説明

増強されたカラーを有する液晶表示装置

【課題】増強されたカラーディスプレイを有する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】1対の透明なプレート13,14間に挟まれた液晶材料を含んでいる液晶構造12を有し、その1対の透明なプレート13,14は所望の液晶表示を行うパターン化された電極16を支持し、装置は互いに整列または回転されている透過軸を有する前部および後部偏光層18,19と、前部偏光層18に入射した周囲光を後部偏光層19と液晶構造12と前部偏光層18を通って観察者に反射して戻す反射器21とを備える。さらに、後部偏光層19と反射器21との間に表示に特定の色を与えるために入射周囲光に応答して特定の波長の光を放射する蛍光材料の層22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にデジタル時計に適している増強されたカラーディスプレイを有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶技術を使用する光学的表示装置は、時計、腕時計、計算器、ポータブル電話機(それらは全て通常電池により給電される)のような小型の装置からコンピュータおよびテレビジョン受像機のような大きい装置まで広範囲の装置で広く使用されている。表示のコントラストの向上と、鮮明なカラーおよび輝度を与えることは設計者の目的とすることである。電力が電池から得るのではない(それ故制限されない)場合には、連続的な背面照明が使用される。電池を電源とする装置では、そのような方法は急激に全電池電力を消耗することになる。
【0003】
周囲光下で動作する(背面照明は間欠的にしか使用されない)電池を使用する表示装置にカラーを導入するためにいくつかの方法が試みられている。その1つは前部偏光層にカラーフィルタを付加する方法であり、それは不所望な偏光だけではなく不所望なカラーを吸収することを可能にする。すなわち、いわゆるポジチブ動作モードでは、表示画素はフィルタのカラーを示すが、望ましくない薄い銀色の背景が生じて、それはコントラストを劣化させる。
【0004】
別の技術では後部偏光層と反射器との間にカラーフィルタを配置している。これはより多くの入射光が液晶構造体を通過することを可能にするが、この光のほんの一部分しか反射されて観察者には戻らないため貧弱なコントラストしか得られない。
【0005】
最後に表示のコントラストは画素の典型的な時分割多重駆動により悪化する可能性がある。これは通常固定数の駆動装置で高い画素カウントを得るために使用される。その結果液晶表示装置に利用できる光は使用されるデューティサイクルに応じてその一部(通常小さな割合)に限定される。これはカラーではない表示装置では問題にはならないが、カラーの場合には重要な問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,731,986号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の一般的な目的は、増強されカラー表示を有する液晶表示装置を提供することである。
本発明の別の目的は、カラーが一層良好に観察され、周囲光および背面照明の両方で、ポジチブおよびネガチブの両方の動作モードで、良好なコントラストで表示されるカラーディスプレイを提供することである。
【0008】
上記の目的は本発明の液晶表示装置によって達成される。本発明の液晶表示装置は、1対の透明なプレートの間に挟まれた液晶材料を含んでいる液晶構造体を有しており、それらの透明なプレートは所望の液晶表示を行うパターン化された電極を支持している。表示装置はさらに、互いに整列または回転されている透過軸を有する前部および後部偏光層と、前部偏光層に入射した周囲光を後部偏光層と液晶構造と前部偏光層を通って観察者に反射して戻す反射器とを備えている。改良点は、表示にカラーを与えるために入射周囲光に応答して特定の波長の光を放射する蛍光材料を含む層を後部偏光層と反射器との間に設けたことである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態の分解した側面図。
【図2】図1を部分的に修正した別の実施形態の分解した側面図。
【図3】図1の線3−3に沿った液晶表示装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は分解された液晶表示装置(LCD)を示しており、それは図3に示されているように、時間22:45を示しているデジタルLCDセグメント10を有する時計の一部分である。以下詳細に説明するように、1つのモード(ネガチブ)で、セグメントは黒い背景上で特定の色を有している。ユーザは時計を観察し、図1の矢印11で示される周囲光と同じ方向でその表示を観察する。
【0011】
図1を参照すると、液晶表示装置は、インジウム錫酸化物で作られたパターンに成形された電極16を支持している典型的にはガラスの、1対の透明なプレート13, 14間に挟まれた液晶材料の層12から構成されている。これらは駆動装置17からの多重化された電圧によって付勢されたとき、電極間の液晶を再配置または再整列させて(ポジチブまたはネガチブのいずれの動作モードが使用されるかに応じて)透過光を阻止し、または透過させて所望のデジタル表示を与える。
【0012】
前部偏光層(板)18はプレート(または基板)13の観察側に取付けられ、後部偏光層(板)19はプレート(または基板)14に取付けられている。2つの偏光層18, 19は整列しているか90度回転している透過軸を有している。反射器21は透過された光を上記の装置を通って反射して戻す。
【0013】
上述した説明は標準的な液晶表示装置に関するものである。動作において、偏光層は1つの偏光の光しか透過させることができず、それと直交する方向の光成分は吸収される。前部偏光層から出る光は液晶層12の固有の性質により偏光に90度のシフトまたはねれ
を受ける。後部偏光層14がその透過軸が前部偏光層と直交するように配置されている場合には、光は完全に通過して反射器により反射される。反射器が銀色のアルミニウムのシートであれば表示は背景が銀色で現れる。その後、電圧が電極には供給されると、電極の下の液晶は90度のシフトがなくなるように再整列し、したがって前部偏光層によって吸収されて黒の画素が生成される。この場合に液晶表示装置はポジチブな動作モードと呼ばれる。その代わりに、もしも後部偏光層の偏光方向がその偏光が前部偏光層の偏光方向と平行であるならば、液晶層の電極のない部分から生じる光は吸収されて黒の背景が生成される。電圧が電極に供給されたとき、光は銀色の画素を生成してこれはネガチブな動作モードと呼ばれる。
【0014】
これらの両方の動作モードにおいて、光エネルギは偏光層において吸収され、その結果入射光の一部分だけが反射されて観察者に戻され、ポジチブ表示モードでは暗い表示の背景を生じ、ネガチブ表示モードでは薄暗い画素が得られる。また、もしも拡散装置を有する装置のような背面照明が使用される場合には反射器への入射光はランダムにされる(この場合には半透明となるであろう)。したがって光の一部が後部偏光層によって吸収されて観察者に戻される光はさらに減少することになる。
【0015】
[増強されたカラーのディスプレイ]
図1をさらに参照すると、反射器21の観察側の表面には蛍光材料の層22が印刷されて形成されている。その色は特定の応用に対して最もスペクトル変換効率のよいものがユーザによって選択されている。例えばローダミン(Rodamine)赤色およびローダミン黄色の染料は図3の時計の数字10に対して赤いカラーおよび黄色いカラーを生成する。蛍光材料層は入ってくる周囲光により励起されるとき、この応用に対して理想的であり、その場合には励起された電子の基底状態への周波数シフト(一般的に長い波長へのシフト)を有する自然発生レラクゼーションが生成され、蛍光周波数において強土の増加する効果が得られる。対照的に燐光体は非常に長い減衰時間を有しているため蛍光材料と置換して使用することはできない。しかしながら、それらは一時的な背面照明が使用される場合には夜間にアフタグローを与えるように組合わせると有効である。したがって、層22はまた燐光材料を含んでいてもよい。
【0016】
動作において、前部偏光層および液晶層を通過する光は後部偏光層に到達する。電極が付勢され、偏光層の透過軸が適切なモードに対して調整されている場合には、光は蛍光材料層に入射してそれを発光させ黒い背景上にデジタルカラー表示を生成する。これはネガチブ動作モードで発生する。また、もちろん、ポジチブ動作モードでは黒い画素を有するカラーの背景が生じる。所望された波長の要求されたカラーは不所望な波長の光の吸収によって増強される。光エネルギは反射器21の磨かれた表面により反射される。そのような反射器は白いプラスティックのシートや白いペーパーのシートのような半透明の材料から構成することができる。背面照明が要求されるときには、電気ルミネセンスプレート24が使用され、スイッチ27を介して電池26に接続された電気ルミネセンス駆動装置により駆動される。半透明の反射器の使用のために最少量の光が必要である。もちろんLCD装置は駆動装置17の電源の電池15で示されているように通常は電池のみによって給電されるから、背面照明の使用はほんの間欠的なものでなければならない。
【0017】
図2は別の背面照明の1実施形態を示しており、それは拡散シート32上の光空洞と反射器33を使用し、それらの全ては光源34によって照明されている。これは図1のプレート24の代わりに使用されることができる。
【0018】
蛍光材料層22はまた、図1で22' で示されるように偏光層19の下側に取付けられてもよい。それは単一カラーまたは種々のカラーの粒子の組合わせによって形成されることができる。
【0019】
後部偏光層19はまた、3M社から商標名RDF−Cとして市販されている反射性偏光フィルムまたは3M社から商標名DBEFとして市販されている二重輝度増強偏光フィルムであってもよい。
【0020】
図1に示されるように駆動装置17は少なくとも1/2のデューティサイクルを有していなければならない。1/4以下のような低いデューティサイクルはコントラストを減少させるので望ましくない。これは各画素素子の下の反射層に入射する光の量が減少するためである。
【0021】
結論として電池で動作される液晶表示装置のカラーを増強することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の透明なプレートの間に挟まれた液晶材料を含んでいる液晶構造体を有する液晶表
示装置において、
前記1対の透明なプレートは所望の液晶表示を行うパターン化された電極を支持し、
表示装置はさらに、互いに整列または回転されている透過軸を有する前部および後部偏光層と、前部偏光層に入射した周囲光を前記後部偏光層と前記液晶構造体と前記前部偏光層とを通って観察者に反射して戻す反射器とを備え、
さらに、前記後部偏光層と前記反射器との間に、表示に特定の色を与えるために前記入射周囲光に応答して特定の波長の光を放射する蛍光材料層を具備している液晶表示装置。
【請求項2】
前記蛍光材料層はまた燐光材料を含んでいる請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
1/2以上のデューティサイクルで前記パターン化された電極を駆動する多重化駆動装置を含んでいる請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記蛍光材料層は前記反射器上に印刷されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記反射器は、半透明材料、白いプラスティックシートまたは白いペーパーシートの1つで構成されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記後部偏光層は、反射性の偏光体フィルム、または二重輝度増強偏光体の1つで構成されている請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−230384(P2012−230384A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116905(P2012−116905)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2004−216975(P2004−216975)の分割
【原出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(500570449)モネレイ・インターナショナル・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Moneray International Limited
【Fターム(参考)】