説明

壁掛けプランター

【課題】壁面にプランターを設置する際に、移動作業の煩雑さを緩和することを課題とする。
【解決手段】植物を栽培するプランター本体10と、前記プランター本体に一体に形成される、水平に伸びる幅の狭い上面を有する構造物の前記上面部とこれに連なる両側面に係合する係合手段20とを有することで、移動の際に構造物の上部における係合手段の係合を解き、別の位置に係合させるだけで作業が完了し、プランターの移動作業を簡易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塀やベランダの手すりに取り付けて使用するプランターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塀やベランダに花や植木を飾るには、プランターを壁面からチェーンで吊るしたり、壁面に固定したバスケットの中にプランターを設置したりする方法が採られてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような方法でプランターを壁面に設置すると、移動させる場合に、まず、プランターを下ろして、それから、チェーンやバスケットを移動させ、その後、プランターを設置するという手順を踏む必要があり、作業が煩雑になっていた。
本発明は、このような問題に鑑み、壁面にプランターを設置する際に、移動作業の煩雑さを緩和することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、植物を栽培するプランター本体と、前記プランター本体に一体に形成される、水平に伸びる幅の狭い上面を有する構造物の前記上面部とこれに連なる両側面に係合する係合手段とを有する壁掛けプランターである。
請求項2に記載の発明は、前記壁掛けプランターにおいて、前記係合手段は弾性体よりなる押圧手段によって、係合した前記両側面を挟持するよう押圧するものである。
請求項3に記載の発明は、前記壁掛けプランターにおいて、前記係合手段は、水平に伸びる水平部材と、前記水平部材から下垂する前部垂直部材と、前記水平部材から下垂し、前記前部垂直部材と平行に配列される後部垂直部材とを有するものであり、前部垂直部材と後部垂直部材との間の距離を変更できるものである。
請求項4に記載の発明は、前記壁掛けプランターにおいて、前記プランター本体の下方に水受け皿を取り外し可能に設けたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、植物を栽培するプランター本体が水平に伸びる幅の狭い上面を有する構造物の上部に係合する係合手段と一体に形成されているので、移動の際に構造物の上部における係合手段の係合を解き、別の位置に係合させるだけで作業が完了し、プランターの移動作業を簡易に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、前記係合手段は係合した前記両側面を挟持するよう押圧する、押圧手段を有するので、単に引っ掛ける場合に比較して強固にプランターを固定できるとともに、弾性体により押圧することで工具などが不要になり、ネジなどで押圧する場合に比較して簡易に着脱をすることができる。
請求項3に記載の発明は前記壁掛けプランターにおいて、前記係合手段は、構造物の両側面を挟む前部垂直部材と後部垂直部材との間の距離を変更できるので、構造物の厚さに応じて、この距離を変えることで厚さの異なる複数の構造物に使用することができる。
請求項4に記載の発明は、前記プランター本体の下方に水受け皿を取り外し可能に設けることで、プランター本体下方から排出される水を水受け皿が受けるので、設置場所の下方に水に濡れてはいけないようなものがあっても水が掛かることがないので、設置場所できる場所に関する制限をより小さくすることができ、また、水受け皿が取り外し可能に設けられることで、水受け皿に溜まった水を容易に捨てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1に第1の実施形態に掛かる壁掛けプランターXの斜視図を、図2に壁掛けプランターXの後述する固定ネジ部分における縦断面図を示す。壁掛けプランターXはプランター本体10、係合部20、水受け皿30とから構成される。これらは合成樹脂でできており、紫外線遮蔽剤を含有した塗料が塗布されている。プランター本体10は、ほぼ直方体の有底の箱体で底面に図示しない水抜きのための穴が設けられている。また、プランター本体10の背面下部には、幅方向に渡って底面に達する凹部11が形成され、この凹部11にはさらに、幅方向に渡って2本の溝11aが形成されている。また、プランター本体10の背面はやや高くなっている
【0007】
係合部20は、プランター本体10の背部上縁に一体に水平に形成される水平部21と、水平部材21から下垂して設けられる後部垂直部材22と、プランター本体10の背面により形成される前部垂直部材23とから形成される。水平部材21は、プランター本体10の背面に一体に形成される、背面側が開放した扁平な箱体である固定部21aと、固定部21aの内部の空間とほぼ高さと幅を持ち、この空間内を摺動できる板体から形成される稼働部21bとから構成される。固定部21aの上面には貫通した穴21aaが長手方向に並んで2つ設けられ、このそれぞれの穴に対向する内部の下面にはこの穴とほぼ同径の有底のネジ穴21abが設けられている。また、稼働部21bにも、3つの摺動位置における、固定部のそろぞれの穴21aaに相対する位置に同径の貫通した穴21baがあわせて6箇所に設けられている。すなわち、稼働部21bの穴21baは3つの摺動位置のいずれかにおいて、固定部21aの穴21aaおよびネジ穴21abと一致することになる。そして、これらの穴が一致したところで、固定ネジ21cを各穴を貫くように差し込み固定することで、稼働部21bを固定部21aに固定することができる。また、稼働部21bの背面側の端部には、ほぼ同じ幅に2箇所、細長い長方形状の切り欠き21bbが形成されている。
【0008】
後部垂直部材22は2枚のくの字状に折れ曲がった板状体より形成され、それぞれが前記稼働部21bの切り欠き21bb内に屈曲部がプランター本体10側に向くように回動可能に軸支される。後部垂直部材22は、バネ22aにより下垂している部分がプランター本体11側に押圧されるように付勢されている。また、後部垂直部材22の回動部より上方に突出した部分が持ち手部22bを形成している。
【0009】
水受け皿30は扁平、長方形状の皿であって開口がプランター本体10の底面よりもやや大きくなっている。そして、背面側の側面内側に前記プランター本体10の背面下部の凹部11に設けられる2本の溝11aに係合する長手方向に伸びる2本の係合凸部31が形成されている。
【0010】
次に、以上のような構成を有する壁掛けプランターXの使用方法について説明する。まず、使用者は、プランター本体に土を入れて、そこへ植物を植える。次に、固定ネジ21cを抜いて、設置すべき、塀やベランダの手すりの厚さに応じて、前部垂直部材23と後部垂直部材22との距離を調整し、固定ネジ21cを再び穴21aa、21ba、21abへ嵌め入れ固定する。この際、後部垂直部材22はバネ22aにより前部垂直部材23側へ回動するように付勢されているので塀等の厚さと多少幅が相違してもよい。それから、使用者は壁掛けプランターXを持ち上げて、後部垂直部材22の持ち手部22を前部垂直部材23側へ倒すようにして、後部垂直部材22の下端側を開き、設置する塀等の上縁を水平部材21、後部垂直部材22、前部垂直部材23の内側に嵌めて、持ち手部22を離す。これにより、バネ22aに押圧されて後部垂直部材22と前部垂直部材23が設置した塀等の側面間を挟持し、壁掛けプランターXが固定され設置が完了する。これを移動させる場合は、使用者は持ち手22bを前部垂直部材23側へ倒して、そのまま、横方向にスライドさせて、所望の位置で止め、持ち手22bを離すだけで移動が完了する。このように、壁掛けプランターXは、移動に際して極めて簡易に作業を行うことができる。また、平時には、壁掛けプランターXに植えた植物に水をやるが、この水の一部はプランター本体10の底を通って、水受け皿30に溜まることになる。水受け皿30に水が多く溜まると使用者は、水受け皿30の背面内側の係合凸部31とプランター本体10背面の溝11aとの係合を解除し、水受け皿30を取り外し、中の水を捨てる。その後、再び、水受け皿30の背面内側の係合凸部31をプランター本体10背面の溝11aに嵌め込み、水受け皿30を固定する。
なお、ここでは水平部のスライド機構として箱体とこれに収まる板体との組み合わせを用いているが、スライド機構としてはスライドレールをしようしたり、蛇腹やリンク機構を用いてもよく、スライド機構の固定も種々の方法を用いることができる。
【0011】
(実施形態2)
図3の第3の実施形態に係る壁掛けプランターYの斜視図を示す。この壁掛けプタンターはプタンター本体50と係合部60とから形成されるものであり、全体を弾性のある合成樹脂により一体に形成している。プランター本体50はプランター本体10は、合成樹脂でできたほぼ直方体の有底の箱体で底面に図示しない水抜きのための穴が設けられていおり、背面はやや高くなっている。係合部60は、プランター本体50の背部上方に一体に形成される水平の板状体からなる水平部61と、水平部材61の背面の縁部に垂直に設けられる後部垂直部材62と、プランター本体50の背面により形成される前部垂直部材63とから形成される。後部垂直部材上方4分の1は水平部材61よりも上方に位置し、後部持ち手部62bを形成し、前部垂直部材の上方4分の1も水平部材61よりも上方に位置し、前部持ち手63bを形成している。
【0012】
壁掛けプランターYの使用方法は実施の形態1に係る壁掛けプランターXとほぼ同様であるが、壁掛けプランターYは後部持ち手部62bと前部持ち手63bとを有しているので、使用者はこの両方を挟むように持ち上げることで、前部垂直部材63と後部垂直部材62の下方側の部分の距離を開くことができる。そして、この状態で設置する塀などの上縁に水平部材61、前部垂直部材63、後部垂直部材62で囲むように載せて、手を離すと水平部材61、前部垂直部材63、後部垂直部材62は弾性力のある合成樹脂で形成されているので、元の形に戻ろうとし、結果として、前部垂直部材63と後部垂直部材62が設置した塀等の側面間を挟持し、全体が固定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る壁掛けプランターを示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る壁掛けプランターの縦断面図である。
【図3】実施形態2に係る壁掛けプランターを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
X、Y 壁掛けプランター
10、50 プランター本体
20、60 係合部
21、61 水平部材
22、62 後部垂直部材
23、63 前部垂直部材
22a バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するプランター本体と、
前記プランター本体に一体に形成される、水平に伸びる幅の狭い上面を有する構造物の前記上面部とこれに連なる両側面に係合する係合手段と
を有する壁掛けプランター。
【請求項2】
前記係合手段は弾性体よりなる押圧手段によって、係合した前記両側面を挟持するよう押圧する請求項1に記載の壁掛けプランター。
【請求項3】
前記係合手段は、
水平に伸びる水平部材と、
前記水平部材から下垂する前部垂直部材と、
前記水平部材から下垂し、前記前部垂直部材と平行に配列される後部垂直部材とを有するものであって、
前部垂直部材と後部垂直部材との間の距離を変更できるものである
請求項1又は2に記載の壁掛けプランター。
【請求項4】
前記プランター本体の下方に水受け皿を取り外し可能に設けた請求項1から3のいずれか1項に記載の壁掛けプランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−254811(P2006−254811A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78096(P2005−78096)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(596054951)
【Fターム(参考)】