説明

壁付き混合水栓

【課題】温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを用いた壁付き混合水栓を提供する。
【解決手段】それぞれが内部に弁機能部を内蔵した、温調用のバルブユニット16を含む複数のバルブユニット12,14,16を接続管で接続するとともに、各バルブユニット12,14,16を上,下ブラケット92,94に固定して、各バルブユニット12,14,16を上,下ブラケット92,94により連結状態に保持して水栓本体140を構成する一方、壁に固定される給水,給湯用の配管を兼ねた水側,湯側の各クランク脚58,60にブラケット固定部82を備えた給水接続部62,64を固定状態に設けて、そこに上,下ブラケット92,94を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は壁付き混合水栓に関し、詳しくは温調用のバルブユニットを含む、互いに独立した複数のバルブユニットを有し、それらを接続管で接続した形態の壁付き混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁付きの混合水栓としては、筒状の金属製且つ鋳物製の本体ボデーを共通のバルブボデーとして、その内部に温度調節を行う温調弁や、流路をカラン側からシャワー側に又はその逆に切り替えたり吐止水及び流量調節を行う切替弁を組み込んで水栓本体を構成し、そしてその水栓本体を給水,給湯用の配管を兼ねた水側,湯側の脚部(クランク脚)にて壁に固定するようになしたものが一般的である。
しかしながらこの壁付き混合水栓は、鋳物製の本体ボデーの構造が複雑で製造コストが高いといった問題を有する。
【0003】
そこで、それぞれがバルブボデーを有してその内部に弁機能部を内蔵した、温調用のバルブユニットを含む複数の独立したバルブユニットを接続管で接続することで水栓本体を構成しておくといったことが考えられる。
【0004】
このように温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを接続管で接続して水栓の要部を構成したものは、従来から提案されている公知のものである。
例えば下記特許文献1,特許文献2にこの種の水栓が開示されている。
【0005】
但しこれら特許文献1,特許文献2に開示のものは、何れも各バルブユニット及び接続管がカウンタ下に埋込状態に設置される埋込式の水栓であって、各バルブユニットはカウンタに固定されて支持されており、従ってこのようなカウンタ等による支持が得られない壁付き水栓としてこれをそのまま適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−110209号公報
【特許文献2】特開2004−76489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを接続管で接続して水栓本体となした壁付き混合水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して請求項1のものは、それぞれがバルブボデーを有して該バルブボデーの内部に弁機能部を内蔵した、温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを接続管で接続するとともに、各バルブユニットをブラケットに固定して各バルブユニットを連結状態に保持して水栓本体を構成する一方、壁に固定される給水,給湯用の配管を兼ねた水側,湯側の各脚部に、該脚部と前記水栓本体の給水口とを接続する給水接続部を設け、該給水接続部には前記ブラケットを固定するブラケット固定部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2のものは、請求項1において、前記ブラケットとして別体を成す複数のブラケットが設けてあることを特徴とする。
【0010】
請求項3のものは、請求項2において、前記ブラケットとして上ブラケットと下ブラケットとが設けてあり、前記給水接続部の前記ブラケット固定部には上ブラケット固定部と、下ブラケット固定部とが備えてあって、該上ブラケット固定部に該上ブラケットが、下ブラケット固定部に該下ブラケットがそれぞれ固定してあることを特徴とする。
【0011】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記各バルブユニットと前記接続管及び前記ブラケットを外側から覆うカバーが備えてあることを特徴とする。
【0012】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記バルブユニットとして、カラン側の吐水と止水及び流量調節を行うカラン側のバルブユニットと、シャワーヘッドからの吐水と止水及び流量調節を行うシャワー側のバルブユニットとを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記給水接続部が前記温調用のバルブユニットの給水口に接続され、該温調用のバルブユニットを介して他のバルブユニットが前記脚部に連絡されていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを接続管で接続するとともに、各バルブユニットをブラケットに固定して各バルブユニットをブラケットにより連結状態に保持して水栓本体を構成する一方、壁に固定される配管を兼ねた水側,湯側の各脚部に、脚部と水栓本体の給水口とを接続する給水接続部を固定状態に設けて、給水接続部に備えたブラケット固定部に上記のブラケットを固定し、以て壁付きの混合水栓を構成するようになしたものである。
【0015】
本発明では、互いに別個独立した温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットが、接続管による接続状態でブラケットとともに一体の結合体(水栓本体)をなし、互いに独立した複数のバルブユニットがブラケットにより所定の相対的位置関係をもって強固に保持される。
【0016】
そして上記の一体の結合体即ち水栓本体が、給水接続部へのブラケットの固定により脚部に固定状態となって、水栓本体が脚部により荷重支持される。即ち水栓本体が脚部を介し壁にて荷重支持される。
【0017】
本発明では、バルブボデーの内部に弁機能部を内蔵した、互いに独立した複数のバルブユニットを接続管で接続して水栓本体を構成しているため、壁付き混合水栓においてバルブユニット間の間隔や向き等を変更することが可能であり、また埋込水栓その他の水栓において用いられているバルブユニットを壁付き混合水栓のバルブユニットとして用いることができる。即ちバルブユニットをそれら水栓の間で共通に用いることが可能である。
更にバルブユニット間の間隔や向きの選択の自由度が高いことに起因して、各バルブユニットに対応した操作部の向きや配置の自由度も高い。
【0018】
本発明では、上記ブラケットとして別体を成す複数のブラケットを設けておくことができる(請求項2)。
この場合において、かかるブラケットとして上ブラケットと下ブラケットとを設ける一方、上記の給水接続部のブラケット固定部には上ブラケット固定部と下ブラケット固定部とを備えておき、上ブラケット固定部に上ブラケットを、下ブラケット固定部に下ブラケットをそれぞれ固定するようになしておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、各バルブユニットを上ブラケットと下ブラケットとでより強固に連結状態とすることができる。
【0019】
本発明では、上記の各バルブユニットを接続管及びブラケットとともに外側から覆うカバーを備えておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、バルブユニット,接続管,ブラケット等を内部に隠蔽状態として壁付き混合水栓の外観を良好となすことができる。
【0020】
本発明では、バルブユニットとしてカラン側の吐水と止水及び流量調節を行うカラン側のバルブユニットと、シャワーヘッドからの吐水と止水及び流量調節を行うシャワー側のバルブユニットとを備えておくことができる(請求項5)。
【0021】
また請求項6に従って給水接続部を温調用のバルブユニットの給水口に接続し、温調用のバルブユニットを介して他のバルブユニットを給水,給湯用の配管を兼ねた脚部に連絡しておくことができる。
このようにすれば、温調用のバルブユニットにて温調(温度調節)された混合水を他のバルブユニットに供給することができる。加えて、水栓本体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の壁付き混合水栓の斜視図である。
【図2】図1の壁付き混合水栓をカバーを略した状態で示した斜視図である。
【図3】図2の壁付き混合水栓の要部切欠正面図である。
【図4】図2の壁付き混合水栓の要部切欠側面図である。
【図5】図2の壁付き混合水栓の背面及び底面を示した斜視図である。
【図6】同実施形態の壁付き混合水栓の一部を接続前の状態で底面側から示した図である。
【図7】同実施形態の壁付き混合水栓の一部を分解して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の壁付き混合水栓で、図2〜図4に示しているように互いに独立した3つのバルブユニット、詳しくはカラン側のバルブユニット12と、シャワー側のバルブユニット14と、温調用のバルブユニット16(図4参照)とを有している。
これらカラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14及び温調用のバルブユニット16は、それぞれがバルブボデー18,20,22を有している。
【0024】
ここでカラン側のバルブユニット12は、カラン側からの吐水と止水及び流量調節を行うもので、そのための弁機能部がバルブボデー18の内部に組み込まれている。
シャワー側のバルブユニット14は、シャワーヘッドからの吐水と止水及び流量調節を行うもので、そのための弁機能部がバルブボデー20の内部に組み込まれている。
一方温調用のバルブユニット16は、水と湯とを混合して混合水をカラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14に供給するもので、温調(温度調節)のための弁機能部がバルブボデー22の内部に組み込まれている。
尚この実施形態において、バルブボデー18,20は樹脂製とされ、またバルブボデー22は金属製とされている。
【0025】
本実施形態において、カラン側のバルブユニット12には、バルブボデー18の上側において、図2にも示しているように回転式の流調操作部24、及び吐水と止水とを行うプッシュ式の吐止水操作部26が設けられている。
またシャワー側のバルブユニット14にも、バルブボデー20の上側において回転式の流調操作部28、及び吐水と止水とを行うプッシュ式の吐止水操作部30が設けられている。
更に温調用のバルブユニット16には、水と湯との混合比率を調整するための回転式の温調操作部32が設けられている。
【0026】
この実施形態では、吐止水操作部26を下向きに押込操作するごとにカラン側からの吐水と止水とが交互に行われ、また流調操作部24を回転操作するとカラン側からの吐水の流量が調節される。
同様に吐止水操作部30を下向きに押込操作するごとにシャワーヘッドからの吐水と止水とが行われ、また流調操作部28を回転操作するとシャワーヘッドからの吐水の流量が調節される。
また温調操作部32を回転操作すると湯と水との混合比率が変化し、混合水の温度が調節される。
【0027】
本実施形態において、カラン側のバルブユニット12に設けられた流調操作部24と吐止水操作部26,シャワー側のバルブユニット14に設けられた流調操作部28と吐水水操作部30,及び温調用のバルブユニット16側に設けられた温調操作部32は、後述のカバー142(図1,図4参照)の上側に露出せしめられている。
【0028】
カラン側のバルブユニット12におけるバルブボデー18は、図3に示すように上下方向の中間部に円形の大径部34を備えており、更にこの大径部34よりも小径でこれより上向きに立ち上る円形の上嵌合部36を備えている。
更に大径部34の下側において、上嵌合部36よりも小径の下嵌合部38、及びこれに続いて下向きに突出する接続部40を備えている。
この接続部40には、カラン側配管41が抜止クリップ80にて抜止状態に接続され、接続部40から流出した混合水がカラン側の吐水口43から吐水される。
ここで大径部34と上嵌合部36との外面には縦横に補強リブが設けられている。
【0029】
シャワー側のバルブユニット14におけるバルブボデー20もまた、上下方向の中間部に円形の大径部42を備え、この大径部42よりも小径でこれより上向きに立ち上る円形の上嵌合部44を備えている。
更に大径部42の下側において、上嵌合部44よりも小径をなす下嵌合部46、及びこれに続いて下向きに突出する接続部48を備えている。
この接続部48にはシャワー側配管45が抜止クリップ80にて抜止状態に接続され、接続部48から流出した混合水がシャワーホース47を経てシャワーヘッドに送られ、そこから吐水される。
このシャワー側のバルブユニット14のバルブボデー20においても、大径部42と上嵌合部44との外面に補強リブが縦横に設けられている。
一方、図4及び図5に示しているように温調用のバルブユニット16におけるバルブボデー22には、円形をなす嵌合部56が備えられている。
【0030】
この実施形態において、互いに別個独立をなすカラン側バルブユニット12,シャワー側バルブユニット14及び温調用のバルブユニット16には、接続管50の各端部が接続され、カラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14及び温調用のバルブユニット16が接続管50を介して互いに連絡されている。
【0031】
接続管50は、図6(図6は各バルブユニットを底面側から見た図であり、各部材の配置が図1〜図3とは逆位置となっている)に示しているように3つの分岐管50-1,50-2,50-3に分かれていて、その全体の平面形状がT字形状をなしている。
これに対応してカラン側のバルブユニット12におけるバルブボデー18には、図3に示しているように分岐管50-1に向き合う側に接続部54が設けられ、またシャワー側のバルブユニット14におけるバルブボデー20には、分岐管50-2に向き合う側に接続部54が設けられている。
【0032】
更に温調用のバルブユニット16におけるバルブボデー22には、図6に示しているように分岐管50-3に向き合う側に接続部54が設けられている。
そしてバルブボデー18の接続部54と接続管50における分岐管50-1が、図3に示しているように嵌入部52を接続部54に嵌入させる状態に接続されている。
またバルブボデー20の接続部54と分岐管50-2とが、嵌入部52を接続部54の内部に嵌入させる状態に接続されている。
【0033】
更に温調用のバルブユニット16におけるバルブボデー22の接続部54と分岐管50-3とが、嵌入部52を接続部54の内部に嵌入させる状態に接続されている。
尚、3つの嵌入部52にはOリングが保持されており、このOリングを介して3つの各接続部54と分岐管50-1,50-2,50-3との間が水密にシールされている。
【0034】
図6(及び図2)において、58は給水用の配管を兼ねた金属製の水側のクランク脚(脚部)で、60は給湯用の配管を兼ねた金属製の湯側のクランク脚(脚部)である。
これらクランク脚58,60は図6中の上端部において壁に固定される。
【0035】
これら水側のクランク脚58,湯側のクランク脚60のそれぞれの先端部(図6中下端部)には、クランク脚58とは別体に構成された金属製の水側の給水接続部62,金属製の湯側の給水接続部64が設けられている。
水側の給水接続部62は、短管状の主部66と、主部66から図6中右向きに90°屈曲して突出した、同じく管状をなす接続部68とを有している。
ここで接続部68は温調用のバルブユニット16側に、壁と平行方向に突出している。
【0036】
主部66の、クランク脚58側の端部(図6中上端部)には雄ねじ部70が設けられており、水側の給水接続部62は、この雄ねじ部70とクランク脚58側の袋ナット72との螺合により、クランク脚58にねじ結合されている。
【0037】
一方温調用のバルブユニット16のバルブボデー22には、壁と平行方向に互いに逆向きに突出する水側の給水口74と、湯側の給水口76とが備えられている。
水側の給水接続部62は、水側のクランク脚58と後述する水栓本体140(図2参照)の水側の給水口、具体的にはここでは温調用のバルブユニット16の水側の給水口74とを接続するもので、嵌入部78を備えている。
給水接続部62は、この嵌入部78を温調用のバルブユニット16の給水口74に嵌入させる状態に、温調用のバルブユニット16の給水口74に接続されている。
ここで接続部68と給水口74とは、金属製の弾性を有する抜止クリップ80にて抜止めされている。
【0038】
湯側の給水接続部64は、水側の給水接続部62と同一形状のもので、主部66と嵌入部78を備えた接続部68とを有しており、接続部68を水側の給水接続部62のそれとは逆向き、即ち温調用のバルブユニット16側に向けて配置され、雄ねじ部70とクランク脚60側の袋ナット72との螺合によりクランク脚60にねじ結合されている。
【0039】
この湯側の給水接続部64は、嵌入部78を温調用のバルブユニット16の湯側の給水口76内に嵌入させる状態に、接続部68が温調用のバルブユニット16に接続されている。
そしてその接続状態で抜止クリップ80により接続部68と給水口76とが抜止めされている。
【0040】
上記水側の給水接続部62及び湯側の給水接続部64には、それぞれ図7に示しているように上下に突出するブラケット固定部82が一体に構成されている。
ここでブラケット固定部82は、上向きに突出する上ブラケット固定部84と下向きに突出する下ブラケット固定部86とを備えており、それぞれに固定孔88,89が設けられている。
【0041】
図7において、92,94はそれぞれカラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14,温調用のバルブユニット16を接続管50とともに連結状態で壁側に、具体的には一対のクランク脚58,60に固定する固定部材としての上ブラケット,下ブラケットで、それぞれ金属製の板状の部材から成っている。
【0042】
上ブラケット92は、略水平な頂部96と、頂部96から前方に下向きに傾斜して延びる傾斜部98とを有しており、その傾斜部98に、カラン側のバルブユニット12用の円形の嵌合穴100と、シャワー側のバルブユニット14用の円形の嵌合穴102とが設けられている。
【0043】
上ブラケット92はまた、頂部96の後端から下向きに垂下する左右一対の垂下部104と、それら垂下部104の間において後方に延出する舌片状の延出部106とを有している。
一対の垂下部104のそれぞれには、雌ねじ孔から成る固定孔108が設けられ、また延出部106には、温調用のバルブユニット16用の円形の嵌合穴110が設けられている。
【0044】
下ブラケット94は、上ブラケット92の傾斜部98と平行ないし略平行に前方斜め下向きに傾斜する傾斜部112と、傾斜部112の前端から上向きに立ち上る立上り部114とを有している。
更に傾斜部112の後端から1段下がった位置で後方に突出する一対の突出部116と、それら突出部116の更に後端から垂下する一対の垂下部118とを有している。
【0045】
傾斜部112には、カラン側のバルブユニット12用の円形の嵌合穴120と、シャワー側のバルブユニット14用の円形の嵌合穴122が設けられ、更に嵌合穴120の近傍に、カラン側のバルブユニット12用の固定孔124が設けられ、また嵌合穴122の近傍に、シャワー側のバルブユニット14用の固定孔126が設けられている。
【0046】
一方一対の突出部116には、温調用のバルブユニット16用の固定孔127が設けられ、更に一対の垂下部118には、上記の給水接続部62,64のブラケット固定部82との固定のための雌ねじ孔から成る固定孔128が設けられている。
尚下ブラケット94には、その後端から嵌合穴120と122との間の部位にまで到る切欠部130が設けられている。
【0047】
上ブラケット92は、カラン側のバルブユニット12における上嵌合部36を嵌合穴100に嵌合させ、シャワー側のバルブユニット14における上嵌合部44を嵌合穴102に嵌合させ、また温調用のバルブユニット16の嵌合部56を、延出部106の嵌合穴110に嵌合させる状態に、それら3つのバルブユニット12,14,16を連結している。
また下ブラケット94は、カラン側のバルブユニット12の下嵌合部38を嵌合穴120に嵌合させ、またシャワー側バルブユニット14の下嵌合部46を嵌合穴122に嵌合させる状態にそれらを連結している。
【0048】
そしてこの下ブラケット94の固定孔124において、カラン側のバルブユニット12が、また固定孔126においてシャワー側のバルブユニット14が、それぞれ図4に示すボルト132とナット134とで下ブラケット94に締結固定されている。
【0049】
また突出部116の固定孔127において、温調用のバルブユニット16がボルト136(図4参照)にて締結固定されている。
尚温調用のバルブユニット16の金属製のバルブボデー22には、図6に示しているように固定孔127に対応した位置に、雌ねじ孔から成る固定孔138が設けられている。温調用のバルブユニット16は、この固定孔138においてボルト136にて下ブラケット94に締結固定されている。
【0050】
そして本実施形態ではこの下ブラケット94が、一対の垂下部118の雌ねじ孔から成る固定孔128と、上記の下ブラケット固定部86の固定孔89とにおいて、図4及び図5に示すボルト136にて下ブラケット固定部86に、即ち給水接続部62,64に締結固定されている。
【0051】
一方上ブラケット92は、一対の垂下部104の雌ねじ孔から成る固定孔108と、上記の上ブラケット固定部84の固定孔88とにおいて、ボルト136にて上ブラケット固定部84に、即ち給水接続部62,64に締結固定されている。
【0052】
そしてこれにより、上ブラケット92及び下ブラケット94にてカラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14,温調用のバルブユニット16を連結状態に保持して構成した図2の水栓本体140が、給水接続部62,64を介して一対のクランク脚58,60に固定されている。
【0053】
尚上ブラケット92,下ブラケット94による連結状態において、図4に示しているように温調用のバルブユニット16は垂直向きをなしているが、カラン側のバルブユニット12とシャワー側のバルブユニット14とは、その軸方向の向きが上下方向に対して前方側に傾斜しており、従ってカラン側の吐止水操作部26と流調操作部24及びシャワー側の吐止水操作部30と流調操作部28は、その上面が水平方向に対して前方斜め下向きに傾斜している。
【0054】
この実施形態では、水側のクランク脚58,湯側のクランク60を通じて供給されて来た水と湯とが、温調用のバルブユニット16の一対の給水口74,76から温調用のバルブユニット16内に流入し、そこで水と湯とが所定比率で混合される。
そしてその混合水が接続管50を通じてカラン側のバルブユニット12又はシャワー側のバルブユニット14に流入し、そして図2の吐止水操作部26又は30による吐止水操作によって、カラン側から或いはシャワーヘッドから吐水され或いは吐水停止される。
また回転式の流調ハンドル24,28の操作によって吐水の流量調節が行われる。
尚この実施形態では、場合によってカラン側とシャワーヘッド側の両方とから同時に吐水を行うといったことも可能である。
【0055】
図1に示しているように、本実施形態の壁付き混合水栓10はカバー142を備えており、このカバー142にて上記のカラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14,温調用のバルブユニット16,接続管50,ブラケット90等が内側に隠蔽されている。
【0056】
以上のような本実施形態では、互いに別個独立したバルブユニット12,14,16が、接続管50による接続状態で上ブラケット92,下ブラケット94とともに一体の水栓本体140を構成し、そしてその水栓本体140が、給水接続部62,64への上ブラケット92,下ブラケット94の固定によりクランク脚58,60に固定状態となって、水栓本体140がクランク脚58,60により荷重支持される。即ち水栓本体140が壁にて荷重支持される。
【0057】
本実施形態では、互いに独立したバルブユニット12,14,16を接続管50で接続して水栓本体140を構成しており、接続管50を変えることでバルブユニット12,14,16間の間隔或いはそれらの向き等を変更することが可能であり、また埋込水栓その他の水栓において用いられているバルブユニットを壁付き混合水栓10のバルブユニットとして用いることが可能である。
更にバルブユニット12,14,16間の間隔や向きの選択の自由度が高いことに起因して、各バルブユニット12,14,16に対応した操作部の向きや配置の自由度も高い。
【0058】
また本実施形態ではカバー140を備えているため、バルブユニット12,14,16,接続管50,上ブラケット92,下ブラケット94等をカバー140内部に隠蔽状態とでき、壁付き混合水栓10の外観を良好となすことができる。
【0059】
更に本実施形態では、給水用配管を兼ねた水側のクランク脚58,給湯用配管を兼ねた湯側のクランク脚60を温調用のバルブユニット16の給水口74,76に接続して、カラン側のバルブユニット12,シャワー側のバルブユニット14を夫々接続管50を介して温調用のバルブユニット16から分岐させているため、温調用のバルブユニット16で温度調節した混合水を、切替弁による流路切替えを行わないで、吐止水操作部26,30の操作によってカラン側,シャワー側の何れからも吐水させることができる。
【0060】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明は、バルブユニットとして温調バルブユニットと流路をカラン側からシャワー側に若しくはその逆に切り替え且つ流量調節を行う切替バルブユニットとを組み合せることも可能である等、バルブユニットの組み合せを様々に変更することが可能である。
また上記のブラケットはあくまで一例示に過ぎず、ブラケットを他の様々な形状で構成することも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 混合水栓
12,14,16 バルブユニット
18,20,22 バルブボデー
50 接続管
58,60 クランク脚
62,64 給水接続部
74,76 給水口
82 ブラケット固定部
84 上ブラケット固定部
86 下ブラケット固定部
92 上ブラケット
94 下ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがバルブボデーを有して該バルブボデーの内部に弁機能部を内蔵した、温調用のバルブユニットを含む複数のバルブユニットを接続管で接続するとともに、各バルブユニットをブラケットに固定して各バルブユニットを連結状態に保持して水栓本体を構成する一方、
壁に固定される給水,給湯用の配管を兼ねた水側,湯側の各脚部に、該脚部と前記水栓本体の給水口とを接続する給水接続部を設け、該給水接続部には前記ブラケットを固定するブラケット固定部を備えたことを特徴とする壁付き混合水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記ブラケットとして別体を成す複数のブラケットが設けてあることを特徴とする壁付き混合水栓。
【請求項3】
請求項2において、前記ブラケットとして上ブラケットと下ブラケットとが設けてあり、前記給水接続部の前記ブラケット固定部には上ブラケット固定部と、下ブラケット固定部とが備えてあって、該上ブラケット固定部に該上ブラケットが、下ブラケット固定部に該下ブラケットがそれぞれ固定してあることを特徴とする壁付き混合水栓。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記各バルブユニットと前記接続管及び前記ブラケットを外側から覆うカバーが備えてあることを特徴とする壁付き混合水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記バルブユニットとして、カラン側の吐水と止水及び流量調節を行うカラン側のバルブユニットと、シャワーヘッドからの吐水と止水及び流量調節を行うシャワー側のバルブユニットとを備えていることを特徴とする壁付き混合水栓。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記給水接続部が前記温調用のバルブユニットの給水口に接続され、該温調用のバルブユニットを介して他のバルブユニットが前記脚部に連絡されていることを特徴とする壁付き混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237134(P2012−237134A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106655(P2011−106655)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】