロックの斜視図である。
【図3】図1の境界ブロックとともに用いられるコーナー用境界ブロックの斜視図である。
【図4】図1の境界ブロックとともに用いられるエンド用境界ブロックを示す正面図、側面図および平面図である。
【図5】図1の境界ブロックを用いて乾式工法で施工された境界の一例を示す正面図、平面図および正面図のX−X線断面図である。
【図6】図1の境界ブロックを用いて乾式工法で境界を形成する際に使用される敷板の斜視図である。
【図7】図1の境界ブロックを用いて乾式工法で境界を形成する施工要領を示す説明図である。
【図8】図1の境界ブロックを用いて乾式工法で境界を形成する施工要領を示す説明図である。
【図9】図1の境界ブロックを用いて乾式工法で境界を形成する施工要領を示す説明図である。
【図10】敷板の変形例を支柱とともに示す斜視図である。
【図11】図1の境界ブロックを用いて湿式工法で施工された境界の一例を示す正面図、平面図および正面図のY−Y線断面図である。
【図12】図1の境界ブロックを用いて湿式工法で施工された境界の他例を示す正面図、平面図および正面図のZ−Z線断面図である。
【図13】本発明の境界ブロックの他の実施形態を示す正面図、側面図および平面図である。
【図14】図13の境界ブロックの斜視図である。
【図15】図13の境界ブロックとともに用いられるコーナー用境界ブロックの斜視図である。
【図16】図13の境界ブロックとともに用いられるコーナー用境界ブロックの斜視図である。
【図17】図13の境界ブロックを用いて乾式工法で施工された境界の一例を示す正面図、平面図および正面図のU−U線断面図である。
【図18】図13の境界ブロックを用いて湿式工法で施工された境界の一例を示す正面図、平面図、正面図のV−V線断面図および正面図のW−W線断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1,5 境界ブロック
2 表面部
3,6 裏面部
4 接続部
4a 凹部
4b 貫通穴
4c ガイド溝
11,13,14 コーナー用境界ブロック
1L,5L 左端ブロック
1R,5R 右端ブロック
1C,5C 中間ブロック
12 エンド用境界ブロック
21 敷板
22 ベース板
23 ボルト
25 連結プレート
26 ナット
31 クラッシャラン
32 サンドクッション
33 客土
35 基礎コンクリート
36 アンカー鉄筋
38 モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部および裏面部と、これらの表面部および裏面部と一体に接合された接続部と、からなり、接続部には、左右端面に上下方向にわたって凹部が形成されていることを特徴とする境界ブロック。
【請求項2】
前記接続部の上面に左右方向に延びるガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の境界ブロック。
【請求項3】
境界線に沿って配置され、ベース板に複数本のボルトが設定間隔をおいて立設された複数枚の敷板と、対向する凹部によって形成された空間にボルトが位置するように、敷板に順に配置された請求項1または2記載の複数個の境界ブロックと、複数個の境界ブロックにおける接続部の上面にわたって配置され、敷板の各ボルトに取付穴が挿通されるとともに、ナットを介して締結された連結レールと、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に充填された客土と、から構成され、客土に栽植が施されたことを特徴とする境界ブロックを用いた境界構造。
【請求項4】
前記隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に複数本の支柱が設定間隔をおいて立設されていることを特徴とする請求項3記載の境界ブロックを用いた境界構造。
【請求項5】
境界線に沿って施工され、設定間隔をおいてアンカー鉄筋が植設された基礎コンクリートを有する基礎工と、対向する凹部によって形成された空間にアンカー鉄筋が位置するように、基礎コンクリートに順に配置された請求項1記載の複数個の境界ブロックと、隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に充填されたモルタルまたはコンクリートと、各境界ブロックの表面部内面および裏面部内面によって区画された空間に充填された客土と、から構成され、客土に栽植が施されたことを特徴とする境界ブロックを用いた境界構造。
【請求項6】
前記隣接する境界ブロックの対向する凹部によって形成された空間に複数本の支柱が設定間隔をおいて立設されていることを特徴とする請求項5記載の境界ブロックを用いた境界構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−166838(P2006−166838A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366188(P2004−366188)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】